JP3885429B2 - 画像処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原稿から取得した画像データに対してその出力に必要となる画像処理を行う画像処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、複写機等の画像処理装置においては、白色紙による原稿の他に、新聞紙や色付き用紙等の如く用紙自体の色濃度の異なる原稿が読み取り対象となることがある。そのため、画像処理装置の中には、かかる原稿が読み取り対象となった場合でも最適な出力が得られるようにすべく、読み取り対象となった原稿における文字や図形以外の地肌部分の濃度レベル(以下「地肌レベル」という)を検出するとともに、その検出結果に応じた階調補正(以下、この補正を「下地除去」という)を行う機能を有したものがある。
【0003】
また、近年、複写機等の画像処理装置の中には、ハードディスク装置等の大容量記憶装置を備えることにより、多様な出力形態に対応する機能を有したものもある。多様な出力形態としては、いわゆるNアップ出力やシグネチャーモード出力等が挙げられる。Nアップ出力とは、N枚(複数)の原稿から読み取った画像データを記録用紙の一面に一覧表示するように合成して出力する出力形態をいう。また、シグネチャーモード出力とは、中綴じ本を形成するのに好適となるように、記録用紙両面のそれぞれに複数の原稿から読み取った画像データを合成して出力する出力形態をいう。これらNアップ出力やシグネチャーモード出力等のように画像データの合成処理を伴う出力(以下「合成出力」という)は、原稿から読み取った画像データを記憶装置内に一旦蓄積することにより実現されるものである。なお、記憶装置に蓄積される画像データに対しては、その蓄積容量削減のため、圧縮処理及び伸長処理が施されることが多い。
【0004】
ところで、このような下地除去と合成出力との双方に対応する場合に、画像処理装置では、画像データの合成処理を行った後に、その合成後の画像データに対して下地除去処理を行う必要がある。これは、画像データに対する圧縮処理の前に下地除去処理を行ってしまうと、その後の圧縮伸長処理時においてノイズ等が発生し、画質の劣化を招いてしまう可能性があるからであり、また圧縮伸長処理を行わない場合であっても、画像データの合成処理前に下地除去処理を行うと、その後に行う絵文字分離処理等で誤検知が発生してしまう可能性があるからである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の画像処理装置では、下地除去処理を行うのに際し、記録用紙一面分の画像データに対して一つの地肌レベルを基に当該下地除去処理を行うようになっている。そのため、上述したように下地除去と合成出力との双方に対応する場合には、合成すべき複数の原稿の地肌レベルがそれぞれ異なっていると、画像データの合成処理後に下地除去処理を行うことから、結果として下地除去が正しく行われない領域部分が発生してしまうおそれがある。
例えば、Nアップ出力を行う場合に、下地除去処理の基となる地肌レベルは、合成すべき各原稿の読み取り時に順次更新され、最後に読み取った原稿の地肌レベルが最終的な検出結果とされる。そのため、Nアップ出力のために合成される各原稿の地肌濃度がそれぞれ異なる場合には、最終的な検出結果である地肌レベルのみを基に下地除去処理が行われることから、下地除去が行えない領域部分が発生し、合成された各領域部分毎に画質のバラツキが生じる可能性がある。また、このバラツキ現象は、合成すべき各原稿の読み取り順によっても異なるという難点もある。
【0006】
これに対して、例えば特開平9−186876号公報には、下地除去処理を行うのに際し、領域を指定して地肌レベルを変えることで、画像の各部の状況に応じた適切な下地除去処理を行うことができる画像処理装置が開示されている。ところが、この画像処理装置は、原稿の一部に地肌と区別しにくいような絵柄がある場合に、絵柄を良好に再現しつつ下地除去処理を行って、画質の向上を図るようにしたものである。つまり、絵柄部分と地肌部分とで地肌レベルを変えるようにしたもので、合成処理によって合成された各原稿の地肌レベルのバラツキを補正するものではない。したがって、この画像処理装置を複数原稿からの画像データを合成するNアップ出力やシグネチャーモード出力等に適用しても、合成後の各部分領域はそれぞれ異なった画質で出力される可能性があり、結果として各原稿の地肌レベルのバラツキを補正することはできない。
