JP3880114B2 - チェーン破断検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、チェーンフライト式水中搬送装置のためのチェーン破断検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、下水処理場の沈殿地には、沈殿した汚泥を掻き集めて汚泥排出溝へ搬送排出するために、図5あるいは図6に例示するようなチェーンフライト式汚泥掻寄せ機が用いられている。図5は主にメインコレクターに採用される4軸タイプのチェーンフライト式汚泥掻寄せ機、図6は主にクロスコレクターに採用される3軸タイプのチェーンフライト式汚泥掻寄せ機であって、それぞれスプロケット51〜54、61〜63によってチェーンフライト55、64を池底付近に沿うように配設し、このチェーンフライト55、64をモータ56、65によって矢印方向に回転駆動することにより、チェーンフライト上に一定間隔で取り付けられた樹脂もしくは木製または金属製のレーキ(掻寄せ板)57、66によって池底に沈殿した汚泥を掻き集め、汚泥排出溝58、67へ排出するようにしたものである。
【0003】
このようなチェーンフライト式汚泥掻寄せ機においては、極めて大きなトルクで駆動スプロケット51、61を回転駆動しているため、チェーンフライト55、64の主務チェーンが破断した場合には直ちに操業停止などの処置を採らないと、装置に大きな被害が生ずる。このため、前記チェーンフライト式汚泥掻寄せ機をはじめとして、この種のチェーンフライト式水中搬送装置においては、主務チェーンの破断を検出するチェーン破断検出装置を付設するのが普通である。
【0004】
従来、チェーン破断検出装置としては、電気式のものと機械式のものが知られている。電気式のチェーン破断検出装置は、チェーンフライトの移動軌跡の近傍に近接スイッチを固設し、チェーンフライトの動きを直接電気的に検知するようにしたものであり、また、機械式のチェーン破断検出装置は、チェーンフライトの動きを振り子機構などによって一度機械的に池上まで取り出し、この機械的な動きを電気式スイッチ(例えば、近接スイッチ、リミットスイッチ、光電管スイッチなど)によって検知するようにしたものである。
【0005】
ところで、電気式のチェーン破断検出装置の場合、水量の変動による浮力の変化や沈殿した汚泥量の変動による負荷の変化などによってレーキの位置が上下し、チェーンフライトに取り付けた金属製の検知体が揺動するために誤動作が多いという問題があった。また、チェーンの伸びに対してもその度にブラケットを調節しなければならず、近接スイッチとチェーンフライトの動作間隔を正確に保つことが難しかった。このため、水中型の近接スイッチを用いることができるというメリットがありながら、レーキがあまり揺動しない安定した動きをする部分にしか設置することができなかった。
【0006】
一方、機械式のチェーン破断検出装置の場合、電気的検知部分が地上にあるため、比較的調整がしやすく、また、機械的にレーキの動きを検知する部分の構造を工夫することにより、水位変動などによるチェーンフライトの揺動も吸収できるという利点がある。しかし、設置場所は沈殿池の躯体構造によりかなり大きな制約を受け、最近ほどんどの処理場で採用されている二階層式沈殿池における下層への利用はほとんど不可能である。
【0007】
前記したチェーン破断装置は、チェーンフライトのチェーンが破断した場合にこれをできるだけ迅速に検出する必要がある。図5および図6において最も迅速にチェーン破断を検出できるのは、チェーンフライトの構造上、カテナリー部と呼ばれる▲1▼の辺りである。この▲1▼の辺りは、モータ56、65によって積極駆動される駆動スプロケット51、61から主務チェーンが押し出されてフリーになった直後の位置であり、チェーンフライトのどこの部分でチェーン破断が起こってもまず最初にチェーンが緩んだり、渋滞する場所であるからである。
【0008】
しかし、一方において、この▲1▼の辺りはチェーンフライトの揺動が一番激しい場所であり、近接スイッチとチェーンフライトとの検出距離を常に一定に保つ必要がある電気式のチェーン破断検出装置はこの▲1▼の辺りに設置することが非常に難しかった。そこで、従来においては、駆動スプロケット51、61からチェーンが離れる前の▲2▼の辺りに設置したり、チェーンフライトがガイドレール59に乗って安定した後の▲3▼の辺り(図5参照)、あるいは、▲4▼のテール部分の辺りに設置していたが、いずれの位置も▲1▼の部分に比べて迅速に検出することは困難である。
