JP3830415B2 - 透明性に優れる架橋ゴム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性、機械的特性および耐候性に優れた架橋ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム組成物又はエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム組成物とエチレン・酢酸ビニル共重合体との混合物の提案が散見されるが、これらの従来技術においては、透明性はポリ塩化ビニルと同等のレベルには達していなかった。また機械的強度も低く問題があった。
そこで本発明者らは、特願2000−345313号において、架橋ゴムシートのヘーズ値(厚さ2mm)が20%以下であり、全光線透過率(厚さ2mm)が70%以上であり、かつ引張強度が9MPa以上であることを特徴とする架硫ゴム組成物を提案し、さらに、その態様として、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)、エチレン・極性モノマー共重合体(B)及びシリカ(C)を含有する組成物を加硫してなる架橋ゴム組成物を提案している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、透明性、機械的特性、耐候性に優れた架橋ゴム組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)、エチレン・極性モノマー共重合体(B)及びシリカ(C)、耐候安定剤(D)、有機過酸化物(E)を含有する組成物を架橋してなる架橋ゴム組成物であって、架橋ゴムシートのヘーズ値(厚さ2mm)が20%以下であり、全光線透過率(厚さ2mm)が70%以上であり、引張強度が9MPa以上であることを特徴とする架橋ゴム組成物に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の透明性に優れる架橋ゴム組成物について具体的に説明する。
本発明の架橋ゴム組成物は、架橋ゴムシートのヘーズ値(厚さ2mm)が20%以下であり、全光線透過率(厚さ2mm)が70%以上であり、かつ引張強度が9MPa以上であることを特徴とするものである。
なおここで架橋ゴム組成物とは、架橋されたゴム組成物を意味し、架橋ゴムシートとは、架橋ゴム組成物からなるシートのことを意味する。
前記ヘーズ値(厚さ2mm)が20%を超えると、透明性を必要とする製品には適さない。前記ヘーズ値は、通常0.1〜20%、好ましくは0.1〜15%、更に好ましくは0.2〜10%である。
【0006】
前記全光線透過率が70%未満であると、透明性を必要とする用途への使用が制限される。前記全光線透過率は、通常70〜99.5%、好ましくは75〜99.5%、更に好ましくは80〜99%である。
前記引張強度が9MPa未満であると、機械的強度が劣るため、製品の耐久性が不足する。前記引張強度は、好ましくは10MPa以上、更に好ましくは11MPa以上である。
本発明の架橋ゴム組成物は、さらに耐候安定剤(D)を含有することを特徴としている。
また、本発明の架橋ゴム組成物は、好ましくは、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)、エチレン・極性モノマー共重合体(B)、シリカ(C)、耐候安定剤(D)、架橋剤(E)、及び必要に応じて、軟化剤、老化防止剤等を含有するゴム組成物からなる。
【0007】
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)
本発明の架橋ゴム組成物に用いられるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムは、好ましくは、エチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンと、非共役ポリエンとをランダム共重合させることにより得られる。
【0008】
前記α−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン等が挙げられる。これらのα−オレフィンは、単独で、又は2種以上の組み合わせで用いることができる。これらのα−オレフィンのうち、炭素数3〜10のα−オレフィンが好ましく、特にプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく用いられる。
【0009】
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとのモル比[エチレン/α−オレフィン]が、通常60/40〜80/20、好ましくは62/38〜79/21、特に好ましくは65/35〜78/22の範囲にある。
【0010】
前記非共役ポリエンとしては、具体的には、1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン等の環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,5−ノルボルナジエン、1,3,7−オクタトリエン、1,4,9−デカトリエン、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン等のトリエン等が挙げられる。これらの非共役ポリエンは、単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0011】
