JP3888454B2 - Liquid ejecting head and liquid ejecting apparatus - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被噴射液を吐出する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関し、特に、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室に供給されたインクを圧電素子又は発熱素子を介して加圧することによって、ノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドには、圧電素子が軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、たわみ振動モードの圧電素子を使用したものの2種類が実用化されている。
【0003】
前者は圧電素子の端面を振動板に当接させることにより圧力発生室の容積を変化させることができて、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
【0004】
これに対して後者は、圧電材料のグリーンシートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電素子を作り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難であるという問題がある。
【0005】
一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消すべく、特開平5−286131号公報に見られるように、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生室毎に独立するように圧電素子を形成したものが提案されている。
【0006】
これによれば圧電素子を振動板に貼付ける作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、かつ簡便な手法で圧電素子を作り付けることができるばかりでなく、圧電素子の厚みを薄くできて高速駆動が可能になるという利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようにノズル開口を高密度に配列したインクジェット式記録ヘッドでは、各圧力発生室を区画する隔壁の剛性が低下してしまうため、隔壁が振動板の張力の影響を受けやすく、この振動板の張力に起因するクロストークが発生してしまうという問題がある。
【0008】
すなわち、駆動する圧電素子の数によって、各圧力発生室に対向する領域の振動板の変位量が変化してしまい、インク吐出特性が安定しないという問題がある。
【0009】
また、このような問題は、インクを吐出するインクジェット式記録ヘッドだけでなく、勿論、インク以外の液体を吐出する他の液体噴射ヘッドにおいても、同様に存在する。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑み、振動板の張力に起因するクロストークを防止して均一な特性で液体を噴射させることができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、ノズル開口に連通する圧力発生室が画成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面に振動板を介して設けられ且つ少なくとも下電極、圧電体層及び上電極を有する圧電素子とを具備する液体噴射ヘッドにおいて、前記振動板が前記流路形成基板上に設けられて圧縮応力を有する弾性膜と、該弾性膜上に設けられて引張り応力を有する絶縁膜とを含み、前記下電極が複数の圧力発生室に対向する領域を覆って設けられ当該下電極が引張り応力を有すると共に前記振動板の一部を構成し、前記圧力発生室の内面に当該圧力発生室の内面を保護する保護膜が設けられ該保護膜が圧縮応力を有すると共に前記振動板の一部を構成し、且つ前記弾性膜及び前記保護膜の張力の和と前記絶縁膜及び前記下電極の張力の和との差が、前記弾性膜及び保護膜の張力の和の2割以下であることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
【0012】
かかる第1の態様では、振動板を構成する各層の張力の合力が比較的小さく抑えられ、振動板の張力に起因するクロストークを防止できるため、駆動する圧電素子の数に拘わらず、常に均一なインク吐出特性が得られる。また、保護膜が設けられていることで、インクによる流路形成基板等の腐食を防止できると共に、振動板を構成する層が増加するため振動板の張力をより調整しやすくなる。
【0013】
本発明の第2の態様は、前記弾性膜が二酸化シリコンからなることを特徴とする第1の態様の液体噴射ヘッドにある。
【0014】
かかる第2の態様では、所定の材料を用いることにより、圧縮応力を有する弾性膜を確実に形成できる。
【0015】
本発明の第3の態様は、前記絶縁膜が二酸化ジルコニウムからなることを特徴とする第1又は2の態様の液体噴射ヘッドにある。
【0016】
かかる第3の態様では、所定の材料を用いることにより、引張り応力を有する絶縁膜を確実に形成できる。
【0027】
本発明の第4の態様は、前記圧力発生室がシリコン単結晶基板に異方性エッチングにより形成され、前記圧電素子の各層が成膜及びリソグラフィ法により形成されたものであることを特徴とする第1〜3の何れかの態様の液体噴射ヘッドにある。
【0028】
かかる第4の態様では、高密度のノズル開口を有する液体噴射ヘッドを大量に且つ比較的容易に製造することができる。
【0029】
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
【0030】
かかる第5の態様では、印刷品質を向上した液体噴射装置を実現することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0032】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図であり、図2はその平面図及び断面図である。
【0033】
図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる弾性膜50が形成されている。
【0034】
