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JP3893487B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

スクロール圧縮機 Download PDF

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JP3893487B2
JP3893487B2 JP26857997A JP26857997A JP3893487B2 JP 3893487 B2 JP3893487 B2 JP 3893487B2 JP 26857997 A JP26857997 A JP 26857997A JP 26857997 A JP26857997 A JP 26857997A JP 3893487 B2 JP3893487 B2 JP 3893487B2
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    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04CROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
    • F04C23/00Combinations of two or more pumps, each being of rotary-piston or oscillating-piston type, specially adapted for elastic fluids; Pumping installations specially adapted for elastic fluids; Multi-stage pumps specially adapted for elastic fluids
    • F04C23/008Hermetic pumps

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  • Mechanical Engineering (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、冷凍空調機器に使用される冷媒圧縮機に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
図19は、国際公開番号 WO 95/12759 で示される従来のスクロール圧縮機の部分縦断面図である。
図19において、1は固定スクロールであり、リーマピン(図示せず)によってガイドフレーム15との位相が管理されており、また台板部1aの外周部はボルト(図示せず)によってガイドフレーム15に締結されている。また、台板部1aの一方の面(図19において下側)には板状渦巻歯1bが形成されている。
2は揺動スクロールであり、台板部2aの一方の面(図19において上側)には固定スクロール1の板状渦巻歯1bと実質的に同一形状の板状渦巻歯2bが形成されており、また台板部2aの板状渦巻歯2bと反対側の面(図19において下側)の中心部には中空円筒形状のボス部2fが形成されており、そのボス部2fの内側面には揺動軸受2cが形成されている。また、ボス部2fと同じ側の面の外周部には、コンプライアントフレーム3のスラスト軸受3aと圧接摺動可能なスラスト面2dが形成されている。また、揺動スクロール2の台板部2aの外周部には、2個1対のオルダム案内溝2eがほぼ一直線上に形成されており、このオルダム案内溝2eにはオルダムリング9の2個1対の揺動側爪9aが半径方向に往復摺動自在に係合されている。他方、コンプライアントフレーム3にも、揺動スクロール2のオルダム案内溝2eとほぼ90度の位相差を持つ2個1対のオルダム案内溝3bがほぼ一直線上に形成されており、このオルダム案内溝3bにはオルダムリング9のフレーム側爪9bが半径方向に往復摺動自在に係合されている。また、コンプライアントフレーム3の中心部には、電動機によって回転駆動される主軸4を半径方向に支持する主軸受3cが形成されている。
加えて、コンプライアントフレーム3にはリーマピン17が圧入されるリーマ穴3gが形成されており、このリーマピン17はガイドフレーム15に形成されたキー溝15eに係合されており、これによってコンプライアントフレーム3とガイドフレーム15との位相(回転方向位置)が管理されているすなわちコンプライアントフレーム3はガイドフレームに対して回転方向に拘束される。
ガイドフレーム15の外周面は密閉容器10に焼きばめられており、密閉容器10の内部空間を吸入ガス雰囲気10cと吐出ガス雰囲気10dとに仕切っている。またガイドフレーム15の内側面には、同軸度が管理された2つの円筒面すなわち上嵌合円筒面15aと下嵌合円筒面15bとが形成されており、それぞれは、コンプライアントフレーム3の外周面にやはり同軸度が管理されて形成された2つの円筒面すなわち上嵌合円筒面3dと下嵌合円筒面3eと係合されている。またガイドフレーム15の内側面には、シール材を収納するシール溝が2ヶ所に形成されており、それらのシール溝に上シール材16aおよび下シール材16bが嵌着されている。そしてこれら2つのシール材とガイドフレーム15の内側面とコンプライアントフレーム3の外側面とによって形成された密閉空間、すなわち高圧空間15cは、ガイドフレーム15に形成された高圧導入孔15dを介して吐出ガス雰囲気10dと連通している。
主軸4の揺動スクロール側(図19において上側)端部には、主軸の軸線方向と実質的に平行な平面部を有するピン部4aが形成されており、このピン部4aの平面部とスライダー5の内側面に形成された平面部とが往復摺動可能に係合されている。10aは圧縮される前の低圧ガスを吸入ガス雰囲気10cに導く吸入管であり、10bは圧縮された後の高圧ガスを吐出ガス雰囲気10dから密閉容器10の外に排出する吐出管である。
【0003】
次に、この従来のスクロール圧縮機の基本動作について説明する。定常運転時には、吐出ガス雰囲気が高圧であるので、高圧導入孔15dを介して連通している高圧空間15も高圧となり、コンプライアントフレーム3は上嵌合円筒面3dと下嵌合円筒面3eの2ヶ所でガイドフレーム15に案内され固定スクロール側(図19でおいて上方)に浮き上がっている。そのため、スラスト軸受3aを介してコンプライアントフレーム3に押し付けられている揺動スクロール2も同じく上方に浮き上がり、その結果揺動スクロール2の歯先と歯底は、固定スクロール1のそれぞれ歯底と歯先に接触し摺動する。
また起動時や液圧縮時などには、揺動スクロール2に作用するスラスト方向ガス負荷Fgthが大きくり、揺動スクロール2はスラスト軸受3aを介してコンプライアントフレーム3を反固定スクロール側(図19において下方)に押し下げるので、揺動スクロール2の歯先や歯底と固定スクロール1の歯底や歯先との間には比較的大きな隙間が生じ、圧縮室内の異常な圧力上昇が回避される。
なお、コンプライアントフレーム3には、揺動スクロール2に発生する転覆モーメントの一部または全部がスラスト軸受3aを介して伝達されるものの、主軸受3cから受ける軸受負荷と、その反作用である2つの力の合力、すなわち上嵌合円筒面3dを介してガイドフレーム15から受ける反力と下嵌合円筒面3eを介してガイドフレーム15から受ける反力との合力、とによって生ずる偶力が前記転覆モーメントを打ち消すように作用するので、非常に良好な定常運転時追随動作安定性およびリリーフ動作安定性を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以上に説明した、コンプライアントフレームがそれ自身のモーメントバランスをとりながら軸方向に可動である従来のスクロール圧縮機は、図20に示すようにコンプライアントフレーム3に形成された2ヶ所の円筒面すなわち上嵌合円筒面3dと下嵌合円筒面3eとを、ガイドフレーム15に形成された2ヶ所の円筒面すなわち上嵌合円筒面15aと下嵌合円筒面15bとに各々係合することで、コンプライアントフレーム3の軸方向運動のガイドを行うので、両部品ともに2ヶ所の円筒面の高精度な同軸度が要求されていた。すなわち仮に一方の部品の2ヶ所の円筒面の同軸度が悪ければ、両部品を係合することが出来ないという、加工生産性上も組立生産性上も問題のある構成であった。この解決手段の1つとして、各々の円筒面の係合隙間のクリアランスを大きくすることが考えられるが、それでは運転中のコンプライアントフレームがその大きなクリアランスを揺動半径として揺動運動することとなり、騒音の増大や係合箇所の摩耗による信頼性の低下や半径方向洩れ隙間の増大による効率の低下を招くので望ましくない。
この発明は、上記の問題点を解消するためになされたもので、コンプライアントフレーム3とガイドフレーム15の2ヶ所の嵌合円筒面のクリアランスを大きくすることなく、両部品の組立性、ならびに各々の部品の加工性を改善することを目的とする。
【0005】
また、以上説明したコンプライアントフレームがそれ自身のモーメントバランスをとりながら軸方向に可動である従来のスクロール圧縮機、すなわち従来のフレームコンプライアントスクロール圧縮機では、揺動スクロールの自転を拘束するオルダムリングが、揺動スクロールとコンプライアントフレームの間に設けられていた。このため本来高精度な回転方向位置決めが要求される固定スクロールと揺動スクロールは、オルダムリングに係わる回転方向誤差に加えて、コンプライアントフレームとガイドフレームの回転方向組立誤差、さらにガイドフレームと固定スクロールの回転方向組立誤差を含んだ状態で位置決めされていた。その結果、トータルの回転方向誤差が大きくなり、半径方向洩れ隙間が大きいために効率が悪く、加えて半径方向で固定スクロール板状渦巻歯と揺動スクロール板状渦巻歯が衝撃的に衝突するために騒音が大きいという問題点が有った。
この発明は、上記の問題点を解消するためになされたもので、圧縮機の外径を大きくしてコストアップを招くことなく、固定スクロールと揺動スクロールの回転方向の組立誤差を小さくすることで、効率の向上ならびに騒音を低減することを目的とする。
【0006】
また、以上説明したコンプライアントフレームがそれ自身のモーメントバランスをとりながら軸方向に可動である従来のスクロール圧縮機は、揺動スクロールとスラスト軸受との圧接力Fthが大きいため、特に低速運転時には負荷容量の減少と相まってその摩擦係数が大きくなり効率が悪く、時には焼付などの信頼性上のトラブルを引き起こすという問題点があった。
この発明は、上記の問題点を解消するためになされたもので、揺動軸受の潤滑性を損なうことなく、また主軸に圧力差に起因するスラスト力を発生させることによる新たなスラスト損失を生じさせることなく、またスライダーによる板状渦巻歯の半径方向の洩れ隙間極小化機能を損ねることなく、スラスト軸受負荷Fthを軽減することを目的とする。
【0007】
また、主軸のクランク半径が一定のいわゆる固定クランク方式である従来のスクロール圧縮機においては、固定スクロールとフレーム(またはガイドフレーム)がリーマピンなどで位置決めされると同時に、揺動スクロールとフレーム(またはガイドフレームまたはコンプライアントフレーム)がオルダムリングで位相決めされていたため、固定スクロールを揺動スクロールの高精度な組付けが困難であり、その結果板状渦巻歯の側面隙間が大きいために効率が低下したり、板状渦巻歯の側面が互いに衝突するために騒音が大きいといった問題点があった。 この発明は、上記の問題点を解消するためになされたもので、固定クランク方式のスクロール圧縮機において両渦巻の組み付け精度を向上させることを目的とする。