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)における非共役ポリエンの含量は、ヨウ素価表示で通常6〜50、好ましくは10〜40、更に好ましくは10〜35、特に好ましくは10〜30である。ヨウ素価が6未満になると、架橋ゴム成形体の有効網目鎖密度が低下し、圧縮永久歪が大きくなる傾向がある。また、ヨウ素価が50を超えると、耐環境劣化性が悪くなる傾向があり、またコスト的にも不利にある。
【0012】
本発明においては、前記共重合体ゴム(A)は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
前記のような特性を有するエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムは、「ポリマー製造プロセス((株)工業調査会発行、p.309〜330)」等に記載されているような従来公知の方法により調製することができる。
【0013】
エチレン・極性モノマー共重合体(B)
本発明に用いるエチレン・極性モノマー共重合体(B)とは、エチレンとラジカル共重合性を有しかつ炭素と水素以外の原子を少なくとも1個含有するコモノマーとを共重合させて得られる共重合体をいう。具体例としては、エチレン・カルボン酸不飽和エステル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体、エチレン・芳香族ビニル共重合体、エチレン・含窒素ビニル共重合等が挙げられるが、好ましくはエチレン・酢酸ビニル共重合体等のエチレン・カルボン酸アルケニルエステル共重合体;エチレン・アクリル酸共重合体等のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体;エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体等のエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体挙げられる。
【0014】
エチレン・極性モノマー共重合体(B)としては、メルトフローレート(MFR;JIS K7210)が通常0.1〜50g/10分、好ましくは0.5〜30g/分、密度が通常920〜980kg/m3、好ましくは930〜960kg/m3、融点が通常40〜100℃、好ましくは55〜95℃及び酢酸ビニル含量が通常10〜50重量%、好ましくは10〜35重量%の範囲のものが用いられる。
【0015】
エチレン・極性モノマー共重合体(B)としては、透明性の点で、屈折率が1.470〜1.490であるものが好ましい。
エチレン・極性モノマー共重合体(B)の配合量は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、通常35〜120重量部、好ましくは40〜100重量部、更に好ましくは50〜80重量部である。
【0016】
シリカ(C)
シリカ(C)としては、乾式法による無水ケイ酸、湿式法による含水ケイ酸と、合成ケイ酸塩とにわけられる。日本ゴム協会発行の「フィラーハンドブック」には、シリカの製造方法について以下のように記載されている。
(1)無水ケイ酸の製造方法
(i)ハロゲン化ケイ素の分解による方法
(ii)ケイ砂を加熱還元した後、空気により酸化してケイ酸を得る方法
(2)含水ケイ酸の製造方法
ケイ酸ナトリウムと硫酸との反応により製造される。
(3)合成ケイ酸塩の製造方法
ケイ酸ナトリウムとカルシウム塩との反応によって合成される。
【0017】
これらのシリカの中で透明性の点から乾式シリカが好ましく、1次粒子径が50nm以下が好ましく、更に20nm以下のものが好ましい。シリカ(C)の比表面積は、好ましくは100〜500m2/gである。シリカ(C)の配合量は、通常、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)とエチレン・極性モノマー共重合体(B)との合計量100重量部に対して、10〜100重量部、好ましくは20〜50重量部である。これらのシリカは、メルカプトシラン、アミノシラン、ヘキサメチルジシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等の反応性シラン又は低分子量のシロキサン等で表面処理されていてもよい。
【0018】
耐候性安定剤(D)
耐候安定剤としては、例えばベンゾフェノン系、サリチル酸系、シアノアクリレート系、シュウ酸アニリド系、ベンゾエート系、ヒンダート・アミン系、ベンゾトリアゾール系、フェノール系酸化防止剤が挙げられる。なかでも、耐黄変性が求められる場合は、ヒンダート・アミン系が好ましい。
【0019】
特にヒンダート・アミン系の中でもコハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラミチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラミチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]が好ましい。
耐候安定剤(D)の配合割合は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)及びエチレン・極性モノマー共重合体(B)の合計100重要部に対して、約0.1から3重量部が通常であり、中でも0.2から2重量部、さらに好ましくは、0.2から1重量部である。
【0020】
架橋剤(E)
