JP3837955B2 - 体液吸収材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、下着の内面に敷いておりもの等の体液を吸収するようにした体液吸収材に関する。より詳細には、体調に応じて微妙に変動する体液のpH変化を検知することによって健康状態を目視的に判定可能とした、pH検出機能を備えた体液吸収材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、おりもの、経血、汗あるいは尿その他の体液を吸収させるため、体液吸収材が用いられている。体液の中でも特におりもののpHは、生理周期、トリコモナスなどの感染症、更年期、妊娠時の破水等の体調変化により変動するため、該pHの変化を測定することによって、健康状態や体調などを判定することができる。
【0003】
本出願人は、上記体調に伴うおりもののpH変化に着目して、体液吸収材を使用する本人自らが健康状態や体調を簡便にチェックできるように、pH検出機能を備えた体液吸収材を既に開発している(特開平8−71101号公報)。当該体液吸収材は、pHの変化によって変色するニトラジンイエローを吸収体表面に付着させておき、体液で濡れて呈色する該色素の変色具合を吸収材の表面から確認して、健康状態を判定するものである。当該色素は、体液吸収材上において、pH4〜6域で黄色〜青色に変色するものであり、加温加湿下(40℃、75%)並びに光曝露下での経時的変化を受けにくく、また人体に対しても極めて安全性が高いという長所を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、体調の変動によるおりもののpH変化は極めて微妙で、通常pH5前後を境として、健康であるか、または体調不良若しくは病的状態にあるかを診断することができるのではないかと考えられている。
【0005】
前述する体液吸収材に用いられるニトラジンイエローは、体液吸収材上においてpH4で黄色に、pH5で黄緑色に、またpH6で青色にそれぞれ変色するためpH4〜6間における変色度(色差)は明瞭であるが、pH5前後における変色度(色差)は黄色〜黄緑色と比較的曖昧であり、上記のように体調の微妙な変化を正確に判断するには必ずしも十分でない。とりわけ、おりものが少量の場合は、この色差の不明瞭さは診断誤差を招きかねず、早急の解決が待たれていた。
【0006】
本発明は、かかる従来技術の課題を解決するものであり、具体的にはおりもののpH5前後の微妙な変化を明瞭な色差でもって正確に検知することによって、健康状態や体調を目視的に簡便に且つ正確に判断できる体液吸収材を提供することを目的とするものである。
【0007】
さらに本発明は、体液吸収材の色素含有面に体液が効率的に到達するように工夫することによって、おりものが少量の場合でも鋭敏に変色が検出でき、健康状態や体調を正確に判断できる体液吸収材を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記従来技術の問題点に鑑み鋭意検討を重ねたところ、クロルフェノールレッド等の色素は、体液吸収材等の基材上に付着ないしは担持させることによりpHの変化に応じて鋭敏に変色し、とりわけpH4.5で呈する色とpH5.5で呈する色との色差がマンセル色相環(20分割)において4以上と、pH5前後の変色の度合いが極めて大きく、該色素を体液接触部に備えた体液吸収材によれば、おりもの等の体液の微妙なpH変化を敏感に検知して明確な色差でもって、正確に健康状態を判断できることを確認した。
【0009】
さらに本発明者は、上記色素を体液吸収材の吸収体表面に付着させ、その表面を更に例えば繊維構造物からなる表面材で覆った体液吸収材において、該表面材の両面を撥水処理することにより、おりもの等の体液が少量の場合であっても、表面材の繊維内部への浸透並びに横滲みを防止して、表面材(繊維構造物)の孔を通じて効率よく吸収体表面上の色素に到達させることができ、その結果、少量の体液でも速やか且つ鋭敏にpH変化を敏感に検知して、正確に健康状態を判断できることを見いだした。
【0010】
本発明は、かかる知見に基づいて開発されたものである。
【0011】
