JP3823083B2 - 基板組立装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は基板貼合装置に係り、特に、減圧チャンバ内で貼り合わせる基板同士をそれぞれ保持して対向し、間隔を狭めて貼り合せる液晶表示パネルなどの組立に好適な基板組立装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示パネルの製造には、透明電極や薄膜トランジスタアレイを設けた2枚のガラス基板を数μm程度の極めて接近した間隔をもって基板の周縁部に設けた接着剤(以下、シール剤ともいう)で貼り合せ(以後、貼り合せ後の基板をセルと呼ぶ)、それによって形成される空間に液晶を封止する工程がある。
【0003】
この液晶の封止には、注入口を設けないようにシール剤をクローズしたパターンに描画した一方の基板上に液晶を滴下しておいて、真空チャンバ内において他方の基板を一方の基板上に配置し、上下の基板を接近させて貼り合せる特開2000−284295号公報で提案された方法などがある。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−284295号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開2000−284295号公報になる従来技術では、真空中での基板の保持を下側の基板は平坦なステージに載置しているが、上側の基板は大気状態では負圧により吸引吸着し、所定の真空状態になると静電気力による静電吸着で基板を保持する構成としている。ところで、最近では基板サイズが1m×1m以上の大型になり、かつ基板の厚みも0.7mmから0.63mm、0.5mmと薄型化になる傾向がある。そのため、基板を加圧板(上テーブルで)吸着保持する際、基板の撓みにより中央部基板周辺部と、基板中央部の基板と加圧板の間隔が大きくなり、基板を基板搬入手段から基板を加圧板が受け渡される際に、基板を保持できなくなる場合が発生する。特に大画面の基板を保持する場合には基板の中央部には配向膜やTFT等が形成されているため、基板の周辺部しか支持できず基板の撓みを防ぐことは困難である。また、基板を保持搬送するロボットハンド指部も長くなり基板を保持するときに先端側が撓んで、やはりロボットハンド先端側の基板と加圧板の間隔が大きくなり基板を吸着できなくなる。このため、大型基板に対する上記問題を解決しなければ、正確な貼り合せを行うことができなくなる。
【0006】
また、基板の中央部が撓んでいる状態で、基板の中央部と両端部から吸着していくと、中央部付近(把持している間の部分)に残留応力が発生すると共に、基準マーク(位置合わせマーク)の位置がずれた状態で基板を保持する場合が発生し貼り合せ精度を低下することになる。
【0007】
それゆえ本発明の目的は、基板が大型化しても基板を確実に保持でき、かつ貼り合せを高精度かつ高速に行うことができ、生産性が高い基板組立装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、減圧雰囲気にするためのチャンバと、前記チャンバ内に一方の基板を保持し上下に移動可能に構成した加圧板と、前記加圧板に保持された基板に対向して間隔を空けて他方の基板を保持する基板保持テーブルと、前記基板保持テーブルを駆動して、前記一方の基板と他方の基板の位置合わせを行い、前記加圧板を上下に駆動して基板間の間隔を狭め、前記基板のどちらか一方に設けた接着剤により減圧雰囲気中で貼り合せを行う基板組立て装置において、前記加圧板に基板を保持するために負圧による複数の吸着孔と、複数の静電吸着機構とに加え、加圧板の中央部付近に上下動可能な複数の吸着パッドを設けた構成とした。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図に基づいて説明する。
【0010】
図1において、基板組立装置は、下チャンバT1部と上チャンバT2部から構成されている。上チャンバT2部には、上側テーブル2(以後加圧板と称する場合もある)が、上チャンバT2を貫通する支持脚3および複数の調整脚4により上下方向に移動可能に備えられている。支持脚3はOリング5により、また調整脚4は溶接ベローズ6により上チャンバT2内部が大気に連通しないように遮断している。上側テーブル2の支持脚3および調整脚4は加圧ベース板7に固定されている。
