JP3882244B2 - インキジェット用記録材、及び印刷物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カールが少なく、生産性が高く、インキジェットプリンターによって高密度記録や印刷を行うことができるインキジェット用記録材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、特にフルカラー対応のインキジェットプリンターの需要が増加しているが、紙や繊維シートのような多孔質支持体やフィルムのような無多孔質支持体へ印字する場合は、高精細印字性やインキのにじみ等を付与する目的で、多孔質支持体を特殊な薬剤で処理して使用されている。
【0003】
特殊な薬剤で処理した多孔質支持体としては、例えば各種親水性樹脂とシリカとの配合液を塗布する方法で製造されるインキジェット紙(特開昭59−148583号公報、55−51583号公報、58−72495号公報等)、尿素−ホルマリン樹脂を用いたインキジェット紙(特開昭58−72495号公報等)等が知られている。
【0004】
これらはインキ吸収性が比較的良好で、かつ、インキの広がりが少なくなるよう薬剤について工夫されたものである。しかしながら耐水性まで十分考慮されたものではなく、耐水性が劣るという欠点がある。
【0005】
次にインキジェットによる記録情報が水や各種薬品によって消えることを防ぐため塩基性ラテックスを用いる方法(特開昭57−36692号公報)が提案されている。しかし、この技術は未だ十分満足できるものではなく、かつこの技術はカチオン系の樹脂を使用しており、アニオン系樹脂との併用が困難であり、製造工程上、アニオン系樹脂を併用する場合は専用ラインが必要とされるという問題点がある。
【0006】
一方、印字適性を改良するため塗布層を多層構造にする提案(特開昭61−35275号公報、特開平5−85034号公報)が行われている。しかしながらこれらの技術は、インキジェット以外の印刷に用いることができず、インキジェット以外の目的で使用する場合は、別の方法をとらざるを得ない。これらの方法をとった場合にも工程が複雑化することが懸念される。
【0007】
上記の従来の技術で製造されるインキジェット用記録材は、インキジェットインキが特殊な水性タイプであるために、他の用途、例えばオフセット印刷機や熱転写プリンター等にはこの記録材が使用できない場合が多い。オフセット印刷は多色印刷ができ、日本では約9割がこの汎用システムである。一方、レーザー方式と熱転写プリンターはインキジェットプリンターとともに他のフルカラー対応印刷システムに最も適した方式の一つである。
【0008】
記録材へのカラー化対応の要求が近年高まっている現在ではそれぞれのシステムで満足する性能を発現させるにはそれぞれ印刷機やプリンターに専用の記録材を準備するのが現状である。
【0009】
この状況下で、使用者の立場からはインキジェット用記録材でありかつ別の印字システムにも使用できるマルチパーパスな記録材が求められ、生産者の立場からはインキジェット記録材を製造するにあたり工程が簡略であることや各種多孔質基材(紙、スパンボンド、NWFなど)に同時に適用できる記録材が求められている。
【0010】
その他、ベーマイトと水溶性樹脂等を用いることによりインキジェット印字性が極めて優れる技術も知られているが、光沢、透明性の点で満足できるものではなく、また耐水性や乾燥性は高速印刷にはまだ改良する必要がある。
【0011】
最近は特に記録材の光沢が高く、透明性の高い材を市場が要求しているが、総合的に満足できる材は未だ得られていない。またウレタン系樹脂を用いた一連のインキジェット記録材が提案されている。すなわち特公平3ー42590号公報には、イソシアネート化合物とポリエーテルポリオールの反応生成物を含有してなるインキジェット記録材が提案されている。 この技術は、イソシアネート化合物とポリエーテルポリオールを混合したものをフィルム等へ塗布し、塗布面にて反応させて記録材を製造する方法である。
【0012】
しかしながら、原料としてポリエーテルポリオールを使用すると皮膜の耐熱黄変性、耐候性など、屋外での使用を想定した場合、品質的に不利な点がある。添加剤によりこれらの不利な点を解消することが試みられているが、未だ満足できるレベルに達していない。また高速印字に耐えうるだけのインキの吸収性にも劣り、透明で光沢のある皮膜を形成させることが困難であるという欠点もある。