JP3807759B2 - 新規チオール誘導体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、新規チオール誘導体に関し、更に詳しくは、眼鏡用プラスチックレンズ、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、光ディスク基盤、プラスチック光ファイバー、LCD用プリズムシート、導光板、拡散シート等の光学材料、塗料、接着剤、封止剤の原料、特に光学材料の原料として、極めて有用な新規チオール誘導体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機光学材料用樹脂は、ガラス等に比較して軽量で取扱いが簡単であることから、近年は各種材料として汎用されている。
このような有機光学材料用樹脂として、従来から、ポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ジエチレングリコールジアリルカーボナート樹脂等が広く用いられている。
【0003】
しかし、このような従来の有機光学材料用樹脂は、低い屈折率、大きな複屈折、高い分散性の欠点を有し、耐熱性や耐衝撃性にも劣るため、必ずしも満足できるものではなかった。
【0004】
特にレンズ用材料として用いられているジエチレングリコールジアリルカーボナート樹脂(CR−39)等は、屈折率が1.50と低いため、レンズとして使用した場合にはコバ厚や中心厚が厚くなるため、レンズの外観が悪くなり、また重量の増大を招くという欠点があった。
【0005】
これらの欠点を解決するために、主として屈折率を向上させる方法が種々検討されて来た。例えば、特公平5−4404号公報には、芳香環にハロゲンを導入した樹脂が開示されている。しかしながら、この技術により得られた樹脂は、屈折率が1.60と大きくなるものの、比重が1.37と高く、プラスチックレンズの特徴であるレンズの軽量性の点で満足できるものではなかった。
【0006】
特公平4−15249号公報及び特開昭60−199016号公報では、イソシアネート化合物とポリチオールの重合により樹脂を得る技術が開示されている。しかし、この樹脂も屈折率が1.60と大きくなるものの、比重が1.30以上であり、重合温度が比較的低く、また重合速度が速いため、重合時の熱制御が困難となり、そのため光学歪が大きいという欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記現状に鑑み、高屈折率を有する透明な樹脂を製造するために好適な単量体である新規チオール誘導体及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記式(I)又は下記式(II)で表される新規チオール誘導体及びその製造方法に関する。
【0009】
【化5】
【0010】
上記式(I)で表されるビス(4−アリルチオフェニル)スルフィドは、例えば下式(III)に示すようにビス(4−メルカプトフェニル)スルフィドとハロゲン化アリルを、アルカリ存在下、攪拌しながら、水中、あるいは、水と有機溶媒との2相系中で反応させることにより製造できる。
【0011】
【化6】
【0012】
(式中Xはハロゲン原子を表す。)
【0013】
ハロゲン化アリルとしては塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリルが挙げられ、ハロゲン化アリルの使用量は、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィドに対して1〜1.5当量であるが、好ましくは1〜1.2当量である。
【0014】
アルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の金属炭酸塩、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の第三級アミンが挙げられるが、反応性と経済性の面から水酸化ナトリウムが最も好ましく、使用量はビス(4−メルカプトフェニル)スルフィドに対して1〜1.5当量、好ましくは1〜1.2当量である。
【0015】
この時、反応温度は、0〜70℃、好ましくは、10〜40℃で行うのがよい。
有機溶媒としてはn−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類を用いることが好ましい。
【0016】
反応後は、有機層と水層を分液し、有機層を水洗した後、溶媒を留去することにより本発明のビス(4−アリルチオフェニル)スルフィドを得ることができる。
【0017】
本発明の上記式(II)で表されるビス(4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル)スルフィドは、下記式(IV)に示すようにビス(4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニル)スルフィドとチオ尿素又はチオシアン酸塩とを有機溶媒中で反応させることにより製造することができる。
【0018】
【化7】
【0019】