【0008】
また、従来のスクロール圧縮機を、フロン規制でR410Aなどの高圧冷媒を使用した場合には、板状渦巻歯の強度確保のための扁平化と相まってスラスト軸受負荷Fthが極端に大きくなってしまうという問題点があった。
この発明は、上記の問題点を解消するためになされたもので、高圧冷媒を使用した時のスラスト軸受負荷Fthの軽減を目的とする。
【0009】
また、高圧雰囲気の潤滑油を軸受で減圧して吸入ガス雰囲気に導くことで軸受の給油を行う従来の冷媒圧縮機では、潤滑油の減圧に伴い溶け込んでいた冷媒が多量に発泡するため軸受の潤滑性を損なうという問題があった。
この発明は、上記の問題を解消するためになされたもので、軸受での減圧する潤滑油から発生するガス冷媒を軽減し、軸受の潤滑性を向上させることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に関するスクロール圧縮機は、密閉容器内に設けられ、それぞれの板状渦巻歯が相互間に圧縮室を形成するように互いに噛み合わされた固定スクロールおよび揺動スクロールと、前記揺動スクロールを軸方向に支持すると共に、前記揺動スクロールを駆動する主軸を半径方向に支持し、軸方向に変位可能なコンプライアントフレームと、前記コンプライアントフレームを半径方向に支持し、前記密閉容器に固定されたガイドフレームと、前記揺動スクロールの前記板状渦巻歯と反対側の面の中心部に設けられた中空円筒形状のボス部と、このボス部とボス部の内側に回転自在に係合する前記主軸の端部とで形成されるボス部空間と、前記揺動スクロールの前記板状渦巻歯と反対側の面の外周部に形成されたスラスト面と、前記コンプライアントフレームに形成され、前記揺動スクロールの前記スラスト面と圧接摺動可能なスラスト軸受と、前記スラスト軸受の内側でつ前記ボス部の外側でつ前記コンプライアントフレームと前記揺動スクロールとの間の空間であるボス部外側空間と、前記コンプライアントフレームと前記ガイドフレームとの間に形成されたフレーム空間と、前記ボス部外側空間の外側でつ前記スラスト軸受の外周側に形成された台板外周部空間と、を備え、前記密閉容器内を吐出ガス圧力雰囲気とし、前記ボス部空間には前記主軸に軸方向に貫通して設けられた給油穴を経由して吐出ガス圧力を導入するとともに、前記ボス部外側空間を吸入ガス圧力よりも高く吐出ガス圧力よりも低い中間圧力とし、前記フレーム空間を吸入ガス圧力よりも高く吐出ガス圧力よりも低い中間圧力とし、前記台板外周部空間を前記板状渦巻歯の巻終わり近傍の吸入空間と連通させ吸入ガス圧力とし前記コンプライアントフレームには前記フレーム空間の中間圧力に起因する力と下端面に作用する吐出ガス圧力に起因する力が前記固定スクロール側に向く力として作用し、かつ前記揺動スクロールには前記ボス部空間の吐出ガス圧力に起因する力と前記ボス部外側空間の中間圧力に起因する力が前記固定スクロール側に向く力として作用するので、中間圧力の値と、中間圧力と吐出ガス圧力が前記揺動スクロールに作用する面積と、中間圧力と吐出ガス圧力が前記コンプライアントフレームに作用する面積と、により、前記揺動スクロールの前記スラスト面と前記コンプライアントフレームの前記スラスト軸受との圧接力であるスラスト軸受負荷を、一般的な運転条件において、ゼロより大きく、前記揺動スクロールに作用する圧縮負荷のスラスト方向成分であるスラストガス負荷より小さくしたものである。
【0011】
また、本発明の請求項2に関するスクロール圧縮機は、前記揺動スクロールの前記板状渦巻歯の歯先もしくは歯底が前記固定スクロールの前記板状渦巻歯の歯底もしくは歯先と圧接摺動することにより発生する前記歯先と前記歯底との圧接力である歯先歯底押付力が、一般的な運転条件において、ゼロより大きく前記スラスト軸受負荷より小さくなるようにしたものである。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
また、本発明の請求項3に関するスクロール圧縮機は、前記コンプライアントフレームの外周面と、前記ガイドフレームの内周面と、の間にシール材を嵌着して前記フレーム空間をシールするようにしたものである。
【0016】
また、本発明の請求項4に関するスクロール圧縮機は、前記ボス部外側空間と前記フレーム空間とを連通させ、両空間を等しい中間圧力としたものである。
【0017】
また、本発明の請求項5に関するスクロール圧縮機は、前記フレーム空間と前記台板外周部空間との差圧が所定値以上になると前記フレーム空間と前記台板外周部空間とを連通させる中間圧制御機構を前記フレーム空間と前記台板外周部空間との間に設けたものである。
【0018】
また、本発明の請求項6に関するスクロール圧縮機は、前記密閉容器の底部の潤滑油を、前記主軸に設けられた給油穴を経由して前記ボス部空間に導き、その後前記ボス部外側空間、前記フレーム空間を経て、前記台板外周部空間へ導く給油経路を備えたものである。
【0019】
また、本発明の請求項7に関するスクロール圧縮機は、前記揺動スクロールの自転を拘束するオルダムリングを備え、前記オルダムリングの2個1対の爪を揺動スクロールに係合すると共に、前記オルダムリングのもう一方の2個1対の爪を前記固定スクロールに係合したものである。
【0020】
【0021】
また、本発明の請求項8に関するスクロール圧縮機は、前記オルダムリングの2個1対の爪を案内するオルダム案内溝を前記固定スクロール及び前記揺動スクロールに設け、前記固定スクロールの2個1対のオルダム案内溝のうち、1個の案内溝を前記固定スクロールの板状渦巻歯の巻終わり位置から巻終わり方向に0度から30度進んだ範囲内に配置し、前記固定スクロールの2個1対のオルダム案内溝のうち、もう1個のオルダム案内溝を前記他方のオルダム案内溝位置より前記板状渦巻歯の巻始め方向に150度から180度戻った範囲内に配置したものである。
【0022】
また、本発明の請求項9に関するスクロール圧縮機は、前記コンプライアントフレームは前記主軸を半径方向に支持する主軸受および補助主軸受と、前記主軸受と前記補助主軸受との軸方向間に設けられた空間と、前記主軸の外周面に上端が該空間に連通し、下端が前記補助主軸受の途中で止まりになるように設けられ、前記上端から前記下端側に向かって主軸の反回転方向にねじられた給油溝と、を備え、前記主軸に軸方向に設けられた給油穴を通って、前記空間に潤滑油を供給することによって、前記給油溝により前記補助主軸受に潤滑油を圧送するようにしたものである。
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
まず最初に、図1〜図10において、本発明の実施の形態1の説明を行う。なお、従来例と共通の構造や動作の説明は省略する。
図1は、本発明の実施の形態1の縦断面図である。1は固定スクロールであり、外周部はガイドフレーム15にボルト(図示せず)によって締結されており、また台板部1aの一方の面(図1において下側)には板状渦巻歯1bが形成されていると同時に、外周部には2個1対のオルダム案内溝1cがほぼ一直線上に形成され、このオルダム案内溝1cにはオルダムリング9の2個1対の固定側爪9cが往復摺動自在に係合されている。さらに外周部には、コンプライアントフレーム3の上嵌合円筒面3dと係合する嵌合円筒面1eが形成されており、また固定スクロール1の側面方向(図1において右側)からは吸入管10aが、密閉容器10を貫通して圧入されている。
2は揺動スクロールであり、台板部2aの一方の面(図1において上側)には固定スクロール1の板状渦巻歯1bと実質的に同一形状の板状渦巻歯2bが形成されており、また台板部2aの板状渦巻歯2bと反対側の面(図1において下側)の中心部には中空円筒形状のボス部2fが形成されており、そのボス部2fの内側面には揺動軸受2cが形成されている。また、ボス部2fと同じ側の面の外周部には、コンプライアントフレーム3のスラスト軸受3aと圧接摺動可能なスラスト面2dが形成されている。また、揺動スクロール2の台板部2aの外周部には、前記固定スクロールのオルダム案内溝1cとほぼ90度の位相差を持つ2個1対のオルダム案内溝2eがほぼ一直線上に形成されており、このオルダム案内溝2eにはオルダムリング9の2個1対の揺動側爪9aが往復摺動自在に係合されている。
コンプライアントフレーム3の中心部には、電動機によって回転駆動される主軸4を半径方向に支持する主軸受3cおよび補助主軸受3hが形成されている。また、コンプライアントフレーム3の寸止め面3fにはリーマピン17が圧入されるリーマ穴3gが形成されており、このリーマピン17は固定スクロール1の寸止め面1dに形成されたリーマ穴1iに係合されており、これによってコンプライアントフレーム3は固定スクロール1によって回転方向に拘束されることになる。なお、このコンプライアントフレームの自転拘束用のリーマピン17は、固定スクロールにではなくガイドフレーム15に設けたリーマ穴やキー溝等に係合されても良い。
ガイドフレーム15の外周面15gは焼きばめもしくは溶接などによって密閉容器10に固着されているものの、固定スクロール1の吐出ポート1fから吐出される高圧の冷媒ガスをガイドフレーム15より電動機側(図1において下側)に設けられた吐出管10bに導く流路は確保されている。またガイドフレーム15の内側面の電動機側(図1において下側)には、下嵌合円筒面15bが形成されており、コンプライアントフレーム3の外周面に形成された下嵌合円筒面3eと係合されている。またガイドフレーム15の内側面には、シール材を収納するシール溝が2ヶ所に形成されており、それらのシール溝に上シール材16aおよび下シール材16bが嵌着されている。そしてこれら2つのシール材とガイドフレーム15の内側面とコンプライアントフレーム3の外側面とによって形成された空間、すなわちフレーム空間15fは、コンプライアントフレーム3に形成された均圧孔3iを介してボス部外側空間2hと連通している。なお、上シール材16aおよび下シール材16bは必ずしも必要ではなく、係合箇所の微小隙間でシールが可能で有れば省略できる部品である。また、上下を揺動スクロールの台板部2aとコンプライアントフレーム3で囲われたスラスト軸受3aの外周側の空間、すなわち台板外周部空間2iは、板状渦巻歯の巻終わり近傍である吸入空間1gと連通しているので、吸入ガス雰囲気となっている。
主軸4の揺動スクロール側(図1において上側)端部には、揺動スクロール2の揺動軸受2cと回転自在に係合する揺動軸部4bが形成されており、その下側には主軸バランサ4eが焼きばめられており、さらにその下側にはコンプライアントフレーム3の主軸受3cおよび補助主軸受3hと回転自在に係合する主軸部4cが形成されている。また主軸の他端部には、サブフレーム6の副軸受6aと回転自在に係合する副軸部4dが形成されており、この副軸部4dと前述した主軸部4cとの間に電動機回転子8が焼きばめられている。また、この電動機回転子8の上端面には上バランサ8aが、下端面には下バランサ8bが締結されており、前述した主軸バランサ4eとの3個のバランサによって静バランスおよび動バランスがとられている。さらに主軸4の下端面にはオイルパイプ4fが圧入されており、密閉容器10の底部に溜まった冷凍機油10eを吸い上げる。