【0011】
さらに、この加圧ベース板7の中央部が中間ベース板8に固定されている。中間ベース板8は天井フレーム9に取り付けられた駆動モータ10および減速機11、およびボールネジ12から構成される駆動機構を動作させることにより、ボールスプラインガイド13をガイドとして上下に移動可能に構成されている。また、架台1上にボールスプラインガイドとは別に設けた支持柱により天井フレーム9が支持さている。加圧ベース板7に一端が固定された各調整脚4の他端側は、中間ベース板8に取付けた駆動モータ14により駆動されるボールネジ15に連結されている。この駆動モータ14とボールネジ15からなる上下調整機構を駆動して、加圧ベース板7に力を作用させることにより上側テーブル2を平坦度を保持しながら上下に移動することができる。
【0012】
なお、上チャンバT2は加圧ベース板7間を結合する締結機構を備えており、上チャンバT2を下チャンバT1と切り離す場合に、この締結機構を動作させて加圧ベース板と上チャンバT2とを一体化して、駆動モータ10を動作させて上方向に持ち上げるようにしてある。
【0013】
また、チャンバ内に基板の搬入・搬出を行なうためのドアバルブ16が上チャンバT2の側方外壁側に設置されている。さらにドアバルブ16の対向する上チャンバ側壁の位置には、イオン化超音波エアーを基板表面に吹き付けることで、基板の除電を行うことが出来るようにイオナイザ17を設置してある。さらに、チャンバ外側のドアバルブ16の近傍にもイオナイザ17aが設けてあり、これにより、ドアを開いた状態でイオン化エアーを吹き付けることで基板の除電効果を上げることが出来る。
【0014】
上チャンバT2の上面外壁には、複数個のブッシュ構造のサブガイド18がチャンバ内にセンタ軸19を突出して設けてある。このセンタ軸19は、上側テーブル2の外周に設けた突出部に設けた穴に契合して上側テーブル2の水平方向の調整を行うことが出来る。すなわち、上側テーブル2の水平調整機構としてサブガイド18とセンタ軸19が動作する。
【0015】
上チャンバT2には、基板マーク観測用の複数の観測窓が設けてある。この観測窓にカメラの鏡筒21を挿入して、基板に設けたマークをカメラにより認識する。カメラの鏡筒21は、水平方向(X、Y方向)移動軸および垂直方向(Z方向)の移動軸を備えた移動ステージ上に設置されており、その移動ステージは上チャンバT2上に固定してある。さらに、上側テーブル2には、基板マーク認識用の穴が、上記観測窓と対応する位置に設けてある。
【0016】
本実施形態ではカメラをチャンバの外に配置する構成としたが、このカメラを上側テーブル2に直接取付けた構成とすることで、カメラを基板に近づけて配置でき、カメラによるマーク認識精度を向上が向上し、基板間の位置合わせ精度を向上できる。
【0017】
さらに、基板への加圧力を測定するために、支持脚3の中間ベース板8とボールネジの間にロードセル22を設けてある。また、上テーブルの平坦度を調整する際に、各調整脚4を駆動するモータ14が過負荷とならないようにモニタするために、加圧ベース板7上の各調整脚毎にロードセル23をそれぞれ設けてある。
【0018】
下チャンバT1内には下側テーブル24が固定されている。この下側テーブル24は、全面を下チャンバT1に接合固定すると、減圧時に下チャンバT1が変形した場合に、その変形を受け平坦度がずれる恐れがある。そのため、下チャンバT1の変形の影響を受けないように周辺部のみを固定している。また、下チャンバT1の全周には、後述するシールリング25を配置し、上チャンバT2が接触し、且つドアバルブ16が閉じた状態では内部が機密となり減圧室が構成される。
【0019】
下チャンバT1は、モータ26と図示していないボールネジおよび、回転ベアリング27により回転駆動するように構成したθベーステーブル28の上に設置してある。θベーステーブル28と下チャンバT1の締結には、箱型部材介在させて所定のスペースを確保できるようにしてある。このスペースは下チャンバT1の下側にUV照射機構40や基板保持爪昇降機構41、基板リフト機構42を取付けるために設けたものである。θベーステーブル28はYテーブル32上に回転ベアリング27を介して取付けてある。また、Yテーブル32はXテーブル33に設けたリニアレール上をモータ29により移動できるように設置されている。さらにXテーブル33は架台1側に設けたリニアレール上をモータ30を駆動することで移動できるように設けてある。
