JP3834732B2 - チューインガム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はチューインガムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、特定保健用食品に代表されるように、人の健康の維持,管理に寄与する機能を有する飲食物、いわゆる機能性飲食物が注目され、各種のものが開発、上市されている。
菓子の分野においては、たとえば、口臭除去,眠気防止または虫歯予防を目的としたチューインガム、成人病予防または整腸作用を目的とするチョコレート、あるいは喉の調子を整えるキャンディー等が知られている。
【0003】
このような飲食物において、人の健康の維持,管理に寄与する機能を有する素材、口臭除去,眠気防止,虫歯予防または抗アレルギー等を目的とした素材としては、たとえば、ビタミン類、イチョウ葉抽出物,緑茶抽出物,ウーロン茶抽出物,甜茶抽出物,ガルシニア・カンボジア抽出物等の植物からの抽出物、ペプシン,ニコチン,硫酸アトロピン,カフェイン,エピガロカテキンガレート等の食品原料や医薬品等が使用できるところであるが、これらのいわゆる機能性素材は、苦味渋味等の好ましくない特有の香味を有し、当該飲食物の風味に嗜好上好ましくない影響を与える。
【0004】
これをさらに具体的に述べると、菓子の中でもチューインガム、キャンディーおよびチョコレートは、他の一般の食品と比較して口腔内に滞留している時間が長いために、香味を味覚している時間が長く嗜好性も高い。
機能性食品の開発においては、身体に対して有益な生理機能を有する素材いわゆる機能性素材の多くが、苦味渋味等の好ましくない特有の香味を有するため、特に、チューインガム,キャンディー,チョコレート等の菓子類に、その機能性素材を使用した場合には、他の食品に比較して、該素材に起因する特有の苦味渋味等の好ましくない風味を長い時間味覚してしまうこととなり、その菓子類の嗜好性に大きな影響を与えてしまう。
【0005】
そのため、従来からこれらの苦味渋味等の嗜好上好ましくない香味を有する機能性素材を飲食物、特に、チューインガム、キャンディー、チョコレート等の菓子に用いる場合には、これら最終製品の風味に対する影響を最小限に止めるためにいろいろな研究が重ねられてきた。
【0006】
たとえば、マイクロカプセル化技術を利用して、一般的な賦形剤として知られているゼラチン、デキストリン、アラビアガム、キサンタンガム、ペクチン、澱粉、セルロース、それに、ショ糖,ブドウ糖,果糖,乳糖,麦芽糖,イソマルチュロース,キシロース等の糖類、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、還元麦芽糖、ソルビトール等の糖アルコール類、サイクロデキストリン、油脂類等の素材を、適宜組み合わせて、苦味渋味等の好ましくない香味を有する機能性素材をコーティングして、その好ましくない香味をマスキングしたり、あるいは、さんごの粉末等のような多孔質の物質に、ワサビのような辛味や風味を有する香辛料の抽出物を吸着させ、さらに、その表面を多糖類や他の調味料成分等によりコーティングさせることにより香りや辛味成分の保存を良好にする技術が、特開平6−54654号公報等に記載されている。
【0007】
また、口中での持続された香料および甘味剤の放出を可能とするチューインガムの製造を目的として、微孔性チャンネルを有するマルトデキストリン等を使用する技術が、特開昭59−198941号公報や特公平6−22445号公報に記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これら従来の技術では、苦味渋味等の好ましくない香味のマスキングが不十分であったり、使用する賦形剤の持つ特有の風味や感触が最終製品に悪い影響を与えてしまう等、嗜好上充分満足できるものは得られなかった。
【0009】
特に、チューインガムに機能性素材を使用した場合には、苦味渋味等の好ましくない香味の発現を上記マスキング等の手段により低減し、呈味の改善を図らなければならないという問題の他に、機能性素材が噛みかすとして残るガムベース中に取り込まれてしまい、咀嚼中に充分な量の機能性素材を口中に溶出させることができないという問題があった。
