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JP3811191B2 - 刺繍データの作成方法及びその装置並びにその刺繍データに基づいて形成された刺繍模様 - Google Patents

刺繍データの作成方法及びその装置並びにその刺繍データに基づいて形成された刺繍模様 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、加工布を縫針に対して相対的に移動させながら駆動することにより、加工布に所定の図形の刺繍模様を形成するミシンにおける、刺繍動作の実行に必要な針落ち位置を指定するための刺繍データを作成するための刺繍データの作成方法及びその装置、並びにその刺繍データに基づいて形成された刺繍模様に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、加工布に対する刺繍動作を自動的に実行する刺繍ミシンは、例えば一針毎の加工布のX,Y方向移動量言換えれば針落ち位置を指示するステッチデータに基づいて動作するようになっている。本出願人は、かかる刺繍ミシンにおける刺繍データ(前記ステッチデータあるいはブロックデータ)の作成を自動的に行う刺繍データ作成装置を開発し、先に出願している。
【0003】
この刺繍データ作成装置は、例えばパーソナルコンピュータ本体に、イメージスキャナ、キーボード、ハードディスクドライブ、CRTディスプレイ等を接続して構成されている。そして、例えば刺繍図形の形状を描いた原画を、イメージスキャナにより読取らせてイメージデータが作成され、次に、そのイメージデータから、刺繍図形の輪郭を画定するアウトラインデータが作成され、さらに、このアウトラインデータから、図形の輪郭の内部を例えばサテン縫いのステッチにより塗り潰すような一針毎の針落ち位置を示すステッチデータが作成されるのである。
【0004】
ここで、例えば図8に示すように、刺繍図形Fが、互いに離間した5個の閉領域R1〜R5から構成されるような場合がある(刺繍模様を形成する部分を便宜上斜線を付して示す)。このような場合には、刺繍データは、各閉領域間をジャンプ縫いにより連続させながら、各閉領域R1〜R5を例えばサテン縫いのステッチSにより順に塗り潰すような刺繍動作が行われるように作成される。また、従来では、ジャンプ縫いによる渡り糸Jの長さが最短となるように、各閉領域R1〜R5における刺繍開始点及び刺繍終了点が設定されるようになっている。
【0005】
これにて、加工布Wに対しては、図9に示すような刺繍動作が実行される。即ち、まず、閉領域R1に対するサテン縫いが実行され、その刺繍終了点aから次の閉領域R2の刺繍開始点bまでジャンプ縫いが行われ、閉領域R2に対するサテン縫いが実行される。そして、閉領域R2の刺繍終了点cから次の閉領域R3の刺繍開始点dまでジャンプ縫いが行われ、閉領域R3に対するサテン縫いが実行される。
【0006】
このようにして、閉領域R5までの刺繍動作が実行されると、その後、縫製作業者によって、例えば鋏を使用して各渡り糸Jの両端部を切断して取除く作業が行われる。これにより、最終的には、加工布Wには、図10に示すような図形Fの刺繍模様が形成されるのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の方法で作成された刺繍データに基づいて、図9に示すように刺繍動作を実行した場合、各渡り糸Jを取除くために、鋏を使用した切断作業を、点a〜hに対応した部分において夫々行わなければならず、その作業に手間がかかる欠点があった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、互いに離間した複数の閉領域に対する刺繍を順に実行する場合において、渡り糸を取除く作業の簡単化を図ることができる刺繍データの作成方法及びその装置並びにその刺繍データに基づいて形成された刺繍模様を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