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JP3941296B2 - 変調器と変調器付き半導体レーザ装置並びにその製造方法 - Google Patents

変調器と変調器付き半導体レーザ装置並びにその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光通信用に用いられる変調器と変調器付き半導体レーザ装置並びにその製造方法に係り、特に変調器の配線容量を少なくすることにより周波数特性を改善した変調器と変調器付き半導体レーザ装置並びにその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバーを用いた公衆通信網の普及には、半導体レーザの高性能化とこの半導体レーザを安価に製造することが重要である。
特に半導体レーザの高性能化には、情報量の増大に対応するためのレーザ光の高速変調が必須の要件である。このレーザ光の高速変調には、変調時の波長の変動を小さくして長距離の伝送を可能にするために、通常半導体レーザを一定強度で発振させておいて、電気信号により光の透過量をオン・オフできる変調器を通すことによって変調を行う外部変調方式が採用される。
【0003】
この外部変調方式に使用される変調器の光の透過量のオン・オフは、変調器の吸収層に逆電界を印加することによるフランツケルディッシュ効果或いは量子閉込めシュタルク効果を用いることにより行われる。この周波数特性は変調器のCR時定数に依存しているので、変調器の容量又は抵抗値を小さくすることが、変調器の周波数特性、つまり高速応答の成否を決める。
【0004】
またこの外部変調方式では、変調器と半導体レーザとの光結合が難しくまた部品点数も多いことから高価になるというという難点があったが、この難点を克服する方法として、半導体レーザと変調器とをモノリシックに集積化した変調器集積型半導体レーザ装置の開発が行われている。この変調器集積型半導体レーザ装置においても同様に周波数特性は変調器のCR時定数に依存しているので、変調器集積型半導体レーザ装置の変調器の容量又は抵抗値を小さくすることが、変調器集積型半導体レーザ装置の高速応答の成否を決める。
【0005】
図11は従来の変調器の斜視図である。また図12は図11のXII−XII断面の断面図である。
図11において、200は変調器、226は変調器メサ部、228は溝部である。
218は変調器電極、220は電極パッドで、電極パッド220は220aのパッド電極、220bのパッド台座からなる。222は配線層で、パッド電極220aと変調器電極218とを接続している。
224は裏面電極である。
【0006】
図12において、202はn型InP基板(以下、「n型」を「n−」で表す。「p型」も同様に「p−」で表す。)、204はn−InPの下クラッド層、206は光吸収層、208はp−InPの第1上クラッド層である。
210は電流ブロック層で、この電流ブロック層210は、FeドープInPからなる下側の第1埋込層210a、n−InPのホールトラップ層210b、FeドープInP層からなる上側の第2埋込層210cで構成される。
【0007】
212はp−InPの第2上クラッド層、214はp−InGaAsのコンタクト層、216は絶縁膜である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の変調器200は上記のように構成されていて、変調器200は次のように動作する。
変調器200の光吸収層206の入射側端面にレーザ光L1を入力し、もう一方の端面である出射側端面から出力光L2を出力する。レーザ光L1を入力した際に、電極パッド220を介して変調器電極218と裏面電極224との間に逆バイアスの信号電圧を印加すると、フランツケルディッシュ効果或いは量子閉込めシュタルク効果により、光吸収層206の光の吸収係数が変化する。
【0009】
即ち信号電圧を印加しないときには、入力光L1はそのまま光吸収層を通過し出力光L2が出射され、信号電圧が印加されると入力光L1は光吸収層206において吸収され出力光L2が出射されない。従って、入力される信号電圧に応じて、光がオン・オフされる。
そしてこの変調器200の周波数特性は、変調器200の容量に依存し、その容量は変調器メサ部226の容量と電極パッド220の容量と配線層222の容量の和となる。
【0010】
電極パッド220と変調器メサ部226の間は、ワイヤボンディングの際に、変調器メサ部226上にワイヤを打って変調器メサ部226に損傷を与えることが無いように、例えば50μm程度離す必要がある。
このため溝部228を設けて、電極パッド220と変調器メサ部226とを離隔しつつ、積層構造でつながっているよりも容量を小さくしている。
【0011】
そして、これらの容量をわずかでも少なくすることによって高速光変調を行うことが可能となるため、不要な容量をできる限り、少なくすることが大切である。
従来の変調器200の容量のうち、変調器メサ部226の容量は変調器メサ部226の幅をできるだけ狭くすることにより、光学的に必要な電流ブロック層210の幅を確保し、加工上の要請を満足しつつ容量をできるだけ少なくしている。
また電極パッド220の寸法は、ワイヤボンディングに必要な寸法で規定され通常(30μm〜50μm)×(30μm〜50μm)である。電極パッド220の容量は、変調器メサ部226との間に溝部228を設け、電極パッド220の面積をワイヤボンディングに必要最小限の寸法にすることによりなるべく小さくしている。
【0012】
しかしながら、溝部228上に設けられている配線層222は、裏面電極224側との間は、絶縁膜216を介在させるだけであったので、ここの部分の容量が必ずしも小さくならず、変調器200の遮断周波数を高くできないという問題点があった。
また、安価な外部変調方式の半導体レーザ装置を目指す半導体レーザと変調器とをモノリシックに集積化した変調器集積型半導体レーザ装置においても、その周波数応答性は変調器の周波数特性に依存しているので、同様に変調器集積型半導体レーザ装置の遮断周波数を高くできないという問題点があった。
【0013】
この発明は上記の問題点を解消するためになされたもので、
第1の目的は、変調器において、不要な容量を少なくすることによって遮断周波数を高め、周波数特性の改善された変調器を提供することである。
また第2の目的は、変調器付き半導体レーザ装置において、これに使用される変調器の不要な容量を少なくすることによって遮断周波数を高め、周波数特性の改善された変調器付き半導体レーザ装置を提供することである。
また第3の目的は、変調器の不要な容量を少なくすることによって遮断周波数を高め、周波数特性の改善された変調器及び変調器付き半導体レーザ装置を、容易に製造できる製造方法を提供することである。
【0014】
なお、半導体レーザ装置の引出電極のパッド部を同一基板上に設けた公知文献として、特開平8−172242号公報がある。
これは半導体レーザの発光領域兼導波路(活性層)とこの活性層と同じ積層構造の電極パッドを設け、活性層のアノード電極とボンディングパッドとを配線層で接続したもので、この配線層が設けられている絶縁膜の下層については特段の記載はない。
【0015】
また、電界吸収型光変調器において変調器とこれに隣接するポリイミド層を同一基板上に設けた公知文献として、特開平6−216464号公報がある。
これは変調器とこれに隣接するポリイミド層の下層にアンドープInPのバッファ層を設けた構成が示されているが、この構成ではポリイミド層とストライプ状の変調器とが溝でもって分離されていない。
【0016】
