JP3884993B2 - 画像記録装置および画像記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像記録装置およびそれらの制御方法に関し、例えば、被記録材へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置における均一な画像の記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリンター、複写機、ファクシミリ等において、画像等の記録に用いられる記録装置、あるいはコンピューターやワードプロセッサー等を含む複合電子機器やワークステーション等のプリント出力機器として用いられる記録装置は、画像情報(文字情報等すべての出力情報を含む)に基づいて用紙やプラスチック薄板等の記録材(以下、記録媒体とも言う)に画像等を記録するように構成されている。
【0003】
このような記録装置は、その記録方法により、インクジェット方式、ワイヤドット方式、サーマル方式、レーザービーム方式等に分けることができる。
【0004】
このうち、インクジェット方式の記録装置(以下、インクジェットプリンタと言う)は、記録ヘッドなどから記録媒体にインクを吐出して記録を行うものであり、他の記録方式に比べて高精細化が容易でしかも高速で静粛性に優れ、かつ安価であるという、種々の利点を有している。
【0005】
一方、近年では、カラー画像などのカラー出力の重要性も高まり、銀塩写真に匹敵する高画質のカラーインクジェットプリンタも数多く開発されている。
【0006】
このようなインクジェットプリンタにおいては、記録速度向上のため、複数の記録素子を集積配列してなる記録ヘッド(以下、マルチヘッドとも言う)として、インク吐出口及び液路を複数集積したものを用い、さらにカラー対応として、複数個の上記マルチヘッドを備えたものが一般的である。
【0007】
図1は上記マルチヘッドを用いて紙面上に記録を行うための一般的なインクジェットプリンタの主要部の構成を示したものである。
【0008】
図1において、1101はインクジェットカートリッジである。これらは、4色のカラーインク、すなわちブラック、シアン、マゼンタおよびイエローのインクがそれぞれ貯留されたインクタンクとそれぞれのインクに対応したマルチヘッド1102より構成されている。
【0009】
図2はこのマルチヘッド1102に配設されるある一色の吐出口(以下、ノズルともいう)を図1中z方向から視た模式図である。
【0010】
図2において、1201はそれぞれマルチヘッド1102上において1インチ当たりD個のノズル密度(Ddpi)でD個配列されたノズルである。d個配列されたノズルをy方向に偶数個目のノズルをEvenノズル、奇数個目のノズルをOddノズルと言う。
【0011】
図1において、1103は紙送りローラであり、補助ローラ1104とともに記録媒体Pを挾持しながら図の矢印の方向に回転し、記録媒体Pをy方向(副走査方向、搬送方向、紙送り方向)に随時搬送する。
【0012】
1105は一対の給紙ローラであり、記録媒体の給紙を行う。一対のローラ1105は、ローラ1103および1104と同様、記録媒体Pを挾持して回転するが、紙送りローラ1103よりもその回転速度を小さくすることによって記録媒体に張力を作用させることができる。
【0013】
1106は4つのインクジェットカートリッジ1101を支持し、記録とともにこれらの走査を行わせるためのキャリッジである。キャリッジ1106は記録を行っていないとき、あるいはマルチヘッド1102の回復処理などを行うときに図の破線で示した位置のホームポジションhに待機する。
【0014】
記録開始前にホームポジションhにあるキャリッジ1106は、記録開始命令があると、x方向(主走査方向)に移動しながら、マルチヘッド1102の1インチ当たりD個の密度で配列するD個のノズル1201により、紙面上に幅D/Dインチの記録を行う。この最初の記録が終了してから2回目の記録が始まる前に、紙送りローラ1103が矢印方向へ回転することにより幅D/Dインチだけy方向への紙送りを行う。
【0015】
この様にしてキャリッジ1106の1主走査毎にマルチヘッド1102による幅D/Dインチの記録(記録媒体の1インチ幅をD個のノズルを用いて記録)と紙送りを繰り返し行うことにより、例えば一頁分の記録を完成することができる。なお、このような記録モードを以下では1パス記録モードという。
【0016】
また、別の記録モードとして、記録開始前にホームポジションhにあるキャリッジ1106は、記録開始命令があると、x方向(例えば、主走査の順方向)に移動しながら、マルチヘッド1102の1インチ当たりD個の密度で配列するD個のノズル1201により、紙面上に幅D/Dインチの記録を行う。
【0017】
この時の走査で記録するドットは、規定の画像データを、所定のパターンで約半分に間引いたものである。この最初の記録が終了してから2回目の記録が始まる前に、紙送りローラ1103が矢印方向へ回転することにより幅D/2Dインチだけのy方向への紙送りを行う。
【0018】
そして、2回目の走査でキャリッジ1106は1回目の記録とは逆方向に走査(例えば、主走査の逆方向)を行い、それぞれのパターンに従い記録を行うことにより、それぞれのノズルに対応する領域の記録を完成させる。以上のような記録モードを2パス記録モードと言う。以下、一般にM(≧2)パス記録を総称して、マルチパス記録モードと言う。
【0019】
この様なマルチパス記録モードで、カラープリンタとして高画質に写真画像を記録する場合は最適である。
【0020】
しかしながら、ノズルから吐出されるインク滴の吐出方向、または、吐出の際に主滴から切り離された主滴よりも小さなインク滴(サテライトと称す。)により、均一な画像が得られない場合がある。
【0021】
特に、d個並べられたノズルのEvenノズルとOddノズルで吐出方向が主走査方向において異なると、サテライトの紙面上への着弾位置が異なり均一な画像が得られない場合がある。
【0022】
以下、EvenノズルとOddノズルの異なる吐出方向とサテライトにより均一な画像が得られない場合について、図面を用いて詳細に説明する。
【0023】
図3(a)〜3(c)はインク滴吐出方向による主滴とサテライトの記録媒体である紙面上の着弾位置を表す図である。
【0024】
図3(a)は、インク滴吐出方向は紙面に対して垂直な場合の主滴とサテライトの着弾位置を示す模式図である。
【0025】
図3(b)は、インク滴吐出方向はキャリッジ進行方向に傾いている場合の主滴とサテライトの着弾位置を示す模式図である。
【0026】
図3(c)は、インク滴吐出方向はキャリッジ進行方向の逆に傾いている場合の主滴とサテライトの着弾位置を示す模式図である。
【0027】
図3(a)〜図3(c)において、1301は主滴、1302はサテライト、1303はキャリッジ進行方向、1304は吐出の傾き方向を示している。
【0028】
まず、図3(a)を用いて、インク滴吐出方向が記録媒体である紙面に対して垂直な場合、すなわちインク滴吐出方向がキャリッジ進行方向に傾いていない場合の主滴とサテライトの着弾位について、説明する。
【0029】
図3(a)において、ノズルから吐出される主滴1301とサテライト1302の吐出速度を比較すると、通常、主滴1301の吐出速度がサテライト1302の吐出速度より大きい。したがって、インクが吐出してから記録媒体に着弾までに要する時間は、主滴1301よりサテライト1302のほうが大きい。その為、主滴1301が記録媒体である紙面上に着弾したあとに、サテライト1302が着弾するため、主滴1301が着弾してからサテライト1302が着弾するまでに所定の時間を要する。
【0030】
ここで、主滴1301およびサテライト1302の吐出は、キャリッジ1106の移動中に行われるため、主滴1301およびサテライト1302の吐出速度には、キャリッジ進行方向におけるキャリッジ速度が加算される。
【0031】
このため、記録媒体である紙面上への主滴1301の着弾点とサテライト1302の着弾点は異なる位置となる。すなわち、図3(a)に示す主滴1301の着弾位置に対して、サテライト1302はキャリッジ1106の進行方向に着弾する。
【0032】
次に、図3(b)を用いて、インク滴吐出方向が記録媒体である紙面に対してキャリッジ進行方向1303に傾いている場合の主滴とサテライトの着弾位について、説明する。
【0033】
図3(b)において、インク滴吐出方向はキャリッジ進行方向1303に傾いている。その為、サテライト1302のキャリッジ進行方向1303の速度はインク滴吐出方向が紙面に対して垂直な場合(図3(a))の速度より大きくなるため、サテライト1302の着弾点は、図3(a)に示したサテライト1302の着弾点よりさらに主滴1301から離れた図に示す位置に着弾することとなる。
【0034】
次に、図3(c)を用いて、インク滴吐出方向が記録媒体である紙面に対してキャリッジ進行方向1303とは逆の方向に傾いている場合の主滴とサテライトの着弾位について、説明する。
【0035】
図3(c)において、インク滴吐出方向はキャリッジの進行方向1303と逆の方向に傾いている。その為、サテライト1302のキャリッジ進行方向の速度はインク滴吐出方向が紙面に対して垂直な場合(図3(a))の速度より小さくなるため、サテライト1302の着弾点は、図3(a)に示したサテライト1302の着弾点よりさらに主滴1301に近い位置またはキャリッジ進行方向の逆側に着弾することとなる。図3(c)ではその一例として、主滴1301とほぼ同位置にサテライト1302が着弾した場合を示している。
【0036】
次に、図4(a)〜4(d)および図5(a)〜5(d)を用いて、従来のインクジェットプリンタによって行われているマルチパス記録モードにおける記録画質の問題点について説明する。
【0037】
なお図4(a)〜4(d)および図5(a)〜5(d)では、Evenノズルは主走査方向にインク滴吐出方向が傾いており、Oddノズルは主走査方向とは逆の方向にインク滴吐出方向が傾いている場合について説明するが、傾き方向がそれぞれ逆方向であっても同様である。
【0038】
まず図4(a)〜4(d)について説明する。
【0039】
図4(a)〜4(d)は、4パスで記録を行うマルチパス記録モードで、1/ Dインチ四方を単位記録画素(点線で囲まれる領域)とし、単位記録画素に4ドットの記録、記録媒体の紙送りを1/ Dインチの偶数倍で行う場合の模式図であり、以下に説明する4パターンがある。
【0040】
図4(a)はキャリッジが主走査方向(x)方向に進行中にEvenノズルで1パス目の記録が始まる場合のドット配置を示す模式図である。
【0041】
図4(b)はキャリッジが主走査方向(x)方向に進行中にOddノズルで1パス目の記録が始まる場合のドット配置を示す模式図である。
【0042】
図4(c)はキャリッジが主走査方向(x)方向と逆に進行中にEvenノズルで1パス目の記録が始まる場合のドット配置を示す模式図である。
【0043】
図4(d)はキャリッジが主走査方向(x)方向と逆に進行中にOddノズルで1パス目の記録が始まる場合のドット配置、を表す模式図である。
【0044】
なお、図4(a)〜4(d)において、401は1パス目の記録ドット、402は2パス目の記録ドット、403は3パス目の記録ドット、404は4パス目の記録ドットを示している。実際には、上記1〜4パス目の4種の記録ドットは重なって記録されており、図4(a)〜4(d)の場合には、1つの主滴と1つのサテライトが形成され、これらが単位記録画素の階調を表現することとなる。しかし、以下の説明では説明を簡便に行うため、上記表現を用いることとする。なお、図4(a)〜4(d)は記録媒体上において以下のように出現する。すなわち、図4(a)と図4(b)(もしくは、図4(c)と図4(d))が紙送り方向において1/Dインチ毎に交互に出現する。