【0007】
そこで、本発明は、下地除去と合成出力との双方に対応する場合に、合成すべき複数の原稿の地肌レベルがそれぞれ異なっていても、そのバラツキを補正して適切な下地除去処理を行うことのできる画像処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために案出された画像処理装置で、複数の原稿から読み取った画像データを一つの記録用紙上に出力し得るように合成するデータ合成手段と、前記複数の原稿の地肌レベルを検出する地肌検出手段と、前記データ合成手段による合成位置と前記地肌検出手段による各原稿の地肌レベルの検出結果とを対応させつつ、前記データ合成手段による合成後の画像データに対する下地除去処理を行うともに、当該下地除去処理を前記合成後の画像データの構成データのそれぞれに対して当該構成データの合成位置に対応する地肌レベルの検出結果に基づいて行う下地除去手段とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
上記構成の画像処理装置によれば、データ合成手段が複数の原稿からの画像データを合成すると、下地除去手段がその合成後の画像データに対して下地除去処理を行う。ただし、このとき、下地除去手段は、データ合成手段による合成位置と地肌検出手段による各原稿の地肌レベルの検出結果とを対応させつつ、合成後の画像データの構成データのそれぞれに対して、当該構成データの合成位置に対応する地肌レベルの検出結果に基づいて下地除去処理を行う。したがって、下地除去手段では、複数の原稿の地肌レベルがそれぞれ異なっていても、データ合成手段による合成位置に応じて異なる地肌レベルを基に下地除去処理を行うことになる。
【0010】
また、本発明に係る画像処理装置は、複数の原稿から読み取った画像データを一つの記録用紙上に出力し得るように合成するデータ合成手段と、前記複数の原稿の地肌レベルを検出する地肌検出手段と、前記データ検出手段が検出した前記複数の原稿の地肌レベルから一つの地肌レベルを選択する地肌選択手段と、前記データ合成手段による合成後の画像データに対して前記地肌選択手段が選択した地肌レベルを基に下地除去処理を行う下地除去手段とを備えるものである。
【0011】
上記構成の画像処理装置によれば、データ合成手段が複数の原稿からの画像データを合成すると、下地除去手段がその合成後の画像データに対して下地除去処理を行う。ただし、このとき、地肌選択手段は、データ検出手段が検出した地肌レベルから一つの地肌レベル、例えば最も高い濃度の地肌レベルや各原稿からの検出結果の平均値を選択する。したがって、下地除去手段では、複数の原稿の地肌レベルがそれぞれ異なっていても、それらの地肌レベルから地肌選択手段が任意に選択した一つの地肌レベルを基に下地除去処理を行うことになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明に係る画像処理装置について説明する。なお、ここでは、本発明を、複写機に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0013】
〔第1の実施の形態〕
先ず、請求項1および2記載の発明に係る画像処理装置について説明する。
図1は、本発明に係る画像処理装置の第1の実施の形態における概略構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の画像処理装置は、ユーザインタフェース(User Interface;以下「UI」という)1と、システムコントローラ(System Controller;以下「SYS」という)2と、CCD(Charge Coupled Device)センサ3と、A/D変換部4と、シェイディング補正部5と、グレイバランス補正部6と、下地検知部7と、メモリ部8と、画像処理部9と、編集部10と、下地除去部11と、TRC(Tone Reproduction Control)補正部12と、画像出力部(Image Output Terminal;以下「IOT」という)13と、から構成されている。
【0015】
UI1は、ユーザが操作するための操作パネル等からなるものである。このUI1における操作内容としては、例えばコピーモードの指定(通常出力を行うか、あるいはNアップ出力を行うか等)やコピースタートの指示がある。また、これらの操作があると、UI1では、その操作内容をSYS2へ通知するようになっている(図中▲1▼参照)。
