JP3827010B2 - ホタル石無添加lf処理方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
この発明は、溶鋼の二次精錬工程である取鍋精錬炉(以下LF)処理方法に係り、詳記すれば、ホタル石無添加でホタル石使用時と同等の処理ができるLF処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、LF処理では、図1に示すように、(1)電気炉出鋼中に取鍋内へ造滓剤(製鋼用生石灰(以下生石灰))にホタル石、アルミ灰、SiC等を混合しブリケット化したもの)を添加し、(2)LF処理初期に取鍋内へ脱酸剤(アルミ、アルミ灰、SiC、ホタル石等を混合しブリケット化したもの)を添加し、(3)生石灰添加量やスラグの状態に応じて更にホタル石を添加していた。
【0003】
ホタル石を添加する目的は、生石灰滓化促進(低融点化による溶融促進)とスラグ流動性促進(スラグ・メタル反応促進)であり、添加の結果、溶鋼脱硫と脱酸が促進され、処理時間が短縮すると共に、スラグの介在物吸収能力が向上し、清浄度の向上と連続鋳造(以下CC)工程におけるノズル閉塞トラブル防止が達せられる。
【0004】
しかしながら、ホタル石はフッ素を多量(35〜40重量%程度)に含有している。このため製鋼スラグへフッ素が混入し、製鋼スラグを土木用資材や土壌改質材としてリサイクルする場合、周辺土壌へフッ素が溶出する。フッ素は、人の健康保護の観点から、環境基本法の水質環境基準および土壌環境基準において0.8mg/リットル以下と定められており、製鋼スラグがリサイクルされる状況で、これらの基準を超える汚染を引き起こさないことが求められる。そればかりか、取鍋内へホタル石を添加すると、取鍋耐火物の溶損が助長される問題も生じる。
【0005】
上記基準を厳守するためには、(1)ごく少量の添加でも、スラグ組成によっては基準値を超えてしまうことと、(2)スラグ中へフッ素固定剤を添加する方法もあるが長期安定性が未確認であること、から現状ではホタル石を無添加にする必要がある。
【0006】
しかして、ホタル石を無添加とした場合、(a)生石灰の滓化が困難となる、(b)スラグの流動性が確保できない、(c)そのため脱酸、脱硫の進行が遅れ、処理時間が延長する、(d)スラグの介在物吸収能力が低下し、鋼中介在物、CCノズル閉塞の発生が増加する、等の問題が生じる。
【0007】
カルシウムアルミネート系脱硫剤については、従来から公知である(例えば特許文献1参照)が、該特許文献は、カルシウムアルミネート自体の融点低下のための成分変更に関する内容が開示されているにすぎず、LF処理法自体の内容は開示されていない。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−60832号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明は、この様な点に着目してなされたものであり段落[0002]に記述の(1)〜(3)の全ての工程においてホタル石無添加として、上記(a)〜(d)の問題が生じないようにしたLF処理方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的に沿う本発明のうち請求項1に記載の発明は、電気炉出鋼中に、取鍋内へ、CaO、Al2O3、Al、SiO2及びMgOを含む、溶鋼で滓化して十分に溶融状態となるように組成を選択した複合造滓剤を混合して、LF処理初期のスラグが低融点の組成領域となるようにし、ついで、生石灰、カルシウムアルミネート及び脱酸剤をスラグが溶融状態で且つ流動性が高い状態に維持するように添加することを特徴とする。
【0012】
前記複合造滓剤の組成は、LF処理初期のスラグが、CaO―Al2O3―SiO2状態図で融点1500℃以下となるように選択するのが良い(請求項2)。
