JP3890143B2 - 静電荷像現像用磁性トナー、その製造方法、画像形成方法及びプロセスカートリッジ - Google Patents
静電荷像現像用磁性トナー、その製造方法、画像形成方法及びプロセスカートリッジ Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法のごとき画像形成方法における静電荷像を現像してトナー画像を形成するための磁性トナー、その製造方法、該磁性トナーを使用する画像形成方法及び該磁性トナーを有するプロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、複写機及びレーザービームプリンターのごとき電子写真技術を用いた画像形成装置の機能が多用化し、より一層の画像の高精細化、高画質化が求められている。
【0003】
それに伴い磁性トナー粒子は、粒子径が従来以上に細かいものを使用する傾向にある。しかし磁性トナー粒子の粒径を小径化した場合、画像の高精細化は達成されるが、特に低温・低湿環境下において、非画像部への磁性トナーの付着によるカブリ現象が発生しやすくなる。また、高温・高湿環境においては朝一番時における複写又はプリントにおいて画像濃度が薄くなり易い。さらに今日、環境問題に対する配慮よりオゾンを発生するコロナ帯電器を使用しないで、接触帯電部材で感光体を帯電させる方法が採用されるようになってきている。
【0004】
しかしこの場合、低温・低湿環境下において、クリーニング部材で良好にクリーニングされない磁性トナーの微細粒子が接触帯電部材に付着する(以下「帯電ローラ汚れ」と称す。)ことにより帯電が発生し、それにより不良画像が発生する場合がある。さらに高温・高湿環境下においては、上述の微細粒子が帯電部材で圧着されて静電荷像保持体である感光体ドラム表面に付着する現象(以下「ドラム融着」と称す。)が発生しやすくなる。
【0005】
この微細粒子は、流動性向上剤として使用されるシリカ微粉体又は/及び磁性トナー粒子の構成材料である磁性微粉体が主なものであることが確認されている。さらに上述したように、従来より更に小径化な磁性トナーの場合は、磁性微粉体が接触帯電部材及び感光体ドラムにより多く付着する傾向にある。
【0006】
結着樹脂と磁性微粉体の密着性を向上させるために、磁性微粉体の表面を有機物であらかじめ表面処理する方法が従来より知られているが、低温・低湿環境でのトナー担持体上に磁性トナー層のコート不良(ブロッチ現象)が発生し易くなる。また磁性微粉体の表面処理は、生産上のコストアップを生じる。
【0007】
上記問題を解決する手段として、磁性トナー粒子表面上に存在する磁性微粉体の存在状態を制御した新しいトナーの提案及び新しい製造方法の提案が待望されている。
【0008】
結着樹脂は、磁性微粉体、ワックス等の原材料全てを均一に混練物中に分散させることは難しい。例えば結着樹脂と磁性微粉体との濡れ性を考慮した混練条件と、結着樹脂とワックスとの分散性を考慮した混練条件とは一般的に相反する関係にある。
【0009】
特開平8−123083号公報において、送りスクリュー部とニーディング部とを有するスクリュー押出機を用いて溶融混練する際の温度条件を規定しているトナーの製造方法が提案されている。本公報の実施例において、体積平均粒径(d50)が7.15〜7.23μmの磁性トナーの製造方法が記載されているが、この製造方法であっても磁性トナーの平均粒径がより小さくなってくると、(例えば、5μm)磁性トナー粒子表面から磁性微粒子が遊離しやすく、遊離した磁性微粒子の数が増加する傾向が高くなる。さらに、この製造方法では、押出機の混練物の出口側の温度を低く設定しているが、これは発熱した混練物を押出機中で強制冷却する条件であり、一般的に温度制御が困難な場合が多く、負荷が大きく実生産上の工程管理が難しい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低温・低湿環境において、カブリの発生が少なく、帯電不良の発生し難い磁性トナー及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
さらに本発明の目的は、高温・高湿環境において、高画像濃度の画像を形成し得、感光ドラム表面のドラム融着の発生が抑制されている磁性トナー及びその製造方法を提供することにある。
【0012】
さらに、本発明の目的は、重量平均粒径が小さく、磁性トナー粒子から磁性微粒子が遊離することが少ない磁性トナー及びその製造方法を提供することにある。
【0013】
さらに、本発明の目的は、該磁性トナーを使用する画像形成方法を提供することにある。
【0014】
さらに、本発明の目的は、該磁性トナーを有するプロセスカートリッジを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、結着樹脂、磁性微粉体及び長鎖アルキルアルコールワックスを少なくとも含有している磁性トナー粒子を有する静電荷像現像用磁性トナーであり、
該磁性トナー粒子は、結着樹脂、磁性微粉体及び長鎖アルキルアルコールワックスを少なくとも含有する混合物を、混錬機により下記の混錬条件
2.2×10 3 ≦E/ε≦2.0×10 4
E=kω 2 T,ε=F/(πD 2 L)
(式中,ωはスクリュー回転速度(m/min)を示し、Tが設定温度(K)を示し、Fは混合物の供給量(kg/min)を示し、Dはシリンダー内径(m)を示し、Lはスクリュー有効長(m)を示し、πは円周率を示し、kは(D 0 /D) 2 を示し、D 0 は0.1mである。)
を満たすようにして、溶融混錬して製造されたものであり、
該磁性微粉体は、該磁性トナー粒子中に40〜60重量%含有されており、
該磁性トナー粒子は、重量平均粒径が3.5乃至6.5μmであり;エチルアルコールと水との混合液(体積比27:73)19mlに該磁性トナー粒子15mgを分散した分散液の波長600nmにおける吸光度が0.35乃至0.69であることを特徴とする静電荷像現像用磁性トナーに関する。
【0016】
さらに、本発明は、結着樹脂、磁性微粉体及び長鎖アルキルアルコールワックスを少なくとも含有している磁性トナー粒子を有する磁性トナーの製造方法であり、
結着樹脂、磁性微粉体及び長鎖アルキルアルコールワックスを少なくとも有する混合物を、混練機により下記条件
2.2×103≦E/ε≦2.0×104
E=kω2T
ε=F/(πD2L)
〔式中、ωはスクリュー回転速度(m/min)を示し、Tは設定温度(K)を示し、Fは混合物の供給量(kg/min)を示し、Dはシリンダー内径(m)を示し、Lはスクリュー有効長(m)を示し、πは円周率を示し、kは(D0/D)2を示し、D0は0.1mである。〕
で溶融混練し、混練物を冷却し、冷却物を粉砕し、粉砕物を分級して磁性トナー粒子を得る工程を有し、
該磁性トナー粒子が、該磁性微粉体を40〜60重量%含有しており、
該磁性トナー粒子は、重量平均粒径が3.5乃至6.5μmであり;エチルアルコールと水との混合液(体積比27:73)19mlに該磁性トナー粒子15mgを分散した分散液の波長600nmにおける吸光度が0.35乃至0.69であることを特徴とする磁性トナーの製造方法に関する。
【0017】
さらに、本発明は、バイアスが印加されている接触帯電手段によって静電荷像保持体を帯電し、帯電された静電荷像保持体に露光により静電荷像を形成し、磁性トナーを有する現像手段によって該静電荷像を現像して磁性トナー像を形成する画像形成方法であり、
該磁性トナーが、上記磁性トナーであることを特徴とする画像形成方法に関する。
【0018】
さらに、本発明は、静電荷像保持体、該静電荷像保持体を帯電するための接触帯電手段及び磁性トナーを保有する現像手段を有し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであり、
該磁性トナーが、上記磁性トナーであることを特徴とするプロセスカートリッジに関する。
【0019】
【発明の実施の形態】
接触帯電手段の1つである帯電ローラの汚れ及び静電荷像保持体の1つである感光ドラムの表面におけるトナーのドラム融着を発生し易い磁性トナーを構成する磁性トナー粒子と、同様の問題を発生し難い磁性トナー粒子との差を、画出し評価以外の方法で簡易に知る手段を検討したところ、エチルアルコールと水との混合液に磁性トナー粒子を分散した分散液を用いる方法でその差を知ることが可能であることを見いだした。分散液の吸光度が高いということは、磁性トナー粒子が非常に混合液に濡れ易い状態であることを示し、磁性トナー粒子の表面に磁性微粉体が多く存在していることを示している。この様な磁性トナー粒子は、その表面から磁性微粒子を遊離しやすい。実際この様な磁性トナー粒子から作製された磁性トナーを画出し評価した場合、帯電ローラ汚れ、感光ドラムの表面に融着という弊害が生じ易い。帯電ローラ表面の汚染物及び感光ドラム表面の融着物中に磁性微粒子が多く存在していることが確認された。磁性トナー粒子の表面に存在する磁性微粉体の量を明確かつ適切に示す測定方法であるといえる。
