JP3806495B2 - V belt for high load transmission - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ブロックVベルトと呼ばれる高負荷伝動用Vベルトの改良に関し、特にプーリと摺接するブロックの側圧対策に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、自動車の走行用変速装置として、ベルト式無段変速装置の開発が進められている。このベルト式無段変速装置は、駆動軸及び従動軸の各々に溝間隔が可変なプーリを取り付けるとともに、この2個のプーリ間にVベルトを巻き掛け、上記各プーリの溝間隔を調整して回転ピッチを変化させることにより、無段階に変速するように構成されている。
【0003】
このようなVベルトとして、例えばエンドレスの一対のゴム製の張力帯と、ベルト幅方向両側面にこの各張力帯を嵌合する嵌合溝及びプーリのベルト溝側面と摺接する摺接部を有する樹脂製の多数のブロックとで構成され、上記各張力帯の上下面及び各ブロックの嵌合溝の上下面にそれぞれ形成された凹部及び凸部を互いに係合させることにより、各ブロックが両張力帯にベルト長手方向全長に亘って所定ピッチで並んで取り付けられたいわゆるブロックVベルトと呼ばれる高負荷伝動用Vベルトが知られている(例えば特開昭60―49151号公報参照)。
【0004】
このブロックVベルトは、プーリの側圧を各ブロックで受けるとともに、動力伝達を張力帯で行うようになされており、従来のゴムVベルトに比べて屈曲性が良く、高側圧に耐え得るようにすることが可能であり、また、金属Vベルトに比べて軽量化が図れて潤滑が不要になるとともに、騒音が少ない等の多くの利点を有している。
【0005】
そして、上記各ブロックとして、アルミニウム又はアルミニウム合金製の金属部材の表面をシランカップリング剤からなる接着剤層を介してフェノール樹脂層で覆った積層タイプのものも採用されている。この金属部材をフェノール樹脂層で覆うやり方は、一般に、シランカップリング剤をコーティングした金属部材を金型のキャビティにセットし、このキャビティにフェノール樹脂を射出することにより行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の如くブロックVベルトの各ブロックが金属部材をフェノール樹脂層で覆った積層タイプである場合、異種の材質である金属部材とフェノール樹脂層とが界面剥離しないように両者の接着力を強化することが必要となる。
【0007】
また、接着剤層を構成するシランカップリング剤が末端にエポキシ基を有するものである場合には、カップリング反応が一般に180℃以上の高温を必要とするのに対し、フェノール樹脂の硬化温度は一般に160〜170℃とカップリング反応よりも低温であることから、成形温度をフェノール樹脂の硬化温度に合わせると、カップリング反応が不十分になって金属部材とフェノール樹脂層との接着力が低下する一方、逆に成形温度をカップリング反応に合わせると、フェノール樹脂が金型のキャビティに射出された際に急激に増粘してショート不良が発生し易くなるという不具合がある。
【0008】
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ブロックを構成する金属部材とフェノール樹脂層とが界面剥離しないように両者を強固に接着しようとすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明は、金属部材を表面処理するとともに、この金属部材にフェノール樹脂層を接着するための接着剤としてのシランカップリング剤の種類を特定したことを特徴とする。
【0010】
具体的には、この発明は、エンドレスの張力帯と、この張力帯にベルト長手方向全長に亘って所定ピッチで並んで取り付けられた多数のブロックとからなり、ベルト走行時、この各ブロックのベルト幅方向両側面がプーリのベルト溝側面と摺接する高負荷伝動用Vベルトを対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0011】
すなわち、請求項1に記載の発明は、上記各ブロックを金属部材と、この金属部材の少なくともベルト幅方向両側面に接着剤層を介して積層されたフェノール樹脂層とで構成する。さらに、上記金属部材表面のフェノール樹脂層積層部位をアルカリ浸漬処理及び酸浸漬処理により粗面化する。また、上記接着剤層をアミノアルコキシシランからなるシランカップリング剤で構成する。