【0020】
また、上チャンバT2を下チャンバT1に接触して減圧室を構成したときに、シールリング25の潰れ量を一定にするため、θベーステーブル28の外周部上に複数個の上チャンバ用のボールベア34と、アジャスト機構付きの受け座35を設けてある。これらのボールベア34と受け座35で上チャンバ部T2の下降位置を調整している。
【0021】
さらにθベーステーブル28が変形しないように、θベーステーブル28の外周部を支持するように、装置ベース(架台)1上に固定した部材に複数個のθベースプレート28用のボールベア37と、アジャスト機構つきの受け座38を設けてある。これでθベースプレート28からの荷重を受けている。このように、チャンバ用のボールベア34と、θベーステーブル用のボールベア37との2段で上下チャンバの周囲の荷重を受けるように構成
したため、チャンバの変形を小さく抑えることができる。
【0022】
下チャンバT1にはマーク認識を行なうための複数の透過照明39を設け、下側テーブル24の対応する位置に穴をあけてある。さらに、下チャンバT1内には、貼合せた基板がずれないようにUV接着剤を潰して硬化させるために、複数の加圧・UV照射機構40を設けてある。さらに、基板の搬入・搬出を行なう際、基板の幅方向の撓みを防ぐための保持爪昇降機構41や、ロボットハンドの撓み、ならびに前後方向の基板の撓みを防ぐための回転昇降ピンや、貼り合せた基板を昇降するための基板リフト機構43がそれぞれ設けてある。
【0023】
下側テーブル24には、加圧・UV照射機構40が下側テーブル24内を上下に移動出来るように穴が設けてある。なお、加圧・UV照射機構40は、回転昇降ピンを兼用できるようにしてある。また基板リフト機構43が上下に移動できるように、基板支持側に溝(切り欠き部)がそれぞれ設けてある。基板の搬入及び搬出の際に、この基板リフト機構43を動作させて基板下面側にロボットハンドが挿入できるようにしている。これらの穴、あるいは溝は、下チャンバT1に下側テーブル24を固定してあるため、最小の余裕代を設けるのみでよい。
【0024】
さらに、加圧・UV照射機構40と、保持爪昇降機構41と、基板リフト機構42とは、それぞれ下チャンバT1を貫通する上下移動機構を持つているが、下チャンバT1とこれら上下移動機構部との間にOリングが設けてあり、これにより気密を保つ構造としている。
【0025】
減圧状態での上側テーブル2による上側基板の保持機構は、静電チャックにより電気的に保持する機構、あるいは粘着材により物理的に保持する機構のいずれでも良い。静電チャックにより電気的に保持する場合には、印加電圧を切断し、一定の除電時間後に上側テーブル2を上昇することにより、上側テーブル2による保持を中断できる。また、粘着材により保持する場合には、上側基板を機械的に下側の基板に押し付ける複数のピンを設けておき、ピンを下側に押し付けた状態で上側テーブル2のみを上昇することにより上側の基板の保持を中断できる。
【0026】
他方減圧状態での下側テーブル24による下側基板の保持機構も同様に、静電チャックにより電気的に保持する静電吸着機構を備えた方法、あるいは粘着材により物理的に保持する粘着保持機構を備えた方法のいずれでも良い。上側テーブル2と下側テーブル24の吸着方法の組み合わせは、上側テーブル2、下側テーブル24いずれも静電チャックとするか、上側テーブル2、あるいは下側テーブル24のいずれか一方を静電チャックとし他方を粘着材とすることが基準となる平坦部を持ち、テーブル間を平行に組立てることが容易となり、よって上下の基板を均一に貼り合せることが可能となるという点で好ましい。なお、本実施形態では負圧による吸引吸着をする吸引吸着機構と静電力による静電吸着機構の両方を兼用できるように構成してある。
【0027】