さらに、光導波路構造を形成するときにエッチングストッパ層を使用する公知文献として、特開平11−97799号公報、特開平11−87836号公報、および特開平7−231145号公報がある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る変調器においては、第1導電型の半導体基板と、この半導体基板の一主面上に配設されるとともに、光吸収層を含みリッジ状に延長された光導波路、この光導波路の両側に配設され基板側から順次積層された第1の半絶縁性半導体層と第1導電型の第1の半導体層とを有する電流ブロック層、上記光導波路と上記電流ブロック層の上に形成されたクラッド層、及び上記光導波路の頂面に対向した開口を有する絶縁体膜を介して上記クラッド層上に配設された第1の電極膜、を有する変調器部と、この変調器部と溝部を介して離隔され上記半導体基板の一主面上に配設された基台部とこの基台部上に配設された第2の電極膜とを有する電極パッドと、上記変調器部から延在する第1の半絶縁性半導体層と上記絶縁体膜とを介して上記半導体基板の一主面上に配設されるとともに、上記第1の電極膜と第2の電極膜とを接続した配線層とを備え、上記変調器部は、上記第1の電極膜と上記クラッド層との間にコンタクト層を更に備え、このコンタクト層の幅が上記クラッド層の上面の幅より狭いことを特徴とするもので、この構成を備えることにより、電流ブロック層が第1の半絶縁性半導体層と第1導電型の第1の半導体層とを有する構成の変調器において、配線層と半導体基板の間に絶縁体膜に加えて第1の半絶縁性半導体層が配設されたことにより、配線層の容量が小さくなる。
【0018】
また、変調器部の電流ブロック層が、第1の半導体層上にさらに第2の半絶縁性半導体層を備えたことにより、電流ブロック層が第1の半絶縁性半導体層と第1導電型の第1の半導体層と第2の半絶縁性半導体層とを有する構成の変調器において、配線層と半導体基板の間に絶縁体膜に加えて第1の半絶縁性半導体層が配設されたことにより、配線層の容量が小さくなる。
【0019】
またさらに電極パッドの基台部が、変調器部の電流ブロック層と同じ積層構造を備えたもので、変調器の構成を簡単にすることができる。
またさらに第1の半絶縁性半導体層と第1の半導体層との間に、第1の半導体層よりもエッチング速度が小さい第2の半導体層をさらに備え、この第2の半導体層の上に配設された絶縁体膜を介して配線層が配設されたもので、第1の半導体層が完全に除去された変調器を構成することができる。
【0021】
またこの発明に係る変調器付き半導体レーザ装置は、第1導電型の半導体基板と、この半導体基板の一主面上に配設されるとともに、光吸収層を含みリッジ状に延長された光導波路、この光導波路の両側に配設され基板側から順次積層された第1の半絶縁性半導体層と第1導電型の第1の半導体層とを有する電流ブロック層、上記光導波路と上記電流ブロック層の上に形成されたクラッド層、及び上記光導波路の頂面に対向した開口を有する絶縁体膜を介して上記クラッド層上に配設された第1の電極膜、を有する変調器部と、この変調器部と溝部を介して離隔され上記半導体基板の一主面上に配設された基台部とこの基台部上に配設された第2の電極膜とを有する電極パッドと、上記変調器部から延在する第1の半絶縁性半導体層と上記絶縁体膜とを介して上記半導体基板の一主面上に配設されるとともに、上記第1の電極膜と第2の電極膜とを接続した配線層と、上記半導体基板の一主面上に、上記変調器部の光導波路の延長方向に隣接して配設されるとともに、上記光導波路の光吸収層に接続された活性層を有する半導体レーザ部とを備え、上記半導体レーザ部が光導波路を有し、該光導波路の両側に上記変調器部の電流ブロック層と同じ積層構造の電流ブロック層を備え、上記半導体レーザ部の電流ブロック層の第1の半導体層と上記変調器部の電流ブロック層の第1の半導体層とが所定の間隔を有し、上記変調器部は、上記第1の電極膜と上記クラッド層との間にコンタクト層を更に備え、このコンタクト層の幅が上記クラッド層の上面の幅より狭いことを特徴とするもので、この構成を備えることにより、電流ブロック層が第1の半絶縁性半導体層と第1導電型の第1の半導体層とを有する構成の変調器を備えた変調器付き半導体レーザ装置において、配線層と半導体基板の間に絶縁体膜に加えて第1の半絶縁性半導体層が配設されたことにより、変調器付き半導体レーザ装置の変調器の配線層の容量が小さくなる。
【0022】
また、変調器部の電流ブロック層が、第1の半導体層上にさらに第2の半絶縁性半導体層を備えたことにより、電流ブロック層が第1の半絶縁性半導体層と第1導電型の第1の半導体層と第2の半絶縁性半導体層とを有する構成の変調器を備えた変調器集積型半導体レーザ装置で、配線層と半導体基板の間に絶縁体膜に加えて第1の半絶縁性半導体層が配設されたことにより、変調器付き半導体レーザ装置の変調器の配線層の容量が小さくなる。
【0023】
さらに電極パッドの基台部が、変調器部の電流ブロック層と同じ積層構造を備えたもので、変調器付き半導体レーザ装置の変調器の構成を簡単にすることができる。
【0024】
またさらに第1の半絶縁性半導体層と第1の半導体層との間に、第1の半導体層よりもエッチング速度が小さい第2の半導体層をさらに備え、この第2の半導体層の上に配設された絶縁体膜を介して配線層が配設されたもので、第1の半導体層が完全に除去された変調器を有する変調器付き半導体レーザ装置を構成することができる。
【0026】
またこの発明に係る変調器の製造方法は、第1導電型の半導体基板上に光吸収層と第2導電型のクラッド層とを積層したウエハ上に誘電体膜を形成し、この誘電体膜を帯状に形成し、この帯状の誘電体膜をマスクとして、光吸収層を越える深さにウエハをエッチングしリッジ状の光導波路を形成する第1の工程と、帯状の誘電体膜をマスクとして、光導波路の両側に第1の半絶縁性半導体層と第1導電型の第1の半導体層とを埋め込み成長し電流ブロック層を形成する第2の工程と、誘電体マスクを除去した後、光導波路とその両側の電流ブロック層とを所定の形状に残し、第1の半絶縁性半導体層が露呈するまでエッチングし変調器積層構造を形成する第3の工程と、半導体基板上の一部に変調器積層構造の側面を介して離隔された電極パッドの基台部を形成する第4の工程と、光導波路の頂面に対向した開口を有する絶縁体膜を、変調器積層構造上及び露呈した第1の半絶縁性半導体層上に形成する第5の工程と、絶縁体膜の開口を介して変調器積層構造上に第1の電極膜を形成するとともに電極パッドの基台部上に第2の電極膜を形成し、第1の電極膜と第2の電極膜とを接続する配線層を形成する第6の工程と、上記第2の工程と上記第3の工程との間に、上記光導波路と上記電流ブロック層の上にクラッド層を形成する工程と、上記クラッド層の上に上記クラッド層の上面の幅より狭い幅のコンタクト層を形成する工程を含むので、電流ブロック層が第1の半絶縁性半導体層と第1導電型の第1の半導体層とを備え、高い遮断周波数特性を有する変調器を、簡単な方法で製造することができる。
【0027】
また、第2の工程において、第1導電型の第1の半導体層を形成した後さらに第2の半絶縁性半導体層を埋め込み成長し電流ブロック層を形成するので、電流ブロック層が第1の半絶縁性半導体層と第1導電型の第1の半導体層と第2の半絶縁性半導体層とを備え高い遮断周波数を有する変調器を、簡単な方法で製造することができる。
【0028】