【0016】
SYS2は、所定プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)やワークメモリとして使用されるRAM(Random Access Memory) 等を備えてなるもので、この画像処理装置全体の動作制御を行うものである。このSYS2が行う動作制御には、例えば画像処理部9に対する合成処理や下地除去処理等の指示発行がある(図中▲2▼,▲4▼参照)。
【0017】
CCDセンサ3は、原稿上に描かれた画像を光学的に読み取って、その原稿から画像データを取得するものである。
【0018】
A/D変換部4は、CCDセンサ3が取得した画像データをアナログデータからデジタルデータに変換するものである。
シェイディング補正部5は、A/D変換部4によるA/D変換後の画像データに対して、必要に応じてシェーディング補正を行うものである。
グレイバランス補正部6は、A/D変換部4によるA/D変換後の画像データに対して、必要に応じてグレイバランス調整を施すものである。
【0019】
下地検知部7は、CCDセンサ3が取得した画像データを基に、読み取り対象となった原稿の地肌レベルを検出するものである。すなわち、下地検知部7は、本発明における地肌検出手段として機能するものである。この下地検知部7による地肌レベルの検出結果は、SYS2へ通知されるものとする(図中▲3▼参照)。なお、この下地検知部7による地肌レベルの検出については、周知技術を利用して行うものであるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0020】
メモリ部8は、SDRAMやハードディスク装置等の記憶装置からなるもので、CCDセンサ3が取得した画像データを一旦記憶蓄積するものである。このメモリ部8内への画像データの蓄積に際しては、その蓄積容量削減のため、画像データに対する圧縮処理を行うようにしてもよい。
また、メモリ部8は、後述するように、本発明におけるデータ合成手段としての機能を有するものである。
【0021】
画像処理部9は、メモリ部8内から取り出した画像データに対して、所定の画像処理を行うものである。この画像処理部9が行う画像処理としては、例えば画像データの可視画像化に必要となる拡縮処理、色変換処理(RGBデータ→L* a* b* データ→YMCKデータ等)、色補正処理、フィルタ処理がある。なお、画像処理部9が行う処理は、SYS2からの指示に従って行われるものであるが(図中▲2▼参照)、その処理自体の詳細については従来のものと同様であるためここではその説明を省略する。
【0022】
編集部10は、複数の原稿から得られた画像データに対してメモリ部8が合成処理を行う場合に、その合成処理によって合成される各画像データを識別するためのエリア信号(Area tag)を生成し、これを合成処理後の画像データに付加するものである。すなわち、編集部10は、本発明における情報生成手段として機能するものである。なお、この編集部10が行うエリア信号の生成も、SYS2からの指示に従って行われるものとする(図中▲2▼参照)。
【0023】
下地除去部11は、画像処理部9による画像処理後の画像データに対して、下地検知部7が検出した地肌レベルを基に、下地除去処理を行うものである。ただし、下地除去部11では、画像処理部9が合成処理を行う場合であれば、詳細を後述するように、その合成処理による合成位置と下地検知部7が検出した各原稿の地肌レベルとを対応させつつ下地除去処理を行うようになっている。すなわち、下地除去部11は、本発明における下地除去手段として機能するものである。なお、この下地除去部11による下地除去処理については、周知技術を利用して行うものであるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0024】
TRC補正部12は、下地除去部11による下地除去処理後の画像データに対して、その出力側となるIOT13の階調に合わせる補正処理、すなわちTRC処理を行うものである。
【0025】
IOT13は、TRC補正部12から処理後の画像データを受け取ると、これを周知の電子写真技術を用いて、記録用紙上に可視画像として出力するものである。
【0026】
次に、以上のように構成された画像処理装置における処理動作例、特に下地除去と合成出力との双方に対応する場合の処理動作例について説明する。
図2は、本発明に係る画像処理装置の第1の実施の形態における処理動作例を示すフローチャートである。
