JP3815803B2 - 合成樹脂枠体付き窓体の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、車両用窓ガラス板や建築用窓ガラス板に適した合成樹脂枠体付き窓体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用、建材用の窓では、ガラス板、プラスチック板等の窓用板状体とこの窓用板状体を嵌め込んだ開口部との隙間に、装飾性またはシール性を高めるために合成樹脂製のモール、ガスケット等の合成樹脂枠体を取り付けることが通常行われている。
【0003】
従来、この合成樹脂枠体等の取り付けは、例えば特開昭57−158479号公報、特開昭57−158480号公報に記載されているように、射出成形法や押出し成形法等によりあらかじめ成形した合成樹脂枠体等を窓用板状体の周辺部に接着したり、窓用板状体を開口部に嵌め込んだ後、隙間に押出し成形法等で作ったガスケット、モール等を押込んだりするという後付け方法が行われている。しかし、これらの方法では、人手にたよる部分が多くて工程の自動化が困難であり、また工程数も多くコスト高となるという問題がある。
【0004】
また、従来の後付け法には、窓用板状体と合成樹脂枠体との接着剤として、一般にガラスとの接着強度が高くかつ耐久性の良い湿気硬化型ウレタン系シーラントまたは2液反応硬化型ウレタン系シーラントが使われている。このシーラントは、通常、合成樹脂枠体の窓用板状体との接着面となる溝内に注入されるものであり、粘性の高いゾル状であるために均一にかつ薄く塗布することが困難である。したがって、合成樹脂枠体を窓用板状体面に圧着した場合に、過剰の接着剤が接着面の端部より外部にはみ出すため、このはみ出した部分を人手により切り取ることが不可欠であったり、接着剤の塗布厚さの不均一さにより合成樹脂枠体表面に凹凸が生じて、外観が悪い等の欠陥が生じたりするという問題がある。
【0005】
さらに、接着剤の硬化に要する時間が数時間からまる一日と非常に長いため、合成樹脂枠体を窓用板状体に嵌め込んだ後圧着する治具が多数必要であり、また、接着剤が硬化するまで合成樹脂枠体付き窓用板状体を保管しておく設備やスペースが数多く必要であった。
【0006】
この問題を解決するため、窓用板状体を配置した型内のキャビティ空間に合成樹脂またはその原料を射出して窓用板状体の周縁部に合成樹脂枠体等を一体成形する、いわゆるエンキャプシュレーション法が提案されている(特開昭57−158481号公報、特開昭58−73681号公報参照)。
【0007】
このエンキャプシュレーション法においては、金属等の剛直な型内に窓用板状体を挟み込み、窓用板状体周縁部と型内面とで構成されるキャビティ空間に合成樹脂またはその原料を射出するので、成形時の人手が少なく、製品の寸法精度が高いという利点を有する。その反面、窓用板状体がガラス板の場合には、特にガラス板の反りや曲げ加工精度不足により、型締め時にガラス板が非常に割れやすいという重大な問題を有している。この型締め時のガラス板の割れを防ぐために、型内のガラス板との接触面に弾性体を配したり、スプリング等の手段を用いたりして一定圧でガラス板を押すように工夫した型も見られるが、窓用板状体の割れの問題を解消するには至っていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、ガラス板の周縁部に沿って合成樹脂材料をダイより所定の形状で押出すことによって、ガラス板の周縁部に合成樹脂枠体の成形体を成形し、この合成樹脂枠体の成形体を硬化させ、ガラス板と合成樹脂枠体とを一体化する方法も提案されている。しかし、一般にダイから押出す合成樹脂材料は反応性または熱硬化性のウレタン樹脂等が用いられるため、押出し成形後に成形体を硬化させる工程が必要であった。このような場合、成形体を硬化させる工程に移すために、まだ形状が不安定な状態で成形体を移動させなければならず、成形体に余分な負担を与える欠点を有しており、またこのように成形後に充分硬化できる材料にも制限があった。
【0009】