またこの発明に係る変調器付き半導体レーザ装置の製造方法は、第1導電型の半導体基板上に光吸収層と第2導電型のクラッド層とを積層したウエハ上に誘電体膜を形成し、この誘電体膜を帯状に形成し、この帯状の誘電体膜をマスクとして、光吸収層を越える深さにウエハをエッチングしリッジ状の光導波路を形成する第1の工程と、帯状の誘電体膜をマスクとして、光導波路の両側に第1の半絶縁性半導体層と第1導電型の第1の半導体層とを埋め込み成長し電流ブロック層を形成する第2の工程と、誘電体マスクを除去した後、光導波路とその両側の電流ブロック層とを所定の形状に残し、第1の半絶縁性半導体層が露呈するまでエッチングし変調器積層構造を形成する第3の工程と、半導体基板上の一部に変調器積層構造の側面を介して離隔された電極パッドの基台部を形成する第4の工程と、光導波路の頂面に対向した開口を有する絶縁体膜を、変調器積層構造上及び露呈した第1の半絶縁性半導体層上に形成する第5の工程と、絶縁体膜の開口を介して変調器積層構造上に第1の電極膜を形成するとともに電極パッドの基台部上に第2の電極膜を形成し、第1の電極膜と第2の電極膜とを接続する配線層を形成する第6の工程と、上記半導体基板上に上記変調器積層構造の光導波路の延長方向に隣接して、上記光導波路の光吸収層に接続される活性層を有する半導体レーザを形成する第7の工程とを含み、上記第7の工程が、上記半導体レーザの有する光導波路の両側に、上記変調器部と同じ積層構造の電流ブロック層を、該電流ブロック層が有する第1の半導体層と上記変調器部の第1の半導体層とが所定の間隔を有するように形成する工程を含み、上記第2の工程と上記第3の工程との間に、上記光導波路と上記電流ブロック層の上にクラッド層を形成する工程と、上記クラッド層の上に上記クラッド層の上面の幅より狭い幅のコンタクト層を形成する工程と、を含むので、変調器の電流ブロック層が第1の半絶縁性半導体層と第1導電型の第1の半導体層とを備えた、高い周波数特性を有する変調器付き半導体レーザ装置を簡単な方法で製造することができる。
【0029】
また、第2の工程において、第1導電型の第1の半導体層を形成した後さらに第2の半絶縁性半導体層を埋め込み成長し電流ブロック層を形成するので、変調器の電流ブロック層が第1の半絶縁性半導体層と第1導電型の第1の半導体層と第2の半絶縁性半導体層とを備えた、高い周波数特性を有する変調器付き半導体レーザ装置を簡単な方法で製造することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
実施の形態1
図1はこの発明の一つの実施の形態に係る変調器の斜視図である。図2は図1のII−II断面の断面図である。
ここでは一例として幹線通信用として使用される10Gb/sの電界吸収型外部変調器について説明する。
この実施の形態は、変調器メサ部と電極パッドとを分離する溝部の深さを、ホールトラップ層は貫通するがその下層の第1埋め込み層を残した深さとすることにより、この溝部上に配設される配線層の容量を少なくするものである。
【0031】
図1において、2は変調器、3は変調器メサ部で変調器メサ部3上に変調器電極3aが設けられている。4は変調器メサ部3の長手方向側面に溝部5を介して設けられた電極パッドである。電極パッド4はその基台部であるパッド台座4bとこのパッド台座4b上に設けられた引出電極4aとで構成されている。
変調器メサ部3の、長手方向と直交する方向の幅は、光のしみ出しを考慮し、かつ加工のしやすさを考慮して10〜20μm程度である。
パッド台座4bの上面の寸法は(30〜50)μm×(30〜50)程度である。引出電極4aの寸法は、ほぼパッド台座4bの上面の寸法である。
【0032】
電極パッド4と変調器メサ部3とは、ワイヤボンディングの際に変調器メサ部3が損傷を受けないように、ある程度離隔することが必要があり、電極パッド4は例えば15μm〜30μm程度以上の溝幅を有する溝部5で離され、引出電極4aのワイヤボンディングを行う処と変調器メサ部3とは50μm程度以上離隔されている。
【0033】
変調器メサ部3上の変調器電極3aと電極パッド4上の引出電極4aは、溝部5に設けられた配線層6によって接続されている。
図2において、12はn−InP基板、14はn−InP基板12上に配設されたストライプ状をしたn−InPの下クラッド層である。
【0034】
16はアンドープInGaAsPの光吸収層で、下クラッド層14の上にストライプ状に配設されている。この光吸収層16はn−InGaAsPのn側光閉込層、InGaAsP−MQW層、およびp−InGaAsPのp側光閉込層で構成されている。
この光吸収層16上にp−InPの第1上クラッド層18aがストライプ状に形成され、この下クラッド層14と光吸収層16と第1上クラッド層18aとは、幅が1〜2μmで高さが2〜3μm程度のリッジ状の光導波路20を構成している。光導波路20の両側には第1の半絶縁性半導体層としてのFeドープInPの第1埋込層22が光導波路20の側面上のみならず基板12上に形成されている。
【0035】
この第1埋込層22上に第1の半導体層としてのn−InPのホールトラップ層24が形成され、さらにこのホールトラップ層24の上層に第2の半絶縁性半導体層としてのFeドープInPの第2埋込層26が埋め込み形成されている。この第1埋込層22とホールトラップ層24と第2埋込層26とで電流ブロック層27が構成されている。この第1埋込層22と第2埋込層26は光導波路20の近傍両側で接続されている。
【0036】
光導波路20と電流ブロック層27との上にp−InPの第2上クラッド層18bが配設され、この第2上クラッド層18bの上にp−InGaAsのコンタクト層28が配設されている。
光導波路20の両側に所定の寸法の電流ブロック層27を介在させて、コンタクト層28の表面から電流ブロック層27のホールトラップ層24を貫通して第1埋込層22に至る溝部5が形成され、光導波路20を中心とし断面台形形状のリッジ状をした変調器積層構造が形成されている。
【0037】
この変調器積層構造の上に光導波路20と対向する開口30を有する絶縁体膜としてのSiO2膜32が配設され、このSiO2膜32を介して変調器積層構造のコンタクト層28の表面上に第1の電極膜としての変調器電極3aが設けられて、変調器メサ部3を構成している。変調器メサ部3の断面台形形状の幅、つまり光導波路20と直交する方向の幅は、10〜20μm程度である。
【0038】
電極パッド4は、コンタクト層28の表面から第1埋込層22に至る深さを有する溝部5を介して変調器メサ部3の側部に設けられ、パッド台座4bは第1埋込層22上に変調器部3と同時に形成された、電流ブロック層27、第2上クラッド層18b、及びコンタクト層28と同じ材料構成のパッド積層構造及びこのパッド積層構造の表面上に設けられたSiO2膜32とで構成されている。
【0039】
このパッド台座4b上に第2の電極膜としての、引出電極4aが配設されている。この引出電極4aと変調器電極3aとは、溝部5の第1埋込層22の上に配設されたSiO2膜32上に設けられた配線層6によって接続されている。
n−InP基板12の裏面側には裏面電極36が設けられている。
次に変調器2の製造方法を説明する。
図3(a)、図3(b)および図4(a)、図4(b)は変調器2の製造工程を示す一部断面図である。
【0040】
n−InP基板12上に、下クラッド層14としてのn−InP層、光吸収層16としてのアンドープInGaAsP層、第1上クラッド層18aとしてのp−InP層を順次結晶成長により積層し、この積層の表面上に誘電体膜として例えばSiO2膜を形成し、光導波路20の幅を1〜2μmに形成するために、6〜7μmの幅の誘電体ストライプ40を形成する。
【0041】
この誘電体膜ストライプ40をマスクとして、HBr系のエッチャントを使用し、ウエットエッチングにより、高さが3〜4μm程度のリッジ状の光導波路20を形成する。この工程の結果を示すのが図3(a)である。
またこの場合のエッチングをメタン系ドライエッチングを用いて行ってもよい。
次に誘電体膜ストライプ40をマスクとして、光導波路20の両側を第1埋込層22としてのFeドープInP層、ホールトラップ層24としてのn−InP層及び第2埋込層26としてのFeドープInP層で、順次埋め込み成長を行う。
【0042】
このとき、第1埋込層22としてFeドープInP層上に形成されるホールトラップ層24としてのn−InP層は、誘電体膜ストライプ40のマスクの最奥部では成長されない。このため次に第2埋込層26としてのFeドープInP層が形成されると、第1埋込層22としてFeドープInP層と第2埋込層26としてのFeドープInP層とが接続する。この工程の結果を示すのが図3(b)である。
