JP3808649B2 - 基板処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示用基板、半導体、あるいはカラーフィルター等の製造に使用される基板処理装置、特に、基板処理のための処理液をノズルの吐出口から吐出させる基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
基板処理装置には、基板に対して処理液を供給して基板処理を行う装置が多く存在する。例えば、基板の表面に塗布液を塗布する装置としては、一方向に長いスリットを有する塗布液供給用のノズルを基板表面に沿って走査させるコーターや、基板の中央部に塗布液を滴下し基板を回転させて遠心力によって基板表面全体に塗布液を拡散させるスピンコーターが知られている。
【0003】
このような基板処理装置においては、ノズル先端のスリット(吐出口)やその周囲に残っているレジスト液等の処理液が凝集したりノズルに固着したりすることを抑えるために、ノズル先端のスリット周辺を洗浄する必要がある。そこで従来の基板処理装置においては、基板を処理する場所とは別の洗浄位置にノズルを退避させ、この洗浄位置にてノズル先端を有機溶剤等の洗浄液によって洗浄するようにしている。
【0004】
また、基板を処理していないときにノズル先端が乾燥することで、ノズル先端に付着した処理液が乾燥し、パーティクルが発生することを防止するために、上記洗浄液と同等の有機溶剤を内部に貯留し上部空間が有機溶剤の雰囲気となるポットを設けることがある。このポットには、基板を処理していないときのノズル先端が待機させられる。ポット内では、有機溶剤が揮発して有機溶剤の雰囲気を作りだし、ノズル先端の乾燥が防止される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本願出願人は、特願平9−234552号において、ノズル先端を洗浄する洗浄ブロックと処理液の乾燥固化を防ぐノズルポットとを備えた塗布装置を開示している。ここでは、洗浄ブロックとノズルポットとを上下に配置しているが、図6に示すように両者を並べて配置することも考えられる。
【0006】
図6に示す洗浄ブロック131は、ノズル107の長手方向(図7参照)においてノズル107よりも短く、洗浄ブロック移動機構によってノズル107の長手方向に移動可能となっており、ノズル107をその長手方向の全域にわたって走査が可能である。この洗浄ブロック131は、ノズル107の先端に対して、洗浄ノズル142からリンス液を吹き付ける。ノズルポット132は、ノズル107の長手方向の長さよりも長く形成されており(図7参照)、その上部には開口が形成されている。また、ノズルポット132には、レジスト液の溶剤が適当なレベルまで貯留されている。このノズルポット132は、アクチュエータにより昇降が可能となっている。
【0007】
ノズル107を洗浄する動作について説明すると、ノズル107が図6の実線で示す待機位置に位置した後、まず洗浄ノズル142からリンス液を吐出しながら洗浄ブロック131がノズル107の長手方向に移動する。これによってノズル107の先端部が洗浄されると、ノズル107はノズルポット132の上方に移動し、ノズルポット132が上昇する。そして、ノズル107の先端がノズルポット132内に位置した状態で、ノズル107が待機する、あるいはプリディスペンス処理が行われる。プリディスペンス処理では、ノズル107のスリットの先端にあるレジスト液がリンス液のために濃度が薄くなっているため、ノズル107からレジスト液を少量吐出する。ノズル107が待機しているノズルポット132内には、レジスト液の溶剤が貯留されており、この溶剤が気化して溶剤雰囲気を形成している。ノズル107の先端はこのような溶剤雰囲気下におかれるので、ノズル107のスリット周辺のレジスト液の乾燥固化を防ぐことができる。
【0008】