本発明で用いられる架橋剤(E)としては、パーオキサイド又はイオウが好ましい。前記パーオキサイドとしては、ゴムの架橋の際に通常使用されている従来公知のパーオキサイドが使用することができ、具体的は、ジクミルペルオキシド、ジ−第三ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(第三ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(第三ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(第三ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(第三ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(第三ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、第三ブチルペルオキシベンゾエート、第三ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、第三ブチルクミルペルオキシド等が挙げられる。これらのうち、臭気の点から2,5−ジメチル−2,5−ジ−(第三ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,1−ビス(第三ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ビス(第三ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが挙げられる。
【0021】
このようなパーオキサイドは、臭気の点から2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,1−ビス(第三ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ビス(第三ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが好ましい。また配合量としては、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)とエチレン・極性モノマー共重合体(B)との合計量100重量部に対して、通常1〜30重量部、好ましくは2〜20重量部、更に好ましくは3〜18重量部の割合で用いられる。また、イオウ加硫においても良好な透明性を示す製品が得られる。
【0022】
軟化剤
軟化剤としては、通常ゴムに使用される軟化剤を用いることができる。具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;トール油;サブ(ファクチス);蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸及び脂肪酸塩;ナフテン酸;パイン油、ロジン又はその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系軟化剤;マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油等が挙げられる。中でも石油系軟化剤、特にプロセスオイルが好ましく用いられる。これらの軟化剤の配合量は、架橋物の用途により適宜選択される。
【0023】
老化防止剤
本発明の架橋ゴム組成物は、老化防止剤を使用しなくても優れた耐熱性、耐久性を示すが、老化防止剤を使用すれば、製品寿命を長くすることが可能である。前記老化防止剤としては、例えばアミン系、ヒンダードフェノール系又はイオウ系老化防止剤等が挙げられるが、これらの老化防止剤は、本発明の目的を損なわない範囲で用いられる。アミン系老化防止剤としては、ジフェニルアミン類、フェニレンジアミン類等が挙げられる。イオウ系老化防止剤としては、通常ゴムに使用されるイオウ系老化防止剤が用いられる。
【0024】
その他の成分
本発明の架橋ゴム組成物中には、意図する架橋物の用途等に応じて、前述した成分の他に、前記シリカ以外のゴム補強剤、無機充填剤、加工助剤、架橋助剤、架橋促進剤、発泡剤、発泡助剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤、分散剤、難燃剤、増粘剤、脱泡剤及びその他のゴム用配合剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
【0025】
前記ゴム補強剤は、架橋ゴムの引張強度、引き裂き強度、耐摩耗性等の機械的性質を高める効果がある。このようなゴム補強剤としては、具体的には、カーボンブラック(例えば、SRF、GPF、FEF、MAF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT)、活性化炭酸カルシウム、微粉タルク等が挙げられる。これらはシランカップリング剤等により表面処理が施されていてもよい。これらのゴム補強剤の種類及び配合量は、その用途により適宜選択できる。
【0026】
前記無機充填剤としては、具体的には、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー等が挙げられる。これらの無機充填剤の種類及び配合量は、その用途により適宜選択できる。
前記加工助剤としては、通常のゴムの加工に使用される加工助剤を使用することができる。具体的には、リノール酸、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸の塩;前記高級脂肪酸のエステル類等が挙げられる。このような加工助剤は、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0027】
前記架橋助剤としては、具体的には、p−キノンジオキシム等のキノンジオキシム系化合物;ポリエチレングリコールジメタクリレート等のメタクリレート系化合物;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系化合物;マレイミド系化合物;ジビニルベンゼン等が挙げられる。このような架橋助剤は、使用するパーオキサイド1モルに対して0.1〜2モル、好ましくは約等モルの量で用いられる。
