JP3807607B2 - 磁気記録媒体用基板の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はコンピュータの外部記憶装置を初めとする各種磁気記録装置に搭載される磁気記録媒体及びその製造方法と、それを用いた磁気記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高度な表面精度を要求される磁気記録媒体用の磁気ディスク基板として、従来の非磁性金属基板(アルミニウム等)を使用した場合には、高度な精密加工が要求され、従来の非磁性金属基板は、たとえば以下のようにして作製される。
【0003】
最初に加熱溶融した金属材料を圧延、加熱焼鈍した後に、規定の寸法に加工が行われたブランク材を作製し、次に内外径の処理が行われる。さらに、表面精度の向上のためにラッピング加工が行われた後、表面硬度向上などの目的のためにNi-Pメッキ層を13μm形成し、その表面をポリッシュ加工して表面粗さがRa=1.0nm(10Å)以下になるように研磨し、そしてダイヤモンドスラリーを使用する最終ラッピング加工(テクスチュアリング)を行う。その後にCSS(コンタクト・スタート・ストップ)ゾーンに、たとえばバンプバイトが19.0nm(190Å)であり、30μm平方に1個のバンプの密度になるようにレーザーゾーンテクスチャー加工を施し、その後精密洗浄することにより、一般的なハードディスク用磁気ディスク基板が得られる。
【0004】
前述のように得られた磁気ディスク基板上に、Cr下地層50nm(500Å、CoCrTa磁性層(Co:Cr:Ta=82:14:4)30nm(300Å)、およびカーボン保護層8.0nm(80Å)を、DCスパッタ法により順次形成し、さらにスパッタ後の表面にテープバニッシュを行う。最後に、ディップコートまたはスピンコート法によりフッ素系潤滑層2.0nm(20Å)を形成し、ハードディスク用磁気記録媒体が得られる。ただし、ディスク基板および各種の記録媒体の作製方法および構成は、上記のものに限定されるものではない。
【0005】
上記のような従来の磁気ディスク基板および磁気記録媒体の作製方法は、近年の高記録密度化の伸長とともにますます複雑化してきている。一方、高い性能を維持したままで、従来以上に安価な磁気ディスク基板および磁気記録媒体が求められている。この相反する要求を満たす新規な磁気ディスク基板として、熱可塑性樹脂(プラスチック)を用いた磁気ディスク基板および磁気記録媒体が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、高度な形状安定性および表面精度が要求されている磁気ディスク基板をプラスチックの射出成形により作製する場合には、金属、ガラスあるいはセラミック基板から作製する場合と比較して、機械的強度が低いために仕上げ研磨(ラッピング、ポリッシュ、バニッシュ等)ができない。したがって、射出成形終了時に、磁気ディスク基板として必要なレベルの表面精度(真直度、うねり、粗さ等)を整える必要がある。しかしながら、樹脂成形に際しては、スタンパー表面を鏡面化させると、スタンパーと基板との密着性が高くなるため、スタンパーからの離型時に基板自体を変形させることがあり平坦度を低下させるという問題点があった。
【0007】
記録密度の向上のために基板上数十nmの高さを磁気ヘッドが浮上移動するハードディスクのように、非常に高い表面精度が要求される記録媒体においては、低い平坦度(劣悪な表面精度)を有する基板を用いると、磁気ヘッドと記録媒体との間の所定の距離を維持することができず、最悪の場合には磁気ヘッドが浮上せず、実際の読み書きを行うことができないという問題を引き起こす。
【0008】
本発明は、係る従来の実状を鑑みてなされたものであり、プラスチック基板をスタンパーから離型する際の密着性を制御することで高い平坦度を実現し、ヘッドの浮上特性に優れた磁気記録媒体用基板および磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、金型に用いるスタンパー表面の保護膜の中心線平均表面粗さRaを、0.2nm〜2.0nmの範囲内とすることで射出成形時のスタンパーからの離型性を向上し、基板形状が大幅に改善され、磁気ヘッドの最低浮上高さを安定して5nm以下まで低下させることが出来ることを見出した。
【0010】
また、保護膜の厚さとしては、0.01μm〜9μmの範囲内であることが好ましく、製造コスト等を勘案すると、保護膜の厚さは、さらに0.01μm〜5μmの範囲内であることが好ましい。