【0045】
また図4(a)〜4(d)において、単位記録画素中に記載した矢印(←、→)は各パス記録におけるキャリッジの進行方向を示しており、EはEvenノズルで記録されたドット、OはOddノズルで記録されたドットを示している。 次に、以上説明した図4(a)〜4(d)を用いて、従来のマルチパス記録モードにおける記録画質の問題点について詳細に説明する。
【0046】
まず図4(a)のパターンについて説明する。
【0047】
図4(a)において、1パス目はキャリッジが主走査方向(x)方向に移動中にEvenノズルで記録が行われる為、主滴301とサテライト302は、離れた位置に着弾する。
【0048】
次に、2パス目は1/ Dインチの偶数倍の紙送りの後行われる為、同じくEvenノズルで記録が行われる。さらにキャリッジ106がx方向と逆方向に移動中に記録が行われる為、主滴301とサテライト302は近い位置に着弾する。次に3パス目、4パス目もそれぞれ上記説明した1パス目、2パス目と同様の記録が行われる為、図4(a)に示す様なドット配置で記録が行われる。
【0049】
すなわち、図4(a)に示すように、キャリッジ106が主走査方向(x)に進行中にEvenノズルで1パス目の記録が始まる場合には単位記録画素内では全てのドットがEvenノズルで記録される。
【0050】
次に図4(b)のパターンについて説明する。
【0051】
図4(b)において、1パス目はキャリッジが主走査方向(x)と逆方向に移動中にOddノズルで記録が行われる為、主滴301とサテライト302は、離れた位置に着弾する。
【0052】
次に、2パス目は1/ Dインチの偶数倍の紙送りの後行われる為、同じくOddノズルで記録が行われる。さらにキャリッジ106がx方向に移動中に記録が行われる為、主滴301とサテライト302は近い位置に着弾する。
【0053】
次に3パス目、4パス目もそれぞれ上記説明した1パス目、2パス目と同様の記録が行われる為、図4(b)に示す様なドット配置で記録が行われる。
【0054】
すなわち、図4(b)に示すように、キャリッジ106が主走査方向(x)と逆方向に進行中にOddノズルで1パス目の記録が始まる場合には単位記録画素内では全てのドットがOddノズルで記録される。
【0055】
同様にして、図4(c)および図4(d)の場合でも、単位記録画素内では全てのドットがEven、Oddノズルのどちらか片方のノズルのみで記録される。
【0056】
図4(a)〜4(d)で図示したように全ての記録画素がOddノズルまたはEvenノズルで記録されると、Oddノズル、Evenノズルでインク吐出量が異なる等の吐出特性が異なる場合もあり、ある画素では記録したインク量が大で、ある画素では記録したインク量が小等の視覚的に不均一な画像が記録されることになる。
【0057】
さらに図4(a)と図4(b)(もしくは図4(c)と図4(d))は、紙送り方向に対して1/Dインチ毎に交互に現れる。つまり、サテライト1302の着弾位置が主滴1301に対して1/Dインチ毎に左右交互に現れる。言い換えれば、主滴の右側にサテライトが出現する画素(図4(a)の画素)と主滴の左側にサテライトが出現する画素(図4(b)の画素)とが紙送り方向において1/Dインチ毎に交互に出現するのである。このため、視覚的に不均一な画像が記録されてしまうことになる。
【0058】
次に、図5(a)〜5(d)について説明する。
【0059】
図5(a)〜5(d)は、4パスで記録を行うマルチパス記録モードで、1/ Dインチ四方を単位記録画素とし、単位記録画素(点線で囲まれる領域)に4ドットの記録、記録媒体の紙送りを1/ Dインチの奇数倍で行う場合の模式図であり、以下に説明する図5(a)〜図5(d)の4パターンがある。なお、この図5では、上述した図4と同様、説明を理解し易くするために、4ドットが単記録画素の異なる位置に着弾するかのように図示しているが、実際には、これら4ドットは単位記録画素内のほぼ同一点に着弾する。また、図5(a)〜図5(d)の出現の仕方も図4と同様であり、図5(a)と図5(b)(もしくは、図5(c)と図5(d))が紙送り方向において1/Dインチ毎に交互に出現する。
【0060】
図5(a)はキャリッジがx方向に進行中にEvenノズルで1パス目の記録が始まる場合のドット配置を示す模式図である。
【0061】
図5(b)はキャリッジがx方向に進行中にOddノズルで1パス目の記録が始まる場合のドット配置を示す模式図である。
【0062】
図5(c)はキャリッジがx方向と逆に進行中にEvenノズルで1パス目の記録が始まる場合のドット配置を示す模式図である。
【0063】
図5(d)はキャリッジがx方向と逆に進行中にOddノズルで1パス目の記録が始まる場合のドット配置を示す模式図である。
【0064】
なお、図5(a)〜5(d)において、401は1パス目の記録ドット、402は2パス目の記録ドット、403は3パス目の記録ドット、404は4パス目の記録ドットを示し、単位記録画素中に記載した矢印(←、→)は各パス記録におけるキャリッジの進行方向を示しており、EはEvenノズルで記録されたドット、OはOddノズルで記録されたドットを示している。上記の各符号の説明は、図4(a)〜4(d)と同じであり、重複するのでその説明は省略する。またOddノズル、Evenノズルの吐出の傾き方向も上記説明したように図4(a)〜4(d)と同様である。
【0065】
次に、以上説明した図5(a)〜5(d)を用いて、従来のマルチパス記録モードにおける記録画質の問題点について詳細に説明する。
【0066】
まず図5(a)のパターンについて説明する。
【0067】
図5(a)において、1パス目はキャリッジが主走査方向(x)方向に移動中にEvenノズルで記録が行われる為、主滴301とサテライト302は、離れた位置に着弾する。
【0068】
次に、2パス目は1/ Dインチの奇数倍の紙送りの後、Oddノズルで記録が行われる。またキャリッジがx方向と逆方向に移動中に記録が行われる為、主滴301とサテライト302は離れた位置に着弾する。
【0069】
次に3パス目、4パス目もそれぞれ上記説明した1パス目、2パス目と同様の記録が行われる為、図5(a)に示す様なドット配置で記録が行われる。
【0070】
すなわち、図5(a)に示すように、キャリッジ106が主走査方向(x)に進行中にEvenノズルで1パス目の記録が始まる場合には単位記録画素内では全てのドットは、OddノズルまたはEvenノズルを交互に用いて記録される。
【0071】
次に図5(b)のパターンについて説明する。
【0072】
図5(b)において、1パス目はキャリッジが主走査方向(x)方向に移動中にOddノズルで記録が行われる為、主滴301とサテライト302は近い位置に着弾する。
【0073】
次に、2パス目は1/ Dインチの奇数倍の紙送りの後、Evenノズルで記録が行われる。またキャリッジ106がx方向と逆方向に移動中に記録が行われる為、主滴301とサテライト302は近い位置に着弾する。
【0074】
次に3パス目、4パス目もそれぞれ上記説明した1パス目、2パス目と同様の記録が行われる為、図5(b)に示す様なドット配置で記録が行われる。
【0075】
すなわち、図5(b)に示すように、キャリッジ106が主走査方向(x)に進行中にOddノズルで1パス目の記録が始まる場合には、単位記録画素内では全てのドットは、OddノズルまたはEvenノズルを交互に用いて記録される。
【0076】
図5(c)および図5(d)の場合については、説明を省略するが上記説明した図5(a)および図5(b)と同様に単位記録画素内では全てのドットは、OddノズルまたはEvenノズルを交互に用いて記録される。
【0077】
すなわち図5(a)〜5(b)で図示したように1/D インチの奇数倍の紙送りで記録を行うことにより、全ての単位記録画素がOddノズルまたはEvenノズルのみで記録されることは無くなる。
【0078】
しかしながら、図5(a)と図5(b)(もしくは図5(c)と図5(d))は、紙送り方向に1/Dインチ毎に交互に現れる。つまり、サテライト302の着弾位置が主滴301に対して紙送り方向に1/Dインチ毎に左右交互に現れる。言い換えれば、主滴の左右両方にサテライトが出現する画素(図5(a)の画素)とサテライトが出現しない画素(図5(b)の画素)とが紙送り方向において1/Dインチ毎に交互に出現するのである。このため、視覚的に不均一な画像が記録されてしまうことになる。
【0079】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、記録ヘッドを主走査方向、記録媒体を副走査方向に繰り返し走査を行いマルチパス(2パス以上)記録で画像を形成する従来のインクジェットプリンタにおいては、ノズル間隔が1/ D インチのマルチヘッドを用い、Oddノズル、Evenノズルで異なる吐出特性をもっている場合、紙送りを1/ Dインチの偶数倍、または奇数倍の繰り返しで記録を行うと視覚的に不均一な画像が記録されてしまうことがあった。
【0080】
本発明は上記説明した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、2パス以上のマルチパス記録における視覚的に不均一な画像の記録を回避して、均一で良好な画像記録を行うことが可能な画像記録装置およびその制御方法を提供することである。
【0081】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る一実施形態の画像記録装置は、以下の構成を有する。すなわち、同色のインクを吐出するための複数のノズルが所定の間隔で配列された記録ヘッドを記録媒体の単位画素領域に対して前記ノズルの配列方向と交差する方向へ複数回走査させ、前記複数回の走査において異なるノズルから当該単位画素領域に対してインクを吐出することで、前記単位画素領域に対する記録を行う画像記録装置であって、第1方向への走査と、当該第1方向とは反対の第2方向への走査が交互になされる複数回の走査において、前記単位画素領域に対して前記記録ヘッドからインクを吐出して記録を行う手段と、前記走査と走査との間に、前記記録媒体を搬送方向へ所定の搬送量だけ搬送する搬送手段と、前記走査と走査との間の搬送量が前記間隔の偶数倍の搬送量あるいは奇数倍の搬送量のいずれかとなるように制御し、且つ前記単位画素領域の記録のための複数回の走査の間に、前記間隔の偶数倍の搬送量と前記奇数倍の搬送量とが少なくとも1回づつ含まれるように制御する制御手段とを備え、前記所定の間隔で配列される複数のノズルのうちの、奇数番目に属するノズルのインク吐出方向と偶数番目に属するノズルのインク吐出方向が走査方向において逆であることにより、前記奇数番目に属するノズルから吐出されるインクの主滴とサテライトの走査方向における位置関係が前記偶数番目に属するノズルから吐出されるインクの主滴とサテライトの走査方向における位置関係と異なることを特徴とする。
【0082】