【0027】
ここでは、UI1においてユーザが4アップ出力(4ページ分の原稿から読み取った画像データを記録用紙1ページ分に一覧表示する出力形態)を指定した場合を例に挙げて説明する。
図2に示すように、ユーザが4アップ出力を指定すると、UI1は、その指定内容をコピーモードとしてSYS2へ通知する(ステップ101、以下ステップをSと略す)。そして、UI1からの通知があると、SYS2は、通知されたコピーモードを基に、合成出力する原稿のページ数、すなわち記録用紙1ページ分の分割数を判断し、その判断結果を記録用紙の用紙サイズ(例えばA4サイズ)と共に編集部10に通知する(S102)。
【0028】
このとき、1ページ目の原稿がセットされた状態で、UI1においてユーザがコピースタートを指示すると(S103)、その旨の通知を受けたSYS2からの指示に従いつつ、CCDセンサ3はプリスキャンによってその1ページ目の原稿から画像データを取得する。そして、下地検知部7は、その画像データを解析して、1ページ目の原稿の地肌レベルを検出し、その検出結果をSYS2へ通知する(S104)。
【0029】
なお、この下地検知部7による地肌レベルの検出は、プリスキャン時に得られた画像データを基にして行うのではなく、本スキャン時に原稿の一部(例えば原稿の読み取り始めから数センチの部分)から得られた画像データを基にして行うようにしてもよい。
【0030】
下地検知部7が地肌レベルを検出し、SYS2がその検出結果の通知を受けると、続いて、SYS2は、通知された地肌レベルから、下地除去を行うのに必要なパラメータである下地除去値を求める(S105)。
【0031】
その後、CCDセンサ3は、SYS2からの指示に従いつつ、本スキャンによって1ページ目の原稿から画像データを取得する。この本スキャンにより取得した画像データが送られてくると、メモリ部8は、その画像データを受け取ってこれを記憶蓄積する(S106)。そして、このメモリ部8内における画像データの記憶蓄積が合成枚数となる4ページ分に満たなければ(S107)、セットされた原稿の交換を経た後に(S108)、2ページ目以降の原稿についても同様の処理を行い、4ページ分の画像データが全て記憶蓄積されるまでこれを繰り返し(S104〜S108)、合成する。
【0032】
メモリ部8内に4ページ分の画像データが全て蓄積されると、次いで、SYS2は、各ページ分の地肌レベルから求めた下地除去値をそれぞれ下地除去部11に通知する(S109)。これにより、下地除去部11は、4ページ分の画像データそれぞれに対する下地除去値を把握できることになる。
【0033】
下地除去部11が各画像データに対する下地除去値を把握すると、続いて、画像処理部9は、SYS2からの指示に従いつつ、メモリ部8内から4ページ分が合成された画像データを全て取り出して、これらに対する処理を行う(S110)。また、このとき、編集部10は、SYS2からの指示に従いつつ、画像処理部9による処理後の画像データに対し、各画像データを識別するためのエリア信号(Area tag)を付加する。
【0034】
ここで、画像処理部9による合成処理および編集部10によるエリア信号の付加処理について、さらに詳しく説明する。
図3は、本発明に係る画像処理装置の第1の実施の形態における合成処理の概要を示す説明図である。
【0035】
本実施形態では、図3に示すように、4ページ分の原稿上に描かれたそれぞれの画像A,B,C,Dが、記録用紙1ページ分上に一覧表示される出力画像A〜Dとなるように、画像処理部9が合成処理を行う。このとき、編集部10は、各画像A,B,C,Dとこれらの合成位置との間の対応関係が明確になるように、エリア信号としてArea tagを生成して、これを合成後の出力画像A〜Dを表す画像データに付加する。具体的には、出力画像A〜Dを表す画像データに対し、画像Aの合成位置に存在する画素データには「0」というArea tagを付加し、画像Bの合成位置に存在する画素データには「1」というArea tagを付加し、画像Cの合成位置に存在する画素データには「2」というArea tagを付加し、画像Dの合成位置に存在する画素データには「3」というArea tagを付加する。
【0036】
