JP3839337B2 - 非接触型icメディアおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非接触で情報の授受を行う非接触型ICメディアおよび その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、RF−ID(Radio Frequency Identification)と称される非接触型ICメディア(非接触型ICカード等)に関する技術が急速に進歩してきており、その使用も多岐にわたっている。このような非接触型ICメディアは、低コスト化が望まれており、一方で使用環境によって耐久性に優れていることが必要である。
【0003】
従来、非接触型ICメディアは、基材上に印刷工程等によりコイル状のアンテナが形成され、このアンテナの両端にICモジュール(ICベアチップ単体も含む)が実装されることで作製される。また、外部とのデータ授受の感度を良好とするためには、アンテナ部分の面積をできるだけ大きいことが望ましいことから、アンテナの形成にあたって複数回数を周回させる形状としている。そのため、ICモジュールを実装させるランド部の一方を上記アンテナ部分で回避させて導く短絡ラインを形成する必要から、当該アンテナ部分と短絡ラインとの間に絶縁性部材を介在させている。すなわち、従来の非接触型ICメディアは、アンテナを形成し、所定部分に絶縁性部材を形成し、さらに絶縁性部材上に短絡ラインを形成し、そしてICモジュールを実装させて作製するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の非接触型ICメディアの作製では、加熱や圧力印加の工程が含まれることから、使用される基材や導電性インキが加熱や圧力に耐え得るものが必要となって、コスト高を招くという問題がある。また、作製された非接触型ICメディアの使用環境、例えば航空荷物用荷札として使用されるエアバッゲージICタグで使用される場合には物理的、機械的ストレスが加わる場合もあり、ICタグとしての機能を損なう場合があるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、低コスト化を図ると共に、耐久性を向上させる非接触型ICメディアおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、アンテナ部が形成され、ICモジュールが実装されたRF−IDモジュールを備え、使用時にループ状とされる非接触型ICメディアであって、前記ICモジュールに記憶された情報と関連する情報が所定の印字手段により印字される単一シートの情報表示シートと、前記情報表示シートと粘着剤により積層される単一のシートで、水分の透過困難な基材シートと、前記情報表示シートと前記基材シートとの間に介在され、少なくとも前記アンテナ部が剥離性の樹脂がコーティングされた剥離機能シートの平面上に形成されて当該情報表示シートまたは基材シートに前記粘着剤で転写されることにより前記RF−IDモジュールを構成する転写RF−IDモジュールと、を有する構成とする。
【0007】
請求項2〜4の発明では、「請求項1記載の非接触型ICメディアであって、前記水分の透過困難な基材シートは、樹脂ワニスが含浸されている」構成であり、
「前記基材シートにおける前記情報表示シート側の面の裏面に、粘着剤を介して剥離シートが設けられる」構成であり、
「前記ICモジュールに記憶され、前記情報表示シートに印字される情報は、少なくとも荷物託送の情報である」構成である。
【0008】
請求項5の発明では、アンテナ部が形成され、アンテナ部が形成され、ICモジュールが実装されたRF−IDモジュールを備え、使用時にループ状とされる非接触型ICメディアの製造方法であって、被形成物が剥離自在な剥離性の樹脂がコーティングされた剥離機能シートの平面上に、前記導電性インキにより前記アンテナ部が形成される工程と、前記アンテナ部に前記ICモジュールが実装されることで前記RF−IDモジュールが形成される工程と、少なくとも一方面に粘着剤が塗布された単一のシートで水分の透過困難な基材シート、または前記ICモジュールに記憶された情報と関連する情報が所定の印字手段で印字される粘着剤が塗布された単一シートの情報表示シートで構成される転写シートに、前記RF−IDモジュールを当該粘着剤で接着させることで前記剥離機能シートより剥離させて転写させる工程と、前記転写シート上であって、前記RF−IDモジュールが転写された側に、前記転写シートが前記基材シートの場合には前記情報表示シート、または前記転写シートが前記情報表示シートの場合には前記基材シートを接着させる工程と、を含む構成とする。
