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JP3884391B2 - 電子コンパス - Google Patents

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JP3884391B2 JP2003081559A JP2003081559A JP3884391B2 JP 3884391 B2 JP3884391 B2 JP 3884391B2 JP 2003081559 A JP2003081559 A JP 2003081559A JP 2003081559 A JP2003081559 A JP 2003081559A JP 3884391 B2 JP3884391 B2 JP 3884391B2
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道治 山本
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地磁気による方位を検出する高感度で、小型、薄型かつ低消費電力の電子コンパスに関する。
【0002】
【従来の技術】
地磁気を検出する磁場検出装置については、高感度なMI素子を使用した発明が特開2001−296127号に開示されている。前記文献に記載された発明は、MI素子を2軸に設け、負帰還回路を用い、差動回路による温度補償を行っている。MI素子は軸方向の磁界変動を検出するために、ゲル状物質で被覆された感磁素子と前記感磁素子を搭載する基板からなる個片素子の周回方向に検出コイルを巻回している。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−296127号 (第8〜10頁、図4〜10)
【0004】
また、電子コンパスとしては、アモルフアスリボンからなるMI素子を使用した発明が特開平11−63997号に開示されている。前記文献に記載された発明は、MI素子を2軸に設け、各MI素子を構成するアモルフアスリボンにはバイアス磁化を印加する巻線が巻回され、バイアス磁化を印加している。
【0005】
【特許文献2】
特開平11−63997号 (第5頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一方、近年急速に発展している携帯電話を含むモバイル機器においてはその携帯性から超小型、薄型で省電力化された電子コンパスが必要とされている。
また、この電子コンパスには、磁場強さに対して直線性を持って出力電圧をだせる範囲(以下、磁気測定可能範囲と記す。)が±2.7G以上であることが要求されている。さらに、この電子コンパスが携帯電話等で使用される場合は、さまざまな場所で使用され、その磁場強さは場所によっては先の±2.7Gの磁場強さを大きく上回ることもある。
【0007】
従来の特開2001−296127号に示される磁場検出装置は、従来のMI素子のサイズ、例えば、感磁素子のアモルファスワイヤは長さ3mm、直径30μmを使用するものの、感磁素子の両端を基板上の電極にプレートに接合し、感磁素子と基板との間及び感磁素子の上部空間をゲル状物質で被覆した個片素子の外周に検出コイルと負帰還コイルを捲いていたために幅3mm、高さ2mm、長さ4mmと大きく、さらに二軸成分の検出のためには少なくとも2個使う必要があり、小型電子機器への応用は難しかった。特に、携帯電話への応用にあたっては高さ2mmと厚く、容量48mm(容量24mm/個・軸を2軸分)と大きいことが問題となっていた。
【0008】
また、磁場検出装置の特性として高感度、検出精度の向上、そして低消費電力、小型化のために一軸あたりMI素子を2つ使用してこの二つの信号の差演算をするための差動回路を用いていること、及び、負帰還回路を用いることになっていた。しかし、作動回路及び負帰還回路により小型化には不都合であり、検出精度の向上のための負帰還電流を常に流していることは消費電力が大きいという問題点がある。
【0009】