このようにして各画素データにArea tagを付加することで、編集部10は、合成された各ページの画像とその合成位置との関係、ひいてはその合成位置と各ページの地肌レベルとの関係を、互いに対応付けている。各画素データ毎にArea tagを付加するようにしたのは、出力画像A〜Dを表す画像データがビットマップ状のデータだからである。すなわち、各画素データ毎にArea tagを付加すれば、各画素データの座標上の位置を確認しなくても、上述した対応付けが明確となるからであり、これに伴ってデータ処理に多くの時間を要することもなくなるからである。
【0037】
ただし、エリア信号の付加は、上述した各画素データ毎のArea tagの付加ではなく、他の手法によって行うようにしてもよい。他の手法としては、例えば、各ページの画像を合成する際の主走査方向および副走査方向における境界部分のデータ値(座標値)と、各画素データの数を計数するカウンタによるカウント値とを基に、処理対象となる画素データがどの領域に属しているかを順次把握することによって、各ページの画像とその合成位置との関係を互いに対応付けるようにすることも考えられる。
【0038】
このようにして、メモリ部8による合成処理後の画像データに編集部10がエリア信号を付加すると、図2に示すように、その後、下地除去部11は、合成処理後の画像データに対して下地除去処理を行う。このとき、下地除去部11は、SYS2からの通知によって、4ページ分の画像データそれぞれに対する下地除去値を既に把握している(S109)。また、下地除去部11が処理する画像データ、さらに詳しくはその画像データを構成する各画素データには、編集部10によってArea tagがエリア信号として付加されている。したがって、下地除去部11は、それぞれの下地除去値と合成位置とを対応させながら、下地除去処理を行うようになっている。つまり、下地除去部11は、付加されたエリア信号(Area tag)に応じて、下地除去値を変えながら、合成処理後の画像データに対する下地除去処理を実行する(S111)。
【0039】
ここで、下地除去部11による下地除去処理について、さらに詳しく説明する。 図4および図5は、本発明に係る画像処理装置の第1の実施の形態における下地除去処理の概要を示す説明図である。
【0040】
下地除去部11は、例えば図4に示すように、画像処理部9による画像処理後の画像データ(以下「Video In」という)に対して、その値がSYS2から通知される下地除去値(以下「Th. 」という)より小さければ、後段に出力する画像データ(以下「Video Out 」という)の値が「0」となるように変換することによって、下地除去処理を実行する。具体的には、先ず、Th. レジスタの値を「2」の補数に変換する。そして、その変換後の値をVideo Inの値に加算し、その加算結果が負であれば、Video Out の値を「0」に丸める。また、加算結果を三倍して、その値が「255」以上であれば、Video Out の値を「255」に丸める。その後、これにより得られた値とVideo Inの値とを比較し、いずれか小さいほうをVideo Out として出力する。
【0041】
ただし、下地除去部11では、合成処理後の画像データに付加されたエリア信号に応じて、Th. を変えながら下地除去処理を行うようになっている。そのために、下地除去部11は、図5に示すように、下地除去ブロック11aと、セレクタ11bと、から構成されている。
【0042】
下地除去ブロック11aは、画像処理部9が合成し得る画像データ数、すなわち最大領域数分だけ処理ブロックを有しているもので、各処理ブロックが独自のTh. を基に上述した変換処理を行うようになっているものである。
また、セレクタ11bは、下地除去ブロック11aの各処理ブロックが行った下地除去処理の結果から、編集部10によって付加されたエリア信号(Area tag)を基に、いずれか一つの処理結果を選択し、これをVideo Out とするものである。
【0043】
これらにより、下地除去部11では、下地除去ブロック11aの各処理ブロックがそれぞれ並行して、例えば原稿Aに対応した除去値Th. 、原稿Bに対応した除去値Th. といったように、異なるTh. で下地除去処理を行った後に、セレクタ11bがそれぞれの処理結果の中からエリア信号(Area tag)を基にいずれか一つを選択し、これをVideo Out として出力するようになっている。つまり、エリア信号に応じて下地除去値を変えながら下地除去処理を行うことができる。
【0044】
このようにして、下地除去部11が下地除去処理を行うと、図2に示すように、TRC補正部12は、下地除去処理後の画像データにTRC処理を行った後に、その画像データをIOT13へ出力する(S112)。これにより、IOT13からは、下地除去と合成処理との双方が施された後の画像が記録用紙上に出力されることになる。