【0013】
複合造滓剤の組成は具体的には、CaO50〜70重量%、Al2O310〜20重量%、Al2〜6重量%、SiO23〜10重量%及びMgO5〜10重量%とするのが好ましい(請求項3)。
【0014】
LF処理初期のスラグを低融点の組成領域となるようにするには、ゲーレナイト領域(2CaO・Al2O3・SiO2)になるように前記複合造滓剤を添加するのが良い(請求項4)。
【0015】
LF処理初期のスラグ組成は、具体的には、CaO35〜50重量%、Al2O325〜40重量%、SiO215〜35重量%とするのが良い(請求項5)。
【0016】
本発明に使用する脱酸剤としては、CaO、Al2O3、Al、SiO2及びSiを含有するのが好ましい(請求項6)。
【0017】
前記脱酸剤の組成は具体的には、CaO35〜45重量%、Al2O32〜20重量%、Al20〜30重量%、SiO22〜5重量%及びSi3〜10重量%とするのが良い(請求項7)。
【0018】
前記カルシウムアルミネートは、融点1400℃以下であり、粒度35mm以下のものを使用するのが良い(請求項8)。
【0019】
前記カルシウムアルミネートは、化合物形態CaO・Al2O3のプリメルト品が好ましい(請求項9)。
【0020】
前記カルシウムアルミネートの組成は、CaO45〜60重量%、Al2O335〜45重量%、及びSiO20〜10重量%を含有するものが好ましい(請求項10)。
【0021】
前記カルシウムアルミネート添加後、生石灰を添加し、流動性が悪化した状態で、カルシウムアルミネートと脱酸剤をスラグが溶融状態且つ流動性が高い状態に維持するように添加するのが、短時間で処理できることから好ましい(請求項11)。
【0022】
LF処理最終スラグ組成は具体的には、CaO45〜60重量%、Al2O325〜40重量%、SiO210〜20重量%とするのが好ましい(請求項12)。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
ホタル石を無添加とした場合に生じる、(a)生石灰の滓化が困難となる、(b)スラグの流動性が確保できない、(c)そのため脱酸、脱硫の進行が遅れ、処理時間が延長する、(d)スラグの介在物吸収能力が低下し、鋼中介在物、CCノズル閉塞の発生が増加する、問題を解決するため、LF処理初期におけるスラグの低融点組成化、流動性向上による生石灰滓化促進、脱酸・脱硫促進を図った。
【0025】
まず第一に、従来の操業における、生石灰もしくはホタル石を配合した複合造滓剤の代わりとして、ホタル石を含まずCaO、Al2O3、Al、SiO2及びMgOを含み、溶鋼で滓化して十分に溶融状態となるように組成を選択した新たな複合造滓剤を、電気炉出鋼中の取鍋内に添加する。上記組成の各成分量は、LF処理初期のスラグが、CaO―Al2O3―SiO2状態図で融点1500℃以下となるように選択する。
【0026】
複合造滓剤の組成は具体的には、主としてAl2O3及びSiO2源を従来のものより増量し、CaO50〜70重量%、Al2O3:10〜20重量%、Al:2〜6重量%、SiO2:3〜10重量%及びMgO:5〜10重量%とするのが好ましい。
【0027】
上記成分以外に、M−Si(脱酸剤として配合したフェロシリコン合金中のSi分):0〜3重量%、SiC:0〜5重量%、F.C(脱酸剤として配合するコークス粉末等の固定炭素分):0〜5重量%程度配合させても良い。
【0028】
このように複合造滓剤を配合して、LF処理初期のスラグが低融点の組成領域となるようにする。本発明で低融点の組成領域というのは、ゲーレナイト領域(2CaO・Al2O3・SiO2)のことである。
【0029】
具体的には、LF処理初期のスラグ組成が、CaO35〜50重量%、Al2O325〜40重量%、SiO215〜35重量%となるようにするのが好ましい。
【0030】