【0011】
本発明の磁気記録媒体用基板の製造方法は、熱可塑性樹脂を成形金型内に射出して成形する磁気記録媒体用基板の製造方法において、前記成形金型における少なくとも基板記録領域に対応する領域の成形面にカーボンコーティングを施し、該カーボンコーティングの層の厚さが0.01μm〜9μmの範囲内であって、該層の中心線平均表面粗さRaを0.2nm〜2.0nmの範囲内とし、前記成形金型を用いて射出成形を行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の磁気記録媒体用基板の製造方法は、さらに、前記カーボンコーティングを施した層の厚さが、0.01μm〜5μmの範囲内であることを特徴とする。
【0013】
本発明の磁気記録媒体用基板の製造装置は、熱可塑性樹脂を成形金型内に射出して成形する磁気記録媒体用基板の製造装置において、前記成形金型における少なくとも基板記録領域に対応する領域の成形面にカーボンコーティングが施され、該カーボンコーティングの層の厚さが0.01μm〜9μmの範囲内であって、該層の中心線平均表面粗さRaが0.2nm〜2.0nmの範囲内であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の磁気記録媒体用基板の製造装置は、前記カーボンコーティング層の厚さが、0.01μm〜5μmの範囲内であることを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の磁気記録媒体用基板の製造装置は、前記成形面をスタンパーに形成したことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のスタンパー表面保護膜の成膜装置としてはDCスパッタ装置、もしくはプラズマCVD処理装置を用いることができ、この装置を用いてスタンパーへのカーボン保護膜の成膜を行いつつ、保護膜厚さ、成膜条件により表面粗さをコントロールすることができ、その時の中心線平均表面粗さ〔Ra〕は0.2nm〜2.0nmの範囲、好ましくは0.2nm〜1.0nmとすることができる。また、保護膜の表面粗さを制御する方法として、上記以外にも、保護膜の下に密着層として、例えば、Ti,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Mo等をDCスパッタ法により成膜することで、必要な表面粗さの制御をより簡便にすることが可能となる。
【0017】
本明細書中で、「平坦度」とはディスク基板全面における基板表面垂直方向の最大変位量である。
【0018】
また「磁気ヘッド最低浮上高さ」とは、ある回転数以上で回転させた基板表面に浮上している磁気ヘッドにおいて、基板回転数を徐々に減速させることで、磁気ヘッド(一般にピエゾヘッドが用いられる)が基板に接触した時の電気信号が1V以上に到達した時の、基板回転数(速度)から算出される高さのことであり、その高さが低いほど良質な基板であることを意味する。
【0019】
本発明のスタンパーを用いて製造された磁気ディスク基板は、10μm以下の平坦度及び5nm以下の磁気ヘッド最低浮上高さを有する。
【0020】
本発明において作製される磁気ディスク基板は、中心部に円形の孔を有する円板の形状を有することができる。中心部円形孔は、該磁気ディスク基板を用いた磁気記録媒体を磁気記録装置中に設置する際に、スピンドルモータを取り付けるために用いられる。ここで、中心部円形孔および円板の径は、磁気記録装置の設計に依存する。
【0021】
本発明において用いる射出成形は、当該技術において知られている射出成形装置を用いることができる。樹脂の均一性を高めるためにスクリュー式の射出成形装置を使用することが好ましい。樹脂の溶融および計量をスクリューを用いて行い、樹脂の射出をプランジャーを用いて行うことも可能であるが、溶融、計量および射出の機能を集約したインラインスクリュー式の射出成形装置を使用することが好ましい。
【0022】
本発明で用いることができるインラインスクリュー式射出成形装置の模式的断面図を図1に示す。このインラインスクリュー式射出成形装置は、加熱手段14および金型に対する射出口16を具えた加熱シリンダ13と、該加熱シリンダ13内にあり、樹脂の溶融、計量および射出を行うための(可動)スクリュー11と、スクリュー11に対して樹脂を供給する供給手段15(ホッパなど)と、スクリュー11の計量および射出駆動を行うためのスクリュー駆動手段12とを具える。金型としては、分離可能な2つの部分(固定部17および可動部18)からなる金型を用い、さらに金型に型締め圧力を与え、可動部18を駆動するための駆動手段19を具えることが好ましいが、それに限定されるものではない。この金型内部に鏡面化された、あるいはパターンを有する保護膜が成膜されたスタンパー24,25がセットされている。