さらにイソシアネートとポリオールの反応させることによる皮膜の形成は、実用レベルの皮膜を得ようとするならば長時間温度をかけて熟成する必要があり、反応が未完結な場合、塗布シートがまきとられた場合に想定される高温、高圧下ブロッキング性や光沢平滑性の低下、いわゆる品質のばらつき問題が発生しやすいという欠点もある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐候性、変色性を向上させ、実用レベルの耐久性、生産性を有する、高精細なインキジェット用記録材を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題点について鋭意研究した結果、特定のポリウレタン樹脂エマルジョン、さらにこれにアセトアセチル化ポリビニルアルコールを併用し、さらにエピクロルヒドリンポリアミド樹脂を併用することにより従来の問題点を解決することができることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0015】
すなわち本発明は、基材上に、分子中にポリカーボネート鎖またはポリカーボネート鎖及びポリエステル鎖を含有する、平均粒子径が0.1μm〜3.0μmであるポリウレタン樹脂エマルジョン、エピクロルヒドリンポリアミド樹脂、及びアセトアセチル化ポリビニルアルコール、を含んでなる皮膜を有することを特徴とするインキジェット用記録材であり、好ましくはポリウレタン樹脂エマルジョンのポリウレタン樹脂が、ポリカーボネートポリオール又はポリカーボネートポリオール及びポリエステルポリオール含有するポリオールと脂肪族系イソシアネート化合物とを反応させてなり、好ましくはポリウレタン樹脂エマルジョンのポリウレタン樹脂が、分子中にスルフォン酸基を有するポリウレタン樹脂であり、好ましくはさらに水溶性エポキシ化合物を含んでなるインキジェット用記録材に関する。
【0016】
さらにエピクロルヒドリンポリアミド樹脂を含む場合、その割合が固形分換算重量比で5:95〜95:5であるインキジェット用記録材に関する。本発明は、エピクロルヒドリンポリアミド樹脂はカチオン系の樹脂であるが、この樹脂と特定のポリウレタン樹脂エマルション等とが水中に安定に存在し、かつ、この組成物を皮膜化したとき、透明性を損なわない超微多孔質膜が形成できるという効果があり、上記課題を解決したものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成につき詳細に説明する。本発明の分子中にポリカーボネート鎖を含有する粒子径が3.0μm以下であるポリウレタン樹脂エマルジョンは、公知の製造法にて製造することができる。すなわち、具体的には、例えばポリカーボネート鎖を含むポリオール(以下ポリカーボネートポリオールという)とジイソシアネートとを溶剤中で反応させ、その後、エマルション化することにより製造することができる。
【0018】
予めジイソシアネートとポリカーボネートポリオールとが高分子量化され、かつジイソシアネートの反応性は既にない状態の水分散体を塗布することになるので、実用皮膜を形成させるための熟成は不要であり、品質のばらつきはまったくないし、生産性の向上を図ることができる。
【0019】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば1,4ーブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール等のグリコールとジフェニールカーボネート、ホスゲンとの反応によって得られる化合物が挙げられる。これらを単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0020】
ジイソシアネートとしては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2'−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3'−ジメチル−4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、3,3'−ジクロロ−4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンキシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3'−ジメチル−4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられ、それぞれ単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0021】
これらのジイソシアネートのうち、安定性と耐光性等の点から脂肪族ジイソシアネートが好ましい。脂肪族ジイソシアネートとしては、上記で掲げたジイソシアネートのうち、脂肪族ジイソシアネートに属するものがそのまま使用できる。
【0022】