【0010】
チューインガムの一般的な平均咀嚼時間は3分程度であるが、機能性素材を生体内へ取り込ませるためには、その3分程度の咀嚼時間で十分な量の機能性素材が口中に溶出しなければならない。
これをさらに具体的に述べると、機能性素材として虫歯菌の増殖を抑制する物質や、歯垢の歯面への付着を抑制する物質等をチューインガムに配合する場合には、3分程度の咀嚼中に、その物質を口腔内に十分な量溶出させることが、そのチューインガムに所期の効果を奏するようにするために最低限必要である。
また、舌下吸収、胃,腸管吸収される機能性素材においても、当然チューインガムから十分な量の素材が溶出されることが、その全部を飲み込むようなことはしないチューインガムに求められる基本的な条件である。
【0011】
ところが、これまで一般の飲食物において行われている、機能性素材を油脂や増粘多糖類等によりコーティングする方法を、チューインガムに適用するに当たり、仮に、コーティング皮膜を厚くすることにより苦味渋味等の好ましくない香味を改善できたとしても、ガムベースからの機能性素材の溶出率がコーティング皮膜の厚さに反比例して低下してしまうこととなる。
反対に、溶出率を高めるためにコーティング皮膜を薄くしてしまうと、苦味渋味等の好ましくない香味が発現し、香味の改善は不十分になってしまい、チューインガムの嗜好性に問題を残してしまう。
このような問題は、歯磨、マウスウオッシュ、トローチ等の口腔内に比較的長く滞留している口腔用組成物においても同様にあった。
【0012】
そこで発明者らは、機能性素材が有する苦味渋味等の好ましくない香味の発現を低減させて飲食物や口腔用組成物等の嗜好性に影響を与えることをなくしながら、その機能性素材の本来の機能、すなわち、人の健康の維持,管理機能や、口臭除去,眠気防止,虫歯予防機能等を十分に発揮できる香味改善機能性材料を得るために鋭意研究し、多孔質炭酸カルシウムに機能性素材を担持させることにより、所期の目的を達成できる香味改善機能性材料を得られるとの知見を得、本発明を完成したものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
(1)請求項1の本発明チューインガムは、比表面積20〜100m2/g、空隙容積1.2〜2.5ml/gおよび吸油量100ml/100g以上である多孔質炭酸カルシウムの微細な空隙にイチョウ葉抽出物またはエピガロカテキンガレートを担持させてなる香味改善機能性材料を使用したものである。
(2)請求項2の本発明は、上記香味改善機能性材料が、多孔質炭酸カルシウムの微細な空隙にイチョウ葉抽出物またはエピガロカテキンガレートをその水溶液の噴霧により担持させたものである請求項1記載のチューインガムである。
(3)請求項3の本発明は、上記香味改善機能性材料が、イチョウ葉抽出物またはエピガロカテキンガレートと多孔質炭酸カルシウムとの割合を1重量部:0.1〜1000重量部としたものである請求項1または2記載のチューインガムである。
(4)請求項4の本発明は、上記香味改善機能性材料の使用量が0.005〜25重量%である請求項1,2または3記載のチューインガムである。
(5)請求項5の本発明は、上記多孔質炭酸カルシウムが、炭酸カルシウムの連鎖状粒子の集合体からなる請求項1,2,3または4記載のチューインガムである。
【0014】
本発明チューインガムは、上記香味改善機能性材料を使用してなるものであり、機能性素材が有する苦味渋味等の好ましくない香味の発現が著しく低減され、かつ、その機能性素材の本来の機能を十分に発揮する。
【0015】
本発明で使用する炭酸カルシウムは多孔質炭酸カルシウムであって、従来一般に使用されている炭酸カルシウムとは相違し、空隙率が高く、吸油性、吸水性に優れたものである。
その多孔質炭酸カルシウムは、たとえば、特開平8−198623号公報に記載されている次の工程により製造することができる。
【0016】
(i)第一炭酸化工程:水酸化カルシウム水懸濁液に炭酸ガス濃度15容量%以上の炭酸ガス含有気体を水酸化カルシウム1kg当たり25リットル/分以上で吹き込み、炭酸化率60〜90%まで炭酸化反応を行う。
【0017】