原料のビス(4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニル)スルフィドを製造する方法は特に限定されず、例えば、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィドにエピクロロヒドリンを付加反応させた後、閉環反応を行う方法(J.Appl.Poly.Sci.,39巻、1623(1990年)、米国特許第2731437号明細書)等を挙げることができる。
【0020】
チオシアン酸塩としてはチオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウム等のチオシアン酸塩を用いることができる。チオ尿素又はチオシアン酸塩の使用量はビス(4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニル)スルフィドに対して、1〜4当量、好ましくは1〜3当量である。
【0021】
用いられる有機溶媒としては、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、メタノール、エタノール、iso−プロパノール等のアルコール類が挙げられる。
【0022】
反応温度は、0〜80℃、好ましくは10〜60℃である。反応後は水を添加し有機層と水層を分液し、有機層を水洗した後、溶媒を留去することにより本発明のビス(4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル)スルフィドを得ることができる。
【0023】
本発明の新規チオール誘導体は、使用目的等に応じて共重合可能な化合物を配合し、共重合することができる。
本発明の新規チオール誘導体と共重合可能な化合物としては、例えば、ビニル基を有するモノマー、ビニル基を有するオリゴマー、エポキシ基を有するモノマー、エポキシ基を有するオリゴマー、チオール基を有するモノマー、チオール基を有するオリゴマー等が挙げられ、使用目的に応じ単官能化合物だけでなく多官能化合物を選択することができ、またそれらの化合物を2種以上併用することができる。
また、本発明の新規チオール誘導体及び共重合可能な化合物を含む組成物は、通常の方法により、熱、光等によって共重合させることができる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0025】
実施例1
攪拌機、温度計、ジムロート型冷却管を備えた300mlの四つ口フラスコに、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィド50.1g(0.20モル)および水40gを仕込、反応温度を20〜30℃に保ちながら別途調製しておいた水素化ホウ素ナトリウム0.038g(0.001モル)を含む27%水酸化ナトリウム水溶液59.3g(0.40モル)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、更に75〜80℃で1.5時間攪拌を続けた後、20℃まで冷却した。次に別途準備した攪拌機、温度計、ジムロート型冷却管を備えた1lの四つ口フラスコに、臭化アリル50.0g(0.416モル)とトルエン300g及び臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム1.61g(0.005モル)を仕込、反応温度を20℃以下に保ちながら、前記の反応で得られた水溶液を45分かけて滴下した。更に、20℃で1時間攪拌した後、反応液を分液した。有機層を水100gで2回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水しトルエンを留去して、淡黄色の液体を得た。この液体をカラムクロマトグラフィで精製することにより、無色透明の液体を得た。
【0026】
この新規チオール誘導体の構造を決定するため分析を行った。結果を下記に示す。
屈折率(n25 D )1.666
元素分析値
理論値(%) C:65.41 H:5.49 S:29.10
分析値(%) C:65.47 H:5.53 S:29.00
赤外吸収スペクトル(NaClcm-1)
3080、1635、1575、1473、1425、1388、1228、1099、1076、1010、987、924
1H−核磁気共鳴スペクトル(CDCl3 溶媒、テトラメチルシラン基準)δ(ppm)
7.23(S、8H、芳香環水素)、6.1〜5.6(m、2H、−CH=C−)、5.4〜5.0(2d、4H、CH2 =C−)、3.52(d、4H、−SCH2 −)
【0027】
上記の分析結果から無色透明液体は、ビス(4−アリルチオフェニル)スルフィドと同定された。収量は62.3gで、収率は原料のビス(4−メルカプトフェニル)スルフィドに対して94.2%であった。
【0028】
実施例2
攪拌機、温度計及びジムロート型冷却管を備えた1lの四つ口フラスコにビス(4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニル)スルフィド72.6g(0.2モル)、塩化メチレン200g及びメタノール160gを仕込み、40℃まで昇温した。ついで反応温度を40〜45℃に保ちながらチオ尿素61g(0.8モル)を添加し、そのままの温度で4時間攪拌した。その後、室温まで冷却し水200gを添加し30分攪拌した。有機層と水層を分離した後、有機層を200gの水で2回洗浄し、溶媒を留去した後、トルエン/n−ヘキサンの混合溶媒で再結晶することにより、白色結晶を得た。
【0029】
この新規チオール誘導体の構造を決定するため分析を行った。結果を下記に示す。