本発明は、あらかじめ押出し成形法や射出成形法等により成形した合成樹脂枠体を窓用板状体の周縁部に嵌め込み、接着するという従来の後付け法が有していたところの、接着に長時間を要する、仕上げに人手がかかる、寸法精度が悪い、外観が不充分である、といった欠点を解決すると同時に、エンキャプシュレーション法の欠点である成形時の窓用板状体の割れをも防ぐことができ、従来の押出し一体成形に比べて工程数を少なくできる合成樹脂枠体付き窓体の製造方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述の課題を解決すべくなされたものであり、窓用板状体の周縁部に沿って窓用板状体の少なくとも片面上に合成樹脂材料をダイより所定の形状で押出すことによって合成樹脂枠体の成形体を成形し、この合成樹脂枠体の成形体を固化させ、窓用板状体と合成樹脂枠体とを一体化する合成樹脂枠体付き窓体の製造方法において、前記合成樹脂材料として熱可塑性の合成樹脂材料を用い、ダイより押出す際に、前記合成樹脂材料を加熱して軟化させた状態で押出して窓用板状体の周縁部に成形体を成形し、次いで冷却して固化させることを特徴とする合成樹脂枠体付き窓体の製造方法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に従って本発明を詳細に説明する。図1は、合成樹脂材料を窓用板状体の周縁部に押出しながら合成樹脂枠体の成形体を成形する方法の一例を示す概念図であり、図2は、その部分拡大図である。窓用板状体3を駆動装置4に固定し、窓用板状体3の周縁部をダイ1に嵌合した状態で、窓用板状体3の周縁部がダイ1に沿うように駆動装置4によって窓用板状体3を移動し、加熱軟化した熱可塑性の合成樹脂材料を窓用板状体3の周縁部にダイ1より押出して、合成樹脂枠体の成形体20を所定の形状で窓用板状体3の周縁部に成形する。
【0012】
次いで、この合成樹脂枠体の成形体20を、放熱または所望の冷却手段によって冷却して固化させることによって、窓用板状体と合成樹脂枠体とが一体化した合成樹脂枠体付き窓体を製造できる。
【0013】
なお、2は合成樹脂材料を加熱軟化して、ダイ1にこの合成樹脂材料を供給する供給装置である。
【0014】
また、図3は、合成樹脂材料を窓用板状体の周縁部に押出しながら合成樹脂枠体の成形体を成形する方法の別の例を示す概念図である。窓用板状体3を窓用板状体保持台5に固定し、窓用板状体3の周縁部をダイ1に嵌合した後、ダイ1を窓用板状体3の周縁方向に沿って移動させて、加熱軟化した熱可塑性の合成樹脂材料を窓用板状体3の周縁部に押出し、合成樹脂枠体の成形体20を所定の形状で窓用板状体3の周縁部に成形する。
【0015】
次いで、この合成樹脂枠体の成形体20を、放熱または所望の冷却手段によって冷却して固化させることによって、窓用板状体と合成樹脂枠体とが一体化した合成樹脂枠体付き窓体を製造できる。
【0016】
なお、6はダイ1を窓用板状体3の周縁方向に沿って移動させる駆動装置、7は合成樹脂材料を加熱軟化して、ダイ1にこの合成樹脂材料を供給する供給装置、8はダイ1と供給装置7とをつなぐフレキシブルな耐熱性のホースである。
【0017】
図4は、本発明におけるダイの一例を示す断面図である。ダイ1の出口11の形状は、窓用板状体3の周縁部に成形される合成樹脂枠体の形状と略同一であり、一定の断面形状の成形体を成形するものである。ダイ1の窓用板状体3の周縁部への適用は、窓用板状体3の周縁部をダイ1に嵌合することによって行われる。この場合、窓用板状体の形状の誤差やダイまたは窓用板状体の移動誤差を緩和し吸収できるように、必要に応じて弾性材9を窓用板状体3の嵌合部分に配してもよい。
【0018】
こうして、ダイ1を固定して窓用板状体3を移動させるか、ダイ1を窓用板状体3の周縁部に沿うように移動させて、ダイ1から合成樹脂材料を押出すことによって、窓用板状体の周縁部に一定の断面形状の合成樹脂枠体の成形体20を成形できる。
【0019】
図5は、本発明におけるダイの別の例を示す断面図である。ダイ1の内部にはスライドコア12、13が備えられている。窓用板状体3の周縁部に成形される合成樹脂枠体の形状を、このスライドコア12、13を進退させることによって変化させることができる。例えば、電動機14、15等によってスライドコアを進退させ、この進退をダイまたは窓用板状体の移動に連動させることによって、図7に示す(a)、(b)、(c)のように断面形状が連続的に変化する成形体を成形できる。
【0020】