【0020】
本発明で使用する磁性トナー粒子は、重量平均粒径が3.5乃至6.5μmであり、エチルアルコールと水との混合液(エチルアルコールと水との体積比27:73)19mlに該磁性トナー粒子15mgを分散した分散液の波長600nmにおける吸光度が0.2乃至0.7である。
【0021】
磁性トナー粒子又は磁性トナーの重量平均粒径はコールターカウンター法により測定する。
【0022】
コールターカウンター法による磁性トナー粒子及び磁性トナーの平均粒径の測定装置としては、例えばコールターカウンターTA−II或いはコールターマルチサイザー(コールター社製)が用いられる。電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて、約1%NaCl水溶液を調製する。例えば、ISOTON−II(コールター社製)が使用できる。測定方法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を、0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、磁性トナー粒子又は磁性トナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。それから、磁性トナー粒子又は磁性トナーの重量基準の重量平均粒径(D4)を求める。
【0023】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
【0024】
上記測定法において、磁性トナー粒子に外添剤が外添されていても、磁性トナーの重量平均粒径は、磁性トナー粒子の重量平均粒径と実質的に同一の値を通常は示す。
【0025】
磁性トナー粒子の吸光度の測定は、以下の方法により行なう。
【0026】
i)分散液の作製
エチルアルコール(特級99.5%,キシダ化学製)と水との混合比が27:73の水溶液を作製する。この水溶液19mlを20mlのサンプルビン(iuchi製,名称ラボランパック)に入れ、磁性トナー粒子15mgを液面上に侵しビンのフタをする。その状態で20分間静置させる。時間経過と共に濡れ易い粒子は落下し始め溶液に分散する。20分経過後にサンプルビンを指でつかみサンプルビンの上下を5回・180°回転振とうさせ、分散液を均一化させて測定用分散液とする。
【0027】
ii)吸光度測定
i)で得た分散液を1cm角の石英セルに入れて分光光度計MPS2000(島津製作所社製)を用いて、分散液の波長600nmにおける吸光度を測定する。
【0028】
吸光度が0.7より大きい場合は、磁性トナー粒子の表面に磁性微粒子が多く存在し、遊離の磁性微粒子が発生しやすく、そのため帯電ローラ汚れ及びドラム融着が発生し易い。また、吸光度が0.2より小さい場合は、磁性トナー粒子の表面への磁性微粒子の露出が抑制され過ぎていることから、低温・低湿環境下で磁性トナー粒子のチャージアップによる画像濃度薄等の問題が発生し易い。吸光度は、好ましくは0.30〜0.69、より好ましくは0.35〜0.65が良い。
【0029】
磁性トナー粒子の重量平均粒径(D4 )は3.5乃至6.5μmであり、6.5μmより大きい粒径では高画質を達成することが困難であり、3.5μmより小さい粒径ではカブリの増大、濃度薄、生産性の低下が生じやすい。
【0030】
磁性トナー粒子中の磁性粉体の含有量は40〜60重量%であることが好ましい。従来以上に磁性トナー粒子の重量平均径が小さい磁性トナーは、磁性トナー粒子中の磁性微粉体量が40重量%より少ない場合は、カブリの増大を抑制することが困難であり、60重量%より多い場合は、画像濃度低下あるいは遊離の磁性微粒子が発生しやすく、遊離の磁性微粒子の増大による帯電ローラ汚れ、ドラム融着が発生しやすくなる。
【0031】
該磁性トナー粒子は画像解析装置で測定した形状係数SF−1の値が140<SF−1≦180であり、形状係数SF−2の値が130<SF−2≦170であることが好ましい。
【0032】
磁性トナー粒子の形状係数SF−1あるいはSF−2が130以下の場合は磁性トナー粒子表面が滑らかな状態となっており、磁性トナー粒子径を従来以上に微粒子化した場合、チャージアップ現象が生じ易くなり、低温・低湿環境において画像濃度薄あるいはブロッチ現象が生じ易くなる。磁性トナー粒子の形状係数SF−1が180より大きい場合は、磁性トナーの流動性の低下が生じ易くなり画像濃度低下が生じやすい。磁性トナー粒子の形状係数SF−2が170より大きい場合は、均一な帯電が得られにくくなり易く、カブリが生じ易くなる。
【0033】
本発明において、形状係数SF−1,SF−2とは、例えば日立製作所製FE−SEM(S−800)を用い、磁性トナー粒子を1000倍に拡大した粒径2μm以上のトナー粒子像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報はインターフェースを介して、例えばニコレ社製画像解析装置(Luzex III)に導入し解析を行ない、下式より算出し得られた値を形状係数SF−1,SF−2と定義する。
【0034】
【外1】
(式中、MXLNGは粒子の絶対最大長、PERIMEは粒子の周囲、AREAは粒子の投影面積を示す。)
【0035】
形状係数SF−1はトナー粒子の丸さの度合いを示し、形状係数SF−2はトナー粒子の凹凸の度合いを示している。
【0036】
磁性トナー粒子は、より好ましくは形状係数SF−1とSF−2の比(SF−1/SF−2)が1.01〜1.20であるのが良い。さらに好ましくは、磁性トナー粒子は、形状係数SF−1が145〜160であり、SF−2が135〜155であるのが良く、さらに、形状係数SF−1とSF−2との比(SF−1/SF−2)が1.05〜1.15であるのが良い。
【0037】
磁性トナー粒子に外添剤が外添されている磁性トナーのSF−1及びSF−2を測定しても、外添剤の粒径が非常に小さいか、又は、粒径の大きい外添剤の個数が少ないので磁性トナー粒子のSF−1及びSF−2と実質的に同じ値を一般に示す。
【0038】
本発明の磁性トナーにおいては、795.8kA/m(10kエルステッド)の磁界下における磁性微粉体の残留磁化〔σr (Am2 /kg)〕と保磁力〔HC (kA/m)〕の積(σr ×HC )が24〜56(kA2 m/kg)であることが好ましい。
【0039】
本発明の磁性トナーが好ましく用いられる現像方法として、トナー担持体内にマグネットが設置され、このマグネットで磁性トナーを保持し、トナー担持体上で摩擦帯電を行ない帯電した磁性トナーで静電荷像保持体の静電荷像を現像する方法が挙げられる。このような現像方法において、本発明の磁性トナーを構成する重量平均粒径3.5〜6.5μmの磁性トナー粒子を用いた場合、低温・低湿環境下における、カブリ、耐久時におけるベタ黒濃度薄の現象及び高温・高湿環境下においてドラム融着現象が生じ易くなる。これらの問題は、磁性微粉体の磁気力(σr ×HC )をコントロールすることで効果的に解決することが可能となる。低温・低湿環境においては、摩擦帯電量が高くなった磁性トナーの現像を抑制可能な様に磁性トナーに磁気力を与えてやることで、画像濃度を維持し、カブリの発生をより良好に防止することができる。
【0040】
さらに、トナー担持体表面に磁性トナーを適度に磁気的拘束力で拘束することでトナー担持体表面での磁性トナーの循環が良化し、低温・低湿環境における磁性トナーの過度のチャージアップが原因と考えられる耐久時におけるベタ黒濃度薄現象を防止することが可能となる。また、高温・高湿環境においても、摩擦帯電量の高い磁性トナー粒子が選択的に現像され易い。磁性トナー粒子の小径化が進行すればする程、ドラム融着現象が生じ易くなる。この場合においても摩擦帯電量の比較的高めの磁性トナー粒子の現像を抑制し得る磁気力を磁性トナーに与えることで防止可能となる。
【0041】
σr ×HC が24未満の磁性微粉体を用いた場合には、磁気的拘束力が効果的に作用しないため、低温・低湿環境においてカブリやすく、耐久時のベタ黒濃度薄現象が生じ易く、高温・高湿環境においてはドラム融着現象が生じ易くなる。また、σr ×HC が56を超える場合には、逆に磁気的拘束力が支配的となり、全環境において画像濃度低下を招きやすいので好ましくない。より好ましい範囲としては、30〜52の場合である。本発明において、磁気特性はVSMP−1−10(東英工業社製)を用いて、外部磁場795.8kA/mで測定を行なった。
【0042】
本発明の磁性トナーに用いられる磁性微粉体としては、鉄、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、ケイ素の如き元素を含む磁性を有する金属酸化物がある。これらの磁性微粉体の個数平均粒径は好ましくは0.05〜0.30μmであり、より好ましくは0.10〜0.25μmである。個数平均粒径が0.05μmより小さい場合、磁性微粉体の色味が赤みを帯びる傾向にあり、磁性トナーの場合その色味が画像の色味に反映されるため好ましくない。また、個数平均粒径が0.30μmより大きい場合は、画像濃度とカブリのラチチュードが狭くなり、好ましくない。