また、本発明に係る一実施形態の画像記録装置は、以下の構成を有する。すなわち、同色のインクを吐出するための複数のノズルが所定の間隔で配列された記録ヘッドを、記録媒体の単位画素領域に対して前記ノズルの配列方向と交差する方向へ複数回走査させ、前記複数回の走査において異なるノズルから当該単位画素領域に対してインクを吐出することで、前記単位画素領域に対する記録を行う画像記録装置であって、第1方向への走査と、当該第1方向とは反対の第2方向への走査が交互になされる複数回の走査において、前記単位画素領域に対して前記記録ヘッドからインクを吐出して記録を行う手段と、前記走査と走査の間に、前記記録媒体を搬送方向へ所定の搬送量だけ搬送する搬送手段と、前記走査と走査との間の搬送量が前記間隔の偶数倍の搬送量あるいは奇数倍の搬送量のいずれかとなるように制御し、且つ前記単位画素領域の記録のための複数回の走査の間に、前記間隔の偶数倍の搬送量と前記奇数倍の搬送量とが少なくとも1回づつ含まれるように制御する制御手段とを備え、前記所定の間隔で配列される複数のノズルのうちの、奇数番目に属するノズルのインク吐出方向と偶数番目に属するノズルのインク吐出方向が走査方向において逆であることにより、前記奇数番目に属するノズルから前記第1方向への走査時に吐出されるインクの主滴とサテライトの走査方向における位置関係が前記偶数番目に属するノズルから前記第1方向への走査時に吐出されるインクの主滴とサテライトの走査方向における位置関係とは異なり、且つ前記奇数番目に属するノズルから前記第2方向への走査時に吐出されるインクの主滴とサテライトの走査方向における位置関係が前記偶数番目に属するノズルから前記第2方向への走査時に吐出されるインクの主滴とサテライトの走査方向における位置関係と異なることを特徴とする。
【0083】
また、本発明に係る一実施形態の画像記録装置は、以下の構成を有する。すなわち同色のインクを吐出するための複数のノズルが所定の間隔で配列された記録ヘッドを記録媒体の所定領域に対して前記ノズルの配列方向と交差する第1方向および当該第1方向とは反対の第2方向へ複数回走査させ、前記第1方向への走査と第2方向への走査を含む複数回の走査において異なるノズルから当該所定領域に対してインクを吐出することで、前記所定領域に対する記録を行う画像記録装置であって、前記走査と走査の間に、前記記録媒体を搬送方向へ所定の搬送量だけ搬送する搬送手段と、前記走査と走査との間の搬送量が前記間隔の偶数倍の搬送量あるいは奇数倍の搬送量のいずれかとなるように制御し、且つ前記所定領域の記録のための複数回の走査の間に、前記偶数倍の搬送量と前記奇数倍の搬送量とが少なくとも1回づつ含まれるように制御する制御手段とを有し、前記所定の間隔で配列される複数のノズルは、少なくとも奇数番目のノズルで構成される第1のノズル列に属するノズルと偶数番目のノズルで構成される第2のノズル列に属するノズルで構成され、前記第1のノズル列に属するノズルのインク吐出方向と前記第2のノズル列に属するノズルのインクの吐出方向が走査方向において逆であることにより、前記第1のノズル列のノズルから吐出されるインクの主滴が着弾する位置に対してサテライトが前記第1の方向にずれて着弾し、前記第2のノズル列のノズルから吐出されるインクの主滴が着弾する位置に対してサテライトが前記第2の方向にずれて着弾することを特徴とする。
【0084】
ここで例えば、前記第1のノズル列に属するノズルのインク吐出方向は、前記走査方向および前記搬送方向に直交する鉛直方向に対して前記第1方向側に傾いており、前記第2のノズル列に属するノズルのインク吐出方向は、前記鉛直方向に対して前記第2方向側に傾いていることが好ましい。
【0085】
ここで例えば、前記所定領域は単位画素領域であり、当該単位画素領域の搬送方向における幅は前記所定の間隔に対応する幅と同じであり、前記単位画素領域に対して異なるノズルから吐出される複数のインクが重なり合うことが好ましい。
【0086】
ここで例えば、前記制御手段は、前記偶数倍の搬送量で行う搬送と前記奇数倍の搬送量で行う搬送を交互に実行するように制御することが好ましい。
【0087】
ここで例えば、前記第1のノズル列のノズルから吐出されるインクの量と前記第2のノズル列のノズルから吐出されるインクの量は異なることが好ましい。
【0088】
ここで例えば、前記第1方向への走査と前記第2方向への走査は交互に実行されることが好ましい。
【0089】
ここで例えば、前記搬送方向に沿って連続的に配列される複数の単位画素領域夫々に着弾する主滴の走査方向の一側には前記奇数番目に属するノズルからの前記サテライトが着弾し、前記主滴の走査方向の他側には前記偶数番目に属するノズルからの前記サテライトが着弾することが好ましい。
【0090】
また、本発明に係る一実施形態の画像記録方法は、以下の構成を有する。すなわち、同色のインクを吐出するための複数のノズルが所定の間隔で配列された記録ヘッドを記録媒体の単位画素領域に対して前記ノズルの配列方向と交差する方向へ複数回走査させ、前記複数回の走査において異なるノズルから当該単位画素領域に対してインクを吐出することで、前記単位画素領域に対する記録を行う画像記録方法であって、第1方向への走査と、当該第1方向とは反対の第2方向への走査が交互になされる複数回の走査において、前記単位画素領域に対して前記記録ヘッドからインクを吐出して記録を行う工程と、前記走査と走査の間に前記記録媒体を搬送するにあたり、前記走査と走査との間の搬送量が前記間隔の偶数倍の搬送量あるいは奇数倍の搬送量のいずれかとなるようにし、且つ前記単位画素領域の記録のための複数回の走査の間に、前記間隔の偶数倍の搬送量と前記奇数倍の搬送量とが少なくとも1回づつ含まれるように前記記録媒体を搬送方向へ搬送する工程と、を備え、前記所定の間隔で配列される複数のノズルのうちの、奇数番目に属するノズルのインク吐出方向と偶数番目に属するノズルのインク吐出方向が走査方向において逆であることにより、前記奇数番目に属するノズルから吐出されるインクの主滴とサテライトの走査方向における位置関係が前記偶数番目に属するノズルから吐出されるインクの主滴とサテライトの走査方向における位置関係と異なることを特徴とする。
【0091】
また、本発明に係る一実施形態の画像記録方法は、以下の構成を有する。すなわち、同色のインクを吐出するための複数のノズルが所定の間隔で配列された記録ヘッドを記録媒体の単位画素領域に対して前記ノズル配列方向と交差する方向へ複数回走査させ、前記複数回の走査において異なるノズルから当該単位画素領域に対してインクを吐出することで、前記単位画素領域に対する記録を行う画像記録方法であって、第1方向への走査と、当該第1方向とは反対の第2方向への走査が交互になされる複数回の走査において、前記単位画素領域に対して前記記録ヘッドからインクを吐出して記録を行う工程と、前記走査と走査の間に前記記録媒体を搬送するにあたり、前記走査と走査との間の搬送量が前記間隔の偶数倍の搬送量あるいは奇数倍の搬送量のいずれかとなるようにし、且つ前記単位画素領域の記録のための複数回の走査の間に、前記間隔の偶数倍の搬送量と前記奇数倍の搬送量とが少なくとも1回づつ含まれるように前記記録媒体を搬送方向へ搬送する工程と、を備え、前記所定の間隔で配列される複数のノズルのうちの、奇数番目に属するノズルのインク吐出方向と偶数番目に属するノズルのインク吐出方向が走査方向において逆であることにより、前記奇数番目に属するノズルから前記第1方向への走査時に吐出されるインクの主滴とサテライトの走査方向における位置関係が前記偶数番目に属するノズルから前記第1方向への走査時に吐出されるインクの主滴とサテライトの走査方向における位置関係とは異なり、且つ前記奇数番目に属するノズルから前記第2方向への走査時に吐出されるインクの主滴とサテライトの走査方向における位置関係が前記偶数番目に属するノズルから前記第2方向への走査時に吐出されるインクの主滴とサテライトの走査方向における位置関係と異なることを特徴とする。
【0092】
また、本発明に係る一実施形態の画像記録方法は、以下の構成を有する。すなわち、同色のインクを吐出するための複数のノズルが所定の間隔で配列された記録ヘッドを記録媒体の所定領域に対して前記ノズルの配列方向と交差する第1方向および当該第1方向とは反対の第2方向へ走査させ、前記第1方向への走査と第2方向への走査を含む複数回の走査において異なるノズルから当該所定領域に対してインクを吐出することで、前記所定領域に対する記録を行う画像記録方法であって、前記走査と走査の間に前記記録媒体を搬送するにあたり、前記走査と走査との間の搬送量が前記間隔の偶数倍の搬送量あるいは奇数倍の搬送量のいずれかとなるようにし、且つ前記所定領域の記録のための複数回の走査の間に、前記偶数倍の搬送量と前記奇数倍の搬送量とが少なくとも1回づつ含まれるように前記記録媒体を搬送方向へ搬送する搬送工程を有し、前記所定の間隔で配列される複数のノズルは、少なくとも奇数番目のノズルで構成される第1のノズル列に属するノズルと偶数番目のノズルで構成される第2のノズル列に属するノズルで構成され、前記第1のノズル列に属するノズルのインク吐出方向と前記第2のノズル列に属するノズルのインク吐出方向が走査方向において逆であることにより、前記第1のノズル列のノズルから吐出されるインクの主滴が着弾する位置に対してサテライトが前記第1の方向にずれて着弾し、前記第2のノズル列のノズルから吐出されるインクの主滴が着弾する位置に対してサテライトが前記第2の方向にずれて着弾することを特徴とする。
【0093】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、本発明に係る一実施の形態を説明する。
【0094】
ただし、本実施の形態では、画像記録装置としてシリアル方式のインクジェットプリンタを用いて説明するが、本発明の範囲を記載例に限定する趣旨のものではない。
【0095】
[第1の実施形態]
[制御構成]
図6は、本発明の第1の実施形態に係るインクジェットプリンタの制御構成を示すブロック図である。なお、本実施形態のインクジェットプリンタの機械的構成は図1に示した一般的なものと同様であるので、その説明は重複するので省略する。
【0096】
図6において、CPU600はメインバスライン605を介して後述する各部の制御およびデータ処理を実行する。すなわち、CPU600は、ROM601に格納されるプログラムに従い、図7以降で説明されるヘッド駆動制御、キャリッジ駆動制御およびデータ処理を以下に説明する各部を介して制御する。
【0097】
RAM602はこのCPU600によるデータ処理等のワークエリアとして用いられ、また、これらメモリにはその他にハードディスク等がある。
【0098】
画像入力部603はホスト装置(図示せず)とのインターフェースを有し、ホスト装置(図示せず)から入力した画像を一時的に保持する。画像信号処理部604は、色変換、二値化等の外、データ処理を実行する。
【0099】
操作部606はキー等を備え、これによりオペレータによる制御入力等を可能にする。回復系制御回路607ではRAM602に格納される回復処理プログラムに従って予備吐出等の回復動作を制御する。すなわち、回復系モータ608は、記録ヘッド613とこれに対向離間するクリーニングブレード609やキャップ610、吸引ポンプ611を駆動する。
【0100】
ヘッド駆動制御回路615は、記録ヘッド613のインク吐出用電気熱変換体の駆動を制御し、通常、予備吐出や記録のためのインク吐出を記録ヘッド613に行わせる。さらに、キャリッジ駆動制御回路616および紙送り制御回路617も同様に、プログラムに従い、それぞれ、キャリッジの移動および紙送りを制御する。
【0101】
また、記録ヘッド613のインク吐出用の電気熱変換体が設けられている基板には、保温ヒータが設けられており、記録ヘッド内のインク温度を所望設定温度に加熱調整することができる。又、サーミスタ612は、同様に上記基板に設けられているもので、実質的な記録ヘッド内部のインク温度を測定するためのものである。サーミスタ612も同様に、基板にではなく外部に設けられていても良く記録ヘッドの周囲近傍にあっても良い。
【0102】
[記録ヘッド]
次に、本発明の一実施形態に係る記録ヘッドを、図7に示す模式図を用いて説明する。
【0103】