【0023】
なお、このスタンパーは、成形基板の用途等に応じて、固定側若しくは可動側のいずれか一方に設けてもよい。また、記録領域成形面に対応する金型面に直接パターンを有する保護膜を設けてもよい。
【0024】
本発明において用いることができる金型の模式的断面図を図2に示す。図2は、樹脂充填時の金型を示す。金型は、互いに対向する可動側金型18と固定側金型17とからなり、可動側金型18及び固定側金型17の樹脂成形を行う面にはそれぞれ可動側スタンパー25及び固定側スタンパー26とが設けられている。
【0025】
また、金型は、作製される基板形状に対応する空間(以後、基板キャビティ22と称する)と、基板キャビティと射出口16を連絡する空間(以後、スプルー部21と称する)とを有する。さらに、基板キャビティ22とスプルー部21との間に、ゲート23が配置され、基板キャビティ22に充填された樹脂とスプルー部21の樹脂とを切り離す(ゲートカットする)ためのゲートカット手段24が設けられている。
【0026】
本発明の磁気ディスク基板を作製する際には、スクリュー11を有する射出装置を用いて溶融および計量された樹脂を、射出口16を通して金型へと射出して、スプルー部21および基板キャビティ22に樹脂を充填する。その後に、充填された溶融樹脂を金型内で冷却硬化させる。冷却硬化中に、ゲートカット手段であるパンチ24を前進させてスプルー部21と基板キャビティ部22の樹脂を切り離し、さらに冷却硬化させて、磁気ディスク基板を得ることができる。
【0027】
本発明の磁気ディスク基板は、金型内部に適切な膜厚、適切な表面粗さに制御されたカーボン保護膜が成膜されているスタンパーがセットされている金型を用いて射出成形されたものである。
【0028】
射出成形において平坦度が向上しない原因の1つとして、スタンパーから基板を剥がす時に物理的な力を加えて離型させる時の剥がれ易さにより変形度合いが異なる事が挙げられる。剥がれ難い時には基板はより変形し、剥がれやすい時には安定した形状が得られる。本発明者らは、スタンパー表面の保護膜を、より潤滑性の高いカーボンを用いることで離型性を向上させ、形状を安定化させることを、また、スタンパー表面の保護膜粗さについても必要以上に鏡面化させない方が、より離型性が高められることも見出した。そうすることで、離型性が向上し、更に離型バラツキが低減することで基板全体の変形を抑制することが可能となる。
【0029】
本発明の磁気ディスク基板を作製する際のスタンパー表面の保護膜厚さは、0.01μmから5μmの範囲とし、その保護膜の中心線平均表面粗さRaは、0.2nm〜2.0nmとする。この条件を満たしたスタンパーを用いて成形を実施する場合、基板離型時の変形を小さく抑えることが可能となり、基板の平坦度を大幅に向上させることが可能となった。
【0030】
上記のような、スタンパーを用いて作製された磁気ディスク基板は、10μm以下、より好ましくは5μm以下の平坦度を有する。また表面粗さについては0.2から2.0nmの中心線平均表面粗さRaを有する。
【0031】
さらに、上記のように作製された磁気ディスク基板に対してアニール処理を施すことにより、基板内に残留する応力を緩和することが好ましい。アニール処理は、(使用する材料のTg−70)℃以上(使用する材料のTg−15)℃以下の温度(Tgは、樹脂のガラス転移温度を意味する)において、0.5時間から48時間にわたって行うことが好ましい。樹脂の劣化および基板の局所的形状変化をもたらさないことを条件として、アニール処理温度は可能な限り高いことが好ましい。アニール処理は、大気雰囲気下あるいは低酸素雰囲気で行うことができる。また、アニール処理中に基板自重による撓みが発生することを防止するために、基板を縦置きしてアニール処理を行うことが好ましい。十分なアニールを行うことにより残留応力を減少させて、残留応力の経時的な解放による形状変化を最小限とし、かつ局所的な変形の発生を防止することができる。
【0032】
本発明において用いられる熱可塑性樹脂は、一般的に光磁気ディスク基板に使用されているポリカーボネート樹脂およびポリメチルメタクリレート樹脂に加えて、ポリオレフィン系樹脂を含む。特に、高耐熱性でありかつ低吸湿性である剛直構造のポリオレフィン系樹脂、たとえばノルボルネン系ポリシクロオレフィン樹脂を用いることが好ましい。また、樹脂構造に由来するTgは、135℃〜190℃の範囲内であり、この範囲内でTgが高いほど好ましい。