【0043】
また、本発明に用いられる磁性微粉体の構成する磁性微粒子の形状としては、八面体、六面体、球形が挙げられる。磁性微粒子の形状は球形のものが画像濃度とカブリのラチチュードを広くとり得るため好ましい。
【0044】
さらに本発明の課題をより高度なレベルで満足させるためには、該磁性微粉体を構成する磁性微粒子は少なくとも表面に二酸化ケイ素を有し、その表面に存在させる二酸化ケイ素の重量%をW(%)、該磁性微粉体の個数平均粒径をR(μm)とした場合、W×Rが0.003〜0.042を満足することが好ましい。以下、W×Rについて説明する。
【0045】
(a)Wの測定方法:
▲1▼2N−NaOH溶液で磁性微粉体を構成する磁性微粒子の表面に存在する二酸化ケイ素(SiO2 )を溶出させる(40℃、30分間)。
▲2▼溶出前と溶出後の磁性微粉体中のSiO2 量を蛍光X線分析により測定する。
W(%)=〔(溶出前のSiO2 量−溶出後のSiO2 量)/(溶出前の磁性微粉体の重量)〕×100
【0046】
(b)Rの測定方法:
Rは、透過型電子顕微鏡で磁性粉微粉体を構成する磁性微粒子の写真を撮影し、4万倍に拡大したものにつき、任意に250個選定後、投影径の中のMartin径(定方向に投影面積を2等分する線分の長さ)を測定し、測定値に基づいて個数平均粒径を算出する。
【0047】
W×Rの値を規定することにより、磁性微粒子の表面におけるSiO2 存在状態が密であるか粗であるかの判別がより明確に把握される。
【0048】
先ずここで、磁性微粉体の平均粒径から求められる比表面積をS、磁性微粉体の密度をρとすると、S=4πR2 ×〔1/(4/3)πR3 ・ρ〕=3/R・ρとなる。上記の表面のSiO2 の存在状態は、実際はW/S=R・W・ρ/3で与えられる。W/Sの好ましい範囲は、0.001ρ≦W/S≦0.014ρであるから、0.001ρ≦R・W・ρ/3≦0.014ρとなり、式を簡略化すると、0.003≦W×R≦0.042となる。
【0049】
W×Rが0.003より小さい場合は、磁性微粉体粒子の表面SiO2 の存在が非常にまばらな状態であるため、磁性トナーへの流動性付与効果が少なく、低温・低湿環境下において画像濃度低下、カブリの増加を招きやすい。W×Rが0.042より大きい場合は、混練時結着樹脂と磁性微粉体との濡れ性が低下し、トナー製造時に磁性トナー粒子から磁性微粉体が離脱し易くなり、この遊離した磁性微粉体を原因としたドラム融着が生じ易くなる。より好ましいW×Rの範囲は0.008〜0.035である。
【0050】
磁性トナー粒子中の磁性微粉体の含有量は40〜60重量%であることが好ましい。40重量%より少ない場合は重量平均粒径3.5〜6.5μmの磁性トナー粒子においては、カブリ現象の発生を抑制することが困難となり、60重量%より多い場合は、画像濃度薄、帯電ローラ汚れ、ドラム融着が発生しやすくなる。より好ましくは、磁性トナー粒子中の磁性微粉体の含有量は、45〜55重量%が良い。
【0051】
本発明の磁性トナーの磁性トナー粒子は、ワックスを含有している。ワックスとしては、パラフィンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス及びその誘導体長鎖カルボン酸及びその誘導体,長鎖アルコール及びその誘導体が挙げられる。誘導体としては酸化物や、ビニル系モノマーとワックスとのブロック共重合物、ビニル系モノマーとワックスとのグラフト変性物を含む。
【0052】
本発明で好ましく用いられるワックスは、一般式R−Y(式中、Rは炭化水素基を示し、Yは水酸基、カルボキシル基、アルキルエーテル基、エステル基又はスルホニル基を示す。)式R−Yで示されるワックスのゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による重量平均分子量(Mw)が3000以下であることが好ましい。
【0053】
具体的な化合物例としては、下記のものが挙げられる。
(A)CH3 (CH2 )n CH2 OH(n=20〜300)
(B)CH3 (CH2 )n CH2 COOH(n=20〜300)
(C)CH3 (CH2 )n CH2 OCH2 (CH2 )m CH3 (n=20〜200、m=0〜100)
【0054】
上記化合物(B)、(C)は化合物(A)の誘導体であり、主鎖は直鎖状の飽和炭化水素である。上記化合物(A)から誘導される化合物であれば、上記例に示した以外のものでも使用できる。特に好ましいワックスはCH3 (CH2 )n OH(n=20〜300)で表わされる長鎖アルキルアルコール及びそれらの混合物を主成分とするものである。
【0055】
この長鎖アルキルアルコールワックスを用いた場合、混練時における結着樹脂とワックスとの分散性が極めて良好である為に、従来の混練条件よりワックスの分散性を過度に考慮した混練条件を設定する必要がなくなり、結着樹脂と磁性微粉体との濡れ性を考慮した条件設定が可能となる。
【0056】
一般的に従来の混練条件において、混練機から混練物が吐出した直後における混練温度が混練状態を知る重要なパラメーターである。長鎖アルキルアルコールワックスの軟化点に対して30〜70℃高い混練温度となる混練条件においてもワックスの結着樹脂への分散性は良好であり、かつこの様な場合においては、結着樹脂と磁性微粉体との濡れ性も良好となり、本発明の課題がより良好に達成できる。図3参照。
【0057】
本発明の磁性トナーに使用される結着樹脂について以下に述べる。
【0058】
本発明に使用されるトナーの結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン;ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレンビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体の如きスチレン共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。架橋されたスチレン系樹脂も好ましい結着樹脂である。
【0059】
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドのような二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換体;マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチルのような二重結合を有するジカルボン酸及びその置換体:塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルのようなビニルエステル;エチレン、プロピレン、ブチレンのようなエチレン系オレフィン;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンのようなビニルケトン;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテルが挙げられる。これらのビニル単量体が単独もしくは組合せてスチレンモノマーとともに用いられる。架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられる。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンのような芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンの如きジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。これら架橋剤は単独もしくは混合して使用される。
【0060】
さらにスチレン系樹脂は、ゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)において測定される分子量分布において、少なくとも分子量0.5×104 〜5×104 及び分子量1.0×105 〜5.0×106 の領域にメインピーク及びサブピークを有する場合により好ましく用いられる。スチレン系樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)の可溶成分の重量平均分子量(Mw)が、1.5×105 〜3.5×105 、より好ましくは1.8×105 〜3.2×105 が良い。
【0061】
本発明の磁性トナーには、荷電制御剤として有機金属化合物を用いることが好ましい。有機金属化合物のうちでも、特に気化性や昇華性に富む有機有機化合物を配位子や対イオンとして含有するものが有用である。
【0062】
このような、有機金属化合物としては、次に示した一般式で表わされるアゾ系金属錯体がある。
