JP3895271B2 - 水中油型乳化組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セチルアルコール及び/又はステアリルアルコールを安定な乳化状態で配合し、良好なテクスチャー(手触り、感触の良好な性状)を有する水中油型乳化組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
セチルアルコール及びステアリルアルコール等の高級アルコール類は、それを含む製剤に良好なテクスチャーを付与するために、化粧料、皮膚外用剤等に広く用いられている。このような高級アルコールは、高い融点等特有の物性のために乳化組成物を調製する上で扱いにくく、また乳化物を長期保存すると結晶が析出するなど乳化安定性の面で不安定であった。一方、セチルアルコール及びステアリルアルコールは、良好なテクスチャーを有する反面、最近特に増加傾向にある肌トラブルを起こしやすい敏感肌の人に対して皮膚刺激を生じる場合がある。
【0003】
そこで、高級アルコールとして、配合性が良く且つ敏感肌に対しても相対的に刺激性が少ないベヘニルアルコール、バチルアルコール等が、セチルアルコール及びステアリルアルコールの代替として用いられている。しかしながら、セチルアルコール及びステアリルアルコール以外の高級アルコールでは、それを含む製剤のテクスチャーの面で充分でない。
【0004】
また、特許文献1では、2種の炭素数18以上の高級アルコールを1:8〜8:1で配合する乳化組成物が開示されている。しかしながら、特にセチルアルコール及びステアリルアルコールを用いる場合には、乳化物の安定性の面で不充分である。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−262619号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、セチルアルコール及び/又はステアリルアルコールを、安定な乳化状態で配合し、良好なテクスチャーを有する水中油型乳化組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明者は、セチルアルコール及び/又はステアリルアルコールとそのいずれか又は両方が可溶な液状油Aを含む第一の油性分散相と、それと相溶しない液状油Bを含む第二の油性分散相が、各々別の油滴として均一な油性分散相を形成し、第二の油性分散相が第一の油性分散相より優先して皮膚にぬれることにより、セチルアルコール及び/又はステアリルアルコールを、安定な乳化状態で配合でき、且つ良好なテクスチャーを呈することを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、セチルアルコール及び/又はステアリルアルコールと前記セチルアルコール及び/又はステアリルアルコールが可溶な液状油Aとして平均炭素数23以上のエステル油とを含む第一の油性分散相と、粘度50csのシリコーン油を含有する、第一の油性分散相と相溶しない第二の油性分散相とを含有し、前記第一の油性分散相よりも前記第二の油性分散相の皮膚ぬれ性が高い水中油型乳化組成物を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に係る水中油型乳化組成物は、セチルアルコール及び/又はステアリルアルコールと、前記セチルアルコール及び/又はステアリルアルコール(以下、セチルアルコール等、とする)が可溶な液状油A、すなわち相溶性を有する液状油Aと、液状油Aと相溶しない液状油Bを併用することにより、2種の液状油が互いに別々の油滴状態で水相に分散しているものである。つまり、互いに相溶しない第一の油性分散相と第二の油性分散相が各々別の油滴として水性連続相に均一に分散している乳化組成物である。
【0010】
また、この相溶しない2種類の油性分散相は、前記第一の油性分散相よりも前記第二の油性分散相の皮膚ぬれ性が高いために、第二の油性分散相が第一の油性分散相に優先して皮膚へぬれる。そして皮膚上で、第二の油性分散相に含まれる油剤が皮膚に対して一種の皮膜状態を形成するため、第一の油性分散相に含まれるセチルアルコール等の皮膚への接触を無くする又は少なくすると思われる。その結果、化粧料として良好なテクスチャーを提供することに加え、特に敏感肌の人に対してもセチルアルコール等に由来する皮膚への刺激性を緩和することになる。これにより、セチルアルコール等を安定な乳化状態で含有し、良好なテクスチャーを有する水中油型乳化組成物を得ることができる。
【0011】
本発明の第一の油性分散相には、セチルアルコール等と、そのいずれか又は両方が可溶な液状油Aが含まれる。ここで、「液状油Aに可溶」とは、25℃で液状油Aにセチルアルコール及びステアリルアルコールのいずれか又はその両方を、1重量%の濃度で混合した際に結晶が析出しないことをいう。