(ii)第二炭酸化工程:第一炭酸化反応工程終了後の水懸濁液に、水酸化カルシウム水懸濁液を加えて、炭酸ガス濃度10容量%以上の炭酸ガス含有気体を水酸化カルシウム1kg当たり15リットル/分以上で吹き込み、炭酸化率70〜90%まで炭酸化反応を行う。
【0018】
(iii )最終炭酸化工程:第二炭酸化工程終了後、さらに第二炭酸化工程と同じ炭酸化工程を1回以上繰り返し、次いで当該炭酸化工程終了後の水懸濁液に、水酸化カルシウム水懸濁液を加えて、炭酸ガス濃度10容量%以上の炭酸ガス含有気体を水酸化カルシウム1kg当たり15リットル/分以上で吹き込み、pH6.5〜7.5となるまで炭酸化反応を行う。
【0019】
これにより、炭酸カルシウムの連鎖状粒子の集合体からなる多孔質炭酸カルシウムを得ることができる。
【0020】
この多孔質炭酸カルシウムは、好ましくは、比表面積10〜100m2/g(気体吸着による粉体の比表面積測定方法 慶伊富永著 共立全書157吸着 95頁 1965年 共立出版 に記載されている液体窒素温度における窒素ガス吸着法(BET法)による測定)、空隙容積0.7〜2.5ml/g(水銀圧入法による粉体の空隙容積測定方法 慶伊富永著 共立全書157吸着 130頁1965年 共立出版 に記載されている水銀圧入法によるポロシメーターによる測定)および吸油量50ml/100g以上(小倉法吸油量 松本織三、小倉正照著 顔料・絵具及びインキ 66頁 1950年 共立出版 に記載されている方法)の物性を持った炭酸カルシウムの粒子が連鎖状に集合した多孔質炭酸カルシウム、さらに好ましくは、比表面積20〜100m2/g、空隙容積1.2〜2.5ml/gおよび吸油量100ml/100g以上の物性を持った炭酸カルシウムの粒子が連鎖状に集合した多孔質炭酸カルシウムが、当該機能性素材に起因する苦味渋味等の好ましくない香味を著しく低減させるのに効果的であることが確かめられた。因に、この効果を従来一般に使用されている炭酸カルシウムには期待できない。
【0021】
多孔質炭酸カルシウムに担持させる、苦味渋味等の好ましくない香味を有する機能性素材としては、人の健康を維持,管理するために有用である素材、口臭除去,眠気防止,虫歯菌増殖抑制,抗アレルギー等を目的とした素材、たとえば、ビタミン類、イチョウ葉抽出物,緑茶抽出物,ウーロン茶抽出物,甜茶抽出物,ガルシニア・カンボジア抽出物等の植物からの抽出物、ペプシン,ニコチン,硫酸アトロピン,カフェイン,エピガロカテキンガレート等の食品原料や医薬品等がある。
【0022】
本発明の香味改善機能性材料においては、当然のことながら多孔質炭酸カルシウムの微細な空隙に用途に応じた十分な量の機能性素材を担持させていることが必要であるが、そのための多孔質炭酸カルシウムと機能性素材の比率としては、機能性素材の1重量部に対して0.1〜1000重量部の多孔質炭酸カルシウムを使用することが好ましいと認められる。
【0023】
多孔質炭酸カルシウムに機能性素材を担持させ、本発明の香味改善機能性材料を作成する方法としては、上記したように多孔質炭酸カルシウムの微細な空隙に用途に応じた十分な量の機能性素材が担持されればよく、それにはたとえば、適当な溶媒に当該機能性素材を溶解し、それを噴霧,散布,塗布,浸漬または含浸法により、あるいは、粉末化した機能性素材と多孔質炭酸カルシウムとを混和,混練または混合させる方法等、従来から行われている方法を適宜選択して行えばよい。この場合、多孔質炭酸カルシウムの表面には、機能性素材が余分に付着しないように注意することが肝要である。また、必要により乾燥させてもよい。
【0024】
さらに、香味改善機能性材料を飲食物または口腔用組成物に含有させるのは、従来公知の方法により行うことができ、また、それは当該飲食物または口腔用組成物を製造する工程のいかなる段階でも可能であり、かつ、砂糖等の他の原料にあらかじめ混合してから残余の原料と混合してもなんら差し支えない。
【0025】
飲食物または口腔用組成物に使用する香味改善機能性材料の添加量としては、その目的、効果により異なるから一概に決めることは困難であるが、一般的には飲食物または口腔用組成物に0.005〜25重量%の範囲で香味改善機能性材料を添加させることが好ましく、25重量%を超える添加では、多孔質炭酸カルシウム特有の臭味や食感が、当該飲食物または口腔用組成物に付与されるおそれがあるため嗜好上好ましくない。