それから、LF処理を開始する。生石灰を300kg以上添加する必要があると判断した場合やスラグの流動性が悪いと判断した場合は、まずカルシウムアルミネートを添加する。ホタル石よりも溶融が遅いカルシウムアルミネートも、処理開始時のような溶融状態(FeOが多く低融点)のスラグに添加することで容易に溶融させることができる。その後、ホタル石を含有しない脱酸剤を必要に応じて添加する。(生石灰添加量が300kg未満の場合で、かつ、スラグの流動性が良好と判断した場合は、カルシウムアルミネートは添加せずに最初からホタル石を含有しない脱酸剤を必要に応じて添加する。)添加量や添加有無は、取鍋内のスラグ量や溶鋼中酸素濃度、脱硫の程度による。
【0031】
その後は、スラグの状態が溶融状態を維持できるように注意しながら生石灰を添加する。流動性が悪化してきた段階で生石灰添加を中断し、滓化不良となる前に、スラグの融点が低下するようにカルシウムアルミネートや脱酸剤を添加する。その後に残りの生石灰を添加する。このような順序で造滓材を添加することによって、常に滓化状態かつ流動性が良好な状態を維持することができ、結果的に処理初期の脱硫が促進されることが実験により判明した。
【0032】
本発明に使用する脱酸剤は、この種の目的に使用されているものはいずれも使用できるが、ホタル石を含まずCaO、Al2O3、Al、SiO2及びSiを含有する脱酸剤を使用するのが好ましい。この脱酸剤は、脱酸後にスラグが低融点でかつ流動性が高い組成となるように、主として、Al2O3、SiO2源を従来のものより増量する。
【0033】
脱酸剤の組成は具体的には、CaO:35〜45重量%、Al2O3:2〜20重量%、Al:20〜30重量%、SiO2:2〜5重量%及びSi:3〜10重量%を含有するのが好ましい。
【0034】
カルシウムアルミネートは、融点1400℃以下、粒度35mm以下で、化合物形態CaO・Al2O3のプリメルト品が好ましい
【0035】
カルシウムアルミネートの組成は、CaO45〜60重量%、Al2O335〜45重量%、及びSiO20〜10重量%を含有するようにするのが良い。
【0036】
LF処理最終スラグを溶融状態且つ流動性が高い状態に維持するためには、その組成が、CaO45〜60重量%、Al2O325〜40重量%、SiO210〜20重量%であるのが好ましい。
【0037】
次に、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0038】
【実施例】
実施例1:ホタル石無添加の複合造滓剤の組成の検討
LF処理をホタル石無添加にすると、LF処理負荷は増加することから、LF処理の負荷軽減を考慮して、滓化性、流動性向上及び脱酸力向上の検討を行った。次表1に示す組成A〜Eの複合造滓剤を調整し、投入量及び投入方法は従来と同様にして、電気炉出鋼中に取鍋内へ添加して試験した、出鋼直後のスラグ流動性、LF初期脱硫状況及びCCノズル閉塞発生状況を確認した。尚、比較のため従来使用している複合造滓剤についても同様にして試験した。
【0039】
【表1】
[試験結果]
(試験品A)
(a)滓化性、流動性は、従来品と比較して良好であった。
(b)白煙が大量に発生し、電気炉出鋼口の清掃作業や取鍋のクレーン玉がけ等の作業に支障が生じた。
(c)出鋼後、取鍋内でスラグが大きく膨張した。
(d)複合造滓剤1トンに対し、初期投入生石灰400kg程度までは、ホタル石を添加せずに滓化可能であった。
【0040】
(試験品B:白煙対策)
(a)投入時の反応は、現行品よりも大きく、反応時間も長い。M−Siを無配合としたことで、白煙は軽減されたが現行品よりは大きかった。
(b)滓化性は良好であった。投入直後の流動性は、従来品より良好であった。
(c)出鋼後、取鍋内でスラグが大きく膨張した。
(d)複合造滓剤1トンに対し、初期投入生石灰400kg程度までは、ホタル石を添加せずに滓化可能であった。
【0041】
(試験品C:スラグ膨張対策)