また、密閉容器10の側面にはガラス端子10fが取り付けれており、電動機固定子7からのリード線が接合されている。
【0028】
次に、この実施の形態1のスクロール圧縮機の基本動作について説明する。定常運転時には吐出ガス雰囲気10dが高圧となるので、密閉容器10の底部の冷凍機油10eがオイルパイプ4f、主軸4に軸方向に貫通して設けられた高圧油給油穴4gを経由してボス部空間2gに導かれる。そして、この高圧油は揺動軸受2cで減圧されて中間圧となり、ボス部外側空間2hに流れる。中間圧となった冷凍機油は、均圧孔3iを通ってフレーム空間15fに流れ、その後中間圧調整弁などを経由して低圧空間である台板外周部空間2iに開放される。さてコンプライアントフレーム3には、ボス部外側空間2hの中間圧に起因する力およびスラスト軸受3aを介しての揺動スクロール2からの押付け力の合計が下向きの力として作用するものの、フレーム空間15fの中間圧に起因する力および下端面の高圧雰囲気に露出している部分に作用する高圧に起因する力の合計が上向きの力として作用し、そしてこの上向きの力が前述した下向きの力より大きくなるように設定されている。このためコンプライアントフレーム3は、上嵌合円筒面3dを固定スクロール1の嵌合円筒面1eに、下嵌合円筒面3eをガイドフレーム15の下嵌合円筒面15bに案内され、固定スクロール側(図1でおいて上方)に浮き上がっている。そしてスラスト軸受3aを介してコンプライアントフレーム3に押し付けられている揺動スクロール2も、同じく上方に浮き上がり、その結果揺動スクロール2の歯先と歯底は、固定スクロール1のそれぞれ歯底と歯先に接触し摺動する。
また起動時や液圧縮時などには、揺動スクロール2に作用するスラスト方向ガス負荷Fgthが大きくり、揺動スクロール2はスラスト軸受3aを介してコンプライアントフレーム3を反固定スクロール側(図1において下方)に強く押し下げるので、揺動スクロール2の歯先や歯底と固定スクロール1の歯底や歯先との間には比較的大きな隙間が生じ、圧縮室内の異常な圧力上昇が回避されるのは従来例と同じである。なお、この時のリリーフ量は、コンプライアントフレーム3のリリーフ当り面3qとガイドフレーム15のリリーフ当り面15hとの距離によって、その最大値が適当な値に管理されている。
さて、コンプライアントフレーム3には、揺動スクロール2に発生する転覆モーメントの一部または全部がスラスト軸受3aを介して伝達されるものの、主軸受3cから受ける軸受負荷と、その反作用である2つの力の合力、すなわち上嵌合円筒面3dを介して固定スクロール1から受ける反力と下嵌合円筒面3eを介してガイドフレーム15から受ける反力との合力、とによって生ずる偶力が前記転覆モーメントを打ち消すように作用するので、非常に良好な定常運転時追随動作安定性およびリリーフ動作安定性を有することも従来例と同じである。
【0029】
図2は、発明の実施の形態1の、コンプライアントフレームおよびガイドフレームの加工性の向上やコンプライアントフレームの組立性の向上を説明するための図である。組立の順序としては、密閉容器10にガイドフレーム15を焼きばめや溶接などで固定(第1ステップ)した後、コンプライアントフレーム3の下嵌合円筒面3eをガイドフレーム15の下嵌合円筒面15bに上方から(第2ステップ)嵌入する。そして、主軸やオルダムリングや揺動スクロールなどの部品を組み込んだ後に、今度はオルダムリング9の固定側爪9cが固定スクロール1のオルダム案内溝1cと係合するように位相を合わせて、固定スクロール1の嵌合円筒面1eをコンプライアントフレーム3の上嵌合円筒面3dに上方から嵌入(第3ステップ)する。このような嵌合方式ならびに組立方式を採用したため、コンプライアントフレーム3の2ヶ所の嵌合円筒面の同軸度が悪くても、固定スクロールを嵌入する際の調整で問題なく組み立てれる、すなわち同軸のズレ分だけガイドフレームに対して固定スクロールを偏芯させて組み付ければよい訳である。その結果、従来は必要であったコンプライアントフレームおよびガイドフレームの各々2ヶ所の嵌合円筒面の高精度同軸加工が不要となり、部品の歩留まりが向上すると共に、組立時に同軸度が悪いために組み付けられないという事態すなわち生産性の低下も回避できる。なお、図2の実施例では、コンプライアントフレーム3と固定スクロール1とは円筒面で係合されているが、その代わりに両部材を板バネを介して締結することでコンプライアントフレーム5の半径方向移動を拘束しても同一の効果が得られる。その際には、コンプライアントフレーム3をガイドフレーム15に嵌入する前に板バネによる締結を行った方が生産性に優れる場合もある。また、図2の実施例では、コンプライアントフレーム3や固定スクロール1をガイドフレーム15に組み付ける前にガイドフレームを密閉容器10に固定しているが、逆にガイドフレームの密閉容器への固着を最後にしても何ら問題はない。さらに、固定スクロール1とコンプライアントフレーム3の上部近傍を板バネを介して締結する代わりに、ガイドフレーム15の上部近傍をコンプライアントフレーム3と板バネで締結することでも同様の効果が得られる。
【0030】
図3は、発明の実施の形態1の、オルダムリングの連結に関する説明のための斜視図である。固定スクロール1の板状渦巻歯1bが形成されている側の端面の外周部には、オルダムリング9の2個1対の固定側爪9cが往復摺動自在に係合する2個1対のオルダム案内溝1cがほぼ一直線上に形成されており、他方揺動スクロール2の台板部のボス部2f側には、オルダムリング9の2個1対の揺動側爪9aが往復摺動自在に係合する2個1対のオルダム案内溝2eがほぼ一直線上に形成されている。そして、オルダムリング9のリング部の一方の面(図3に於いて上側の面)に、前述した一直線上の2個1対の固定側爪9cおよび一直線上の2個1対の揺動側爪9aがお互いにほぼ90度の位相角をもって形成されている。
さて、従来のスクロール圧縮機では、オルダムリング9は揺動スクロール2とコンプライアントフレーム3とを連結し、そのコンプライアントフレーム3がガイドフレーム15にリーマピンで位置決めされ、さらにそのガイドフレーム15がリーマピンで固定スクロール1に位置決めされていた。すなわちオルダムリングの爪の加工誤差および案内溝の加工誤差に加えて、リーマ穴加工などの加工誤差や組立誤差が2段階上乗せされていたため、固定スクロールと揺動スクロールとを高精度に位相決めすることは非常に困難であった。それに対して本実施形態では、固定スクロールと揺動スクロールをダイレクトにオルダムリングで連結したので、固定スクロールと揺動スクロールの位相誤差を問題のないレベルにすることが可能となった。
なお、このオルダムリングによる固定スクロールと揺動スクロールの直結は、密閉容器10の内部が基本的に吸入ガス雰囲気であるいわゆる低圧シェルタイプのスクロール圧縮機では既に実用化されている技術ではあるが、密閉容器10の内部が基本的に吐出ガス雰囲気であるいわゆる高圧シェルタイプのスクロール圧縮機では、中でも揺動スクロール2を単体で浮上させて固定スクロール1に押し付ける方式のスクロール圧縮機の場合は困難とされていた。というのは、そのような方式の場合には、揺動スクロール2の台板部上端面の外周部で圧力シールするので、そのシール性を損なうことなく固定スクロールにオルダム案内溝を形成するためには、極端に固定スクロールの外径ひいては密閉容器の外径を大きくせざるを得ないからである。これに対して本実施の形態の構造では、スラスト軸受で中間圧と低圧をシールしたので固定スクロールと揺動スクロールのオルダム直結が可能となったのである。
【0031】
図4は、発明の実施の形態1の、固定スクロールのオルダム案内溝の配置の説明図である。図の向かって左側のオルダム案内溝1cは板状渦巻歯1bの巻終わり位置の直後の位相角位置に配置している。これは巻終わりから位相角が進めば進むほど左側のオルダム案内溝1cの中心距離が大きくなり、ひいては密閉容器の外径を大きくする必要が生じてしまうからである。他方、図に向かって右側のオルダム案内溝1cは左側のオルダム案内溝1dから半周(180度)弱だけ戻った位置に配置している。これは先程の理由に加えて、揺動運動する揺動スクロールの巻終わり箇所と干渉してはいけないという制約と右側のオルダム案内溝1cの図に向かって下側のオルダム案内溝側壁1hの肉厚を確保せねばならないという制約のため、左側のオルダム案内溝1cから180度戻ることはできず180度弱となってしまうからである。換言すると、固定スクロール1に設けられた2個1対のオルダム案内溝1cのうちの1個(図に向かって左側)は板状渦巻歯の巻終わり位置からやや進んだ位置例えば0度から30度進んだ位置に配置し、もう1個(図に向かって右側)はそれより180度弱戻った位置例えば150度から180度戻った位置に配置するのが、最もスペース効率のよい密閉容器の外径を大きくせずに済む方法であると言える。
【0032】
図5は、発明の実施の形態1の、ボス部空間の高圧化によるスラスト軸受負荷軽減の説明用模式図である。従来のスクロール圧縮機では、密閉容器の内部が吸入ガス雰囲気であるいわゆる低圧シェル方式なので、図5の上半分に模式的に示すように揺動スクロール2の台板部2aの背面は全面低圧雰囲気であり、揺動スクロール2に作用する圧縮負荷のスラスト方向成分Fgthと揺動スクロール2と固定スクロール1との歯先歯底接触力Ftipの合力は、すべてスラスト軸受負荷Fth0として受ける。他方、図1に示す本発明の実施の形態1のフレームコンプライアント方式のスクロール圧縮機では、図5の下半分に模式的に示すようにボス部空間2gを高圧雰囲気としたので、揺動スクロール2に作用する圧縮負荷のスラスト方向成分Fgthと揺動スクロール2と固定スクロール1との歯先歯底接触力Ftipの合力は、その一部がボス部の高圧に起因する差圧力Fpdでキャンセルされ、残りの Fgth+Ftip−Fpd をスラスト軸受負荷Fth1が受けることとなる。すなわちスラスト軸受負荷は、従来に対してFpdだけ軽減されることになる。
【0033】
図6は、発明の実施の形態1の、ボス部がオス型の場合のボス部空間の高圧化によるスラスト軸受負荷低減の説明用模式図である。原理は図5の下半分のメス型の場合と全く同じで、図6に於いて、揺動スクロール2に作用する圧縮負荷のスラスト方向成分Fgthと揺動スクロール2と固定スクロール1との歯先歯底接触力Ftipの合力は、その一部がボス部の高圧に起因する差圧力Fpdでキャンセルされ、残りの Fgth+Ftip−Fpd をスラスト軸受負荷Fth2が受けることとなる。すなわちスラスト軸受負荷は、従来に対してFpdだけ軽減されることになる。
【0034】
図7は、発明の実施の形態1の、ボス部外側空間の中間圧化によるスラスト軸受負荷軽減の説明用模式図である。図5の下半分に模式的に示したボス部空間2gを高圧化した場合に対して、図7に模式的に示すようにさらにボス部外側空間2hを中間圧化することでさらにスラスト軸受負荷が軽減される。すなわち、この場合のスラスト軸受負荷をFth3とすると、 Fth3=Fgth+Ftip−Fpd−Fpm=Fth1−Fpm となり、ボス部外側空間2hを中間圧化することでさらにFpmだけ軽減されることになる。