この流路形成基板10には、その他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11によって区画された圧力発生室12が形成されている。また、各列の圧力発生室12の長手方向外側には、後述するリザーバ形成基板30に設けられるリザーバ部31と連通孔51を介して連通し、各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成する連通部13が形成されている。また、この連通部13は、インク供給路14を介して各圧力発生室12の長手方向一端部とそれぞれ連通されている。
【0035】
ここで、異方性エッチングは、シリコン単結晶基板のエッチングレートの違いを利用して行われる。例えば、本実施形態では、シリコン単結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且つ上記(110)面と約35度の角度をなす第2の(111)面とが出現し、(110)面のエッチングレートと比較して(111)面のエッチングレートが約1/180であるという性質を利用して行われる。かかる異方性エッチングにより、二つの第1の(111)面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成される平行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行うことができ、圧力発生室12を高密度に配列することができる。
【0036】
本実施形態では、各圧力発生室12の長辺を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板10をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングすることにより形成されている。ここで、弾性膜50は、シリコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵される量がきわめて小さい。また各圧力発生室12の一端に連通する各インク供給路14は、圧力発生室12より浅く形成されており、圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。すなわち、インク供給路14は、シリコン単結晶基板を厚さ方向に途中までエッチング(ハーフエッチング)することにより形成されている。なお、ハーフエッチングは、エッチング時間の調整により行われる。
【0037】
このような流路形成基板10の厚さは、圧力発生室12を配列密度に合わせて最適な厚さを選択すればよく、圧力発生室12の配列密度が、例えば、1インチ当たり180個(180dpi)程度であれば、流路形成基板10の厚さは、220μm程度であればよいが、例えば、200dpi以上と比較的高密度に配列する場合には、流路形成基板10の厚さは100μm以下と比較的薄くするのが好ましい。これは、隣接する圧力発生室12間の隔壁11の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるからである。
【0038】
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側で連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.05〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、又は不錆鋼などからなる。ノズルプレート20は、一方の面で流路形成基板10の一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果たす。また、ノズルプレート20は、流路形成基板10と熱膨張係数が略同一の材料で形成するようにしてもよい。この場合には、流路形成基板10とノズルプレート20との熱による変形が略同一となるため、熱硬化性の接着剤等を用いて容易に接合することができる。
【0039】
ここで、インク滴吐出圧力をインクに与える圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズル開口21の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノズル開口21は数十μmの直径で精度よく形成する必要がある。
【0040】
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側の面には、上述したように、厚さが例えば、0.5μmの弾性膜50が設けられ、この弾性膜50上には、厚さが例えば、約0.4μmの絶縁膜55が設けられている。さらに、この絶縁膜55上には、厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約0.5〜5μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称する。
【0041】
なお、圧電素子300の上電極膜80の長手方向一端部近傍には、例えば、金(Au)等からなるリード電極90が接続され、このリード電極90は、流路形成基板10の端部近傍まで引き出されている。そして、図示しないが、このリード電極90の端部近傍は、圧電素子300を駆動するための駆動IC等とワイヤボンディングによって接続される。
【0042】
ここで、圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板は、本発明では、圧縮応力を有する圧縮膜と、引張り応力を有する引張り膜とを有し、この圧縮膜の張力と、引張り膜の張力との差が、圧縮膜又は引張り膜の張力の何れか大きい方の2割以下となっている。なお、ここでいう張力とは、各膜の内部応力と膜厚とを掛けた値である。
【0043】
例えば、本実施形態では、図3に示すように、圧電素子300を構成する下電極膜60は、複数の圧力発生室12に対向する領域に亘って連続的に設けられているため、弾性膜50、絶縁膜55及び下電極膜60が振動板として作用し、このうち、弾性膜50が圧縮応力を有し、絶縁膜55及び下電極膜60が引張り応力を有している。なお、圧力発生室12が形成された領域の振動板は、その張力が開放されるため、図3に示すように、弾性膜50の圧縮応力は、振動板を圧力発生室12の外側に引っ張る方向の力となり、絶縁膜55及び下電極膜60の引張り応力は、振動板を圧縮する方向の力となる。
【0044】