【0009】
また、機械式のチェーン破断検出装置は、基本的に前記▲1▼の辺りにも設置可能であるが、沈殿地の覆蓋や躯体構造によっては無理な場合があった。特に、上部空間に余裕のない二階層式沈殿地の下層に設置することは困難である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、チェーン破断検出装置は、チェーンフライト式水中搬送装置のチェーン破断がシステム全体に及ぶような重大事故に発展することを防止するために設置するものである。したがって、通常、チェーン破断検出装置が動作した場合には機器を即座に停止するとともに、例えば前述した下水処理場の場合には、事故の起こった沈殿地の水を返水して内部点検を行なう必要がある。この返水という作業は下水処理場の水処理に極めて大きな負担をかけるものであり、チェーン破断検出装置が誤動作した場合のダメージははかり知れないものがある。
【0011】
このように、チェーン破断検出装置の誤動作は機器の維持管理に対する影響が極めて大きいため、誤動作の恐れがなく、しかも、調整のしやすいチェーン破断検出装置が求められていた。このような要求の下に、チェーン破断検出装置に用いられる水中型近接スイッチも改良が重ねられ、近接スイッチ自体の誤動作は減少したが、それでもなお、水位差によるチェーンフライトの位置変動やチェーンの伸びなどに対しては今のところ調整作業で対処するしかなく、作業が非常に煩雑となり、手間と時間がかかるという問題があった。
【0012】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたもので、どの場所でも簡単に設置することができるとともに、水位変動などによってチェーンフライトが揺動してもチェーンの破断を正確に検知することができ、さらに、一度据え付けた後は調整作業をほとんど必要としない、チェーンフライト式水中搬送装置のためのチェーン破断検出装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のチェーン破断検出装置は、所望長さからなる棒状の揺動アームの一方の先端部に回動支軸を設けるとともに、他方の先端部には防水構造になる非接触式金属検知センサーを取り付け、該非接触式金属検知センサーの前面を非金属製のガイド板によって覆ったものである。
【0014】
なお、前記非接触式金属検知センサーとガイド板は揺動アームに対してその取り付け角を調節自在とすることができる。また、前記揺動アームはそのアーム長を調節自在とすることができる。また、前記揺動アームにカウンターウェイトを軸心方向スライド自在に取り付け、該カウンターウェイトの位置を変えることにより、自重垂下時における揺動アームの静止傾斜角を調節可能とすることもできる。さらに、前記ガイド板はプラスチック樹脂から構成することが好ましい。
【0015】
【作用】
上記構成になるチェーン破断検出装置は、その使用に際し、汚泥掻寄せ機のチェーンフライトの所望位置、例えば図5または図6中の▲1▼の位置などに回動支軸によって吊り下げ、揺動アームがチェーンフライトの走行方向に向かって揺動自在となるように設置する。そして、この設置の際、走行するチェーンフライトのレーキが揺動アーム下端のガイド板とぶつかるように、揺動アームの長さを調整しておく。
【0016】
上記のようにチェーン破断検出装置を設置した後、チェーンフライトを回転駆動すると、チェーンフライト上に一定間隔毎に取り付けられたレーキが揺動アームの下を通過する度にレーキとガイド板とがぶつかり、レーキはガイド板の表面に接した状態で滑動しながら揺動アームを押していく。このため、揺動アームは、レーキが通過する度に、上端の回動支軸を支点としてレーキをかわすように揺動する。
【0017】
前記揺動アームの下端に取り付けられているガイド板は、非接触式金属検知センサーの前面に位置して非接触式金属検知センサーと一定の距離関係を有して取り付けられている。したがって、このガイド板の表面に接しながら滑動していく前記レーキと非接触式金属検知センサーとの離間距離もまた一定となる。しかも、水位の変動や負荷変動によってチェーンフライトの位置が上下に変動しても、揺動自在とされた揺動アームがこれを吸収し、レーキは常にガイド板と接しながら滑動していくので、非接触式金属検知センサーとレーキとの離間距離もまた常に一定となる。このため、非接触式金属検知センサーは、どのような場合においても、通過するレーキを常に同じ検知条件で正確かつ確実に検出することができる。