【0035】
次に、図1および図8によって本発明の実施の形態1の給油経路の説明を行う。図1に於いて、密閉容器10の底部に溜まった冷凍機油10eはオイルパイプ4fの下端から微差圧で吸い込まれ、主軸4の高圧油給油穴4gを重力に逆らい上昇する。
途中でまず潤滑油の一部が、副軸横穴4iで遠心力によって半径方向に引っ張られ、副軸受6aに導かれる。その油は主軸の副軸部4dに鉛直方向もしくは所定の角度をもって設けられた副軸縦溝4jを上昇しながら同時に軸受隙間に巻き込まれて副軸受6aの軸受面を潤滑する。潤滑を終えた冷凍機油は、副軸潤滑出口空間6dに溜まり、その後排油穴6eを経由して再び密閉容器10の底部に戻される。
また、高圧油給油穴4gを上昇する残りの潤滑油は次に、主軸横穴4kで遠心力によって半径方向に引っ張られ、コンプライアントフレーム3の主軸潤滑入口空間3kに導かれる。その油の大部分は、主軸受3cの軸受クリアランスで絞られて減圧しながら図1に於いて上昇し、主軸受3cの上端面でボス部外側空間2hと同一の中間圧となる。他方、主軸潤滑入口空間3kに導かれた残りの潤滑油は、図8に部分断面斜視図で示すように主軸下半分斜縦溝4lに導かれて補助主軸受3hを潤滑する。なお、この主軸下半分斜縦溝4lは、その上端が主軸潤滑入口空間3kに連通すると共にその下端は補助主軸受3hの途中で止まりになっているので、大量の冷凍機油が補助主軸受3hの下端から漏れ出ることはない。また主軸下半分斜縦溝4lは、入口から袋小路に向かって(図1および図8に於いて上から下に向かって)反回転方向にねじられているので、ネジポンプ効果により主軸潤滑入口空間3kの冷凍機油は袋小路に向かって(図1および図8に於いて下方向に)圧送される。
また、高圧油給油穴4gを更に上昇する残りの潤滑油はすべてボス部空間2gに至り、その後揺動軸受2cの軸受クリアランスで絞られて減圧しながら図1に於いて下降し、揺動軸受2cの下端面でボス部外側空間2hと同一の中間圧となる。
なお、以上の説明では、冷凍機油が重力に抗して高圧油給油穴4gを上昇するのは、微差圧によるとしていたが、高圧油給油穴4gを偏芯して形成すれば、遠心力がその駆動源の一部もしくは全部を担うことが可能である。
【0036】
さて、主軸受3cで中間圧に減圧された冷凍機油および揺動軸受2cで中間圧に減圧された冷凍機油、ならびに高圧状態でそれら冷凍機油に溶解していたものの減圧によって冷凍機油から発泡気化してきた冷媒ガスは、ボス部外側空間2hで合流し、コンプライアントフレーム3の均圧孔3iを経由してコンプライアントフレーム3とガイドフレーム15で囲われたフレーム空間15fに流れる。
【0037】
図9は、発明の実施の形態1の、中間圧調整弁まわりの構成説明図である。コンプライアントフレーム3のスラスト軸受3aの下端面と圧接する端面には所定の深さを有する深穴として調整弁収納空間3pが設けられており、その中には中間圧調整弁3lが収納され、またその中間圧調整弁3lとスラスト軸受3aとで縮まされた状態で中間圧調整スプリング3mが収納されている。またその調整弁収納空間3pは、調整弁前流路3jによってフレーム空間15fと連通しているものの、中間圧調整弁3lが中間圧調整スプリング3mに押さえつけられているときすなわち図9で下方に押し付けられているときには、調整弁前流路3jの開口部は中間圧調整弁3lで完全に塞がれる構造になっている。
さて、フレーム空間15fの中間圧冷凍機油および発泡した中間圧冷媒ガスは、中間圧調整弁3lが閉じている場合は次々と差圧給油されてくる潤滑油との混合で、その圧力(中間圧)は徐々に上昇する。そして中間圧と低圧(吸入ガス雰囲気圧力)との差圧が、中間圧調整スプリング3mのバネ定数及び調整弁前流路の流路断面積で決定される所定の値より大きくなると、中間圧調整弁3lは中間圧調整スプリング3mをさらに縮ませて図9に於いて上方に移動する、すなわち中間圧調整弁3lは開く。その結果フレーム空間15fの中間圧油および中間圧冷媒ガスが、調整弁前流路3jを通り調整弁収納空間3pに開放される。そして低圧となった冷凍機油および冷媒ガスは、その後調整弁後流路3nを経て台板外周部空間2iに排出される。なお、本実施の形態に於いては、フレーム空間15fに溜まった中間圧冷凍機油および中間圧冷媒ガスは、スラスト軸受面を経由することなく台板外周部空間2iに開放される例で説明したが、それはフレーム空間ボス部外側空間2hの中間圧油が主軸バランサ4eの跳ねかけ等によりスラスト軸受面に供給されることを期待したものである。この構造以外にも、フレーム空間15fから中間圧調整弁3lに到る途中に中間圧冷凍機油がスラスト軸受面を経由する構造にするとか、中間圧調整弁3lで開放された後の低圧冷凍機油を選択的にスラスト軸受面に供給する構造が有効な場合もある。
【0038】
以上の説明から、中間圧調整スプリング3mのバネ定数および調整弁前流路3jの流路断面積を管理することで、中間圧Pmが、
Pm=Ps+一定値
で比較的精度良く管理できることがわかる。
なお、本実施の形態では中間圧調整弁の背部を低圧としスプリングで弁を押し閉じる構造によって、中間圧Pmを、 Pm=Ps+一定値 で制御する方式を説明したが、別の方法として、中間圧調整弁の背部を高圧としスプリングで弁を押し開く構造によって、中間圧Pmを、
Pm=Pd−一定値
で制御する方式や、中間圧調整弁の背部に高圧と低圧を作用させてその作用面積比を適当に選定することで、 中間圧Pmを、
Pm=Pd×n+Ps×(1−n) , 0<n<1
で制御する方式や、上記の方式を組み合わせる方法など様々な方式が適用可能であり、各方式は特性を異にするもののいずれの方式を採用しても中間圧を比較的精度良く管理できる。
また、中間圧調整弁を使用せず、揺動スクロールの台板部の適当な位置に台板を貫通する抽気孔を設け、ボス外側空間2hを圧縮室の適当な圧力に連通させることで中間圧を制御する方式や、それと中間圧調整弁とを併用する方式も適用可能でありかつやはり中間圧を比較的精度良く管理できる。
【0039】
さて、本発明のフレームコンプライアント方式スクロール圧縮機は、以上の説明のように中間圧Pmを制御する方法として様々な方法が適用可能であるが、このことに加えて、その中間圧あるいは高圧が、揺動スクロールおよびコンプライアントフレームに作用する面積を比較的自由に設定できるという利点をも有する。このことを図10に於いて説明する。
コンプライアントフレーム2には、コンプライアントフレームの高圧空間露出に起因する差圧力Fpd2およびフレーム空間の中間圧に起因する差圧力Fpm2が、図10で上方向の力として作用し、他方ボス部外側空間の中間圧に起因する差圧力Fpmが、図10で下方向の力として作用し、それらの差がスラスト軸受負荷Fth3(Fth3=Fpd2+Fpm2−Fpm)として、図10で下方向の軸受反力として作用する。なお、Fpd2の作用面積Spd2は、主軸受径を内径とし下シール材16bの実質シール径(フレーム空間の対高圧シール箇所の実質シール径で本実施例の場合はコンプラフレームの下端面外径と同じ)を外径とする中空同心円の面積であり、Fpm2の作用面積Spm2は、下シール材16bの実質シール径を内径とし上シール材16aの実質シール径(フレーム空間の対低圧シール箇所の実質シール径)を外径とする中空同心円の面積であり、Fpmの作用面積Spmは、主軸受径を内径としスラスト軸受3aの平均直径を外径とする中空同心円の面積である。
また、揺動スクロール2には、ボス部空間2gの高圧に起因する差圧力Fpdおよびボス部外側空間の中間圧に起因する差圧力Fpmが、図10で上方向の力として作用し、他方冷媒ガスの圧縮に起因するスラストガス負荷Fgthが、図10で下方向のとして作用し、それらの差が固定スクロールとの歯先歯底押付力Ftip(Ftip=Fpd+Fpm+Fth3−Fgth)として、図10で下方向の圧接力として作用する。なお、Fpmの作用面積Spmは、揺動軸受2cの軸受径を内径としスラスト軸受3aの平均直径を外径とする中空同心円の面積である。
上記の作用面積を決定する径のうち、揺動軸受径と主軸受径は、一般に機械損失極小化と信頼性確保の折衷で決められることが多いため大きな変更は困難であるが、スラスト軸受の平均直径は、軸受の給油溝のパターン変更やシール材の採用などで比較的容易に変更可能であり、さらに下シール材16bの実質シール径と上シール材16aの実質シール径は、他の特性にほとんど影響を与えることなく自由に設定できる値である。
【0040】
したがって、本発明のフレームコンプライアント方式スクロール圧縮機では、年間の平均エネルギー効率に大きな影響を与える代表的な運転条件に於いて、機械損失増大の主要因であるスラスト軸受負荷Fthと歯先歯底押付力Ftipとを、従来では考えられないほど極小化することが可能となる。その根拠としては、既に述べたように、中間圧の値の管理に関して多くの手法が容易に適用できること、そしてその中間圧および高圧の作用面積を比較的自由に設定できることの2点である。加えて、本発明のフレームコンプライアント方式のスクロール圧縮機は、従来のスクロール圧縮機の説明でも述べたように、現在量産されている固定スクロールコンプライアント方式のスクロール圧縮機や揺動スクロールコンプライアント方式のスクロール圧縮機と比べて、コンプライアントの動作の安定性に勝るので、さらにスラスト軸受負荷Fthや歯先押付力Ftipの低減が可能で有るばかりか、コンプライアント部材のバタツキに起因する洩れも少ない圧縮機となる。
本発明の実施の形態1では、一回転中の圧縮負荷の変動ならびに運転保証領域で、スラスト軸受負荷Fthが実質的に正の値であること、歯先歯底押付力Ftipが実質的に正の値であること、さらに揺動スクロールが転覆しないことを必要条件とし、一般的な運転条件での平均Fthおよび平均Ftipの極小化を図っている。中でも潤滑条件の悪い歯先歯底摺動を極力小さく設定することで、一般的な運転条件で常に、
0<Ftip<Fth<Fgth
を実現している。
【0041】
なお、本実施の形態では、コンプライアントフレーム3に作用するスラスト方向のとして、高圧、中間圧、スラスト軸受負荷で説明したが、この他にもコンプライアントフレーム3とガイドフレーム15との間(必ずしもフレーム空間15fである必要はない)に弾性体を挿入したりコンプライアントフレームを前述したように板バネで支持することで弾性力を付与することも容易に可能であり、圧縮機の使用条件によっては非常に有効である。
【0042】
さて、以上ようにスラスト摺動する箇所のスラスト方向押付け力を軽減することは、現行の冷媒HCFC22でも有効ではあるが、スラスト方向押付け力が更に過大となる高圧冷媒、例えばHFC410Aを使用した場合にはさらに有効である。
【0043】
また、本実施の形態では、主軸受および揺動軸受およびスラスト軸受で潤滑油を減圧させるので、その潤滑油に溶け込んでいた冷媒が発泡する。このような場合に潤滑油として冷媒との相溶性の良いいわゆる相溶油を使用すると、軸受潤滑面に多くの気泡状冷媒ガスが存在してしまい、その結果軸受油膜が途切れてしまい機械損失の増大や焼付を招きやすい。そこで、本実施の形態では、HFC冷媒に対して相溶性の小さいハードアルキルベンゼンなどのいわゆる非相溶油を使用している。
【0044】
実施の形態2.