【0009】
請求項6の発明では、アンテナ部が形成され、アンテナ部が形成され、ICモジュールが実装されたRF−IDモジュールを備え、使用時にループ状とされる非接触型ICメディアの製造方法であって、被形成物が剥離自在な剥離性の樹脂がコーティングされた剥離機能シートの平面上に、前記導電性インキにより前記アンテナ部が形成される工程と、少なくとも一方面に粘着剤が塗布された単一のシートで水分の透過困難な基材シート、または前記ICモジュールに記憶された情報と関連する情報が所定の印字手段で印字される粘着剤が塗布された単一シートの情報表示シートで構成される転写シートに、前記アンテナ部を当該粘着剤で接着させることで前記剥離機能シートより剥離させて転写させる工程と、前記転写シート上で、転写された前記アンテナ部に前記ICモジュールが実装されることで前記RF−IDモジュールが形成される工程と、前記転写シート上であって、前記RF−IDモジュールが転写された側に、前記転写シートが前記基材シートの場合には前記情報表示シート、または前記転写シートが前記情報表示シートの場合には前記基材シートを接着させる工程と、を含む構成とする。
【0010】
請求項7、8の発明では、「前記基材シートは、前記粘着剤が塗布された面の裏面に、さらに粘着剤を介して剥離シートが接着されている」構成であり、
「前記ICモジュールに記憶され、前記情報表示シートに印字される情報は、少なくとも荷物託送の情報である」構成である。
【0011】
このように、アンテナ部およびICモジュールを有して使用時にループ状とされる非接触ICメディアであって、剥離性の樹脂がコーティングされた剥離機能シートの平面上に形成された転写RF−IDモジュールが、単一シートの情報表示シートと単一のシートで水分の透過困難な基材シートとの間の何れかに転写によって介在させる。すなわち、少なくとも情報表示シートと基材シートとにより物理的、機械的ストレスに対して強度が増して耐久性を向上させることが可能となる。また、少なくともアンテナ部を剥離機能シート上に形成し、転写シートに転写させることで作製する。すなわち、製造工程における加熱や圧力印加の工程を剥離機能シート上で行わせることから、使用される基材が加熱や圧力を考慮せずともよく、低コスト化を図ることが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図により説明する。本実施形態では、非接触型ICメディアとして、非接触型のICタグに適用した場合を示すが、これに限らず、非接触でデータ授受によってデータの記憶、消去可能なICモジュールを備えたカード、ラベル、フォーム、葉書、封筒とにも適用することができるものである。
【0013】
図1に、本発明にかかる非接触型ICメディアの構成図を示す。図1(A)は一例としての非接触型ICタグとしての非接触型ICメディアの縦側断面図、図1(B)は搭載されるRF−IDモジュールの構成図である。図1(A)において、非接触型ICメディア11は、情報表示シートである感熱シート12、RF−IDモジュール13、両面粘着シート14および剥離シート15が積層されて構成される。両面粘着シート14は、基材シート21の両面に粘着剤22,23が塗布されているもので、粘着剤22にRF−IDモジュール13が接着されて感熱シート12との間に介在された状態とされる。
【0014】
また、両面粘着シート14における基材シート21であって、感熱シート12側の面の裏面に粘着剤23を介して剥離シート15が貼着されて設けられる。この両面粘着シート14に剥離シート15が設けられた形態が後述の転写シートとなる。なお、片面粘着シートを使用する場合として、後に粘着剤を介して剥離シートが設けられ場合には、当該片面粘着シートが後述の転写シートとなる。
【0015】
上記感熱シート12は、後述のICモジュールに記憶された情報と関連する情報が感熱印字手段により印字されるもので、紙、樹脂フィルム等の基材上に感熱発色層が形成されたものである。なお、情報表示シートとして、上記感熱シート12の他に、紙やフィルム等を使用することも可能であり、この場合には印字手段として例えばインクジェットプリンタで情報印字を行えばよい。