すなわち、本発明は、pH4.5〜5.5間で変色する色素を備えた体液吸収材であって、体液吸収材上での上記pH間の色差がマンセル色相環(20分割)において4以上である色素を用いることを特徴とする体液吸収材である。
【0012】
なお本発明の態様には、下記の態様が含まれる。
(1)体液吸収材上でのpH4.8〜5.3間の色差がマンセル色相環(20分割)において4以上である色素を用いることを特徴とする上記体液吸収材。
(2)体液吸収材でのpH4.8〜5.3間の色差がマンセル色相環(20分割)において6以上である色素を用いることを特徴とする上記体液吸収材。
(3)色素がクロルフェノールレッドである上記体液吸収材。
(4)pH4.8〜5.3間で変色する色素を備えた体液吸収材であって、体液吸収材上での上記pH間の色差がマンセル色相環( 20 分割)において6以上である色素としてクロルフェノールレッドを備え、おりもののpH5前後の微妙な変化を敏感に検知することのできる上記体液吸収材。
(5)少なくとも表面材と吸収体の積層構造を有する体液吸収材であって、該表面材と該吸収体との間に色素を備えることを特徴とする上記体液吸収材。
(6)表面材が両面撥水処理された繊維構造物である上記体液吸収材。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる色素は、体液吸収材等の基材に付着もしくは担持された状態で、pH4.5〜5.5間で変色し、該pH間の色差がマンセル色相環(20分割)において4以上のものである。
【0014】
マンセル色相環とは、マンセル表色系で採用される色相表示環であり、これは色相を、5つの主要色相:赤(R)、黄(Y)、緑(G)、青(B)及び(紫)とそれぞれの中間の色相:黄赤(YR)、緑黄(GY)、青緑(BG)、紫青(PB)及び赤紫(RP)を加えて基本10分割とし、この基本10分割をさらに等間隔に10分割して、1から10の数字を付けて10RP,1R,2R,3R,4R,・・・,9R,10R,1YR,2YR,というように表したものである(100分割)。本発明においては、5つの主要色相を20分割に等間隔で分割した表示系の色相環、すなわち図1に示すように、時計回り方向に、1:5Y(「黄」純粋なY)、2:10Y(「黄」Y:C=10:3)、3:5GY(「緑黄」Y:C=10:6)、4:10GY(「緑黄」Y:C=10:9)、5:5G(「緑」Y:C=8:10)、6:10G(「緑」Y:C=5:10)、7:5BG(「緑青」Y:C=2:10)、8:10BG(「緑青」M:C=1:10)、9:5B(「青」M:C=4:10)、10:10B(「青」M:C=7:10)、11:5PB(「青緑」M=C)、12:10PB(「青緑」M:C=10:7)、13:5P(「紫」M:C=10:4)、14:10P(「紫」M:C=10:1)、15:5RP(「赤紫」Y:M=2:10)、16:10RP(「赤紫」Y:M=5:10)、17:5R(「赤」Y:M=8:10)、18:10R(「赤」Y:M=10:9)、19:5YR(「黄赤」Y:M=10:6)及び20:10YR(「黄赤」Y:M=10:3)の20種類の基準色から構成される色相環を採用する。
【0015】
本発明で用いられる色素は、前述するように、pH4.5での色相とpH5.5での色相との差(色差)が、上記20種の基準色からなるマンセル色相環(20分割)において、時計回り又はその逆方向の別なく最短距離方向に4以上の差のあるものである。その一例を挙げれば、pH4.5又はpH5.5での色相が5Y(黄色)である場合、pH5.5又はpH4.5での色相が5G(緑)〜5PB(紫青)〜5R(赤)の範囲、すなわち5G〜10G〜5BG〜10BG〜5B〜10B〜5PB〜10PB〜5P〜10P〜5RP〜10RP〜5Rの色相範囲に属するものを挙げることができる。
【0016】
本発明で用いられる色素は、好ましくはpH4.8〜5.3間で4以上の色差を有するものであり、より好ましくは当該pH間で6以上の色差を有するものである。かかるものの一例を挙げれば、pH4.8又はpH5.3での色相が5Y(黄色)である場合、、pH5.5又はpH4.5での色相が5BG(青緑)〜5PB(紫青)〜5RP(赤紫)の範囲、すなわち5BG〜10BG〜5B〜10B〜5PB〜10PB〜5P〜10P〜5RPの色相範囲に属するものを挙げることができる。
【0017】