次ぎに、図11〜14において、本発明の実施の形態2の説明を行う。なお、本発明の実施の形態1と共通の構造や動作の説明は省略する。
図11は、本発明の実施の形態21の縦断面図である。1は固定スクロールであり、外周部はガイドフレーム15にボルト(図示せず)によって締結されており、また台板部1aの一方の面(図11において右側)には板状渦巻歯1bが形成されていると同時に、外周部には2個1対のオルダム案内溝がほぼ一直線上に形成され、このオルダム案内溝にはオルダムリング9の2個1対の固定側爪9cが往復摺動自在に係合されている。さらに外周部には、コンプライアントフレーム3の上嵌合円筒面と係合する嵌合円筒面が形成されており、また固定スクロール1の上面方向(図11において左側)からは吸入管10aが、密閉容器10を貫通して圧入されている。
2は揺動スクロールであり、台板部の一方の面(図11において左側)には固定スクロール1の板状渦巻歯1bと実質的に同一形状の板状渦巻歯2bが形成されており、また台板部の板状渦巻歯2bと反対側の面(図1において下側)の中心部には中空円筒形状のボス部2fが形成されており、そのボス部2fの内側面には揺動軸受2cが形成されスライダー5と回転自在に係合されている。また、ボス部2fと同じ側の面の外周部には、コンプライアントフレーム3のスラスト軸受3aと圧接摺動可能なスラスト面が形成されている。また、揺動スクロール2の台板部の外周部には、前記固定スクロールのオルダム案内溝とほぼ90度の位相差を持つ2個1対のオルダム案内溝がほぼ一直線上に形成されており、このオルダム案内溝にはオルダムリング9の2個1対の揺動側爪9aが往復摺動自在に係合されている。なお、固定スクロール1の板状渦巻歯1bおよび揺動スクロール2の板状渦巻歯2bの歯先部には、それぞれ渦巻状の溝が形成されており、その溝にはそれぞれチップシール19が挿入されている。
コンプライアントフレーム3の中心部には、電動機によって回転駆動される主軸4を半径方向に支持する主軸受3cおよび補助主軸受3hが形成されている。また、コンプライアントフレーム3の寸止め面3fと固定スクロール1の寸止め面1dとの間には、寸止めプレート18が挿入されている。
ガイドフレーム15の外周面は焼きばめもしくは溶接などによって密閉容器10に固着されているものの、固定スクロール1の吐出ポート1fから吐出される高圧の冷媒ガスをガイドフレーム15より電動機側(図11において右側)に設けられた吐出管10bに導く流路が密閉容器10の上半分に確保されていると同時に、密閉空間10の下半分には冷凍機油10eの往来を可能とする流路が確保されている。またガイドフレーム15の内側面の電動機側(図11において右側)には、下嵌合円筒面が形成されており、コンプライアントフレーム3の外周面に形成された下嵌合円筒面と係合されている。またガイドフレーム15の内側面には、シール材を収納するシール溝が2ヶ所に形成されており、それらのシール溝に上シール材16aおよび下シール材16bが嵌着されている。そしてこれら2つのシール材とガイドフレーム15の内側面とコンプライアントフレーム3の外側面とによって形成された空間、すなわちフレーム空間15fは、コンプライアントフレーム3に形成された均圧孔3iを介してボス部外側空間2hと連通している。なお、上シール材16aおよび下シール材16bは必ずしも必要ではなく、係合箇所の微小隙間でシールが可能で有れば省略できる部品である。また、上下を揺動スクロールの台板部とコンプライアントフレーム3で囲われたスラスト軸受3aの外周側の空間、すなわち台板外周部空間2iは、板状渦巻歯の巻終わり近傍である吸入空間1gと連通しているので、吸入ガス雰囲気となっている。
主軸4の揺動スクロール側(図11において左側)端部には、主軸の軸線方向と実質的に平行な平面部を有するピン部4aが形成されており、このピン部4aの平面部とスライダー5の内側面に形成された平面部とが往復摺動可能に係合されている。そして、その下側には主軸バランサ4eが焼きばめられており、さらにその下側にはコンプライアントフレーム3の主軸受3cおよび補助主軸受3hと回転自在に係合する主軸部が形成されている。また主軸の他端部には、サブフレーム6の副軸受6aおよび補助副軸受6bと回転自在に係合する副軸部が形成されており、この副軸部と前述した主軸部との間に電動機回転子8が焼きばめられている。また、この電動機回転子8の左端面には上バランサ8aが、右端面には下バランサ8bが締結されており、前述した主軸バランサ4eとの3個のバランサによって静バランスおよび動バランスがとられている。
サブフレーム6には、サブフレームカバー6iが取り付けられており、主軸4の下端面との間に副軸受空間6cを形成している。また、密閉容器10の側面にはガラス端子10fが取り付けれており、電動機固定子7からのリード線が接合されている。
【0045】
次に、この実施の形態2のスクロール圧縮機の基本動作について説明する。定常運転時は、コンプライアントフレーム3にはボス部外側空間2hの中間圧に起因する力およびスラスト軸受3aを介しての揺動スクロール2からの押付け力の合計が下向きの力として作用するものの、フレーム空間15fの中間圧に起因する力および下端面の高圧雰囲気に露出している部分に作用する高圧に起因する力の合計が上向きの力として作用し、そしてこの上向きの力は前述した下向きの力より大きくなるように設定されている。このためコンプライアントフレーム3は、上嵌合円筒面を固定スクロール1の嵌合円筒面に、下嵌合円筒面をガイドフレーム15の下嵌合円筒面に案内され、固定スクロール側(図11でおいて左方向)に浮き上がり、その結果コンプライアントフレーム3の寸止め面3fは、寸止めプレート18を介して固定スクロール1の寸止め面1dに圧接している。他方、スラスト軸受3aを介してコンプライアントフレーム3に押し付けられている揺動スクロール2はコンプライアントフレーム3に押されて左方向に浮き上がるものの、揺動スクロール2の歯先と歯底は固定スクロール1のそれぞれ歯底と歯先と所定の隙間を有した状態で運転される。なお、運転条件によっては、具体的には高圧縮比運転などの吐出ガス温度が高くなる条件では、両板状渦巻歯の熱膨張が特にその中心近傍で大きくなり、両板状渦巻歯の歯先と歯底が圧接してしまうことが起こりうる。しかしその際には、揺動スクロールは2はコンプライアントフレーム3と共に微小にリリーフするので、焼付等の信頼性のトラブルを引き起こすことはない。また、本実施の形態では、寸止めプレート18を挿入して歯先歯底の隙間を高精度に管理する方式で説明したが、各部品の軸方向寸法を高精度に管理するもしくは高精度に嵌合することでこの寸止めプレートを廃止することは可能である。さらに、本実施の形態に於いても、発明の実施の形態1で説明したように、フレームコンプライアントの付勢力の発生源として、バネ等の弾性力や、それらと高圧、中間圧による付勢力を併用することも可能である。
ところで、既に説明した発明の実施の形態1ではボス部空間2gが高圧であるのに対して、本実施の形態ではボス部空間2gを中間圧とするものであるが、この中間圧に起因する力とボス部外側空間2hの中間圧に起因する力によって、スラスト軸受負荷Fthが大幅に軽減されるメカニズムは発明の実施の形態1と基本的には同じである。また、本実施の形態では、ボス部空間2gとボス部外側空間2hとを同一圧力としたので、スライダーを採用しても給油経路が揺動軸受面をバイパスしてしまうことがなく揺動軸受を潤滑することが可能となった。このため、固定スクロール1の板状渦巻歯1bと揺動スクロール2の板状渦巻歯2bとの半径方向隙間が常時極小化されており、洩れに起因する損失の少ない高効率なフレームコンプライアント方式スクロール圧縮機が実現されている。
また起動時や液圧縮時などには、揺動スクロール2に作用するスラスト方向ガス負荷Fgthが大きくり、揺動スクロール2はスラスト軸受3aを介してコンプライアントフレーム3を反固定スクロール側(図11において右方向)に強く押し下げるので、揺動スクロール2の歯先や歯底と固定スクロール1の歯底や歯先との間の隙間が比較的大きくなり、圧縮室内の異常な圧力上昇が回避されるのは実施の形態1と同じである。
さて、コンプライアントフレーム3はスラスト軸受3aを介して揺動スクロール2の転覆モーメントの一部または全部を受けるものの、主軸受3cから受ける軸受負荷と、その反作用である2つの力の合力、すなわち上嵌合円筒面を介して固定スクロール1から受ける反力と下嵌合円筒面を介してガイドフレーム15から受ける反力との合力、とによって生ずる偶力が前記転覆モーメントを打ち消すように作用するので、非常に良好な定常運転時追随動作安定性およびリリーフ動作安定性を有することも実施の形態1と同じである。
【0046】