減圧チャンバ内の減圧は、上下いずれかのチャンバに設けた図示していない排気口を通して真空バルブ、およびドライポンプあるいはターボ分子ポンプの真空ポンプに接続して行なう。またチャンバ内の大気ベントは、これも図示していない上下いずれかのチャンバに設けたバルブを通して窒素などの不活性ガス、あるいは大気を導入して行なう。大気ベントはチャンバへの水分の付着を少なくし、チャンバ内を減圧するための時間を短縮する意味から、水分子の含有量が少ない窒素などの不活性ガスが好ましい。
【0028】
以上本発明を適用する基板組立装置の一例として、減圧チャンバを2分割できる構成で説明したが、この例の構成に限らず減圧チャンバを一体化した構成とした場合の装置でも、上側テーブルに一方の基板を保持して、その状態で上側テーブルを他方の基板を保持した下側テーブル側に移動する(基板間隔を狭める)ことで基板同士を貼り合わせる装置であれば適用できるものである。
【0029】
図2に基板組立装置内に搬入するためのロボットハンドのハンド部の構造を示したものである。図3に加圧板の吸着パッド部における基板吸着の模式図を示す。
【0030】
図2において、ロボットハンドのハンド部は腕部52から複数本の基板60を支持するための指部51が設けてあり、この指部51には複数の吸着パッド53が設けてある。この吸着パッド53は先端部に吸着孔が設けてあり、負圧により基板60を吸着できるようになっている。この指部51の吸着パッド53は上下に移動可能になっており、保持する基板60の面取り数に応じて、液晶表示部の面に接触する部分の吸着パッド53を、予め基板面に接触しない位置に退避させておく構成となっている。このため、図2(b)に示すように1面取りの基板60の場合、中央部の指に設けた吸着パッド53のうち、中央部の吸着パッド53bは基板面に接触しないように退避させ、周辺部の吸着パッド53aで基板60を支持するようにしている。
【0031】
このため、図2(b)に示すように、基板は中央部に凹に支持されることになる。この状態で加圧板(上テーブル)2に設けた吸引孔で負圧により吸引吸着する場合、基板60の中央部には負圧が作用せずに上テーブル2に基板60が保持できない場合が発生する。また、保持できた場合でも基板の吸着が均一にならず、基板に局所的に大きな引張り力が作用し、貼り合わせ時の精度低下をもたらす一因ともなる。そこで、本実施形態では、図3に示すように、上テーブル(加圧板)2に基板中央部を確実に吸着できるように上下に移動可能な吸着パッドを、加圧板2の中央部近傍に複数個設けたものである。
【0032】
吸着パッドは上下動させるためのエアシリンダ55と、エアシリンダ55により伸び縮みするロッド部57と先端のパッド部56とからなる。又、図示していないがロッド部57は中空になっており、そこに負圧のエアーを供給する構成となっている。なお先端のパッド部56にもロッド部57の中空部に連通する穴が設けてある。
【0033】
図3には図示していないが、加圧板2の基板吸着面には複数の負圧による吸引吸着孔が設けてある。前記構成でロボットハンド50から基板60の受け渡し作業を行う場合、加圧板2の負圧による吸引吸着機構を動作させると共に、上下動可能な吸着パッドのロッド部57を基板側に、必要な量だけ伸ばして、パッド部56で基板60を保持した後、ロッド部57を上テーブル2の基板保持面まで後退させることで、中央部付近の吸引吸着孔に確実に吸着するようにしたものである。なお、基板60に加圧力を作用させて貼り合せを行っている時は、パッド部56も吸引吸着孔として負圧が供給されている。なお、パッド部56は基板60に接触した時に基板60を傷つけないようにゴム等の弾性体で構成されている。
【0034】
本実施形態ではロッド部57の上下の移動は、エアシリンダで行うようにしている。この駆動部は本実施形態では減圧チャンバT2の外側に取り付ける様にしているが、加圧板の加圧面と反対側面に取り付ける構成としても良い。また、吸着パッドのロッド部57の伸び量は、予め基板の撓み量を測定しておき、測定量に応じて伸びを抑制するストッパの位置を可変しておくことにより伸び量を所定量にしている。又駆動装置として、モータ等を用いる構成としても良いし、搬入された基板毎に撓み量を計測するセンサを設けておき、その計測結果に応じてロッド部57の伸び量を制御することも可能である。
【0035】
