JP3827837B2 - 車両運動制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の運動状態に応じて将来の挙動を推定し、安定した車両運動が行えるように制御する車両運動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両の走行安定性を向上させるために様々な車両の運動制御装置が開発・実用化されている。
【0003】
例えば、特開平7−215190号公報では、車体すべり角と車体すべり角速度に基づき車両状態を定め、この走行状態量、環境状態量から安定/不安定領域を定め、車両状態の不安定領域への侵入度合いに応じて車両の挙動を制御する車両の挙動制御装置が示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記先行技術での車体すべり角と車体すべり角速度による状態平面上での車両安定性の評価では、将来の危険な挙動の察知が不十分であり、安定性向上に限界がある。
【0005】
すなわち、上記先行技術では、車体すべり角が許容値よりも小さいか、あるいは、許容値以下であっても車体すべり角の増加速度が許容値よりも小さいかどうか判定しているだけであり、車体すべり角が増加しつつある状態でないと車両の挙動の判定が行えない。
【0006】
このため、例えば、上記先行技術における不安定領域の設定では、限界走行においてドライバがカウンタステアにより車両のヨーイングを抑えた直後で車両が安定であると判定されてしまい、ヨーイングの急速な揺り返しによる車両スピン等への対応が遅れてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、簡単な演算で車両の将来の不安定な挙動になることを速やか、かつ、的確に判断し、この不安定な挙動を適切に抑止して車両挙動を安定させることができる車両運動制御装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1記載の本発明による車両運動制御装置は、車両の運動状態を検出する状態検出手段と、車両の運動状態と車両諸元に基づき車両の回転方向の力学的エネルギをヨーイングエネルギとして、少なくともすべり角に基づく運動エネルギと位置エネルギとから算出するヨーイングエネルギ算出手段と、上記ヨーイングエネルギと予め設定する判定値とを比較して上記ヨーイングエネルギが上記判定値を超える際に車両が不安定状態と判定する判定手段と、上記判定手段で車両が不安定状態と判定した際にヨーイングエネルギが減少する方向に所定に駆動装置を作動させる駆動制御手段とを備えたものである。
【0009】
上記請求項1記載の車両運動制御装置は、状態検出手段で車両の運動状態を検出し、ヨーイングエネルギ算出手段で車両の運動状態と車両諸元に基づき車両の回転方向の力学的エネルギをヨーイングエネルギとして、少なくともすべり角に基づく運動エネルギと位置エネルギとから算出する。そして、判定手段で上記ヨーイングエネルギと予め設定する判定値とを比較して上記ヨーイングエネルギが上記判定値を超える際に車両が不安定状態と判定する。駆動制御手段では上記判定手段で車両が不安定状態と判定した際にヨーイングエネルギが減少する方向に所定に駆動装置を作動させる。
【0010】
また、請求項2記載の本発明による車両運動制御装置は、請求項1記載の車両運動制御装置において、上記判定手段での上記判定値は、路面摩擦係数と車速の少なくとも一方に応じて補正した値を予め設定するもので、路面状況や車速に応じて車両安定性を正確に制御する。
【0011】
さらに、請求項3記載の本発明による車両運動制御装置は、請求項1又は請求項2記載の車両運動制御装置は、上記駆動制御手段で作動させる駆動装置は、前輪を操舵する前輪操舵装置と後輪を操舵する後輪操舵装置と各選択した車輪に独立に制動力を付加する制動装置と各選択した車輪の駆動力を増加させる駆動力増加装置の少なくとも一つである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図14は本発明の実施の形態を示し、図1は車両運動制御装置の機能ブロック図、図2は車両運動制御装置を搭載した車両の概略構成を示す説明図、図3は判定値に対する補正係数の説明図、図4は車両運動制御のフローチャート、図5はヨーイングエネルギを減少させる制動制御ルーチンのフローチャート、図6は前輪舵角制御でヨーイングエネルギを減少させる車両の説明図、図7はヨーイングエネルギを減少させる前輪舵角制御ルーチンのフローチャート、図8は後輪舵角制御でヨーイングエネルギを減少させる車両の説明図、図9はヨーイングエネルギを減少させる後輪舵角制御ルーチンのフローチャート、図10は左右差動制限制御でヨーイングエネルギを減少させる車両の説明図、図11はヨーイングエネルギを減少させる左右差動制限制御ルーチンのフローチャート、図12は左右動力配分制御でヨーイングエネルギを減少させる車両の説明図、図13はヨーイングエネルギを減少させる左右動力配分制御ルーチンのフローチャート、図14は前輪舵角制御と制動制御でヨーイングエネルギを減少させる車両におけるヨーイングエネルギを減少させる前輪舵角制御・制動制御ルーチンのフローチャートである。
【0013】
図2において、符号1はセンターディファレンシャル装置および自動変速装置を有する4輪駆動車を一例とする車両を示し、車両前部に配置されたエンジン2による駆動力は、このエンジン2後方の自動変速装置(トルクコンバータ等も含んで図示)3からセンターディファレンシャル装置4に伝達され、このセンターディファレンシャル装置4から、リヤドライブ軸5、プロペラシャフト6、ドライブピニオン7を介して後輪終減速装置8に入力される一方、上記センターディファレンシャル装置4から、フロントドライブ軸9を介して前輪終減速装置10に入力されるように構成されている。ここで、上記自動変速装置3、センターディファレンシャル装置4および前輪終減速装置10等は、一体に図示しないケース内に設けられている。
【0014】
上記後輪終減速装置8に入力された駆動力は、後輪左ドライブ軸11rlを経て左後輪12rlに、後輪右ドライブ軸11rrを経て右後輪12rrに伝達される一方、上記前輪終減速装置10に入力された駆動力は、前輪左ドライブ軸11flを経て左前輪12flに、前輪右ドライブ軸11frを経て右前輪12frに伝達されるようになっている。