【0026】
香味改善機能性材料を使用する飲食物としては、パン、乳製品、ハム,ソーセージ等の畜肉製品類、カマボコ,チクワ等の魚肉製品、惣菜類、プリンミックス、ホットケーキミックス、スープ、ジャム、チューインガム、キャンディ、錠菓、グミゼリー,チョコレート,ビスケット,スナック,せんベい,あられ,まんじゅう,羊羹,ゼリー等の菓子、アイスクリーム,シャーベット,氷菓等の冷菓、ジュース,炭酸飲料,牛乳等の飲料、珍味料等の各種がある。
中でも嗜好品として微妙な風味が要求される菓子、飲料等は、本発明香味改善機能性材料を使用すると効果的である。
【0027】
特に、たとえばチューインガムに本発明香味改善機能性材料を使用すると、そのチューインガムの咀嚼中には機能性素材に起因する苦味渋味等の好ましくない香味を感じることなく、しかも、チューインガムの一般的な咀嚼時間である3分程度の間に機能性素材の90%以上が口中に溶出することにより、唾液の嚥下により体内に十分吸収される。
すなわち、当該機能性素材の持つ健康維持、増進、疾病予防等の機能をチューインガムに十分発現させることができる。
【0028】
香味改善機能性材料を使用する口腔用組成物としては、練り歯磨,粉歯磨,液状歯磨等の歯磨類、マウスウオッシュ、歯肉マッサージクリーム、うがい用錠剤、トローチ等があげられる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例および比較例を挙げて説明するが、本発明はその実施例に限定されるものではない。
【0030】
実施例1 香味改善機能性材料(イチョウ葉抽出物−多孔質炭酸カルシウム)800gの70℃の温水に、攪拌下200gのイチョウ葉抽出物(イチョウの葉より熱水で抽出後、吸着処理を施してフラボノイド含量を高めた抽出物)を投入混合して、イチョウ葉抽出物の20%水溶液を調製し、この調製液をスプレータンクに入れ、45℃に保温しておく。
【0031】
一方、攪拌機付き丸底ガラス容器に800gの多孔質炭酸カルシウムを入れ、マントルヒーターにて攪拌下70℃に保温する。この攪拌下の多孔質炭酸カルシウムに、スプレータンクから上記イチョウ葉抽出物調整液を噴霧する。噴霧終了後、水分が5%以下になるまで攪拌しながら70℃に保温する。含浸品を105℃で4時間乾燥後、粉砕し、所期の香味改善機能性材料(イチョウ葉抽出物−多孔質炭酸カルシウム)を得た。
【0032】
実施例2 チューインガム
表1に記載した配合により、まず、ガムベースをニーダーに入れ120℃で攪拌溶解し、50℃まで冷却したところで混合機に投入し、さらに、砂糖、ブドウ糖、水飴、軟化剤、色素、香料、それに、実施例1の香味改善機能性材料(イチョウ葉抽出物−多孔質炭酸カルシウム)を投入混合し、これを射出成型機によりシート状に押し出し、圧延、裁断工程を経て1枚当たり3.2gのチューインガムを作成した。
【0033】
比較例1〜3
比較例1として、実施例1の香味改善機能性材料(イチョウ葉抽出物−多孔質炭酸カルシウム)の代わりに、イチョウ葉抽出物と多孔質炭酸カルシウムを各別に混合してチューインガムを作成した。
比較例2として、多孔質炭酸カルシウムの代わりにさんご粉末を使用したイチョウ葉抽出物−さんご粉末製剤(特開平6−54654号公報参照)を使用してチューインガムを作成した。
比較例3として、同じく多孔質炭酸カルシウムの代わりにマルトデキストリンを使用したイチョウ葉抽出物−マルトデキストリン製剤(特公平6−22445号公報参照)を使用してチューインガムを作成した。
これら比較例1〜3の配合割合は表1に記載した。
【0034】
【表1】
【0035】
実施例3 キャンディー
表2に記載した配合により、砂糖、水飴および水を鍋に入れて煮沸し、煮沸温度が125℃に到達した後、攪拌しながら練乳を加え、さらに攪拌しなが煮沸し、煮沸温度が130℃に達した後にバターを加える。
引き続き煮沸し、130℃に達した後に火から下ろし、バニラエッセンス、実施例1の香味改善機能性材料(イチョウ葉抽出物−多孔質炭酸カルシウム)等を添加する。これを攪拌しながら冷却板に流し込み、80℃まで冷却した後、棒状にして適当な長さに切断し、1粒当たり3gの実施例3のキャンディを得た。
【0036】
比較例4〜6