図7において、701はブラックインク用の記録ヘッドであり、702はシアンインク用の記録ヘッドであり、703はマゼンタインク用の記録ヘッドであり、704はイエローインク用の記録ヘッドである。また、各4色の記録ヘッドは、それぞれEvenノズル列701aおよびOddノズル列701bより構成されている。なお上記説明した記録ヘッドは一例であり、これ以外の構成であっても良い。
【0104】
ここで、黒のOddノズル列701a及びEvenノズル列701bは、それぞれ1インチあたりD=300個の密度(300dpi)で配列されており、各ノズル間の間隔(ノズルピッチ)Pは、P=1/D=1/300インチ≒84.7μmである。
【0105】
すなわち、d=32個の吐出口(32ノズル)を有し、記録ヘッド長さ(d/D)は、d/D=32/300インチ≒2.71mmである。また黒のOddノズル列701a及びEvenノズル列701bは図に示すように、紙送り方向(搬送方向)にP/2すなわち1/ 600インチずれた配置になっている。
【0106】
したがって、実質的に黒のノズル列701は、1インチあたりD=600個の密度(600dpi)で配列された64のノズル数を持っている。
【0107】
3色のカラーインクの記録ヘッド、すなわちシアンインク用記録ヘッド702、マゼンタインク用記録ヘッド703、イエローインク用記録ヘッド704もまた上記説明した黒インク用記録ヘッド701と同様である。
【0108】
なお、黒のOddノズル列と、3色のカラーのノズルの位置関係は、図に示すように主走査(x)方向に横並びの構成となっている。
【0109】
一方、記録媒体を搬送するための紙送りローラを駆動するモータの1パルスの分解能は、搬送量に換算して1インチあたり600ドット分(600dpi)である。
【0110】
仮に、600dpi、64ノズルの黒のノズル列(約2.71mm)で1パス記録モードを行うには、記録幅2.71mmだけ搬送方向(副走査方向)に記録媒体を搬送すればよい。
【0111】
なお上記説明した黒のノズル列701は一例であり、1インチあたりD個の密度(Ddpi)、ノズルピッチP(P=1/D)で配列されていてもよい。この場合には、記録媒体を搬送するための紙送りローラを駆動するモータの1パルスの分解能は、搬送量に換算して1インチあたりDドット分(Ddpi)あるいは、その倍数であればよい。
【0112】
[マルチパス記録モード]
次に、上記説明した制御構成を有するインクジェットプリンタおよび記録ヘッドを用いたマルチパス記録モードについて説明する。
【0113】
以下の説明では、カラーのノズル列をm分割し、m回の走査で画像を完成させるマルチパス記録モードの一例として、m=4として4分割し、4回の走査で画像を完成させる4パス記録モードを用いて説明する。なお4パス記録モードを用いた説明は一例であり、2以上のマルチパス記録モードに対しても本実施形態は適用できる。
【0114】
本実施形態では、例えば、図8に示すカラー用の各記録ヘッドを用いた4パスのマルチパス記録モードでは、記録媒体搬送方向の繰り返しの搬送量(紙送り量)を、1パス目に16/600インチ、2パス目に15/600インチ、3パス目に16/600インチ、4パス目に15/600インチとなるように設定し、この繰り返し、つまり1/600インチの偶数倍(1パス目)、奇数倍(2パス目)、偶数倍(3パス目)、奇数倍(4パス目)の繰り返しで記録媒体搬送方向の繰り返しを行うことによって、サテライト着弾位置の影響を受けずに均一な画像を記録できるようにしている。
【0115】
したがって、本実施形態におけるカラーの4パスのマルチパス記録モードでは4回の紙送り量の合計である62/600dpiインチの紙送り量で、単位記録画素を完成する。そのため、図8の63および64に示すノズルは使用しないで、1〜62のみの62個のノズルのみを使用して画像記録する。
【0116】
次に、図9(a)〜9(d)および図10A、図10Bを用いて、カラーの4パスのマルチパス記録モードにおける本実施形態の画像記録方法を説明する。
【0117】
図9(a)〜9(d)は4パスで記録を行うマルチパス記録モードで1/600インチ四方を単位記録画素とし、単位記録画素に4ドットの記録、紙送りを1/600インチの偶数倍と奇数倍の繰り返しで行う場合のドット配置を表す模式図である。
【0118】
図9(a)はキャリッジが主走査(x)方向に進行中にEvenノズルで1パス目の記録が始まる場合のドット配置を示す模式図である。
【0119】
図9(b)はキャリッジが主走査(x)方向に進行中にOddノズルで1パス目の記録が始まる場合のドット配置を示す模式図である。
【0120】
図9(c)はキャリッジが主走査(x)方向と逆方向に進行中にEvenノズルで1パス目の記録が始まる場合のドット配置を示す模式図である。
【0121】
図9(d)はキャリッジが主走査(x)方向と逆方向に進行中にOddノズルで1パス目の記録が始まる場合のドット配置を示す模式図である。
【0122】
なお、図9(a)〜9(d)において、101は1パス目の記録ドット、102は2パス目の記録ドット、103は3パス目の記録ドット、104は4パス目の記録ドットを示している。実際には、上記1〜4パス目の4種の記録ドットは重なって合成されており、図9(a)〜9(d)の場合には、1つの主滴と2つのサテライトが形成され、これらが単位記録画素の階調を表現することとなる。しかし、以下の説明では説明を簡便に行うため、上記表現を用いることとする。なお、図9(a)〜図9(d)は被記録媒体上において以下のように出現する。すなわち、図9(a)と図9(b)(もしくは、図9(c)と図9(d))が紙送り方向において1/Dインチ毎に交互に出現する。
【0123】
また図9(a)〜9(d)において、単位記録画素中に記載した矢印(←、→)は各パス記録におけるキャリッジの進行方向を示しており、EはEvenノズルで記録されたドット、OはOddノズルで記録されたドットを示している。また、Oddノズル、Evenノズルのインク滴吐出方向の傾きは、Evenノズルは主走査(x)方向に、Oddノズルはその逆方向に傾いている場合の図である。
【0124】
次に、以上説明した図9(a)〜9(d)および図10A〜10Dを用いて、マルチパス記録モード(4パス)における画像記録について詳細に説明する。
【0125】
まず図9(a)について説明する。
【0126】
図9(a)において、1パス目はキャリッジがx方向に移動中に任意のEvenノズルを用いて記録が行われる為、主滴とサテライトは離れた位置に着弾する。1パス目の記録が終了すると、16/600インチの紙送りが行われる。すなわち、図10Aで、1パス目の単位記録画素の記録は、例えば、Evenノズル2を用いて行い、1パス目の記録が終了後、次に、16/600インチの紙送りが行われる。
【0127】
次に、2パス目はキャリッジが主走査(x)方向と逆方向に移動中に任意のOddノズルを用いて記録が行われる為、主滴とサテライトは離れた位置(但し、1パス目と逆方向の離れた位置)に着弾する。2パス目の記録が終了すると、15/600インチの紙送りが行われる。すなわち、図10Aで、2パス目の同じ単位記録画素の記録は、Oddノズル17を用いて行い、2パス目の記録が終了後、次に、15/600インチの紙送りが行われる。
【0128】
次に、3パス目はキャリッジがx方向に移動中に任意のOddノズルを用いて記録が行われる為、主滴とサテライトは近い位置に着弾する。3パス目の記録が終了すると、16/600インチの紙送りが行われる。すなわち、図10Aで、3パス目の同じ単位記録画素の記録は、Oddノズル33を用いて行い、3パス目の記録が終了後、次に、16/600インチの紙送りが行われる。
【0129】
次に、4パス目はキャリッジが主走査(x)方向と逆方向に移動中に任意のEvenノズルを用いて記録が行われる為、主滴とサテライトは近い位置に着弾する。4パス目の記録が終了すると、15/600インチの紙送りが行われる。すなわち、図10Aで、4パス目の同じ単位記録画素の記録は、Evenノズル50を用いて行い、4パス目の記録が終了後、次に、15/600インチの紙送りが行われる。
【0130】
以上説明した4パスによる画像記録が行われる場合には、図9(a)に示すように主滴によって記録された画素の左右に均等にそれぞれ1個のサテライトによる記録がなされる。
【0131】
次に、図9(b)について説明する。
【0132】
次に図9(b)において、1パス目はキャリッジがx方向に移動中に任意のOddノズルを用いて記録が行われる為、主滴とサテライトは近い位置に着弾する。1パス目の記録が終了すると、16/600インチの紙送りが行われる。すなわち、図10Bで、1パス目の単位記録画素の記録は、例えば、Oddノズル1を用いて行い、1パス目の記録が終了後、次に、16/600インチの紙送りが行われる。
【0133】
次に、2パス目はキャリッジが主走査(x)方向と逆方向に移動中に任意のEvenノズルを用いて記録が行われる為、主滴とサテライトと近い位置に着弾する。2パス目の記録が終了すると、15/600インチの紙送りが行われる。すなわち、図10Aで、2パス目の同じ単位記録画素の記録は、Evenノズル18を用いて行い、2パス目の記録が終了後、次に、15/600インチの紙送りが行われる。
【0134】
次に、3パス目はキャリッジがx方向に移動中に任意のEvenノズルを用いて記録が行われる為、主滴とサテライトは離れた位置に着弾する。3パス目の記録が終了すると、16/600インチの紙送りが行われる。すなわち、図10Aで、3パス目の同じ単位記録画素の記録は、Evenノズル34を用いて行い、3パス目の記録が終了後、次に、16/600インチの紙送りが行われる。
【0135】
次に、4パス目はキャリッジが主走査(x)方向と逆方向に移動中に任意のEvenノズルを用いて記録が行われる為、主滴とサテライトは離れた位置(但し、3パス目と逆方向の離れた位置)に着弾する。4パス目の記録が終了すると、15/600インチの紙送りが行われる。すなわち、図10Aで、4パス目の同じ単位記録画素の記録は、Oddノズル49を用いて行い、4パス目の記録が終了後、次に、15/600インチの紙送りが行われる。
【0136】
以上説明した4パスによる画像記録が行われる場合には、図9(b)に示すように主滴によって記録された画素の左右に均等にそれぞれ1個のサテライトによる記録がなされる。
【0137】
なお図9(c)および図9(d)については、上記説明した図9(a)および図9(b)と各パスにおけるキャリッジの進行方向が逆方向となる点が異なるのみであり、図9(c)または図9(d)に示すように主滴によって記録された画素の左右に均等にそれぞれ1個のサテライトによる記録がなされる点については同じであるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0138】
このように、ノズルピッチの奇数倍の紙搬送と偶数倍の紙搬送とを順次繰り返して、600インチ4方の単位記録画素を4パスで記録(4ドット記録)することにより、EVEN、ODDノズルから吐出された1個ずつのサテライトが主滴の左右に出現する画素(図9(a)〜9(d)に示される画素)を記録できる。そして、図9(a)〜9(d)では、どの場合においても、主滴の左右両方に均等数のサテライトが出現するので、均一な画像となる。すなわち、この第1の実施形態では、図9(a)と図9(b)(もしくは、図9(c)と図9(d))が紙送り方向において1/Dインチ毎に交互に出現するため、詳しくは、主滴の左右両方に1個ずつのサテライトが出現する画素(図9(a)の画素)と主滴の左右両方に1個ずつのサテライトが出現する画素(図9(b)の画素)とが紙送り方向において1/Dインチ毎に交互に出現するため、全ての画素についてサテライトを均一に出現させることができ、図4や図5における従来の問題点を解消することができる。
【0139】