この場合、合成樹脂材料は、ダイ本体10とスライドコア12、13(と窓用板状体3)とによって形成される賦形空間を通過して押出されることによって、所定の断面形状に賦形される。スライドコアは、合成樹脂材料の押出される方向(図5における紙面に略垂直な方向)に6mm以上の厚さを有していることが好ましい。これは、スライドコアの厚さが賦形空間の長さを決定することから、合成樹脂材料が6mm以上の賦形空間を通過して押出されることによって、材料が充分に賦形されて得られる成形体の断面形状を所定の断面形状とすることができるからである。
【0021】
この賦形空間長が短いと、押出される合成樹脂材料を充分賦形できない。特に、断面形状を変化させることが要求される場合には、単にダイの全面に邪魔板等を進退させるだけでは、邪魔板によってふさがれる部分とそうでない部分とで、押出される樹脂材料に壁面抵抗による押出し速度の差が生じる。こうして、押出される樹脂材料が邪魔板のある方に曲がることがある。本発明のように、ダイの内部に賦形空間の一部を形成するスライドコア自身を移動させて賦形空間自身を変化させれば、上記のような不都合はなく、得られる成形体の断面形状を所定のものとできる。
【0022】
逆に、スライドコアの厚さは40mm以下が好ましい。これは、スライドコアの厚さが40mmを超えると、ダイと窓用板状体とが相対的に移動するため、特に窓用板状体のコーナー部ではダイと窓用板状体との間に隙間が生じるからである。このコーナー部の曲率が大きい場合には、場合によってはスライドコアの厚さを15mm程度にすることもある。したがって、スライドコアの厚さの上限は窓用板状体の形状等によって決められるものである。これらの点に鑑みると、樹脂材料を充分に賦形でき、しかも、たいていの窓用板状体に適応できるように、スライドコアの厚さは10mm〜20mmとすることが特に好ましい。
【0023】
このようなスライドコアを内部に有する別のダイを図9を用いてより詳しく説明する。ダイ41はその内部にスライドコア62、63を有している。スライドコア62、63は、電動機64、65によってそれぞれ可動空間70、80を移動できる。この移動によって、ダイ41の賦形空間51の断面形状が変化する。この際、賦形空間51は、ダイ本体60とスライドコア62、63(と窓用板状体3)とによって形成される。
【0024】
スライドコアの移動は、例えば次のように行われる。あらかじめ窓用板状体またはダイの移動速度と成形体の断面を変化させる点とを定め、適宜の制御手段にインプットする。一方で、このインプットされた情報に基づいてスライドコアの進退を開始させるタイマー等を設定する。こうして、上記の移動速度と断面形状の変化点から、移動開始から特定の時間が経過したらスライドコアを所定の動きで進退させることで、スライドコアの移動を制御できる。
【0025】
ダイまたは窓用板状体の移動は、駆動装置として例えば多軸ロボット、好ましくは6軸ロボットを用い、この多軸ロボットにあらかじめ窓用板状体の形状や大きさや移動軌跡を教示し、多軸ロボットに固定したダイまたは窓用板状体を移動させることによって、所定の位置に合成樹脂枠体の成形体を成形できる。
【0026】
窓用板状体、特に自動車用窓ガラスは、その形状が3次元的な曲面形状のものが多く見られ、そのためには所定の曲率に曲げ加工されているが、場合によっては寸法誤差や曲げ精度の不足していることがある。このような誤差を有している場合、先に述べた弾性材による誤差の吸収だけでなく、あらかじめ教示した軌跡等からの上記したような誤差を補正する機能を加えてもよい。
【0027】
例えば、ダイの先端にセンサーを備えつけ、窓用板状体とダイとの相対位置や相対角度を検出して、その都度軌跡等を補正することもでき、また、ロボットの先端や窓用板状体保持台の保持部分にバネやガス圧によるクッション機構を備えて、上記した誤差等を吸収緩和することもできる。この際、ダイまたは窓用板状体にガイドを備えつけ、このガイドからの力をクッション機構によって緩和させるようにして、ダイまたは窓用板状体をガイドに沿って移動させることによって、上記した誤差等を吸収緩和できる。
【0028】
また、ダイまたは窓用板状体の移動する速度に合わせて、合成樹脂材料が押出される吐出量を制御することは、成形体の幅や高さが変化したりまたは波打ったり節状となったりして外観が悪化することが防止される点に鑑みて、好ましい。