(a)SiCとF,Cを無添加としたことで、スラグ膨張を大幅に軽減できた。
(b)滓化性、流動性は、従来品と同程度であったが、試験品A,Bと比較して悪化した。
【0042】
スラグ膨張対策に効果が確認できたことと、滓化性、流動性等の使用状況は、従来品と同等の結果が得られたことから、試験品Cのセミランニング使用を開始した。
【0043】
セミランニング使用期間中、CCでのノズル閉塞発生やノズル閉塞を予防するためのCa−Siワイヤー添加頻度の増加が問題となった。原因調査の結果、複合造滓剤のM−Al(金属アルミ分)増量が影響している可能性が高いと判断し、再度配合変更を実施した。
【0044】
(試験品D:絞り対策)
(a)絞りの原因は、複合造滓剤中のM−Alと推定し、M−Alを半減した結果、脱酸力不足のため脱酸材使用量が増加し、Ca―Si添加率は低減できなかった。
(b)さらに滓化性、流動性悪く、LF処理時間は延長した。
【0045】
(試験品E:絞り対策及び流動性確保)
上記結果から、最終的に脱酸力を確保した上での絞り対策が必要と判断し、再度SiCを微粉化して配合(出鋼後のスラグ膨張軽減を狙い、微粉化による反応速度向上を図った)した。また、造滓材使用量が予想以上に増加したことに対応し、スラグの流動性向上も考慮した。
(a)SiC及びSiO2増により、滓化性、流動性は大幅に向上した。
(b)CCでの絞り発生頻度およびCa―Si添加率は、ホタル石使用時と同等のレベルまで低減した。
(c)図2に従来法と試験品Eとの脱硫状況のグラフを示す。全体的に本発明の試験品Eは、図2に示すように、従来法よりも早い。Al無添加の低硫黄含有鋼([S]≦0.020%)においても、本発明方法においては、処理時間を延長することなく処理できている。脱酸力向上と滓化性向上の効果である。
(d)表2に示すように、従来法と比較して、本発明の試験品Eは、造滓材使用量(特に脱酸剤)を大幅に低減できた。
【0046】
本発明の複合造滓剤の改良のポイントは、スラグの滓化性向上を狙ってAl2O3を増量し、低融点としたことと、LF処理負荷軽減を目的に、M−Al、M−Si及びSiCを増量して脱酸力を向上させたことにある。本発明の複合造滓剤は、CaO50〜70重量%、Al2O3:10〜20重量%、Al:2〜6重量%、SiO2:3〜10重量%及びMgO:5〜10重量%であれば、本発明品Eと同様の効果を示すことが実験により確認されている。
【0047】
【表2】
尚、造滓剤原単位とは、熔溶鋼1tを造るに要した造滓剤の重量(kg)
実施例2:ホタル石無添加の脱酸剤の検討
表3に記載の配合の試験品a(本発明品)、試験品b及び試験品cを調整し、従来と同様にLF処理をし、脱酸状況、脱硫状況、スラグ滓化状況及び流動性を確認した。尚、比較のため従来使用しているホタル石を含有する脱酸剤についても同様にして試験した。
【0048】
試験品a(本発明品)は、ホタル石分を生石灰に置き換えた以外は、従来品と同じ組成にし、試験品bは、滓化性、流動性機能向上のためAl2O3の配合を増加させ、試験品cは、スラグ膨張対策のため炭素(C)無配合としたものである。
【0049】
【表3】
[試験結果]
図3に、試験品a〜cと従来品試験時の脱硫推移のグラフを示す。
【0050】
(試験品a:本発明品)
(a)脱酸状況は、スラグの状態から判断して従来品使用の場合と同程度であった。
(b)ホタル石無添加化の影響は特に確認されず、全ての鋼種において従来品と同等に処理可能であった。
(c)試験実施中、CCでのノズル閉塞は確認されなかった。
(d)使用上の問題は全く無く、従来品との切替は可能と判断される。
【0051】
(試験品b)
(a)Al2O3増量により滓化性やスラグ流動性は良好となったが、脱酸の進行は明らかに従来品より遅かった。通常時と比較して溶鋼中の炭素含有量[C]及び溶鋼中の珪素含有量[Si]の歩留まりが高かったことから、脱酸力向上を目的として添加したSiCが脱酸に寄与していないことが考えられる。