そして、本実施形態では、圧縮膜である弾性膜50は、例えば、二酸化シリコンからなり厚さが約0.5μmであるため、その張力は約110N/mとなる。一方、引張り膜である絶縁膜55は、例えば、二酸化ジルコニウムからなり厚さが約0.4μmであり、下電極膜60は、例えば、白金からなり厚さが約0.2μmであるためその張力の和は約100N/mとなる。したがって、弾性膜50の張力と絶縁膜55及び下電極膜60の張力の和との差は、約10N/mであり、圧縮膜又は引張り膜の張力の何れか大きい方、本実施形態では、弾性膜50の張力の2割以下となっている。なお、この弾性膜50の張力と、絶縁膜55及び下電極膜60の張力の和との差はできるだけ小さいことが好ましく、望ましくは零である。
【0045】
このように、本実施形態では、振動板を構成する圧縮膜(弾性膜50)の張力と、引張り膜(絶縁膜55及び下電極膜60)の張力との差が比較的小さいため、圧電素子300を駆動していない状態での振動板の撓み量(初期撓み量)が極めて小さく抑えられる。なお、弾性膜50の張力と絶縁膜55及び下電極膜60の張力の和との差が零であれば、振動板の初期撓みは実質的になくなることになる。
【0046】
これにより、1つの圧電素子300を駆動した場合と、複数の圧電素子300を同時に駆動した場合とで、振動板の変位量が変化するのを防止できる。すなわち、振動板の張力によって隔壁11が変形することがないため、複数の圧電素子300を同時に駆動しても隔壁11に変化が生じることがなく、振動板の張力に起因するクロストークの発生を抑えることができる。したがって、駆動する圧電素子300の数に拘わらず、振動板の変位量は一定となり、常に均一なインク吐出特性を得ることができる。
【0047】
なお、弾性膜50、絶縁膜55及び下電極膜60の張力は、それぞれの膜厚によって調整することができ、各膜厚は、振動板全体の張力バランスを考慮して決定されればよい。
【0048】
また、このような振動板の応力状態、すなわち、振動板全体の圧縮応力又は引張り応力の程度は、例えば、振動板の断面を電子顕微鏡等で観察することによって判定することができる。また、圧電素子300を除去して振動板の撓み状態を観察することによっても判定することができる。
【0049】
なお、このような振動板上、すなわち流路形成基板10の圧電素子300側には、各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部31を有するリザーバ形成基板30が接合されている。このリザーバ部31は、本実施形態では、リザーバ形成基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、振動板を貫通して設けられた貫通孔51を介して流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。
【0050】
このリザーバ形成基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
【0051】
また、リザーバ形成基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を確保した状態で、その空間を密封可能な圧電素子保持部32が設けられ、圧電素子300はこの圧電素子保持部32内に密封されている。
【0052】
さらに、このようなリザーバ形成基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
【0053】
なお、図示しないが、リザーバ形成基板30及びコンプライアンス基板40には、リザーバ100と外部とを連通するインク導入口が形成されており、このインク導入口からリザーバ100内にインクが供給される。
【0054】
そして、このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、図示しない外部インク供給手段からインク導入口を介してインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、図示しない駆動ICからの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、絶縁膜55、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
【0055】
以下、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドの製造工程、特に、振動板及び圧電素子300等を構成する各層を形成するプロセスを、図4及び図5を参照しながら説明する。
【0056】
まず、図4(a)に示すように、流路形成基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約1100℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコンからなり圧縮応力を有する弾性膜50を形成する。
【0057】
次いで、図4(b)に示すように、弾性膜50上に絶縁膜55を形成する。この絶縁膜55の材質としては、所定の強度を有し、且つ引張り応力を有する膜となる材料、例えば、二酸化ジルコニウムが好適に用いられる。
【0058】
本実施形態の絶縁膜55では、弾性膜50上にジルコニウム層をスパッタリングで形成後、約900℃の拡散炉で熱酸化処理することにより、引張り応力を有する二酸化ジルコニウムからなる絶縁膜55を形成した。
【0059】
次に、図4(c)に示すように、スパッタリング法で下電極膜60を絶縁膜55の全面に形成後、下電極膜60をパターニングして全体パターンを形成する。下電極膜60の材料としては、白金(Pt)が好適である。これは、スパッタリング法やゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体層70は、成膜後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜1000℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があるからである。すなわち、下電極膜60の材料は、このような高温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければならず、殊に、圧電体層70としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用いた場合には、酸化鉛の拡散による導電性の変化が少ないことが望ましく、これらの理由から白金が好適である。
【0060】
次に、図4(d)に示すように、圧電体層70を成膜する。この圧電体層70は、結晶が配向していることが好ましい。例えば、本実施形態では、金属有機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて形成することにより、結晶が配向している圧電体層70とした。圧電体層70の材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛系の材料がインクジェット式記録ヘッドに使用する場合には好適である。なお、この圧電体層70の成膜方法は、特に限定されず、例えば、スパッタリング法で形成してもよい。