【0043】
次いで、誘電体膜ストライプ40のマスクを除去した後、第2上クラッド層18bとしてのp−InP層、及びコンタクト層28としてのp−InGaAs層を結晶成長させる。この工程の結果を示すのが図4(a)である。
次いでフォトリソグラフィ・エッチング工程により、光導波路20を中心として両側に所定の寸法の幅を残して溝部5をエッチングにより形成し、リッジ状の変調器積層構造を形成する。このとき形成される溝部5は、コンタクト層28としてのp−InGaAs層の表面からホールトラップ層24としてのn−InP層を貫通し、第1埋込層22としてのFeドープInP層を残したままでエッチングを停止して形成される。同時にこの変調器積層構造の側部に溝部5を介してパッド積層構造を形成する。
【0044】
この溝部5の形成は、InP/InGaAsPをエッチングできるBr−メタノール系エッチャントを用いたウエットエッチングやメタン系ドライエッチングにより行うことができる。
この後エッチングマスクを除去し、変調器積層構造とパッド積層構造と溝部5とを含めた全面に絶縁膜、例えばSiO2膜32を形成し、フォトリソグラフィ・エッチング工程により、光導波路20に対向した開口30を形成する。
【0045】
エッチングマスクを除去した後、パッド積層構造上にSiO2膜32を配設したパッド台座4b上に引出電極4aを、また開口30を有するSiO2膜32を介して変調器積層構造33上に変調器電極3aを形成して変調器メサ部3を形成し、溝部5上にSiO2膜32を介して配線層6を形成し、配線層6で引出電極4aと変調器電極3aとを接続する。
最後に、 n−InP基板12の裏面側を研磨により100μm程度に薄くし、裏面電極36を形成する。この工程の結果を示すのが図4(b)である。
【0046】
次に動作について説明する。
変調器2において、変調器メサ部3の入射端面側から光吸収層16を中心とする光導波路20にレーザ光L1を入射し、出射端面側から出力光L2を取り出す。このとき電極パッド4を介して変調器電極3aと裏面電極36の間に逆バイアス電圧を印加すると、光吸収層16に逆方向電界が印加され、フランツケルディッシュ効果或いは量子閉込めシュタルク効果により光吸収層16の光の吸収係数が変化する。
【0047】
つまり逆バイアス電圧が印加されていない間は出力光L2が出射されるが、逆バイアス電圧が印加されている間はレーザ光L1は光吸収層16で吸収され、出力光L2として出射されない。このため逆バイアス電圧の信号電圧をオン・オフすることにより、出力光L2をオフ・オンすることができる。これにより電気信号が光信号に変換される。
【0048】
この変調器2の光変調の遮断周波数は、変調器2のCR時定数により決定される。CR時定数を小さくすること、つまり変調器2の容量又は抵抗値を小さくすることにより、高い周波数の出力光を取り出すことができ、高密度の信号伝達を行うことができる。
【0049】
変調器2のCR時定数のうち、変調器2の容量について云えば、その容量は変調器メサ部3の容量と電極パッド4の容量と配線層6の容量の和となる。
電極パッド4の寸法はワイヤボンディングに必要な面積で決定され、変調器メサ部3の幅は光の浸み出しを少なくしかつ加工の容易さに対する要請から、また変調器2の長さは光の吸収に必要な長さから決定される。また電極パッド4と変調器メサ部3との間隔はワイヤボンディングの際に変調器メサ部3に損傷を与えないような寸法で規定されるので、この寸法を確保しつつ電極パッド4と変調器メサ部3とを分離する溝部5を設け、積層構造でつながっているよりも容量を小さくしている。
【0050】
そしてこの実施の形態においては、溝部5の深さはコンタクト層28の表面からホールトラップ層24を貫通し第1埋込層22を残した深さに設定されている。従ってこの溝部5上に形成される配線層6により形成される容量の誘電体膜厚は、SiO2膜32と第1埋込層22の合成厚みとなり、SiO2膜32のみの場合に比べて配線層6の容量が少なくなる。従って変調器2の出力光の遮断周波数を高くすることができ、延いては高密度の信号伝達を行うことができる。
【0051】
試みに容量の低減効果を試算してみる。
いま電極パッド4の引出電極4aの寸法を50μm×50μmとし、溝部5の寸法を15μmとし、第1埋込層22の厚みを2.5μmとすると、
(1)電極パッド4の容量は、SiO2膜32と第1埋込層22の空乏層により決まり・・・0.025fF/μm2
(2)溝部5の配線層6の容量(第1埋込層22無し)・・0.087fF/μm2
(3)溝部5の配線層6の容量(第1埋込層22あり)・・0.042fF/μm2
となる。ここでfFはフェムト(femto)・ファラッド(farad)を示す。
【0052】
このように第1埋込層22を溝部5の下層に残すことにより、溝部5の配線層6の単位面積当りの容量を半減させることができる。
これにより、配線層6の下層に第1埋込層が無い場合には、変調器メサ部3、電極パッド4及び溝部5の配線層6を含めた変調器の素子容量が539fFであったのに対し、第1埋込層22を溝部5の下層に残すことにより519fFに低減でき、変調器2の遮断周波数は11.8GHzから12.3GHzに向上させることができる。延いては高密度の信号伝達を行うことができる。
【0053】
変形例1
以上の説明では、ホールトラップ層24を挟んで第1埋込層22と第2埋込層26とを配設する構成を説明したが、第2埋込層26を省略した構成としてもよい。
図5は実施の形態1の変形例1を示す変調器の一部断面図である。
図5において、50は変調器で、先に説明した実施の形態と同じ符号は同一か又は相当のものであることを示す。
この構成ではホールトラップ層24の上層には第2埋込層26が設けられていない。従って変調器の構成が簡単になる。
【0054】
以上の説明では、電極パッド4の構成として、パッド4bが変調器メサ部3の電流ブロック層27と同じ積層構造で構成されている場合について説明したが、パッドを例えばポリイミドなどの絶縁体で形成し、電極パッド4としてもよい。
【0055】
以上のようにこの実施の形態では、溝部5の配線層6の下層にSiO2膜32に加えてFeドープInP層の第1埋込層22を配設することにより、溝部5の配線層6の容量を小さくしたので、変調器の遮断周波数を高めることができる。また変調器メサ部3の電流ブロック層27が、 FeドープInP層の第1埋込層22の上に配設されたホールトラップ層24の上にさらにFeドープInP層の第2埋込層32を備えたことにより、ホールトラップ層24が光導波路20と完全に離隔され、良好な駆動特性を安定的に得る構成とすることができる。
【0056】
また電極パッド4のパッド台座4bが、変調器メサ部3と同じ積層構造、すなわち、電流ブロック層27と同じ積層構造の、FeドープInP層の第1埋込層22の上にホールトラップ層24配設された積層構造、またはFeドープInP層の第1埋込層22の上にホールトラップ層24が配設され、さらにFeドープInP層の第2埋込層32が配設された積層構造、に加えて、第2上クラッド層26、コンタクト層28及びSiO2層32で構成されているので、変調器2の構成が簡単になり、安価な変調器2を構成することができる。
【0057】
実施の形態2
図6はこの発明の他の実施の形態に係る変調器の一部断面図である。図6は図1のII−II断面に相当する断面での断面図である。
図6において、図1、図2及び図4(b)と同じ符号は同一か相当のものを示す。
この実施の形態2は、実施の形態1のホールトラップ層24と第1の埋込層22の間に、ホールトラップ層24をエッチングする際のエッチング停止層を設けたもので、他の構成は実施の形態1と同じである。
【0058】