【0012】
上記アミノアルコキシシランのアルコキシ基を、
(OC n H 2n+1 ) m
n :1以上3未満の整数
m :1以上4未満の整数
とし、アミノ基(NH 2 基)を1官能にしたことを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、金属部材をアルミニウム又はアルミニウム合金で構成したことを特徴とする。
【0014】
上記の構成により、請求項1,2に記載の発明では、金属部材表面のフェノール樹脂層積層部位が酸浸漬処理及びアルカリ浸漬処理により粗面化されているため、接着面積が増えてその分だけ接着力が強化される。
【0015】
また、上記の浸漬処理により金属部材表面にOH基が多く発生し、シランカップリング剤のSi(OCn H2n+1)m と上記発生したOH基が反応してSi(OH)n になり、このOH基とフェノール樹脂のOH基とが縮合反応して共有結合するため、金属部材とフェノール樹脂層とが接着剤層(シランカップリング剤層)により強固に接着する。
【0016】
さらに、アミノアルコキシシランのNH2 基とフェノール樹脂のOH基との反応が150℃程度と、フェノール樹脂の硬化温度である160〜170℃に比べて低温で行われるため、カップリング反応が十分に進行して金属部材とフェノール樹脂層との接着力が向上する。また、フェノール樹脂の硬化温度を必要以上に高くする必要がないため、フェノール樹脂が金型のキャビティに射出されても急激に増粘せず、ショート不良が発生しない。さらに、アミノアルコキシシランはアミノ基(NH2 基)が1官能であり、多官能である場合の自己縮合反応による接着力低下がない。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0018】
図1〜3はこの発明の実施の形態に係る高負荷伝動用VベルトであるブロックVベルトAを示す。図1〜3において、1はエンドレスの左右一対の張力帯であって、この各張力帯1は保形ゴム層2を備えてなり、この保形ゴム層2の内部には、心線3がベルト長手方向にスパイラル状にかつ平行に埋設されている。
【0019】
上記保形ゴム層2の上面には、多数の第1凹溝4がベルト長手方向全長に亘って所定ピッチで並んで形成されているとともに、下面にも多数の第2凹溝5がベルト長手方向全長に亘って所定ピッチで並んで形成されている。さらに、上記保形ゴム層2の上下両面には帆布6が被着されている。
【0020】
上記両張力帯1には、略「H」形に形成された多数のブロック7がベルト長手方向全長に亘って所定ピッチで並んで取り付けられている。具体的には、この各ブロック7のベルト幅方向両側面には、嵌合溝8が「コ」の字形に切欠き形成され、この両嵌合溝8に上記各張力帯1を嵌合するようになっている。また、各ブロック7のベルト幅方向両側面には、プーリBのベルト溝側面b1に摺接する摺接部9が各嵌合溝8を挟むように形成されている。
【0021】
上記各嵌合溝8の上面には、張力帯1の各第1凹溝4に係合する多数の第1凸部10がベルト長手方向全長に亘って所定ピッチで並んで形成されているとともに、下面にも張力帯1の各第2凹溝5に係合する多数の第2凸部11がベルト長手方向全長に亘って所定ピッチで並んで形成されている。そして、上記各ブロック7の嵌合溝8に張力帯1を嵌合させて各ブロック7の第1凸部10を各張力帯1の第1凹溝4に係合させるとともに、各ブロック7の第2凸部11を各張力帯1の第2凹溝5に係合させることにより、各ブロック7を張力帯1にベルト長手方向全長に亘って所定ピッチで並んで係止固定するようになっている。この係止固定状態で、上記各張力帯1は各ブロック7の摺接部9から所定寸法だけ側方に突出しており、図1に示すように、この突出部はベルト走行時にプーリBのベルト溝側面b1に圧接して実質的に両側の摺接部9と面一になされる。
【0022】
上記各ブロック7は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金製の略「H」形に形成された補強材としての金属部材12を備えてなり、この金属部材12の表面全体にはフェノール樹脂層13が接着剤層14を介して積層されている。この各層の層厚は特に限定しないが、一例を挙げると、金属部材12は1.5〜2.5mm、フェノール樹脂層13は0.5〜1.0mm、接着剤層14は1〜3μmである。