なお上記説明では、4パス記録を例に説明したが、上記説明は2パス以上のマルチパス記録に適用することができる。また上記説明では、各インクの記録ヘッドのEven、Oddノズルは、それぞ異なるノズル列で配列されていたが、記録ヘッドの配列は上記例以外の配列、例えば、Even、Oddノズルが同列に配列されている一列構成の記録ヘッドであっても良い。
【0140】
なお、記録ヘッドのノズル列が、1インチあたりD個の密度(Ddpi)、ノズルピッチP(P=1/D)で配列されている場合には、記録媒体を搬送するための紙送りローラを駆動するモータの1パルスの分解能は、搬送量に換算して1インチあたりDドット分(Ddpi)あるいは、その倍数であればよい。
【0141】
以上説明したように、本実施形態のインクジェットプリンタでは、2パス以上のマルチパス記録(上記説明例では4パス)において、記録媒体の紙送りを1/D(上記説明例では1/600インチ)の偶数倍、奇数倍の繰り返しで行うと、全ての単位記録画素にEven、Oddノズルから吐出されたドットが均等に記録され、さらに主滴に対して左右に均等にサテライトが記録される(振りまかれる)。このため、不均一な画像の記録を回避でき、良好な画像記録を行うことが可能である。
【0142】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態のインクジェットプリンタについて説明する。
【0143】
第2の実施形態のインクジェットプリンタの機械的構成、制御構成および記録ヘッドは、第1の実施形態で説明したインクジェットプリンタとの機械的構成(図1)、制御構成(図6)および記録ヘッド(図7、8)と同じ構成のものを使用することができる。したがって、第2の実施形態のインクジェットプリンタの機械的構成、制御構成および記録ヘッドについての説明は、重複するので以下の説明ではその説明を省略する。
【0144】
[マルチパス記録モード]
次に、上記説明したインクジェットプリンタおよび記録ヘッドを用いたマルチパス記録モードについて説明する。
【0145】
以下の説明では、カラーのノズル列をm分割し、m回の走査で画像を完成させるマルチパス記録モード(mは2以上)の一例として、m=4として4分割し、4回の走査で画像を完成させる4パス記録モードを用いて説明する。
【0146】
まず第2の実施形態の特徴について説明する。
【0147】
第1の実施形態では、4パスのマルチパス記録モードにおいて、記録媒体の4回の紙送り量が1/Dインチの偶数、奇数の紙送り量で交互に搬送される場合でについて本発明を適用する場合について説明したが、第2の実施形態は、4パスのマルチパス記録モードにおいて、記録媒体の4回の紙送り量が1/Dインチの奇数、偶数の紙送り量で交互に搬送されない場合について、本発明を適用する場合について説明する。
【0148】
具体的には、例えば、図11に示すように、第1回目の搬送量15/600インチ、第2回目の搬送量15/600インチ、第3回目の搬送量16/600インチ、第4回目の搬送量16/600インチの場合を例にとり説明する。
【0149】
すなわち、第2の実施形態では、図11に示すカラー用の各記録ヘッドを用いた4パスのマルチパス記録モードでは、記録媒体搬送方向の繰り返しの搬送量(紙送り量)を、1パス目に15/600インチ、2パス目に15/600インチ、3パス目に16/600インチ、4パス目に16/600インチとなるように設定し、この繰り返し、つまり1/D=1/600インチの奇数倍(1パス目)、奇数倍(2パス目)、偶数倍(3パス目)、偶数倍(4パス目)の繰り返しで記録媒体の搬送方向の繰り返しを行うことによって、サテライト着弾位置の影響を受けずに均一な画像を記録できるようにしている。
【0150】
したがって、本実施形態におけるカラーの4パスのマルチパス記録モードでは4回の紙送り量の合計である62/600dpiインチの紙送り量で、単位記録画素を完成する。そのため、図11の63および64に示すノズルは使用しないで、1〜62のみの62個のノズルのみを使用して画像記録する。
【0151】
次に、図12(a)〜12(d)および図13A、図13Bを用いて、カラーの4パスのマルチパス記録モードにおける本実施形態の画像記録方法を説明する。
【0152】
図12(a)〜12(d)は4パスで記録を行うマルチパス記録モードで1/600インチ四方を単位記録画素とし、単位記録画素に4ドットの記録、紙送りを1/600インチの偶数倍と奇数倍の繰り返しで行う場合のドット配置を表す模式図である。
【0153】
図12(a)はキャリッジが主走査(x)方向に進行中にEvenノズルで1パス目の記録が始まる場合のドット配置を示す模式図である。
【0154】
図12(b)はキャリッジが主走査(x)方向に進行中にOddノズルで1パス目の記録が始まる場合のドット配置を示す模式図である。
【0155】
図12(c)はキャリッジが主走査(x)方向と逆方向に進行中にEvenノズルで1パス目の記録が始まる場合のドット配置を示す模式図である。
【0156】
図12(d)はキャリッジが主走査(x)方向と逆方向に進行中にOddノズルで1パス目の記録が始まる場合のドット配置を示す模式図である。
【0157】
なお、図12(a)〜12(d)において、201は1パス目の記録ドット、202は2パス目の記録ドット、203は3パス目の記録ドット、204は4パス目の記録ドットを示している。実際には、上記1〜4パス目の4種の記録ドットは重なって合成されており、図12(a)〜12(d)の場合には、1つの主滴と2つのサテライトが形成され、これらが単位記録画素の階調を表現することとなる。しかし、以下の説明では説明を簡便に行うため、上記表現を用いることとする。なお、図12(a)〜12(d)は記録媒体上において以下のように出現する。すなわち、図12(a)と図12(b)(もしくは、図12(c)と図12(d))が紙送り方向において1/Dインチ毎に交互に出現する。
【0158】
また図12(a)〜12(d)において、単位記録画素中に記載した矢印(←、→)は各パス記録におけるキャリッジの進行方向を示しており、EはEvenノズルで記録されたドット、OはOddノズルで記録されたドットを示している。
【0159】
また、Oddノズル、Evenノズルのインク滴吐出方向の傾きは、Evenノズルは主走査(x)方向に、Oddノズルはその逆方向に傾いている場合の図である。
【0160】
次に、以上説明した図12(a)〜12(d)および図13A〜13Bを用いて、マルチパス記録モード(4パス)における画像記録について詳細に説明する。
【0161】
まず図12(a)について説明する。
【0162】
図12(a)において、1パス目はキャリッジがx方向に移動中に任意のEvenノズルを用いて記録が行われる為、主滴とサテライトは離れた位置に着弾する。1パス目の記録が終了すると、15/600インチの紙送りが行われる。すなわち、図13Aで、1パス目の単位記録画素の記録は、例えば、Evenノズル2を用いて行い、1パス目の記録が終了後、次に、15/600インチの紙送りが行われる。
【0163】
次に、2パス目はキャリッジが主走査(x)方向と逆方向に移動中に任意のOddノズルを用いて記録が行われる為、主滴とサテライトは離れた位置(但し、1パス目と逆方向の離れた位置)に着弾する。2パス目の記録が終了すると、15/600インチの紙送りが行われる。すなわち、図13Aで、2パス目の同じ単位記録画素の記録は、Oddノズル17を用いて行い、2パス目の記録が終了後、次に、15/600インチの紙送りが行われる。
【0164】
次に、3パス目はキャリッジがx方向に移動中に任意のOddノズルを用いて記録が行われる為、主滴とサテライトは近い位置に着弾する。3パス目の記録が終了すると、16/600インチの紙送りが行われる。すなわち、図13Aで、3パス目の同じ単位記録画素の記録は、Oddノズル33を用いて行い、3パス目の記録が終了後、次に、16/600インチの紙送りが行われる。
【0165】
次に、4パス目はキャリッジが主走査(x)方向と逆方向に移動中に任意のOddノズルを用いて記録が行われる為、主滴とサテライトは遠い位置に着弾する。4パス目の記録が終了すると、16/600インチの紙送りが行われる。すなわち、図13Aで、4パス目の同じ単位記録画素の記録は、Oddノズル49を用いて行い、4パス目の記録が終了後、次に、16/600インチの紙送りが行われる。
【0166】
以上説明した4パスによる画像記録が行われる場合には、図12(a)に示すように主滴によって記録された画素の左右に均等にそれぞれ1個のサテライトによる記録がなされる。
【0167】
次に、図12(b)について説明する。
【0168】
次に図12(b)において、1パス目はキャリッジがx方向に移動中に任意のOddノズルを用いて記録が行われる為、主滴とサテライトは近い位置に着弾する。1パス目の記録が終了すると、15/600インチの紙送りが行われる。すなわち、図13Bで、1パス目の単位記録画素の記録は、例えば、Oddノズル1を用いて行い、1パス目の記録が終了後、次に、15/600インチの紙送りが行われる。
【0169】
次に、2パス目はキャリッジが主走査(x)方向と逆方向に移動中に任意のEvenノズルを用いて記録が行われる為、主滴とサテライトと近い位置に着弾する。2パス目の記録が終了すると、15/600インチの紙送りが行われる。すなわち、図13Bで、2パス目の同じ単位記録画素の記録は、Evenノズル18を用いて行い、2パス目の記録が終了後、次に、15/600インチの紙送りが行われる。
【0170】
次に、3パス目はキャリッジがx方向に移動中に任意のEvenノズルを用いて記録が行われる為、主滴とサテライトは離れた位置に着弾する。3パス目の記録が終了すると、16/600インチの紙送りが行われる。すなわち、図13Bで、3パス目の同じ単位記録画素の記録は、Evenノズル34を用いて行い、3パス目の記録が終了後、次に、16/600インチの紙送りが行われる。
【0171】
次に、4パス目はキャリッジが主走査(x)方向と逆方向に移動中に任意のEvenノズルを用いて記録が行われる為、主滴とサテライトは近い位置に着弾する。4パス目の記録が終了すると、16/600インチの紙送りが行われる。すなわち、図13Bで、4パス目の同じ単位記録画素の記録は、Evenノズル50を用いて行い、4パス目の記録が終了後、次に、16/600インチの紙送りが行われる。
【0172】
以上説明した4パスによる画像記録が行われる場合には、図12(b)に示すように主滴によって記録された画素の右に1個のサテライトによる記録がなされる。
【0173】
また図12(c)および図12(d)の場合は、上記説明した図12(a)および図12(b)と各パスにおけるキャリッジの進行方向が逆方向となる点が異なる。そのため、図12(c)では、主滴によって記録された画素の左に1個のサテライトによる記録がなされ、図12(d)では、主滴によって記録された画素の左右に均等にそれぞれ1個のサテライトによる記録がなされる点が異なるが、ここでの詳細な説明は省略する。
【0174】
この第2の実施形態では、図12(a)と図12(b)が紙送り方向において1/Dインチ毎に交互に出現し、具体的には、主滴の左右にサテライトが出現する画素(図12(a)の画素)と主滴の右側にのみにサテライトが出現する画素(図12(b)の画素)とが紙送り方向において1/Dインチ毎に交互に出現する。もしくは、図12(c)と図12(d)が紙送り方向において1/Dインチ毎に交互に出現し、具体的には、主滴の左側にのみにサテライトが出現する画素(図12(c)の画素)と主滴の左右にサテライトが出現する画素(図12(d)の画素)とが紙送り方向において1/Dインチ毎に交互に出現する。従って、この第2の実施形態における画像記録の場合には、第1の実施形態における画像記録の場合のように、全ての画素について主滴の左右に均等にサテライトを出現させることはできない。