図6において、60は変調器、62はエッチング停止層で、 FeドープInPの第1埋込層22とn−InPのホールトラップ層24との間に、ホールトラップ層24に密着して配設されている。層厚みは0.05μm〜0.1μm程度である。ウエットエッチングによる選択エッチングを行ってホールトラップ層24を除去して溝部5を形成するときには、エッチング停止層62の材料はInGaAsPである。
【0059】
またドライエッチングにより、ホールトラップ層24を除去して溝部5を形成するときには、エッチング停止層62の材料はInAlAsとする。
変調器60の製造方法は、光導波路20を形成し、このエッチングの時に使用した誘電体膜ストライプ40をマスクとして光導波路20の両側を第1埋込層22としてのFeドープInP層を形成する工程まで実施の形態1の変調器2の製造方法と同じで、この後、溝部5形成の際のエッチング方法に適合した材料によりエッチング停止層62を埋め込み形成する。この後の工程は実施の形態1の変調器2の製造方法と同じである。
【0060】
この変調器60では、ホールトラップ層24が完全に除去することが可能である。このため溝部5の下層の第1埋込層22の層厚みを安定的に確保することができるので、溝部5上にSiO2膜32を介して形成される配線層6の容量のバラツキが少なくなり、延いては変調器60の遮断周波数のバラツキを少なくすることができる。
変調器60の変形例として、実施の形態1の変形例1の場合の第2埋込層26を備えていない場合に適用しても同様の効果がある。
【0061】
また、以上の説明では、ホールトラップ層24をn−InP層で形成した場合について説明したが、 n−InP層の代わりに、n−InGaAsP層やn−InAlAs層を用いてもよい。
n−InGaAsP層を用いた場合には、酒石酸と過酸化水素の混合物をエッチャントとして使用し、 n−InAlAs層を用いた場合には、硝酸をエッチャントとして使用することにより、InPと選択エッチングが可能であり、ホールトラップ層24を完全に除去可能であるので、エッチング停止層62を用いた場合と同様の効果を奏する。
【0062】
実施の形態3
図7はこの発明の他の実施の形態に係る変調器の一部断面図である。図7は図1のII−II断面に相当する断面での断面図である。図7において、図1、図2及び図4(b)と同じ符号は同一か相当のものを示す。
この実施の形態3は、実施の形態1のコンタクト層28を、光導波路の直上に第2上クラッド層の幅より狭くして対向させたものである。他の構成は実施の形態1と同じである。
【0063】
図7において、70は変調器、72はp−InGaAsのコンタクト層で、変調積層構造の第2上クラッド層18bの断面形状の幅が10〜20μm程度であると、このコンタクト層72の幅は3〜6μm程度である。
この変調器70の製造方法は、実施の形態1の変調器2の図4(a)で示された、コンタクト層28を形成する工程までは同様に形成する。
この後、光導波路20の直上に第2上クラッド層の幅より狭く、例えば3〜6μm程度残るようにフォトリソグラフィ・エッチング工程によりコンタクト層72を形成し、次いでフォトリソグラフィ・エッチング工程により溝部5を形成し、これにより幅が10〜20μm程度の断面台形形状の変調器積層構造を形成する。
【0064】
これ以後の工程は、実施の形態1の変調器2の製造工程と同様である。
先の説明ではコンタクト層72を形成した後、変調器積層構造を形成するように説明したが、変調器積層構造を形成した後、変調器積層構造の最上層のコンタクト層72としてのp−InGaAs層を第2上クラッド層の幅より狭くエッチングし、コンタクト層72を形成してもよい。
【0065】
実施の形態1のコンタクト層28では変調器積層構造の幅一杯に形成されており、またコンタクト層28は低抵抗であるために注入した電流は、コンタクト層28の幅一杯に拡がるのに対して、この実施の形態の変調器70ではコンタクト層72は幅が狭いために、注入した電流がコンタクト層72の幅一杯に拡がったとしても、キャパシタの電極板が狭くなったのと同じ効果を有し、変調器70の容量を小さくする効果を奏する。
【0066】
実施の形態4
図8はこの発明の他の実施の形態に係る変調器付き半導体レーザの斜視図である。
図9は図8のIX−IX断面の断面図である。図10は図8のX−X断面の断面図である。
この実施の形態は、変調器と半導体レーザとを半導体基板上にモノリシックに集積し、変調器集積型半導体レーザ装置としてまとめたものである。
【0067】
図8において、80は変調器付半導体レーザ、82は変調器、84は分離領域、86は半導体レーザである。88は半導体レーザのコンタクト電極である。100は半導体レーザメサ部である。
変調器82,分離領域84及び半導体レーザ86の符号で図1及び図2と同じ符号は同一か又は相当のものであることを示す。また変調器82のII−II断面は図2に相当のものである。
【0068】
図9において、n−InP基板12と裏面電極36とは、変調器付半導体レーザ80全体で共用にされている。90は基板12上に形成されたストライプ状のn−InPからなるレーザ下クラッド層である。
【0069】
92はレーザ下クラッド層90上に形成された活性層で、n−InGaAsPのn側光閉込層、InGaAsP−MQW層、およびp−InGaAsPのp側光閉込層で構成されている。94は活性層92上に形成されたp−InPのレーザ第1上クラッド層である。98はp−InGaAsPの回折格子で、レーザ下クラッド層90と活性層92とレーザ第1上クラッド層94とさらに回折格子98を含めてリッジ状のレーザ光導波路96を構成している。
【0070】
レーザ光導波路96の両側は、変調器82と同じ半絶縁性半導体層であるFeドープInPの第1埋込層22がレーザ光導波路96の側面上のみならず基板12上に形成され、さらにこの第1埋込層22上にn−InPのホールトラップ層24とこのホールトラップ層24の上層に形成されたFeドープInPの第2埋込層26で埋め込まれている。この第1埋込層22とホールトラップ層24と第2埋込層26とで電流ブロック層27が形成されている。
【0071】
レーザ光導波路96および第2埋込層26の上には、変調器82と同じ第2上クラッド層18bがさらにその上にはコンタクト層28が形成されている。
レーザ光導波路96を中心とし、このレーザ光導波路96の両側に所定の幅を介して、コンタクト層28表面からホールトラップ層24を貫通し、第1埋込層22に至る深さを有する溝部5が配設され、この溝部5によりリッジ状のレーザ積層構造が形成されている。
【0072】
この溝部5により、レーザ積層構造と変調器の電極パッド4のパッド台座4bとの間でホールトラップ層24を切断することにより、ホールトラップ層24を経由して流れるリーク電流を防止する。
このレーザ積層構造を覆って、レーザ光導波路96の直上に開口102を有するSiO2膜32が設けられ、このSiO2膜32を介してレーザ積層構造上にコンタクト電極88が設けられている。このレーザ積層構造、 SiO2膜32及びコンタクト電極88により半導体レーザメサ部100が構成されている。
【0073】
次に図10において、変調器82と半導体レーザ86とは分離領域84で連続的に接続されている。すなわち変調器82と半導体レーザ86とは基板を共用にし、これらをバットジョイント法で接合する際の接合面106を介して連続している。
分離領域84は第2上クラッド層18bの途中まで堀込まれた分離溝104とSiO2膜32によって構成され、変調器メサ部3のコンタクト層28と半導体レーザメサ部100のコンタクト層28を切断し電気的に分離している。
また、第2埋込層26が無い構成では、この分離領域84で、半導体レーザメサ部100と変調器メサ部3とのホールトラップ層24を分断している。
【0074】
この実施の形態では回折格子98は活性層92に沿って第2上クラッド層18bに埋め込まれているが、レーザ下クラッド層90や基板12に埋め込まれる場合がある。