【0029】
具体的には、例えば、ロボットの移動速度に対してこれを並行して自動的にアナログ出力化し、この出力信号を使って吐出量を自動的に制御でき、種々の速度検出と吐出量検出の機構を連動することによって、上記した外観の悪化が防止できる。
【0030】
一方、断面形状の変化にともなって吐出量を変化させることも、成形体の形状を良好にできるので好ましい。この方法としては例えば、前述のタイマーによるスライドコアの進退制御に、吐出量制御を連動させることが挙げられる。すなわち、スライドコアの移動が直接断面形状を規定するので、スライドコアの移動するタイミングに合わせて吐出量を変化させることが断面形状の変化に吐出量の変化を合わせたことになる。
【0031】
この場合、断面が2倍となったら吐出量も2倍とする、すなわち、両者を比例させることが好ましい。また、窓用板状体のコーナー部では、成形体の内周側に比べて外周側の吐出量を増加させることは好ましい。
【0032】
吐出量の制御は、例えばギアポンプ等の定量性の非常に優れたものを吐出系に介在させることが望ましい。さらにダイから吐出される樹脂を所望量に保つためには、吐出量そのものをそれ自体で計測演算自己制御することが最も確実である。またそれに代わる方法としては、樹脂の吐出量を通過する樹脂圧の関数とし、圧力センサーを利用することによって常に圧力を所定値に制御することで、吐出量の安定制御を行うこともできる。
【0033】
ダイを窓用板状体の周縁部に沿わせて移動する場合には、合成樹脂材料の供給装置からダイへ合成樹脂材料を供給するホースが必要となる。このホースは加熱軟化した合成樹脂を供給するために耐熱性に富んだものが用いられる。また、ダイとともにホースも窓用板状体の周縁部を移動するため、ホースはダイとともに、窓用板状体の全周への移動の中で360度の回転が要求されることがある。
【0034】
このような場合、スムースにダイをホースとともに移動させるためには、ダイ駆動装置としての6軸ロボットとして、最終の6軸目を自身の腕の外側に移した特別なオフセット軸構造を有するものを用いることが好ましい。具体的には、オフセット用の腕が、最終の6軸目の腕の先端部にこの6軸目の腕の回りに回動自在に備えられている。このオフセット用の腕の回りの回動軸からオフセットされた位置に第2の回動軸を有しており、この第2の回動軸の回りにホースが回動自在に備えられて、ホースは窓用板状体の周縁部を周回する際にロボットの腕に絡まることが防止される。
【0035】
さらにダイとホースとの間にはロータリージョイントを組み込むこともできる。こうして、ある程度の剛性を有するホースにつながったダイを任意の位置にかつ自由な姿勢で移動させることが可能となる。
【0036】
本発明に用いられる熱可塑性の合成樹脂材料は、押出し成形時には加熱軟化した状態であり、押出された後に、放熱または所望の冷却手段によって冷却固化するものであり、例えば、軟質塩化ビニル系樹脂、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等が挙げられる。
【0037】
ダイから押出す際の合成樹脂材料の温度は、合成樹脂材料をダイから押出すために充分軟化する温度であり、また、押出された合成樹脂枠体の成形体の形状が保持されるように軟化し過ぎない程度の温度であればよく、150℃〜300℃程度が好ましい。例えば、塩化ビニル系樹脂を用いた場合のこの樹脂材料の温度は、150℃〜200℃程度が好ましく、オレフィン系またはスチレン系の樹脂を用いた場合の樹脂材料の温度は200℃〜300℃程度が好ましい。上記温度よりも低い場合には、成形固化後の合成樹脂枠体の外観が満足できないものであり、高い場合には、押出し成形後の形状保持が満足にできないからである。
【0038】
合成樹脂材料は、押出し成形後に冷却固化するまでの間、窓用板状体の周縁部に所定の形状を保持していなければならない。そのため、ダイより押出される合成樹脂材料の粘度は、上記温度で、剪断速度が10/秒の条件下で1000ポイズ〜50万ポイズであることが好ましい。上記粘度未満では合成樹脂成形体を所定形状にできないか、または成形後固化するまでのあいだ所定の形状を保持することはできず、また上記粘度を超えると押出し時の圧力が過大となっていずれも好ましくないからである。
【0039】