【0175】
しかしながら、図12に示す第2の実施形態の場合には、図4で説明した従来技術の問題、すなわち全て1/600インチの偶数倍の紙送り量の場合に問題となった、全ての単位記録画素がEven、Oddノズルのどちらか一方のみで記録されるという問題を解消することはできる。また、この第2の実施形態では、主滴の左右にサテライトが出現する画素と主滴の左右いずれかにサテライトが出現する画素とが交互に出現する構成であるため、図4のような主滴の右側にサテライトが出現する画素と主滴の左側にサテライトが出現する画素とが交互に出現する構成に比べ、サテライトの偏りを軽減できる。
【0176】
また同様に、第2の実施形態の場合には、主滴の左右にサテライトが出現する画素を含みつつも、全ての画素についてサテライトを出現させているので、図5のような主滴の左右両方にサテライトが出現する画素とサテライトが出現しない画素とが交互に出現する構成に比べ、サテライトによる画像劣化を軽減できる。
【0177】
以上説明したように、4パス記録において、記録媒体の紙送りを1/600インチの奇数倍、奇数倍、遇数倍、遇数倍の繰り返しで行うと、すべての単位記録画素にEven、Oddノズルから吐出されたドットを混在して記録することができる。またさらに、サテライトによる画像劣化が極力目立たないように、主滴の左右にサテライトが出現する画素と主滴の左右いずれかにサテライトが出現する画素とを紙送り方向において1/Dインチ毎に交互に出現させているので、図4や図5における従来の構成に比べ、画像全体としての均一性が高まり、その結果、不均一な画像の記録を回避でき、良好な画像記録を行うことが可能なインクジェットプリンタを提供することができる。
【0178】
なお上記説明では、4パス記録を例に説明したが、上記説明は2パス以上のマルチパス記録に適用することができる。また上記説明では、各インクの記録ヘッドのEven、Oddノズルは、それぞ異なるれノズル列で配列されていたが、記録ヘッドの配列は上記例以外の配列、例えば、Even、Oddノズルが同列に配列されている一列構成の記録ヘッドであっても良い。
【0179】
なお、記録ヘッドのノズル列が、1インチあたりD個の密度(Ddpi)、ノズルピッチP(P=1/D)で配列されている場合には、記録媒体を搬送するための紙送りローラを駆動するモータの1パルスの分解能は、搬送量に換算して1インチあたりDドット分(Ddpi)あるいは、その倍数であればよい。
【0180】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態のインクジェットプリンタについて説明する。
【0181】
第3の実施形態のインクジェットプリンタの機械的構成、制御構成および記録ヘッドは、第1の実施形態で説明したインクジェットプリンタとの機械的構成(図1)、制御構成(図6)および記録ヘッド(図7、8)と同じ構成のものを使用することができる。したがって、第3の実施形態のインクジェットプリンタの機械的構成、制御構成および記録ヘッドについての説明は、重複するので以下の説明ではその説明を省略する。
【0182】
[マルチパス記録モード]
次に、上記説明したインクジェットプリンタおよび記録ヘッドを用いたマルチパス記録モードについて説明する。
【0183】
以下の説明では、カラーのノズル列をm分割し、m回の走査で画像を完成させるマルチパス記録モード(mは2以上)の一例として、m=4として4分割し、4回の走査で画像を完成させる4パス記録モードを用いて説明する。
【0184】
まず第3の実施形態の特徴について説明する。
【0185】
第1の実施形態および第2の実施形態では、Evenノズル、Oddノズルとも吐出するインク滴の体積が同じ場合について説明したが、第3の実施形態ではEvenノズルから吐出されるインク滴の体積が大(大ドット)、Oddノズルから吐出されるインク的の体積が小(小ドット)である点のみが異なる。
【0186】
すなわち、第3の実施形態に用いる記録ヘッドのノズル数、ノズル長さ、ノズルピッチは、第1実施形態で説明した記録ヘッドと同様であるが、Evenノズルから吐出されるインク滴の体積が大、Oddノズルから吐出されるインク的の体積が小である点が異なる。そのため第3の実施形態の記録ヘッドは、第1の実施形態の記録ヘッド(図8、10A、10B)と同様であるので、以下の説明では同じ図(図8、10A、10B)を用いて説明する。
【0187】
なお第3の実施形態では、第1の実施形態と同様の4パスのマルチパス記録モードにおいて、記録媒体の4回の紙送り量が1/Dインチの偶数、奇数の紙送り量で交互に搬送される場合について本発明を適用する場合を説明する。
【0188】
次に、図14(a)〜14(d)を用いて、カラーの4パスのマルチパス記録モードにおける本実施形態の画像記録方法を説明する。
【0189】
図14(a)〜14(d)は4パスで記録を行うマルチパス記録モードで1/600インチ四方を単位記録画素とし、単位記録画素に大ドット2ドット、小ドット2ドットの記録、紙送りを1/600インチの偶数倍と奇数倍の繰り返しで行う場合のドット配置を表す模式図である。
【0190】
図14(a)はキャリッジが主走査(x)方向に進行中にEvenノズルで1パス目の記録が始まる場合のドット配置を示す模式図である。
【0191】
図14(b)はキャリッジが主走査(x)方向に進行中にOddノズルで1パス目の記録が始まる場合のドット配置を示す模式図である。
【0192】
図14(c)はキャリッジが主走査(x)方向と逆方向に進行中にEvenノズルで1パス目の記録が始まる場合のドット配置を示す模式図である。
【0193】
図14(d)はキャリッジが主走査(x)方向と逆方向に進行中にOddノズルで1パス目の記録が始まる場合のドット配置を示す模式図である。
【0194】
なお、図14(a)〜14(d)において、301は1パス目の記録ドット、302は2パス目の記録ドット、303は3パス目の記録ドット、304は4パス目の記録ドットを示している。実際には、上記1〜4パス目の4種の記録ドットは重なって記録されており、図14(a)〜14(d)の場合には、1つの主滴と1つのサテライトが形成され、これらが単位記録画素の階調を表現することとなる。しかし、以下の説明では説明を簡便に行うため、上記表現を用いることとする。なお、図14(a)〜14(d)は記録媒体上において以下のように出現する。すなわち、図14(a)と図14(b)(もしくは、図14(c)と図14(d))が紙送り方向において1/Dインチ毎に交互に出現する。
【0195】
また図14(a)〜14(d)において、単位記録画素中に記載した矢印(←、→)は各パス記録におけるキャリッジの進行方向を示しており、EはEvenノズルで記録されたドット、OはOddノズルで記録されたドットを示している。
【0196】
また、Oddノズル、Evenノズルのインク滴吐出方向の傾きは、Evenノズルは主走査(x)方向に、Oddノズルはその逆方向に傾いている場合の図である。
【0197】
次に、以上説明した図14(a)〜14(d)および図10A、10Bを用いて、マルチパス記録モード(4パス)における画像記録について詳細に説明する。
【0198】
まず図14(a)について説明する。
【0199】
図14(a)において、1パス目はキャリッジがx方向に移動中に任意のEvenノズルを用いて大ドットの記録が行われる為、主滴とサテライトは離れた位置に着弾する。1パス目の記録が終了すると、16/600インチの紙送りが行われる。すなわち、図10Aで1パス目の単位記録画素の記録は、例えば、Evenノズル2を用いて行い、1パス目の記録が終了後、次に、16/600インチの紙送りが行われる。
【0200】
次に、2パス目はキャリッジが主走査(x)方向と逆方向に移動中に任意のOddノズルを用いて小ドットの記録が行われる為、主滴とサテライトは離れた位置(但し、1パス目と逆方向の離れた位置)に着弾する。2パス目の記録が終了すると、15/600インチの紙送りが行われる。すなわち、図10Aで、2パス目の同じ単位記録画素の記録は、Oddノズル17を用いて行い、2パス目の記録が終了後、次に、15/600インチの紙送りが行われる。
【0201】
次に、3パス目はキャリッジがx方向に移動中に任意のOddノズルを用いて小ドットの記録が記録が行われる為、主滴とサテライトは近い位置に着弾する。3パス目の記録が終了すると、16/600インチの紙送りが行われる。すなわち、図10Aで、3パス目の同じ単位記録画素の記録は、Oddノズル33を用いて行い、3パス目の記録が終了後、次に、16/600インチの紙送りが行われる。
【0202】
次に、4パス目はキャリッジが主走査(x)方向と逆方向に移動中に任意のEvenノズルを用いて大ドットの記録が行われる為、主滴とサテライトは近い位置に着弾する。4パス目の記録が終了すると、15/600インチの紙送りが行われる。すなわち、図10Aで、4パス目の同じ単位記録画素の記録は、Evenノズル50を用いて行い、4パス目の記録が終了後、次に、15/600インチの紙送りが行われる。
【0203】
以上説明した4パスによる画像記録が行われる場合には、図14(a)に示すように主滴によって記録された画素の左右に均等にそれぞれ1個のサテライトによる記録がなされる。
【0204】
次に、図14(b)について説明する。
【0205】
次に図14(b)において、1パス目はキャリッジがx方向に移動中に任意のOddノズルを用いて小ドット記録が行われる為、主滴とサテライトは近い位置に着弾する。1パス目の記録が終了すると、16/600インチの紙送りが行われる。すなわち、図10Bで、1パス目の単位記録画素の記録は、例えば、Oddノズル1を用いて行い、1パス目の記録が終了後、次に、16/600インチの紙送りが行われる。
【0206】
次に、2パス目はキャリッジが主走査(x)方向と逆方向に移動中に任意のEvenノズルを用いて大ドット記録が行われる為、主滴とサテライトと近い位置に着弾する。2パス目の記録が終了すると、15/600インチの紙送りが行われる。すなわち、図10Aで、2パス目の同じ単位記録画素の記録は、Evenノズル18を用いて行い、2パス目の記録が終了後、次に、15/600インチの紙送りが行われる。
【0207】
次に、3パス目はキャリッジがx方向に移動中に任意のEvenノズルを用いて大ドット記録が行われる為、主滴とサテライトは離れた位置に着弾する。3パス目の記録が終了すると、16/600インチの紙送りが行われる。すなわち、図10Aで、3パス目の同じ単位記録画素の記録は、Evenノズル34を用いて行い、3パス目の記録が終了後、次に、16/600インチの紙送りが行われる。
【0208】
次に、4パス目はキャリッジが主走査(x)方向と逆方向に移動中に任意のEvenノズルを用いて小ドット記録が行われる為、主滴とサテライトは離れた位置(但し、3パス目と逆方向の離れた位置)に着弾する。4パス目の記録が終了すると、15/600インチの紙送りが行われる。すなわち、図10Aで、4パス目の同じ単位記録画素の記録は、Oddノズル49を用いて行い、4パス目の記録が終了後、次に、15/600インチの紙送りが行われる。
【0209】
以上説明した4パスによる画像記録が行われる場合には、図14(b)に示すように主滴によって記録された画素の左右に均等にそれぞれ1個のサテライトによる記録がなされる。
【0210】