【0015】
また、ドライバにより操作されるステアリングホイール13は、パワーステアリング機構を有する前輪操舵部14に接続され、上記ステアリングホイール13の操作により上記左前輪12fl,右前輪12frが所定に転舵されるようになっている。
【0016】
一方、符号15は車両のブレーキ駆動部を示し、このブレーキ駆動部15には、ドライバにより操作されるブレーキペダル16と接続されたマスターシリンダ17が接続されており、ドライバが上記ブレーキペダル16を操作すると上記マスターシリンダ17により、上記ブレーキ駆動部15を通じて、4輪12fl,12fr,12rl,12rrの各ホイールシリンダ(左前輪ホイールシリンダ18fl,右前輪ホイールシリンダ18fr,左後輪ホイールシリンダ18rl,右後輪ホイールシリンダ18rr)にブレーキ圧が導入され、これにより4輪にブレーキがかかって制動されるように構成されている。
【0017】
上記ブレーキ駆動部15は、加圧源、減圧弁、増圧弁等を備えたハイドロリックユニットで、入力信号に応じて、上記各ホイールシリンダ18fl,18fr,18rl,18rrに対して、それぞれ独立にブレーキ圧を導入自在に形成されている。
【0018】
上記各車輪12fl,12fr,12rl,12rrは、それぞれの車輪速度が車輪速センサ21(左前輪速度センサ21fl,右前輪速度センサ21fr,左後輪速度センサ21rl,右後輪速度センサ21rr)により検出されるようになっており、これら車輪速度の信号は、後述する制御装置30に入力されるようになっている。
【0019】
さらに、車両1にはハンドル角センサ22、ヨーレートセンサ23、横加速度センサ24が設けられており、これら各センサからのハンドル角θf、実際のヨーレートγ、横加速度Gyの信号は上記制御装置30に入力されるようになっている。
【0020】
上記制御装置30は、マイクロコンピュータとその周辺回路で形成された制御装置で、上述の如く、上記車輪速センサ21、ハンドル角センサ22、ヨーレートセンサ23および上記横加速度センサ24からの各信号が入力され、上記ブレーキ駆動部15に対して駆動信号を出力する。
【0021】
上記制御装置30は、図1に示すように、車速算出部31,すべり角推定部32,路面摩擦係数推定部33,ヨーイングエネルギ算出部34,判定値演算部35,判定部36および駆動制御部37から主要に構成されている。
【0022】
上記車速算出部31は、上記車輪速センサ21から各車輪速度の信号が入力され、これらの信号を予め設定しておいた数式で演算して(例えば、各車輪速度の平均を算出して)車速Vを求め、上記すべり角推定部32,路面摩擦係数推定部33,判定値演算部35に出力するように形成されている。
【0023】
上記すべり角推定部32は、上記ヨーレートセンサ23,横加速度センサ24と上記車速算出部31からの信号(実ヨーレートγ,横加速度Gy,車速V)を基に以下の(1)式によりすべり角βを推定するようになっている。
【0024】
ここで、関数f(t) のtによる積分を、INT{f(t)}dtで表わすと、
β=INT{Gy/V−γ}dt …(1)
尚、すべり角βは、上記(1)式を基に算出するものに限ることなく、例えば直接横すべり角βを検出可能なすべり角センサ等を用いて検出するようにしてもよい。
【0025】
このすべり角推定部32で推定されたすべり角βは上記ヨーイングエネルギ算出部34に入力されるようになっている。
【0026】
上記路面摩擦係数推定部33は、上記ハンドル角センサ22、ヨーレートセンサ23と上記車速算出部31からの信号(ハンドル角θf,実ヨーレートγ,車速V)が入力され、路面摩擦係数μを推定して、上記ヨーイングエネルギ算出部34と判定値演算部35に出力するようになっている。
【0027】
ここで、路面摩擦係数μは、例えば、本出願人が、特開平8−2274号公報で提案した路面摩擦係数μの推定方法で演算する。この路面摩擦係数推定方法は、ハンドル角θf、車速V、実ヨーレートγにより車両の横運動の運動方程式に基づき前後輪のコーナリングパワを非線形域に拡張して推定し、高μ路(μ=1.0)での前後輪の等価コーナリングパワに対する上記推定した前後輪のコーナリングパワの比から路面摩擦係数μを推定するものである。
【0028】
尚、上記車輪速センサ21,ハンドル角センサ22,ヨーレートセンサ23,横加速度センサ24および上記車速算出部31,すべり角推定部32,路面摩擦係数推定部33は、車両の運動状態を検出する状態検出手段としてのものである。
【0029】
上記ヨーイングエネルギ算出部34は、上記ヨーレートセンサ23と上記すべり角推定部32,路面摩擦係数推定部33からの各信号(実ヨーレートγ,すべり角β,路面摩擦係数μ)が入力され、これら車両の運動状態と車両諸元に基づき車両の回転方向の力学的エネルギをヨーイングエネルギとして算出し、上記判定部36と上記駆動制御部37に出力するヨーイングエネルギ算出手段として形成されている。
【0030】
次に、ヨーイングエネルギについて説明する。一般に、車両の有する運動エネルギは、並進方向の力学的エネルギと回転方向の力学的エネルギの和で表され、この和は一定であるとして考えることができる。これは、車両が直進するのに消費されるエネルギと車両が旋回又はスピン等により消費されるエネルギの和が一定であることを示す。
【0031】
例えば、車両が直進している場合には、エンジンから出力されるエネルギが全て並進方向に使われることになり、この時のヨーイング方向の力学的エネルギは0である。しかし、並進方向と同じアクセルペダルの踏み込み量でも、旋回運動の増大を伴う場合にはスピードが落ちる。
【0032】
これは、エンジンから出力されるエネルギが全て並進方向に使われずに、並進方向と回転方向に分散されるためである。この回転方向の力学的エネルギをヨーイングエネルギとして算出する。
【0033】
次に、ヨーイングエネルギの算出方法について説明する。
車両があるすべり角βをもって旋回する場合には、タイヤと接地面の間に発生する摩擦力のうち進行方向に直角に働く力としてコーナリングフォースが発生する。尚、すべり角1度あたりのコーナリングフォース(前輪側コーナリングフォースCFf,後輪側コーナリングフォースCFr)がコーナリングパワKとして求められるため、タイヤに働くコーナリングフォースCFf,CFrは、