本発明の実施にあたっては、一般に市販されているポリカーボネート鎖を有するポリウレタン樹脂エマルジョンを使用することができる。使用に当たっては、皮膜強度や耐水性の問題から、乳化剤含有量のできるだけ少ないものを選定する必要がある。
【0023】
ポリウレタン樹脂エマルジョンのポリウレタン樹脂の平均粒子径は、樹脂エマルジョンの透明性や安定性や耐水性の点から、3.0μm以下のものを使用することが必要である。粒子径が3.0μmを越えると、耐水性や安定性、透明性、印刷光沢等が実用レベルより劣ることになるため好ましくない。
【0024】
本発明の分子中にポリカーボネート鎖を含有する、粒子径が3.0μm以下であるポリウレタン樹脂エマルジョンの市販品としては、例えば大日本インキ化学工業(株)製の「ボンディック」(商品名)、「ハイドラン」(商品名)やバイエル社製の「インプラニール」(商品名)等が挙げられる。
【0025】
本発明の分子中にポリカーボネート鎖及びポリエステル鎖を含有する粒子径が、3.0μm以下であるポリウレタン樹脂エマルジョンは、公知の製造法にて製造することができる。すなわち、具体的には、例えばポリカーボネートポリオール、ポリエステル鎖を有するポリオール(以下ポリエステルポリオールという)とジイソシアネートとを溶剤中で反応させ、その後、エマルション化することにより製造するか、ポリカーボネートポリオールとジイソシアネートとを溶剤中で反応させ、その後、エマルション化したものとポリエステルポリオールとジイソシアネートとを溶剤中で反応させ、その後、エマルション化したものとを混合することにより製造することができる。
【0026】
ポリカーボネートポリオールとジイソシアネートは、上記で挙げた化合物をそのまま用いることができる。またポリエステルポリオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン及びそれらのアルキレンオキサイド付加体等のグリコール成分とコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p'−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物あるいはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の酸成分とから脱水縮合反応によって得られるポリエステル、e−カプロラクトン等の環状エステル化合物の開環重合反応によって得られるポリエステル及びこれらの共重合ポリエステル等が挙げられる。
【0027】
上記ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオールの他に、これら以外のポリオールを使用することができる。上記以外のポリオールとしては、例えばアルキレンオキサイド鎖を有するポリオールがある。アルキレンオキサイド鎖とは、代表的なものとしてエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ビスフェノールのエチレンオキサイド付加物等が挙げられ、これら単独又は2種以上組み合わされていてもよい。アルキレンオキサイド鎖の含有量に特に制限はないが、一般には他のポリオール成分と併用することで、皮膜の機械的強度が実用レベルになる。
【0028】
本発明のポリウレタン樹脂エマルジョンのポリウレタン樹脂は、分子中にスルフォン酸基を有するポリウレタン樹脂であることが好ましい。スルフォン酸基を有するポリウレタン樹脂エマルションは、スルフォン酸基を有するジオール、ジアミン、ジイソシアネート等を、ポリカーボネートポリオールとジイソシアネートの反応時に併用することにより得られる。また通常、末端イソシアネートを有するプレポリマーの高分子量(鎖伸長工程)化でジアミン、ジオールの形で導入することもできる。一般的にはカルボン酸基を有する場合が多いが、本発明の場合、スルフォン酸基タイプを使用すると塗布シートのカール性の点で好ましい。一般にはカルボン酸基を大量に含有タイプはカールが生じやすい。本発明の場合、カルボン酸基を少量、スルフォン酸基と併用することはかまわない。
【0029】
一方、上記従来技術に掲げたポリエーテルポリオールとイソシアネートとの反応生成物で問題とされる、耐候性、変色性、インキの吸収性、光沢、透明性、生産性の改良はポリカーボネート鎖を有する水分散体ウレタンエマルションによって得られ、これにさらにポリアミドエピクロルヒドリン樹脂を配合することによりゲル化することなく安定な組成物が得られる。カチオンとアニオンのイオン的なミクロ凝集がもたらす微細な構造体の形成によるものと思われる。
【0030】
本発明のエピクロルヒドリンポリアミド樹脂は、一般には紙力増強剤として知られているものである。この樹脂は公知の方法で製造することができ、例えばアジピン酸とジエチレントリアミンの脱水重縮合により得られる。この樹脂の市販品としては日本PMC(株)の「WS525」、「WS535」や「WS570」等を挙げることができる。