の刺繍データの作成方法は、図形が互いに離間した複数の閉領域から構成され、それら各閉領域に対する刺繍動作を順に実行する場合の刺繍データの作成方法において、記各閉領域のそれぞれに対して、刺繍開始点及び刺繍終了点を、その刺繍開始点と刺繍終了点とが一致又は近接するような針落ち位置であって、各閉領域における前記図形の所定の一方向に対して最も先方に位置する部分に設定すると共に、その刺繍開始点及び刺繍終了点が前記一方向に対して先方に位置している閉領域から順に刺繍動作を実行するようにそれら閉領域に対する刺繍形成順序を決定するようにしている(請求項1の発明)。
【0010】
【0011】
そして、本発明の刺繍データの作成装置は、図形の形状に関する形状データを記憶する図形データ記憶手段と、この記憶手段に記憶された形状データが互いに離間した複数の閉領域から構成されている場合に、それら各閉領域のそれぞれに対して、刺繍開始点及び刺繍終了点を、その刺繍開始点と刺繍終了点とが一致又は近接するような針落ち位置であって、各閉領域における前記図形の所定の一方向に対して最も先方に位置する部分に設定すると共に、その刺繍開始点及び刺繍終了点が前記一方向に対して先方に位置している閉領域から順に刺繍動作を実行するようにそれら閉領域に対する刺繍形成順序を決定する刺繍データ作成手段とを具備するところに特徴を有する(請求項の発明)。
【0012】
【0013】
さらに、本発明の刺繍データに基づいて形成された刺繍模様は、互いに離間した複数の閉領からなる図形に関してそれら閉領域間をジャンプ縫いにより順に連続して刺繍するようにした刺繍模様にあって、前記各閉領域のそれぞれにおける刺繍開始点と刺繍終了点とが一致又は近接するように位置され、且つそれら各閉領域のうち、前記図形の所定の一方向に対して最も先方に位置する部分に位置されていると共に、その刺繍開始点及び刺繍終了点が前記一方向に対して先方に位置している閉領域から順に刺繍が形成されているところに特徴を有する(請求項の発明)。
【0014】
【0015】
【作用】
図形が互いに離間した複数の閉領域から構成され、加工布に対して、それら各閉領域に対する刺繍動作を順に実行する場合、閉領域間には、ジャンプ縫いによる渡り糸が残り、後に各渡り糸の両端部を鋏で切断して渡り糸を取除く作業を行わなければならない。ここで、ある閉領域における刺繍開始点及び刺繍終了点が一致又は近接していれば、その閉領域において、前の閉領域からつながった渡り糸の終端部と、次の閉領域につながる渡り糸の始端部とが、近接した位置に来るようになる。2本の渡り糸の切断すべき部分が近接していれば、鋏による1回の切断作業で2本の糸を同時に切断することが可能となる。ところで、刺繍動作時において、渡り糸が、未だ刺繍が形成されていない閉領域内を横切るように延びるようなことがあると、その渡り糸の上に重なるようにして刺繍動作が行われる不具合が生ずる。ところが、各閉領域の刺繍開始点及び刺繍終了点が、図形の所定の一方向に対して先方側に位置すると共に、各閉領域についての刺繍形成順序が、前記一方向の先方側から順であれば、前の閉領域の刺繍終了点は、次の閉領域の刺繍開始点よりも必ず一方向先方側に位置することになり、それらをつなぐ渡り糸が刺繍未形成の閉領域を横切ることはない。
【0016】
従って、請求項1の刺繍データの作成方法によれば、各閉領域のそれぞれに対して、刺繍開始点と刺繍終了点とが一致又は近接するように針落ち位置を設定するようにしているので、渡り糸の切断作業の回数を少なく済ませることができる刺繍データを作成することができる。また、渡り糸の上に重なるようにして刺繍動作が行われることのない刺繍データを作成することができる。
【0017】
そして、請求項の刺繍データの作成装置によれば、刺繍データ作成手段により、各閉領域のそれぞれに対して、刺繍開始点と刺繍終了点とが一致又は近接するように針落ち位置が設定されるので、渡り糸の切断作業の回数を少なく済ませることができる刺繍データを作成することができる。また、渡り糸の上に重なるようにして刺繍動作が行われることのない刺繍データを作成することができる。