【0063】
【外2】
〔上記一般式中、Mは配位中心金属を表わし、配位数6のCr、Co、Ni、Mn、Fe、Al、Ti、Sc又はVが挙げられる。Arはアリール基であり、フェニル基又はナフチル基が挙げられる、置換基を有していてもよい。置換基としては、ニトロ基、ハロゲン基、カルボキシル基、アニリド基及び炭素数1〜18のアルキル基又はアルコキシ基がある。X、X′、Y及びY′は−O−、−CO−、−NH−又は−NR−(Rは炭素数1〜4のアルキル基)である。
【0064】
【外3】
は水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、脂肪族アンモニウムイオン或いはこれらの混合イオンを示す。〕
【0065】
本発明に良好に使用される錯体の具体例を以下に示す。
【0066】
【外4】
【0067】
【外5】
【0068】
【外6】
【0069】
荷電制御剤は、磁性トナー100重量部に対して0.2〜5重量部の範囲で添加されるのが好ましい。
【0070】
磁性トナーにおいては、帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上のため、磁性トナー粒子に無機微粉体を外添することが好ましい。
【0071】
無機微粉体としては、例えばシリカ微粉体、酸化チタン微粉体、アルミナ微粉体等が挙げられる。特に、BET法で測定した窒素吸着により比表面積が30m2 /g以上(特に50〜400m2 /g)の範囲内の無機微粉体が良好な結果を与える。磁性トナー100重量部に対して無機微粉体0.01〜8重量部、好ましくは0.1〜5重量部使用するのが良い。
【0072】
また、無機微粉体は、必要に応じ、疎水化、帯電性コントロールの目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物の如き処理剤で処理されていることも好ましい。処理剤は2種類以上使用しても良い。特に、シリコーンオイルで表面処理されたシリカ微粉体が好ましい。
【0073】
他の添加剤としては、例えばテフロン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデン、シリコーンオイル粒子(約40%のシリカ含有)の如き滑剤が好適に用いられる。また、酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウムの如き研磨剤が好ましく用いられ、中でもチタン酸ストロンチウムが好ましい。また、ケーキング防止剤;カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズの如き導電性付与剤;磁性トナー粒子と逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子を現像性向上剤として少量用いても良い。
【0074】
次に、磁性トナーに使用される磁性トナー粒子の製造方法について説明する。
【0075】
本発明に用いられる混練機としては、近年の磁性トナーの量産化に対応して、エクストルーダーを用いて混練することが好ましい。特に二軸エクストルーダーが品質安定性及び量産性の観点から好ましい混練機である。具体例としては、TEM−100B(東芝機械製),PCM−87(池貝鉄工製)等が挙げられる。
【0076】
本発明において、磁性トナー粒子を生成するための溶融混練工程において、結着樹脂,磁性微粉体及びワックスを少なくとも有する混合物を、混練機により下記条件
2.2×103 ≦E/ε≦2.0×104
E=kω2 T,ε=F/(πD2 L)
〔式中、ωはスクリュー回転速度(m/min)を示し、Tが設定温度(K)を示し、Fは混合物の供給量(kg/min)を示し、Dはシリンダー内径(m)を示し、Lはスクリュー有効長(m)を示し、πは円周率を示し、kは(D0 /D)2 を示し、D0 は0.1mである。〕
で溶融混練することが好ましい。
【0077】
混練条件をE/εの値で規定したのは、混練時の結着樹脂と磁性微粉体を構成する磁性微粒子との濡れ性を判断できる指標として、有効な値であるからである。E/εが大きいと濡れ性が上がるといえる。Eは混練機のスクリューの回転速度ωの2乗の値と混練設定温度Tの積であり、混練機の混練エネルギーを表わす値とみなせる。ω2 はスクリューの運動エネルギーと相関する値であり、設定温度Tは混練機が供給する熱エネルギーと相関する値である。原材料が混練機で混練される時の混練状態を物理量でとらえようとすれば、混練機から供給される運動エネルギーと熱エネルギーの総和と密接な関係があると考えられる。ここでω2 Tと積にしたのは、混練状態の差をより明確に把握できるよう考慮したからである。
【0078】
kは補正定数である。経験から濡れ性は、シリンダー内径が0.1mの混練機よりシリンダーの内径の小さい混練機の方が向上する傾向にあるからである。
【0079】
ε=F/(πD2 L)は、Fが単位時間当りの原材料の供給量であり、πD2 Lは混練機のシリンダー内の原料存在可能容積と相関を有する値である。εは原材料のシリンダー中の充満状態を表わしている。εが大ということは充満状態が高いということである。仮りに混練エネルギーが同じ場合に、εが大のものは、単位時間における単位重量あたりの混練エネルギーが減じる傾向にあり、実際、結着樹脂と磁性微粉体との濡れ性は低下する傾向にある。
【0080】
以上述べた様にE/εは、重量平均粒径が3.5乃至6.5μmの微細な磁性トナー粒子を生成するための混練状態を、混練条件の基本となるスクリューの回転速度,設定温度,吐出量及びシリンダーの内容積というパラメーターに注目し、混練エネルギーと混練機内においてそのエネルギーを与えられる原材料の充満度という2つの観点で規定したものである。
【0081】
E/εが2.2×103 より小さい場合は、結着樹脂と磁性微粉体の濡れ性が低下して、粉砕工程で遊離の磁性微粉体が発生し易くなり、得られら磁性トナーは帯電ローラ汚れ,ドラム融着が生じ易くなる。E/εが2.0×104 より大きい場合は、結着樹脂とワックスとの分散性が低下する傾向にあり、低温・低温環境下のカブリが生じ易くなる。
【0082】
混練条件に規定した各パラメーターの値の範囲は、使用されている混練機の機種を考慮して決められる。
【0083】
ωはスクリュー回転速度(m/min)を示し、5〜50の範囲で良好に用いられる。Tは設定温度(K)を示し、333〜513の範囲が良好に用いられる。Fは混合物の供給量(kg/min)を示し、0.15〜25の範囲が良好に用いられる。Dはシリンダー内径(m)を示し、0.03〜0.2の範囲が良好に用いられる。Lはスクリュー有効長(m)を示し、1.00〜4.00の範囲が良好に用いられる。πは円周率であり、kは(D0 /D)2 を示し、D0 は0.1〔m〕である。さらに、E=kω2 Tの値は、好ましくは3.0×105 乃至16.0×105 が良く、混合物の供給量Fは好ましくは0.30乃至12.0(kg/min)が良く、ε=F/(πD2 L)の値は好ましくは85乃至130が良く、E/εの値は好ましくは2.5×103 乃至1.5×104 が良い。
【0084】
混練条件を設定する際、軸スクリューのニーディングパドル構成も様々な構成が考えられるが、好ましくはニーディング領域は、溶融が開始する領域と分散性を向上させる領域の2ヶ所設定される場合である。混練物は、従来知られている方法で圧延冷却、粗砕、ジェット気流による微粉砕、図7に示す多分割方式による分級が行なわれ磁性トナー粒子が得られる。磁性トナー粒子の磁性微粉体及びワックスの分散性については、多分割分級工程で得られる図7におけるM粉体磁性トナー粒子及びF粉体の分級微粉中の磁性微粉体量とワックス量を比較することで知ることができる。
【0085】
i)磁性微粉体の分散性
例えば密度計アキュピック1330(島津製作所(株))でM粉体の磁性トナー粒子の密度の値Mと、F粉体の分級微粉の密度の値Fとの比F/Mで分散状態を知ることが可能である。F/Mの値が1よりはずれるほど磁性微粉体を構成する磁性微粒子の結着樹脂への均一分散性が低下していると判断し得る。
【0086】
ii)ワックスの分散性
示差走査熱量計(パーキンエルマー社製)で測定されるDSC曲線において、吸熱ピーク曲線とベースラインで囲まれる面積に関して、M粉体の磁性トナー粒子のDSC曲線から得られる面積の値Mと、F粉体の分級微粉のDSC曲線から得られる面積の値Fとの比F/Mよりワックスの結着樹脂への均一分散性を知ることが可能である。F/Mの値が1よりはずれるほど分散性が低下していると判断し得る。
【0087】
本発明の磁性トナー粒子の調製に使用し得る気流式分級機の一例として図7(断面図)及び図8及び図9(斜視図)に示す形式の装置の一具体例として例示する。
【0088】