図12は、発明に実施の形態2の、固定スクロールとコンプライアントフレームの寸止めの説明図である。図に於いて、固定スクロール1の寸止め面1dを基準とした歯底との距離をhf1、歯先との距離をhf2とし、揺動スクロール2のスラスト面2dを基準とした歯先との距離をho1、歯底との距離をho2とし、寸止めプレート18の厚さをhsとし、コンプライアントフレーム3のスラスト軸受3aの上端面と寸止め面3fとの距離をhcとすると、コンプライアントフレーム3が寸止めプレート18を挟んで固定スクロール1と圧接しているときには、固定スクロール1の歯底と揺動スクロール2の歯先とのクリアランスδ1および固定スクロール1の歯先と揺動スクロール2の歯底とのクリアランスは、それぞれ
δ1=hc+hs+hf1−ho1>0
δ2=hc+hs+hf2−ho2>0
に設定されている。そしてδ1およびδ2は、数μmから数十μmの小さな値に管理されている。このため、圧縮機の運転中に、揺動運動している揺動スクロール2と静止している固定スクロール1はスラスト方向で接触していないので、両者の接触摺動に起因する損失は発生しない。このことに加えて、上記のように歯先歯底の隙間は小さく管理されており、加えてその隙間にチップシール19がシール材として装着されているので、歯先歯底隙間からの圧縮冷媒の洩れもほとんど発生しない。以上の理由で、機械損失が小さくかつ洩れ損失の小さい高効率なフレームコンプライアント方式スクロール圧縮機が実現されている。他方寸止めプレート18は、スラスト軸受3aより比較的安価であるので、歯先と歯底の軸方向クリアランスの調整部材として従来のようにスラスト軸受3aを採用するより低コストを実現していることに加えて、その表面硬度が高い故にコンプライアントフレーム3の極めて微小な圧接摺動に起因するフレッティング摩耗の危険性も減じている。
【0047】
では次に、図11および図13および図14によって発明の実施の形態2の給油経路の説明を行う。なお、図13は副軸受周りの給油説明図、図14は主軸受周りの給油説明図である。
本実施の形態で示す高圧シェル方式横置きフレームコンプライアント方式のスクロール圧縮機は、ラジアル軸受部の給油に際して大別して2つの並列した給油経路を有する。1つは副軸受を給油した後に揺動軸受すなわちスライダーを給油する経路、もう1つは主軸受を給油する経路であり、両者は最後には合流する。ではまずは前者の説明から始める。図11と図13に於いて、密閉容器10の底部に溜まった冷凍機油10eは、サブフレーム6に設けられその一端が密閉容器10の底部に開口する給油穴6gに微差圧で吸い込まれ、サブフレーム6の2つの軸受すなわち副軸受6aと補助副軸受6bとの間の空間である副軸潤滑入口空間6hに導かれる。その油の大部分は、副軸受6aの軸受クリアランスで絞られて減圧しながら図11に於いて右方向に流れ、中間圧となって副軸受空間6cに到る。他方、副軸潤滑入口空間6hに導かれた残りの潤滑油は、図13に部分断面斜視図で示すように副軸上半分斜縦溝4qに導かれて補助副軸受6bを潤滑する。なお、この副軸上半分斜縦溝4qは、その右端が副軸潤滑入口空間6hに連通すると共にその左端は補助副軸受6bの途中で止まりになっているので、大量の冷凍機油が補助副軸受6bの左端から漏れ出ることはない。また副軸上半分斜縦溝4lは、入口から袋小路に向かって(図11および図13に於いて右から左に向かって)反回転方向にねじられているので、ネジポンプ効果により副軸潤滑入口空間6hの冷凍機油は袋小路に向かって(図11および図13に於いて左方向に)圧送される。
さて、中間圧に減圧されて副軸受空間6cに到った冷凍機油およびそこから発泡した中間圧冷媒ガスは、主軸に上下貫通し、かつ偏芯して(必ずしも偏芯している必要はない)設けられた中間圧油給油穴4hを図11に於いて右から左に流れる。その途中で、中間圧油給油穴4hの反偏芯方向とボス部外側空間2hとを連通させる中間圧ガス抜き穴4mから、慣性力が相対的に小さい中間圧冷媒ガスが選択的にボス部外側空間2hに抜かれる。ガスが抜けて油リッチとなった後、中間圧冷凍機油はボス部空間2gに到る。
ボス部空間2gに到った中間圧油は、その一部はスライダー5の下端面(図11において右端面)からボス部外側空間に漏れ出るものの、大部分はスライダー5の外周面に設けられた縦溝を経由してボス部外側空間2hに流れる。
引き続いて、もう1つの給油経路である主軸受の給油経路についての説明に移る。図11と図14に於いて、密閉容器10の底部に溜まった冷凍機油10eは、ガイドフレーム15に設けられその一端が密閉容器10の底部に開口する給油穴15iに微差圧で吸い込まれ、コンプライアントフレーム3とガイドフレーム15との間の第2フレーム空間15jに導かれる。この第2フレーム空間は、図14において左側は下シール材16bによって中間圧であるフレーム空間15fと仕切られており、右側はコンプライアントフレーム3の下嵌合円筒面3eとガイドフレーム15の下嵌合円筒面15bとの嵌合箇所で仕切られている。なお、上記のコンプライアントフレームとガイドフレームとの嵌合箇所のシール性がクリアランスが大きすぎる等の理由で悪く、給油穴15iでの微差圧による冷凍機油の引き上げが阻害される場合には、第2フレーム空間15jの図14における右側にも何らかのシール材を挿入しても良い。
次に第2フレーム空間15jの潤滑油は、コンプライアントフレーム3に設けられた給油穴3rを通って主軸潤滑入口空間3kに入る。その油の大部分は、主軸受3cの軸受クリアランスで絞られて減圧しながら図11もしくは図14に於いて左側に進み、主軸受3cの上端面でボス部外側空間2hと同一の中間圧となる。他方、主軸潤滑入口空間3kに導かれた残りの潤滑油は、図24に部分断面斜視図で示すように主軸4の主軸下半分斜縦溝4lに導かれて補助主軸受3hを潤滑する。なお、この主軸下半分斜縦溝4lは、その上端が主軸潤滑入口空間3kに連通すると共にその下端は補助主軸受3hの途中で止まりになっているので、大量の冷凍機油が補助主軸受3hの右端から漏れ出ることはない。また主軸下半分斜縦溝4lは、入口から袋小路に向かって(図11および図14に於いて左から右に向かって)反回転方向にねじられているので、ネジポンプ効果により主軸潤滑入口空間3kの冷凍機油は袋小路に向かって(図11および図14に於いて右方向に)圧送される。
さて、副軸受6aで中間圧に減圧された後にスライダーを潤滑した冷凍機油および揺動軸受2cで中間圧に減圧された冷凍機油、ならびに高圧状態でそれら冷凍機油に溶解していたものの減圧によって冷凍機油から発泡気化してきた冷媒ガスは、ボス部外側空間2hで合流し、コンプライアントフレーム3の均圧孔3iを経由してコンプライアントフレーム3とガイドフレーム15で囲われたフレーム空間15fに流れる。その後の流れは、本発明の実施の形態1と同様なので説明を割愛する。
【0048】
実施の形態3.
以上が横置きの場合の給油経路の説明であるが、次にこの実施の形態2を縦置きにした場合を説明する。縦置きの場合に問題となるのが、図14に於ける主軸潤滑入口空間3kへの高圧潤滑油の供給である。そこで、以降は主軸潤滑入口空間3kへの給油に限定した説明を行う。横置きの場合には、密閉容器10の底部からガイドフレーム15とコンプライアントフレーム3を貫通しての給油穴を形成することは比較的容易であった。しかし縦置きの場合には、電動機の固定子7および回転子8が妨げとなり簡単には給油穴を形成することは困難である。もちろん、電動機固定子7に上下に貫通する穴を設け、その穴に銅パイプなどの給油パイプを挿入することは可能ではあるが、組立性などに課題を残すことになる。
図15に示すのは、比較的簡単な構造で主軸への高圧油給油を実現する一例である、実施の形態3の説明模式図である。密閉容器10の底部に溜まっている冷凍機油10eは、微差圧によってオイルパイプ6fおよび給油穴6gを経て副軸潤滑入口空間6hに導かれる。その後副軸受6aで絞られて中間圧となり副軸受空間6cへ流れる経路は既に説明した横置きと基本的に同じなので割愛する。さて、この例の場合、主軸には中間圧雰囲気の上下に貫通した中間圧油給油穴4hに加えて、下端面からの止まり穴をその下端面入口に栓4nをすることで密封した高圧油給油穴4gも形成されている。そしてこの高圧油給油穴は、副軸部では副軸上半分斜縦溝4qの上端近傍と偏芯方向が一致することにより連通していると共に、主軸部では主軸横穴4kを介して主軸潤滑入口空間3kと連通している。この結果、副軸潤滑入口空間6hの油の一部はネジポンプ作用で副軸上半分斜縦溝4qを上昇し、その上端近傍の高圧油給油穴4gと位相が一致した連通箇所から高圧油給油穴4gに流入し、そしてこの高圧油給油穴4gを上昇した後に、主軸横穴4kを通って主軸潤滑入口空間3kに導かれる。副軸部4dの副軸上半分斜縦溝まわりの説明斜視図を図16に示す。
なお、この実施の形態3では、副軸上半分斜縦溝4qを文字通り斜め溝で描いたが、真直溝であってもポンプ作用は得られるので問題ない。
【0049】
実施の形態4.