【0018】
さらに、請求項の刺繍データに基づいて形成された刺繍模様によれば、各閉領域のそれぞれにおける刺繍開始点と刺繍終了点とが一致又は近接するように位置されているので、渡り糸の切断作業の回数を少なく済ませることができる。また、刺繍模様が渡り糸の上に重なることがなくなる。
【0019】
【0020】
【0021】
【実施例】
以下、本発明の一実施例について、図1乃至図8を参照して説明する。尚、本実施例では、従来例で説明したと同様、図8に示すような、互いに離間した5個の閉領域R1〜R5から構成される刺繍図形Fを具体例として上げながら説明する。
【0022】
まず、図示はしないが、刺繍ミシンについて簡単に触れておく。刺繍ミシンは、ミシンベッド上に配置され加工布を保持する刺繍枠を、水平移動機構により装置固有のx,y座標系で示される所定位置に移動させつつ、縫針及び釜機構による縫い動作を行うことにより、その加工布に所定の図形Fの刺繍を施すようになっている。前記水平移動機構や針棒等は、マイコン等から構成される制御装置により制御されるようになっており、従って、一針毎の加工布のx,y方向の移動量(針落ち位置)を指示する刺繍データ(ステッチデータ)により、制御装置は、刺繍動作を自動的に実行することが可能となるのである。
【0023】
尚、このような刺繍ミシンに対して、刺繍データは、後述する刺繍データの作成装置から、オンライン、あるいは磁気ディスクやRAMカード等を用いたオフラインにて与えられるようになっている。
【0024】
次に、本実施例に係る刺繍データの作成装置の構成について、図2を参照して述べる。作成装置本体1は、例えば汎用のパーソナルコンピュータ本体からなり、CPU2、ROM3、RAM4、フロッピーディスクドライブ(FDD)5、入出力インタフェース6を、バス7を介して相互に接続して構成されている。
【0025】
この作成装置本体1には、刺繍の図形等を画面8a(図3参照)に表示するためのCRTディスプレイ8、オペレータが各種の指示操作を行うためのキーボード9及びマウス10、刺繍の図形の原画の画像データを取込むためのイメージスキャナ11、作成された刺繍データのファイルを記憶するための例えばハードディスクドライブからなる外部記憶装置12が、前記入出力インタフェース6を介して接続されている。
【0026】
そして、前記作成装置本体1は、そのソフトウエア構成により、図形の原画に基づいて、刺繍データを自動的に作成するようになっている。その作成にあたっては、刺繍図形の形状を描いた原画を、イメージスキャナ11により読取らせてイメージデータを作成し、次に、そのイメージデータから、図形の輪郭を画定するアウトラインデータを作成し、さらに、このアウトラインデータから、図形の輪郭の内部を例えばサテン縫いのステッチにより塗り潰すような一針毎の針落ち位置を示すステッチデータを作成するものである。
【0027】
このとき、詳しくは後述するように、図形が互いに離間した複数の閉領域から構成され、それら各閉領域に対する刺繍動作を順に実行する場合の刺繍データを作成するにあたっては、各閉領域のそれぞれに対して、刺繍開始点と刺繍終了点とが一致又は近接するように針落ち位置を設定するようになっている。
【0028】
さらに、特に本実施例では、前記各閉領域の刺繍開始点及び刺繍終了点を、各閉領域における、前記図形の所定の一方向に対して最も先方に位置する部分に設定すると共に、その刺繍開始点及び刺繍終了点が前記一方向に対して先方に位置している閉領域から順に刺繍動作を実行するようにそれら閉領域に対する刺繍形成順序を決定するようになっている。
【0029】
次に、上記のように構成された刺繍データの作成装置の動作について、図1及び、図3乃至図8も参照して述べる。ここでは、上述のように、図8に示すような刺繍図形F(刺繍模様を形成する部分を便宜上斜線を付して示す)を具体例として上げながら説明する。この図形Fは、三角形の閉領域R1、菱形の閉領域R2,四角形の閉領域R3、五角形の閉領域R4、円形の閉領域R5の、互いに離間した5個の閉領域R1〜R5から構成されている。