ところで、図6に示す洗浄ブロック131やノズルポット132を有する装置や特願平9−234552号に示されている装置においては、洗浄ブロックをノズルの長手方向に沿って移動させる駆動機構とノズルポット132を昇降させる駆動機構とが別個に必要となり、洗浄ブロック及びその駆動機構の占有スペースとノズルポット及びその駆動機構の占有スペースとがそれぞれ必要となる。
【0009】
また、洗浄ブロックの洗浄ノズルからノズル先端にリンス液を当てて洗い流す方式では、カラーレジスト、オーバーコート材、ポリイミド等の処理液を完全に洗浄することは難しく、ソルベントショックといって処理液の凝集が起こったり処理液がノズルに固着することもある。さらに、スリット内にリンス液がしみ上がると、スリット内においても処理液の凝集や固着が発生することもある。このように処理液がノズルに凝集・固着すると、基板へ処理液を吐出するときにこれらが剥がれ落ち、パーティクルとなって基板上に付着してしまう。
【0010】
本発明の課題は、処理液を吐出するノズルを洗浄する機能を有する基板処理装置の構造を簡易なものとし、装置のコストを抑えることにある。
【0011】
本発明の別の課題は、処理液を吐出するノズルを洗浄する機能を有する基板処理装置において、ノズル先端での処理液の凝集や固着を低減させることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る基板処理装置は、基板に処理液を供給して基板処理を行う装置であって、吐出口を有するノズルと、ポットと、液位変更手段と、制御手段と、を備えている。ノズルの吐出口は、処理液を吐出する。ポットは、開口を有している。また、このポットは、洗浄・乾燥防止液を貯留する。洗浄・乾燥防止液は、ノズルの洗浄及びノズルの乾燥を抑えるために用いられる液であり、処理液の溶剤等が用いられる。液位変更手段は、ノズルの吐出口がポットの開口からポット内に進入している状態において、ポット内の洗浄・乾燥防止液の液位を、第1液位と第2液位とに変化させる。第1液位とは、洗浄・乾燥防止液がノズルの吐出口と接触する液位であり、第2液位とは、洗浄・乾燥防止液がノズルの吐出口と離れる液位である。制御手段は、ノズルの吐出口がポット内に進入している状態であり、且つ洗浄・乾燥防止液の液位が第1液位にあるときに、ノズルの吐出口から処理液を吐出させる制御を行う。
【0013】
本装置では、ノズルが吐出口から基板に対して処理液を吐出することにより、基板に処理液が供給されて基板処理が為される。そして、基板処理を行っていないときにノズルを待避させ、このノズルの吐出口周辺に付着している処理液が乾燥してパーティクルの原因となるのを防ぐために、ポットを配備している。このポットには洗浄・乾燥防止液が貯留されているため、ノズルの吐出口がポットの開口からポット内に進入している状態では、ノズルの吐出口周辺の処理液が乾燥することが抑えられる。このようにノズルの吐出口周辺の処理液の乾燥を防止するときには、液位変更手段により洗浄・乾燥防止液がノズルの吐出口と離れる第2液位としておけばよい。
【0014】
一方、基板処理時や基板処理前に予めノズルから処理液を吐出させる時においてノズルの吐出口周辺に付着(固着)した処理液の固形化物を除去するときには、ポット内において洗浄・乾燥防止液の液位を第1液位とすることによりこれを行うことができる。すなわち、液位変更手段により第1液位とすれば、ポットの開口からポット内に進入しているノズルの吐出口が洗浄・乾燥防止液に接触するようになり、ノズルの吐出口周辺の付着物が除去される。
【0015】
このように、本装置のポットは、その内部の液位が液位変更手段により変化させられることによって、ノズルの吐出口周辺の乾燥を防ぐ作用(役割)を果たしたり、ノズルの吐出口周辺の付着物を除去する作用を果たしたりする。すなわち、ここでは本装置のポットが前記2つの作用を兼ね備えており、これらの作用をそれぞれ有する別個の2つの構造体の代わりにポット1つを配備すればよくなるため、基板処理装置の構造が簡易なものとなり、占有スペースが小さくなり、装置のコストが抑えられる。
【0016】