CFf=K・β
CFr=K・β
ただし、ハンドル角が直進固定(前輪と後輪のすべり角βが等しくなる)とし、前後輪のコーナリングパワKが等しいものとする。
【0034】
ここで、前方側にエンジン等を搭載している車両では、前軸偏重(重心から後軸までの長さLr>重心から前軸までの長さLf)となるため、車両重心に対して前輪側には回転を促す方向に、後輪側には回転を抑えようとする方向に復元モーメントM0が発生する。
【0035】
すなわち、
この復元モーメントM0は、すべり角が0からβに変化したときに、すべり角を戻そうと働くため、すべり角がβから0に戻るときは、K・β・(Lr−Lf)の力を出しながら車体を回す仕事をするものと考えられる。従って、この復元モーメントM0は、タイヤがすべり角として蓄えているエネルギを表すものとして考えられる。
【0036】
また、車両がすべり角を持って旋回する場合には、車両重心を中心としたヨーレートが発生する。このヨーレートと復元モーメントM0は、車両重心を中心として働き、あるヨーレートが発生することですべり角が発生し、すべり角に応じて復元モーメントM0が発生するということになる。すなわち、ヨーレートが発生した場合に、ヨーレートにより発生するすべり角に応じてタイヤにエネルギが蓄えられると考えることができる。
【0037】
この運動をねじりバネ系として置き換えて考えると、ねじりバネ系では力学的エネルギが、
として求められる。
【0038】
ここで、ばねの変位角をすべり角、バネ定数をコーナリングパワとすることで、ヨーイング方向の車両の持つ運動エネルギ、位置エネルギはそれぞれ、
(運動エネルギ)=(1/2)・Iz・γ・γ
(位置エネルギ)=(1/2)・K・(Lr−Lf)・β・β
として求めることができる。
【0039】
すなわち、車両のヨーイングエネルギEyは、
で与えられる。
【0040】
従って、ヨーイングエネルギEyは、ヨーレートの発生により車両に蓄えられる回転方向へのエネルギと考えることができる。本発明では、このエネルギの大きさにより車両状態(すなわち、車両が将来スピン等を起こし得るエネルギを持っているか)を判断する。
【0041】
上記判定値演算部35は、上記車速算出部31,路面摩擦係数推定部33からの各信号(車速V,路面摩擦係数μ)が入力され、車両の安定状態と不安定状態の判定(上記判定部36での処理)に用いる判定値E0を車速Vと路面摩擦係数μで補正して演算し、上記判定部36と上記駆動制御部37に出力するようになっている。
【0042】
ここで、判定値E0は、例えば以下の(4)式で設定する。
E0=Eb・Eμ・Ev …(4)
上記Ebは、予め設定しておいた基準値で、例えば、すべり角βが5度を振幅とする振動状態(すべり角が5度でこの際のヨーレートγが0となる振動状態)を安定限界として考え定めるとすると、すべり角βをラジアン単位とすれば、
Eb=(1/2)・K・(Lr−Lf)・(5/57.3)2
また、上記(4)式中、Eμは、路面摩擦係数μに応じた補正係数で、図3(a)に示すように、路面が低μ路になるほど補正係数Eμは小さくなるようになっており、路面が低μ路ほど判定値E0が小さく補正される。このため、低μ路ほど車両が不安定状態であると判定されやすく、速やかに走行安定性を向上させる制御が行われる。
【0043】
さらに、上記(4)式中、Evは、車速Vに応じた補正係数で、図3(b)に示すように、高速になるほど補正係数Evは小さくなるようになっており、高速走行の場合ほど判定値E0が小さく補正される。このため、高速走行の場合ほどわずかな車両挙動の変化であっても車両が不安定状態であると判定されやすく、高速走行での走行安定性を向上させる制御が行われる。
【0044】
尚、本発明の実施の形態のように、判定値E0を路面摩擦係数μ,車速Vの両方に応じて補正するのではなく、どちらか一方で補正するようにしても良く、また、演算の簡素化等のために判定値E0を補正することなく設定するようにしても良い。
【0045】
上記判定部36は、上記ヨーイングエネルギ算出部34から車両のヨーイングエネルギEyを、上記判定値演算部35から判定値E0を読み込んで上記ヨーイングエネルギEyと上記判定値E0とを比較し、上記ヨーイングエネルギEyが上記判定値E0を超える際に車両が不安定状態と判定して、上記駆動制御部37に出力するものである。
【0046】
すなわち、本発明の実施の形態では、上記判定値演算部35と上記判定部36で判定手段が形成されている。
【0047】
上記駆動制御部37は、上記ヨーイングエネルギ算出部34から車両のヨーイングエネルギEy,上記判定値演算部35から判定値E0,上記判定部36から判定結果を読み込み、上記判定部36で車両が不安定状態と判定した際に、ヨーイングエネルギEyが減少する方向に所定に駆動装置(ここでは前記ブレーキ駆動部15を一例とする)を作動させる駆動制御手段としてのものである。
【0048】
具体的には、ヨーイングエネルギEyが判定値E0を超えた分を余剰エネルギEsとし、この余剰エネルギEsを目標ヨーモーメントMtに変換して制御を行う。
【0049】
Es=Ey−E0 …(5)
Mt=±(k1・Es+k2・INT{Es}dt +k3・(dEs/dt)) …(6)
但し、k1,k2,k3はゲインで、符号はヨーイングエネルギEyが減少する方向、すなわちヨーレートγと反対向きとする。
【0050】
そして、上記駆動制御部37は、上記目標ヨーモーメントMtから以下の(7)式により目標制動力FBを算出し、旋回方向に対して外側前輪に制動力を付加する。
FB=Mt/(d/2) …(7)
ここで、dは車両のトレッドである。
【0051】
尚、本発明の実施の形態では、制動力は旋回方向に対して外側前輪に付加するものであるが旋回方向に対して外側後輪に付加するものであっても良い。
【0052】
次に、上記構成の作用について、図4および図5のフローチャートで説明する。図4は車両運動制御のフローチャートで、まず、ステップ(以下「S」と略称)101で、車輪速センサ21から各車輪の車輪速度,ハンドル角センサ22からハンドル角θf,ヨーレートセンサ23から実ヨーレートγ,横加速度センサ24から横加速度Gyの信号を読み込む。
【0053】