【0030】
さて、作成装置本体1は、刺繍データを作成するにあたり、図1のフローチャートに示す手順の処理を実行する。刺繍データの作成プログラムが起動されると、まず、ステップS1にて、イメージスキャナ11により図形Fの形状を描いた原画(白い原紙に図8の斜線部分を黒く描いた原画)から、図形Fの画像データ(形状データ)が読込まれ、RAM4に記憶される。次のステップS2では、画像データの圧縮,ノイズ除去等の画像処理が行われる。
【0031】
ステップS3では、前記画像データから閉領域を検出する処理が行われる。この処理は、例えば画像データの左上から水平方向にドットをサーチし、黒レベルのドットがある場合にはその輪郭を検出することにより行われ、図8の例では、5個の閉領域R1〜R5が検出される。各閉領域R1〜R5の輪郭を形成するドットの座標の集合がアウトラインデータとなる。また、このとき、図3に示すように、CRTディスプレイ8の画面8aに、図形Fの画像が表示される。
【0032】
そして、次のステップS4では、各閉領域R1〜R5に対して、図形Fの所定の一方向に対して最も先方に位置している部分に刺繍開始点及び刺繍終了点を設定すること行われる。ここでは、各閉領域R1〜R5のアウトラインデータのうち、最もy方向先方側つまりy座標の大きい点、即ち、図3で各閉領域R1〜R5における最も上の位置にある点を、刺繍開始点及び刺繍終了点として設定する。閉領域R1については点A、閉領域R2については点B、閉領域R3については点C、閉領域R4については点D、閉領域R5については点Eが、刺繍開始点及び刺繍終了点となる。尚、刺繍開始点と刺繍終了点とを完全に一致させなくとも、近接して設定するようにしても良い。
【0033】
このように刺繍開始点及び刺繍終了点が設定されると、ステップS5にて、各閉領域R1〜R5についての刺繍データが作成される。これは、閉領域のアウトライン上に針落ち位置を配置してその閉領域の内部を例えばサテン縫いのステッチSにより塗り潰すように作成される。
【0034】
この場合、刺繍開始点及び刺繍終了点を一致させるため、例えば閉領域における刺繍開始点から最も遠い点を求め、まず、その点までは、例えばたたみ縫いのステッチTにより直線的に縫い、その後サテン縫いを刺繍開始点(刺繍終了点)で終わるようにして作成される。閉領域R2の例では、図4に示すように、刺繍開始点Bから反対側の頂点B´まで直線的にたたみ縫いのステッチTを形成し、頂点Bから刺繍終了点Bまで、閉領域R2を塗り潰すようなサテン縫いのステッチSを形成するように、刺繍データが作成される。たたみ縫いのステッチTは、サテン縫いのステッチSにより覆われて隠されることになる。
【0035】
各閉領域R1〜R5についての刺繍データが作成されると、ステップS6にて、閉領域間をジャンプ縫いにより連続させるようにして、刺繍データを合成して全体の刺繍データが作成される。この場合、各閉領域R1〜R5に対する刺繍形成順序を決定する必要があるが、この順序は、前記刺繍開始点(刺繍終了点)がy方向先方側に位置する順つまり刺繍開始点(刺繍終了点)のy座標の大きい順となるように決定される。図8の例では、閉領域R1,R2,R3,R4,R5の順となる。従って、点A−点B間、点B−点C間、点C−点D間、点D−点E間にて夫々ジャンプ縫いが行われる(渡り糸Jによりつながれる)ように刺繍データが作成される。
【0036】
さて、このようにして作成された刺繍データに基づいて、刺繍ミシンを動作させると、加工布Wに対して、図5に示すような刺繍動作が実行される。即ち、まず、閉領域R1に対するサテン縫いが実行され、その刺繍終了点Aから次の閉領域R2の刺繍開始点Bまでジャンプ縫いが行われ、閉領域R2に対するサテン縫いが実行される。
【0037】