【0016】
上記両面粘着シート14における基材シート21は、例えばポリエステルなどの樹脂基材、不織布、各種の無機または有機の繊維(ガラス繊維、アルミナ繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊等)で形成される織布、紙、またはこれらを組み合わせたシートや、またはこれらのシートに樹脂ワニスを含浸させて成形した複合基材のシート等で形成される。この基材シート21を、特に水分を透過しにくい材料とすることで、メディア全体としての耐久性を向上させることができるものである。粘着剤22,23は、公知の粘着剤で十分であり、最終的な製品形態となったときに接着されるものが使用される。
【0017】
上記剥離シート15は、そのシート基材として紙が経済上最も好ましいが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートのようなポリエステルフィルムや、公知の樹脂フィルムが使用される。これらは、両面粘着シート14の基材シート21の粘着剤23と粘着されることから、後に剥離しやすく、またRF−IDモジュール14形成に支障のないように、表面にシリコーン剤等のような剥離剤が塗布される。
【0018】
上記RF−IDモジュール13は、図1(B)に示されるように、導電性インキによりアンテナ部31が形成され、ICモジュール32が実装されたものである。アンテナ部31は、一例として平面コイル状に所定数巻回させたアンテナパターンであり、その両端がランド部31A,31Bとなる。このランド部31Aから内側方向のアンテナパターン上に絶縁剤層33が形成され、当該ランド部31Aより絶縁剤層33上を経由して短絡ライン34が形成される。この短絡ライン34の端部がランド部35となる。
【0019】
すなわち、上記アンテナパターン(ランド部31A,31Bを含む)、絶縁剤層33、短絡ライン34およびランド部35で上記アンテナ部31が構成される。アンテナパターンは、使用されるICモジュールや非接触ICメディアとしての使用形態に応じて適宜設計されるものであり、ランド部31A,31B間の距離がICモジュール32の端子間距離に合致したり、1回のみの周回である場合等の設計されるパターンによっては絶縁剤層33および短絡ライン34(ランド部35)を省略することができる。
【0020】
上記アンテナ部31は、導電性インキを用いて例えばスクリーン印刷により上記アンテナパターン、短絡ライン34およびランド部35が形成され、絶縁性部材(絶縁性インキ)を用いて例えば上記同様のスクリーン印刷により絶縁剤層33が形成される。この導電性インキは、印刷後に熱、赤外線、紫外線、電子線等により固化されるもので、例えば、アサヒ化学研究所製LS−411AW(商品名)、藤倉化成製FA−353(商品名)、東洋紡績製DWP−026(商品名)を使用することができる。なお、絶縁剤層33の形成として、絶縁フィルムや紙類または絶縁テープ類を対応のアンテナパターン上に貼着させることとしてもよい。
【0021】
そして、ランド部31Bとランド部35と間にICモジュール(構成は図7で示す)32が少なくとも密着状態で電気的に接続されることで実装される。密着状態とさせる方法として、各ランド部31B,35とICモジュール32の端子間に異方性導電フィルム、異方性導電ペースト、絶縁樹脂、両面接着テープ等を介在させる方法がある。これらを塗布する方法としては、ディスペンス法、印刷法、スプレイ法等があるが、異方性導電ペーストや絶縁樹脂を用いる場合にはディスペンス法で塗布させることが好ましい。
【0022】
一方、ICモジュール32の接続端子部分は、必要に応じて金属電解メッキ、スタッド、無電解金属メッキ、導電性樹脂の固定化などによるバンプが形成される。このICモジュール32の実装の際には、必要な圧力を加えることとしてもよく、また接着テープによる実装する場合としてその材料に応じて熱、光、電磁波、超音波等のエネルギを加えることとしてもよい。また、実装後の接着部分の固定化を十分とさせるために後硬化を行ってもよい。なお、実装されたICモジュール32を保護するために、当該実装部分全体または一部分をグローブトップ材やアンダーフィル材で被覆保護してもよい。
【0023】