ただし、以上の例は本発明を説明するための例であり、本発明で用いられる色素は、pH4.5(若しくはpH4.8)又はpH5.5(若しくはpH5.3)で任意の色相を有するものであればよく、必ずしも上記のように5Y(黄色)である必要はない。
【0018】
本発明においては、後述する体液吸収材等の基材上においてかかる特性を有する色素であればいずれをも採用することができ、制限はされないが、具体的には、クロルフェノールレッド、ブロムクロルフェノールブルー、コンゴーレッド、アリザリンS、ブロムクレゾールグリーン、γ−ジニトロフェノール、レザズリン、メチルレッド、ラクモイド、コチニール、ヘマトキシロン、ヘマトキシリン、エチルレッド、ブロムクレゾールパープル、ブロムフェノールレッド、アリザリンレッド等を例示することができる。
【0019】
これらの色素のなかでも人体に対して安全性の高い色素が好ましい。かかるものとしてはクロルフェノールレッドを好適に例示することができる。
【0020】
クロルフェノールレッドは、下記の構造を有するものであり、後述するような体液吸収材などの基材に付着した状態で、pH4.9以下の水溶液で濡れると黄色(5Y)を呈し、またpH5.3以上の水溶液で濡れると紫色(5B〜5PB)を呈するという特性を有している(実験例1参照)。
【0021】
【化1】
【0022】
本発明の体液吸収材は、前述する色素を、体液と接触する部分に、体液による変色が体液吸収材の表面から見えるように備えたものであれば特に制限されない。
【0023】
かかる体液吸収材としては、例えば吸収体の上に表面材を積層してなる構造を有するものを挙げることができ、この場合、上記色素は吸収体と表面材の間に存在させることができる。なお、色素の存在態様は、特に制限されず、吸収体の上表面(表面材接触面)に直接付着若しくは担持させてもよいし、また色素を付着若しくは担持させたシートを別途吸収体と表面材の間に積層してもよい。また色素の付着若しくは担持態様も特に制限されず、常法に従って行うことができる。例えば、色素を浸染する方法、色素をスプレーやローラー等を用いて塗布する方法、色素をスクリーン印刷機、ローラー印刷機又はグラビア印刷機などを用いて捺染する方法等を挙げることができる。色素の塗布量が調整しやすい等の点から好ましくはグラビア印刷機等を利用した印刷方法である。
【0024】
なお、色素はそのままでもよいが、浸潤時のブリード(色素の滲み出し現象)を防ぐためにインク化して用いることが好ましい。
【0025】
色素をインク化する方法としては、特に制限されず、公知の方法をいずれも採用することができる。具体的には、カチオン基を有するヒドロゲル粒子に色素を吸着させる方法、また必要に応じて当該色素を吸着したヒドロゲル粒子の表面を更に透湿若しくは透水処理して、透湿性若しくは透水性皮膜で表面が覆われたインク組成物を調製する方法を例示することができる。なお、上記ヒドロゲル粒子としては、アクリル酸・アクリルアミド・メタクリル酸・N,N-ジメチルアミノエチル共重合物のグリセロールグリシジルエーテルによる部分架橋物で代表されるような組成物を例示することができ、またその粒子径としては0.01〜50μmの範囲を挙げることができる。このようにして得られるインク組成物は、吸収体表面に印刷するにあたって、適当なバインダーと併用することもできる。
【0026】
色素の付着量(印刷量)は、pH4.5〜5.5間で明瞭な変色度(色差)を示す限り特に制限されないが、例えば0.2%程度の色素を含有する上記インク組成物を用いる場合、該組成物の量として体液吸収材1m2あたり1g程度の量を挙げることができる。
【0027】
本発明の体液吸収材に用いられる表面材は、該表面材と吸収体との間に備えられる色素が見えるように透視性があり、且つ体液が色素及び吸収体に到達するように通液性があるものであれば特に制限されない。
【0028】