また、本装置では、ポット内を第1液位としてノズルの吐出口周辺の付着物を除去するときに、洗浄・乾燥防止液と接触しているノズルの吐出口から処理液を吐出させる制御を行っている。これにより、吐出口からノズル内部に洗浄・乾燥防止液が入り込んで処理液 の凝集の原因となることを抑えることができる。すなわち、ノズル内部に溶剤等の洗浄・乾燥防止液が入って処理液の濃度が変わるとソルベントショックといって処理液が凝集する恐れが出るが、ここでは上記のように制御しているため、これを防ぐことができる。
【0017】
請求項2に係る基板処理装置は、請求項1に記載の装置であって、超音波発振器をさらに備えている。超音波発振器は、ポット内の洗浄・乾燥防止液に接触しているノズルの吐出口に超音波をあてる。
【0018】
本装置では、ポット内で洗浄・乾燥防止液に接触して吐出口周辺の付着物の除去が行われているノズルに対して、さらにこの吐出口及び吐出口周辺に洗浄・乾燥防止液を介して超音波があてられる。この超音波発振器からの超音波によって、キャビテーション破壊作用あるいは液振動の加速度による作用がかかり、ノズルの吐出口周辺の付着物の洗浄・乾燥防止液への溶解分散が促進される。これにより、ノズルの吐出口周辺に付着した付着物の洗浄除去がより確実に為されるようになる。
【0019】
請求項3に係る基板処理装置は、請求項2に記載の装置であって、処理液排出ガイドをさらに備えている。処理液搬出ガイドは、ポット内に設けられるものであり、ポット内にノズルの吐出口が進入している状態において吐出口の近傍から下方に向かって延びる。また、超音波発振器から発振される超音波は、洗浄・乾燥防止液を介して処理液排出ガイドにもあてられる。
【0020】
本装置では、ポットにノズルを待避させノズルの吐出口がポット内に位置し洗浄・乾燥防止液の液位が第2液位となっているときに、プリディスペンス処理、すなわちノズルの吐出口から処理液を少量吐出させる処理を行った場合に、処理液排出ガイドが設けられているため、ノズルの吐出口周辺に処理液がしずくとなって残存することが抑えられる。すなわち、プリディスペンス処理において吐出口から吐出される処理液は処理液排出ガイドを伝って良好に下方に排出される。
【0021】
そして、この処理液排出ガイドの特に第2液位よりも高い部分には処理液が固着することがあるが、ノズルの吐出口周辺の付着物の洗浄除去を行うときに処理液排出ガイドにも超音波があてられるため、処理液排出ガイドからも固着物が除去され処理液排出ガイドが清浄に保たれる。また、処理液排出ガイドを洗浄するための別個の洗浄具を設ける必要がなくなるため、装置のコストを低減することができる。
【0022】
請求項4に係る基板処理装置は、請求項1から3のいずれかに記載の装置であって、液位変更手段は、第1排液管と、第2排液管とを有している。第1排液管は、第1液位よりも上方にある洗浄・乾燥防止液を排液することができる。第2排液管は、第2液位よりも上方にある洗浄・乾燥防止液を排液することができる。
【0023】
本装置においては第1排液管を設けているため、新しい洗浄・乾燥防止液をポット内に流入させていても第1液位を保つことができる。また、第2排液管により第2液位よりも上方にある洗浄・乾燥防止液を排液するようにすれば、第2液位を保つことができる。このように、本装置では容易にポット内の洗浄・乾燥防止液の液位を変更・保持させることができる。
【0024】
なお、第1液位としてノズルの吐出口周辺の付着物を除去するときには、除去した付着物を洗い流すため、第1排液管による排液を行ってポット内の洗浄・乾燥防止液をオーバーフローさせておくことが望ましい。
【0025】
請求項5に係る基板処理装置は、請求項1から4のいずれかに記載の装置であって、シール部材をさらに備えている。シール部材は、ノズルの吐出口がポット内に進入している状態において、ポット内から開口を通ってポット外に洗浄・乾燥防止液の雰囲気が流出することを抑える。
【0026】
従来のポット、例えば図6及び図7に示すノズルポット132では、これをノズルの吐出口に接近させることにより待機中のノズルの吐出口周辺の乾燥を抑制している。
【0027】