【0052】
(試験品c)
(a)脱酸状況、滓化状況は、ともに良好であったが、脱硫の持続性は、他試験品と比較して若干高い傾向にあった。しかし、Al無添加鋼(鋼中Al濃度が0〜0.050%で、脱酸目的以外にAlを添加しない鋼種)において、CCでノズル閉塞トラブルが頻発し、Ca−Siワイヤーを添加して対応せざるを得ない状況であった。状況から判断して、Al無添加鋼への使用は困難であると判断する。
【0053】
以上、試験品aについてはホタル石含有従来品と遜色ない使用状況であった。特にホタル石無添加の複合造滓剤との併用であれば、一部鋼種(低硫黄含有鋼種)を除きホタル石無添加で処理可能である。脱酸剤の組成は、CaO:35〜45重量%、Al2O3:2〜20重量%、Al:20〜30重量%、SiO2:2〜5重量%及びSi:3〜10重量%であれば、本発明の試験品aと同様の効果を示すことが実験により確認されている。
【0054】
実施例3:ホタル石代替品の検討
低硫黄含有鋼をLF処理する場合の様に生石灰投入量が多いときや、電気炉からLFへの持ち込みスラグが少ない場合の様に、複合造滓剤の滓化が不十分となりやすいときには、滓化促進、流動性向上等のホタル石同様の機能を持った代替品が必要不可欠である。そこで表4に記載の代替品について、投入量及び投入方法はホタル石と同様にして試験した。出鋼直後のスラグ流動性、LF初期脱硫状況及びCCノズル閉塞発生状況を確認した。尚、比較のため従来使用している複合造滓剤についても同様にして試験した。滓化状況(滓化速度、生石灰滓化能力、流動性)、造滓剤(生石灰、脱酸剤、ホタル石代替品)使用量及び脱硫推移を確認した。尚、試験に供した代替品は、(a)フッ素を含有しない、(b)低融点組成である、(c)生石灰滓化促進機能がある、(d)スラグ粘性低下(流動性向上)機能があることを選定条件とした。 試験の評価結果を次表5に、図4に各試験品の脱硫推移のグラフを示す。
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
は従来品より良好、△は従来品と同等、×は従来品より悪い を表す。
【0057】
CaO・SiO3(ワラストナイト)
プリメルト品は、溶融はするものの滓化速度は、ホタル石と比較にならないほど遅い。天然鉱物の破砕品に関しては、極めて溶融が遅く、長時間スラグ上に固まりが確認された。いずれもホタル石と同様の使用方法は困難である。
【0058】
CaO・Al2O3・SiO2(低融点組成混合品)
ある程度滓化が進行した状態で投入すれば溶融するが、処理初期のような状態での滓化は極めて遅い。当然脱硫の進行も遅く、処理時間延長となる傾向にあった。
【0059】
CaO・Al2O3(カルシウムアルミネート)
焼成品、プリメルト品のいずれも、滓化性、流動性は、比較的良好な結果が得られた。溶融速度は、焼成品に比べプリメルト品のほうが若干早い傾向にあった。但し、いずれもホタル石と比べれば、完全に溶融して流動性が得られるのに若干時間と温度を要した。処理初期の生石灰投入前に投入することで、比較的短時間で対応が可能である。よって、カルシウムアルミネートによるホタル石の代用は可能である。
【0060】
以上、複合造滓剤、脱酸剤及びカルシウムアルミネート(好ましくはプリメルト品)を使用することによって、ホタル石無添加で、ホタル石使用時と同等のLF処理ができることが確認された。
【0061】
従来法によるスラグでは、平成3年環境庁告示第46号法により1〜20mg/リットル程度のフッ素溶出が確認されたが、本発明によるスラグでは、フッ素溶出ゼロを達成した。
【0062】
従来の操業方法でホタル石不使用にすると、ホタル石使用時の1.5倍程度の処理時間が必要になるが、本発明によれば、スラグ組成コントロールによりスラグの低融点化流動性向上を達成したことにより、ホタル石使用時とほぼ同等の脱酸・脱硫速度を確保することができ、同等の時間での処理が可能となった。