【0031】
エピクロルヒドリンポリアミド樹脂の使用量は、ポリウレタン樹脂エマルションとエピクロルヒドリンポリアミド樹脂とが固形分換算重量比で5:95〜95:5である。エピクロルヒドリンポリアミドの量が5重量%未満であると、印刷性に劣る。一方、95重量%を越えると、皮膜の粘着性により、作業上問題となる。
【0032】
エピクロルヒドリンポリアミド樹脂はカチオン系の樹脂であるが、一般にはアニオン系のポリウレタン樹脂エマルションとは混和できない。特定のポリウレタン樹脂エマルションを用いると、カチオン系の樹脂と凝集物を形成することなく、安定に水に分散できる状態となり、印刷性と光沢性が両立可能となる。その理由の詳細は明らかではないが、カチオンとアニオンとの極ミクロ凝集(光沢性、透明性に影響ないレベル)が形成されて、印刷性が向上するものと推定される。
【0033】
すなわちポリウレタン樹脂エマルションとして、ポリカーボネート鎖、又はポリカーボネート鎖及びポリエステル鎖を含有する平均粒子系が3.0μm以下の特定のポリウレタン樹脂エマルションを用いることによりカチオン系樹脂とエマルジョン状態で安定に存在し(カチオンとアニオンが混在したエマルションとして安定でないものは印刷性として満足いく結果は得られていない)、その乾燥皮膜が透明性と印刷可能なミクロ多孔質を形成するため、本発明の目的とする効果が得られるものと考えられる。水系のエマルションの形態であるからこそ、ミクロ凝集が形成できるものである。
【0034】
ポリウレタン樹脂を使用する記録材は各種紹介されているが、本発明により前記従来技術のイソシアネートとポリエーテルポリオールの反応生成物のみだけでは発現できない透明性、光沢性を発揮でき、及びマルチパーパスな印刷性を備えるものである。
【0035】
本発明の水溶性エポキシ化合物としては、例えばソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリチリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシデルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグルシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレン/プロピレングリコールジグリシジルエーテル等各種のものが使用できるが、好ましくは3官能以上のソルビトール系ポリグリシジルエーテルが好ましい。
【0036】
本発明の水溶性ポリエポキシ化合物は、任意に配合でき、その配合割合は特に制限されないが、好ましくはポリカーボネート鎖、又はポリカーボネート鎖及びポリエステル鎖を含有するポリウレタン樹脂の水分散液等からなる樹脂組成物100重量部に対して0.1〜20重量部である。
【0037】
本発明のアセトアセチル化ポリビニルアルコールとは、一般にポリビニルアルコール系樹脂の溶液あるいは粉末に、液状、またはガス状のジケテンを添加反応させて製造されるものをいう。このアセトアセチル化ポリビニルアルコールの配合割合は、特に制限されないが、ポリカーボネート鎖を有するポリウレタン水分散液100重量部に対し、50〜500重量部使用される。
【0038】
またアセトアセチル化ポリビニルアルコールの市販品としては、日本合成化学(株)製の「ゴーセファイマーZ−100」、「ゴーセファイマーZ−200」(いずれも商品名)等が挙げられ、これらを使用することができる。
【0039】
水溶性エポキシ化合物及びアセトアセチル化ビニルアルコールを併用することにより光沢性、耐久性向上という効果がある。本発明のインキジェット用記録材は、他の添加剤をインキジェット印字性やその他の印刷性を阻害しない範囲で配合することができる。
【0040】
他の添加剤としては、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、酸化珪素、酸化アルミニウム等が挙げられ、これらは上記組成物とともに混合し、分散させる。本発明のインキジェット用記録材は各種基材へ塗工される。
【0041】
基材としては、紙、板紙、各種フィルム等が主であるが、その他不織布、スパンボンド等各種繊維基材等が挙げられる。本発明のインキジェット用記録材を基材に塗布する方法としては、エアナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布、グラビア塗布、含浸、サイズプレス塗工、ゲートロール塗工等が挙げられる。
【0042】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明を説明する。なお例中の部および%はすべて重量基準とする。