【0061】
さらに、ゾル−ゲル法又はスパッタリング法等によりチタン酸ジルコン酸鉛の前駆体膜を形成後、アルカリ水溶液中での高圧処理法にて低温で結晶成長させる方法を用いてもよい。
【0062】
何れにしても、このように成膜された圧電体層70は、バルクの圧電体とは異なり結晶が優先配向しており、且つ本実施形態では、圧電体層70は、結晶が柱状に形成されている。なお、優先配向とは、結晶の配向方向が無秩序ではなく、特定の結晶面がほぼ一定の方向に向いている状態をいう。また、結晶が柱状の薄膜とは、略円柱体の結晶が中心軸を厚さ方向に略一致させた状態で面方向に亘って集合して薄膜を形成している状態をいう。勿論、優先配向した粒状の結晶で形成された薄膜であってもよい。なお、このように薄膜工程で製造された圧電体層の厚さは、一般的に0.2〜5μmである。
【0063】
次に、図5(a)に示すように、上電極膜80を成膜する。上電極膜80は、導電性の高い材料であればよく、アルミニウム、金、ニッケル、白金、イリジウム等の多くの金属や、導電性酸化物等を使用できる。本実施形態では、イリジウムをスパッタリングにより成膜している。
【0064】
次に、図5(b)に示すように、圧電体層70及び上電極膜80のみをエッチングして圧電素子300のパターニングを行う。
【0065】
次に、図5(c)に示すように、リード電極90を形成する。具体的には、例えば、金(Au)等からなるリード電極90を流路形成基板10の全面に亘って形成すると共に、各圧電素子300毎にパターニングする。
【0066】
以上が膜形成プロセスである。このようにして膜形成を行った後、前述したアルカリ溶液によるシリコン単結晶基板の異方性エッチングを行い、図5(d)に示すように、圧力発生室12、連通部13及びインク供給路14等を形成する。
【0067】
なお、実際には、上述した一連の膜形成及び異方性エッチングによって一枚のウェハ上に多数のチップを同時に形成し、プロセス終了後、図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10毎に分割する。そして、分割した流路形成基板10に、リザーバ形成基板30及びコンプライアンス基板40を順次接着して一体化することによってインクジェット式記録ヘッドとする。
【0068】
(実施形態2)
図6は、実施形態2に係るインクジェット式記録ヘッドの要部断面図である。
【0069】
本実施形態では、図6に示すように、圧力発生室12形成後、弾性膜50で形成される下面側も含めて圧力発生室12の内面に保護膜110を形成し、弾性膜50、絶縁膜55及び下電極膜60に加えてこの保護膜110で振動板を構成するようにした以外は、実施形態1と同様である。
【0070】
この保護膜110は、圧力発生室12のインクによる腐食の防止や、気泡の発生を抑えるためのものであり、例えば、本実施形態では、弾性膜50と同様に二酸化シリコンで形成されている。したがって、この保護膜110は、弾性膜50と同様に圧縮応力を有する。そして、本実施形態では、弾性膜50及び保護膜110の膜厚を調整することにより、これら弾性膜50及び保護膜110の張力の和と、絶縁膜55及び下電極膜60の張力の和との差が、弾性膜50及び保護膜110の張力の和の2割以下となるようにした。
【0071】
なお、この保護膜110の形成方法としては、圧電素子300等に悪影響を及ぼさない程度の比較的低温で形成できる方法であればよく、例えば、TEOS(テトラエチル オルトシリケート)を用いたCVD法を用いることができる。
【0072】
このような構成においても、勿論、実施形態1と同様に、振動板の張力に起因するクロストークを防止することができ、駆動する圧電素子300の数に拘わらず、常に均一なインク吐出特性を得ることができる。
【0073】
なお、本実施形態では、保護膜110が圧縮応力を有するようにしたが、勿論、引張り応力を有するようにしてもよい。この場合には、引張り膜である絶縁膜55及び下電極膜60の膜厚を調整すればよい。何れにしても、圧縮膜の張力と、引張り膜の張力との差が、圧縮膜又は引張り膜の張力の何れか大きい方の2割以下となるように、それぞれの膜厚を適宜決定すればよい。
【0074】
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的構成は上述したものに限定されるものではない。
【0075】
例えば、上述した実施形態では、下電極膜60が振動板の一部を構成するようにしたが、これに限定されず、下電極膜60は、圧電素子300毎にパターニングされていてもよい。この場合、弾性膜50及び絶縁膜55、或いは弾性膜50、絶縁膜55及び保護膜110が振動板として作用することになる。
【0076】
また、上述した実施形態では、成膜及びリソグラフィプロセスを応用することにより製造できる薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例示にしたが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、基板を積層して圧力発生室を形成するもの、あるいはグリーンシートを貼付もしくはスクリーン印刷等により圧電体層を形成するもの等、各種の構造のインクジェット式記録ヘッドに本発明を採用することができる。
【0077】
このように、本発明は、その趣旨に反しない限り、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドに応用することができる。
【0078】
また、これら各実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図7は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
【0079】
図7に示すように、インクジェット式記録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
【0080】
そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8上を搬送されるようになっている。
【0081】