しかしながら、接近させたときにもポットとノズルとの間には隙間が存在しており、ポット内の揮発した洗浄・乾燥防止液の雰囲気の一部がこの隙間から大気中に流れ出している。このため、ノズルの吐出口近傍において十分な濃度の洗浄・乾燥防止液の雰囲気が得られないことがあり、この場合にはノズルの吐出口周辺が乾燥してノズルの詰まりが発生するという不具合が起こる。
【0028】
本請求項に係る装置では、シール部材を設けて、これによりポット内から開口を通ってポット外に洗浄・乾燥防止液の雰囲気が流出することを抑えている。このため、ノズルの吐出口周辺の乾燥がより確実に防止されるようになり、ノズルの詰まりが起こり難くなる。また、これに従って、プリディスペンス処理の回数も低減することが可能となり、処理液の使用量を削減することができる。
【0029】
請求項6に係る基板処理装置は、請求項5に記載の装置であって、シール部材は、ノズルの吐出口がポット内に進入している状態において、ポットの開口の周囲とノズルとの間の隙間を埋める部材である。
【0030】
ここでは、シール部材が、ノズルの吐出口がポット内に進入している状態のときにポットの開口の周囲とノズルとの間の隙間を埋めることによって、ポット内から開口を通ってポット外に洗浄・乾燥防止液の雰囲気が流出することを抑えている。このシール部材は、ポットやノズルとは別個のものであってもよいし、ポットの開口の周囲あるいはノズルに装着させるようにしてもよい。
【0031】
【発明の実施の形態】
<全体構成>
図1において、本発明の一実施形態が採用されたレジスト液塗布装置は、処理部1と、レジスト液圧送部2と、ノズル待機部30とを主に備えている。この塗布装置では、図2に示すような矩形のガラス基板Pに対してフォトレジスト(以下、単にレジスト液と記す。)が塗布され、コーティング処理が行われる。
【0032】
<処理部の構成>
処理部1は、基板Pを真空吸着し水平に保持し得る基板保持部4と、基板保持部4に保持された基板Pに対してレジスト液を供給するレジスト液供給部5とを備えている。基板保持部4は、回転自在とされており、モータ機構26によって水平回転させられるようになっている。基板保持部4の周囲には、回転時におけるレジスト液の飛散を防止するためのカップ6が配置されている。
【0033】
レジスト液供給部5は、図1及び図2に示すように基板Pの上面に沿って基板Pの短辺方向(図1の紙面に対して奥行き方向)に延びるノズル7を有している。ノズル7は、断面が倒立家型の部材であり、その底面の両側壁は逆三角形状に傾斜している。また、ノズル7は、基板Pの短辺長さよりも短い長さのスリット20を有しており、図3のようにスリット20の先端が吐出口20aとなっている。このノズル7は、図1のようにノズル支持アーム8の下端に固定されている。ノズル支持アーム8の上端部は、移動フレーム9に上下移動可能に支持されている。移動フレーム9は、移動ガイド10に移動可能に支持されている。移動ガイド10は、基板Pの長手方向(図1の左右方向)に沿って延びている。
【0034】
また図3に示すように、ノズル7内部において、スリット20の上方にはスリット20よりも幅の広い液溜め空間21が形成されている。この液溜め空間21は、後述するレジスト液供給配管16から供給されたレジスト液をノズル7の長手方向に均一に拡散させるためのものである。
【0035】
<レジスト液圧送部の構成>
レジスト液圧送部2は、図1に示すように、レジスト液を貯溜したガラス瓶12を収納し、かつ内部が気密に封止された加圧タンク11を有している。加圧タンク11の上部には、図示しない窒素ガス供給源から加圧された窒素ガスを加圧タンク11内に供給する加圧配管13が接続されている。加圧配管13の途中には、給排用の三方弁14及びレギュレータ15が加圧タンク11側からこの順に配置されている。三方弁14は、窒素ガスを加圧タンク11に供給するかまたは排気するかを選択できる。レジスト液供給配管16は、その一端がガラス瓶12の底面近傍に達しており、他端がノズル7に接続されている。このレジスト液供給配管16の途中には、レジスト液供給弁18及びサックバックバルブ17がガラス瓶12側からこの順で配置されている。