【0075】
次に変調器付半導体レーザ80の製造方法を説明する。
まずn−InP基板12の上にMOCVD法により、レーザ下クラッド層90としてのn−InP層、活性層92を構成するn−InGaAsP層、InGaAsP−MQW層、およびp−InGaAsP層、さらにレーザ第1上クラッド層94としてのp−InP層、及び回折格子98を形成するp−InGaAsP層、キャップ層としてp−InP層を順次結晶成長で積層する。
【0076】
このレーザ第1上クラッド層94としてのp−InP層の上にSiO2またはSiNなどの誘電体膜を形成し、回折格子98のp−InGaAsP層を含みレーザ光導波路96を形成するためのストライプ状の誘電体膜が残るように誘電体膜をエッチングし、このストライプ状の誘電体膜をマスクとして、変調器82が形成される領域を含む領域の積層を基板12が露呈するまでエッチングする。
次にストライプ状の誘電体膜を残したまま、バットジョイント法によるMOCVD法により、変調器82側の、下クラッド層14としてのn−InP層、光吸収層16としてのアンドープInGaAsP層、第1上クラッド層18aとしてのp−InP層を順次結晶成長により積層する。
【0077】
次に、ストライプ状の誘電体膜を除去し、回折格子98を形成するためにp−InGaAsP層を干渉露光法或いは電子ビーム露光法を用いて、格子状にエッチングし、回折格子98を形成する。この後全面にレーザ第1上クラッド層94としてのp−InP層を成長させる。
この後、改めてSiO2またはSiNなどの誘電体膜を形成し、幅が6〜7μmの、変調器82及び半導体レーザ86に重なる誘電体ストライプを形成する。
【0078】
この誘電体ストライプをマスクとして基板12が露呈するまで、HBrを用いたウエットエッチングを行い、変調器82と半導体レーザ86とに連続した幅が1〜2μmの光導波路のリッジ形成を行う。
次にこの誘電体ストライプを残した状態で、第1埋込層22としてのFeドープInP層、ホールトラップ層24としてのn−InP層、第2埋込層26としてのFeドープInP層をMOCVD法により結晶成長する。
ここで、第2埋込層26を用いないで電流ブロック層27を構成した場合には、高周波の漏れを防ぐため変調器82と半導体レーザ86のホールトラップ層24を分断するために分離領域84でホールトラップ層24をエッチングで除去する。
【0079】
この後、MOCVD法によって全面に第2上クラッド層18bしてのp−InP層、コンタクト層28としてのp+−InGaAs層を結晶成長する。
次いで、分離領域84に対応するコンタクト層28および第2上クラッド層18bの上面の一部をエッチングにより除去し、分離溝104を形成する。
次いで、コンタクト層28表面からホールトラップ層24を貫通し、第1埋込層22を残す深さの溝部5を形成し、変調器積層構造及び半導体レーザ積層構造を形成する。また同時に、変調器82の電極パッド4の積層構造をエッチングにより形成する。
【0080】
この後、全面に絶縁膜32をスパッタにより形成した後、変調器積層構造及び半導体レーザ積層構造上の電極コンタクト形成部分それぞれの絶縁膜32の一部を除去し開口30、開口102を形成する。
次いで表面にTi/Au膜及びAuメッキ層を形成し、変調器電極3aおよび半導体レーザのコンタクト電極88を形成する。
この後、基板12の裏面を基板厚みが100μm程度になるまで研削した後、裏面電極36を形成する。
【0081】
この説明では、まず半導体レーザ86の光導波路96を先に形成し、エッチングによって変調器82を形成する領域の積層を除去した後、バットジョイント法により後で変調器82の光導波路20の積層部分を形成するように説明したが、逆に変調器82の光導波路20を先に形成し、後にバットジョイント法により半導体レーザ86の光導波路96の積層部分を形成してもよい。
【0082】
次に変調器付半導体レーザ80の動作について説明する。
上記のように構成された変調器付半導体レーザ80は、半導体レーザのコンタクト電極88と裏面電極36との間に順バイアス電圧を印加し活性層92に電流を注入し、半導体レーザ86で発光させたレーザ光を分離領域84を介して変調器82に導く。
【0083】
変調器82には電極パッド4の引出電極4aを介して、変調器電極3aと裏面電極36との間にの間で逆バイアスの変調信号電圧を印加する。変調信号電圧が印加されると、光吸収層16に逆方向電界が印加され、フランツケルディッシュ効果或いは量子閉込めシュタルク効果により光の吸収係数が変化する。
【0084】
つまり逆バイアス電圧が印加されていない間は出力光L2が出射されるが、逆バイアス電圧が印加されている間はレーザ光は光吸収層16で吸収され、出力光L2として出射されない。このため逆バイアス電圧の信号電圧をオン・オフすることにより、出力光L2をオフ・オンすることができる。これにより電気信号が光信号に変換される。
【0085】
変調器付半導体レーザ80の遮断周波数は、変調器82の光変調の周波数特性、つまり変調器82のCR時定数により決定される。このCR時定数を小さくすること、すなわち変調器82の容量又は抵抗値を小さくすることにより、高い周波数の出力光を取り出すことができ、高密度の信号伝達を行うことができる。
【0086】
変調器82のCR時定数のうち、変調器82の容量について云えば、その容量は変調器メサ部3の容量と電極パッド4の容量と配線層6の容量の和となる。
電極パッド4の寸法はワイヤボンディングに必要な面積で決定され、変調器メサ部3の幅は光の浸み出しを少なくすること及び加工上の要請から、また変調器82の長さは光の吸収に必要な長さから決定される。
【0087】
また電極パッド4と変調器メサ部3との間隔はワイヤボンディングの際に変調器に損傷を与えないような寸法で規定されるので、電極パッド4と変調器メサ部3とを分離する溝部5を設け、積層構造でつながっているよりも容量を小さくしている。
【0088】
そしてこの実施の形態4においては、変調器82の溝部5の深さはコンタクト層28の表面からホールトラップ層24を貫通し、第1埋込層22を残した深さに設定されている。従ってこの溝部5上に形成される配線層6により形成される容量の誘電体層厚みは、SiO2膜32と第1埋込層22の合成厚みとなり、SiO2膜32のみの場合に比べて配線層6の容量が少なくなり、変調器2の出力光の遮断周波数を高くすることができる。延いては変調器付レーザ80の出力光の周波数を高くすることができ、信号伝達の高密度化を図ることができる。
【0089】
またこの実施の形態4においては、使用する変調器82として実施の形態1の変調器について説明したが、実施の形態2及び実施の形態3の変調器を使用しても同様の効果がある。この場合実施の形態3の変調器を使用する際に変調器82とともに半導体レーザ86のコンタクト層も、変調器82と同様に幅を狭くして延長しても良い。
【0090】
またこの実施の形態4においては、変調器82と半導体レーザ86とをモノリシックに集積した装置について説明したが、取付基板に実施の形態1乃至3の変調器を配設し、この変調器の吸収層に光が入射するように、半導体レーザを取付けて、変調器付半導体レーザ装置としても、信号伝達の高密度化が可能となることはいうまでもない。
【0091】
【発明の効果】
この発明に係る変調器および変調器付き半導体レーザ装置並びその製造方法は以上に説明したような構成又は工程を備えているので、以下のような効果を有する。
【0092】
この発明に係る変調器においては、第1の電極膜と第2の電極膜とを接続する配線層が変調器部から延在する第1の半絶縁性半導体層と絶縁体膜とを介して半導体基板の一主面上に配設されたので、電流ブロック層が第1の半絶縁性半導体層と第1導電型の第1の半導体層とを有する構成の変調器において、配線層の容量が小さくなり、変調器の遮断周波数が高くなり、周波数特性のよい変調器を構成できる。延いては高密度の信号伝達を行うことができる。