窓用板状体材料としては、通常の無機ガラス板以外にも例えばポリカーボネート板やアクリル板のようなプラスチック透明板、またはこれらに表面処理を施したいわゆる有機ガラス板も用いることができる。さらに窓用板状体の周縁部にいわゆる黒色セラミック塗膜と呼ばれる隠蔽用のコーティングが施されている場合においても、その上に合成樹脂材料を押出すことができる。また合成樹脂枠体と窓用板状体の接着力をより向上させるために、窓用板状体面上にプライマーや接着剤を塗布しておくこともできる。
【0040】
本発明によって成形される合成樹脂枠体は、上記したようにダイに窓用板状体の周縁部を嵌合することによって、窓用板状体の両面側に一体に成形できるが、これに限らず、合成樹脂枠体を窓用板状体の片面側にのみ成形しても、また窓用板状体の片面とその端部に合成樹脂枠体を成形してもよい。その場合、嵌合によって窓用板状体の周縁部にダイを配するのではなく、成形しようとする面側のみにダイを配することによって、所定の形状の枠体を成形できる。
【0041】
また、合成樹脂枠体は、窓用板状体の全周に成形してもよく、全周のうちの一部に成形してもよい。例えば自動車用フロント窓ガラスに用いる場合には、ガラス板の下方を除く3辺に合成樹脂枠体を成形してもよく、リヤ窓ガラスに用いる場合には、ガラス板の全周に合成樹脂枠体を成形してもよく、用途に合わせて適宜決められる。
【0042】
【実施例】
実施例1
図8に示す形状をもつ厚さ3.5mmの窓用板状体としてのガラス板の周縁部に接着剤としてボンドマスター(商品名:カネボウNCS(株)製)を塗布した。このガラス板を駆動装置4に吸盤で固定した後、その周縁部を図4に示す形状のダイ1に嵌合し、図1に示す方法によってガラス板の周縁部をダイ1に沿って1m/分の速度で移動させながら、180℃の軟化した塩化ビニル樹脂(剪断速度が10/秒で25,000ポイズ)を押出すことにより、周縁部に図6に示す断面形状に成形された塩化ビニル樹脂枠体の成形体20を有するガラス板を得た。
【0043】
次いで、これを放熱するように保存して冷却することによって、塩化ビニル樹脂枠体が一体となった窓用板状体窓の製品を得た。この製品は窓用板状体と合成樹脂枠体との接着も強固であり、また外観も良好であった。
【0044】
実施例2
図8に示す形状をもつ厚さ3.5mmの窓用板状体としてのガラス板の周縁部に接着剤としてボンドマスター(商品名:カネボウNCS(株)製)を塗布した。このガラス板を駆動装置4に吸盤で固定した後、その周縁部を図9に示す形状のダイ41に嵌合し、図1に示す方法によってガラス板の周縁部をダイ41に沿って1m/分の速度で移動させた。
【0045】
この際、ガラス板の上辺部31から側辺部にかけて、まず、180℃の軟化した塩化ビニル樹脂(剪断速度が10/秒で30,000ポイズ)を押出して、図10(a)に示す断面形状の塩化ビニル樹脂枠体の成形体をガラス板の上辺部31に成形し、次いで、ダイの内部に備えられたスライドコア62を電動機64によって上昇させて、図10(b)に示す断面形状の塩化ビニル樹脂枠体の成形体20をガラス板の側辺部32上方に上辺部から連続して成形し、さらにダイの内部に備えられたスライドコア63を電動機65によって前進させて、図10(c)に示す断面形状の塩化ビニル樹脂枠体成形体20をガラス板の側辺部32下方にさらに連続して成形することにより、周縁部に図10(a)、(b)、(c)の順に徐々に断面形状が変化し、ガラス板の側辺部に雨水誘導部66が形成された塩化ビニル樹脂成形体50を有するガラス板を得た。
【0046】
次いで、これを放熱するように保存して冷却することによって、塩化ビニル樹脂枠体が一体となった窓用板状体窓の製品を得た。この製品は窓用板状体と合成樹脂枠体との接着も強固であり、また外観も良好であった。
【0047】
【発明の効果】
本発明により、平らな窓用板状体のみでなく3次元に曲がった形状の窓用板状体の周縁部に合成樹脂材料を押出して成形すると同時に窓用板状体と一体化できることから、大幅な工程短縮が可能となる。また、特に複雑な3次元形状曲げガラス板において、曲げ精度や寸法精度が不充分な場合においてもガラス板の割れが生じることがなく、ガラス板の端面からの位置精度が高く意匠性のよい合成樹脂枠体付き窓用板状体窓が製造できる。
【0048】