【0028】
本発明のゴム組成物には、架橋促進剤として炭酸亜鉛等を使用できるが、炭酸亜鉛を架橋促進剤として用いる場合には、エチレン・α−オレフィン非共役ポリエン共重合体ゴム(A)とエチレン・極性モノマー共重合体(B)との合計量100重量部に対して、通常2重量部以上10重量部未満の量で用いられる。
【0029】
また、本発明のゴム組成物中には、本発明の目的を損なわない範囲で、他のゴムをブレンドして用いることができる。このような他のゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)等のイソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等の共役ジエン系ゴムを挙げることができる。
更に、従来公知のエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムを用いることもでき、例えばエチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR)、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)以外のエチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体(例えばEPDM等)を用いることができる。
【0030】
ゴム組成物の調製
本発明の架橋ゴム組成物は、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスのようなミキサー類によりエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)、エチレン・極性モノマー共重合体(B)、シリカ(C)、および耐候安定剤(D)、さらに必要に応じて軟化剤等の添加剤を80〜170℃の温度で約3〜10分間混練した後、オープンロールのようなロール類を使用して、架橋剤(E)、必要に応じて、架橋促進剤、架橋助剤、発泡剤、発泡助剤を混合し、ロール温度40〜50℃で5〜30分間混練した後、分出しし、さらにゴム用押出機により意図する形状とした後、架橋槽内に導入し、140〜270℃の温度で1〜30分間加熱することにより、架橋することができる。架橋の工程は、好ましくは連続的に実施される。架橋槽における加熱方法としては、熱空気架橋槽(HAV)、溶融塩槽(LCM)、ガラスビーズ流動床、マイクロ波架橋装置(UHF)、スチーム等の加熱手段を用いることができる。なおここで架橋ゴム組成物とは、上記記載からもわかるように架橋されたゴム組成物を意味する。
【0031】
本発明の架橋ゴム組成物は、透明性及び機械的特性に優れており、ケーブルジョイント、半導体向けシール材、絶縁シート等の電気・絶縁部品、工業用ホース、床材、タイル、保護カバー又はシューズのクッション材等の工業部品などの各種ゴム製品として用いられる。
【0032】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
なお、実施例、比較例における試験方法は、以下のとおりである。
(1)引張試験
JIS K6251に従って、測定温度23℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、コンパウンドを150トンプレス機で170℃×15分の条件により架橋ゴムシート(厚さ2mm)を得た。破断時の強度TB と伸びEB を測定した。
(2)HA(製品硬さ)
JIS K6253に従って測定した。得られた架橋ゴムシート(厚さ2mm)を重ねて12mmとし、デュロメーターAで製品硬さを求めた。
(3)ヘーズ値(曇価)
JIS K7105に準じて測定した。試験片の厚さは2mmとした。
(4)全光線透過率(トランス)
JIS K7105に準じて測定した。試験片の厚さは2mmとした。
【0033】
共重合体ゴムとしては、以下に示すEPDM−1を用いた。
EPDM−1:エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネンランダム共重合体ゴム、エチレン/プロピレンのモル比=68/32、ヨウ素価=22、ムーニー粘度ML(1+4)100℃=69
エチレン・酢酸ビニル共重合体としては、以下に示すEVA−1を用いた。
EVA−1:酢酸ビニル含量33重量%、密度960kg/m3、MFR30g/10分、アッペ屈折計による屈折率1.481、融点61℃。
シリカとしては、以下に示すシリカ−1を用いた。
シリカ−1;乾式シリカ(ワッカー社製)、1次粒子径14nm、比表面積200m2/g
【0034】
耐候安定剤としては、以下に示す耐候安定剤−1、耐候安定剤−2、耐候安定剤−3、耐候安定剤−4、耐候安定剤−5を用いた。
耐候安定剤−1;イルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)フェノール系酸化防止剤
耐候安定剤−2;チヌビン326(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)ベンゾトリアゾール系
耐候安定剤−3;チヌビン622(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)ヒンダート・アミン系
耐候安定剤−4;サノールLS−770(三共(株)製)ヒンダート・アミン系耐候安定剤−5;Chimassorb944(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)ヒンダート・アミン系