また、上述の実施形態では、液体噴射ヘッドとして、印刷媒体に所定の画像や文字を印刷するインクジェット式記録ヘッドを一例として説明したが、勿論、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップの製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等、他の液体噴射ヘッドにも適用することができる。そして、色材噴射ヘッドではRGB(Red, Green, Blue)の色材を溶かした液体、電極材噴射ヘッドでは電極材を溶かした液体、生体有機物噴射ヘッドでは有機物を溶かした液体を、上記のインクに替えてそれぞれ用いる。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、振動板が圧縮応力を有する圧縮膜と、引張り応力を有する引張り膜とを有し、圧縮膜の張力と引張り膜の張力との差が、圧縮膜又は引張り膜の張力の何れか大きい方の2割以下であるようにしたので、多数の圧電素子を同時に駆動しても振動板の張力に起因するクロストークの発生を防止できる。したがって、駆動する圧電素子の数に拘わらず、圧電素子の駆動による振動板の変位量がほぼ一定となり、常に均一な特性で液体を吐出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す図であり、図1の平面図及び断面図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを構成する振動板の応力状態を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態2に係るインクジェット式記録ヘッドを構成する振動板の応力状態を示す断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記録装置の概略図である。
【符号の説明】
10 流路形成基板
11 隔壁
12 圧力発生室
50 弾性膜
55 絶縁膜
60 下電極膜
70 圧電体層
80 上電極膜
90 リード電極
100 リザーバ
110 保護膜
300 圧電素子[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a liquid ejecting head and a liquid ejecting apparatus that eject a liquid to be ejected, and in particular, pressurizes ink supplied to a pressure generating chamber that communicates with a nozzle opening that ejects ink droplets via a piezoelectric element or a heating element. The present invention relates to an ink jet recording head and an ink jet recording apparatus that eject ink droplets from nozzle openings.
[0002]
[Prior art]
A part of the pressure generation chamber communicating with the nozzle opening for discharging ink droplets is constituted by a vibration plate, and the vibration plate is deformed by a piezoelectric element to pressurize the ink in the pressure generation chamber to discharge ink droplets from the nozzle opening. Two types of ink jet recording heads have been put into practical use, one using a piezoelectric actuator in a longitudinal vibration mode in which a piezoelectric element extends and contracts in the axial direction and one using a piezoelectric element in a flexural vibration mode.
[0003]
The former can change the volume of the pressure generation chamber by bringing the end face of the piezoelectric element into contact with the vibration plate, and it is possible to manufacture a head suitable for high-density printing, while the piezoelectric element is arranged in an array of nozzle openings. There is a problem that the manufacturing process is complicated because a difficult process of matching the pitch into a comb-like shape and an operation of positioning and fixing the cut piezoelectric element in the pressure generating chamber are necessary.
[0004]
On the other hand, the latter can flexibly vibrate, although a piezoelectric element can be built on the diaphragm by a relatively simple process of sticking a green sheet of piezoelectric material according to the shape of the pressure generation chamber and firing it. There is a problem that a certain amount of area is required for the use of, and high-density arrangement is difficult.