なお図14(c)および図14(d)については、上記説明した図14(a)および図14(b)と各パスにおけるキャリッジの進行方向が逆方向となる点が異なるのみであり、図14(c)または図14(d)に示すように主滴によって記録された画素の左右に均等にそれぞれ1個のサテライトによる記録がなされる点については同じであるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0211】
すなわち、600インチ4方の単位記録画素を4パスを用いたマルチパス記録(4ドット記録)を行う場合には、図14(a)〜図14(d)に示すように、どの場合でも主滴によって記録された画素の左右に、Even、Oddノズルから吐出された1個ずつのサテライトによる記録がなされる。
【0212】
なお上記説明では、4パス記録を例に説明したが、上記説明は2パス以上のマルチパス記録に適用することができる。また上記説明では、各インクの記録ヘッドのEven、Oddノズルは、それぞ異なるれノズル列で配列されていたが、記録ヘッドの配列は上記例以外の配列、例えば、Even、Oddノズルが同列に配列されている一列構成の記録ヘッドであっても良い。
【0213】
以上説明したように、本実施形態のインクジェットプリンタでは、2パス以上のマルチパス記録(上記説明例では4パス)において、記録媒体の紙送りを1/D(上記説明例では1/600インチ)の偶数倍、奇数倍の繰り返しで行うと、全ての単位記録画素にEven、Oddノズルから吐出された大ドット、小ドットが均等に記録され、さらに主滴に対して左右に均等にサテライトが記録される(振りまかれる)。このため、不均一な画像の記録を回避でき、良好な画像記録を行うことが可能である。
【0214】
なお、上記第1〜第3の実施形態では、各パス間において実行される紙搬送として、1)ノズルピッチの奇数倍の紙搬送と偶数倍の紙搬送を交互に順次繰り返していく例、2)ノズルピッチの奇数倍の紙搬送、奇数倍の紙搬送、偶数倍の紙搬送、偶数倍の紙搬送を順次繰り返していく例について説明したが、本発明はこの紙搬送の仕方に限られるものではない。すなわち、本発明では、記録ヘッドを所定領域に対して複数回走査させて、記録ヘッドの複数回の走査により所定領域の記録を完成させるマルチパス記録を行うに際し、各走査間において実行される紙搬送として、ノズルピッチの奇数倍の紙搬送と偶数倍の紙搬送とを少なくとも1回ずつ含ませるようにして紙搬送を実行する構成とすればよいのである。
【0215】
また、以上の実施形態において、記録ヘッドから吐出される液滴はインクであるとして説明し、さらにインクタンクに収容される液体はインクであるとして説明したが、その収容物はインクに限定されるものではない。例えば、記録画像の定着性や耐水性を高めたり、その画像品質を高めたりするために記録媒体に対して吐出される処理液のようなものがインクタンクに収容されていても良い。
【0216】
以上の実施形態は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式を用いることにより記録の高密度化、高精細化が達成できる。
【0217】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は、いわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に1対1で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。
【0218】
この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0219】
このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0220】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用面が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書に記載された構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスロットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開口を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成としても良い。
【0221】
さらに、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0222】
加えて、上記の実施形態で説明した記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドのみならず、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッドを用いてもよい。
【0223】
また、以上説明した記録装置の構成に、記録ヘッドに対する回復手段、予備的な手段等を付加することは記録動作を一層安定にできるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる予備加熱手段などがある。また、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを備えることも安定した記録を行うために有効である。
【0224】
さらに、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでも良いが、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの少なくとも1つを備えた装置とすることもできる。
【0225】
以上説明した実施の形態においては、インクが液体であることを前提として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであっても、室温で軟化もしくは液化するものを用いても良く、あるいはインクジェット方式ではインク自体を30°C以上70°C以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものであればよい。
【0226】
加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化するインクを用いても良い。いずれにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では既に固化し始めるもの等のような、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も本発明は適用可能である。
【0227】
このような場合インクは、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状または固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0228】
さらに加えて、本発明に係る記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として一体または別体に設けられるものの他、リーダ等と組み合わせた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を取るものであっても良い。
【0229】
【他の実施形態】
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0230】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0231】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0232】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明した図10A、10B、13A、13Bに示すに対応するプログラムコードが格納されることになる。
【0233】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、2パス以上のマルチパス記録における視覚的に不均一な画像の記録を回避して、均一で良好な画像記録を行うことが可能な画像記録装置およびにその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】マルチヘッドを用いたインクジェットプリンタの主要部の構成を説明する図である。
【図2】マルチヘッドに配列される吐出口の模式図を説明する図である。
【図3】(a)インク滴吐出方向が紙面に対して垂直な場合、(b)キャリッジ進行方向に傾いている場合、(c)キャリッジ進行方向の逆に傾いている場合、の主滴とサテライトの着弾位置を説明する模式図である。
【図4】従来法の4パスのマルチパス記録において、記録媒体の搬送量が1/Dインチの偶数倍であり、Evenノズルは主走査方向にインク滴吐出方向が傾き、Oddノズルは主走査方向とは逆にインク滴吐出方向が傾いている場合に形成される4種のドット配置を示す模式図である。
【図5】従来法の4パスのマルチパス記録において、記録媒体の搬送量が1/Dインチの奇数倍であり、Evenノズルは主走査方向にインク滴吐出方向が傾き、Oddノズルは主走査方向とは逆にインク滴吐出方向が傾いている場合に形成される4種のドット配置を示す模式図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタの制御構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る記録ヘッドの模式図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る記録ヘッドのEvenノズル、Oddノズルおよび紙送り量を説明する模式図である。
【図9】本発明の第1の実施形態における4パス記録において、Evenノズルは主走査方向にインク滴吐出方向が傾き、Oddノズルは主走査方向とは逆にインク滴吐出方向が傾いている場合に形成される4種のドット配置を示す模式図である。
【図10A】本発明の第1の実施形態における4パス記録(図9(a)の場合)による記録方法を説明する模式図である。
【図10B】本発明の第1の実施形態における4パス記録(図9(b)の場合)による記録方法を説明する模式図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る記録ヘッドのEvenノズル、Oddノズルおよび紙送り量を説明する模式図である。
【図12】本発明の第2の実施形態における4パス記録によるドット配置を示す模式図である。
【図13A】本発明の第2の実施形態における4パス記録による記録方法を説明する模式図である。
【図13B】本発明の第2の実施形態における4パス記録による記録方法を説明する模式図である。
【図14】本発明の第3の実施形態における4パス記録において、Evenノズルは主走査方向にインク滴吐出方向が傾き、Oddノズルは主走査方向とは逆にインク滴吐出方向が傾いている場合に形成される4種のドット配置を示す模式図である。
【符号の説明】
101 1パス目の記録ドット
102 2パス目の記録ドット
103 3パス目の記録ドット
104 4パス目の記録ドット
201 1パス目の記録ドット
202 2パス目の記録ドット
203 3パス目の記録ドット
204 4パス目の記録ドット
301 1パス目の記録ドット
302 2パス目の記録ドット
303 3パス目の記録ドット
304 4パス目の記録ドット
401 従来法における1パス目の記録ドット
402 従来法における2パス目の記録ドット
403 従来法における3パス目の記録ドット
404 従来法における4パス目の記録ドット
1101 インクジェットカートリッジ