比較例4は、実施例1の香味改善機能性材料(イチョウ葉抽出物−多孔質炭酸カルシウム)の代わりに、イチョウ葉抽出物と多孔質炭酸カルシウムを各別に混合したキャンディーを作成した。
比較例5は、多孔質炭酸カルシウムの代わりにさんご粉末を使用して作成したイチョウ葉抽出物−さんご粉末製剤(特開平6−54654号公報参照)を使用してキャンディーを作成した。
比較例6は、同じく多孔質炭酸カルシウムの代わりにマルトデキストリンを使用して作成したイチョウ葉抽出物−マルトデキストリン製剤(特公平6−22445号公報参照)を使用したキャンディーを作成した。
これら比較例4〜6の配合割合は表2に記載した。
【0037】
【表2】
【0038】
実施例4 チョコレート
表3に記載した配合により、カカオマス、カカオ脂、砂糖、レシチン、全脂粉乳、実施例1の香味改善機能性材料(イチョウ葉抽出物−多孔質炭酸カルシウム)をミキサーで混合し、リファイニングおよびコンチング終了後、テンパリング工程において均質化する。
その後、型流し、冷却工程、切断工程を経て、一粒当たり3gのチョコレートを得る。
【0039】
比較例7〜9
比較例7は、実施例1の香味改善機能性材料(イチョウ葉抽出物−多孔質炭酸カルシウム)の代わりにイチョウ葉抽出物と多孔質炭酸カルシウムを各別に混合してチョコレートを作成した。
比較例8は、多孔質炭酸カルシウムの代わりにさんご粉末を使用して作成したイチョウ葉抽出物−さんご粉末製剤(特開平6−54654号公報参照)を使用してチョコレートを作成した。
比較例9、同じく多孔質炭酸カルシウムの代わりにマルトデキストリンを使用して作成したイチョウ葉抽出物−マルトデキストリン製剤(特公平6−22445号公報参照)を使用してチョコレートを作成した。
これら比較例7〜9の配合割合は表3に記載した。
【0040】
【表3】
【0041】
・官能評価
実施例2〜4、比較例1〜9のチューインガム、キャンディー、チョコレートのそれぞれについて、30名の専門パネルにより、イチョウ葉抽出物のもつ苦味について官能検査を行い、その苦味の強さを、強く感じる、やや強く感じる、感じる、弱く感じる、感じないの5段階で評価した。その結果を表4〜6に記載した。
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【0045】
上記結果より、本発明の実施例2〜4に係るチューインガム、キャンディー、チョコレートは、イチョウ葉抽出物のもつ苦味を感じさせないか、その程度を著しく低減させていることが明らかである。
【0046】
実施例5 香味改善機能性材料(エピガロカテキンガレート−多孔質炭酸カルシウム)
800g、70℃の温水に、攪拌下200gのエピガロカテキンガレート(栗田工業(株)製エピガロカテキンガレート純度95%)を投入混合して、エピガロカテキンガレートの20%水溶液を調整し、この調整液をスプレータンクに入れ、45℃に保温しておく。
一方、攪拌機付き丸底ガラス容器に800gの多孔質炭酸カルシウムを入れ、マントルヒーターにて攪拌下70℃に保温する。
この攪拌下の多孔質炭酸カルシウムに、スプレータンクから上記エピガロカテキンガレート調整液を噴霧する。噴霧終了後、水分が5%以下になるまで攪拌しながら70℃に保温する。含浸品を105℃で4時間乾燥後、粉砕し、香味改善機能性材料(エピガロカテキンガレート−多孔質炭酸カルシウム)を得た。
【0047】
実施例6 チューインガム
表7の配合により、実施例5の香味改善機能性材料(エピガロカテキンガレート−多孔質炭酸カルシウム)を配合したチューインガムを作成した。
【0048】
比較例10〜12
比較例10のチューインガムは、実施例5の香味改善機能性材料(エピガロカテキンガレート−多孔質炭酸カルシウム)の代わりに、エピガロカテキンガレートと多孔質炭酸カルシウムを各別に混合したチューインガムである。
比較例11のチューインガムは、実施例5の香味改善機能性材料(エピガロカテキンガレート−多孔質炭酸カルシウム)の代わりに、さんご粉末を使用して作成したエピガロカテキンガレート−さんご粉末製剤(特開平6−54654号公報参照)を使用したチューインガムである。
比較例12のチューインガムは、同じく多孔質炭酸カルシウムの代わりに、マルトデキストリンを使用して作成したエピガロカテキンガレート−マルトデキストリン製剤(特公平6−22445号公報参照)を使用したチューインガムである。