融点 41.5〜43.0℃
屈折率(n45 D )1.703
元素分析値
理論値(%) C:54.78 H:4.60 S:40.62
分析値(%) C:54.80 H:4.55 S:40.65
赤外吸収スペクトル(KBrcm-1)
2923、1473、1388、1099、1008、806
1H−核磁気共鳴スペクトル(CDCl3 溶媒、テトラメチルシラン基準)δ(ppm)
7.5〜7.2(m、8H、芳香環水素)、3.6〜2.1(m、10H、エピチオプロピルチオ水素)
【0030】
上記の分析結果から白色結晶は、ビス(4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル)スルフィドと同定された。収量は73.8gで、収率は原料のビス(4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニル)スルフィドに対して93.5%であった。
【0031】
【発明の効果】
本発明の新規チオール誘導体は、それ自体で重合させるか、又は、各種の共重合可能な化合物と共重合させることにより、高屈折率であり透明性に優れた硬化物を得ることができる。それ故に、本発明の新規チオール誘導体は優れた物性を有する光学材料、塗料、接着剤、封止材等を与える極めて有用な単量体である。
【産業上の利用分野】
本発明は、新規チオール誘導体に関し、更に詳しくは、眼鏡用プラスチックレンズ、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、光ディスク基盤、プラスチック光ファイバー、LCD用プリズムシート、導光板、拡散シート等の光学材料、塗料、接着剤、封止剤の原料、特に光学材料の原料として、極めて有用な新規チオール誘導体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機光学材料用樹脂は、ガラス等に比較して軽量で取扱いが簡単であることから、近年は各種材料として汎用されている。
このような有機光学材料用樹脂として、従来から、ポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ジエチレングリコールジアリルカーボナート樹脂等が広く用いられている。
【0003】
しかし、このような従来の有機光学材料用樹脂は、低い屈折率、大きな複屈折、高い分散性の欠点を有し、耐熱性や耐衝撃性にも劣るため、必ずしも満足できるものではなかった。
【0004】
特にレンズ用材料として用いられているジエチレングリコールジアリルカーボナート樹脂(CR−39)等は、屈折率が1.50と低いため、レンズとして使用した場合にはコバ厚や中心厚が厚くなるため、レンズの外観が悪くなり、また重量の増大を招くという欠点があった。
【0005】
これらの欠点を解決するために、主として屈折率を向上させる方法が種々検討されて来た。例えば、特公平5−4404号公報には、芳香環にハロゲンを導入した樹脂が開示されている。しかしながら、この技術により得られた樹脂は、屈折率が1.60と大きくなるものの、比重が1.37と高く、プラスチックレンズの特徴であるレンズの軽量性の点で満足できるものではなかった。
【0006】
特公平4−15249号公報及び特開昭60−199016号公報では、イソシアネート化合物とポリチオールの重合により樹脂を得る技術が開示されている。しかし、この樹脂も屈折率が1.60と大きくなるものの、比重が1.30以上であり、重合温度が比較的低く、また重合速度が速いため、重合時の熱制御が困難となり、そのため光学歪が大きいという欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記現状に鑑み、高屈折率を有する透明な樹脂を製造するために好適な単量体である新規チオール誘導体及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記式(I)又は下記式(II)で表される新規チオール誘導体及びその製造方法に関する。
【0009】
【化5】
【0010】
上記式(I)で表されるビス(4−アリルチオフェニル)スルフィドは、例えば下式(III)に示すようにビス(4−メルカプトフェニル)スルフィドとハロゲン化アリルを、アルカリ存在下、攪拌しながら、水中、あるいは、水と有機溶媒との2相系中で反応させることにより製造できる。
【0011】
【化6】
【0012】
(式中Xはハロゲン原子を表す。)
【0013】
ハロゲン化アリルとしては塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリルが挙げられ、ハロゲン化アリルの使用量は、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィドに対して1〜1.5当量であるが、好ましくは1〜1.2当量である。
【0014】
アルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の金属炭酸塩、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の第三級アミンが挙げられるが、反応性と経済性の面から水酸化ナトリウムが最も好ましく、使用量はビス(4−メルカプトフェニル)スルフィドに対して1〜1.5当量、好ましくは1〜1.2当量である。
【0015】