【0012】
液状油Aは、後述の液状油Bとの相溶性の点からは、SP値(溶解度パラメータ)が17以上、更に18.5未満であるものが好ましく、又は、分子量が400以上であるものが好ましい。また、液状油Aは、皮膚へのぬれ性を考慮すると、SP値が18.5未満であるもの、又は分子量が650未満であるものが好ましい。
【0013】
ここで「SP値」は、物質間の相溶性の尺度をいい、次式(i):
δ=(δd2+δp2+δh2)1/2 (i)
δ;溶解度パラメーター
δd;Londonの分散力(ファンデルワールス力)による項(分散項)
δp;分子の極性による項(極性項)
δh;水素結合による項(水素結合項)
を用いてHansenの3次元溶解度パラメーターを計算することにより求められる。式中、右辺の各項は、Van Krevelenのモル引力定数に基づく計算式(ii)〜(iv):
δd=ΣFdi/ΣVi (ii)
δp=(ΣFpi2)1/2/ΣVi (iii)
δh=(ΣFhi/ΣVi)1/2 (iv)
Fdi、Fpi、Fhi;モル引力定数
Vi;モル体積
により求めることができる。なお、モル体積(Vi)は、Fedorにより定められた原子団の体積値を用いた。
【0014】
また、「分子量」は、液状油Aの組成式から求めることができる。液状油Aが2種以上の油剤の混合物である場合は、それらの配合量による加重平均値で求めた値を示す。
【0015】
SP値が17以上である液状油としては、スクワラン、イソノナン酸イソノニル、イソナノン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソトリデシル、乳酸オクチルドデシル、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、アジピン酸ジ―2―ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸モノミリスチン酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、トリオクタン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、テトラ−2−ヘキサン酸ペンタッリスリトット、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、ホホバ油、オリーブ油、米ぬか油、サフラワー油、大豆油、ツバキ油等が含まれる。
【0016】
このうち特にSP値が18.5未満、又は分子量が650未満であるものが好ましく、スクワラン、イソノナン酸イソノニル、イソナノン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソトリデシル、乳酸オクチルドデシル、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、アジピン酸ジ―2―ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸モノミリスチン酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリオクタン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、テトラ−2−ヘキサン酸ペンタッリスリトット、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、ホホバ油、オリーブ油、米ぬか油、サフラワー油、大豆油、ツバキ油が挙げられる。
【0017】
中でも、本発明に用いられる液状油Aとしては、平均炭素数23以上の炭化水素油及び平均炭素数23以上のエステル油からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0018】
平均炭素数23以上の液状の炭化水素油としては、上記液状油のうち例えばスクワラン等が挙げられる。
【0019】
また、平均炭素数23以上のエステル油としては、アルコールと脂肪酸のエステル、ジグリセライド、トリグリセライド、ジカルボン酸と脂肪酸のエステル、トリカルボン酸と脂肪酸のエステル、およびテトラカルボン酸と脂肪酸のエステル等が含まれる。具体的には、上記液状油のうち、ミリスチン酸イソトリデシル、乳酸オクチルドデシル、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、アジピン酸ジ―2―ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸モノミリスチン酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリオクタン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−ヘキサン酸ペンタッリスリトット、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、ホホバ油、オリーブ油、米ぬか油、サフラワー油、大豆油、ツバキ油等が挙げられる。