【0033】
上記のように作製した磁気ディスク基板を用いて磁気記録媒体を作製する際には、少なくとも該基板上に磁気記録層を積層する。また、必要に応じて下地層、保護層、潤滑層等を設けることができる。さらに、用途に応じて、前述のような層を磁気ディスク基板の片面または両面上に設けて、それぞれ片面および両面型磁気記録媒体を得ることができる。
【0034】
ハードディスク装置などに従来一般に用いられている水平記録方式の磁気記録媒体を作製する場合には、下地層、磁気記録層、保護層、潤滑層をこの順に設けることが好ましい。磁気記録層の性能向上などを目的として、下地層と磁気記録層との間に、中間層を設けてもよい。また、記録密度向上の可能性等によって近年注目を集めている垂直記録方式の磁気記録媒体を作製する場合には、下地層、軟磁性裏打ち層、磁性記録層、保護層、潤滑層をこの順に設けることが好ましい。この場合にも、記録特性などの向上を目的として、下地層と軟磁性裏打ち層との間、及び/又は軟磁性裏打ち層と磁性記録層との間に、中問層を設けてもよい。
【0035】
上記の各層は、当該技術において知られている任意の材料から作製することができる。たとえば下地層はCrまたはCrを主とする合金の非磁性金属材料から作製することができ、磁性記録層はCoおよびCrを主とする合金のような磁性材料から作製することができ、および保護層は炭素(特にダイヤモンド様炭素)等から作製することができる。さらに潤滑層は、含フッ素ポリエーテルのような液体潤滑剤から作製することができ、軟磁性裏打ち層は、非品質Co合金、NiFe合金、あるいはセンダスト(FeSiAl)合金などを用いて作製することができる。中間層として、TiまたはTiCr合金などの材料を用いてもよい。
【0036】
潤滑層を除く上記の各層は、スパッタ法、蒸着法、CVD法などの従来知られている方法によって磁気ディスク基板上に積層することができる。特に、スパッタ法を用いることが好ましい。また、潤滑層は、ディップコート、スピンコート、吹付などの方法により作成することができる。
【0037】
高耐熱性熱可塑性樹脂を用い、本発明の条件を満たして射出成形することにより、基板の平坦度を大幅に向上し、これにより磁気ヘッド浮上性が向上した磁気ディスク基板を作製することができる。また、該磁気ディスク基板を用いることにより、ヘッドの浮上特性に優れた磁気記録媒体を提供することが可能となる。
【0038】
[実施例]
以下に、本発明を適用した実施例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0039】
(実施例1)
市販されている最大射出成形圧力70tの射出成形装置に、スタンパーを固定した金型を装着した。スタンパー表面には、DLC(ダイアモンド・ライク・カーボン)が保護膜として成膜されており、この時の膜厚は0.5μm、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて測定した中心線平均表面粗さ〔Ra〕が0.5nmの状態のものを用いた。但し、この場合、表面粗さを一定にするためカーボン保護膜の下地にCr層を3μm設けた。樹脂としてはノルボルネン系ポリオレフィン樹脂(Tg=138℃)を用いて、樹脂温度320℃、射出速度120mm/s、型締め圧力120kg/cm2(約11.8MPa)、金型温度(固定側/可動側)110℃/110℃、ゲートカットのタイミングが樹脂充填終了後0.2秒という条件にて射出成形を行った。その後1時間以内に、大気雰囲気下で、基板を縦置きに保持した状態で、10時間にわたって90℃においてアニールを行い、直径25mmの中心部円形孔を有し、直径95mm、厚さ1.27mmの寸法を有する円盤状のディスク基板を得た。
【0040】
(実施例2)
カーボン保護膜の厚さを0.01μmとした以外は、実施例1と同様にしてディスク基板を得た。
【0041】
(実施例3)
カーボン保護膜の厚さを0.05μmとした以外は、実施例1と同様にしてディスク基板を得た。
【0042】
(実施例4)
カーボン保護膜の厚さを0.1μmとした以外は、実施例1と同様にしてディスク基板を得た。
【0043】
(実施例5)
カーボン保護膜の厚さを1μmとした以外は、実施例1と同様にしてディスク基板を得た。
【0044】
(実施例6)
カーボン保護膜の厚さを3μmとした以外は、実施例1と同様にしてディスク基板を得た。