これら比較例10〜12の配合割合は表7に記載した。
【0049】
【表7】
【0050】
・官能評価
実施例6、比較例10〜12のチューインガムについて、30名の専門パネルにより、エピガロカテキンガレートのもつ苦味渋味について官能検査を行い、その苦味の強さを、強く感じる、やや強く感じる、感じる、弱く感じる、感じないの5段階で評価した。その結果を表8に記した。
【0051】
【表8】
【0052】
上記より明らかなように、本発明の実施例6に係るチューインガムは、エピガロカテキンガレートのもつ苦味渋味を著しく低減あるいは無くしていることが認められる。
【0053】
・エピガロカテキンガレートの溶出性試験
実施例6、比較例10〜12の4種類のチューインガムについて、咀嚼中におけるエピガロカテキンガレートの溶出性について試験を行った。
試験は、10名のパネルがそれぞれ4種類のチューインガムを1分間に66回のペースで1,3,5,10分間咀嚼した後、その噛みかすを45℃にて24時間減圧乾燥、粉砕し、それにメタノール150mlを加え5時間環流抽出し、吸引濾過後ろ液を減圧濃縮した。
その濃縮物を50vol%メタノールに溶解し正確に50mlとした後、0.45μmのフィルターで濾過を行い、これを下記の条件でHPLC分析を行いエピガロカテキンガレートの量を測定した。
【0054】
HPLC条件
カラム:資生堂 CAPCELLPAC-C15AG120 (4.6φ×250mm)
移動相:CH3CN :EtOAc:0.05%H3PO4aq.sol.(12:0.6:90,V/V )
検出器:UV,280nm
流速:1.0ml/min
カラム温度:40℃
【0055】
これらの噛みかす中のエピガロカテキンガレートの量の測定結果と、チューインガムに配合したエピガロカテキンガレートとの差から咀嚼中に溶出した量を求め、下記の式によりエピガロカテキンガレートの溶出率(%)を求めた。
溶出率(%)=(E0−E1)/E0×100
E0:配合したエピガロカテキンガレートの量(mg)
E1:噛みかす中に残存したエピガロカテキンガレートの量(mg)
その結果を表9に記載した。
【0056】
【表9】
【0057】
表9から明らかなように、一般消費者がチューインガムを咀嚼する時間5分間で、比較例10〜12のチューインガムでは、エピガロカテキンガレートの溶出率5割以下であるのに対し、実施例6のチューインガムでは溶出率が9割以上と顕著に溶出率が改善され、10分間咀嚼すればほぼ全てのエピガロカテキンガレートが溶出する。
【0058】
このように本発明の実施例6のチューインガムは、エピガロカテキンガレートの苦味渋味等の香味を低減させる効果と、咀嚼中におけるチューインガムからの溶出性を高めるという相反する効果がある。
【0059】
実施例7 飲料
定法にしたがい、300mlの精製水を70℃に加熱し、それにミネラル、調味料、酸類および実施例1の香味改善機能性材料(イチョウ葉抽出物−多孔質炭酸カルシウム)を加え、攪拌,混合する。
それに砂糖、ブドウ糖果糖液糖および1500mlの精製水を加えて攪拌,溶解するとともに、1μのフィルターで濾過し、適量の精製水を加えて、最終的に3000mlに液量調節し、香料を加えて攪拌する。
その後、中間タンクで糖度および酸度を調整し、85℃まで加温して80℃にて缶に充填する。配合割合は表10に記載のとおりである。
【0060】
【表10】
【0061】
実施例8 アイスクリーム
定法にしたがい、360gの生クリーム(乳脂肪45%)、100gの脱脂粉乳、150gのグラニュー糖、39gの加糖卵黄、350gの水、1gのバニラエッセンスおよび5gの実施例1の香味改善機能性材料(イチョウ葉抽出物−多孔質炭酸カルシウム)を65℃で混合,攪拌する。
それをホモジナイザーにて均質化し、85℃以上で25秒以上加熱し、殺菌するとともに、冷却器で5℃まで冷却し、4時間以上熟成させた後−5℃まで冷却し、容器に充填して急速に−15℃以下に冷凍する。配合割合は表11に記載のとおりである。
【0062】
【表11】
【0063】
実施例9 ビスケット