具体的には織物、編物、不織布または紙等のパルプ製品等から構成されるシート状若しくはフィルム状の繊維構造物を挙げることができる。好ましくは不織布である。かかる繊維構造物を構成する繊維としては、特に制限はされないが、例えばポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエステル複合繊維、ポリエチレン/ポリプロピレン複合繊維等の合成繊維、綿、羊毛、麻などの天然繊維、或いはレーヨン繊維、アセテート繊維等の半合成繊維、及び各種繊維の混紡品、混繊品を挙げることができる。好ましくは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、エチレン酢酸ビニル等の合成繊維若しくはそれらの複合繊維が例示され、具体的には、ポリエチレン/ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートを包含する。)複合繊維、ポリエチレン/ポリプロピレン複合繊維、エチレン酢酸ビニル/ポリプロピレン複合繊維等である。これらの繊維構造物は、その形状を特に限定するものではないが、メッシュ状及び/または浮きだし模様(エンボス模様)を呈していることが好ましく、特にエンボス加工された凹部の窪み先端部が開口して孔部を形成し、メッシュ形状を呈していることが好ましい。
【0029】
さらに上記繊維構造物は撥水処理されていることが好ましい。撥水処理は繊維構造物の片面だけに施すことも可能であるが、対象とする体液が少量の場合は、両面にわたって撥水処理されていることが好ましい。両面撥水処理によれば、表面材の繊維内部への体液の浸透並びに体液の横滲みを防ぐことができ、その結果少量の体液を表面材(繊維構造物)の孔を通じて効率よく吸収体表面上の色素に到達させることができる。すなわち、かかる両面撥水処理を施した表面材を備えた本発明の体液吸収材によれば、おりものなどの体液が少量の場合でも上記特性の色素使用と相俟って、速やかに且つ鋭敏にpH変化を敏感に検知することができる。
【0030】
なお、撥水処理は、シート状の繊維構造物(表面材)を調製後、該構造物の両面に撥水処理を施す方法によっても、また繊維を予め撥水処理し、該繊維をシート状もしくはフィルム状に調製する方法のいずれを採用してもよい。
【0031】
撥水処理方法は特に制限されず、通常の方法を広く採用することができる。具体的には、シリコンオイル、フッ素樹脂、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の撥水性処理剤又はこれらの成分を含む油剤を用いる方法が例示されるが、好適にはシリコンオイル、フッ素樹脂、メチルハイドロジェンポリシロキサン等を含む撥水性処理剤を用いて繊維を加工する方法である。
【0032】
本発明で用いられる吸水体は、吸水性を有するものであれば特に制限はなく、一般に生理用ナプキン、おしめ、汗取りパット並びにおりものシート等に用いられている例えば吸水性パルプ、吸水性ポリマー等といった従来公知の吸水材を広く採用することができる。
【0033】
本発明の体液吸収材は、上記吸収体が、前述するようにその表面に色素を備えている場合は、その色素面を覆う態様で前記表面材を積層し、両者を貼り合わせることによって調製することができ、また色素が別途シートに担持されている場合は、上記吸収体に、該シート及び前記表面材を順次積層し、三者を貼り合わせることによって調製することができる。このように表面材と吸収体を色素を挟むように貼り合わせることにより、体液のpHにより変色する色素が体液吸収材の表面から鮮明にみえるようになるとともに、少ないおりものでも色素の付着面に到達しやすくなる。しかも、表面材と吸収体を貼り合わせることにより、色素の付着面からの溶出を防ぐことができる。
【0034】
表面材と吸収体とを貼り合わせる方法は特に制限されないが、着用時の密着感が軽減されるという利点からエンボス加工を好適に挙げることができる。またエンボス加工は、加工された表面材の凹部の窪み端部が開口するように行うことが好ましく、これによってメッシュ状に加工された表面材によれば体液の通液性が向上し、少ないおりものでも色素の付着面に到達しやすくなる。
【0035】
本発明の体液吸収材は、さらに吸収体の下表面(表面材接着面の反対側)に防水層を有していてもよく、さらにその防水層の表面には粘着層並びに剥離シートを有することもできる。
【0036】
【発明の効果】
本発明の体液吸収材は、以上に述べるようにpHの変化に応じて特定の変色(呈色)特性、すなわちpH5前後の比較的狭いpH間で鋭敏に変色する特性を有する色素を備えたものである。従って、当該本発明の体液吸収材によれば体調の変動によるおりものの微妙なpH変化、特にpH5前後の微妙な変動を目視的に観察することができ、それによって使用者自らが簡単且つ正確に自分の健康状態や体調をチェックすることができる。