そこで、図2に、図1の非接触型ICメディア製造の概念図を示す。図2は、非接触ICメディア製造システム41を示したもので、剥離機能シート42が例えばエンドレスで搬送される。この剥離機能シート42は、樹脂フィルムや不織布上にフッ素樹脂基材、フッ素樹脂、シリコーン等の剥離性部材をコーティングしたものや、不織布、各種の無機または有機の繊維(ガラス繊維、アルミナ繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊等)で形成される織布、紙、またはこれらを組み合わせたシート上に剥離性の樹脂をコーティングしたものが適宜使用される。上記RF−IDモジュール13のアンテナ部31を高温処理すると導電性を向上させることができることを考慮すれば、剥離機能シート42のシート基材を、耐熱性を有するフッ素樹脂基材、シリコーンコートポリイミド基材、フッ素樹脂含有ガラス布を使用することが望ましい。この剥離機能シート42は、転写後にまた新たなアンテナ部31を形成することができ、低コスト化に貢献している。
【0024】
上記搬送される剥離機能シート42の上方には、搬送方向順に、導電性インキ印刷手段43、固化手段(ここでは加熱とする)44、絶縁性インキ印刷手段45、固化手段(ここでは加熱とする)46、導電性インキ印刷手段47、固化手段(ここでは加熱とする)48が配置される。導電性インキ印刷手段43は、上記アンテナパターンを上記導電性インキにより印刷して形成させるためのものであり、固化手段44は印刷されたアンテナパターンを加熱して固化するためのものである。
【0025】
また、絶縁性インキ印刷手段45は、アンテナパターンの所定部分上に上記絶縁剤層33を絶縁性インキにより印刷して形成させるためのものであり、固化手段46は印刷された絶縁剤層33を加熱して固化させるためのものである。さらに、導電性インキ印刷手段47は、上記絶縁剤層33上に短絡ライン34(ランド部35)を上記導電性インキにより印刷して形成させるためのものであり、固化手段48は印刷された短絡ライン34(ランド部35)を加熱して固化するためのものである。
【0026】
また、搬送される剥離機能シート42の上方であって、固化手段48の搬送方向後方にICモジュール実装手段49が配置される。このICモジュール実装手段49は、上記ICモジュール32の実装の方法に応じたもので、例えばその接続端子をバンプとした場合には当該ICモジュール32をアンテナ部31のランド部31Bと短絡ライン34のランド部35上に押圧して電気的接続させることで実装するものである。なお、上述のように、ICモジュール32が実装されたRF−IDモジュール13上に保護皮膜を形成させる場合には、当該ICモジュール実装手段49の後段にさらに、保護皮膜材印刷手段および固化手段が適宜配置される。
【0027】
一方、上記転写シート(両面粘着シート14および剥離シート15)の連続体が、上記搬送される剥離機能シート42の搬送方向端部部分で重なるように転写シート連続体供給部50より供給されるもので、RF−IDモジュール13の転写後に感熱シート12の連続体が当該転写側に重なるように感熱シート連続体供給部51より供給される。そして、感熱シート12が重ね接着された非接触型ICメディア11の連続体を非接触型ICメディア連続体収納部52により巻取収納させる構成である。
【0028】
そこで、図3に図1の非接触型ICメディア製造のフローチャートを示すと共に、図4および図5に図3の非接触型ICメディア製造における各段階の説明図を示す。なお、図4および図5は単体のまたは一部分として図示してある。図3において、まず、図4(A)に示す剥離機能シート42上に、上記導電性インキ印刷手段43により、図4(B)に示すようなアンテナ部31の一部を構成するアンテナパターン(ランド部31A,31B)が印刷され、固化手段44により固化される(ステップ(S)1)。
【0029】
続いて、上記絶縁性インキ印刷手段45により、図4(C)に示すようなアンテナ部31の一部を構成する絶縁剤層33が上記アンテナパターンの所定部分上に印刷され、固化手段46により固化する(S2)。また、上記導電性インキ印刷手段47により、図4(D)に示すような短絡ライン34およびランド部35が印刷され、固化手段48により固化する(S3)。これによりアンテナ部31が形成されたことになる。そして、図4(E)に示すように、ICモジュール実装手段49において形成されたアンテナ部31のランド部31B,35間にICモジュール32を実装することによりRF−IDモジュール13が形成される(S4)。
【0030】