【0036】
<ノズル待機部の構成>
ノズル待機部30は、主として、ポット31と、超音波発振器33と、ポット昇降用のアクチュエータ34とから構成されている。
【0037】
ポット31は、ノズル7が待機位置に移動してきたときにこのノズル7と対向可能な位置、すなわちノズル7の待機位置の下方に配置されている。ポット31は、図4に示すようにノズル7の長手方向(図4の左右方向)の長さよりも長く形成されており、その上部には開口50が形成されている。また、ポット31の中央部には、長手方向のほぼ全域にわたって延び、かつノズル7の吐出口20aよりも若干低い位置から下方に所定の長さだけ延びる排出ガイド(処理液排出ガイド)51が設けられている。すなわち、この排出ガイド51は、ノズル7の先端(吐出口20a近傍)がポット31内に位置する状態(図3参照)において、ノズル7の先端の吐出口20aに近接するように設けられている。なお、この排出ガイド51とノズル7の先端との距離は、概ね5mm程度以下の値、例えば約3mmに設定される。
【0038】
また、ポット31の側面には、図3及び図4に示すように、リンス液供給配管41、オーバーフロー配管(第1排液管)43、液位低下配管(第2排液管)45、及びメンテナンス用のドレン配管47が接続されている。
【0039】
リンス液供給配管41は、図示しないリンス液の供給源からポット31内にリンス液を供給するための配管である。このポット31に供給されるリンス液としては、ノズル7へ供給されているレジスト液の溶剤と同種のものが用いられる。
【0040】
オーバーフロー配管43は、リンス液供給配管41よりも若干低い位置においてポット31に接続されており、その内面底部の高さが第1液位H1(図3)となっている。この第1液位H1は、待避位置にあるノズル7に対しポット31が上昇している状態において、ノズル7の先端が貯留されているリンス液に浸されるような液位である。したがって、この第1液位H1は、この状態のノズル7の吐出口20aよりも高い位置にある。そして、リンス液供給配管41からのリンス液の供給によって第1液位H1よりも液位が高くなりそうになっても、このオーバーフロー配管43からリンス液が排液されるため、ポット31内において液位が第1液位H1よりも高くなることはない。
【0041】
液位低下配管45は、オーバーフロー配管43よりも低い位置においてポット31に接続されており、その内面底部の高さが第2液位H2(図3)となっている。この第2液位H2は、待避位置にあるノズル7に対しポット31が上昇している状態において、ノズル7の先端よりも若干低い位置にある。この液位低下配管45には、図示しない制御部(制御手段)からの指令により開閉される自動開閉バルブ45aが介装されている。自動開閉バルブ45aを開の状態にすると、第2液位H2よりも上方にあるリンス液が液位低下配管45から排液され、ポット31内のリンス液の液位が第2液位H2となる。
【0042】
ドレン配管47は、ポット31の最下部に接続されており、その内面底部の高さはポット31の底面と同じ高さとなっている。このドレン配管47には手動バルブ47aが介装されており、メンテナンス時には手動バルブ47aを開ければポット31内のリンス液を全て排液することができる。
【0043】
超音波発振器33は、ポット31の下方に配置され、その超音波発振子から上方に向けて、特にポット31内のリンス液に浸かっているノズル7の先端に向けて超音波を発振する。この超音波は、ポット31内の液位が第1液位H1であるとき、すなわちノズル7の先端の吐出口20a周辺を洗浄しているときに発振される。
【0044】
アクチュエータ34は、ポット31を昇降させるための駆動手段であって、1つのエアーシリンダあるいは油圧シリンダを用いている。アクチュエータ34の上下動部材34bの上端には、上面及び一側面が開放された箱状の支持部材34aが固定されている。なお、図4のように支持部材34aの長手方向において2つのガイド受け部材36が設けられ、これらのガイド受け部材36はそれぞれ、垂直方向に延びる2つのリニアガイド37と係合している。そして、ポット31は、当該リニアガイド37に沿って上下方向に案内されている。ポット31は、支持部材34aの上面に固着され、アクチュエータ34によって昇降させられる。超音波発振器33は、箱状の支持部材34aの内部に配置される。なお、ここではアクチュエータ34にシリンダを採用しているが、電動ボールネジ等の他の駆動手段を用いることも可能である。