【0045】
(実施例7)
カーボン保護膜の厚さを5μmとした以外は、実施例1と同様にしてディスク基板を得た。
【0046】
(実施例8)
カーボン保護膜の厚さを7μmとした以外は、実施例1と同様にしてディスク基板を得た。
【0047】
(実施例9)
カーボン保護膜の厚さを9μmとした以外は、実施例1と同様にしてディスク基板を得た。
【0048】
(比較例1)
カーボン保護膜の厚さを0.001μmとした以外は、実施例1と同様にしてディスク基板を得た。
【0049】
(比較例2)
カーボン保護膜の厚さを0.003μmとした以外は、実施例1と同様にしてディスク基板を得た。
【0050】
(比較例3)
カーボン保護膜の厚さを0.005μmとした以外は、実施例1と同様にしてディスク基板を得た。
【0051】
(実施例10)
市販されている最大射出成形圧力70tの射出成形装置に、スタンパーを固定した金型を装着した。スタンパー表面には、DLC(ダイアモンド・ライク・カーボン)が保護膜として成膜されており、この時の膜厚は5μm,AFM(原子間力顕微鏡)を用いて測定した中心線平均表面粗さ〔Ra〕が0.5nmの状態のものを用いた。樹脂としてはノルボルネン系ポリオレフィン樹脂(Tg=138℃)を用いて、樹脂温度320℃、射出速度120mm/s、型締め圧力120kg/cm2(約11.8MPa)、金型温度(固定側/可動側)110℃/110℃、ゲートカットのタイミングが樹脂充填終了後0.2秒という条件にて射出成形を行った。その後1時間以内に、大気雰囲気下で、基板を縦置きに保持した状態で、10時間にわたって90℃においてアニールを行い、直径25mmの中心部円形孔を有し、直径95mm、厚さ1.27mmの寸法を有する円盤状のディスク基板を得た。
【0052】
(実施例11)
カーボン保護膜の中心線平均表面粗さRa(以下、単に表面粗さと記述する)を0.2nmとした以外は、実施例10と同様にしてディスク基板を得た。
【0053】
(実施例12)
カーボン保護膜の表面粗さを0.8nmとした以外は、実施例10と同様にしてディスク基板を得た。
【0054】
(実施例13)
カーボン保護膜の表面粗さを1nmとした以外は、実施例10と同様にしてディスク基板を得た。
【0055】
(実施例14)
カーボン保護膜の表面粗さを1.5nmとした以外は、実施例10と同様にしてディスク基板を得た。
【0056】
(実施例15)
カーボン保護膜の表面粗さを2nmとした以外は、実施例10と同様にしてディスク基板を得た。
【0057】
(比較例4)
カーボン保護膜の表面粗さを0.1nmとした以外は、実施例10と同様にしてディスク基板を得た。
【0058】
(比較例5)
カーボン保護膜の表面粗さを3nmとした以外は、実施例10と同様にしてディスク基板を得た。
【0059】
(比較例6)
カーボン保護膜の表面粗さを5nmとした以外は、実施例10と同様にしてディスク基板を得た。
【0060】
(評価方法)
基板表面の平坦度〔Flatness〕についてはNidek製FlatnessTesterFT−12にて測定し変位量を導出した。一条件につき5枚を測定し、平均値をその時の平坦度とした。
表面粗さ〔Ra〕に関しては原子間力顕微鏡〔AMF〕にて測定しRa(中心線平均粗さ)を導出した。表面粗さに関しては、1つの基板面につき90度おきに4カ所の測定を行い、その平均値をその基板面の粗さとした。
【0061】
(評価結果)
スタンパー保護膜厚さと、磁気ヘッド浮上性(Take off Height)、および平坦度の関係を図3に、またスタンパー保護膜表面粗さと、磁気ヘッド浮上性(Take off Height)、および平坦度の関係を図4に示す。
【0062】
図3から明らかなように、スタンパー保護膜厚さが厚いほど磁気ヘッド浮上特性は良好となり、平坦度も向上した。
【0063】
また図4から明らかなように、スタンパー保護膜表面粗さが0.2nmから2nmの範囲では磁気ヘッド浮上特性と平坦度は良好な結果を示した。
【0064】
基板の平坦度、および表面粗さは、ヘッドの浮上特性に大きく関わるものであることがよく知られており、本発明によりヘッドの浮上特性に優れた磁気ディスク基板あるいは該基板を用いた磁気記録媒体の作製が可能となる。