一方、特開平11−63997号に記載されている電子コンパスは、小型化、精密測定を目的に、アモルフアスリボンからなるMI素子は、例えば、長さ31mm、幅0.1mm〜0.2mm、厚さ20mmを使用するものの、このMI素子にはバイアス磁化を印加する巻線を巻回すると、幅は2〜4mm、厚さ(高さ)は2〜3mmと大きくなるものと考えられる。また、バイヤス磁化を印加するための巻線には数mAのバイアス電流を常に流し続けることから消費電力が大きくなる。
【0010】
よって、電子コンパスには、上記問題点を解決するため、小型化、薄型化また低容量化にして磁気測定可能範囲が広く、低消費電力化を同時に満たすことが要求されていた。
【0011】
【課題を解決するための手段とその効果】
そこで、本発明者等は、電子コンパスに関して鋭意検討した結果、下記の構成を着想するに至った。
【0012】
請求項1の発明は、外部磁界の方位を検出するための電子コンパスにおいて、前記外部磁界の第一軸成分を検出するために配設される直径30μm以下のアモルファスワイヤからなる第一感磁体と前記感磁体の周囲に絶縁物を介して巻回した内径200μm以下の第一電磁コイルとからなる第一電磁コイル付マグネト・インピーダンス・センサ素子(以下、第一MI素子という。)と、前記外部磁場の第二軸成分を検出するために配設される直径30μm以下のアモルファスワイヤからなる第二感磁体と前記感磁体の周囲に絶縁物を介して巻回した内径200μm以下の第二電磁コイルとからなる第二電磁コイル付マグネト・インピーダンス・センサ素子(以下、第二MI素子という。)と、パルス電流または高周波電流を供給する発振手段と、前記第一MI素子及び前記第二MI素子に対して交互に通電させるためのスイッチ手段と、前記第一MI素子及び前記第二MI素子の各電磁コイルの出力電圧を検出する検出手段と、前記検出手段の出力電圧を増幅する増幅器とからなることを特徴とする。
【0013】
本電子コンパスは、外部磁界の第一軸成分及び第二軸成分を検出するために配設される直径30μm以下のアモルファスワイヤからなる第一感磁体及び第二感磁体のそれぞれの周囲に絶縁物を介して巻回する第一電磁コイル及び第二電磁コイルの内径を200μm以下とする。これにより、各電磁コイル及び各電磁コイルを保持している基板との全高さを0.7mm以下にすることができ、従来の1/3の大きさとなる。また、各電磁コイルを保持する基板の幅も従来の1/3の大きさとなる。
さらに、好ましくは各電磁コイルの内径を100μm以下とすることにより、高さ及び幅も0.5mm以下にすることができ、さらに小型化、薄型化を達成することとなる。
【0014】
また、作動回路及び負帰還回路の省略により電子コンパスの小型化を図ると共に負帰還回路へ常に流す電流が不要となり、大幅な消費電力の低減を達成することができる。本発明においては、バイヤス磁化を印加するための巻線が不要であるから、巻線にパイヤス電流を流すこともない。
さらに、第一MI素子及び前記第二MI素子に対して交互に通電させるためのスイッチ手段を設けることにより、消費電力の低減を図ることができ、一層の低消費電力の達成することとなる。
【0015】
一方、電子コンパスの磁気測定可能範囲を±10Gまで拡大するために、電力消費型の負帰還回路の代わりに感磁体の長さを短くすることによっても可能である。本発明では、2mm以下としている。磁気測定可能範囲に応じて0.5mm〜3.0mmでもよい。
【0016】
請求項の発明は、
前記の第一MI素子及び第二MI素子において、
前記電磁コイルを電極配線基板に形成された溝の垂直な両側面を有する溝面に沿って形成するとともに、前記感磁体と前記電磁コイルとの間は前記感磁体を固定するために絶縁物を介在させ、電磁コイルの単位長さ当たりの捲線間隔が100μm/巻以下であることを特徴とする。
【0017】
上記構成により、感磁体の周囲には絶縁物のみを介して電磁コイルを捲回することにより電磁コイルとの間の感磁体を固定する基板は省略することができ、小型化を図ることができる。感磁体は絶縁物により保持することにより基板は不要としているからである。
また、電磁コイルの単位長さあたりの捲線間隔を小さくして、単位長さあたりの捲線数を増加させることにより、出力電圧が増加する。本発明では、捲線間隔は100μm/巻以下であり、好ましくは50μm/巻以下である。同じ出力電圧の場合には、感磁体の長さを短くでき、MI素子の長さをすることができる。