【0045】
<装置の動作>
まず、基板表面のコーティング処理について簡単に説明する。
【0046】
コーティング処理では、ノズル7をスタート位置に移動させ、ノズル7の先端と基板Pとの間に所定の隙間があくようにノズル7を配置する。そして、図1のようにノズル7を基板Pの長手方向に水平移動させながら、スリット20の吐出口20aからレジスト液を吐出する。レジスト液の吐出動作は、三方弁14を供給側に切り換え、さらにレジスト液供給弁18を開いてガラス瓶12からレジスト液をノズル7に供給することで行う。ノズル7が基板Pの塗布領域の終端に到達すると、三方弁14を排気側に切り換えるとともにレジスト液供給弁18を閉じてレジスト液の供給を停止する。このようにして基板Pの所定領域へのレジスト液の塗布が終了すれば、ノズル7を待機位置(ノズル待機部30)に移動させ、次の基板処理のために待機させる。
【0047】
次に、モータ機構26を駆動して基板保持部4を回転させる。これにより、基板Pの上面に塗布されたレジスト液は遠心力によって外周方向に移動し、基板Pの表面全域にレジスト液が拡散されて所定の厚みに塗布されるとともに、余剰のレジスト液は基板P外方へ飛散し除去される。
【0048】
次に、ノズル7の洗浄動作について説明する。
【0049】
ノズル7が待機位置に位置している状態を図3に示す。ここでは、ポット31がアクチュエータ34により上昇させられているが、ポット31はノズル7がポット31の上方に移動してきた後に上昇させられる。そして、洗浄、すなわちノズル7の吐出口20aの周辺に付着した付着物の除去を行わせるときには、図示しない制御部が自動開閉バルブ45aを閉め、リンス液供給配管41からポット31にリンス液を供給しながらポット31内の液位を第1液位H1としてリンス液をオーバーフローさせる。この状態で図3に示すようにノズル7の先端がリンス液に浸かっている状態となるため、ここで超音波発振器33から超音波を発振させる。すると、ノズル7の吐出口20aの周辺に付着していた凝集したレジスト液の固形物などがリンス液に溶解分散して、ノズル7から除去される。これにより、ノズル7の先端が洗浄されてきれいになる。
【0050】
なお、ポット31内の液位を第1液位H1としてノズル7の先端をリンス液に浸しているときには、常時プリディスペンス処理を行い、レジスト液を吐出口20aからポット31内に吐出し続けることでポット31内のリンス液がスリット20内にしみ上がってくることを防止する。
【0051】
ノズル7の洗浄が終了すると、制御部の指令により自動開閉バルブ45aが開けられ、ポット31内の液位が第1液位H1から第2液位H2に変えられる。これによって、ノズル7の先端がポット31内のリンス液に接触しない状態となる。そして、この状態でプリディスペンス処理が行われると、その上端部がリンス液の液面とノズル7の先端との間に位置する排出ガイド51の存在により、吐出口20aから吐出されたレジスト液は排出ガイド51を伝って良好に下方に排出される。したがってレジスト液がノズル7の先端にしずくとなって残ることはない。このため、残存するレジスト液の乾燥固化によるパーティクルの発生が抑えられる。
【0052】
この後、次の基板処理まではポット31内にノズル7の先端が待機することになるが、ポット31内にはリンス液が第2液位H2まで貯留されているため、このリンス液が揮発して溶剤雰囲気を形成し、ノズル7の吐出口20a周辺及びスリット20内のレジスト液の乾燥固化を防ぐことができる。
【0053】
<本装置の特徴>