【0023】
この発明の特徴の1つとして、上記金属部材12の表面は、アルカリ浸漬処理及び酸浸漬処理によりエッチングされて粗面化されている。この処理に用いるアルカリ水溶液としては、例えば1N(規定)−NaOHであり、酸水溶液としては、例えば1N(規定)−HNO3 であり、金属部材12を各々の水溶液に30秒程度浸漬することで、表面粗さ(中心線平均粗さ:Ra)が2.0〜3.0μm程度になる。
【0024】
また、この発明の今1つの特徴として、上記接着剤層14は、アミノアルコキシシランからなるシランカップリング剤で構成されている。このアミノアルコキシシランのアルコキシ基は、
(OCn H2n+1)m
n :1以上3未満の整数
m :1以上4未満の整数
である。このようにアルコキシ基のn を1以上3未満の整数に、m を1以上4未満の整数にそれぞれ設定したのは、接着力を効果的に得るためであり、特にn が1又は2で、m が3のものが強力な接着力を得ることができて好ましい。
【0025】
また、アミノアルコキシシランのアミノ基(NH2 基)は1官能である。1官能のものを採用したのは、多官能では自己縮合反応により接着力を低下させるからである。
【0026】
このようなシランカップリング剤としては下記の表1のものが該当する。
【0027】
【表1】
【0028】
このようなブロック7は次のようにして得られる。まず、金属部材12をアルカリ水溶液及び酸水溶液にそれぞれ浸漬し、その表面全体をエッチングして粗面化する。次いで、アミノアルコキシシランを上記金属部材12の表面全体に塗布して接着剤層14を形成する。その後、この接着剤層14が形成された金属部材12を金型のキャビティにセットし、フェノール樹脂をキャビティに射出してフェノール樹脂層13を形成し、フェノール樹脂層13が金属部材12の表面全体に接着剤層14を介して積層されたブロック7を得る。
【0029】
そして、上述の如く構成されたブロック7と張力帯1との組合わせからなるブロックVベルトAは、駆動側及び従動側の2つの変速プーリB間に巻き掛けられてベルト式無段変速装置を構成し、ベルト走行時、各ブロック7のベルト幅方向両側面(摺接部9)がプーリBのベルト溝側面b1と摺接するようになっている。
【0030】
下記の表2はこの発明の実施例1〜4の配合処方及び剥離接着力のデータを、表3は比較例1〜7の配合処方及び剥離接着力のデータをそれぞれ示したものである。また、ブロック7を構成する金属部材12の金属組成及びフェノール樹脂層13の材質を下記する。なお、表2及び表3の配合処方欄の数値はwt%である。
【0031】
<金属部材の金属組成>
Al:Cu:Zn=99.2:0.3:0.5(wt%)
<フェノール樹脂層の材質>
(wt%)
カシュー変性ノボラック樹脂(Mn2000) 70
ビニロン繊維 15
ケブラー繊維 20
CaCO3 5
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
表2及び表3のデータから明らかなように、実施例1〜4は全て剥離接着力が50kgf/50mm幅を超えて強力な接着力を得ることができたが、比較例1〜7は全て実施例1〜4の半分にも満たず、接着力が低下していた。
【0035】
このことは、実施例1〜4では、金属部材12がアルカリ浸漬処理及び酸浸漬処理により粗面化されてその接着面積の増大により接着力を向上させていることと、接着剤層14を構成するシランカップリング剤としてアミノアルコキシシランを採用したこととによるものである。つまり、実施例1〜4では、金属部材12表面の粗面化による接着力向上に加えて、上記の両浸漬処理により金属部材12表面にOH基を多く発生させ、シランカップリング剤のSi(OCn H2n+1)m と上記発生したOH基とを反応させてSi(OH)n となし、このOH基とフェノール樹脂のOH基とを縮合反応させて共有結合させることにより、金属部材12とフェノール樹脂層13とをシランカップリング剤により強固に接着することができることによるものである。
【0036】