また、この実施の形態3では、主軸4の上下端を貫通する縦穴と上下端が密閉された中空縦穴とを同時に構成する手段として、2つの縦穴を平行して設ける構造で説明したが、図17に実施の形態4として示すように、1つの縦穴に軸内セパレータ4pを圧入する構造も考え、この方法の方が一般的には生産性に勝る。
【0050】
実施の形態5.
さて、次に固定クランク方式のスクロール圧縮機の固定スクロールの組み付けに関する発明について説明する。従来の固定クランク方式のスクロール圧縮機では、従来の技術として図19を用いて説明した可変クランク方式と同様に、フレーム14と揺動スクロール2とがオルダムリング9で連結されていた。そのため、固定スクロール1を回転組み立て、すなわち主軸4を適切な量だけ偏芯方向もしくは反偏芯方向に安定して振れ周り回転させながら固定スクロール1を調芯しボルトなどで組み付けようとしたとき、揺動スクロール2はオルダムリング9によってフレーム14に対して位相が管理されているものの固定スクロールはそのフレーム14に対しての位相管理手段が無いので、固定スクロールは無秩序に位置をとることができてしまった。それ故、回転組立を実現するためには複雑なジグや組立装置によって固定スクロールの位相をフレームに対して一定にかつ高精度に保持する必要があった。そのためもあってか、従来の固定クランク方式のスクロール圧縮機では、固定スクロール1をリーマピンなどによってフレーム14に位置決めするという手法が採用されることが多かった。
これに対して、本実施の形態では図18に例示するような組立方法により、固定スクロール1と揺動スクロール2とを高精度に、すなわち両渦巻の中心の位置ズレが小さくかつ両渦巻の回転ズレが小さく、回転組立することが可能となる。図18において、主軸4の下方には揺動スクロール2の偏芯方向または反偏芯方向に回転組立用ウエイト22が取り付けられており、また揺動スクロール2やオルダムリング9や固定スクロール1はフレーム14や主軸4にセッティングされているものの固定スクロール1をフレーム14に固定するボルトは完全には締結されていない。固定スクロール1の台板部1aには、固定スクロール1を拘束することなく固定スクロール1に対して図で下方向に差圧力を作用させるための高圧エアー21bを導く回転組立用固定スクロール押付け装置21が、シール材21aを介して設置されている。
以上のように構成した状態で、主軸4を適切な方向に適切な量だけ安定して振れ回すことにより揺動スクロール2を実運転より僅かに大きな揺動半径で揺動運動させると、固定スクロール1は微小半径で揺動運動する。そして、この固定スクロール1の微小揺動運動の運動中心は、揺動スクロール2の揺動運動の運動中心と理論上は一致する。次にこの状態で回転組立用固定スクロール押付け装置21の高圧エアー21bを徐々に大きくすると、固定スクロール1の微小揺動半径は徐々に小さくなりやがて固定スクロール1の渦巻中心は揺動スクロール2の揺動運動中心と一致して静止する。すなわち理想的な回転組立が実現される。なお、固定スクロール1が揺動運動するのは、揺動スクロール2と固定スクロール1とが直接オルダムリング9で連結されている、すなわち位相決めされているからである。
なお、以上の手段により、従来は必要であった揺動スクロール2の板状渦巻歯2bの中心と揺動軸受2dの中心との同心度もさほど要求されなくなる。というのは、たとえ同心度が悪くても回転組立時に調整されるからである。
【0051】
【発明の効果】
本発明の請求項1に関するスクロール圧縮機は、密閉容器内に設けられ、それぞれの板状渦巻歯が相互間に圧縮室を形成するように互いに噛み合わされた固定スクロールおよび揺動スクロールと、前記揺動スクロールを軸方向に支持すると共に、前記揺動スクロールを駆動する主軸を半径方向に支持し、軸方向に変位可能なコンプライアントフレームと、前記コンプライアントフレームを半径方向に支持し、前記密閉容器に固定されたガイドフレームと、前記揺動スクロールの前記板状渦巻歯と反対側の面の中心部に設けられた中空円筒形状のボス部と、このボス部とボス部の内側に回転自在に係合する前記主軸の端部とで形成されるボス部空間と、前記揺動スクロールの前記板状渦巻歯と反対側の面の外周部に形成されたスラスト面と、前記コンプライアントフレームに形成され、前記揺動スクロールの前記スラスト面と圧接摺動可能なスラスト軸受と、前記スラスト軸受の内側でつ前記ボス部の外側でつ前記コンプライアントフレームと前記揺動スクロールとの間の空間であるボス部外側空間と、前記コンプライアントフレームと前記ガイドフレームとの間に形成されたフレーム空間と、前記ボス部外側空間の外側でつ前記スラスト軸受の外周側に形成された台板外周部空間と、を備え、前記密閉容器内を吐出ガス圧力雰囲気とし、前記ボス部空間には前記主軸に軸方向に貫通して設けられた給油穴を経由して吐出ガス圧力を導入するとともに、前記ボス部外側空間を吸入ガス圧力よりも高く吐出ガス圧力よりも低い中間圧力とし、前記フレーム空間を吸入ガス圧力よりも高く吐出ガス圧力よりも低い中間圧力とし、前記台板外周部空間を前記板状渦巻歯の巻終わり近傍の吸入空間と連通させ吸入ガス圧力とし前記コンプライアントフレームには前記フレーム空間の中間圧力に起因する力と下端面に作用する吐出ガス圧力に起因する力が前記固定スクロール側に向く力として作用し、かつ前記揺動スクロールには前記ボス部空間の吐出ガス圧力に起因する力と前記ボス部外側空間の中間圧力に起因する力が前記固定スクロール側に向く力として作用するので、中間圧力の値と、中間圧力と吐出ガス圧力が前記揺動スクロールに作用する面積と、中間圧力と吐出ガス圧力が前記コンプライアントフレームに作用する面積と、により、前記揺動スクロールの前記スラスト面と前記コンプライアントフレームの前記スラスト軸受との圧接力であるスラスト軸受負荷を、一般的な運転条件において、ゼロより大きく、前記揺動スクロールに作用する圧縮負荷のスラスト方向成分であるスラストガス負荷より小さくしたので、揺動スクロールのスラスト軸受負荷Fthを軽減でき、スラスト軸受での摺動機械損失が低減できると共にスラスト軸受の焼付が回避できるので、高効率で信頼性の高い圧縮機が得られる。また、さらにスラスト軸受負荷と歯先歯底押付力を極小化することができ、高効率で信頼性の高い圧縮機が得られる。
【0052】
また、本発明の請求項2に関するスクロール圧縮機は、前記揺動スクロールの前記板状渦巻歯の歯先もしくは歯底が前記固定スクロールの前記板状渦巻歯の歯底もしくは歯先と圧接摺動することにより発生する前記歯先と前記歯底との圧接力である歯先歯底押付力が、一般的な運転条件において、ゼロより大きく前記スラスト軸受負荷より小さくなるようにしたので、スラスト軸受負荷と歯先歯底押付力を極小化することができ、高効率で信頼性の高い圧縮機が得られる。
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
また、本発明の請求項3に関するスクロール圧縮機は、前記コンプライアントフレームの外周面と、前記ガイドフレームの内周面と、の間にシール材を勘着して前記フレーム空間をシールするようにしたので、スラスト軸受負荷と歯先歯底押付力極小化することができ、高効率で信頼性の高い圧縮機が得られる。
【0057】
また、本発明の請求項4に関するスクロール圧縮機は、前記コンプライアントフレームと前記ガイドフレームとの間にフレーム空間を形成し、前記ボス部外側空間と前記フレーム空間とを連通させ、両空間を等しい中間圧力としたので、揺動スクロールのスラスト軸受負荷Fthを軽減でき、スラスト軸受での摺動機械損失が低減できると共にスラスト軸受の焼付が回避できるので、高効率で信頼性の高い圧縮機が得られる。
【0058】
また、本発明の請求項5に関するスクロール圧縮機は、前記フレーム空間と前記台板外周部空間との差圧が所定値以上になると前記フレーム空間と前記台板外周部空間とを連通させる中間圧制御機構を前記フレーム空間と前記台板外周部空間との間に設けたので、揺動スクロールのスラスト軸受負荷Fthを軽減でき、スラスト軸受での摺動機械損失が低減できると共にスラスト軸受の焼付が回避できるので、高効率で信頼性の高い圧縮機が得られる。
【0059】
また、本発明の請求項6に関するスクロール圧縮機は、前記密閉容器の底部の潤滑油を、前記主軸に設けられた給油穴を経由して前記ボス部空間に導き、その後前記ボス部外側空間、前記フレーム空間を経て、前記台板外周部空間へ導く給油経路を備えたので、揺動スクロールのスラスト軸受負荷Fthを軽減でき、スラスト軸受での摺動機械損失が低減できると共にスラスト軸受の焼付が回避できるので、高効率で信頼性の高い圧縮機が得られる。
【0060】
また、本発明の請求項7に関するスクロール圧縮機は、前記揺動スクロールの自転を拘束するオルダムリングを備え、前記オルダムリングの2個1対の爪を揺動スクロールに係合すると共に、前記オルダムリングのもう一方の2個1対の爪を前記固定スクロールに係合したので、固定スクロール板状渦巻歯と揺動スクロール板状渦巻歯の回転方向組立誤差は大幅に軽減でき、両板状渦巻歯の半径方向隙間をより高精度の管理することが可能となり、高効率で低騒音な圧縮機が得られる。
【0061】
【0062】
また、本発明の請求項8に関するスクロール圧縮機は、前記オルダムリングの2個1対の爪を案内するオルダム案内溝を前記固定スクロール及び前記揺動スクロールに設け、前記固定スクロールの2個1対のオルダム案内溝のうち、1個の案内溝を前記固定スクロールの板状渦巻歯の巻終わり位置から巻終わり方向に0度から30度進んだ範囲内に配置し、前記固定スクロールの2個1対のオルダム案内溝のうち、もう1個のオルダム案内溝を前記他方のオルダム案内溝位置より前記板状渦巻歯の巻始め方向に150度から180度戻った範囲内に配置したので、固定スクロールのオルダム案内溝およびその捨て加工部分が圧縮機の外径を大きくすることなくオルダムリングを固定スクロールと直接連結でき、密閉容器の外周が大きくなりコンパクト性が損なわれコストアップを招くことなく、両板状渦巻歯の半径方向隙間をより高精度の管理することが可能となり、高効率で低騒音な圧縮機が得られる。
【0063】