1102 マルチヘッド
1103 紙送りローラ
1104 補助ローラ
1105 給紙ローラ
1106 キャリッジ
1201 ノズル
1301 主滴
1302 サテライト
1303 キャリッジ進行方向
1304 吐出の傾き方向
405 各パスでのキャリッジ進行方向
600 CPU
601 ROM
602 RAM
603 画像入力部
604 画像信号処理部
605 メインバスライン
606 操作部
607 回復系制御回路
608 回復系モータ
609 クリーニングブレード
610 キャップ
611 吸引ポンプ
612 サーミスタ
613 記録ヘッド
614 ヘッド温度制御回路
615 ヘッド駆動制御回路
616 キャリッジ駆動回路
617紙送り制御回路
701 黒のOddノズル列
702 黒のEvenノズル列
703 カラーのOddノズル列
704 カラーのEvenノズル列
P 記録媒体
E Evenノズルで記録されたドット
O Oddノズルで記録されたドット
Claims (12)
- 同色のインクを吐出するための複数のノズルが所定の間隔で配列された記録ヘッドを記録媒体の単位画素領域に対して前記ノズルの配列方向と交差する方向へ複数回走査させ、前記複数回の走査において異なるノズルから当該単位画素領域に対してインクを吐出することで、前記単位画素領域に対する記録を行う画像記録装置であって、
第1方向への走査と、当該第1方向とは反対の第2方向への走査が交互になされる複数回の走査において、前記単位画素領域に対して前記記録ヘッドからインクを吐出して記録を行う手段と、
前記走査と走査との間に、前記記録媒体を搬送方向へ所定の搬送量だけ搬送する搬送手段と、
前記走査と走査との間の搬送量が前記間隔の偶数倍の搬送量あるいは奇数倍の搬送量のいずれかとなるように制御し、且つ前記単位画素領域の記録のための複数回の走査の間に、前記間隔の偶数倍の搬送量と前記奇数倍の搬送量とが少なくとも1回づつ含まれるように制御する制御手段とを備え、
前記所定の間隔で配列される複数のノズルのうちの、奇数番目に属するノズルのインク吐出方向と偶数番目に属するノズルのインク吐出方向が走査方向において逆であることにより、前記奇数番目に属するノズルから吐出されるインクの主滴とサテライトの走査方向における位置関係が前記偶数番目に属するノズルから吐出されるインクの主滴とサテライトの走査方向における位置関係と異なることを特徴とする画像記録装置。 - 同色のインクを吐出するための複数のノズルが所定の間隔で配列された記録ヘッドを、記録媒体の単位画素領域に対して前記ノズルの配列方向と交差する方向へ複数回走査させ、前記複数回の走査において異なるノズルから当該単位画素領域に対してインクを吐出することで、前記単位画素領域に対する記録を行う画像記録装置であって、
第1方向への走査と、当該第1方向とは反対の第2方向への走査が交互になされる複数回の走査において、前記単位画素領域に対して前記記録ヘッドからインクを吐出して記録を行う手段と、
前記走査と走査の間に、前記記録媒体を搬送方向へ所定の搬送量だけ搬送する搬送手段と、
前記走査と走査との間の搬送量が前記間隔の偶数倍の搬送量あるいは奇数倍の搬送量のいずれかとなるように制御し、且つ前記単位画素領域の記録のための複数回の走査の間に、前記間隔の偶数倍の搬送量と前記奇数倍の搬送量とが少なくとも1回づつ含まれるように制御する制御手段とを備え、
前記所定の間隔で配列される複数のノズルのうちの、奇数番目に属するノズルのインク吐出方向と偶数番目に属するノズルのインク吐出方向が走査方向において逆であることにより、前記奇数番目に属するノズルから前記第1方向への走査時に吐出されるインクの主滴とサテライトの走査方向における位置関係が前記偶数番目に属するノズルから前記第1方向への走査時に吐出されるインクの主滴とサテライトの走査方向における位置関係とは異なり、且つ前記奇数番目に属するノズルから前記第2方向への走査時に吐出されるインクの主滴とサテライトの走査方向における位置関係が前記偶数番目に属するノズルから前記第2方向への走査時に吐出されるインクの主滴とサテライトの走査方向における位置関係と異なることを特徴とする画像記録装置。 - 同色のインクを吐出するための複数のノズルが所定の間隔で配列された記録ヘッドを記録媒体の所定領域に対して前記ノズルの配列方向と交差する第1方向および当該第1方向とは反対の第2方向へ複数回走査させ、前記第1方向への走査と第2方向への走査を含む複数回の走査において異なるノズルから当該所定領域に対してインクを吐出することで、前記所定領域に対する記録を行う画像記録装置であって、
前記走査と走査の間に、前記記録媒体を搬送方向へ所定の搬送量だけ搬送する搬送手段と、
前記走査と走査との間の搬送量が前記間隔の偶数倍の搬送量あるいは奇数倍の搬送量のいずれかとなるように制御し、且つ前記所定領域の記録のための複数回の走査の間に、前記偶数倍の搬送量と前記奇数倍の搬送量とが少なくとも1回づつ含まれるように制御する制御手段とを有し、
前記所定の間隔で配列される複数のノズルは、少なくとも奇数番目のノズルで構成される第1のノズル列に属するノズルと偶数番目のノズルで構成される第2のノズル列に属するノズルで構成され、
前記第1のノズル列に属するノズルのインク吐出方向と前記第2のノズル列に属するノズルのインクの吐出方向が走査方向において逆であることにより、前記第1のノズル列のノズルから吐出されるインクの主滴が着弾する位置に対してサテライトが前記第1の方向にずれて着弾し、前記第2のノズル列のノズルから吐出されるインクの主滴が着弾する位置に対してサテライトが前記第2の方向にずれて着弾することを特徴とする画像記録装置。 - 前記第1のノズル列に属するノズルのインク吐出方向は、前記走査方向および前記搬送方向に直交する鉛直方向に対して前記第1方向側に傾いており、前記第2のノズル列に属するノズルのインク吐出方向は、前記鉛直方向に対して前記第2方向側に傾いていることを特徴とする請求項3に記載の画像記録装置。
- 前記所定領域は単位画素領域であり、当該単位画素領域の搬送方向における幅は前記所定の間隔に対応する幅と同じであり、前記単位画素領域に対して異なるノズルから吐出される複数のインクが重なり合うことを特徴とする請求項3または4に記載の画像記録装置。
- 前記制御手段は、前記偶数倍の搬送量で行う搬送と前記奇数倍の搬送量で行う搬送を交互に実行するように制御することを特徴とする請求項1、2、3のいずれか1項に記載の画像記録装置。
- 前記第1のノズル列のノズルから吐出されるインクの量と前記第2のノズル列のノズルから吐出されるインクの量は異なることを特徴とする請求項3に記載の画像記録装置。
- 前記第1方向への走査と前記第2方向への走査は交互に実行されることを特徴とする請求項3に記載の画像記録装置。
- 前記搬送方向に沿って連続的に配列される複数の単位画素領域夫々に着弾する主滴の走査方向の一側には前記奇数番目に属するノズルからの前記サテライトが着弾し、前記主滴の走査方向の他側には前記偶数番目に属するノズルからの前記サテライトが着弾することを特徴とする請求項1、2、5のいずれかに記載の画像記録装置。
- 同色のインクを吐出するための複数のノズルが所定の間隔で配列された記録ヘッドを記録媒体の単位画素領域に対して前記ノズルの配列方向と交差する方向へ複数回走査させ、前記複数回の走査において異なるノズルから当該単位画素領域に対してインクを吐出することで、前記単位画素領域に対する記録を行う画像記録方法であって、
第1方向への走査と、当該第1方向とは反対の第2方向への走査が交互になされる複数回の走査において、前記単位画素領域に対して前記記録ヘッドからインクを吐出して記録を行う工程と、
前記走査と走査の間に前記記録媒体を搬送するにあたり、前記走査と走査との間の搬送量が前記間隔の偶数倍の搬送量あるいは奇数倍の搬送量のいずれかとなるようにし、且つ前記単位画素領域の記録のための複数回の走査の間に、前記間隔の偶数倍の搬送量と前記奇数倍の搬送量とが少なくとも1回づつ含まれるように前記記録媒体を搬送方向へ搬送する工程と、を備え、
前記所定の間隔で配列される複数のノズルのうちの、奇数番目に属するノズルのインク吐出方向と偶数番目に属するノズルのインク吐出方向が走査方向において逆であることにより、前記奇数番目に属するノズルから吐出されるインクの主滴とサテライトの走査方向における位置関係が前記偶数番目に属するノズルから吐出されるインクの主滴とサテライトの走査方向における位置関係と異なることを特徴とする画像記録方法。 - 同色のインクを吐出するための複数のノズルが所定の間隔で配列された記録ヘッドを記録媒体の単位画素領域に対して前記ノズル配列方向と交差する方向へ複数回走査させ、前記複数回の走査において異なるノズルから当該単位画素領域に対してインクを吐出することで、前記単位画素領域に対する記録を行う画像記録方法であって、
第1方向への走査と、当該第1方向とは反対の第2方向への走査が交互になされる複数回の走査において、前記単位画素領域に対して前記記録ヘッドからインクを吐出して記録を行う工程と、
前記走査と走査の間に前記記録媒体を搬送するにあたり、前記走査と走査との間の搬送量が前記間隔の偶数倍の搬送量あるいは奇数倍の搬送量のいずれかとなるようにし、且つ前記単位画素領域の記録のための複数回の走査の間に、前記間隔の偶数倍の搬送量と前記奇数倍の搬送量とが少なくとも1回づつ含まれるように前記記録媒体を搬送方向へ搬送する工程と、を備え、
前記所定の間隔で配列される複数のノズルのうちの、奇数番目に属するノズルのインク吐出方向と偶数番目に属するノズルのインク吐出方向が走査方向において逆であることにより、前記奇数番目に属するノズルから前記第1方向への走査時に吐出されるインクの主滴とサテライトの走査方向における位置関係が前記偶数番目に属するノズルから前記第1方向への走査時に吐出されるインクの主滴とサテライトの走査方向における位置関係とは異なり、且つ前記奇数番目に属するノズルから前記第2方向への走査時に吐出されるインクの主滴とサテライトの走査方向における位置関係が前記偶数番目に属するノズルから前記第2方向への走査時に吐出されるインクの主滴とサテライトの走査方向における位置関係と異なることを特徴とする画像記録方法。 - 同色のインクを吐出するための複数のノズルが所定の間隔で配列された記録ヘッドを記録媒体の所定領域に対して前記ノズルの配列方向と交差する第1方向および当該第1方向とは反対の第2方向へ走査させ、前記第1方向への走査と第2方向への走査を含む複数回の走査において異なるノズルから当該所定領域に対してインクを吐出することで、前記所定領域に対する記録を行う画像記録方法であって、
前記走査と走査の間に前記記録媒体を搬送するにあたり、前記走査と走査との間の搬送量が前記間隔の偶数倍の搬送量あるいは奇数倍の搬送量のいずれかとなるようにし、且つ前記所定領域の記録のための複数回の走査の間に、前記偶数倍の搬送量と前記奇数倍の搬送量とが少なくとも1回づつ含まれるように前記記録媒体を搬送方向へ搬送する搬送工程を有し、
前記所定の間隔で配列される複数のノズルは、少なくとも奇数番目のノズルで構成される第1のノズル列に属するノズルと偶数番目のノズルで構成される第2のノズル列に属するノズルで構成され、
前記第1のノズル列に属するノズルのインク吐出方向と前記第2のノズル列に属するノズルのインク吐出方向が走査方向において逆であることにより、前記第1のノズル列のノズルから吐出されるインクの主滴が着弾する位置に対してサテライトが前記第1の方向にずれて着弾し、前記第2のノズル列のノズルから吐出されるインクの主滴が着弾する位置に対してサテライトが前記第2の方向にずれて着弾することを特徴とする画像記録方法。
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