さらに、実施例1〜4では、アミノアルコキシシランのNH2 基とフェノール樹脂のOH基との反応が150℃程度と、フェノール樹脂の硬化温度である160〜170℃に比べて低温で行われるため、カップリング反応を十分に進行させることができ、金属部材12とフェノール樹脂層13との剥離接着力を向上させることができることによるものである。また、フェノール樹脂の硬化温度を必要以上に高くする必要がないため、フェノール樹脂が金型のキャビティに射出されても急激に増粘せず、ショート不良を発生することがない。
【0037】
これに対し、比較例1では、実施例1と同じアミノアルコキシシランを用いているが、金属部材12表面の処理はアルカリ浸漬処理だけで酸浸漬処理を行っておらず、比較例2では、同様にアミノアルコキシシランを用いているが、アルカリ浸漬処理及び酸浸漬処理の両浸漬処理を行っておらず、比較例1,2共に金属部材12表面の粗面化が不足するとともに、金属部材12表面に発生するOH基が少なく、このため、剥離接着力が低下している。
【0038】
比較例4,6,7では、シランカップリング剤が実施例1〜4とは異なり末端にエポキシ基を有するものであるため、カップリング反応に要する温度がフェノール樹脂の硬化温度より高く、このため、剥離接着力が低下している。
【0039】
比較例3,5では、アミノアルコキシシランを用いているが、アミノ基(NH2 基)が2官能であるため、自己縮合反応により剥離接着力が低下している。
【0040】
なお、本例では、ブロックVベルトAとして張力帯1が2本のものを例示したが、ベルト幅方向に連続した1本の張力帯1のものにも適用することができるものである。さらには、ブロック7が張力帯1を境に上下に分割されたタイプのものにも適用可能である。
【0041】
また、本例では、金属部材12の表面全体をフェノール樹脂層13で覆ったが、プーリBのベルト溝側面b1と摺接する箇所、つまり金属部材12の少なくともベルト幅方向両側面(摺接部9)をフェノール樹脂層13で覆っていればよい。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、金属部材のベルト幅方向両側面にフェノール樹脂層を接着剤層を介して積層し、金属部材表面のフェノール樹脂層積層部位をアルカリ浸漬処理及び酸浸漬処理により粗面化するとともに、上記接着剤層をアミノアルコキシシランからなるシランカップリング剤で構成したので、金属部材表面の粗面化による接着面積の増大によって接着力を強化することができる。また、金属部材表面へのOH基の多発、及びシランカップリング剤のSi(OCn H2n+1)m と上記発生したOH基との反応によって発生したSi(OH)n のOH基とフェノール樹脂のOH基との縮合反応による共有結合により、金属部材とフェノール樹脂層とをシランカップリング剤により強固に接着することができる。さらに、アミノアルコキシシランのNH 2 基とフェノール樹脂のOH基との反応が150℃程度と、フェノール樹脂の硬化温度である160〜170℃に比べて低温で行われるため、カップリング反応が十分に進行して金属部材とフェノール樹脂層との接着力が向上する。また、フェノール樹脂の硬化温度を必要以上に高くする必要がないため、フェノール樹脂が金型のキャビティに射出されても急激に増粘せず、ショート不良が発生しない。さらに、アミノアルコキシシランはアミノ基(NH 2 基)が1官能であり、多官能である場合の自己縮合反応による接着力低下がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ブロックVベルトの図2のI−I線における断面図である。
【図2】 ブロックVベルトの側面図である。
【図3】 ブロックVベルトの一部を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 張力帯
7 ブロック
12 金属部材
13 フェノール樹脂層
14 接着剤層
A ブロックVベルト(高負荷伝動用Vベルト)
B プーリ
b1 ベルト溝側面[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to an improvement of a high-load transmission V-belt called a block V-belt, and more particularly to measures against side pressure of a block that is in sliding contact with a pulley.