【0063】
LF処理初期の滓化促進とスラグの低融点領域コントロールにより、スラグへの介在物浮上除去の促進、介在物の低融点化が図られ、CCでのノズル閉塞トラブルが解消できた。
【0064】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明によれば、ホタル石無添加でホタル石使用時と同等のLF処理ができるという従来解決できなかった課題を解決したものであるから、極めて画期的な発明である。それと共に、製鋼スラグをリサイクルする場合にも、フッ素溶出基準が土壌環境基準を超える恐れをなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の複合造滓剤、脱酸剤、生石灰及びホタル石の使用時期を示す図である。
【図2】従来の複合造滓剤を使用した場合と本発明の複合造滓剤を使用した場合との脱硫状況を示すグラフである。
【図3】本発明の還元脱酸剤(試験品a)、比較脱酸剤(試験品b及びc)及び従来品との脱硫推移を示すグラフである。
【図4】本発明のカルシウムアルミネートと他のホタル石代替品とを使用した場合の脱硫推移を示すグラフである。
【図5】本発明の複合造滓剤、脱酸剤、生石灰およびカルシウムアルミネートの使用時期を示す図である。
Claims (12)
- 電気炉出鋼中に、取鍋内へ、CaO、Al2O3、Al、SiO2及びMgOを含む、溶鋼で滓化して十分に溶融状態となるように組成を選択した複合造滓剤を混合して、取鍋精錬炉処理初期のスラグが低融点の組成領域となるようにし、ついで、生石灰、カルシウムアルミネート及び脱酸剤をスラグが溶融状態且つ流動性が高い状態に維持するように添加することを特徴とするホタル石無添加LF処理方法。
- 前記LF処理初期のスラグが、CaO―Al2O3―SiO2状態図で融点1500℃以下となるように、前記複合造滓剤の組成を選択する請求項1記載の処理方法。
- 前記複合造滓剤は、CaO50〜70重量%、Al2O310〜20重量%、Al2〜6重量%、SiO23〜10重量%及びMgO5〜10重量%である請求項1又は2記載の処理方法。
- 前記LF処理初期のスラグが、ゲーレナイト領域(2CaO・Al2O3・SiO2)になるように前記複合造滓剤を添加する請求項1〜3のいずれかに記載の処理方法。
- 前記LF処理初期のスラグ組成が、CaO35〜50重量%、Al2O325〜40重量%、SiO215〜35重量%である請求項1〜4のいずれかに記載の処理方法。
- 前記脱酸剤が、CaO、Al2O3、Al、SiO2及びSiを含有する請求項1〜5のいずれかに記載の処理方法。
- 前記脱酸剤の組成が、CaO35〜45重量%、Al2O32〜20重量%、Al20〜30重量%、SiO22〜5重量%及びSi3〜10重量%を含有する請求項6記載の処理方法。
- 前記カルシウムアルミネートは、融点1400℃以下であり、粒度35mm以下である請求項1〜7のいずれかに記載の処理方法。
- 前記カルシウムアルミネートは、化合物形態CaO・Al2O3のプリメルト品である請求項1〜8のいずれかに記載の処理方法。
- 前記カルシウムアルミネートの組成は、CaO45〜60重量%、Al2O335〜45重量%及びSiO20〜10重量%を含有する請求項1〜9のいずれかに記載の処理方法。
- 前記カルシウムアルミネート添加後、生石灰を添加し、流動性が悪化した状態で、カルシウムアルミネートと脱酸剤をスラグが溶融状態且つ流動性が高い状態に維持するように添加する請求項1〜10のいずれかに記載の処理方法。
- 前記LF処理最終スラグ組成が、CaO45〜60重量%、Al2O325〜40重量%、SiO210〜20重量%である請求項1〜11のいずれかに記載の処理方法。
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