本装置では、ポット31が、その内部の液位を自動開閉バルブ45a等を制御することにより第1液位H1と第2液位H2とに変化させることで、ノズル7の吐出口20a周辺の付着物を除去する作用を果たしたり、ノズル7の先端(吐出口20a周辺)の乾燥を防ぐ作用を果たしたりする。すなわち、このポット31がこれらの2つの作用を兼ね備えており、これらの作用をそれぞれ有する別個の2つの構造体(例えば、洗浄ブロックとノズルポット)の代わりにポット31を1つを配備するだけでよくなり、装置の構造が簡易なものとなっているとともに、装置の占有スペースが小さくなっている。
【0054】
また本装置では、ポット31内でリンス液に浸かって吐出口20a周辺の付着物の洗浄除去が行われているノズル7に対して、さらに超音波発振器33によって超音波をあてている。この超音波によるキャビテーション破壊作用やリンス液の振動の加速度による作用がかかるため、ノズル7の先端に付着している付着物のリンス液への溶解分散が促進され、洗浄除去の効率が向上している。
【0055】
また本装置では、ノズル7の先端の洗浄を行うときに、排出ガイド51もリンス液に浸かった状態で超音波があてられることになる。このため、排出ガイド51、特に排出ガイド51の第2液位H2よりも上部にある部分からも効果的に付着物が除去され、排出ガイド51が清浄に保たれる。また、この排出ガイド51を洗浄するための別個の洗浄具を設ける必要がなくなるため、装置のコストが低減されている。
【0056】
[他の実施形態]
(A)
上記実施形態ではノズル7からレジスト液を吐出する塗布装置について説明したが、これに限らず、例えばノズル7から現像液を吐出する基板現像装置についても本発明は適用し得る。その場合、リンス液としては例えば純水が用いられる。
【0057】
また、基板にエッチング処理や剥離処理を施すような基板処理装置についても、本発明を適用することが可能である。
【0058】
(B)
上記実施形態においては、ノズル7がノズル待機部30に待機しているときには、図3に示すような状態となっている。この状態においては、ノズル7がその先端をポット31の開口50からポット31内に進入させ、ポット31の開口50を概ね覆うようになっているが、ポット31の内部とポット31の外部とはこれらの隙間を介して連通している。
【0059】
図3に示すノズル7の待機状態のときには、ポット31内のリンス液が揮発してノズル7の先端の周りに溶剤雰囲気を形成し、ノズル7の吐出口20a周辺やスリット20内のレジスト液が乾燥固化することを防いでいる。しかしながら、上記のようにノズル7とポット31の隙間が存在すると、ここからポット31内の溶剤雰囲気がポット31外に流れ出してしまい、ノズル7の先端の周りにおいて十分な濃度の溶剤雰囲気が得られなくなり、ノズル7の吐出口20a周辺やスリット20内のレジスト液が乾燥してしまう恐れがある。
【0060】
このため、上記実施形態においてはノズル7とポット31との間の隙間がなるべく小さくなるように位置制御しているが、これに加えて下記のようにパッキンを装着させることが望ましい。
【0061】
図5に示すパッキン(シール部材)80a,80bは、ノズル70が待機状態のときにノズル70とポット31の開口50の周囲との間の隙間を埋めるように、ポット31の開口50周囲の上面31a,31bに接着されるものである。ノズル70は、ノズル7に、ポット31の上面31bに対向する平行下面70bが平行下面70aに加えて形成されているものである。したがって、ノズル70に対してポット31が上昇すると、図5に示すように、ポット31の上面31aとノズル70の平行下面70aとの隙間がパッキン80aによって埋められ、ポット31の上面31bとノズル70の平行下面70bとの隙間がパッキン80bによって埋められる。これによりポット31内から開口50周囲の隙間を通ってポット31外に溶剤雰囲気が流出することが抑えられる。
【0062】
このように溶剤雰囲気の流出を抑えることで、ノズルの先端の乾燥がより確実に防止されるようになり、ノズルの詰まりが起こり難くなる。また、これに従って、プリディスペンス処理の回数も低減することが可能となり、レジスト液の使用量も削減することができる。
【0063】