気流式分級装置及びその装置を利用した風力分級システムにおいては、鉛直方向に対して好ましくはθ=45°以下の角度で設置されている原料供給ノズルの後端部に、高圧エアー導入管と粉体原料導入ノズルを具備し、粉体原料導入ノズルの上方に有する原料供給口から磁性トナー粒子となる粉体原料を供給し、供給された粉体原料は粉体原料導入口下部から高圧エアー導入管の外周より放射され、高圧エアーにのって加速されて良好に分散し、良好に分散された粉体原料を原料供給ノズルに供給できる。そして、分級域の形状を変更する場合には、分級域が拡大し、分級点を大幅に変更できると共に、分級エッジ先端付近での気流の乱れを発生させることなく分級点を精度良く調整できるものである。粉体原料供給部における粉体原料の吸引吐出の原理は、高圧エアー導入管からの高圧エアーの粉体原料供給ノズルにおける膨張減圧エゼクター効果による。
【0089】
図7及び図8及び図9において、側壁122及び123は分級室の一部を形成し、分級エッジブロック124及び125は分級エッジ117及び118を具備している。分級エッジ117及び118は、軸117a及び118aを中心にして、回動可能であり、分級エッジを回動して分級エッジ先端位置を変えることができる。各分級エッジブロック124及び125は上下に設置位置をスライドさせることが可能であり、それにともなってそれぞれのナイフエッジ型の分級エッジ117及び118も上下にスライドする。この分級エッジ117及び118により、分級室132の分級ゾーンは3分画されている。
【0090】
粉体原料を導入するための原料供給口140を原料供給ノズル116の最後端部に有し、該原料供給ノズル116の後端部に高圧エアー導入管141と粉体原料供給部を有する粉体原料導入ノズル142とを有し且つ分級室132に開口部を有する原料供給ノズル116を側壁122の右側に設け、該原料供給ノズル116の右側接線の延長方向に対して長楕円弧を描いたコアンダブロック126が設置されている。分級室132の左側ブロック127は、分級室132の左側方向にナイフエッジ型の入気エッジ114を具備し、更に分級室132の左側には分級室132に開口する入気管114及び115を設けてある。入気管114及び115にはダンパーのごとき第1気体導入調節手段120及び第2気体導入調節手段121と静圧計128及び静圧計129を設けてある。
【0091】
高速エアー導入管141に導入する高圧エアーの圧力は、通常の分級では1.0〜3.0Kg/cm2 であるが、磁性トナー粒子の表面に付着している磁性微粒子を効率良く遊離させて除去するためには、高圧エアーの圧力は、3.0Kg/cm2 よりも高く、好ましくは3.5乃至6.0Kg/cm2 、であるのが良い。分級エッジ117及び118及び入気エッジ119の位置は、磁性トナー粒子の種類及び所望の粒径により調節される。
【0092】
分級室132の右側にはそれぞれの分画域に対応させて、分級室内に開口する排出口111、112及び113を有し、排出口111、112及び113にはパイプの如き連通手段が接続されており、それぞれにバルブ手段のごとき開閉手段を設けてよい。
【0093】
原料供給ノズル116は直角筒部と角錐筒部とから成り、直角筒部の内径と角錐筒部の最も狭い箇所の内径の比を20:1から1:1、好ましくは10:1から2:1に設定すると、良好な導入速度から得られる。
【0094】
以上のように構成してなる多分割分級域での分級操作は例えば次のようにして行なう。排出口111、112、113の少なくとも1つを介して分級室内を減圧し、分級室内に開口部を有する原料供給ノズル116中を高圧エアーと該減圧によって流動する気流によって、好ましくは流速50〜300m/秒の速度で粉体を原料供給ノズル116を介して分級室に噴出する。
【0095】
分級室に導入された粉体原料中の磁性トナー粒子はコアンダブロック126のコアンダ効果による作用と、その際流入する空気のごとき気体の作用とにより湾曲線130a、130b、130c等を描いて移動し、それぞれの粒子の粒径及び慣性力の大小に応じて、大きい粒子(粗粒子)は気流の外側(すなわち分級エッジ118の外側の第1分画)、中間の粒子は分級エッジ118と117の間の第2分画、小さい粒子は分級エッジ117の内側の第3分画に分級され、分級された大きい粒子からなるG粉体は排出口111より排出され、分級された中間の粒子からなるM粉体は排出口112より排出され、分級された小さい粒子からなるF粉体は排出口113よりそれぞれ排出される。
【0096】
磁性トナー粒子の分級において、分級点は磁性トナー粒子が分級室132内へ飛び出す位置であるコアンダブロック126の下端部分に対する分級エッジ117及び118のエッジ先端位置によって主に決定される。さらに、分級点は分級気流の流量あるいは原料供給ノズル16からの磁性トナー粒子の噴出速度等の影響を受ける。
【0097】
気流式分級装置において、原料供給口140から粉体原料を供給し、供給された粉体原料は粉体原料導入口142下部から高圧エアー導入管141の外周より放射され、高圧エアー導入管141から噴出している高圧エアーに乗って加速されて良好に分散し、瞬時に原料供給ノズル116から分級室内へ導入され分級されて、分級機系外へ排出されるため、分級機へ導入される粉体原料は原料供給ノズル116から分級室内の導入口部位によって、個々の粒子の軌跡が撹乱せずに凝集粉が一次粒子まで分散された状態で推進力をもって飛翔することが重要である。原料供給ノズル116内から流動する粒子流は粉体原料を上部から導入するとき、原料供給ノズル116の開口部より側位にコアンダブロック126を具備している分級室132にトナー粒子流を導入すると、粒子の飛翔軌跡が乱れることなく粒子の大きさに応じて分散して粒子流が形成されるので、その流線に添った向きに分級エッジを移動させ、次いで分級エッジのエッジ先端位置を固定し、所定の分級点に設定することができる。この分級エッジ117及び118の移動に際し、分級エッジブロック124及び125との同時移動により、コアンダブロック126に沿って飛翔する粒子流の流れ方向にエッジの向きを沿わすことができる。
【0098】
具体的には、図12において、原料供給ノズル116の先端開口部116aの側面部に対応するコアンダブロック126中の例えば位置Oを中心として、分級エッジ117の先端とコアンダブロック126の側面との距離L4 及び分級エッジ117の側面とコアンダブロック126の側面との距離L1 は、分級エッジブロック124を位置決め部材133に沿って上下に移動させることで、位置決め部材134に沿って分級エッジ117を上下に移動させ、さらに分級エッジ117の先端を軸117aを中心にして回動させることにより調節可能である。
【0099】
同時に、分級エッジ118の先端とコアンダブロック126の側壁との距離L5 及び分級エッジ117の側面と分級エッジ118の側面との距離L2 もしくは分級エッジ118の側面と側壁123の側面との距離L3 は、分級エッジブロック125を位置決め部材138に沿って上下に移動させることで、位置決め部材136に沿って分級エッジ118を上下に移動させ、さらに分級エッジ118の先端を軸118aを中心にして回動させることにより調整可能である。
【0100】
原料供給ノズル116の先端開口部116aの側面部にコアンダブロック126、分級エッジ117及び118を設置させ、かつ分級エッジブロック124または/及び分級エッジブロック125の設置位置の変更に伴って、分級室の分級域が拡大し、分級点を容易に且つ大幅に変更することができる。
【0101】
そのため、分級エッジ先端部による流れの乱れが防止でき、排出導管111a、112a及び113aを介しての減圧による吸引流の流量を調節することで粒子の飛翔速度を増加させて分級域でのトナー粒子の分散をより向上させ、より高い粉塵濃度でもより良好な分級精度が得られ、製品の収率低下を防止できるだけでなく、同じ粉塵濃度でもより良好な分級精度と製品の収率の向上が可能になる。
【0102】
入気エッジ119の先端とコアンダブロック126の壁面との距離L6 は、軸119aを中心として入気エッジ119先端を回動させることにより調節可能であり、これにより、入気管114及び115からの気体の流入量及び流入速度を調節することで、分級点のさらなる調整が可能である。
【0103】
上記の設定距離は粉体原料の特性等に応じて適宜決定されるが、磁性トナー粒子の真密度が1.4g/cm3 を越える非磁性トナー粒子のとき、該分級エッジをそれぞれ具備している設置位置の変更可能な分級エッジブロックの設置位置を下記条件
L0 >0、L1 >0、L2 >0、L3 >0 L0 <L3 <L1 +L2
〔式中L0 は、原料供給ノズルの排出口の高さ径(mm)を示し、
L1 は、中粉体群と微粉体群とに分画するための第1分級エッジ側面と、これに対峙するコアンダブロックの側面との距離(mm)を示し、
L2 は、第1分級エッジの側面と、粗粉体群と中粉体群とに分画するための第2分級エッジの側面との距離(mm)を示し、
L3 は、第2分級エッジの側面と、これに対峙する側壁の側面との距離(mm)を示す〕を満足するように設定することが好ましい。
【0104】