【0037】
特にクロルフェノールレッドは、吸収体等の基材上で、pH4.8〜5.3といった極めて狭いpH域間で黄色から紫色へと非常に鋭敏に変色する特性を有する色素である。前述するように、両面撥水処理を施した表面材を使用することによって体液をロスなく効率的に色素付着面に到達させることができるが、該表面材を上記鋭敏に反応する色素と組み合わせて使用することによって、おりものが少量の場合でも、その微妙なpH変化を正確に検知することができる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明は当該実施例に何ら制限されるものではない。以下、%は重量%を示す。
実施例1
ポリエチレン及びポリエチレンテレフタレートの複合繊維(50:50)をシリコンを含む撥水性油剤を用いて撥水処理し、該撥水性繊維を使用して16g/m2の不織布シートを調製して撥水性表面材(1)とした。
【0039】
セルロース繊維の不織布からなる吸水体(2)(50g/m2、厚さ0.6〜0.8mm)の片側表面に、0.2%のクロルフェノールレッドを含有するインク組成物(KSインクCPRG20(X−507))を塗布量1.2g/m2となるようにグラビア印刷機で模様印刷し、その上から上記撥水性表面材をエンボス加工によって貼り合わせた。当該エンボス加工は、吸収体に積層された表面材が、凹部の窪み端部が開口されてメッシュ状となるような条件で行った。吸水材の他面に防水性の合成樹脂シート(3)を接着して、本発明の体液吸収材を作成した(図2)。
実験例1
上記実施例1で調製した体液吸収材の表面に、表1に示すpHを有する各種水溶液を滴下し、体液吸収材に付着させた色素の変色の度合いを目視で観察した。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
この結果からわかるように、色素としてクロルフェノールレッドを備えた本発明の体液吸収材は、約pH4.9〜pH5.3といった狭いpH域で鋭い色相の変化(色差7以上)を示した。このことから、本発明の体液吸収材によれば、おりもののpH5前後の微妙な変化を敏感に検知することができ、使用者の健康状態や体調を正確に判定することができる。
実験例2
実施例1の体液吸収材(表面材:両面撥水処理)を用いて、体液の逆戻り試験を行った。具体的には、1ccの水を体液吸収材に吸収させ、一定時間後に上から錘を乗せて加圧し、表面に逆戻りする水の割合(%)を測定した。なお比較実験として、表面材として上記両面撥水処理したものに代えて片面撥水処理したものを用いて調製した体液吸収材(比較例1)、並びに表面材を用いないで調製した体液吸収材(比較例3)(いずれも他の構成は同じ)を用いて同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
この結果から、撥水処理、特に両面を撥水処理した表面材を用いることにより体液吸収材に吸収された水の逆戻りが有意に抑制されることがわかった。特に本発明の体液吸収材は、吸収体表面に色素が印刷されてなるものであり、ゆえにこの逆戻り防止効果は、印刷体からの色素の肌移りや肌に付着することによる悪影響を予防・回避できるという点で極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】マンセル色相環を示す図である。
【図2】本発明の体液吸収材の一例を示す一部破断斜視図である。
【図3】図2中のA−A間の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 表面材
2 吸収体
3 防水層
4 色素
5 エンボス加工の凹部
Claims (3)
- pH4.5〜5.5間で変色する色素を備えた体液吸収材であって、当該色素がクロルフェノールレッドであることを特徴とする体液吸収材。
- 少なくとも表面材と吸収体の積層構造を有する体液吸収材であって、該表面材と該吸収体との間に色素を備えることを特徴とする請求項1に記載の体液吸収材。
- 表面材が両面撥水処理された繊維構造物である請求項2に記載の体液吸収材。
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