【0093】
さらに、変調器部の電流ブロック層が、第1の半導体層上に第2の半絶縁性半導体層を備えたことにより、電流ブロック層が第1の半絶縁性半導体層と第1導電型の第1の半導体層と第2の半絶縁性半導体層とを有する構成の変調器において、配線層の容量が小さくなり、変調器の遮断周波数が高くなり、周波数特性のよい変調器を構成できる。延いては高密度の信号伝達を行うことができる。
【0094】
さらに電極パッドの基台部が、変調器部の電流ブロック層と同じ積層構造を備えたので、変調器の構成が簡単になり、安価な変調器を構成することができる。またさらに第1の半絶縁性半導体層と第1の半導体層との間に、第1の半導体層よりもエッチング速度が小さい第2の半導体層をさらに備え、この第2の半導体層の上に配設された絶縁体膜を介して配線層が配設されたので、第1の半導体層を完全に除去された変調器を構成でき、駆動特性のよい変調器を得ることができる。
【0095】
また変調器部が、第1の電極膜と導波路との間にコンタクト層をさらに備え、このコンタクト層の幅が導波路とその両側に配設された電流ブロック層との幅より狭い構成としたので、変調器部の容量が小さくなり、変調器の遮断周波数が高くなり、周波数特性のよい変調器を構成できる。延いては高密度の信号伝達を行うことができる。
【0096】
またこの発明に係る変調器付き半導体レーザ装置は、変調器の第1の電極膜と第2の電極膜とを接続する配線層が、変調器部から延在する第1の半絶縁性半導体層と絶縁体膜とを介して半導体基板の一主面上に配設されたので、電流ブロック層が第1の半絶縁性半導体層と第1導電型の第1の半導体層とを有する構成の変調器において、変調器の配線層の容量が小さくなり、変調器の遮断周波数が高くなり、周波数特性の良い変調器付き半導体レーザ装置を構成できる。延いては高密度の信号伝達を行うことができる。
【0097】
また、変調器部の電流ブロック層を、第1の半導体層上にさらに第2の半絶縁性半導体層を備えたことにより、電流ブロック層が第1の半絶縁性半導体層と第1導電型の第1の半導体層と第2の半絶縁性半導体層とを有する構成の変調器を備えた変調器付き半導体レーザ装置において、配線層の容量が小さくなり、変調器の遮断周波数が高くなり、周波数特性の良い変調器付き半導体レーザ装置を構成できる。延いては高密度の信号伝達を行うことができる。
【0098】
さらに電極パッドの基台部が、変調器部の電流ブロック層と同じ積層構造を備えたもので、変調器の構成が簡単になり、安価な変調器付き半導体レーザ装置を構成することができる。
【0099】
またさらに第1の半絶縁性半導体層と第1の半導体層との間に、第1の半導体層よりもエッチング速度が小さい第2の半導体層をさらに備え、この第2の半導体層の上に配設された絶縁体膜を介して配線層が配設されたもので、第1の半導体層が完全に除去された変調器と半導体レーザとを構成でき、半導体レーザのリーク電流が少なく、駆動特性のよい変調器を備えた変調器付き半導体レーザ装置を得ることができる。
【0100】
また変調器が、第1の電極膜と光導波路との間にコンタクト層をさらに備え、このコンタクト層の幅が光導波路とその両側に配設された電流ブロック層との幅より狭い構成としたので、変調器の容量が小さくなり、変調器の遮断周波数が高くなり、周波数特性の良い変調器付き半導体レーザ装置を構成できる。延いては高密度の信号伝達を行うことができる。
【0101】
またこの発明に係る変調器の製造方法は、光導波路とその両側の電流ブロック層とを所定の形状に残し、第1の半絶縁性半導体層が露呈するまでエッチングし変調器積層構造を形成する工程と、半導体基板上の一部に変調器積層構造の側面を介して離隔された電極パッドの基台部を形成する工程と、光導波路の頂面に対向した開口を有する絶縁体膜を、変調器積層構造上及び露呈した第1の半絶縁性半導体層上に形成する工程と、絶縁体膜の開口を介して変調器積層構造上に第1の電極膜を形成するとともに電極パッドの基台部上に第2の電極膜を形成し第1の電極膜と第2の電極膜とを接続する配線層を形成する工程と、を含むので電流ブロック層が第1の半絶縁性半導体層と第1導電型の第1の半導体層とを備えた、高い遮断周波数を有する変調器を簡単な方法で製造することができ、延いては安価で周波数特性のよい変調器を提供できる。
【0102】
さらに、第1導電型の第1の半導体層を形成した後、第2の半絶縁性半導体層を埋め込み成長し電流ブロック層を形成するので、電流ブロック層が第1の半絶縁性半導体層と第1導電型の第1の半導体層と第2の半絶縁性半導体層とを備えた、高い遮断周波数を有する変調器を簡単な方法で製造することができ、延いては安価で周波数特性のよい変調器を提供できる。
【0103】
またこの発明に係る変調器付き半導体レーザ装置の製造方法は、光導波路とその両側の電流ブロック層とを所定の形状に残し、第1の半絶縁性半導体層が露呈するまでエッチングし変調器積層構造を形成する工程と、半導体基板上の一部に変調器積層構造の側面を介して離隔された電極パッドの基台部を形成する工程と、光導波路の頂面に対向した開口を有する絶縁体膜を、変調器積層構造上及び露呈した第1の半絶縁性半導体層上に形成する工程と、絶縁体膜の開口を介して変調器積層構造上に第1の電極膜を形成するとともに電極パッドの基台部上に第2の電極膜を形成し第1の電極膜と第2の電極膜とを接続する配線層を形成する工程とを含む変調器の製造工程及び半導体基板上に変調器積層構造の光導波路の延長方向に隣接して、光吸収層に接続される活性層を有する半導体レーザを形成する工程とを含むので、変調器の電流ブロック層が第1の半絶縁性半導体層と第1導電型の第1の半導体層とを備えた、高い周波数特性を有する変調器付き半導体レーザ装置を簡単な方法で製造することができ、延いては安価で周波数特性のよい変調器付き半導体レーザ装置を提供することができる。
【0104】
また、変調器の製造工程において、第1導電型の第1の半導体層を形成した後さらに第2の半絶縁性半導体層を埋め込み成長し電流ブロック層を形成するので、変調器の電流ブロック層が第1の半絶縁性半導体層と第1導電型の第1の半導体層と第2の半絶縁性半導体層とを備えた、高い周波数特性を有する変調器付き半導体レーザ装置を簡単な方法で製造することができ、延いては安価で周波数特性のよい変調器付き半導体レーザ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る変調器の斜視図である。
【図2】 図1のII−II断面の断面図である。
【図3】 この発明に係る変調器の製造工程を示す素子の断面図である。
【図4】 この発明に係る変調器の製造工程を示す素子の断面図である。
【図5】 この発明に係る変調器の一部断面図である。
【図6】 この発明に係る変調器の一部断面図である。
【図7】 この発明に係る変調器の一部断面図である。
【図8】 この発明に係る変調器付き半導体レーザ装置の斜視図である。
【図9】 図8のIX−IX断面の断面図である。
【図10】 図8のX−X断面の断面図である。
【図11】 従来の変調器の斜視図である。
【図12】 図11のXII−XII断面の断面図である。
【符号の説明】
12 半導体基板、 16 光吸収層、 20 光導波層、 22 第1埋込層、 24 ホールトラップ層、 27 電流ブロック層、 32SiO2膜、 3a 変調器電極、 3 変調器メサ部、 5 溝部、4b パッド台座、 4a 引出電極、 4 電極パッド、 6 配線層、 26 第2埋込層、 62 エッチング停止層、 72 コンタクト層、 92 活性層、 86 半導体レーザ

Claims (12)

  1. 第1導電型の半導体基板と、