この条件を満足する場合は、シャープな粒度分布を有する磁性トナー粒子を効率良く得ることができる。
【0105】
気流式分級装置は、相互の機器をパイプのごとき連通手段で連結し、装置システムに組み込まれて使用される。そうした装置システムの好ましい例を図12に示す。図12に示す一体装置システムは、3分割分級機1(図7及び図8に示される分級装置)、定量供給機202、振動フィーダー203、捕集サイクロン204、205、206を連通手段で連結してなるものである。
【0106】
この装置システムにおいて、粉体は、適宜の手段により、定量供給機202に送り込まれ、ついで振動フィーダー203を介し、原料供給ノズル116により3分割分級機201内に導入される。導入に際しては、50〜300m/秒の流速で3分割分級機201内に粉体を導入する。3分割分級機201の分級室を構成する大きさは通常〔10〜50cm〕×〔10〜50cm〕なので、粉体は0.1〜0.01秒以下の瞬時に3種以上の粒子群に分級し得る。そして、3分割分級機201に、大きい粒子(粗粒子)、中間の粒子、小さい粒子に分級される。その後、大きい粒子は排出導管11aを通って、捕集サイクロン206で送られ回収される。中間の粒子は排出導管112aを介して系外に排出され捕集サイクロン205で捕集される。捕集サイクロン204、205、206は粉体を原料供給ノズル116を介して分級室に吸引導入するための吸引減圧手段としての働きをすることも可能である。
【0107】
図4を参照しながら本発明の磁性トナーを使用する画像形成方法の一例について説明する。
【0108】
接触帯電手段2は、バイアス印加手段Eにより電圧を印加され、静電荷像保持体(感光ドラム)1の表面を負極性に帯電し、レーザー光による露光3によりイメージスキャニングによりデジタル潜像を形成し、弾性ブレード6及び磁石を内包しているトナー担持体(現像スリーブ)5を具備する現像器4の磁性トナー13で、該潜像を反転現像する。現像部において感光ドラム1の導電性基体は接地され、現像スリーブ5にはバイアス印加手段8により交互バイアス,パルスバイアス及び/又は直流バイアスが印加されている。
【0109】
転写紙Pが搬送されて転写部にくると、ローラ転写手段9により転写紙Pの背面(感光ドラム側と反対面)から電圧印加手段10で帯電することにより、感光ドラム1の表面上の現像画像(トナー像)がローラ転写手段9によって転写紙P上に転写される。感光ドラム1から分離された転写紙Pは、加熱加圧ローラ定着器12により転写紙P上のトナー画像を定着するために定着処理される。
【0110】
転写工程後の感光ドラム1に残留する磁性トナーが少ない場合、クリーニング工程を省くことが可能である。クリーニング手段11によるクリーニング後の感光ドラム1は、再度、接触帯電手段2による帯電工程から始まる工程が繰り返される。
【0111】
感光ドラムは感光層及び導電性基体を有し、矢印方向に動く。トナー担持体である非磁性円筒の現像スリーブ5は、現像部において感光ドラム1の表面と同方向に進むように回転する。現像スリーブ5の内部には、磁界発生手段である多極永久磁石(マグネットロール)が回転しないように配されている。現像器4内の磁性トナー13は非磁性円筒面上に塗布され、かつ現像スリーブ5の表面と磁性トナーとの摩擦によって、磁性トナーは、例えばマイナスのトリボ電荷が与えられる。さらに弾性ブレード6を円筒表面に接近して(間隔50μm〜500μm)、多極永久磁石の一つに磁石位置に対向して配置することにより、磁性トナー層の厚さを薄く(30μm〜300μm)かつ均一に規制して、現像部における感光ドラム1と現像スリーブ5の間隙よりも薄い磁性トナー層を形成する。現像スリーブ5の回転速度を調整することにより、スリーブ表面速度が感光ドラム表面の速度と実質的に等速、もしくはそれに近い速度となるようにする。弾性ブレード6として鉄製ブレードを使用しても良い。
【0112】
現像部において現像スリーブ5に交流バイアスまたはパルスバイアスをバイアス手段8により印加しても良い。この交流バイアスはfが200〜4,000Hz、Vppが500〜3,000Vであれば良い。
【0113】
現像部における磁性トナーの移転に際し、感光ドラム表面の静電的及び交流バイアスまたはパルスバイアスの作用によって磁性トナーは静電像側に移転する。
【0114】
弾性ブレード6は、シリコーンゴムの如き弾性材料で形成されており、弾性ブレード6を用いて押圧によって磁性トナー層の層厚を規制し、現像スリーブ5上に磁性トナー13を塗布している。
【0115】
図5は、本発明に好適に用いられる接触帯電手段の一形態である帯電ローラについての構成図である。
【0116】
42は帯電ローラであり、中心の芯金42aとその外周を形成した導電性弾性層42bと表面層42cとを基本構成とするものである。帯電ローラ42は、感光ドラム1の表面に押圧力をもって圧接され、感光ドラム1の回転に伴い従動回転する。感光ドラム1はアルミニウムの如き導電性金属で形成されている導電性基層1aと、その外面に形成した光導電層1bとを基本構成層とするものであり、図面上時計方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転される。帯電ローラ42は、バイアス印加手段Eにより電圧が印加され、帯電ローラ42にバイアスが印加されることで感光ドラムの表面が所定の極性・電位に帯電される。次いで、画像露光により静電荷像が形成され、現像手段により静電荷像はトナー画像として順次可視化されていく。
【0117】
帯電ローラを用いた時の好ましいプロセス条件としては、ローラの当接圧が5〜500g/cmで直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いた時には、交流電圧=0.5〜5kVpp、交流周波数=50Hz〜5kHz、直流電圧=±0.2〜±5kVであり、直流電圧のみを用いた時には、直流電圧=±0.2〜±5kVである。
【0118】
帯電ローラの材質としては、導電性ゴム、例えばエチレン−プロピレン−ジエン系三元共重合体(EPDM)が好ましく、その表面に離型性被膜を設けてもよい。離型性被膜としてはナイロン系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF),ポリ塩化ビニリデン(PVDC)が好ましく用いられる。
【0119】
次に本発明のプロセスカートリッジについて図6を用いて説明する。
【0120】
本発明のプロセスカートリッジは、少なくとも現像手段と潜像保持体とが一般的にカートリッジ化されたものであり、画像形成装置本体(例えば、複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ装置)に着脱可能に構成されている。
【0121】
図6に示した実施形態では、現像手段709、ドラム状の静電荷像保持体(感光ドラム)1、クリーニングブレード708aを有するクリーニング手段708、一次帯電手段としての接触帯電手段742を一体としたプロセスカートリッジ750が例示される。
【0122】
本実施形態では、現像手段709は、トナー層厚規制手段としての弾性規制ブレード711とトナー容器760内に磁性トナー710を有し、該磁性トナー710を用い、現像時にはバイアス印加手段からの現像バイアス電圧により感光ドラム1とトナー担持体としての現像スリーブ704との間に所定の電界が形成されて現像工程が実施される。この現像工程を好適に実施するためには、感光ドラム1と現像スリーブ704との間の距離が調整される。
【0123】
上記では、現像手段709、潜像保持体1、クリーニング手段708及び一次帯電手段742の4つの構成要素を一体的にカートリッジ化した実施形態について説明したが、本発明においては、現像手段と静電荷像保持体との少なくとも2つの構成要素が一体的にカートリッジ化されたものであればよく、現像手段、静電荷像保持体及びクリーニング手段の3つの構成要素、現像手段、静電荷像保持体及び一次帯電手段の3つの構成要素、或いは、その他の構成要素を加えて一体的にカートリッジ化することも可能である。
【0124】
【実施例】
本発明を以下の実施例に基づいてより具体的に説明する。
【0125】
実施例1
(i)結着樹脂 100重量部
(a)スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体(共重合重量比=80:20)
(b)GPCにおいて、分子量1.5万にメインピークを有し、分子量65万にサブピークを有する。
(c)重量平均分子量(Mw) 25万
【0126】
(ii)磁性微粉体 100重量部
(a)個数平均粒径R:0.18μm
(b)磁性微粒子の形状:球形
(c)σr :5.9〔Am2 /kg〕
(d)HC :6.4〔kA/m〕
(e)σr ×HC :38〔kA2 m/kg〕
(f)磁性微粒子の裏面に存在する二酸化ケイ素のW:0.13重量%
(g)W×R:0.024
【0127】
(iii)負荷電制御剤 2重量部
(a)前記式(a)で示されるモノアゾ錯体