この時、反応温度は、0〜70℃、好ましくは、10〜40℃で行うのがよい。
有機溶媒としてはn−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類を用いることが好ましい。
【0016】
反応後は、有機層と水層を分液し、有機層を水洗した後、溶媒を留去することにより本発明のビス(4−アリルチオフェニル)スルフィドを得ることができる。
【0017】
本発明の上記式(II)で表されるビス(4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル)スルフィドは、下記式(IV)に示すようにビス(4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニル)スルフィドとチオ尿素又はチオシアン酸塩とを有機溶媒中で反応させることにより製造することができる。
【0018】
【化7】
【0019】
原料のビス(4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニル)スルフィドを製造する方法は特に限定されず、例えば、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィドにエピクロロヒドリンを付加反応させた後、閉環反応を行う方法(J.Appl.Poly.Sci.,39巻、1623(1990年)、米国特許第2731437号明細書)等を挙げることができる。
【0020】
チオシアン酸塩としてはチオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウム等のチオシアン酸塩を用いることができる。チオ尿素又はチオシアン酸塩の使用量はビス(4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニル)スルフィドに対して、1〜4当量、好ましくは1〜3当量である。
【0021】
用いられる有機溶媒としては、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、メタノール、エタノール、iso−プロパノール等のアルコール類が挙げられる。
【0022】
反応温度は、0〜80℃、好ましくは10〜60℃である。反応後は水を添加し有機層と水層を分液し、有機層を水洗した後、溶媒を留去することにより本発明のビス(4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル)スルフィドを得ることができる。
【0023】
本発明の新規チオール誘導体は、使用目的等に応じて共重合可能な化合物を配合し、共重合することができる。
本発明の新規チオール誘導体と共重合可能な化合物としては、例えば、ビニル基を有するモノマー、ビニル基を有するオリゴマー、エポキシ基を有するモノマー、エポキシ基を有するオリゴマー、チオール基を有するモノマー、チオール基を有するオリゴマー等が挙げられ、使用目的に応じ単官能化合物だけでなく多官能化合物を選択することができ、またそれらの化合物を2種以上併用することができる。
また、本発明の新規チオール誘導体及び共重合可能な化合物を含む組成物は、通常の方法により、熱、光等によって共重合させることができる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0025】
実施例1
攪拌機、温度計、ジムロート型冷却管を備えた300mlの四つ口フラスコに、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィド50.1g(0.20モル)および水40gを仕込、反応温度を20〜30℃に保ちながら別途調製しておいた水素化ホウ素ナトリウム0.038g(0.001モル)を含む27%水酸化ナトリウム水溶液59.3g(0.40モル)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、更に75〜80℃で1.5時間攪拌を続けた後、20℃まで冷却した。次に別途準備した攪拌機、温度計、ジムロート型冷却管を備えた1lの四つ口フラスコに、臭化アリル50.0g(0.416モル)とトルエン300g及び臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム1.61g(0.005モル)を仕込、反応温度を20℃以下に保ちながら、前記の反応で得られた水溶液を45分かけて滴下した。更に、20℃で1時間攪拌した後、反応液を分液した。有機層を水100gで2回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで脱水しトルエンを留去して、淡黄色の液体を得た。この液体をカラムクロマトグラフィで精製することにより、無色透明の液体を得た。
【0026】
この新規チオール誘導体の構造を決定するため分析を行った。結果を下記に示す。
屈折率(n25 D )1.666
元素分析値
理論値(%) C:65.41 H:5.49 S:29.10
分析値(%) C:65.47 H:5.53 S:29.00
赤外吸収スペクトル(NaClcm-1)
3080、1635、1575、1473、1425、1388、1228、1099、1076、1010、987、924
1H−核磁気共鳴スペクトル(CDCl3 溶媒、テトラメチルシラン基準)δ(ppm)