【0065】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るディスク基板は、カーボン保護膜が成膜されたスタンパーを用いる射出成形により作製され、該カーボン保護膜厚さを0.01μm以上、また中心線平均表面粗さRaを0.2nmから2.0nmの範囲とすることで、基板の平坦度を10μm以下とし、磁気ヘッド浮上特性も5nm以下とすることができる。したがって、本発明により、ヘッドの浮上特性に優れた磁気ディスク基板および該基板を用いた磁気記録媒体の作製が可能となる。
【0066】
また、本発明の方法により、形状特性に優れたプラスチック製磁気ディスク基板を大量かつ安価に生産することが可能となり、ひいてはプラスチック製磁気ディスク基板を用いた磁気記録媒体および磁気記録再生装置を大量かつ安価に製造することを可能にする。
【0067】
上述したように、本発明によればスタンパー表面にカーボンを成膜し、膜厚、表面粗さを制御することで、成形後基板および、アニール後の基板形状を制御することができ、磁気ヘッドに対する浮上性を従来のアルミ基板並みに安定化させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気ディスク基板の作製に用いることができる射出成形装置の一例を示す概念的断面図である。
【図2】本発明の磁気ディスク基板の作製に用いることができる金型の一例を示す概念的断面図である。
【図3】各実施例および比較例において作製された磁気ディスク基板の浮上特性とカーボン保護膜厚さとの関係及び平坦度とカーボン保護膜厚さとの関係を示すグラフである。
【図4】各実施例および比較例により作製された磁気ディスク基板の浮上特性とカーボン保護膜表面粗さとの関係及び平坦度とカーボン保護膜表面粗さの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
11 スクリュー
12 スクリュー駆動手段
13 加熱シリンダ
14 加熱手段
15 供給手段
16 射出口
17 金型の固定部
18 金型の可動部
19 可動部駆動手段
21 スプルー部
22 基板キャビティ
23 ゲート
24 パンチ
25 可動部スタンパー
26 固定部スタンパー
Claims (10)
- 熱可塑性樹脂を成形金型内に射出して成形する磁気記録媒体用基板の製造方法において、
前記成形金型における少なくとも基板記録領域に対応する領域の成形面にカーボンコーティングを施し、該カーボンコーティングの層の厚さが0.01μm〜9μmの範囲内であって、該層の中心線平均表面粗さRaを0.2nm〜2.0nmの範囲内とし、
前記成形金型を用いて射出成形を行うことを特徴とする磁気記録媒体用基板の製造方法。 - 前記カーボンコーティングを施した層の厚さが、0.01μm〜5μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
- 前記成形面をスタンパーに形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
- 請求項1から請求項3のいずれかに記載された方法により成形され、中心線平均表面粗さRaが0 . 2nm〜2 . 0nmの範囲内にあって10μm以下の平坦度を有することを特徴とする磁気記録媒体用基板。
- 請求項4に記載された基板を有することを特徴とする磁気記録媒体。
- 熱可塑性樹脂を成形金型内に射出して成形する磁気記録媒体用基板の製造装置において、
前記成形金型における少なくとも基板記録領域に対応する領域の成形面にカーボンコーティングが施され、該カーボンコーティングの層の厚さが0.01μm〜9μmの範囲内であって、該層の中心線平均表面粗さRaが0.2nm〜2.0nmの範囲内であることを特徴とする磁気記録媒体用基板の製造装置。 - 前記カーボンコーティング層の厚さが、0.01μm〜5μmの範囲内であることを特徴とする請求項6に記載の磁気記録媒体用基板の製造装置。
- 前記成形面をスタンパーに形成したことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の磁気記録媒体用基板の製造装置。
- 請求項6から請求項8のいずれかに記載された装置により成形され、中心線平均表面粗さRaが0 . 2nm〜2 . 0nmの範囲内にあって10μm以下の平坦度を有することを特徴とする磁気記録媒体用基板。
- 請求項9に記載された基板を有することを特徴とする磁気記録媒体。
Priority Applications (1)
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Publications (2)
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