定法にしたがい、600gの薄力粉、120gの砂糖、30gの水飴、120gのショートニング、10gの食塩、2gの重炭酸ナトリウム、3gの重炭酸アンモニウム、65gの水、50gの実施例5の香味改善機能性材料(エピガロカテキンガレート−多孔質炭酸カルシウム)をミキサーで混錬した後、圧延し、型押機で成形するとともに、190℃で10分焼いた後、冷却する。配合割合は表12に記載のとおりである。
【0064】
【表12】
【0065】
実施例10 ジャム
定法にしたがい、イチゴピューレ300g、水147gを混合攪拌し、これにゲル化剤3gと砂糖100gを分散させて分散液とする。次に、その分散液を加熱沸騰させ、ゲル化剤を完全に溶解させる。さらに砂糖200g、水飴(Bx.75)200部、50gの実施例5の香味改善機能性材料(エピガロカテキンガレート−多孔質炭酸カルシウム)を添加し、充分混合する。配合割合は表13に記載のとおりである。
【0066】
【表13】
【0067】
実施例11 ゼリー
定法にしたがい、グラニュー糖340g 、水飴(Bx.75)420g、水200g、ペクチン12g、クエン酸4g、香料4g、20gの実施例1の香味改善機能性材料(イチョウ葉抽出物−多孔質炭酸カルシウム)を加熱溶解した後、型に流し込み、冷却した。配合割合は表14に記載のとおりである。
【0068】
【表14】
【0069】
実施例12 練り歯磨
第二リン酸カルシウム200g、水酸化アルミニウム150g、カルボキシメチルセルロース15g、ポリエチレングリコール30g、キシリトール200g、ラウリル硫酸ナトリウム15g、ラウロイルザルコシネート3g、防腐剤1g、香料10g、サッカリン1g、フッ化ナトリウム8g、50gの実施例1の香味改善機能性材料(イチョウ葉抽出物−多孔質炭酸カルシウム)と精製水31.7gをミキサーにて混練し、充填機により容器に充填し包装する。配合割合は表15に記載のとおりである。
【0070】
【表15】
【0071】
実施例13 トローチ
キシリトール350g、ラクチトール350g、香料5g、アラビアガム60g、タルク20g、50gの実施例1の香味改善機能性材料(イチョウ葉抽出物−多孔質炭酸カルシウム)と精製水16.5gを混和するとともに、圧縮成型して製する。配合割合は表16に記載のとおりである。
【0072】
【表16】
【0073】
【発明の効果】
本発明チューインガムは、これに使用する香味改善機能性材料が、比表面積20〜100m2/g、空隙容積1.2〜2.5ml/gおよび吸油量100ml/100g以上である多孔質炭酸カルシウムの微細な空隙に、イチョウ葉抽出物またはエピガロカテキンガレートを担持させている。
そのために、通常のチューインガム咀嚼時間(およそ3〜5分)中に、イチョウ葉抽出物またはエピガロカテキンガレートに起因する苦味渋味等の好ましくない香味を殆ど感じさせないか、その程度を著しく低減させることができるものであり(表4参照)、しかも、例えばエピガロカテキンガレートの同咀嚼時間中の溶出量が9割以上に達していること(表9参照)から明らかなとおり、上記エピガロカテキンガレートまたはイチョウ葉抽出物がもつ本来の機能を十分に発現させることができるものである。
Claims (5)
- 比表面積20〜100m2/g,空隙容積1.2〜2.5ml/gおよび吸油量100ml/100g以上である多孔質炭酸カルシウムの微細な空隙にイチョウ葉抽出物またはエピガロカテキンガレートを担持させてなる香味改善機能性材料を使用したことを特徴とするチューインガム。
- 上記香味改善機能性材料が、多孔質炭酸カルシウムの微細な空隙にイチョウ葉抽出物またはエピガロカテキンガレートをその水溶液の噴霧により担持させたものであることを特徴とする請求項1記載のチューインガム。
- 上記香味改善機能性材料が、イチョウ葉抽出物またはエピガロカテキンガレートと多孔質炭酸カルシウムとの割合を1重量部:0.1〜1000重量部としたものであることを特徴とする請求項1または2記載のチューインガム。
- 上記香味改善機能性材料の使用量が0.005〜25重量%であることを特徴とする請求項1,2または3記載のチューインガム。
- 上記多孔質炭酸カルシウムが,炭酸カルシウムの連鎖状粒子の集合体からなることを特徴とする請求項1,2,3または4記載のチューインガム。
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