[0002]
[Prior art]
Currently, belt-type continuously variable transmissions are being developed as transmissions for automobiles. In this belt type continuously variable transmission, a pulley having a variable groove interval is attached to each of the drive shaft and the driven shaft, and a V belt is wound between the two pulleys to adjust the groove interval of each pulley. By changing the rotation pitch, the speed is changed steplessly.
[0003]
As such a V-belt, for example, it has a pair of endless rubber tension bands, a fitting groove that fits each tension band on both side surfaces in the belt width direction, and a sliding contact portion that slides on the belt groove side surface of the pulley. Each block is composed of a large number of blocks made of resin, and by engaging the concave and convex portions formed on the upper and lower surfaces of each tension band and the upper and lower surfaces of the fitting grooves of each block, respectively, A high-load transmission V-belt called a so-called block V-belt, which is attached to the belt along the belt in the longitudinal direction at a predetermined pitch, is known (for example, see Japanese Patent Application Laid-Open No. 60-49151).
[0004]
This block V belt receives the side pressure of the pulley at each block and performs power transmission in a tension band, so that it is more flexible than a conventional rubber V belt and can withstand high side pressure. In addition, it has many advantages such as lighter weight and less lubrication than the metal V-belt, and less noise.
[0005]
And as each said block, the laminated type thing which covered the surface of the metal member made from aluminum or aluminum alloy with the phenol resin layer through the adhesive bond layer which consists of a silane coupling agent is also employ | adopted. In general, the metal member is covered with a phenol resin layer by setting a metal member coated with a silane coupling agent in a cavity of a mold and injecting the phenol resin into the cavity.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
By the way, when each block of the block V belt is a laminated type in which the metal member is covered with a phenol resin layer as described above, the adhesive force between the metal member and the phenol resin layer, which are different materials, is prevented from peeling off at the interface. It needs to be strengthened.
[0007]
When the silane coupling agent constituting the adhesive layer has an epoxy group at the end, the coupling reaction generally requires a high temperature of 180 ° C. or higher, whereas the curing temperature of the phenol resin is Since the temperature is generally 160 to 170 ° C. and lower than the coupling reaction, when the molding temperature is adjusted to the curing temperature of the phenol resin, the coupling reaction becomes insufficient and the adhesive force between the metal member and the phenol resin layer decreases. On the other hand, when the molding temperature is adjusted to the coupling reaction, there is a problem that when the phenol resin is injected into the cavity of the mold, the viscosity rapidly increases and short-circuit defects are likely to occur.
[0008]
The present invention has been made in view of such a point, and an object of the present invention is to firmly bond the metal member and the phenol resin layer constituting the block so as not to be peeled off from each other.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, the present invention is characterized in that the metal member is surface-treated and the type of the silane coupling agent as an adhesive for adhering the phenol resin layer to the metal member is specified. .
[0010]
Specifically, the present invention comprises an endless tension band and a number of blocks attached to the tension band along the entire length in the longitudinal direction of the belt at a predetermined pitch. For the high load transmission V-belt whose both sides in the width direction are in sliding contact with the belt groove side surface of the pulley, the following solution was taken.
[0011]
That is, in the invention described in
[0012]
The alkoxy group of the aminoalkoxysilane
(OC n H 2n + 1 ) m
n : An integer greater than or equal to 1 and less than 3
m : an integer greater than or equal to 1 and less than 4
The amino group (NH 2 group) is monofunctional .