【0018】
請求項の発明は、
発振手段、スイッチ手段、検出手段並びに増幅器を集積回路からなることを特徴とする。
この構成により、一層の小型化を達成することが出来る。
【0019】
請求項の発明は、
第一MI素子、第二MI素子並びに集積回路を幅5mm以下、長さ5mm以下の基板に実装したことを特徴とする。
上記構成により、超小型化、薄型化そして低容量化が可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
【実施例】
以下に、本発明のMI素子の実施例を図1、2に示す。
基板1の大きさは、幅0.6mm、高さ0.4mm、長さ2mmである。感磁体はCoFeSiB系合金を使った直径30μmのアモルファスワイヤ2である。基板上の溝11は深さ50μmで幅が70μmで長さは2mmである。電磁コイル3は、溝面111に形成されたコイルの片側31と、溝上面112(樹脂4の上面41)に形成された残り片側のコイル32の2層構造により形成したものである。
【0021】
前記溝面111に形成されるコイルの片側31は、電極配線基板1の長手方向に形成される溝11の溝面111の全面にコイルを構成する導電性の金属薄膜を蒸着により形成し、形成された金属薄膜が螺旋状に残るように間隙部を構成する導電性金属薄膜部を選択エッチング手法により除去することにより形成される。すなわち、前記溝11の溝側面においては上下方向に垂直コイル部が延在形成され、その両下端部は溝底面において左右方向(基板1の長手方向と直交する)に形成される平面コイル部の両端部と連続している。
【0022】
上記の溝面111に形成されるコイル31に対し、前記コイル31と導電性アモルファスワイヤとの絶縁のために酸化シリコン樹脂層を塗布する。次いで、絶縁された溝11に導電性アモルファスワイヤを配設した後、溝11の垂直コイル部の上端部のみ露出するようにさらに塗布する。
【0023】
上記により形成された溝上面112に導電性の金属薄膜を蒸着により形成し、前記上端部の一の上端部から他の上端部へ傾斜して短冊状(一捲分に相当する)に延在するコイル32が残るように絶縁空間となる間隙部を選択エッチング手法により除去することによりコイル32は形成される。
このようにしてコイル31及びコイル32からなる螺旋状の電磁コイルが形成される。平均相当内径(高さと幅で形成される面積と同一面積となる円の直径)が66μmである。電磁コイル3の単位長さ当たりの捲線間隔が50μm/巻である。
【0024】
電極5は基板上面に電磁コイル端子51と感磁体の端子52の計4個が焼付けられている。その電極5に先のアモルファスワイヤ2の両端と電磁コイル3の両端が接続されている。前記のように構成を有するのが本発明の電磁コイル付MI素子10である。ちなみに、本素子の大きさは、電極配線基板の大きさとほぼ同一である。
【0025】
次に、図3に前記MI素子10を用いた電子コンパスの電子回路図を示す。
発振手段である信号発生器7はX、Yの二つの出力端子を有し、その出力端子はそれぞれX軸およびY軸のMI素子に接続されている。信号発生器7はスイッチ手段である軸出力切換回路6の制御信号により、パルスをX、Y軸それぞれのMI素子に交互に通電する。これにより、二つのMI素子の通電頻度が二分の1になるため、省電力化を実現できる。
信号発生器7は、200MHzに相当する170mAの強さのパルス信号で、信号間隔は1μsecである。パルス信号は各MI素子のアモルファスワイヤ2に入力され、その入力時間の間に、電磁コイル3には外部磁界(地磁気)に比例した電圧が発生する。
なお、本実施例の軸出力切替回路6の位置と信号発生器7を入れ替えた回路とすることもできる。
検出手段である同期検波回路8は、MI素子通電電流に同期して電磁コイル3に発生したその電圧を検出する。
増幅器9は該電圧を、所定のレベルに増幅して出力する。信号発生器以降の動作は、X、Y軸のMI素子に対し交互に繰り返される。
【0026】