【0020】
本発明において、液状油Aは単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。乳化組成物中における液状油Aの含有量は、組成物全体に対して0.1〜30重量%であることが好ましく、更に0.5〜20重量%、特に1〜10重量%であることが好ましい。なお、以下本発明において特に記載のないかぎり、%(パーセント)は組成物全体に対する重量%である。
【0021】
セチルアルコール等の含有量は、組成物全体に対して0.001〜10%であることが好ましく、更に0.01〜5%、特に0.1〜2%であることが好ましい。また、本発明において、セチルアルコール等と液状油Aの比率は1:100〜1:1であることが好ましく、更に1:50〜1:3であることが好ましい。
【0022】
本発明の第二の油性分散相には、前記液状油Aと相溶性のない液状油Bが含まれる。ここで、「相溶性」とは、液状油A、液状油Bを同体積配合し、充分に混合撹拌し、24時間放置後に混合した2種の液状油間に明確な界面が存在するかどうかを確認し、界面が存在する場合を非相溶、存在しない場合を相溶とするものをいう。
【0023】
液状油Bとしては、セチルアルコール等の溶解性が低く(室温で1%以下)、液状油Aと相溶性がない点から、主鎖にメチルポリシロキサン骨格を有するシリコーン油を用いることが好ましい。
【0024】
液状油Bのシリコーン油としては、液状油Aとの相溶性、及び皮膚へのぬれ性の点より、粘度30cs〜1000cs、特に50〜500csのメチルポリシロキサンが好ましい。液状油Bの粘度が30cs〜1000csの範囲にあると、液状油Aと相溶しない傾向が高くなる。さらに液状油Aよりも皮膚へのぬれ性が高い傾向があるため、液状油Bを含む第二の油性分散相が優先して皮膚にぬれやすなり、良好なテクスチャーを示すことに加え特に敏感肌の人に対してはセチルアルコール等の刺激性を緩和する機能が発揮される。ここで、「粘度」は、25℃で、B型粘度計、(例えば、東京計器B8L型粘度計)を用いて、2号ローターで回転数30rpmで1分後の条件下で測定した値をいう。
【0025】
本発明において、液状油Bは単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。また、乳化組成物中における液状油Bの含有量は、0.1〜30%であることが好ましく、更に0.5〜20%、特に1〜10%であることが好ましい。また、液状油Aと液状油Bの比率は、1:20〜20:1であることが好ましく、更に1:10〜10:1、特に1:5〜5:1であることが好ましい。
【0026】
さらに、第二の油性分散相には液状油Bの他に、液状油Aとの相溶性及び皮膚へのぬれ性に影響しない範囲で、液状油Bと相溶性があるか又は液状油Bに可溶な液状、半固体又は固体状の油性成分を含有することができる。このような油性成分しては、例えば、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、メチルポリシロキサン・架橋型メチルポリシロキサン共重合体、ステアロキシメチルポリシロキサン、アミノエチルアミノプロピル・メチルポリシロキサン共重合体、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン等が挙げられる。
【0027】
また、第二の油性分散相は、セチルアルコール等を含む前記第一の油性分散相よりも皮膚ぬれ性が高いものである。これにより、第二の油性分散相が第一の油性分散相よりも優先して皮膚にぬれて、第一の油性分散相に含まれるセチルアルコール等の皮膚に対する接触を低減すると考えられる。ここで、「皮膚ぬれ性」は、下記のような皮膚界面の接触角測定により求められる。
【0028】
調製された水中油型乳化製剤を室温まで冷却し、超遠心分離機(例えば日立製、分離用小型超遠心機CS150GX型(50000rpm、3時間))にて第一の油性分散相(O1相)、第二の油性分散相(O2相)を分離し、採取する。次に、上部が空いているカップ(内径16mmの円柱状)を皮膚(前腕内側部)に固定し、O1相、O2相のうち、比重の軽い方の相をカップ内に注入し、その後比重の重い方の相を一滴上部より滴下する。皮膚に接触した30秒後に側面から写真撮影し、比重が重く滴下した相の接触角(θ)を写真から測定する。例えばO1相を始めにカップに注入し、その後O2相を滴下した場合(逆の場合は皮膚ぬれ性も逆になる)、O2相の接触角(θ)が0°以上90°未満の時は、皮膚ぬれ性はO1相<O2相とし、O2相の接触角(θ)が90°〜180°の時は、皮膚ぬれ性はO1相>O2相とする。