そして、閉領域R2の刺繍終了点Bから次の閉領域R3の刺繍開始点Cまでジャンプ縫いが行われ、閉領域R3に対するサテン縫いが実行される。さらに、閉領域R3の刺繍終了点Cから次の閉領域R4の刺繍開始点Dまでジャンプ縫いが行われ、閉領域R4に対するサテン縫いが実行され、閉領域R4の刺繍終了点Dから次の閉領域R5の刺繍開始点Eまでジャンプ縫いが行われ、最後に、閉領域R5に対するサテン縫いが実行されるのである。尚、各閉領域における刺繍開始点及び刺繍終了点では止め縫いが実行される。
【0038】
而して、このような加工布Wに対する刺繍動作が完了した状態では、各閉領域間には、ジャンプ縫いによる渡り糸Jが残ったままとなる。そこで、この後、縫製作業者によって、例えば鋏を使用して各渡り糸Jの両端部を切断して取除く作業が行われる。これにより、最終的には、加工布Wには、図7に示すような図形Fの刺繍模様が形成されるのである。
【0039】
ここで、本実施例においては、閉各領域における刺繍開始点及び刺繍終了点が一致しているので、その閉領域において、前の閉領域からつながった渡り糸Jの終端部と、次の閉領域につながる渡り糸Jの始端部とが、近接した位置に来るようになる。閉領域R4を例とすれば、図6に示すように、前の閉領域R3からつながった渡り糸Jの終端部と、次の閉領域R5につながる渡り糸Jの始端部とが、共に点Dの近傍に位置することになる。そこで、本実施例では、図6に示すように、鋏による1回の切断作業で2本の渡り糸Jを同時に切断することができる。全体としても、5回の切断作業で、4本全ての渡り糸Jを取除くことができるのである。
【0040】
ところで、上記の刺繍動作時において、渡り糸Jが、未だ刺繍が形成されていない閉領域内を横切るように延びるようなことがあると、その渡り糸Jの上に重なるようにして刺繍動作が行われる不具合が生ずる。ところが、本実施例では、各閉領域R1〜R5における最上位にある点を、刺繍開始点及び刺繍終了点として設定すると共に、上位にある閉領域の順に刺繍形成順序を決定しているので、例えば図5で、点Aは点Bより必ず上に位置し、且つ閉領域R2は点Bより上には存在しないので、点Aから点Bへ向かう渡り糸Jが、刺繍未形成の閉領域R2を横切ることはない。
【0041】
従って、渡り糸Jの上に重なるようにして刺繍動作が行われることはないのである。この場合、点Bから点Cへ向かう渡り糸Jは、閉領域R2を横切るが、これは閉領域R2の刺繍形成後であり、サテン縫いのステッチSの上方に渡り糸Jが重なるにすぎず、渡り糸Jを取除くことに支障を来すことはない。
【0042】
このように本実施例によれば、鋏による1回の切断作業で2本の渡り糸Jを同時に切断することができるので、鋏による切断作業を点a〜hに対応して多数回行わなければならなかった従来のものと異なり、切断作業の回数を大幅に減少させることができ、この結果、渡り糸Jを取除く作業の簡単化を図ることができる。しかも、特に本実施例では、サテン縫いのステッチSが渡り糸Jの上に重なることを確実に防止することができるといった利点も得ることができる。
【0043】
尚、上記実施例では、一針毎の刺繍データ(ステッチデータ)を作成するようにしたが、閉領域を一以上のブロックに分割した所定のブロック毎の刺繍データ(ブロックデータ)を作成しても良い。その他、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、各閉領域に対する刺繍としてはサテン縫いに限らず、例えばたたみ縫い等を採用したり輪郭に沿う縁取りを付加したりしても良く、また、刺繍データの作成装置を刺繍ミシンと一体的に構成するようにしても良いなど、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【0044】
【発明の効果】
以上の説明にて明らかなように、本発明の刺繍データの作成方法及びその装置並びにその刺繍データに基づいて形成された刺繍模様によれば、互いに離間した複数の閉領域に対する刺繍を順に実行する場合において、各閉領域のそれぞれに関する刺繍開始点と刺繍終了点とを一致又は近接するようにしたので、渡り糸を取除く作業の簡単化を図ることができるという優れた実用的効果を奏するものである。