続いて、図5(A)に示すような剥離機能シート42上に形成されたRF−IDモジュール13を、転写シート連続体供給部50より供給される転写シート(14,15)の粘着剤層22に接着させることで、図5(B)に示しように、当該RF−IDモジュール13を剥離機能シート42上より剥離させて当該転写シート(14,15)に転写させる(S5)。そして、図5(C)に示すように、上記RF−IDモジュール(転写RF−IDモジュール)13が転写された側の転写シート(14,15)上に、感熱シート連続体供給部51より供給される感熱シート12を重ね合わせることにより接着させて非接触型ICメディア11の連続体とし、非接触型ICメディア連続体収納部52に巻き取るものである(S6)。その後、使用形態に合わせて、非接触型ICメディア11は単一毎あるいは所定の複数毎に切断されるものである。
【0031】
上記のように、アンテナ部31を剥離機能シート42上に形成し、転写シート(14,15)に転写させることで作製することから、製造工程における加熱や圧力印加の工程を剥離機能シート上で行わせることができ、使用される転写シート(14,15)、感熱シート12が加熱や圧力を考慮せずともよく、低コスト化を図ることができる。そして、このように作製された非接触型ICメディア11は、転写シート(14,15)および感熱シート12により、物理的、機械的ストレスに対して強度が増して耐久性を向上させることができるものである。
【0032】
なお、上記実施形態では、ICモジュール32の実装を転写シート(14,15)による転写前に行わせた場合を示しているが、転写後であって感熱シート12の重ね合わせ前に実装してもよい。この場合、ICモジュール32の実装を、上記の方法以外に、上記両面粘着シート14の粘着剤22の粘着性を利用して固定化することも可能である。
【0033】
一方、上記実施形態における非接触ICメディア11を製造するに際して、図2における転写シート連続体供給部50より、一方面に粘着剤が塗布された感熱シート12を供給することとして転写させ、上記感熱シート連続体供給部51に替えて、剥離シート15が適宜接着された基材シート21の連続体供給部として当該基材シート21を供給させることとしてもよい。この場合、ICモジュール32の実装は転写前に行うのが好ましい。
【0034】
次に、図6に、本発明にかかる非接触型ICメディアの一使用例の説明図を示す。図6(A)に示す非接触型ICメディア11は、例えば空港での搭乗の際の託送荷物や乗船の際の託送荷物に取り付けられるバッゲージICタグとして上記のように作製されたものである。このような非接触型ICメディア11は、内包されるRF−IDモジュール13に記憶された託送荷物に関する情報のうち、例えば行き先、便数、搭乗者番号等が感熱プリンタにより感熱シート12上に印字される。そして、当該非接触型ICメディア11より剥離シート15が剥離され、対象の託送荷物にループ状とさせて粘着剤23同士を接着させて取り付けるものである。
【0035】
そこで、図7に、本発明にかかる非接触型ICメディアを使用するためのリーダライタのブロック構成図を示す。図7に示すリーダライタ61は、非接触型ICメディア(バッゲージICタグ)11のRF−IDモジュール13に対して託送荷物に関する情報を記憶させ、少なくとも搬送途中に当該RF−IDモジュール13に記憶されている所定の情報を読み込むものである。また、リーダライタ61は、印字手段62および入力手段63と接続される。
【0036】
ここで、非接触型ICメディア(バッゲージICタグ)11は、処理部71、メモリ72および復調部73で構成されるICモジュール32と、アンテナ部31により構成される。アンテナ部31は、上述のように平面上でコイル状に巻回されたもので、リーダライタ61からの信号を受信し、または当該非接触型ICメディア(バッゲージICタグ)11よりリーダライタ61にデータを送信する役割をなす。
【0037】
上記ICモジュール32において、メモリ72は当該カードとしての種々の情報を記憶するためのものである。上記復調部73は、アンテナ部31で受信した電波から制御信号、データを復調し、適宜コード変換する。そして、処理部71は、プログラムにより、受信した制御信号、データをメモリ72に記憶させ、またメモリに記憶したデータを送信する処理を行う。
【0038】