    この半導体基板の一主面上に配設されるとともに、光吸収層を含みリッジ状に延長された光導波路、この光導波路の両側に配設され基板側から順次積層された第1の半絶縁性半導体層と第1導電型の第1の半導体層とを有する電流ブロック層、上記光導波路と上記電流ブロック層の上に形成されたクラッド層、及び上記光導波路の頂面に対向した開口を有する絶縁体膜を介して上記クラッド層上に配設された第1の電極膜、を有する変調器部と、
    この変調器部と溝部を介して離隔され上記半導体基板の一主面上に配設された基台部とこの基台部上に配設された第2の電極膜とを有する電極パッドと、
    上記変調器部から延在する第1の半絶縁性半導体層と上記絶縁体膜とを介して上記半導体基板の一主面上に配設されるとともに、上記第1の電極膜と第2の電極膜とを接続した配線層とを備え、
    上記変調器部は、上記第1の電極膜と上記クラッド層との間にコンタクト層を更に備え、このコンタクト層の幅が上記クラッド層の上面の幅より狭いことを特徴とする変調器。
  2. 変調器部の電流ブロック層が第1の半導体層上にさらに第2の半絶縁性半導体層を備えたことを特徴とする請求項1記載の変調器。
  3. 電極パッドの基台部が、変調器部の電流ブロック層と同じ積層構造を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の変調器。
  4. 第1の半絶縁性半導体層と第1の半導体層との間に、第1の半導体層よりもエッチング速度が小さい第2の半導体層をさらに備え、この第2の半導体層の上に配設された絶縁体膜を介して配線層が配設されたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の変調器。
  5. 第1導電型の半導体基板と、
    この半導体基板の一主面上に配設されるとともに、光吸収層を含みリッジ状に延長された光導波路、この光導波路の両側に配設され基板側から順次積層された第1の半絶縁性半導体層と第1導電型の第1の半導体層とを有する電流ブロック層、上記光導波路と上記電流ブロック層の上に形成されたクラッド層、及び上記光導波路の頂面に対向した開口を有する絶縁体膜を介して上記クラッド層上に配設された第1の電極膜、を有する変調器部と、
    この変調器部と溝部を介して離隔され上記半導体基板の一主面上に配設された基台部とこの基台部上に配設された第2の電極膜とを有する電極パッドと、
    上記変調器部から延在する第1の半絶縁性半導体層と上記絶縁体膜とを介して上記半導体基板の一主面上に配設されるとともに、上記第1の電極膜と第2の電極膜とを接続した配線層と、
    上記半導体基板の一主面上に、上記変調器部の光導波路の延長方向に隣接して配設されるとともに、上記光導波路の光吸収層に接続された活性層を有する半導体レーザ部とを備え、
    上記半導体レーザ部が光導波路を有し、該光導波路の両側に上記変調器部の電流ブロック層と同じ積層構造の電流ブロック層を備え、上記半導体レーザ部の電流ブロック層の第1の半導体層と上記変調器部の電流ブロック層の第1の半導体層とが所定の間隔を有し、
    上記変調器部は、上記第1の電極膜と上記クラッド層との間にコンタクト層を更に備え、このコンタクト層の幅が上記クラッド層の上面の幅より狭いことを特徴とする変調器付き半導体レーザ装置。
  6. 変調器部の電流ブロック層が第1の半導体層上にさらに第2の半絶縁性半導体層を備えたことを特徴とする請求項記載の変調器付き半導体レーザ装置。
  7. 電極パッドの基台部が、変調器部の電流ブロック層と同じ積層構造を備えたことを特徴とする請求項5または6に記載の変調器付き半導体レーザ装置。
  8. 第1の半絶縁性半導体層と第1の半導体層との間に、第1の半導体層よりもエッチング速度が小さい第2の半導体層をさらに備え、この第2の半導体層の上に配設された絶縁体膜を介して配線層が配設されたことを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1項に記載の変調器付き半導体レーザ装置。
  9. 第1導電型の半導体基板上に光吸収層と第2導電型のクラッド層とを積層したウエハ上に誘電体膜を形成し、この誘電体膜を帯状に形成し、この帯状の誘電体膜をマスクとして、光吸収層を越える深さにウエハをエッチングしリッジ状の光導波路を形成する第1の工程と、
    帯状の誘電体膜をマスクとして、光導波路の両側に第1の半絶縁性半導体層と第1導電型の第1の半導体層とを埋め込み成長し電流ブロック層を形成する第2の工程と、
    誘電体マスクを除去した後、光導波路とその両側の電流ブロック層とを所定の形状に残し、第1の半絶縁性半導体層が露呈するまでエッチングし変調器積層構造を形成する第3の工程と、
    半導体基板上の一部に変調器積層構造の側面を介して離隔された電極パッドの基台部を形成する第4の工程と、
    光導波路の頂面に対向した開口を有する絶縁体膜を、変調器積層構造上及び露呈した第1の半絶縁性半導体層上に形成する第5の工程と、
    絶縁体膜の開口を介して変調器積層構造上に第1の電極膜を形成するとともに電極パッドの基台部上に第2の電極膜を形成し、第1の電極膜と第2の電極膜とを接続する配線層を形成する第6の工程とを含み、
    上記第2の工程と上記第3の工程との間に、上記光導波路と上記電流ブロック層の上にクラッド層を形成する工程と、上記クラッド層の上に上記クラッド層の上面の幅より狭い幅のコンタクト層を形成する工程を含むことを特徴とする変調器の製造方法。
  10. 第2の工程において、第1導電型の第1の半導体層を形成した後さらに第2の半絶縁性半導体層を埋め込み成長し電流ブロック層を形成することを特徴とする請求項9記載の変調器の製造方法。
  11. 第1導電型の半導体基板上に光吸収層と第2導電型のクラッド層とを積層したウエハ上に誘電体膜を形成し、この誘電体膜を帯状に形成し、この帯状の誘電体膜をマスクとして、光吸収層を越える深さにウエハをエッチングしリッジ状の光導波路を形成する第1の工程と、
    帯状の誘電体膜をマスクとして、光導波路の両側に第1の半絶縁性半導体層と第1導電型の第1の半導体層とを埋め込み成長し電流ブロック層を形成する第2の工程と、
    誘電体マスクを除去した後、光導波路とその両側の電流ブロック層とを所定の形状に残し、第1の半絶縁性半導体層が露呈するまでエッチングし変調器積層構造を形成する第3の工程と、
    半導体基板上の一部に変調器積層構造の側面を介して離隔された電極パッドの基台部を形成する第4の工程と、
    光導波路の頂面に対向した開口を有する絶縁体膜を、変調器積層構造上及び露呈した第1の半絶縁性半導体層上に形成する第5の工程と、
    絶縁体膜の開口を介して変調器積層構造上に第1の電極膜を形成するとともに電極パッドの基台部上に第2の電極膜を形成し、第1の電極膜と第2の電極膜とを接続する配線層を形成する第6の工程と、
    上記半導体基板上に上記変調器積層構造の光導波路の延長方向に隣接して、上記光導波路の光吸収層に接続される活性層を有する半導体レーザを形成する第7の工程とを含み、
    上記第7の工程が、上記半導体レーザの有する光導波路の両側に、上記変調器部と同じ積層構造の電流ブロック層を、該電流ブロック層が有する第1の半導体層と上記変調器部の第1の半導体層とが所定の間隔を有するように形成する工程を含み、
    上記第2の工程と上記第3の工程との間に、上記光導波路と上記電流ブロック層の上にクラッド層を形成する工程と、上記クラッド層の上に上記クラッド層の上面の幅より狭い幅のコンタクト層を形成する工程を含むことを特徴とする変調器付き半導体レーザ装置の製造方法。
  12. 第2の工程において、第1導電型の第1の半導体層を形成した後さらに第2の半絶縁性半導体層を埋め込み成長し電流ブロック層を形成することを特徴とする請求項11記載の変調器付き半導体レーザ装置の製造方法。
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