次いで、S102に進み、車速算出部31で(例えば、各車輪速度の平均を算出して)車速Vを算出し、S103に進んで、すべり角推定部32ですべり角βを実ヨーレートγ,横加速度Gy,車速Vから前記(1)式により推定し、S104に進み、路面摩擦係数推定部33で路面摩擦係数μをハンドル角θf,実ヨーレートγ,車速Vから前述の推定方法で推定する。
【0054】
次に、S105に進み、ヨーイングエネルギ算出部34でヨーイングエネルギEyを実ヨーレートγ,すべり角β,路面摩擦係数μと車両諸元に基づき前記(3)式で算出し、S106に進んで、判定値演算部35で判定値E0を前記(4)式により基準値Ebを車速Vと路面摩擦係数μで補正して演算する。
【0055】
その後、S107に進み、車両挙動が不安定か否か判定する。この判定は、判定部36で、上記ヨーイングエネルギEyが上記判定値E0を超えているか否かにより行われ、上記ヨーイングエネルギEyが上記判定値E0内(Ey≦E0)の場合は車両挙動は安定状態であると判定して再び上記S101へと戻り、上記ヨーイングエネルギEyが上記判定値E0を超えている(Ey>E0)場合は車両挙動は不安定状態であると判定してS108に進み、上記ヨーイングエネルギEyを減少方向に駆動制御して(ブレーキ駆動部15を後述のヨーイングエネルギ減少の制動制御ルーチンに従って動作させて)プログラムを抜ける。
【0056】
図5は上記S108で車両挙動は不安定状態であると判定された際に駆動制御部37で実行されるヨーイングエネルギを減少させる制動制御ルーチンのフローチャートで、まず、S201で上記ヨーイングエネルギEyと上記判定値E0により、前記(5)式に従って余剰エネルギEsを算出し、S202に進み、この余剰エネルギEsから前記(6)式により目標ヨーモーメントMtを算出する。
【0057】
そして、S203に進んで、上記目標ヨーモーメントMtを基に前記(7)式で制動力FBを演算し、S204に進み、実ヨーレートγが0より大きい(左旋回方向の実ヨーレートγ)か、0以下(右旋回方向の実ヨーレートγ)か判定する。
【0058】
上記S204で、実ヨーレートγが0より大きい(左旋回方向の実ヨーレートγ)場合はS205に進み、右前輪を上記S203で演算した制動力FBで制動させヨーイングエネルギを減少させる。
【0059】
一方、上記S204で、実ヨーレートγが0以下(右旋回方向の実ヨーレートγ)の場合はS206に進み、左前輪を上記S203で演算した制動力FBで制動させヨーイングエネルギを減少させる。
【0060】
このように、本発明の実施の形態によれば、車両のヨー慣性を考慮した簡単な演算式によって将来の不安定な車両挙動を察知し、制動制御することで速やか、かつ、的確に、この不安定な挙動を適切に抑止して車両挙動を安定させることができる。
【0061】
尚、上記判定部36で車両が不安定状態と判定した際に、ヨーイングエネルギEyが減少する方向に動作する装置は上述の制動制御に限るものではない。例えば、駆動制御部37は、図1中の破線で示すように、上記判定部36で車両が不安定状態と判定した際に、ヨーイングエネルギEyが減少する方向に前輪操舵モータ駆動部40を作動させるものであっても良い。
【0062】
図6、図7はこの前輪舵角制御の例を示すもので、図6は前輪舵角制御でヨーイングエネルギを減少させる車両の説明図、図7はヨーイングエネルギを減少させる前輪舵角制御ルーチンのフローチャートである。
【0063】
図6に示す車両1では、前記前輪操舵部14は、ステアリングホイール13で操作される機構に加え、前記制御装置30の駆動制御部37により制御される前輪操舵モータ駆動部40で駆動される前輪操舵モータ41が設けられており、この前輪操舵モータ41により前記左前輪12fl,右前輪12frを転舵可能になっている。
【0064】
図7は車両挙動は不安定状態であると判定された際に駆動制御部37で実行されるヨーイングエネルギを減少させる前輪舵角制御ルーチンのフローチャートで、まず、S301で前記ヨーイングエネルギEyと前記判定値E0により、前記(5)式に従って余剰エネルギEsを算出し、S302に進み、この余剰エネルギEsから前記(6)式により目標ヨーモーメントMtを算出する。
【0065】
そして、S303に進み、実ヨーレートγが0より大きい(左旋回方向の実ヨーレートγ)か、0以下(右旋回方向の実ヨーレートγ)か判定する。
【0066】
上記S303で実ヨーレートγが0より大きい(左旋回方向の実ヨーレートγ)場合はS304に進み、上記S302で演算した目標ヨーモーメントMt、現在のハンドル角θf、車速V等に基づき、予め設定しておいた式、マップ等により右方向への前輪操舵量を算出し、S305に進んで、右方向に上記操舵量で操舵する。
【0067】
一方、上記S303で実ヨーレートγが0以下(右旋回方向の実ヨーレートγ)の場合はS306に進み、上記S302で演算した目標ヨーモーメントMt、現在のハンドル角θf、車速V等に基づき、予め設定しておいた式、マップ等により左方向への前輪操舵量を算出し、S307に進んで、左方向に上記操舵量で操舵する。
【0068】
すなわち、前輪舵角制御ではヨーレートと反対方向に操舵するように制御するのである。
【0069】
また、例えば、駆動制御部37は、図1中の他の破線で示すように、上記判定部36で車両が不安定状態と判定した際に、ヨーイングエネルギEyが減少する方向に後輪操舵モータ駆動部45を作動させるものであっても良い。
【0070】
図8、図9はこの後輪舵角制御の例を示すもので、図8は後輪舵角制御でヨーイングエネルギを減少させる車両の説明図、図9はヨーイングエネルギを減少させる後輪舵角制御ルーチンのフローチャートである。
【0071】
図8に示す車両1では、後輪側に後輪12rl,12rrの舵角を可変自在な後輪操舵部44が設けられている。
【0072】
そして上記後輪操舵部44には、前記制御装置30の駆動制御部37により制御される後輪操舵モータ駆動部45で駆動される後輪操舵モータ46が設けられており、この後輪操舵モータ46による動力が、ウォーム・ウォームホィール、リンク機構を介して伝達され、上記左後輪12rl,右後輪12rrを転舵するようになっている。
【0073】
図9は車両挙動は不安定状態であると判定された際に駆動制御部37で実行されるヨーイングエネルギを減少させる後輪舵角制御ルーチンのフローチャートで、まず、S401で前記ヨーイングエネルギEyと前記判定値E0により、前記(5)式に従って余剰エネルギEsを算出し、S402に進み、この余剰エネルギEsから前記(6)式により目標ヨーモーメントMtを算出する。