【0045】
また、この場合、各閉領域の刺繍開始点及び刺繍終了点を、図形の所定の一方向に対して最も先方に位置する部分に設定すると共に、その刺繍開始点及び刺繍終了点が一方向に対して先方に位置している閉領域から順に刺繍動作を実行するようにすれば、渡り糸の上に重なるようにして刺繍動作が行われることが確実に防止され、より効果的となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、刺繍データの作成手順を示すフローチャート
【図2】刺繍データ作成装置の電気的構成を示すブロック図
【図3】刺繍データ作成時のCRTディスプレイの画面を示す図
【図4】刺繍動作の例を示す図
【図5】刺繍動作終了時の加工布の平面図
【図6】渡り糸の切断作業の様子を示す要部の平面図
【図7】渡り糸を取除いた後の加工布の平面図
【図8】図形の一例を示す図
【図9】従来例を示すもので、刺繍動作終了時の加工布の平面図
【図10】渡り糸を取除いた後の加工布の平面図
【符号の説明】
図面中、1は作成装置本体、2はCPU、3はROM、4はRAM、8はCRTディスプレイ、11はイメージスキャナ、Fは図形、Wは加工布、R1〜R5は閉領域、S,Tはステッチ、Jは渡り糸を示す。

Claims (3)

  1. 加工布を縫針に対して相対的に移動させながら駆動することにより、前記加工布に所定の図形の刺繍模様を形成するミシンにおける、前記刺繍動作の実行に必要な針落ち位置を指定するための刺繍データを作成する方法であって、
    前記図形が互いに離間した複数の閉領域から構成され、それら各閉領域に対する刺繍動作を順に実行する場合の刺繍データの作成方法において、
    前記各閉領域のそれぞれに対して、刺繍開始点及び刺繍終了点を、その刺繍開始点と刺繍終了点とが一致又は近接するような針落ち位置であって、各閉領域における前記図形の所定の一方向に対して最も先方に位置する部分に設定すると共に、その刺繍開始点及び刺繍終了点が前記一方向に対して先方に位置している閉領域から順に刺繍動作を実行するようにそれら閉領域に対する刺繍形成順序を決定するようにしたことを特徴とする刺繍データの作成方法。
  2. 加工布を縫針に対して相対的に移動させながら駆動することにより、前記加工布に所定の図形の刺繍模様を形成するミシンにおける、前記刺繍動作の実行に必要な針落ち位置を指定するための刺繍データを作成するものであって、
    前記図形の形状に関する形状データを記憶する図形データ記憶手段と、
    この記憶手段に記憶された形状データが互いに離間した複数の閉領域から構成されている場合に、それら各閉領域のそれぞれに対して、刺繍開始点及び刺繍終了点を、その刺繍開始点と刺繍終了点とが一致又は近接するような針落ち位置であって、各閉領域における前記図形の所定の一方向に対して最も先方に位置する部分に設定すると共に、その刺繍開始点及び刺繍終了点が前記一方向に対して先方に位置している閉領域から順に刺繍動作を実行するようにそれら閉領域に対する刺繍形成順序を決定する刺繍データ作成手段とを具備することを特徴とする刺繍データの作成装置。
  3. 刺繍データに基づいて動作するミシンにより加工布に形成される刺繍模様であって、
    互いに離間した複数の閉領からなる図形に関してそれら閉領域間をジャンプ縫いにより順に連続して刺繍するようにした刺繍模様において、
    前記各閉領域のそれぞれにおける刺繍開始点と刺繍終了点とが一致又は近接するように位置され、且つそれら各閉領域のうち、前記図形の所定の一方向に対して最も先方に位置する部分に位置されていると共に、その刺繍開始点及び刺繍終了点が前記一方向に対して先方に位置している閉領域から順に刺繍が形成されていることを特徴とする刺繍データに基づいて形成された刺繍模様。
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