以上は、基板60の中央部に撓みが発生した場合に動作させる機構を説明したが、ロボットハンド50の複数の本の指部51で基板60を搬入する場合、指部51の剛性を大きくするために、指部51が大きくなりロボットハンド50の動作を阻害する。このため、指部51の剛性を大きくできない。このため、大型基板搬入時に図4のように指部51の先端部が撓み、加圧板2は負圧により基板60を吸着できなくなる場合が発生する。そのため、チャンバ内に上基板60を吸引吸着する前に基板60の先端部を持ち上げるための補正爪を有する基板先端補正機構70を設けている。この基板先端補正機構70は、基板を端部を保持する基板端保持部71と、ロボットハンドの指部51を持ち上げるための指部保持部72を供えている。基板端保持部71はロボットハンドの隣り合う指部間に設けてあり、図4(a)のように基板の指間の撓みを補正して加圧板2に吸着し易くしている。このため、指部の先端側だけなく、腕部側にも基板端保持部71を設けてある。
【0036】
本図では、下側チャンバT1にシリンダにより上下する基板先端補正機構70を設けている。これにより、ロボットハンド50の指部51が撓んでも確実に基板60を加圧板2に吸着することができる。
【0037】
なお、基板先端補正機構70を設ける代わりに、先の実施例と同じく、ロボットハンド50の指部51先端側の基板保持部の位置(チャンバの基板搬入口側に対して反対側、即ち一番奥側の位置)に相当する位置の加圧板2に、上下の駆動機構を備えた吸着パッドを設ける構成としても良い。
【0038】
図5に本発明の他の実施形態を示す。本実施形態では加圧板2に設ける吸引吸着孔を複数の群(R1、R2、R3)に分割して、各群毎に供給する負圧力を可変できるように負圧源をそれぞれ設けるか、1つの負圧源を分岐させ、配管途中に調圧弁を設けて調整できるようにする。
【0039】
図5においては、吸引吸着孔を3つの群R1,R2,R3に分け、それぞれの負圧源をA1とA2の2つの負圧力を加えられるようにしたものである。基板60の中央部には、液晶パネルの配向膜等が形成されているため、ロボットハンドの両側の吸着パッド53により支持され組立装置内に運ばれてきている。このため、図5(a)のように基板中央部が撓んで加圧板2より距離のある状態となっている。そのため、中央の吸引吸着孔R2にまず大きな負圧力A1を作用させて、基板中央部を吸着する(図5(b))。次に、両側の吸引吸着孔R1、R3に中央部に加えた負圧力A1より小さな負圧力A2を加えることで基板60に歪の残らない状態で加圧板2に基板60を吸着することが可能となる(図5(c))。本実施形態では吸着孔を3つの群に分割化した状態を例にとって説明したが、さらに、細かに分割した群とし、基板中央部から基板端部に向かって徐々に吸着することで、さらに高精度の吸着が可能となる。また、本動作は、図3で説明した上下動可能な吸着パッド56を加圧板2に複数配置し、中央部か周囲に向って順次吸引吸着し引き上げ行い、これに対応する加圧板2に備えてある複数の吸引吸着孔により吸着していくことによっても実現できる。なお、図示していないが加圧板には、基板組立装置のチャンバ内を減圧した時に基板の落下を防止するために、前述の吸引吸着機構の他に、粘着保持機構や静電吸着機構を併設してある。
【0040】
次に本発明になる基板組立て装置1により、液晶パネルを貼り合わせる動作について説明する。
【0041】
まず、接着剤を枠状に液晶パネルの外周を囲むブラックマトリクス状あるいはこの近辺に塗布した上側基板を、接着剤を塗布した面が下側となるように反転した状態で配置しロボットハンドの下側に位置する一方の指部上に載置する。また、表面に予め液晶を塗布した下側基板を液晶の滴下面が上側になるように配置した状態で、上側に位置するロボットハンドの他方の指部上に搭載する。このように、2枚の基板を上下の指部上に搭載した状態でロボットハンドが貼り合せ装置の前に移動する。基板組立装置1は上チャンバT2部のドアバルブ16を開け、ロボットハンドは下側の指部上にある反転した上側基板を装置内に挿入する。
【0042】
基板組立装置1は上側テーブル2を下降し、負圧による吸引吸着により上側テーブル2の下に反転した上側基板を吸着保持する。このとき、基板に撓みがあるときは基板先端補正機構70や吸着パッドを一緒に動作させて、平坦に保持する。すなわち、基板に撓みがある場合は、吸着パッドをテーブル面から基板の吸着できる位置まで突出させておき、吸着パツドが基板を吸着すると吸着パッド面が上テーブル面の位置になるまで後退させることで、テーブル面に基板を平坦に保持することができる。