【0074】
そして、S403に進み、実ヨーレートγが0より大きい(左旋回方向の実ヨーレートγ)か、0以下(右旋回方向の実ヨーレートγ)か判定する。
【0075】
上記S403で実ヨーレートγが0より大きい(左旋回方向の実ヨーレートγ)場合はS404に進み、上記S402で演算した目標ヨーモーメントMt、現在のハンドル角θf、後輪舵角δr、車速V等に基づき、予め設定しておいた式、マップ等により左方向への後輪操舵量を算出し、S405に進んで、左方向に上記操舵量で操舵する。
【0076】
一方、上記S403で実ヨーレートγが0以下(右旋回方向の実ヨーレートγ)の場合はS406に進み、上記S402で演算した目標ヨーモーメントMt、現在のハンドル角θf、車速V等に基づき、予め設定しておいた式、マップ等により右方向への後輪操舵量を算出し、S407に進んで、右方向に上記操舵量で操舵する。
【0077】
すなわち、後輪舵角制御ではヨーレートと同じ方向に操舵するように制御するのである。
【0078】
さらに、例えば、駆動制御部37は、図1中のさらに他の破線で示すように、上記判定部36で車両が不安定状態と判定した際に、ヨーイングエネルギEyが減少する方向に左右差動制限クラッチ作動部50を作動させるものであっても良い。
【0079】
図10、図11はこの左右差動制限制御の例を示すもので、図10は左右差動制限制御でヨーイングエネルギを減少させる車両の説明図、図11はヨーイングエネルギを減少させる左右差動制限制御ルーチンのフローチャートである。
【0080】
図10に示す車両(後輪側の終減速装置8の部分のみ図示)では、後輪終減速装置8は、例えばリングギヤの無い複合プラネタリギヤ式に構成されており、回転自在に保持されたディファレンシャルケース51の外周にはクラウンギヤ52が設けられ、前記ドライブピニオン7による駆動力は、このクラウンギヤ52を介して上記ディファレンシャルケース51に伝達されるようになっている。
【0081】
上記ディファレンシャルケース51内には、左側部分がクラッチドラム53aとして円筒状に形成されたキャリヤ54が回転自在に配設されており、このキャリヤ54内に前記後輪右ドライブ軸11rrが挿通されて上記キャリヤ54と結合されている。
【0082】
また、上記ディファレンシャルケース51内には、上記ディファレンシャルケース51に結合された大径の第1のサンギヤ55が設けられ、小径の第1のピニオン56と噛合して第1の歯車列が形成されている。
【0083】
さらに、上記ディファレンシャルケース51内には、前記後輪左ドライブ軸11rlが挿通され、この後輪左ドライブ軸11rlの先端には小径の第2のサンギヤ57が形成されており、この第2のサンギヤ57が大径の第2のピニオン58と噛合して第2の歯車列が形成されている。
【0084】
上記第1のピニオン56と上記第2のピニオン58はピニオン部材59に一体に形成されており、複数(例えば3個)の上記ピニオン部材59が、キャリア54に設けた固定軸に回転自在に軸支されている。
【0085】
また、上記後輪左ドライブ軸11rlの上記キャリヤ54のクラッチドラム53aに対向する位置にはクラッチハブ53bが設けられ、これらクラッチドラム53a、クラッチハブ53bにそれぞれドライブプレート、ドリブンプレートが複数交互に設けられて油圧多板クラッチ53が形成されている。
【0086】
この油圧多板クラッチ53は、図示しないピストン,押圧プレート等により、前記制御装置30の駆動制御部37で制御される左右差動制限クラッチ作動部50により油圧室の油圧が可変押圧され動作させられる。尚、この左右差動制限クラッチ作動部50は、モータ、オイルポンプ、複数の弁を有する油圧装置で構成される(油圧関連部分については説明を省略する)。
【0087】
すなわち、上記後輪終減速装置8は、上記ドライブピニオン7からの駆動力を、クラウンギヤ52、ディファレンシャルケース51を介して第1のサンギヤ55に伝達し、上記第2のサンギヤ57から上記後輪左ドライブ軸11rlへ出力する一方、上記キャリヤ54から上記後輪右ドライブ軸11rrへ出力する複合プラネタリ式の差動制限制御装置で構成するとともに、一方の出力側である後輪左ドライブ軸11rlと他方の出力側であるキャリヤ54との間に摩擦力が可変制御される油圧多板クラッチ53を介装させた構造となっている。
【0088】
そして、複合プラネタリ式の差動制限制御装置部分で発生される入力トルクに比例した差動制限トルクに加え、必要に応じて油圧多板クラッチが差動制限トルクを加えて最適な差動制限トルクが発生されるようになっている。
【0089】
上記複合プラネタリ式の差動制限制御装置の部分は、上記第1,第2のサンギヤ55,57およびこれらサンギヤ55,57の周囲に複数個配置される上記第1,第2のピニオン56,58の歯数を適切に設定することで差動機能を有する。
【0090】
また、上記第1,第2のサンギヤ55,57と上記第1,第2のピニオン56,58との噛み合いピッチ円半径を適切に設定することで、基準トルク配分が左右50:50の等トルク配分の機能を有する。
【0091】
さらに、上記第1,第2のサンギヤ55,57と上記第1,第2のピニオン56,58とを例えばはすば歯車にし、上記第1の歯車列と上記第2の歯車列のねじれ角を異にしてスラスト荷重を相殺させることなくスラスト荷重を残留させ上記ピニオン部材59の両端で発生する摩擦トルクを、上記第1,第2のピニオン56,58と上記キャリア54に設けた固定軸の表面に噛み合いによる分離、接線荷重の合成力が作用し、摩擦トルクが生じるように設定して、入力トルクに比例した差動制限トルクを得られるようにすることで、この差動制限装置自体によっても差動制限機能が得られるようになっている。
【0092】
このため、上記左右差動制限クラッチ作動部50により上記油圧多板クラッチ53が開放された状態では、基準トルク配分、すなわち左右50:50の等トルク配分で滑らかに差動が行われる一方、上記油圧多板クラッチ53が連結されると、左右輪間の差動が制限され、スリップが防止されて安定した傾向の走行になる。
【0093】