【0045】
以上のように、本実施形態における画像処理装置では、請求項1に記載した発明の如く、メモリ部8による合成処理後の画像データに対して下地除去処理を行うのにあたって、下地除去部11がその合成処理による合成位置と各原稿の地肌レベルの検出結果とを対応させるようになっている。そのため、下地除去部11では、複数の原稿の地肌レベルがそれぞれ異なっていても、メモリ部8による合成位置に応じて異なる地肌レベルを基に下地除去処理を行うことになる。
したがって、本実施形態の画像処理装置を用いれば、下地除去と合成出力との双方に対応する場合に、合成すべき複数の原稿の地肌レベル応じた下地除去処理が正しく行われる。例えば、Nアップ出力を行う場合に、各原稿の地肌濃度がそれぞれ異なっていても、下地除去が行えない領域部分が発生することがなく、また合成された各領域部分毎に画質のバラツキが生じてしまうこともない。
つまり、本実施形態の画像処理装置によれば、下地除去と合成出力との双方に対応する場合に、合成すべき複数の原稿の地肌レベルがそれぞれ異なっていても、そのバラツキを補正して適切な下地除去処理を行うことができる。
【0046】
また、本実施形態における画像処理装置では、請求項2に記載した発明の如く、合成される各ページ毎に画像データに対して、編集部10が各画像データを識別するためのエリア信号(Area tag)を付加するようになっている。したがって、本実施形態の画像処理装置を用いれば、そのエリア信号を基にすることで、上述したような適切な下地除去処理を、確実かつ容易に実現することができる。
【0047】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明に係る画像処理装置の第2の実施の形態について説明する。なお、本実施形態で説明する画像処理装置も、第1の実施の形態の場合と同様に、請求項1および2記載の発明に係るものであるため、ここでは、上述した第1の実施の形態との相違点についてのみ説明するものとする。
図6は、本発明に係る画像処理装置の第2の実施の形態における下地除去処理の概要を示す説明図である。図中において、第1の実施の形態と同一の構成要素については、同一の符号を与えている。
【0048】
本実施形態では、下地除去処理の手順が、第1の実施の形態の場合と異なる。すなわち、第1の実施の形態で説明したように最大領域数分の処理ブロックが行った下地除去処理の結果からエリア信号(Area tag)を基にいずれか一つの処理結果を選択するのではなく、画像データに同期しつつ下地除去値を切り替えながら一つの下地除去ブロックのみが下地除去処理を行うようになっている。
【0049】
詳しくは、図6に示すように、下地検知部7が各原稿の地肌レベルを検出すると、コード化部21がこれをコード化する。そして、このコード化部21によるコード化情報は、その後、デコード部22によってデコードされ、下地除去部23に通知される。ただし、このとき、デコード部22は、コード化部21からのコード化情報を、編集部10によって付加されたエリア信号(Area tag)を基にしつつ、デコードを行う。したがって、下地除去部23には、各原稿の地肌レベルに対応した下地除去値が、エリア信号を切り替え信号として、画像データの処理速度に同期しつつ、順次通知されることになる。
【0050】
そのため、下地除去部23では、第1の実施の形態の場合とは異なり一つの下地除去ブロック23aしか有していなくても、エリア信号に応じて下地除去値を変えながら下地除去処理を行うことができる。
【0051】
以上のように、本実施形態の画像処理装置においても、下地除去部23が下地除去処理を行うのにあたって、各原稿の合成位置とそれぞれの地肌レベルとを対応させるようになっているので、下地除去と合成出力との双方に対応する場合に、合成すべき複数の原稿の地肌レベルがそれぞれ異なっていても、そのバラツキを補正して適切な下地除去処理を行うことができる。
【0052】
〔第3の実施の形態〕
次に、請求項3記載の発明に係る画像処理装置について説明する。なお、ここでも、上述した第1の実施の形態との相違点についてのみ説明するものとする。図7は、本発明に係る画像処理装置の第3の実施の形態における概略構成を示すブロック図である。図中において、第1の実施の形態と同一の構成要素については、同一の符号を与えている。
【0053】
図7に示すように、本実施形態の画像処理装置は、エリア信号を付加する編集部10を備えていない点で、第1の実施の形態の場合と異なる。