【0043】
なお上側テーブルの吸着孔が複数の群に分けられている場合は、中央部の吸着孔から順次端部側の吸着孔に向かって負圧を作用させることで、基板を歪の残らないように平坦に保持することが可能となる。
【0044】
次に、下側ロボットハンドは一旦基板組立装置1内から後退し、この後退を待って基板組立装置1は下側テーブル24上にある既に貼り合せの終わった液晶パネルを基板リフト機構43、および保持爪昇降機構41を用いて上方に持ち上げる。その状態で下側ロボットハンドを再び基板組立装置1内の液晶パネル下側に挿入し、ハンドを上方に持ち上げた後、これを後退させることにより液晶パネルを基板組立装置1から外部に取り出す。基板組立装置1は基板リフト機構43、および保持爪昇降機構41を下降させる。
【0045】
次に、上側のロボットハンド上にある、予め液晶を塗布した下側基板を基板組立装置1内に挿入する。基板組立装置1は保持爪昇降機構41を上昇し、下側基板を持ち上げロボットハンドの後退を待って下側基板を下側テーブル24の上に設置、下側基板を吸引吸着する。
【0046】
次に、上側基板の基板マーク位置をカメラの鏡筒21を垂直方向の移動軸を下降して測定し、水平方向移動軸を用いて上側基板のマーク中心位置とカメラの鏡筒21の中心が一致する位置に移動する。続いて、上側テーブル2を下降し、上側基板と下側基板のマーク位置のずれをカメラの鏡筒21により測定する。そして、ボールベア34を図示していない昇降機構で持ち上げることで、アジャスト機構付きの受け座35を通して上チャンバ部T2を上昇し、シールリング25と上チャンバ部T2とが僅かに接触するか、又は接触しないようにして(シールリングに上チャンバの荷重が作用しないようにして)、下チャンバ部T1をモータ26、モータ29、モータ30を駆動する。これにより下チャンバT1と一緒に下側テーブル24がXYθ方向に水平移動して、下基板と、上基板のアライメントマークの粗位置決めを行なう。粗位置決め終了後、ボールベア34を下降する。次に、上下のテーブルが静電チャックによる基板吸着を用いている場合には、静電チャックに電圧を印加し、基板の吸着を行なう。この状態で、ドアバルブ16を閉じ真空ポンプを用い減圧チャンバ内を減圧排気する。減圧排気中は上下基板間のガスが排気されやすいよう上側テーブル2を上昇しておく。
【0047】
減圧チャンバ内が一定の減圧状態になった後、再び上側テーブル2を下降し、上下の基板間の位置ずれを測定し、下チャンバT1部をモータ26、モータ29、モータ30を駆動することによりXYθ方向に水平移動して、下基板と、上基板のアライメントマークの微位置決めを行なう。微位置決め終了後、ロードセル22の値を測定しながら、さらに上側テーブル2を下降し、基板の加圧・貼合せを行なう。加圧力が接着剤を潰す所定の値に到達した後、加圧を終了し、加圧・UV照射機構40により、基板の仮止め位置に予め塗布された仮止め用のUV接着剤を加圧しながらUV光を照射、基板の位置がずれないように仮止めを行なう。
【0048】
仮止めが終了した後、加圧・UV照射機構40を上昇する。上側テーブル2が静電チャックによる真空中での吸着を利用している場合には、電圧を切断し、除電時間分待機した後上側テーブル2を上昇する。上側テーブル2が粘着を利用している場合には、複数のピンにより上側基板を機械的に下側の基板に押し付、ピンを下側に押し付けた状態で上側テーブルのみを上昇することにより上側の基板の保持を中断する。
【0049】
この後、減圧チャンバに設けたバルブを通して窒素などの不活性ガス、あるいは大気を減圧チャンバ内に導入し大気に開放する。続いてドアバルブ16を開放し、基板の搬入および搬出を行なう。基板組立て装置1の真空チャンバ内について、クリーニング等のメンテナンスを行なう場合には、上チャンバ部T2に取り付けた締結機構を動作させて、加圧ベース板7と上チャンバT2部を一体化して、駆動モータ10を用いて上側テーブル2と一緒にZ軸方向に持ち上げる。これによりチャンバを開放した状態で上下テーブルのメンテナンスを行なうことが可能となる。前述のように、本実施形態では、大型基板を上側テーブルに保持する際に、基板搬入時に発生している基板の撓みにより、上側テーブルに確実に基板を保持できないと言う問題を解決し、基板貼り合わせの精度の向上を図ることができる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の基板貼合装置によれば、基板を装置内に搬入するとき、特に大型の上基板を上側テーブルに保持する際、基板に発生する撓みの影響をなくして確実に所定位置に基板を保持できるため、位置合わせの精度を向上できると共に、位置合わせに要する時間も短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態になる基板組立て装置の構成を示す図である。