【0018】
また、前記作用から明らかなように、本発明のチェーン破断検出装置は、揺動アームの下端に位置するガイド板がレーキとぶつかるように吊り下げてやるだけでよいので、その設置場所に制限がなく、前述した図5または図6中の▲1▼の位置は勿論のこと、▲2▼,▲3▼,▲4▼の位置であっても簡単に取り付けることができる。さらに、揺動アームの上端側には揺動アームを吊り下げるための回動支軸が設けられているだけであるので、例えば、下水処理場における上部空間に余裕のない二階層式沈殿地の下層にも、簡単に設置することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係るチェーン破断検出装置の実施形態の側面図、図2はその正面である。この実施形態の場合、揺動アーム1は、パイプ状の上側アーム1aと下側アーム1bとからなり、下側アーム1bは上側アーム1a内に挿入され、アーム長さ調節ねじ2によってその長さを調整できるように構成されている。そして、この揺動アーム1の上側アーム1aの先端には、揺動アーム1を揺動自在に吊り下げるための回動支軸3が固設されているとともに、把持および脱落防止用の取手4が設けられている。
【0020】
一方、下側アーム1bの先端には、角度調整用ねじ5によって支持板6がその取り付け角度θを調整自在に螺着されており、この支持板6の下向き面側には、金属物体を検知するための非接触式金属検出センサーたる水中型近接スイッチ(以下、「近接スイッチ」と略称)7が固設されているとともに、この近接スイッチ7と一定の間隙をおいてその前面を覆うようにプラスチック樹脂製からなる略しゃもじ形状のガイド板8が固設されている。このガイド板8は、後述するように、チェーンフライトのレーキ上に付設された金属製の検出体がそのガイド板表面にぶつかって揺動アームを回動しながら通過していく際に、近接スイッチ7と検出体との離間距離を常に一定に保つととともに、衝突緩衝材としての役目を果たすものである。なお、前記近接スイッチ7としては水中に没してもよいように防水タイプのものが用いられ、検出信号取り出し用の信号ケーブル9(図2参照)は下側アーム1b、上側アーム1aのパイプ内を通って上端の回動支軸3から外部へ引き出されている。
【0021】
前記ガイド板8と近接スイッチ7との間の間隙Gは、ガイド板8の板厚とこの間隙Gとを足した距離が近接スイッチ7の最良検出感度範囲内に入るような距離とされている。ちなみに、一例を挙げると、近接スイッチ7の最良感度範囲は30〜50mm程度であり、間隙Gとガイド板8の板厚と足した距離がこの30〜50mm内に入るように設定される。また、近接スイッチ7とガイド板8を取り付けた支持板6は、前述したように、角度調整用ねじ5によって下側アーム1bに螺着されており、このねじ5を緩めることにより、揺動アーム1に対する支持板6の傾斜角θを調整自在とされている。したがって、この角度θを調節することにより、傾斜配置されたチェーンフライトに対して近接スイッチ7を正対させることが可能となる。
【0022】
さらに、図1中に二点鎖線で示したように、下側アーム1bにカウンターウェイト10を軸心方向スライド自在に付設すれば、このカウンターウェイト10の上下方向の位置を調整することにより、揺動アーム1全体の重心位置を変えることができ、自重によって自然垂下した状態における揺動アーム1の傾斜静止角度を変えることが可能となる。したがって、このカウンターウェイト10による角度調整機能と前記した支持板6による角度調整機能とを合わせれば、どのような傾斜を有するチェーンフライトに対しても近接スイッチ7を常に正対配置させることが可能となる。
【0023】
図3および図4に、前記チェーン破断検出装置の沈澱池への実際の取り付け状態を示す。図3は取り付け状態の側面図、図4はその正面図である。本発明のチェーン破断検出装置を沈殿地に設置するには、例えば、図5または図6中の▲2▼の辺りのコンクリート壁21部分に揺動アーム1を吊り下げるためのブラケット22を固設し、このブラケット22の頂面に形成した支軸載置部23に揺動アーム1の回動支軸3を掛け渡して載せることにより、揺動アーム1がチェーンフライト55(64)の走行方向に向かって揺動自在となるように水中に吊り下げる。