さらに、SYS31は、下地検知部7から複数の原稿についての地肌レベルの検出結果が通知されると、これを基に一つの地肌レベルを選択し、その選択結果を下地除去部11に通知するようになっている。すなわち、本実施形態におけるSYS31は、本発明における地肌選択手段として機能を有している。
【0054】
このSYS31による地肌レベルの選択は、下地検知部7から通知された地肌レベルの検出結果をSYS31内のレジスタ等に一旦記憶し、読み取り対象となる全ての原稿の地肌レベルを記憶すると、その中から最適な地肌レベルを決定することで行う。最適な地肌レベルとしては、例えば、全ての原稿の地肌レベルの中で最も大きい(高濃度の)地肌レベルが考えられる。
【0055】
ただし、最適な地肌レベルの選択は、他の判断基準を基に行うようにしてもよい。例えば、各原稿から検出した地肌レベルの平均値を最適な地肌レベルとしたり、あるいは各原稿から検出した地肌レベルの中で最も出現頻度の高いものを最適な地肌レベルとすることが考えられる。また、予め設定された幾つかの判断基準の中から任意の判断基準を、UI1から選択指定し得るようにしてもよい。
【0056】
このようにしてSYS31が最適な地肌レベルを選択すると、下地除去部11は、その選択結果を基に下地除去処理を行う。すなわち、選択された一つの地肌レベルから求まる下地除去値を用いて、メモリ部8による合成処理後の画像データに対する下地除去処理を行う。
【0057】
ここで、本実施形態における下地除去部11が行う下地除去処理について、具体例を挙げて詳しく説明する。
図8は、下地除去処理の具体例を示す説明図である。図中では、4枚分の原稿上に描かれたそれぞれの画像A,B,C,Dを、記録用紙1枚分上に一覧表示する4アップ出力を行う場合を示している。また、1枚目および4枚目の原稿は地肌レベルが「10」であり、2枚目の原稿は地肌レベルが「30」であり、3枚目の原稿は地肌レベルが最も大きく「40」であるものとする。
【0058】
例えば、これらの原稿A,B,C,Dについて4アップ出力を行う場合に、SYS31は、3枚目の原稿の地肌レベルが最も大きいため、その地肌レベルを最適な地肌レベルとして決定し、これを基に下地除去処理を行うように下地除去部11に指示を与える。したがって、下地除去部11では、原稿A,B,C,Dの地肌レベルがそれぞれ異なっていても、地肌レベルが最も大きい原稿Cに合わせて下地除去処理を行うことになるので、図8(a)に示すように、合成後の全ての領域について良好に下地を除去し得るようになる。つまり、図8(b)に示す従来の場合のように、4枚のうちの最後の原稿Dの地肌レベルを基に下地除去処理を行った結果、下地除去が行えない領域部分が発生してしまうといったことを防止できる。
【0059】
以上のように、本実施形態における画像処理装置では、請求項3に記載した発明の如く、画像処理部9による合成処理後の画像データに対して下地除去処理を行うのにあたって、下地検知部7が検出した地肌レベルの中から、SYS31が最適と判断される一つの地肌レベルを選択するようになっている。そのため、下地除去部11では、複数の原稿の地肌レベルがそれぞれ異なっていても、SYS31が選択した一つの地肌レベルを基に下地除去処理を行うことになる。
したがって、本実施形態の画像処理装置を用いれば、下地除去と合成出力との双方に対応する場合に、合成すべき複数の原稿の地肌レベル応じた下地除去処理が正しく行われる。例えば、Nアップ出力を行う場合に、各原稿の地肌濃度がそれぞれ異なっていても、下地除去が行えない領域部分が発生することがなくなる。また、各原稿の読み取り順によって、下地除去処理の結果にバラツキが生じてしまうこともない。
つまり、本実施形態の画像処理装置によれば、下地除去と合成出力との双方に対応する場合に、合成すべき複数の原稿の地肌レベルがそれぞれ異なっていても、適切な下地除去処理を行うことができる。
【0060】
なお、上述した第1〜第3の実施の形態では、本発明を複写機に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、原稿から取得した画像データに対してその出力に必要となる画像処理を行うものであれば、例えばスキャナおよびプリンタ等を備えてなる画像処理ネットワークシステムであっても同様に適用することができる。
【0061】