【図2】基板搬入に用いるロボットハンドの概要を示す図である。
【図3】加圧板に設けた吸着パッドの概略構成と、基板が撓んだときの保持の仕方を説明する図である。
【図4】ロボットハンドの指部の撓みによる基板撓みを補正する機構の説明図である。
【図5】本発明の他の実施形態の加圧板部の図である。
【符号の説明】
1…基板組立て装置、2…上側テーブル、3…支持脚、4…調整脚、5…Oリング、6…溶接ベローズ、7…加圧ベース板、8…中間ベース板、9…天井フレーム、10…駆動モータ、11…減速機、13…ボールスプラインガイド、14…駆動モータ、15…ボールネジ、16…ドアバルブ、17…イオナイザ、18…サブガイド、19…センター軸、20…観測窓、21…カメラの鏡筒、22…ロードセル、23…ロードセル、24…下側テーブル、25…シールリング、26…モータ、27…回転ベアリング、28…ベーステーブル、29…モータ、30…モータ、31…リニアガイド、32…Yテーブル、33…Xテーブル、34…ボールベア、35…アジャスト機構つきの受け座、36…装置ベース、37…ボールベア、38…アジャスト機構つきの受け座、39…透過照明、40…加圧・UV照射機構、41…保持爪昇降機構、42…回転昇降ピン、43…基板リフト機構、51…指部、53…吸着パッド、56…パッド部、57…ロッド部、60…基板。
Claims (5)
- 減圧雰囲気にするためのチャンバと、前記チャンバ内に上基板を保持し上下に移動可能に構成した加圧板と、前記加圧板に保持された基板に対向して間隔を空けて下基板を保持する基板保持テーブルと、前記基板保持テーブルを駆動して、前記上基板と下基板の位置合わせを行い、前記加圧板を上下に駆動して上下基板間の間隔を狭め、前記基板のどちらか一方に設けた接着剤により減圧雰囲気中で貼り合わせを行う基板組立装置において、
前記加圧板に上基板を保持するために負圧による複数の吸着孔を備え、前記複数の吸着孔のうち加圧板中央部近傍およびその周囲の吸着孔は上下移動機構を備えた複数の吸着パッドに設けられ、前記上基板を吸着する場合に前記吸着パッドを凹形状に変形している上基板面まで突出させて上基板中央部を保持し、前記吸着パッドを加圧板面まで後退させることで加圧板面に設けた吸着孔の負圧で上基板を保持できる構成としたことを特徴とする基板組立装置。 - 請求項1に記載の基板組立装置において、前記加圧板中央部に設けた複数の吸着パットに加え、前記加圧板の基板搬入口から反対側でその端部側に複数の吸着パッドを設けたことを特徴とする基板組立装置。
- 請求項1乃至2のいずれか1項に記載の基板組立装置において、
前記チャンバ内を減圧した時に、前記上基板を保持するための静電吸着機構または粘着保持機構を備えていることを特徴とする基板組立装置。 - 真空チャンバ内で2枚の基板を上下に間隔を開けて対向させて上下のテーブルに設けた複数の吸引孔からの負圧により吸引吸着することでそれぞれ保持し、位置合わせを行い、両基板の間隔を狭めることで、どちらか一方の基板に設けた接着剤により両基板の貼り合わせを行う基板組立方法において、
前記上側テーブルに上基板を保持する場合に、前記上基板の中央部部付近に設けた上下移動機構を備えた複数の吸着パッドによって前記上基板の中央部から周囲に向って順次吸引吸着し引き上げ行い、上側テーブルに吸着していくことを特徴とする基板組立方法。 - 請求項4に記載の基板組立方法において、
前記上側テーブルに吸引吸着によって上基板を保持した後で、静電吸着力を作用させて上基板を保持することを特徴とする基板組立方法。
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