【0043】
実施例1
ボンディック2250[大日本インキ化学工業(株)製 ポリカーボネート鎖を有するポリウレタンの水性分散液、平均粒子径0.2ミクロン]50部とWS535[日本PMC(株)製 エピクロルヒドリンポリアミド樹脂 50部を配合し、ゲル化することなく安定な、組成物を得た。更にZ200[日本合成化学(株)製アセトアセチル化ポリビニルアルコール]を固形分として50部配合したインキジェット用組成物を得た。
【0044】
この組成物を固形分30%でコンマコーターにより未塗工フィルム(100ミクロン)に塗布し、乾燥温度120℃、10秒で乾燥し、記録材を得た。(以下記録材Aという)
得られた記録紙はインキジェットプリンターBJC600(キャノン製)を用いて評価した。結果は表1に示す。印字、印刷適性が優れていることがわかる。
【0045】
実施例2
ハイドランHW−970[大日本インキ化学工業(株)製 ポリカーボネート鎖含有、スルフォン酸基を含むポリウレタン水性分散液]を固形分として30部配合し、ゴーセファイマー Z−200[日本合成化学(株)製 アセトアセチル化ポリビニルアルコール]を固形分として70部配合、WS535[日本PMC(株)製エピクロルヒドリンポリアミド樹脂]30部を配合したインキジェット用組成物を得た。
【0046】
実施例1と同様にフィルムに塗布(以下記録材Bという)して評価した。結果は表1に示す。実施例1と同様印字適性に優れていることがわかる。
実施例3
実施例1で得た安定なAの固形分100部に水溶性エポキシ化合物であるCR−5L[大日本インキ化学化学工業(株)製]を固形分で5部添加して組成物を得た。
【0047】
実施例1と同様に紙に塗布し(以下記録材Cという)評価した。結果は表1に示す。実施例1と同様各種印字適性に優れていることがわかる。
実施例4
ハイドランHW−930[大日本インキ化学化学工業(株)製 ポリエステルポリオール鎖、スルフォン酸基を有するポリウレタンの水性分散液、平均粒子径2.0ミクロン]とハイドランHW970[大日本インキ化学化学工業(株)製ポリカーボネートポリオール鎖を有するポリウレタンの水性分散液、平均粒子径0.1ミクロン]とを固形分換算で50:50に混合したものをボンディック2250の替わりに使用する以外は実施例1同様にフィルムに塗布(以下記録材Dという)して評価した。結果は表1に示す。印刷性に優れていることがわかる。
【0048】
実施例5
実施例2においてWS535を使用せずHW−970のみでフィルムへ塗工して評価(以下記録材Eという)した。結果は表1に示す。実施例2に比べ劣るものであるが実用レベルにある。
【0049】
【表1】
比較例1
実施例2においてハイドランHW−970の代わりにハイドランHW−301[大日本インキ化学工業(株)製 カルボキシル基含有ポリエステルポリウレタン水性分散液]に置き換えて組成物(以下記録材Fという)を作成したが配合液が経時的に増粘してしまった。
【0050】
比較例2
実施例2においてHW−970を使用せずWS535のみでフィルムへ塗工して評価した。結果は表2に示す。実施例2に比べ劣るものであった。
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】
本発明のインキジェット用記録材はインキジェット印字性に優れる。
Claims (5)
- 基材上に、分子中にポリカーボネート鎖またはポリカーボネート鎖及びポリエステル鎖を含有する、平均粒子径が0.1μm〜3.0μmであるポリウレタン樹脂エマルジョン、エピクロルヒドリンポリアミド樹脂、及びアセトアセチル化ポリビニルアルコール、を含んでなる皮膜を有することを特徴とするインキジェット用記録材。
- ポリウレタン樹脂エマルジョンのポリウレタン樹脂が、ポリカーボネートポリオール又はポリカーボネートポリオール及びポリエステルポリオールを含有するポリオールと脂肪族系イソシアネート化合物とを反応させて得られるものである、請求項1記載のインキジェット用記録材。
- ポリウレタン樹脂エマルジョンのポリウレタン樹脂が、分子中にスルフォン酸基を有するポリウレタン樹脂である、請求項1又は2に記載のインキジェット用記録材。
- ポリウレタン樹脂エマルジョンとエピクロルヒドリンポリアミド樹脂との割合が、固形分換算重量比で5:95〜95:5である、請求項1に記載のインキジェット用記録材。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のインキジェット用記録材に、インキジェットプリンターを用いて画像を印刷して得られる印刷物。
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