[0005]
On the other hand, in order to eliminate the inconvenience of the latter recording head, a uniform piezoelectric material layer is formed by a film forming technique over the entire surface of the diaphragm as seen in Japanese Patent Laid-Open No. 5-286131. A material in which a piezoelectric layer is formed so that a material layer is cut into a shape corresponding to a pressure generation chamber by a lithography method and is independent for each pressure generation chamber has been proposed.
[0006]
This eliminates the need to affix the piezoelectric element to the diaphragm, so that not only can the piezoelectric element be created by a precise and simple technique called lithography, but also the thickness of the piezoelectric element can be reduced. There is an advantage that high-speed driving is possible.
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the ink jet recording head in which the nozzle openings are arranged at high density in this way, the rigidity of the partition walls that partition each pressure generating chamber is reduced, so that the partition walls are easily affected by the tension of the diaphragm. There is a problem that crosstalk due to the tension of the plate occurs.
[0008]
That is, there is a problem that the amount of displacement of the diaphragm in the region facing each pressure generating chamber changes depending on the number of piezoelectric elements to be driven, and the ink ejection characteristics are not stable.
[0009]
Such a problem exists not only in an ink jet recording head that ejects ink, but also in other liquid ejecting heads that eject liquid other than ink.
[0010]
In view of such circumstances, it is an object of the present invention to provide a liquid ejecting head and a liquid ejecting apparatus that can eject liquid with uniform characteristics by preventing crosstalk caused by tension of a diaphragm.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
According to a first aspect of the present invention for solving the above-described problem, a flow path forming substrate in which a pressure generation chamber communicating with a nozzle opening is defined, and a flow path forming substrate is provided on one surface via a diaphragm, and In a liquid ejecting head including at least a lower electrode, a piezoelectric layer, and a piezoelectric element having an upper electrode, the vibration plate is provided on the flow path forming substrate and has an elastic film having compressive stress, and the elastic film on the elastic film. An insulating film having a tensile stress provided, the lower electrode is provided to cover a region facing the plurality of pressure generating chambers, and the lower electrode has a tensile stress and constitutes a part of the diaphragm, A protective film for protecting the inner surface of the pressure generating chamber is provided on the inner surface of the pressure generating chamber, the protective film has a compressive stress and constitutes a part of the diaphragm, and the tension of the elastic film and the protective film And the insulating film and the bottom The difference between the sum of the poles of the tension, a liquid-jet head, wherein the or less elastic membrane and 20% of the sum of the tension of the protective film.
[0012]
In the first aspect, the resultant force of each layer constituting the diaphragm can be kept relatively small, and crosstalk due to the tension of the diaphragm can be prevented. Therefore, the first aspect is always uniform regardless of the number of driven piezoelectric elements. Ink ejection characteristics can be obtained. In addition, the provision of the protective film can prevent corrosion of the flow path forming substrate and the like due to ink, and the number of layers constituting the diaphragm increases, so that the tension of the diaphragm can be more easily adjusted.
[0013]
According to a second aspect of the invention, there is provided the liquid jet head according to the first aspect, wherein the elastic film is made of silicon dioxide.
[0014]
In the second aspect, an elastic film having a compressive stress can be reliably formed by using a predetermined material.
[0015]
According to a third aspect of the present invention, in the liquid jet head according to the first or second aspect, the insulating film is made of zirconium dioxide.
[0016]
In the third aspect, an insulating film having a tensile stress can be reliably formed by using a predetermined material.
[0027]
According to a fourth aspect of the present invention, the pressure generation chamber is formed on a silicon single crystal substrate by anisotropic etching, and each layer of the piezoelectric element is formed by film formation and lithography. The liquid jet head according to any one of the first to third aspects.
[0028]
In the fourth aspect, a large number of liquid jet heads having high-density nozzle openings can be manufactured relatively easily.
[0029]
A fifth aspect of the present invention is a liquid ejecting apparatus including the liquid ejecting head according to any one of the first to fourth aspects.
[0030]
In the fifth aspect, a liquid ejecting apparatus with improved print quality can be realized.
[0031]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail based on embodiments.