【0029】
本発明に係る水中油型乳化組成物の水性連続相の含有量は、40〜99.8%であることが好ましく、更に好ましくは60〜99%である。水性連続相には、主成分として水を含む他に、更に水溶性の成分、例えば炭素数1〜4の低級アルコール、1,3ブチレングリコールやグリセリン等の多価アルコール、増粘剤、塩類その他を含有することができる。
【0030】
また、前記第一及び第二の油性分散相と、水性連続相を乳化するため、乳化剤として非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤等の界面活性剤、及び/又は界面活性能を有する高分子を用いることができる。
【0031】
本発明の乳化組成物には、上記成分のほか必要に応じて、上記以外の高分子、酸化防止剤、キレート剤、色素、顔料、防腐剤、エキス、精油、薬効成分、セラミド類およびセラミド類似構造物質、血行促進剤、冷感剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、粉体、紫外線吸収剤、pH調整剤、香料等を本発明の目的及び効果を損なわない質的及び量的範囲内で配合することができる。
【0032】
本発明の水中油型乳化組成物は、常法に従い、上記成分を混合することにより調製できる。本発明の乳化組成物は化粧料、皮膚外用剤等に用いることができ、化粧料、特にスキンケア用化粧料に用いることが好ましい。また、化粧料の種類としては、クリーム、乳液、美容液、パック等が挙げられる。
【0033】
【実施例】
(評価方法)
1.液状油Aと液状油Bの相溶性
液状油A、液状油Bを同体積配合し、充分に混合撹拌し、24時間放置後に油剤間に明確な界面が存在するかどうかを確認した。界面が存在する場合には非相溶、存在しない場合は相溶とした。
【0034】
2.皮膚へのぬれ性(皮膚界面の接触角測定)
調製された乳化組成物を室温まで冷却し、超遠心分離機(日立製、分離用小型超遠心機CS150GX型)にて、50000rpmで、3時間遠心分離を行い、第一の油性分散相(O1相)、第二の油性分散相(O2相)を分離採取した。次に、上部が空いているカップを皮膚(前腕内側部)に固定し、O1相、O2相のうち、比重の軽い方の相をカップ内に注入し、その後比重の重い方の相を一滴上部より滴下した。皮膚に接触した30秒後に側面から写真撮影し、比重が重く滴下した相の接触角(θ)を写真から測定した。皮膚へのぬれ性は以下の基準で判断した。
(O1相を始めにカップに注入し、その後O2相を滴下した場合。逆の場合は皮膚ぬれ性も逆になる。)
接触角(θ)が0°以上90°未満:皮膚ぬれ性はO1相<O2相
接触角(θ)が90°〜180°:皮膚ぬれ性はO1相>O2相
3.ヒト皮膚刺激性抑制効果(ヒトスティンギングテスト)
敏感肌のパネラー6名に、実施例および比較例の試料を1日に1サンプルずつ使用してもらい、パネラーが感じる刺激感(ピリピリ感)の評価、及び皮膚反応(紅斑)の目視評価を以下の基準で評価し、6人の平均スコアを求めた。
【0035】
<刺激感>
0:刺激感を感じない
1:刺激感をごく僅かに感じる
2:刺激感を少し感じる
3:刺激感を中程度に感じる
4:刺激感を強く感じる
<紅斑、浮腫>
0:紅斑が全く認められない
1:ごく僅かな紅斑が認められる
2:僅かな紅斑が認められる
3:明らかな紅斑が認められる
4:強紅斑が認められる。
【0036】
4.乳化安定性
−5℃、5℃、25℃、40℃、50℃の各温度で1ヶ月保存し、結晶析出やクリーミングが無いかを観察することにより安定性試験を実施した。
【0037】
<評価基準>
○:結晶析出やクリーミングが見られない
△:わずかに結晶析出やクリーミングが見られる
×:結晶析出やクリーミングが見られる。
【0038】
(実施例1〜5、比較例1〜4)
表1及び表2の組成により、80℃にて混合溶解し、水中油型乳化組成物を調製した。得られた各水中油型乳化組成物について、液状油Aと液状油Bの相溶性、皮膚ぬれ性、ヒト皮膚刺激性抑制効果、乳化安定性を評価した。得られた評価結果を表1及び表2に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
表1、2に示された結果から、本発明の乳化組成物である実施例はいずれも、皮膚刺激性が低く、且つ乳化安定性に優れるものであった。一方、液状油Aと液状油Bに相溶性がある比較例1及び4は、本発明の実施例に比べて皮膚刺激性の点で劣り、更に乳化安定性に劣るものであった。液状油Aと液状油Bは非相溶であるが、セチルアルコール等を含む第一の油性分散相(O1相)の方が第二の油性分散相(O2相)よりも皮膚ぬれ性が高い比較例2及び3は、本発明の実施例に比べて皮膚刺激性の点で劣るものであった。
【0042】
(実施例6) 夜用乳液