【0128】
【外7】
【0129】
(iv)ワックス 5重量部
(a)長鎖アルキルアルコール
(b)炭素数の平均値:50個
(c)軟化点:98℃
(e)軟化点の測定方法:DSC吸熱ピーク温度
【0130】
上記材料をヘンシェルミキサーで混合して混合物を得、得られた混合物を二軸エクストルーダー(機種名「TEM−100B」東芝機械株式会社製)に導入し、表1に示す混練条件Bで混合物の溶融混練をおこなった。混練直後の混練物の温度は、159℃であった。混練物をハンマーミルで1mm以下に粗粉砕し、得られた粗粉砕物をジェット気流を用いた衝突式気流粉砕機で微粉砕し微粉砕物を得た。
【0131】
図12に示す分級システムにおいて、得られた微粉砕物を供給機202を介して振動フィーダー203及び原料供給管116を介して360kg/hの割合でコアンダ効果を利用して粗粉体群G、中粉体群M及び微粉体群Fの3種に分級するために図7に示す多分割分級機201に導入した。
【0132】
導入に際しては排出口111、112、113に連通している捕集サイクロン204、205、206の吸引減圧による系内の減圧から派生する吸引力と原料供給管116に取付けたインクジェクションノズル131からの空気圧縮(圧力1.5kg/cm2 )を利用した。
【0133】
分級域の形状を変更するために、図11に示す各々の設定距離を下記の如く設定し、分級をおこなった。
L0 =6mm(原料供給ノズル排出口116aの高さ径)
L1 =32mm(分級エッジ117の側面とコアンダブロック126の側面との距離)
L2 =33mm(分級エッジ117の側面と分級エッジ118の側面との距離)
L3 =39mm(分級エッジ118の側面と側壁123の側面との距離)
L4 =18mm(分級エッジ117の先端とコアンダブロック126の側面との距離)
L5 =33mm(分級エッジ118の先端とコアンダブロック126の側面との距離)
L6 =25mm(入気エッジ119の先端とコアンダブロック126の側面との距離)
R=14mm(コアンダブロック126の狐の半径)
【0134】
導入された微粉砕物は0.1秒以下の瞬時に分級された。
【0135】
磁性トナー粒子として使用する中粉体群Mは重量平均粒径(D4 )が5.7μmであり、吸光度は0.55であり、形状係数SF−1が154であり、形状係数SF−2が143であり、SF−1/SF−2の値は、1.08であった。得られた磁性トナー粒子の物性を表2に示す。さらに、表3に、磁性微粉体の分散状態及びワックスの分散状態を示す。
【0136】
得られた磁性トナー粒子100重量部と、シランカップリング剤とジメチルシリコーンオイルとで表面処理している疎水性シリカ微粉体(BET比表面積110m2 /g)1.5重量部とを混合して、負摩擦帯電性の磁性トナーを調製した。
【0137】
図4に示す画像形成方法で磁性トナーの評価をおこなうために、600dpiの解像性を有する反転現像方法で静電荷像を現像するレーザビームプリンタ(商品名LBP−450、キヤノン株式会社製)用のプロセスカートリッジの現像器に磁性トナーを導入し、プロセスカートリッジをレーザビームプリンタに装着し、各環境下において画出し試験をおこなった。
【0138】
さらに、1200dpiの解像度を有するように改造したレーザビームプリンタを使用してドット潜像の画質を評価した。
【0139】
評価結果を、表4、表5、及び表6に示す。
【0140】
評価方法
(a)画像濃度
初期(2枚目)、3000枚目及び6000枚目のベタ黒画像の画像濃度をマクベス濃度計により測定した。
【0141】
(b)カブリ
“リフレクタメーター”(東京電色(株))を用い、あらかじめプリント前の転写紙の白色度を測定し、プリントされた白色画像部の白色度との差を求め、その差が最大となる値を示した。
【0142】
(c)帯電ローラ汚れ
6000枚耐久後に帯電不良画像の発生し易いハーフトーン画像により評価を行なった。
ランク5:接触帯電ローラの汚れに基因した不良画像の発生なし。
ランク3:接触帯電ローラの汚れに基因した不良画像発生が確認されるが、実用上問題とならないレベル。
ランク1:接触帯電ローラの汚れに基因した不良画像の発生が確認され、不良画像が実用上問題となるレベル。
ランク4はランク5と3の中間レベルであり、ランク2はランク3と1の中間レベルである。
【0143】
(d)600dpiのドット画像
1インチ当り600個のドット潜像を形成し得る画出し条件で、ワンドットのトナー画像を形成し、トナー画像を拡大して目視により4段階に評価した。
A:優
B:良
C:普通
D:悪い(トナーの飛び散りの発生がみられたり、ドットの画像の形状がいびつである)
【0144】
(e)1200dpiのドット画像
1インチ当り1200個のドット潜像を形成し得る画出し条件で、ワンドットのトナー画像を形成し、トナー画像を拡大して目視により4段階に評価した。
A:優
B:良
C:普通
D:悪い(トナーの飛び散りの発生がみられたり、ドットの画像の形状がいびつである)
【0145】
(f)ドラム融着
6000枚耐久を行なった後のベタ黒画像上に生ずるOPC感光ドラム付着した付着物に基因する白点の発生程度により評価した。
ランク5:全く発生しなかった。
ランク3:数点発生が見られるが、実用上問題なし。
ランク1:発生が多く(数十点)、実用上問題あり。
ランク4はランク5と3の中間レベルであり、ランク2はランク3と1の中間レベルである。
【0146】
(g)朝の一枚目の画像濃度
高温高湿環境下で、1500枚/日の耐久で3日目の朝の一枚目(3001枚に相当)のベタ黒画像濃度を測定。
【0157】
実施例11,13及び14、参考例1及び2
使用する磁性微粉体、混練条件及び分級条件等を変更して表2に示す磁性トナー粒子を得た。得られた磁性トナー粒子と疎水性シリカ微粉体とを混合して磁性トナーを調製し、実施例1と同様にして画出し評価をおこなった。評価結果を表4、表5、表6に示す。
【0158】
比較例1
混練条件を表1に示すGにする以外は、実施例2と同様にして磁性トナーを作製し評価を行なった。磁性トナー粒子の濡れ性試験における吸光度は0.72であり、SF−1=155,SF−2=144であり、混練物の温度は152℃であった。結果を表2に示す。
【0159】
比較例2
混練条件を表1に示すHにする以外は、実施例2と同様にして磁性トナーを作製し評価を行なった。磁性トナー粒子の吸光度は0.77であり、SF−1=155,SF−2=143であり、混練物の温度は153℃であった。磁性トナー粒子の物性を表2に示し、評価結果を表4、表5、表6に示す。
【0160】
比較例3
混練条件を表1に示すIにする以外は、実施例2と同様にして磁性トナーを作製し評価を行なった。磁性トナー粒子の吸光度は0.18であり、SF−1=155,SF−2=143であり、混練物の温度は160℃であった。磁性トナー粒子の物性を表2に示し、評価結果を表4、表5、表6に示す。
【0161】
比較例4乃至6
使用する磁性微粉体、混練条件及び分級条件等を変更して表2に示す磁性トナー粒子を得た。得られた磁性トナー粒子と疎水性シリカ微粉体とを混合して磁性トナーを調製し、実施例1と同様にして画出し評価をおこなった。評価結果を表4、表5、表6に示す。
【0162】
【表1】
【0163】
【表2】
【0164】
【表3】
【0165】
【表4】
【0166】
【表5】
【0167】
【表6】
【0182】
【発明の効果】
本発明の磁性トナーは、特定の濡れ性を有する磁性トナー粒子を使用することによって、低温・低湿環境においても濃度が高く、カブリが少なく、帯電ローラ汚れの発生がなく、且つ高温・高湿環境においても濃度が高く、ドラム融着の発生のない画像を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】混練機の温度制御ユニット構成及び軸構成の概略的説明図である。
【図2】シリンダ断面構成の概略的説明図である。
【図3】樹脂温度と遊離磁性微粒子の量及びワックスの分散性との相関図である。
【図4】本発明の磁性トナーを用いる電子写真装置の一例の概略的説明図である。
【図5】本発明に好適に用いられる接触帯電手段の概略的説明図である。
【図6】本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略的説明図である。
【図7】磁性トナー粒子多分割分級するためのコアンダ効果を利用した気流式分級装置の概略的断面図である。
【図8】図7に示す気流式分級装置の斜視図である。
【図9】図7に示す気流式分級装置の斜視図である。
【図10】図7におけるA−A′断面図である。
【図11】図7の要部を示す図である。
【図12】磁性トナー粒子の分級に用いた分級プロセスの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 静電荷像担持体
2 一次帯電装置
3 露光光学系
4 現像装置
5 トナー担持体
6 トナー層厚規制部材
7 トナー攪拌手段