[0032]
(Embodiment 1)
FIG. 1 is an exploded perspective view showing an ink jet recording head according to Embodiment 1 of the present invention, and FIG. 2 is a plan view and a sectional view thereof.
[0033]
As shown in the figure, the flow
[0034]
The flow
[0035]
Here, the anisotropic etching is performed by utilizing the difference in etching rate of the silicon single crystal substrate. For example, in this embodiment, when a silicon single crystal substrate is immersed in an alkaline solution such as KOH, the first (111) plane perpendicular to the (110) plane is gradually eroded, and the first (111) plane. And a second (111) plane that forms an angle of about 70 degrees with the (110) plane and an angle of about 35 degrees appears, and the (111) plane is compared with the etching rate of the (110) plane. This is performed using the property that the etching rate is about 1/180. By this anisotropic etching, precision processing can be performed based on the parallelogram depth processing formed by two first (111) surfaces and two oblique second (111) surfaces. The
[0036]
In the present embodiment, the long side of each
[0037]
The thickness of the flow
[0038]
Further, a
[0039]
Here, the size of the
[0040]
On the other hand, as described above, the
[0041]
A
[0042]
Here, in the present invention, the diaphragm that is displaced by the driving of the
[0043]
For example, in the present embodiment, as shown in FIG. 3, the
[0044]
In this embodiment, the
[0045]
As described above, in this embodiment, the difference between the tension of the compression film (elastic film 50) constituting the diaphragm and the tension of the tension film (insulating
[0046]
Thereby, it is possible to prevent the displacement amount of the diaphragm from changing between when one
[0047]
Note that the tensions of the
[0048]
The stress state of the diaphragm, that is, the degree of compressive stress or tensile stress of the entire diaphragm can be determined by observing a cross section of the diaphragm with an electron microscope or the like, for example. The determination can also be made by removing the
[0049]
A reservoir having a
[0050]
As the
[0051]
Further, in a region facing the
[0052]
Further, a
[0053]
Although not shown, the
[0054]
The ink jet recording head according to this embodiment takes in ink from an external ink supply unit (not shown) through an ink introduction port, fills the interior from the
[0055]
Hereinafter, the manufacturing process of the ink jet recording head of the present embodiment, particularly the process of forming each layer constituting the diaphragm and the
[0056]
First, as shown in FIG. 4A, a silicon single crystal substrate wafer to be the flow
[0057]
Next, as shown in FIG. 4B, an insulating
[0058]
In the insulating
[0059]
Next, as shown in FIG. 4C, after the
[0060]
Next, as shown in FIG. 4D, the
[0061]
Furthermore, after forming a lead zirconate titanate precursor film by a sol-gel method or a sputtering method, a method of crystal growth at a low temperature by a high-pressure treatment method in an alkaline aqueous solution may be used.
[0062]
In any case, the
[0063]
Next, as shown in FIG. 5A, an
[0064]
Next, as shown in FIG. 5B, the
[0065]
Next, as shown in FIG. 5C,
[0066]
The above is the film forming process. After forming the film in this manner, the anisotropic etching of the silicon single crystal substrate with the alkali solution described above is performed, and as shown in FIG. 5D, the
[0067]
In practice, a large number of chips are simultaneously formed on a single wafer by the above-described series of film formation and anisotropic etching, and after the process is completed, a single chip-sized flow path is formed as shown in FIG. Divide each
[0068]
(Embodiment 2)
FIG. 6 is a cross-sectional view of a main part of the ink jet recording head according to the second embodiment.
[0069]
In the present embodiment, as shown in FIG. 6, after the
[0070]
This
[0071]
The
[0072]
Even in such a configuration, of course, as in the first embodiment, it is possible to prevent crosstalk due to the tension of the diaphragm, and the ink ejection characteristics are always uniform regardless of the number of
[0073]
In the present embodiment, the
[0074]
(Other embodiments)
While the embodiments of the present invention have been described above, the basic configuration of the ink jet recording head is not limited to that described above.
[0075]
For example, in the above-described embodiment, the
[0076]
Further, in the above-described embodiment, the thin film type ink jet recording head that can be manufactured by applying the film forming and lithography processes is exemplified. However, the present invention is not limited to this. For example, the substrate is laminated. The present invention can be applied to ink jet recording heads of various structures, such as those that form a pressure generating chamber, or those that form a piezoelectric layer by attaching a green sheet or screen printing.