また、本発明は、第1〜第3の実施の形態で説明した処理動作の手順に限定されるものではない。すなわち、例えば画像データに対し合成等の画像処理を行った後に、これを記憶蓄積するように構成された場合であっても、第1〜第3の実施の形態で説明した場合と全く同様に下地除去処理を行うことが可能である。
【0062】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の画像処理装置は、合成処理後の画像データに対して下地除去処理を行うのにあたって、その合成処理による合成位置と各原稿の地肌レベルの検出結果とを対応させるので、複数の原稿の地肌レベルがそれぞれ異なっていても、各原稿から得た画像データの合成位置に応じて異なる地肌レベルを基に下地除去処理を行うことになる。したがって、この画像処理装置よれば、下地除去と合成出力との双方に対応する場合に、各原稿の地肌濃度がそれぞれ異なっていても、合成すべき複数の原稿の地肌レベル応じた下地除去処理が正しく行われ、下地除去が行えない領域部分が発生したり、合成された各領域部分毎に画質のバラツキが生じてしまうことがなくなる。つまり、合成すべき複数の原稿の地肌レベルがそれぞれ異なっていても、そのバラツキを補正して適切な下地除去処理を行うことができる。
【0063】
また、本発明の画像処理装置は、合成処理後の画像データに対して下地除去処理を行うのにあたって、検出された地肌レベルを基に最適と判断される一つの地肌レベルを選択するので、複数の原稿の地肌レベルがそれぞれ異なっていても、選択した一つの地肌レベルを基に下地除去処理を行うことになる。したがって、この画像処理装置においても、全く同様に、合成すべき複数の原稿の地肌レベルがそれぞれ異なっていても、適切な下地除去処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態における画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】 第1の実施の形態における画像処理装置の処理動作例を示すフローチャートである。
【図3】 第1の実施の形態における画像データの合成処理の概要を示す説明図である。
【図4】 第1の実施の形態における下地除去処理の概要を示す説明図(その1)である。
【図5】 第1の実施の形態における下地除去処理の概要を示す説明図(その2)である。
【図6】 本発明の第2の実施の形態における下地除去処理の概要を示す説明図である。
【図7】 本発明の第3の実施の形態における画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図8】 下地除去処理の具体例を示す説明図であり、(a)は第3の実施の形態における場合を示す図、(b)は従来の場合を示す図である。
【符号の説明】
2,31…SYS、7…地検知部、9…画像処理部、10…編集部、11…下地除去部
Claims (3)
- 複数の原稿から読み取った画像データを一つの記録用紙上に出力し得るように合成するデータ合成手段と、
前記複数の原稿の地肌レベルを検出する地肌検出手段と、
前記データ合成手段による合成位置と前記地肌検出手段による各原稿の地肌レベルの検出結果とを対応させつつ、前記データ合成手段による合成後の画像データに対する下地除去処理を行うとともに、当該下地除去処理を前記合成後の画像データの構成データのそれぞれに対して当該構成データの合成位置に対応する地肌レベルの検出結果に基づいて行う下地除去手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。 - 前記データ合成手段による合成位置と前記地肌検出手段が検出した各原稿の地肌レベルとを対応させるべく、前記複数の原稿に関する識別情報を生成する情報生成手段を備えることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 複数の原稿から読み取った画像データを一つの記録用紙上に出力し得るように合成するデータ合成手段と、
前記複数の原稿の地肌レベルを検出する地肌検出手段と、
前記データ検出手段が検出した前記複数の原稿の地肌レベルから一つの地肌レベルを選択する地肌選択手段と、
前記データ合成手段による合成後の画像データに対して前記地肌選択手段が選択した地肌レベルを基に下地除去処理を行う下地除去手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
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