[0013]
The invention according to
[0014]
With the above configuration, in the inventions according to
[0015]
Also, a large amount of OH groups are generated on the surface of the metal member by the above immersion treatment, and Si (OC n H 2n + 1 ) m of the silane coupling agent reacts with the generated OH groups to become Si (OH) n . Since the OH group and the OH group of the phenol resin are condensed and covalently bonded, the metal member and the phenol resin layer are firmly bonded to each other by the adhesive layer (silane coupling agent layer) .
[0016]
Furthermore , the reaction between the NH 2 group of the aminoalkoxysilane and the OH group of the phenol resin is performed at a low temperature of about 150 ° C., which is 160 to 170 ° C., which is the curing temperature of the phenol resin. It progresses and the adhesive force of a metal member and a phenol resin layer improves. Moreover, since it is not necessary to raise the curing temperature of the phenol resin more than necessary, even if the phenol resin is injected into the cavity of the mold, the viscosity does not rapidly increase, and a short circuit failure does not occur. Furthermore, the aminoalkoxysilane has a monofunctional amino group (NH 2 group), and there is no decrease in adhesive force due to a self-condensation reaction when it is polyfunctional.
[0017]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings.
[0018]
1 to 3 show a block V belt A which is a high load transmission V belt according to an embodiment of the present invention. 1-3, 1 is a pair of endless left and right tension bands, and each
[0019]
A large number of first
[0020]
A large number of
[0021]
On the upper surface of each
[0022]
Each of the
[0023]
As one of the features of the present invention, the surface of the
[0024]
As another feature of the present invention, the
(OC n H 2n + 1 ) m
n: An integer greater than or equal to 1 and less than 3
m: An integer of 1 or more and less than 4. The reason why n of the alkoxy group is set to an integer of 1 or more and less than 3 and m is an integer of 1 or more and less than 4 is to effectively obtain an adhesive force, particularly when n is 1 or 2. It is preferable that m is 3 because a strong adhesive force can be obtained.
[0025]
The amino group (NH 2 group) of aminoalkoxysilane is monofunctional. The monofunctional one is adopted because the polyfunctional lowers the adhesive force by a self-condensation reaction.
[0026]
Examples of such silane coupling agents include those shown in Table 1 below.
[0027]
[Table 1]
[0028]
Such a
[0029]
The block V-belt A comprising the combination of the
[0030]
Table 2 below shows the formulation and release adhesion data of Examples 1 to 4 of the present invention, and Table 3 shows the formulation and release adhesion data of Comparative Examples 1 to 7, respectively. The metal composition of the
[0031]
<Metal composition of metal member>
Al: Cu: Zn = 99.2: 0.3: 0.5 (wt%)
<Material of phenolic resin layer>
(Wt%)
Cashew modified novolak resin (Mn2000) 70
Vinylon fiber 15
Kevlar fiber 20
[0032]
[Table 2]
[0033]
[Table 3]
[0034]
As is clear from the data in Tables 2 and 3, all of Examples 1 to 4 were able to obtain a strong adhesive force with a peel adhesive strength exceeding 50 kgf / 50 mm width, but Comparative Examples 1 to 7 were all Less than half of Examples 1 to 4, the adhesive strength was reduced.
[0035]
This is because, in Examples 1 to 4, the
[0036]
Furthermore, in Examples 1 to 4, the reaction between the NH 2 group of aminoalkoxysilane and the OH group of the phenol resin is performed at a temperature lower than about 150 ° C. and 160 to 170 ° C. which is the curing temperature of the phenol resin. This is because the coupling reaction can be sufficiently advanced and the peel adhesion between the
[0037]
On the other hand, in Comparative Example 1, the same aminoalkoxysilane as in Example 1 was used, but the surface of the
[0038]
In Comparative Examples 4, 6, and 7, since the silane coupling agent has an epoxy group at the terminal unlike Examples 1 to 4, the temperature required for the coupling reaction is higher than the curing temperature of the phenol resin. , The peel adhesion is reduced.