リーダライタ61は、制御部81およびデータメモリ82を備え、データ変換部83、変調部84、発信部85、電力増幅部86、検波部87、アンテナ88、表示部89およびインターフェース(IF)部90を備える。上記制御部81は、このリーダライタ61の全体を統括制御するもので、これに応じたプログラムがセットされている。上記データメモリ83は、入力された託送荷物に関する種々のデータを記憶する。上記種々のデータには、例えば、荷物所有者の氏名、住所、電話番号、搭乗者番号、搭乗便名、行き先、座席番号等がある。
【0039】
上記データ変換部83は、当該非接触型ICメディア(バッゲージICタグ)11に対して情報を送信する場合の情報を例えば「1」、「0」に変換し、また当該当該非接触型ICメディア(バッゲージICタグ)11からの送信データを例えば「1」、「0」に変換する。上記変調部84は、発信部85からの発信出力に基づいて上記データ変換部83で変換された情報を例えばFSK(周波数偏位変調)変調波に変調する。上記電力増幅部86は、変調部84で変調された変調波を電力増幅するもので、この増幅された変調波がアンテナ88より送信されるものである。そして、検波部87は、アンテナ88で受信した当該非接触型ICメディア(バッゲージICタグ)11からの送信電波を検波して復調する。
【0040】
そして、表示部89は、適宜設けられるもので、取り扱うデータの表示を行う。また、IF部90は、印字部62に対して印字データを送信し、また入力手段63より入力データを取得する役割をなすものである。
【0041】
上記リーダライタ61は、例えば対象の非接触型ICメディア(バッゲージICタグ)11との通信と印字部62による印字とが同一ライン上で行うものとすると、まず、入力手段63より託送荷物に関する上記の荷物所有者の氏名、住所、電話番号、搭乗者番号、搭乗便名、行き先、座席番号等のデータが入力されることでデータメモリ82に記憶する。そして、当該記憶したデータのうち、所定のデータ(例えば搭乗者番号、搭乗便名、行き先)を非接触型ICメディア(バッゲージICタグ)11に送信してメモリ72に記憶させ、印字部62にも同様のデータを出力して当該非接触型ICメディア(バッゲージICタグ)11の感熱シート12部分に当該行き先、搭乗便名、搭乗者番号の印字を行わせるものである(図6参照)。
【0042】
このように、バッゲージICタグで使用される機械的、物理的ストレスの受けやすい環境であっても、感熱シート12や両面粘着シート(転写シート)14の基材シート21で強度を増すことができ、耐久性を向上させることができるものである。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、アンテナ部およびICモジュールを有して使用時にループ状とされる非接触ICメディアであって、剥離性の樹脂がコーティングされた剥離機能シートの平面上に形成された転写RF−IDモジュールが、単一シートの情報表示シートと単一のシートで水分の透過困難な基材シートとの間の何れかに転写によって介在させる構成とすることにより、物理的、機械的ストレスに対して強度が増して耐久性を向上させることができるものである。また、少なくともアンテナ部を剥離機能シート上に形成し、転写シートに転写させることで製造工程における加熱や圧力印加の工程を剥離機能シート上で行わせることにより、使用される基材が加熱や圧力を考慮せずともよく、低コスト化を図ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる非接触型ICメディアの構成図である。
【図2】図1の非接触型ICメディア製造の概念図である。
【図3】図1の非接触型ICメディア製造のフローチャートである。
【図4】図3の非接触型ICメディア製造における各段階の説明図(1)である。
【図5】図3の非接触型ICメディア製造における各段階の説明図(2)である。
【図6】本発明にかかる非接触型ICメディアの一使用例の説明図である。
【図7】本発明にかかる非接触型ICメディアを使用するためのリーダライタのブロック構成図である。
【符号の説明】
11 非接触型ICメディア
12 感熱シート
13 RF−IDモジュール
14 両面粘着シート
15 剥離シート
21 基材シート
31 アンテナ部
32 ICモジュール
33 絶縁剤層
34 短絡ライン
41 非接触型ICメディア製造システム
42 剥離機能シート
43,47 導電性インキ印刷手段
44,46,48 固化手段
45 絶縁性インキ印刷手段
49 ICモジュール実装手段