また、本発明の請求項9に関するスクロール圧縮機は、前記コンプライアントフレームは前記主軸を半径方向に支持する主軸受および補助主軸受と、前記主軸受と前記補助主軸受との軸方向間に設けられた空間と、前記主軸の外周面に上端が該空間に連通し、下端が前記補助主軸受の途中で止まりになるように設けられ、前記上端から前記下端側に向かって主軸の反回転方向にねじられた給油溝と、を備え、前記主軸に軸方向に設けられた給油穴を通って、前記空間に潤滑油を供給することによって、前記給油溝により前記補助主軸受に潤滑油を圧送するようにしたので、高効率で信頼性の高い圧縮機が得られる。
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【図面の簡単な説明】
【図1】 発明の実施の形態1の縦断面図
【図2】 発明の実施の形態1の加工性や組立性の説明図
【図3】 発明の実施の形態1のオルダムリングによる連結の斜視図
【図4】 発明の実施の形態1の固定スクロールのオルダム案内溝位置の説明図
【図5】 発明の実施の形態1のボス部空間の高圧化によるスラスト軸受負荷軽減のメス型ボスの場合の説明図
【図6】 発明の実施の形態1のボス部空間の高圧化によるスラスト軸受負荷軽減のオス型ボスの場合の説明図
【図7】 発明の実施の形態1のボス部外側空間の中間圧化によるスラスト軸受負荷軽減の説明図
【図8】 発明の実施の形態1の主軸受の給油説明図
【図9】 発明の実施の形態1の中間圧調整弁の説明図
【図10】 発明の実施の形態1の各種スラスト力低減の説明図
【図11】 発明の実施の形態2の縦断面図
【図12】 発明の実施の形態2の寸止めの説明図
【図13】 発明の実施の形態2の副軸受の給油説明図
【図14】 発明の実施の形態2の主軸受の給油説明図
【図15】 発明の実施の形態3の給油経路の説明図
【図16】 発明の実施の形態3の副軸部まわり説明斜視図
【図17】 発明の実施の形態4の主軸の構造説明図
【図18】 発明の実施の形態5の組立方法の説明図
【図19】 従来のスクロール圧縮機の部分縦断面図
【図20】 従来のスクロール圧縮機の加工性や組立性の説明図
【符号の説明】
1 固定スクロール、1a 台板部、1b 板状渦巻歯、1c オルダム案内溝、1d 寸止め面、1e 嵌合円筒面、1f 吐出ポート、1g 吸入空間、1h オルダム案内溝側壁、1i リーマ穴、1j ボルト、2 揺動スクロール、2a 台板部、2b 板状渦巻歯、2c 揺動軸受、2d スラスト面、2e オルダム案内溝、2f ボス部、2g ボス部空間、2h ボス部外側空間、2i 台板外周部空間、3 コンプライアントフレーム、3a スラスト軸受、3b オルダム案内溝、3c 主軸受、3d 上嵌合円筒面、3e 下嵌合円筒面、3f 寸止め面、3g リーマ穴、3h 補助主軸受、3i 均圧孔、3j 調整弁前流路、3k 主軸潤滑入口空間、3l 中間圧調整弁、3m 中間圧調整スプリング、3n 調整弁後流路、3p 調整弁収納空間、3q リリーフ当り面、3r 給油穴、4 主軸、4a ピン部、4b 揺動軸部、4c 主軸部、4d 副軸部、4e 主軸バランサ、4f オイルパイプ、4g 高圧油給油穴、4h 中間圧油給油穴、4i 副軸横穴、4j 副軸縦溝、4k 主軸横穴、4l 主軸下半分斜縦溝、4m 中間圧ガス抜き穴、4n 栓、4p 軸内セパレータ、4q 副軸上半分斜縦溝、5 スライダー、6 サブフレーム、6a 副軸受、6b 補助副軸受、6c 副軸受空間、6d 副軸潤滑出口空間、6e 排油穴、6f オイルパイプ、6g 給油穴、6h 副軸潤滑入口空間、7 電動機固定子、8 電動機回転子、8a 上バランサ、8b 下バランサ、9 オルダムリング、9a 揺動側爪、9b フレーム側爪、9c 固定側爪、10 密閉容器、10a 吸入管、10b 吐出管、10c 吸入ガス雰囲気、10d 吐出ガス雰囲気、10e 冷凍機油、10f ガラス端子、14 フレーム、15 ガイドフレーム、15a 上嵌合円筒面、15b 下嵌合円筒面、15c 高圧空間、15d 高圧導入孔、15e キー溝、15f フレーム空間、15g 外周面、15h リリーフ当り面、15i 給油穴、15j 第2フレーム空間、16a 上シール材、16b 下シール材、17 リーマピン、18 寸止めプレート、19 チップシール、20 回転組立台、21 回転組立用固定スクロール押付け装置、21a シール材、21b 高圧エアー、22 回転組立用ウエイト。

Claims (9)

  1. 密閉容器内に設けられ、それぞれの板状渦巻歯が相互間に圧縮室を形成するように互いに噛み合わされた固定スクロールおよび揺動スクロールと、前記揺動スクロールを軸方向に支持すると共に、前記揺動スクロールを駆動する主軸を半径方向に支持し、軸方向に変位可能なコンプライアントフレームと、前記コンプライアントフレームを半径方向に支持し、前記密閉容器に固定されたガイドフレームと、前記揺動スクロールの前記板状渦巻歯と反対側の面の中心部に設けられた中空円筒形状のボス部と、このボス部とボス部の内側に回転自在に係合する前記主軸の端部とで形成されるボス部空間と、前記揺動スクロールの前記板状渦巻歯と反対側の面の外周部に形成されたスラスト面と、前記コンプライアントフレームに形成され、前記揺動スクロールの前記スラスト面と圧接摺動可能なスラスト軸受と、前記スラスト軸受の内側でつ前記ボス部の外側でつ前記コンプライアントフレームと前記揺動スクロールとの間の空間であるボス部外側空間と、前記コンプライアントフレームと前記ガイドフレームとの間に形成されたフレーム空間と、前記ボス部外側空間の外側でつ前記スラスト軸受の外周側に形成された台板外周部空間と、を備え、前記密閉容器内を吐出ガス圧力雰囲気とし、前記ボス部空間には前記主軸に軸方向に貫通して設けられた給油穴を経由して吐出ガス圧力を導入するとともに、前記ボス部外側空間を吸入ガス圧力よりも高く吐出ガス圧力よりも低い中間圧力とし、前記フレーム空間を吸入ガス圧力よりも高く吐出ガス圧力よりも低い中間圧力とし、前記台板外周部空間を前記板状渦巻歯の巻終わり近傍の吸入空間と連通させ吸入ガス圧力とし前記コンプライアントフレームには前記フレーム空間の中間圧力に起因する力と下端面に作用する吐出ガス圧力に起因する力が前記固定スクロール側に向く力として作用し、かつ前記揺動スクロールには前記ボス部空間の吐出ガス圧力に起因する力と前記ボス部外側空間の中間圧力に起因する力が前記固定スクロール側に向く力として作用するので、中間圧力の値と、中間圧力と吐出ガス圧力が前記揺動スクロールに作用する面積と、中間圧力と吐出ガス圧力が前記コンプライアントフレームに作用する面積と、により、前記揺動スクロールの前記スラスト面と前記コンプライアントフレームの前記スラスト軸受との圧接力であるスラスト軸受負荷を、一般的な運転条件において、ゼロより大きく、前記揺動スクロールに作用する圧縮負荷のスラスト方向成分であるスラストガス負荷より小さくしたことを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 前記揺動スクロールの前記板状渦巻歯の歯先もしくは歯底が前記固定スクロールの前記板状渦巻歯の歯底もしくは歯先と圧接摺動することにより発生する前記歯先と前記歯底との圧接力である歯先歯底押付力が、一般的な運転条件において、ゼロより大きく前記スラスト軸受負荷より小さくなるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 前記コンプライアントフレームの外周面と、前記ガイドフレームの内周面と、の間にシール材を嵌着して前記フレーム空間をシールするようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスクロール圧縮機。
  4. 前記ボス部外側空間と前記フレーム空間とを連通させ、両空間を等しい中間圧力としたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のスクロール圧縮機。
  5. 前記フレーム空間と前記台板外周部空間との差圧が所定値以上になると前記フレーム空間と前記台板外周部空間とを連通させる中間圧制御機構を前記フレーム空間と前記台板外周部空間との間に設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のスクロール圧縮機。
  6. 前記密閉容器の底部の潤滑油を、前記主軸に設けられた給油穴を経由して前記ボス部空間に導き、その後前記ボス部外側空間、前記フレーム空間を経て、前記台板外周部空間へ導く給油経路を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のスクロール圧縮機。
  7. 前記揺動スクロールの自転を拘束するオルダムリングを備え、前記オルダムリングの2個1対の爪を揺動スクロールに係合すると共に、前記オルダムリングのもう一方の2個1対の爪を前記固定スクロールに係合したことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のスクロール圧縮機。
  8. 前記オルダムリングの2個1対の爪を案内するオルダム案内溝を前記固定スクロール及び前記揺動スクロールに設け、前記固定スクロールの2個1対のオルダム案内溝のうち、1個の案内溝を前記固定スクロールの板状渦巻歯の巻終わり位置から巻終わり方向に0度から30度進んだ範囲内に配置し、前記固定スクロールの2個1対のオルダム案内溝のうち、もう1個のオルダム案内溝を前記他方のオルダム案内溝位置より前記板状渦巻歯の巻始め方向に150度から180度戻った範囲内に配置したことを特徴とする請求項7に記載のスクロール圧縮機。
  9. 前記コンプライアントフレームは前記主軸を半径方向に支持する主軸受および補助主軸受と、前記主軸受と前記補助主軸受との軸方向間に設けられた空間と、前記主軸の外周面に上端が該空間に連通し、下端が前記補助主軸受の途中で止まりになるように設けられ、前記上端から前記下端側に向かって主軸の反回転方向にねじられた給油溝と、を備え、前記主軸に軸方向に設けられた給油穴を通って、前記空間に潤滑油を供給することによって、前記給油溝により前記補助主軸受に潤滑油を圧送するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のスクロール圧縮機。
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