[0077]
As described above, the present invention can be applied to ink jet recording heads having various structures as long as the gist of the invention is not contradicted.
[0078]
In addition, the ink jet recording head of each of these embodiments constitutes a part of a recording head unit including an ink flow path communicating with an ink cartridge or the like, and is mounted on the ink jet recording apparatus. FIG. 7 is a schematic view showing an example of the ink jet recording apparatus.
[0079]
As shown in FIG. 7, in the
[0080]
The driving force of the driving
[0081]
In the above-described embodiment, an example of an ink jet recording head that prints a predetermined image or character on a print medium has been described as an example of a liquid ejecting head. However, the present invention is not limited to this, For example, color material ejection heads used in the production of color filters such as liquid crystal displays, organic EL displays, electrode material ejection heads used in forming electrodes such as FEDs (surface emitting displays), and bio-organic matter ejections used in the production of biochips The present invention can also be applied to other liquid jet heads such as a head. In the color material ejecting head, a liquid in which RGB (Red, Green, Blue) color materials are dissolved, in an electrode material ejecting head, a liquid in which an electrode material is dissolved, and in a biological organic matter ejecting head, a liquid in which an organic substance is dissolved is used. Use each instead.
[0082]
【The invention's effect】
As described above, in the present invention, the diaphragm has a compression film having a compressive stress and a tensile film having a tensile stress, and the difference between the tension of the compression film and the tension of the tension film is the compression film or the tension film. Therefore, even if a large number of piezoelectric elements are driven simultaneously, the occurrence of crosstalk due to the tension of the diaphragm can be prevented. Therefore, regardless of the number of piezoelectric elements to be driven, the amount of displacement of the diaphragm due to the driving of the piezoelectric elements is substantially constant, and there is an effect that liquid can be ejected with uniform characteristics at all times.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is an exploded perspective view of an ink jet recording head according to an embodiment of the present invention.
2A and 2B are diagrams illustrating an ink jet recording head according to the first embodiment of the invention, and are a plan view and a cross-sectional view of FIG.
FIG. 3 is a cross-sectional view showing a stress state of a diaphragm constituting the ink jet recording head according to the first embodiment of the invention.
FIG. 4 is a cross-sectional view showing a thin film manufacturing process according to the first embodiment of the present invention.
FIG. 5 is a cross-sectional view showing a thin film manufacturing process according to the first embodiment of the present invention.
FIG. 6 is a cross-sectional view illustrating a stress state of a diaphragm included in an ink jet recording head according to a second embodiment of the invention.
FIG. 7 is a schematic view of an ink jet recording apparatus according to an embodiment of the present invention.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF
Claims (5)
前記振動板が前記流路形成基板上に設けられて圧縮応力を有する弾性膜と、該弾性膜上に設けられて引張り応力を有する絶縁膜とを含み、
前記下電極が複数の圧力発生室に対向する領域を覆って設けられ当該下電極が引張り応力を有すると共に前記振動板の一部を構成し、
前記圧力発生室の内面に当該圧力発生室の内面を保護する保護膜が設けられ該保護膜が圧縮応力を有すると共に前記振動板の一部を構成し、
且つ前記弾性膜及び前記保護膜の張力の和と前記絶縁膜及び前記下電極の張力の和との差が、前記弾性膜及び保護膜の張力の和の2割以下であることを特徴とする液体噴射ヘッド。A flow path forming substrate in which a pressure generating chamber communicating with a nozzle opening is defined, and a piezoelectric element that is provided on one surface of the flow path forming substrate via a vibration plate and has at least a lower electrode, a piezoelectric layer, and an upper electrode In a liquid jet head comprising:
The diaphragm includes an elastic film provided on the flow path forming substrate and having a compressive stress; and an insulating film provided on the elastic film and having a tensile stress;
The lower electrode is provided so as to cover a region facing the plurality of pressure generating chambers, and the lower electrode has a tensile stress and constitutes a part of the diaphragm,
A protective film for protecting the inner surface of the pressure generating chamber is provided on the inner surface of the pressure generating chamber, and the protective film has a compressive stress and constitutes a part of the diaphragm,
The difference between the sum of tensions of the elastic film and the protective film and the sum of tensions of the insulating film and the lower electrode is 20% or less of the sum of tensions of the elastic film and the protective film. Liquid jet head.
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