なお、パッキン80a,80bについては、シート状のパッキンを使用してもよいし、合成ゴムからなるパッキンを使用してもよい。また、ここではポット31側にパッキン80a,80bを接着させているが、ノズル70側にこれを装着するようにしてもよい。
【0064】
【発明の効果】
本発明では、ポットに、その内部の液位を液位変更手段により変化させることによって、ノズルの吐出口周辺の乾燥を防ぐ作用、及びノズルの吐出口周辺の付着物を除去する作用を兼ね備えさせている。これにより、これらの作用をそれぞれ有する別個の2つの構造体の代わりにポット1つを配備すればよくなるので、基板処理装置の構造が簡易なものとなり、占有スペースが小さくなって、装置のコストが抑えられる。
【0065】
また、別の本発明では、ポット内で洗浄・乾燥防止液に接触して吐出口周辺の付着物の除去が行われているノズルに対して、さらにこの吐出口及び吐出口周辺に超音波があてられるので、ノズルの吐出口周辺に付着した付着物の洗浄除去がより確実に為されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態が採用されたレジスト液塗布装置の全体構成図。
【図2】 塗布装置のノズルの斜視図。
【図3】 ノズル及びポットの一部横断面図。
【図4】 ノズル、ポット及びアクチュエータの側面図。
【図5】 他の実施形態のノズル及びポットの一部横断面図。
【図6】 洗浄ブロック及びノズルポットの一部横断面図。
【図7】 ノズル及びノズルポットの斜視断面図。
【符号の説明】
7 ノズル
20 スリット
20a 吐出口
30 ノズル待機部
31 ポット
33 超音波発振器
34 アクチュエータ
43 オーバーフロー配管(第1排液管)
45 液位低下配管(第2排液管)
45a 自動開閉バルブ(液位変更手段のひとつ)
50 開口
51 排出ガイド(処理液排出ガイド)
80a,80b パッキン(シール部材)
Claims (6)
- 基板に処理液を供給して基板処理を行う基板処理装置であって、
処理液を吐出する吐出口を有するノズルと、
開口を有し、前記ノズルの洗浄及び前記ノズルの乾燥を抑えるために用いられる洗浄・乾燥防止液を貯留するポットと、
前記ノズルの吐出口が前記ポットの開口から前記ポット内に進入している状態において、前記ポット内の洗浄・乾燥防止液の液位を、洗浄・乾燥防止液が前記吐出口と接触する第1液位と洗浄・乾燥防止液が前記吐出口と離れる第2液位とに変化させる液位変更手段と、
前記ノズルの吐出口が前記ポット内に進入している状態であり、前記洗浄・乾燥防止液の液位が前記第1液位にあるときに、前記ノズルの吐出口から処理液を吐出させる制御を行う制御手段と、
を備えた基板処理装置。 - 前記ポット内の洗浄・乾燥防止液に接触している前記ノズルの吐出口に前記洗浄・乾燥防止液を介して超音波をあてる超音波発振器をさらに備えた、請求項1に記載の基板処理装置。
- 前記ポット内に設けられ、前記ポット内に前記ノズルの吐出口が進入している状態において前記吐出口の近傍から下方に向かって延びる処理液排出ガイドをさらに備えており、
前記超音波発振器から発振される超音波は前記洗浄・乾燥防止液を介して前記処理液排出ガイドにもあてられる、
請求項2に記載の基板処理装置。 - 前記液位変更手段は、前記第1液位よりも上方の洗浄・乾燥防止液を排液することのできる第1排液管と、前記第2液位よりも上方の洗浄・乾燥防止液を排液することのできる第2排液管とを有している、請求項1から3のいずれかに記載の基板処理装置。
- 前記ノズルの吐出口が前記ポット内に進入している状態において、前記開口を通って前記ポット内から前記ポット外に洗浄・乾燥防止液の雰囲気が流出することを抑えるシール部材をさらに備えた、請求項1から4のいずれかに記載の基板処理装置。
- 前記シール部材は、前記ノズルの吐出口が前記ポット内に進入している状態において、前記ポットの開口の周囲と前記ノズルとの間の隙間を埋める、請求項5に記載の基板処理装置。
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