7.23(S、8H、芳香環水素)、6.1〜5.6(m、2H、−CH=C−)、5.4〜5.0(2d、4H、CH2 =C−)、3.52(d、4H、−SCH2 −)
【0027】
上記の分析結果から無色透明液体は、ビス(4−アリルチオフェニル)スルフィドと同定された。収量は62.3gで、収率は原料のビス(4−メルカプトフェニル)スルフィドに対して94.2%であった。
【0028】
実施例2
攪拌機、温度計及びジムロート型冷却管を備えた1lの四つ口フラスコにビス(4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニル)スルフィド72.6g(0.2モル)、塩化メチレン200g及びメタノール160gを仕込み、40℃まで昇温した。ついで反応温度を40〜45℃に保ちながらチオ尿素61g(0.8モル)を添加し、そのままの温度で4時間攪拌した。その後、室温まで冷却し水200gを添加し30分攪拌した。有機層と水層を分離した後、有機層を200gの水で2回洗浄し、溶媒を留去した後、トルエン/n−ヘキサンの混合溶媒で再結晶することにより、白色結晶を得た。
【0029】
この新規チオール誘導体の構造を決定するため分析を行った。結果を下記に示す。
融点 41.5〜43.0℃
屈折率(n45 D )1.703
元素分析値
理論値(%) C:54.78 H:4.60 S:40.62
分析値(%) C:54.80 H:4.55 S:40.65
赤外吸収スペクトル(KBrcm-1)
2923、1473、1388、1099、1008、806
1H−核磁気共鳴スペクトル(CDCl3 溶媒、テトラメチルシラン基準)δ(ppm)
7.5〜7.2(m、8H、芳香環水素)、3.6〜2.1(m、10H、エピチオプロピルチオ水素)
【0030】
上記の分析結果から白色結晶は、ビス(4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル)スルフィドと同定された。収量は73.8gで、収率は原料のビス(4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニル)スルフィドに対して93.5%であった。
【0031】
【発明の効果】
本発明の新規チオール誘導体は、それ自体で重合させるか、又は、各種の共重合可能な化合物と共重合させることにより、高屈折率であり透明性に優れた硬化物を得ることができる。それ故に、本発明の新規チオール誘導体は優れた物性を有する光学材料、塗料、接着剤、封止材等を与える極めて有用な単量体である。
Claims (4)
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JP17950095A JP3807759B2 (ja) | 1995-06-21 | 1995-06-21 | 新規チオール誘導体及びその製造方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17950095A JP3807759B2 (ja) | 1995-06-21 | 1995-06-21 | 新規チオール誘導体及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH093058A JPH093058A (ja) | 1997-01-07 |
JP3807759B2 true JP3807759B2 (ja) | 2006-08-09 |
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ID=16066912
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP17950095A Expired - Fee Related JP3807759B2 (ja) | 1995-06-21 | 1995-06-21 | 新規チオール誘導体及びその製造方法 |
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---|---|
JP (1) | JP3807759B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019021115A1 (en) * | 2017-07-24 | 2019-01-31 | 3M Innovative Properties Company | COMPOSITIONS AND METHODS FOR PRODUCING A POLYMERIZED COMPOSITION |
Families Citing this family (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000186086A (ja) * | 1998-10-15 | 2000-07-04 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | エピスルフィド化合物の製造方法 |
JP2000186087A (ja) * | 1998-10-15 | 2000-07-04 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | エピスルフィド化合物の製造方法 |
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