[0039]
In Comparative Examples 3 and 5, aminoalkoxysilane is used, but since the amino group (NH 2 group) is bifunctional, the peel adhesive strength is reduced by the self-condensation reaction.
[0040]
In this example, the block V belt A has two
[0041]
Further, in this example, the entire surface of the
[0042]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, the phenol resin layer is laminated on both sides of the belt width direction of the metal member via the adhesive layer, and the phenol resin layer lamination portion on the surface of the metal member is alkali dipped and acid dipped. In addition to roughening by treatment, the adhesive layer is composed of a silane coupling agent made of aminoalkoxysilane, so that the adhesive force can be enhanced by increasing the adhesion area by roughening the surface of the metal member. Also, frequent occurrence of OH groups on the surface of the metal member, and OH group and phenol of Si (OH) n generated by the reaction of Si (OC n H 2n + 1 ) m of the silane coupling agent with the generated OH group The metal member and the phenol resin layer can be firmly bonded to each other by the silane coupling agent by the covalent bond by the condensation reaction with the OH group of the resin. Furthermore, the reaction between the NH 2 group of the aminoalkoxysilane and the OH group of the phenol resin is performed at a low temperature of about 150 ° C., which is 160 to 170 ° C., which is the curing temperature of the phenol resin. It progresses and the adhesive force of a metal member and a phenol resin layer improves. Moreover, since it is not necessary to raise the curing temperature of the phenol resin more than necessary, even if the phenol resin is injected into the cavity of the mold, the viscosity does not rapidly increase, and a short circuit failure does not occur. Furthermore, the aminoalkoxysilane has a monofunctional amino group (NH 2 group), and there is no decrease in adhesive force due to a self-condensation reaction when it is polyfunctional.
[Brief description of the drawings]
1 is a cross-sectional view taken along line II of FIG. 2 of a block V belt.
FIG. 2 is a side view of a block V belt.
FIG. 3 is a perspective view showing a part of a block V belt.
[Explanation of symbols]
1
B Pulley b1 Belt groove side
Claims (2)
ベルト走行時、上記各ブロックのベルト幅方向両側面がプーリのベルト溝側面と摺接する高負荷伝動用Vベルトであって、
上記各ブロックは、金属部材と、
この金属部材の少なくともベルト幅方向両側面に接着剤層を介して積層されたフェノール樹脂層とからなり、
上記金属部材表面のフェノール樹脂層積層部位は、アルカリ浸漬処理及び酸浸漬処理により粗面化され、
上記接着剤層は、アミノアルコキシシランからなるシランカップリング剤で構成され、
上記アミノアルコキシシランのアルコキシ基は、
(OC n H 2n+1 ) m
n :1以上3未満の整数
m :1以上4未満の整数
であり、
アミノ基は1官能であることを特徴とする高負荷伝動用Vベルト。It consists of an endless tension band and a number of blocks attached to this tension band side by side at a predetermined pitch over the entire length in the longitudinal direction of the belt.
When the belt is running, the belts in the belt width direction of each block are high load transmission V-belts that are in sliding contact with the belt groove side surface of the pulley,
Each of the blocks includes a metal member,
It consists of a phenolic resin layer laminated via an adhesive layer on at least both sides in the belt width direction of this metal member,
The phenolic resin layer lamination part of the metal member surface is roughened by alkali dipping treatment and acid dipping treatment,
The adhesive layer is composed of a silane coupling agent made of aminoalkoxysilane ,
The alkoxy group of the aminoalkoxysilane is
(OC n H 2n + 1 ) m
n : An integer greater than or equal to 1 and less than 3
m : an integer greater than or equal to 1 and less than 4
And
Amino groups heavy duty power transmission V-belt according to claim 1 functional der Rukoto.
金属部材は、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成されていることを特徴とする高負荷伝動用Vベルト。 The V belt for high load transmission according to claim 1,
The V-belt for high load transmission, wherein the metal member is made of aluminum or an aluminum alloy .
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