50 転写シート連続体供給部
51 感熱シート連続体供給部
52 非接触型ICメディア連続体収納部
61 リーダライタ
Claims (8)
- アンテナ部が形成され、ICモジュールが実装されたRF−IDモジュールを備え、使用時にループ状とされる非接触型ICメディアであって、
前記ICモジュールに記憶された情報と関連する情報が所定の印字手段により印字される単一シートの情報表示シートと、
前記情報表示シートと粘着剤により積層される単一のシートで、水分の透過困難な基材シートと、
前記情報表示シートと前記基材シートとの間に介在され、少なくとも前記アンテナ部が剥離性の樹脂がコーティングされた剥離機能シートの平面上に形成されて当該情報表示シートまたは基材シートに前記粘着剤で転写されることにより前記RF−IDモジュールを構成する転写RF−IDモジュールと、
を有することを特徴とする非接触型ICメディア。 - 請求項1記載の非接触型ICメディアであって、前記水分の透過困難な基材シートは、樹脂ワニスが含浸されていることを特徴とする非接触型ICメディア。
- 請求項1または2記載の非接触型ICメディアであって、前記基材シートにおける前記情報表示シート側の面の裏面に、粘着剤を介して剥離シートが設けられることを特徴とする非接触型ICメディア。
- 請求項1〜3の少なくとも何れかに記載の非接触型ICメディアであって、前記ICモジュールに記憶され、前記情報表示シートに印字される情報は、少なくとも荷物託送の情報であることを特徴とする非接触型ICメディア。
- アンテナ部が形成され、ICモジュールが実装されたRF−IDモジュールを備え、使用時にループ状とされる非接触型ICメディアの製造方法であって、
被形成物が剥離自在な剥離性の樹脂がコーティングされた剥離機能シートの平面上に、前記導電性インキにより前記アンテナ部が形成される工程と、
前記アンテナ部に前記ICモジュールが実装されることで前記RF−IDモジュールが形成される工程と、
少なくとも一方面に粘着剤が塗布された単一のシートで水分の透過困難な基材シート、または前記ICモジュールに記憶された情報と関連する情報が所定の印字手段で印字される粘着剤が塗布された単一シートの情報表示シートで構成される転写シートに、前記RF−IDモジュールを当該粘着剤で接着させることで前記剥離機能シートより剥離させて転写させる工程と、
前記転写シート上であって、前記RF−IDモジュールが転写された側に、前記転写シートが前記基材シートの場合には前記情報表示シート、または前記転写シートが前記情報表示シートの場合には前記基材シートを接着させる工程と、
を含むことを特徴とする非接触型ICメディアの製造方法。 - アンテナ部が形成され、ICモジュールが実装されたRF−IDモジュールを備え、使用時にループ状とされる非接触型ICメディアの製造方法であって、
被形成物が剥離自在な剥離性の樹脂がコーティングされた剥離機能シートの平面上に、前記導電性インキにより前記アンテナ部が形成される工程と、
少なくとも一方面に粘着剤が塗布された単一のシートで水分の透過困難な基材シート、または前記ICモジュールに記憶された情報と関連する情報が所定の印字手段で印字される粘着剤が塗布された単一シートの情報表示シートで構成される転写シートに、前記アンテナ部を当該粘着剤で接着させることで前記剥離機能シートより剥離させて転写させる工程と、
前記転写シート上で、転写された前記アンテナ部に前記ICモジュールが実装されることで前記RF−IDモジュールが形成される工程と、
前記転写シート上であって、前記RF−IDモジュールが転写された側に、前記転写シートが前記基材シートの場合には前記情報表示シート、または前記転写シートが前記情報表示シートの場合には前記基材シートを接着させる工程と、
を含むことを特徴とする非接触型ICメディアの製造方法。 - 請求項5または6記載の非接触型ICメディアの製造方法であって、前記基材シートは、前記粘着剤が塗布された面の裏面に、さらに粘着剤を介して剥離シートが接着されていることを特徴とする非接触型ICメディアの製造方法。
- 請求項5〜7の少なくとも何れかに記載の非接触型ICメディア製造方法であって、前記ICモジュールに記憶され、前記情報表示シートに印字される情報は、少なくとも荷物託送の情報であることを特徴とする非接触型ICメディアの製造方法。
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