【0035】
有機過酸化物としては、以下に示す有機過酸化物−1、有機過酸化物−2、有機過酸化物−3、有機過酸化物−4、有機過酸化物−5を用いた。
有機過酸化物−1;パークミルD(日本油脂(株)製)
有機過酸化物−2;パーヘキサ25B(日本油脂(株)製)
有機過酸化物−3;Bis−PO(三井化学(株)製)
有機過酸化物−4;パーヘキサ3M(日本油脂(株)製)
有機過酸化物−5;パーカドックス14(化薬アクゾ(株)製)
【0036】
(実施例−1〜3)
エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム60重量部、エチレン・酢酸ビニル共重合体40重量部、シリカ(ワッカー社(株)製乾式シリカ、一次粒子径14nm)25重量部、軟化剤(出光興産(株)製パラフィン系プロセスオイル、商品名:ダイアナプロセスPW−380)15重量部及び耐候安定剤0.4重量部を、容量2.95リットルのバンバリーミキサー((株)神戸製鋼所)を用いて、150℃で5分間混練りした。
【0037】
(実施例4〜7、比較例2)
エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム60重量部、エチレン・酢酸ビニル共重合体40重量部、及び耐候安定剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)商品名:イルガノックス1010、チヌビン326、チヌビン622)各0.2重量部を、容量2.95リットルのバンバリーミキサー((株)神戸製鋼所)を用いて、150℃で5分間混練りした。
【0038】
(実施例1〜3、比較例1、2:架橋工程)
前記のコンパウンドに対して、8インチオープンロール(日豊工機(株)、ロール温度75℃)で架橋剤(日本油脂(株)製ジクミルペルオキシド、商品名:パークミルD)を10分間混練りし、ゴム組成物を調製した。次いで、このゴム配合物を170℃−15分プレスの条件で架橋させた。
【0039】
(実施例4:架橋工程)
前記のコンパウンドに対して、8インチオープンロール(日豊工機(株)、ロール温度75℃)で架橋剤(日本油脂(株)製2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルペルオキシ)ヘキサン、商品名:パーヘキサ25B)を10分間混練りし、ゴム組成物を調製した。次いで、このゴム配合物を170℃−15分プレスの条件で架橋させた。
【0040】
(実施例5:架橋工程)
前記のコンパウンドに対して、8インチオープンロール(日豊工機(株)、ロール温度75℃)で架橋剤(三井化学(株)製、1,3−ビス(ターシャリブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン商品名:Bis−PO)を10分間混練りし、ゴム組成物を調製した。次いで、このゴム配合物を190℃−15分プレスの条件で架橋させた。
【0041】
(実施例6:架橋工程)
前記のコンパウンドに対して、8インチオープンロール(日豊工機(株)、ロール温度75℃)で架橋剤(日本油脂(株)製、1,1−ビス(第三ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン商品名:パーヘキサ3M)を10分間混練りし、ゴム組成物を調製した。次いで、このゴム配合物を150℃−15分プレスの条件で架橋させた。
【0042】
(実施例7:架橋工程)
前記のコンパウンドに対して、8インチオープンロール(日豊工機(株)、ロール温度75℃)で架橋剤(商品名:パーカドックス14)を10分間混練りし、ゴム組成物を調製した。次いで、このゴム配合物を175℃−15分プレスの条件で架橋させた。
【0043】
(比較例−1:架橋工程)
ポリマーに対して、8インチオープンロール(日豊工機(株)、ロール温度75℃)で架橋剤(日本油脂(株)製ジクミルペルオキシド、商品名:パークミルD)を10分間混練りし、ゴム組成物を調製した。次いで、このゴム配合物を170℃−15分プレスの条件で架橋させた。
実施例及び比較例で用いた成分及び結果を表1に示す。ただし、表1中の*1、*2、*3および*4は、次に示す通りである。
【表1】
【0044】
*1:実施例−1〜4 ;170℃−15分プレス架橋物
比較例−1、2 ;170℃−15分プレス架橋物
実施例−5 ;190℃−15分プレス架橋物。
実施例−6 ;150℃−15分プレス架橋物。
実施例−7 ;175℃−15分プレス架橋物。
*2:JIS K7105に準じて測定した。
*4:架橋ゴムシートの黄色味を目視判定した。
架橋後とは、架橋直後のことであり、老化後とは、ギヤオーブン中で120℃、70時間処理後のことである。
評価基準は、
である。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、透明性、機械的特性および耐候性に優れた架橋ゴム組成物及び該組成物からなるゴム製品を提供することができる。
Claims (2)
- エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)、エチレン・極性モノマー共重合体(B)及びシリカ(C)、耐候安定剤(D)、有機過酸化物(E)を含有する組成物を架橋してなる架橋ゴム組成物であって、架橋ゴムシートのヘーズ値(厚さ2mm)が20%以下であり、全光線透過率(厚さ2mm)が70%以上であり、引張強度が9MPa以上であることを特徴とする架橋ゴム組成物。
- 耐候安定剤(D)として、ヒンダート・アミン系耐候安定剤から選ばれる少なくとも1種以上の安定剤を含有する請求項1に記載の架橋ゴム組成物。
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