図10は車両挙動は不安定状態であると判定された際に駆動制御部37で実行されるヨーイングエネルギを減少させる左右差動制限制御ルーチンのフローチャートで、まず、S501で前記ヨーイングエネルギEyと前記判定値E0により、前記(5)式に従って余剰エネルギEsを算出し、S502に進み、この余剰エネルギEsから前記(6)式により目標ヨーモーメントMtを算出する。
【0094】
そして、S503に進み、上記目標ヨーモーメントMt等を基に、予め実験等により設定しておいたマップを参照して必要なクラッチトルクを求め、S504に進んで、上記クラッチトルクで上記油圧多板クラッチ53を締結させる。
【0095】
このように、左右差動制限制御では車両挙動は不安定状態であると判定された際に左右輪間の差動を制限することで、旋回内側車輪の駆動力を増加させ、安定方向にするのである。
【0096】
尚、この左右差動制限制御での制御は後輪に限るものではなく、前輪で、あるいは、前後輪で行うようにしても良い。
【0097】
また、例えば、駆動制御部37は、図1中のまたさらに他の破線で示すように、上記判定部36で車両が不安定状態と判定した際に、ヨーイングエネルギEyが減少する方向に左右動力配分クラッチ作動部60を作動させるものであっても良い。
【0098】
図12、図13はこの左右動力配分制御の例を示すもので、図12は左右動力配分制御でヨーイングエネルギを減少させる車両の説明図、図13はヨーイングエネルギを減少させる左右動力配分制御ルーチンのフローチャートである。
【0099】
図12に示す車両(後輪側の終減速装置8の部分のみ図示)では、後輪終減速装置8は、例えばリングギヤの無い複合プラネタリギヤ式の差動制限機構部61と、3列の歯車機構部62と、クラッチ機構部63とで構成されている。
【0100】
上記差動制限機構部61は、回転自在に保持されたディファレンシャルケース64の外周にはクラウンギヤ65が設けられ、前記ドライブピニオン7による駆動力は、このクラウンギヤ65を介して上記ディファレンシャルケース64に伝達されるようになっている。
【0101】
上記ディファレンシャルケース64内には、右側部分が上記ディファレンシャルケース64の外側で上記歯車機構部62の第1の歯車75と連結された円筒状のキャリヤ66が回転自在に配設されており、このキャリヤ66内に前記後輪左ドライブ軸11rlが挿通されて上記キャリヤ66と結合されている。
【0102】
また、上記ディファレンシャルケース64内には、上記ディファレンシャルケース64に結合された大径の第1のサンギヤ67が設けられ、小径の第1のピニオン68と噛合して第1の歯車列が形成されている。
【0103】
さらに、上記ディファレンシャルケース64内には、前記後輪右ドライブ軸11rrが挿通され、この後輪右ドライブ軸11rrの先端には小径の第2のサンギヤ69が形成されており、この第2のサンギヤ69が大径の第2のピニオン70と噛合して第2の歯車列が形成されている。
【0104】
上記第1のピニオン68と上記第2のピニオン70はピニオン部材71に一体に形成されており、複数(例えば3個)の上記ピニオン部材71が、キャリア66に設けた固定軸に回転自在に軸支されている。
【0105】
すなわち、上記後輪終減速装置8の差動制限機構部61は、上記ドライブピニオン7からの駆動力を、クラウンギヤ65、ディファレンシャルケース64を介して第1のサンギヤ67に伝達し、上記第2のサンギヤ69から上記後輪右ドライブ軸11rrへ出力する一方、上記キャリヤ66から上記後輪左ドライブ軸11rlへ出力する複合プラネタリ式の差動制限制御装置に構成されている。
【0106】
そして、上記複合プラネタリ式の差動制限制御装置の部分は、上記第1,第2のサンギヤ67,69およびこれらサンギヤ67,69の周囲に複数個配置される上記第1,第2のピニオン68,70の歯数を適切に設定することで差動機能を有する。
【0107】
また、上記第1,第2のサンギヤ67,69と上記第1,第2のピニオン68,70との噛み合いピッチ円半径を適切に設定することで、基準トルク配分が左右50:50の等トルク配分の機能を有する。
【0108】
さらに、上記第1,第2のサンギヤ67,69と上記第1,第2のピニオン68,70とを例えばはすば歯車にし、上記第1の歯車列と上記第2の歯車列のねじれ角を異にしてスラスト荷重を相殺させることなくスラスト荷重を残留させ上記ピニオン部材71の両端で発生する摩擦トルクを、上記第1,第2のピニオン68,70と上記キャリア66に設けた固定軸の表面に噛み合いによる分離、接線荷重の合成力が作用し、摩擦トルクが生じるように設定して、入力トルクに比例した差動制限トルクを得られるようにすることで、この差動制限装置自体によっても差動制限機能が得られるようになっている。
【0109】
また、上記歯車機構部62は、上記キャリア66と連結された第1の歯車75の外側(右後輪12rr側)には、増速回転歯車として第2の歯車76が、またこの第2の歯車76の外側には減速回転歯車として第3の歯車77が併設され、これら第2,第3の歯車76,77は上記後輪右ドライブ軸11rrに固定されている。
【0110】
上記各第1,2,3の歯車75,76,77は、それぞれ、上記第1,2,3の歯車75,76,77の回転軸芯と平行な同一回転軸芯上に並設された第4,5,6の歯車78,79,80と噛合されている。すなわち、上記第4の歯車78の歯車軸78aの外側には上記第5の歯車79の歯車軸79aが、さらにこの第5の歯車79の歯車軸79aの外側には上記第6の歯車80の歯車軸80aが、それぞれ回転自在に設けられ、これら各歯車軸78a,79a,80aの他端部は上記クラッチ機構部63の後述する各部が形成されている。
【0111】
このように上記歯車機構部62は、上記第1の歯車75と上記第4の歯車78による第1の歯車列と、上記第2の歯車76と上記第5の歯車79による第2の歯車列と、上記第3の歯車77と上記第6の歯車80による第3の歯車列の3つの歯車列から構成されている。
【0112】
そして、上記各歯車列のそれぞれのギヤ比は、上記第1,2,3,4,5,6の歯車75,76,77,78,79,80の歯数をそれぞれz1,z2,z3,z4,z5,z6として、第1の歯車列は、z4/z1=0.9、第2の歯車列は、z5/z2=0.9×0.9、第3の歯車列は、z6/z3=1に設定され、各ギヤ比を大きい順にならべると、1(第3の歯車列のギヤ比),0.9(第1の歯車列のギヤ比),0.9×0.9(第2の歯車列のギヤ比)で、ステップ比が0.9の一定になっている。尚、この値は他の値に設定しても良い。