8 現像バイアス電源
9 転写装置
10 転写電流発生装置
11 クリーニング手段
12 定着装置
13 磁性トナー
704 現像スリーブ
709 現像器
710 現像剤(磁性トナー)
742 接触帯電手段
743 バイアス印加手段
Claims (35)
- 結着樹脂、磁性微粉体及び長鎖アルキルアルコールワックスを少なくとも含有している磁性トナー粒子を有する静電荷像現像用磁性トナーであり、
該磁性トナー粒子は、結着樹脂、磁性微粉体及び長鎖アルキルアルコールワックスを少なくとも含有する混合物を、混錬機により下記の混錬条件
2.2×10 3 ≦E/ε≦2.0×10 4
E=kω 2 T,ε=F/(πD 2 L)
(式中,ωはスクリュー回転速度(m/min)を示し、Tが設定温度(K)を示し、Fは混合物の供給量(kg/min)を示し、Dはシリンダー内径(m)を示し、Lはスクリュー有効長(m)を示し、πは円周率を示し、kは(D 0 /D) 2 を示し、D 0 は0.1mである。)
を満たすようにして、溶融混錬して製造されたものであり、
該磁性微粉体は、該磁性トナー粒子中に40〜60重量%含有されており、
該磁性トナー粒子は、重量平均粒径が3.5乃至6.5μmであり;エチルアルコールと水との混合液(体積比27:73)19mlに該磁性トナー粒子15mgを分散した分散液の波長600nmにおける吸光度が0.35乃至0.69であることを特徴とする静電荷像現像用磁性トナー。 - 磁性微粉体は、795.8kA/m(10kエルステッド)の磁界下における残留磁化(σr(Am2/kg))と保磁力(HC(kA/m))の積(σr×HC)が24〜56(kA2m/kg)である請求項1の磁性トナー。
- 長鎖アルキルアルコールワックスは構造式CH3(CH2)nOH〔式中、nは20〜300の整数を示す〕を有する請求項1又は2の磁性トナー。
- 磁性トナー粒子は、形状係数SF−1の値が140<SF−1≦180であり、形状係数SF−2の値が130<SF−2≦170である請求項1乃至3のいずれかの磁性トナー。
- 磁性微粉体は、残留磁化(σr)と保磁力(HC)との積(σr×HC)が30〜52(kA2m/kg)である請求項1乃至4のいずれかの磁性トナー。
- 磁性微粉体は、個数平均粒径が0.05〜0.30μmである請求項1乃至5のいずれかの磁性トナー。
- 磁性微粉体は、0.008≦W×R≦0.035の条件を満足している請求項1乃至6のいずれかの磁性トナー。
- 磁性微粉体は、磁性トナー粒子の重量基準で45〜55重量%磁性トナー粒子に含有されている請求項1乃至7のいずれかの磁性トナー。
- 磁性トナー粒子は、BET比表面積30m 2/g以上の無機微粉体と混合されている請求項1乃至8のいずれかの磁性トナー。
- 無機微粉体は、BET比表面積が50〜400m2/gである請求項9の磁性トナー。
- 磁性トナー粒子は、100重量部当り0.01〜8重量部の無機微粉体と混合されている請求項9又は10の磁性トナー。
- 無機微粉体がシリコーンオイルで処理されているシリカ微粉体である請求項9乃至11のいずれかの磁性トナー。
- 結着樹脂、磁性微粉体及び長鎖アルキルアルコールワックスを少なくとも含有している磁性トナー粒子を有する磁性トナーの製造方法であり、
結着樹脂、磁性微粉体及び長鎖アルキルアルコールワックスを少なくとも有する混合物を、混練機により下記条件
2.2×103≦E/ε≦2.0×104
E=kω2T
ε=F/(πD2L)
〔式中、ωはスクリュー回転速度(m/min)を示し、Tは設定温度(K)を示し、Fは混合物の供給量(kg/min)を示し、Dはシリンダー内径(m)を示し、Lはスクリュー有効長(m)を示し、πは円周率を示し、kは(D0/D)2を示し、D0は0.1mである。〕
で溶融混練し、混練物を冷却し、冷却物を粉砕し、粉砕物を分級して磁性トナー粒子を得る工程を有し、
該磁性トナー粒子が、該磁性微粉体を40〜60重量%含有しており、
該磁性トナー粒子は、重量平均粒径が3.5乃至6.5μmであり;エチルアルコールと水との混合液(体積比27:73)19mlに該磁性トナー粒子15mgを分散した分散液の波長600nmにおける吸光度が0.35乃至0.69であることを特徴とする磁性トナーの製造方法。 - 混練機のスクリューの回転数ω(m/min)が5〜50であり、設定温度T(K)が333〜513であり、混合物の供給量F(kg/min)が0.15〜25であり、シリンダーの内径D(m)が0.03〜0.2であり、スクリューの有効長L(m)が1.00〜4.00である請求項13の磁性トナーの製造方法。
- Eの値が3.0×105乃至16.0×105であり、混練機のスクリューの回転数ω(m/min)が5〜50であり、設定温度T(K)が333〜513であり、混合物の供給量F(kg/min)が0.15〜25であり、シリンダーの内径D(m)が0.03〜0.2であり、スクリューの有効長L(m)が1.00〜4.00である請求項13又は14の磁性トナーの製造方法。
- 混合物の供給量Fが0.30乃至12.00(kg/min)である請求項14又は15の磁性トナーの製造方法。
- εの値が85乃至130である請求項13乃至16のいずれかの磁性トナーの製造方法。
- E/εの値は、2.5×103乃至1.5×104である請求項13乃至17のいずれかの磁性トナーの製造方法。
- 混練機のスクリューの回転数ω(m/min)が5〜50であり、設定温度T(K)が333〜513であり、混合物の供給量F(kg/min)が0.15〜25であり、シリンダーの内径D(m)が0.03〜0.2であり、スクリューの有効長L(m)が1.00〜4.00であり、Eの値が3.0×105乃至16.0×105であり、混合物の供給量Fが0.30乃至12.0(kg/min)であり、εの値が85乃至130であり、E/εの値は、2.5×103乃至1.5×104である請求項13乃至18のいずれかの磁性トナーの製造方法。
- 磁性微粉体は、795.8kA/m(10kエルステッド)の磁界下における残留磁化(σr(Am2/kg))と保磁力(HC(kA/m))の積(σr×HC)が24〜56(kA2m/kg)である請求項13乃至19のいずれかの磁性トナーの製造方法。
- 長鎖アルキルアルコールワックスは構造式CH3(CH2)nOH〔式中、nは20〜300の整数を示す〕を有する請求項13乃至20のいずれかの磁性トナーの製造方法。
- 磁性トナー粒子は、形状係数SF−1の値が140<SF−1≦180であり、形状係数SF−2の値が130<SF−2≦170である請求項13乃至21のいずれかの磁性トナーの製造方法。
- 磁性微粉体は、残留磁化(σr)と保磁力(HC)との積(σr×HC)が30〜52(kA2m/kg)である請求項13乃至22のいずれかの磁性トナーの製造方法。
- 磁性微粉体は、個数平均粒径が0.05〜0.30μmである請求項13乃至23のいずれかの磁性トナーの製造方法。
- 磁性微粉体は、0.008≦W×R≦0.035の条件を満足している請求項13乃至24のいずれかの磁性トナーの製造方法。
- 磁性微粉体は、磁性トナー粒子の重量基準で45〜55重量%磁性トナー粒子に含有されている請求項13乃至25のいずれかの磁性トナーの製造方法。
- 磁性トナー粒子は、BET比表面積30m 2/g以上の無機微粉体と混合されている請求項13乃至26のいずれかの磁性トナーの製造方法。
- 無機微粉体は、BET比表面積が50〜400m2/gである請求項27の磁性トナーの製造方法。
- 磁性トナー粒子は、100重量部当り0.01〜8重量部の無機微粉体と混合されている請求項27又は28の磁性トナーの製造方法。
- 無機微粉体がシリコーンオイルで処理されているシリカ微粉体である請求項27乃至29のいずれかの磁性トナーの製造方法。
- バイアスが印加されている接触帯電手段によって静電荷像保持体を帯電し、帯電された静電荷像保持体に露光により静電荷像を形成し、磁性トナーを有する現像手段によって該静電荷像を現像して磁性トナー像を形成する画像形成方法であり、
該磁性トナーが、請求項1乃至12のいずれかに記載の磁性トナーであることを特徴とする画像形成方法。 - 接触帯電手段が帯電ローラである請求項31の画像形成方法。
- 静電荷像保持体上の磁性トナー像は、バイアスが印加されている転写ローラによって転写材上に転写され、転写材上の磁性トナー像は加熱加圧定着手段によって定着される請求項31又は32の画像形成方法。
- 静電荷像保持体、該静電荷像保持体を帯電するための接触帯電手段及び磁性トナーを保有する現像手段を有し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであり、
該磁性トナーが、請求項1乃至12のいずれかに記載の磁性トナーであることを特徴とするプロセスカートリッジ。 - 接触帯電手段が帯電ローラである請求項34のプロセスカートリッジ。
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