図3の電子回路を集積回路化してMI素子と同一基板上に実装したものを図4に示す。この図より、X、YのMI素子10が直交配置されている。図3の電子回路は、集積回路70である。この電子コンパス100の大きさは、図示しないが、電極を設けるケースを含めて3.4mm×3.1mmの大きさにて、厚さは0.8mmと非常に小型で、薄くかつ低容量である。
【0027】
前記回路からのセンサ出力を図5に示す。
図5の横軸は外部磁場の大きさ、縦軸はセンサ出力である。実線が本実施例のセンサの出力であり、±10Gの間で優れた直線性を示す。これは電子コンパスに必要とされる磁気測定可能範囲±2.7Gを十分な余裕を持って達成できることを表している。比較として、特開2001−296127号において負帰還回路を用いない本公報の回路と本公報のMI素子を用いた時のセンサの出力を点線で示す。なお、従来例の出力のピークを1とした。この結果より、磁気測定可能範囲が、負帰還回路を用いることなく±10Gレベルに拡大することができる。本実施例より、従来にない広範囲の磁気測定可能範囲を得ること、MI素子の小型化ならびに負帰還コイルと負帰還回路さらに差動回路を同時に省略できることによる小型化、かつ、負帰還電流の省略とスイッチ手段により大幅な消費電力を低減することが同時に達成することできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例におけるMI素子の正面図である。
【図2】本発明の実施例におけるMI素子の断面図である。
【図3】本発明の実施例のMI素子を用いた電子コンパスの電子回路図である。
【図4】本発明の実施例である図3の電子回路を集積回路化してMI素子と同一基板上に実装したものである。
【図5】本発明の実施例のMI素子を用いた電子コンパスにおけるセンサ出力対外部磁場の特性と、特開2001−296127号において負帰還回路を用いない本公報の回路と本公報のMI素子を用いた時のセンサ出力対外部磁場の特性図である。
【符号の説明】
1 電極基板、2 アモルファスワイヤ、3 電磁コイル、4 絶縁性樹脂、5電極、6 軸出力切換回路、7 信号発生器、8 同期検波回路、9 増幅器、10 MI素子、111 溝面、112 溝上面、31 電磁コイルの片側、32 電磁コイルの残り片側、70 集積回路、100 電子コンパス

Claims (3)

  1. 外部磁界の方位を検出するための電子コンパスにおいて、
    前記外部磁界の第一軸成分を検出するために配設される直径30μm以下のアモルファスワイヤからなる第一感磁体と前記感磁体の周囲に絶縁物を介して巻回した内径200μm以下の第一電磁コイルとからなる第一電磁コイル付マグネト・インピーダンス・センサ素子(以下、第一MI素子という。)と、
    前記外部磁場の第二軸成分を検出するために配設される直径30μm以下のアモルファスワイヤからなる第二感磁体と前記感磁体の周囲に絶縁物を介して巻回した内径200μm以下の第二電磁コイルとからなる第二電磁コイル付マグネト・インピーダンス・センサ素子(以下、第二MI素子という。)と、
    パルス電流または高周波電流を供給する発振手段と、
    前記第一MI素子及び前記第二MI素子に対して交互に通電させるためのスイッチ手段と、
    前記第一MI素子及び前記第二MI素子の各電磁コイルの出力電圧を検出する検出手段と、
    前記検出手段の出力電圧を増幅する増幅器とからなり、
    前記の第一MI素子及び第二MI素子において、
    前記電磁コイルを電極配線基板に形成された溝の垂直な両側面を有する溝面に沿って形成するとともに、前記感磁体と前記電磁コイルとの間は前記感磁体を固定するために絶縁物を介在させ、電磁コイルの単位長さ当たりの捲線間隔が100μm/巻以下であ
    ことを特徴とする電子コンパス。
  2. 前記の発振手段、スイッチ手段、検出手段並びに増幅器は集積回路からなることを特徴とする請求項1に記載の電子コンパス。
  3. 前記第一MI素子、前記第二MI素子及び前記集積回路を幅5mm以下、長さ5mm以下からなる基板に実装したことを特徴とする請求項2に記載の電子コンパス。
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