【0113】
上記クラッチ機構部63は、2つのクラッチ81,82を並設して構成するもので、上記第4の歯車78の歯車軸78aの端部に設けたクラッチドラム78b内で上記第5の歯車79の歯車軸79aの端部に形成したクラッチハブ79bとの間にそれぞれドライブプレート、ドリブンプレートを複数交互に設けて第1のクラッチ81を形成するとともに、上記クラッチドラム78b内の開口側で上記第6の歯車80の歯車軸80aの端部に形成したクラッチハブ80bとの間にそれぞれドライブプレート、ドリブンプレートを複数交互に設けて第2のクラッチ82を形成する。
【0114】
上記2つのクラッチ81,82は、図示しないピストン,押圧プレート等により、前記制御装置30の駆動制御部37で制御される左右動力配分クラッチ作動部60により独立に油圧室の油圧が可変押圧され動作させられる。尚、この左右動力配分クラッチ作動部60は、モータ、オイルポンプ、複数の弁を有する油圧装置で構成される(油圧関連部分については説明を省略する)。
【0115】
従って、上記歯車機構部62と上記クラッチ機構部63で行われる駆動力配分は、上記後輪右ドライブ軸11rrに駆動力が多く配分されるようにして左旋回性能を向上させるには、上記第2のクラッチ82に関し、作動する油圧、摩擦面の動摩擦係数(摩擦面の相対回転速度で決まる動摩擦係数)、摩擦面の枚数(多板クラッチの枚数×2)、有効半径等により決定されるクラッチのスリップトルクをTk2、上記キャリヤ66から第1の歯車列に流出する駆動力をTldとすると、
Tld×(z4/z1)=Tk2 …(8)
の関係が成り立つ。
【0116】
上記第2のクラッチ82の伝達トルクTk2は、第3の歯車列を介して上記後輪右ドライブ軸11rrに伝達されるため、上記第2のサンギヤ69の駆動力をTr、上記キャリヤ66の駆動力をTlとして、
右輪側駆動力=Tr+(Tk2×(z3/z6)) …(9)
左輪側駆動力=Tl−Tld=Tl−(Tk2×(z1 /z4 ))…(10)
で配分される。
【0117】
上記(9),(10)式に、各歯車列のギヤ比、z4/z1=0.9、z6/z3=1を代入すると、次のようになる。
右輪側駆動力=Tr+Tk2
左輪側駆動力=Tl−(Tk2 /0.9)
また、上記後輪左ドライブ軸11rlに駆動力が多く配分されるようにして右旋回性能を向上させるには、第1のクラッチ81に関し、作動する油圧、摩擦面の動摩擦係数(摩擦面の相対回転速度で決まる動摩擦係数)、摩擦面の枚数(多板クラッチの枚数×2)、有効半径等により決定されるクラッチのスリップトルクをTk1、上記第2のサンギヤ69から第2の歯車列に流出する駆動力をTrdとすると、
Trd×(z5/z2)=Tk1 …(11)
の関係が成り立つ。
【0118】
上記第1のクラッチ81の伝達トルクTk1は、第1の歯車列を介すため、
左輪側駆動力=Tl+(Tk1×(z1/z4)) …(12)
右輪側駆動力=Tr−Trd=Tr−(Tk1×(z2/z5))…(13)
で配分される。
【0119】
上記(12),(13)式に、前述の各歯車列のギヤ比、z4/z1=0.9、z5 /z2 =0.9×0.9を代入すると、次のようになる。
左輪側駆動力=Tl+Tk1
右輪側駆動力=Tr−(Tk1 /0.9×0.9)
図13は車両挙動は不安定状態であると判定された際に駆動制御部37で実行されるヨーイングエネルギを減少させる左右動力配分制御ルーチンのフローチャートで、まず、S601で前記ヨーイングエネルギEyと前記判定値E0により、前記(5)式に従って余剰エネルギEsを算出し、S602に進み、この余剰エネルギEsから前記(6)式により目標ヨーモーメントMtを算出する。
【0120】
そして、S603に進み、実ヨーレートγが0より大きい(左旋回方向の実ヨーレートγ)か、0以下(右旋回方向の実ヨーレートγ)か判定する。
【0121】
上記S603で実ヨーレートγが0より大きい(左旋回方向の実ヨーレートγ)場合はS604に進み、上記S602で演算した目標ヨーモーメントMt等を基に予め実験等により設定しておいたマップを参照して左側車輪の動力配分を増加する(第2のクラッチ82を締結させる)クラッチトルクを算出する。
【0122】
そして、S605に進んで、上記クラッチトルクで上記第2のクラッチ82を締結させる。
【0123】
一方、上記603で実ヨーレートγが0以下(右旋回方向の実ヨーレートγ)の場合はS606に進み、上記S602で演算した目標ヨーモーメントMt等を基に予め実験等により設定しておいたマップを参照して右側車輪の動力配分を増加する(第1のクラッチ81を締結させる)クラッチトルクを算出する。
【0124】
そして、S607に進んで、上記クラッチトルクで上記第1のクラッチ81を締結させる。
【0125】
このように、左右動力配分制御では車両挙動は不安定状態であると判定された際に、旋回内側車輪の駆動力を増加させて安定方向にするのである。
【0126】
尚、この左右動力配分制御での制御は後輪に限るものではなく、前輪で、あるいは、前後輪で行うようにしても良い。
【0127】
上述に例示したヨーイングエネルギEyを減少させる方法は、単独で実行させることに限らず互いに組み合わせて実行させることも可能である。
【0128】
図14は前輪舵角制御と制動制御とを組み合わせて行う場合の一例を示すもので、車両挙動は不安定状態であると判定された際に駆動制御部37で実行されるヨーイングエネルギを減少させる前輪舵角制御・制動制御ルーチンのフローチャートである。
【0129】
まず、S701で前記ヨーイングエネルギEyと前記判定値E0により、前記(5)式に従って余剰エネルギEsを算出し、S702に進み、この余剰エネルギEsから前記(6)式により目標ヨーモーメントMtを算出する。
【0130】
そして、S703に進み、実ヨーレートγが0より大きい(左旋回方向の実ヨーレートγ)か、0以下(右旋回方向の実ヨーレートγ)か判定する。
【0131】
上記S703で実ヨーレートγが0より大きい(左旋回方向の実ヨーレートγ)場合はS704に進み、上記S702で演算した目標ヨーモーメントMt、現在のハンドル角θf、車速V等に基づき、予め設定しておいた式、マップ等により右方向への前輪操舵量を算出し、S705に進む。
【0132】