表3の組成の夜用乳液を下記製造方法により調製した。得られた夜用乳液について実施例1と同様の評価を行なったところ、液状油Aと液状油Bは非相溶であり、セチルアルコール等を含む第一の油性分散相(O1相)の方が第二の油性分散相(O2相)よりも皮膚ぬれ性が低く、乳化安定性、皮膚刺激性の結果は良好であった。
【0043】
(製法)
成分(1)〜(4)を80℃で混合し、第一の油性分散相を得た。別途、成分(5)及び(6)を混合し、第二の油性分散相を得た。成分(9)〜(18)を80℃で混合したものに、第一の油性分散相、第二の油性分散相、及び成分(7)及び(8)を加え、混合して夜用乳液を調製した。
【0044】
【表3】
【0045】
(実施例7) 保湿乳液
表4の組成の保湿乳液を下記製造方法により調製した。得られた保湿乳液について実施例1と同様の評価を行なったところ、液状油Aと液状油Bは非相溶であり、セチルアルコール等を含む第一の油性分散相(O1相)の方が第二の油性分散相(O2相)よりも皮膚ぬれ性が低く、乳化安定性、皮膚刺激性の結果は良好であった。
【0046】
(製法)
成分(1)〜(4)を80℃で混合し、第一の油性分散相を得た。別途、成分(5)及び(6)を混合し、第二の油性分散相を得た。成分(9)〜(19)を80℃で混合したものに、第一の油性分散相、第二の油性分散相、及び成分(7)及び(8)を加え、混合して保湿乳液を調製した。
【0047】
【表4】
【0048】
(実施例8) クリーム
表5の組成のクリームを下記製造方法により調製した。得られたクリームについて実施例1と同様の評価を行なったところ、液状油Aと液状油Bは非相溶であり、セチルアルコール等を含む第一の油性分散相(O1相)の方が第二の油性分散相(O2相)よりも皮膚ぬれ性が低く、また乳化安定性、皮膚刺激性の結果は良好であった。
【0049】
(製法)
成分(1)〜(5)を80℃で混合し、第一の油性分散相を得た。別途、成分(6)〜(8)を混合し、第二の油性分散相を得た。成分(11)〜(19)を80℃で混合したものに、第一の油性分散相、第二の油性分散相、及び成分(9)及び(10)を加え、混合してクリームを調製した。
【0050】
【表5】
【0051】
【発明の効果】
本発明の水中油型乳化組成物は、互いに相溶しない第一の油性分散相と第二の油性分散相が各々別の油滴として水性連続相に均一に分散している乳化組成物である。この2種類の油性分散相が互いに相溶せず、前記第一の油性分散相よりも前記第二の油性分散相の皮膚ぬれ性が高いために、第二の油性分散相が第一の油性分散相に優先して皮膚へぬれ、第二の油性分散相に含まれる油剤が皮膚に皮膜を形成する。その結果、セチルアルコール等を、安定な乳化状態で配合し、良好なテクスチャーを有する水中油型乳化組成物を得ることができる。
Claims (5)
- セチルアルコール及び/又はステアリルアルコールと前記セチルアルコール及び/又はステアリルアルコールが可溶な液状油Aとして平均炭素数23以上のエステル油とを含む第一の油性分散相と、粘度50csのシリコーン油を含有する、第一の油性分散相と相溶しない第二の油性分散相とを含有し、前記第一の油性分散相よりも前記第二の油性分散相の皮膚ぬれ性が高い水中油型乳化組成物。
- 前記液状油Aが、オリーブ油、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、モノイソステアリン酸モノミリスチン酸グリセリル、及びホホバ油からなる群から選ばれる1種以上である請求項1に記載の水中油型乳化組成物。
- 前記セチルアルコール及び/又はステアリルアルコールと前記液状油Aの重量比(セチルアルコール及び/又はステアリルアルコール:液状油A)が1:100〜1:1である請求項1又は2に記載の水中油型乳化組成物。
- セチルアルコール及び/又はステアリルアルコールと前記平均炭素数23以上のエステル油とを混合して第一の油性分散相を調製し、粘度50csのシリコーン油を含有する、第一の油性分散相と相溶しない第二の油性分散相を調製し、前記第一の油性分散相と前記第二の油性分散相をそれぞれ水相に混合して得られる、請求項1乃至4のいずれかに記載の水中油型乳化組成物。
- セチルアルコール及び/又はステアリルアルコールと前記セチルアルコール及び/又はステアリルアルコールが可溶な液状油Aとして平均炭素数23以上のエステル油とを少なくとも混合して第一の油性分散相を調製する工程と、粘度50csのシリコーン油を含有する、第一の油性分散相と相溶しない第二の油性分散相を調製する工程とを有し、前記第一の油性分散相よりも前記第二の油性分散相の皮膚ぬれ性が高いものであって、更に前記第一の油性分散相と前記第二の油性分散相をそれぞれ水相に混合する工程を有する、水中油型乳化組成物の製造方法。
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