また、本発明によれば、合成樹脂枠体の材料として熱可塑性樹脂材料を用いているので、樹脂枠体成形体を成形後に放置しておくだけで、放熱によって合成樹脂枠体の材料が直ちに固化するため、熱硬化性の樹脂材料のように成形後の加熱工程を必要とせず、固化する前の形状が不安定な状態で成形体に負担をかけずにすみ、優れた外観の合成樹脂枠体付き窓用板状体を得ることができる。
【0049】
特に、1面の場合には成形体のない面側を下にして保管しておくことも考えられるが、窓用板状体の周縁部の3面に成形体を押出し成形する場合には1面の場合と異なり単純にはいかない。この3面成形の場合には、後工程が簡素化されていることは、できあがる枠体の形状不良の低下に寄与する。このことは、熱可塑性樹脂を用いることによって実現されるものである。
【0050】
さらに、窓用板状体の周縁部がダイに沿うように窓用板状体を移動させることによって、ダイに合成樹脂材料を供給する供給装置とダイとの間が短くなるので、押出される合成樹脂材料の温度や粘度の制御が容易になる。こうして、上記のように温度や粘度を押出し成形に有利な値に制御しやすくすることは、押出し成形体の成形した後の煩雑な工程を省くことができる熱可塑性樹脂材料を押出し成形に用いやすくする。
【0051】
合成樹脂枠体の形状を変化させる場合には、内部にスライドコアを備えたダイを用い、このスライドコアを移動させてダイの内部の賦形空間の形状を変化させることができるため、押出される合成樹脂材料を充分賦形でき、得られる成形体の断面形状を所定のものとできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における合成樹脂枠体の成形体を成形する方法の一例を示す概念図
【図2】図1における装置の合成樹脂押出し部分の部分拡大図
【図3】本発明における合成樹脂枠体の成形体を成形する方法の一例を示す概念図
【図4】本発明におけるダイの一例を示す断面図
【図5】本発明におけるダイの一例を示す断面図
【図6】本発明における合成樹脂枠体付き窓用板状体の周辺部の部分断面図
【図7】本発明における合成樹脂枠体付き窓用板状体の周辺部の部分断面図
【図8】実施例1、2に用いた窓用板状体の平面図
【図9】本発明におけるダイの一例を示す断面図(a)および部分透視図(b)
【図10】本発明における合成樹脂枠体付き窓用板状体窓の周辺部の部分断面図
【符号の説明】
1:ダイ
2:供給装置
3:窓用板状体
4:駆動装置
5:窓用板状体保持台
6:駆動装置
7:供給装置
8:ホース
9:弾性材
11:ダイの出口
12、13:スライドコア
14、15:電動機
20:合成樹脂枠体の成形体
Claims (5)
- 窓用板状体の周縁部に沿って窓用板状体の少なくとも片面上に合成樹脂材料をダイより所定の形状で押出すことによって合成樹脂枠体の成形体を成形し、この合成樹脂枠体の成形体を固化させ、窓用板状体と合成樹脂枠体とを一体化する合成樹脂枠体付き窓体の製造方法において、前記合成樹脂材料として熱可塑性の合成樹脂材料を用い、ダイより押出す際に、前記合成樹脂材料を加熱して軟化させ合成樹脂材料の粘度が、剪断速度が10/秒の条件下で1000ポイズ〜50万ポイズである状態で押出して窓用板状体の周縁部に成形体を成形し、次いで冷却して固化させることを特徴とする合成樹脂枠体付き窓体の製造方法。
- 合成樹脂材料が、軟質塩化ビニル系樹脂材料、オレフィン系樹脂材料およびスチレン系樹脂材料から選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の合成樹脂枠体付き窓体の製造方法。
- ダイの合成樹脂材料を押出す部分の形状を連続的に変化させ、窓用板状体の周縁部に成形される成形体の断面形状を連続的に変化させる工程を含む請求項1または2に記載の合成樹脂枠体付き窓体の製造方法。
- ダイの内側にスライドコアを備え、合成樹脂材料を押出す際に前記スライドコアを移動させることによって、窓用板状体の周縁部に成形される成形体の断面形状を連続的に変化させる請求項3に記載の合成樹脂枠体付き窓体の製造方法。
- ダイの合成樹脂材料を押出す部分の形状の変化に合わせて合成樹脂材料の押出し量を連続的に制御する請求項3または4に記載の合成樹脂枠体付き窓体の製造方法。
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