上記S705では、上記S704で設定した前輪操舵量に基づく前輪舵角が設定値、例えばフル転舵の80%の舵角内か否か判定する。
【0133】
そして、上記S705で上記設定値内と判定した場合は、S706に進み、そのまま上記S704で算出した前輪操舵量で右方向に操舵してルーチンを抜ける。
【0134】
また、上記S705で上記設定値を超えると判定した場合は、S707に進んで、上記S702で算出した目標ヨーモーメントMtを基に前記(7)式で制動力FBを演算した後、S708に進み、右前輪を上記制動力FBで制動させヨーイングエネルギを減少させる。
【0135】
すなわち、前輪はドライバにより操舵されるため、操舵されている舵角によっては必要な操舵量を得ることができない場合がある。従って前輪舵角と設定値とを比較し(S705)、現在の前輪舵角が設定値内ならば前輪舵角制御で十分ヨーイングエネルギEyを減少させることが可能なため前輪舵角制御を実行してルーチンを抜け(S706)、一方、現在の前輪舵角が設定値を超える場合は、ドライバによる操舵のため既に前輪舵角制御ではヨーイングエネルギEyを減少させることが困難と判定し、ヨーイングエネルギEyを減少させるのに必要な制動力を求めて制動制御を実行する(S707,S708)のである。
【0136】
一方、上記S703で実ヨーレートγが0以下(右旋回方向の実ヨーレートγ)場合はS709に進み、上記S702で演算した目標ヨーモーメントMt、現在のハンドル角θf、車速V等に基づき、予め設定しておいた式、マップ等により左方向への前輪操舵量を算出し、S710に進む。
【0137】
上記S710では、上記S709で設定した前輪操舵量に基づく前輪舵角が設定値、例えばフル転舵の80%の舵角内か否か判定する。
【0138】
そして、上記S710で上記設定値内と判定した場合は、S711に進み、そのまま上記S709で算出した前輪操舵量で左方向に操舵してルーチンを抜ける。
【0139】
また、上記S710で上記設定値を超えると判定した場合は、S712に進んで、上記S702で算出した目標ヨーモーメントMtを基に前記(7)式で制動力FBを演算した後、S713に進み、左前輪を上記制動力FBで制動させヨーイングエネルギを減少させる。
【0140】
このように2つの制御を組み合わせてヨーイングエネルギEyを減少することにより、互いの制御の及ばない部分での制御が確実に行え、信頼性をより向上させることが可能である。
【0141】
尚、上述のヨーイングエネルギを減少させる各方法では、ヨーモーメントMtを算出して、このヨーモーメントMtを基本にそれぞれの制御量(制動力、前輪操舵量、後輪操舵量、クラッチトルク)を定めるようにしているが、これに限定することなくそれぞれの制御に適した他の方法で各制御量を設定しても良い。
【0142】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、車両のヨー慣性を考慮した簡単な演算式によって将来の不安定な車両挙動を察知し、駆動制御することで速やか、かつ、的確に、この不安定な挙動を適切に抑止して車両挙動を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両運動制御装置の機能ブロック図
【図2】車両運動制御装置を搭載した車両の概略構成を示す説明図
【図3】判定値に対する補正係数の説明図
【図4】車両運動制御のフローチャート
【図5】ヨーイングエネルギを減少させる制動制御ルーチンのフローチャート
【図6】前輪舵角制御でヨーイングエネルギを減少させる車両の説明図
【図7】ヨーイングエネルギを減少させる前輪舵角制御ルーチンのフローチャート
【図8】後輪舵角制御でヨーイングエネルギを減少させる車両の説明図
【図9】ヨーイングエネルギを減少させる後輪舵角制御ルーチンのフローチャート
【図10】左右差動制限制御でヨーイングエネルギを減少させる車両の説明図
【図11】ヨーイングエネルギを減少させる左右差動制限制御ルーチンのフローチャート
【図12】左右動力配分制御でヨーイングエネルギを減少させる車両の説明図
【図13】ヨーイングエネルギを減少させる左右動力配分制御ルーチンのフローチャート
【図14】前輪舵角制御と制動制御でヨーイングエネルギを減少させる車両におけるヨーイングエネルギを減少させる前輪舵角制御・制動制御ルーチンのフローチャート
【符号の説明】
1 車両
15 ブレーキ駆動部(駆動装置)
21 車輪速センサ(状態検出手段)
22 ハンドル角センサ(状態検出手段)
23 ヨーレートセンサ(状態検出手段)
24 横加速度センサ(状態検出手段)
30 制御装置
31 車速算出部(状態検出手段)
32 すべり角推定部(状態検出手段)
33 路面摩擦係数推定部(状態検出手段)
34 ヨーイングエネルギ算出部(ヨーイングエネルギ算出手段)
35 判定値演算部(判定手段)
36 判定部(判定手段)
37 駆動制御部(駆動制御手段)
40 前輪操舵モータ駆動部(駆動装置)
45 後輪操舵モータ駆動部(駆動装置)
50 左右差動制限クラッチ作動部(駆動装置)
60 左右動力配分クラッチ作動部(駆動装置)
Claims (3)
- 車両の運動状態を検出する状態検出手段と、車両の運動状態と車両諸元に基づき車両の回転方向の力学的エネルギをヨーイングエネルギとして、少なくともすべり角に基づく運動エネルギと位置エネルギとから算出するヨーイングエネルギ算出手段と、上記ヨーイングエネルギと予め設定する判定値とを比較して上記ヨーイングエネルギが上記判定値を超える際に車両が不安定状態と判定する判定手段と、上記判定手段で車両が不安定状態と判定した際にヨーイングエネルギが減少する方向に所定に駆動装置を作動させる駆動制御手段とを備えたことを特徴とする車両運動制御装置。
- 上記判定手段での上記判定値は、路面摩擦係数と車速の少なくとも一方に応じて補正した値を予め設定することを特徴とする請求項1記載の車両運動制御装置。
- 上記駆動制御手段で作動させる駆動装置は、前輪を操舵する前輪操舵装置と後輪を操舵する後輪操舵装置と各選択した車輪に独立に制動力を付加する制動装置と各選択した車輪の駆動力を増加させる駆動力増加装置の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両運動制御装置。
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