【0024】
この時、前記揺動アーム1は、アーム長さ調節ねじ2によって上側アーム1aと下側アーム1bの挿入深さを調整し、図3に示すように、揺動アーム1先端のガイド板8が走行するチェーンフライト55(64)のレーキ57(66)に当たるような長さに調整しておく。また、角度調整用ねじ5を緩めて支持板6を回し、支持板6に固設された近接スイッチ7が二点鎖線で示す検出地点付近においてレーキ57(66)と正対するように、その傾斜角θ(図1参照)を調整し、ねじ5によって固定する。これにより、レーキ57(66)の表面に付設された金属製の検出体24の検出感度を最大に設定することが可能となる。
【0025】
なお、揺動アーム1の上端から引き出された信号ケーブル9は、図示を略した沈殿地機器室などへ導かれる。また、揺動アーム1の先端の取手4には脱落防止用のチェーン25が取り付けられ、柵26近傍のポスト27などに繋がれている。
【0026】
上記のように設置されたチェーン破断検出装置の動作を以下に説明する。
まず、チェーンフライト55(64)の主務チェーンが切れていない正常時には、図3に示すように、チェーンフライト55(64)は所定の速度(例えば、0.1 〜0.4 m/分程度)で走行し、この走行するリンクベルに一定間隔(例えば、約3m毎)で取り付けられたレーキ57(66)が順次揺動アーム1の下に達し、揺動アーム1のガイド板8にぶつかる。
【0027】
レーキ57(66)がガイド板8にぶつかると、レーキに付設した検出体24がガイド板8の表面に接しながら揺動アーム1を押し、図3中に二点鎖線で示すように、揺動アーム1を揺動しながら通過していく。そして、この時、近接スイッチ7は検出体24と正対する二点鎖線位置付近で検出体24を検出し、その検出信号を信号ケーブル9を通じて外部へ送出する。チェーンフライト55(64)の走行が進み、ガイド板8にぶつかっていたレーキ57(66)が後方に抜けると、揺動アーム1は開放され、その自重によって再び元の静止位置に復帰する。
【0028】
図3から明らかなように、レーキ57(66)の外表面に付設した検出体24はガイド板8の表面に接しながら滑動していく状態となり、二点鎖線で示した検出位置近傍における近接スイッチ7と検出体24の離間距離は常に一定の値となる。しかも、前述したように、この離間距離はガイド板8と近接スイッチ7の間隙G(図1参照)によって検出体24を最も感度良く検出できる最良感度範囲に設定されている。さらに、揺動アーム1は、レーキ57(66)によって押されることにより回動支軸3を支点として揺動するように構成されているので、水位の変動や負荷変動などによってチェーンフライト55(64)の位置が上下に揺動したとしても、レーキ57(66)は常にガイド板8に接した状態で滑動していく。したがって、近接スイッチ7と検出体24の離間距離はどのような場合においても常に最良感度範囲である一定距離に保たれ、近接スイッチ7は最良の状態で検出体24を検出することができるので、常に正確で確実な検出を行なうことが可能となる。
【0029】
一方、何らかの事故によりチェーンフライト55(64)の主務チェーンが切れた場合には、チェーンフライト55(64)が回らなくなってレーキ57(66)も送られてこなくなるので、近接スイッチ7からは何らの検出信号も出力されなくなる。したがって、チェーンフライト55(64)の走行速度とレーキ57(66)の設置間隔によって決定される所定の時間毎に近接スイッチ7から検出信号が送られてくるか否かを監視しておけば、チェーンフライト55(64)の主務チェーンが切れたか否かを迅速かつ正確に検出することができる。
【0030】
なお、図3中に二点鎖線で示したように、揺動アーム1にカウンターウェイト10を付設し、その位置を上下方向に調節するようにすれば、実線で図示した自重垂下時における揺動アーム1の静止傾斜角を調整することができる。したがって、前述した支持板6の角度調整と併せれば、チェーンフライト55(64)がどのように傾斜している場所であっても近接スイッチ7をレーキ57(66)に対して正対させることが可能となり、最良の検出感度を得ることができる。
【0031】
また、ガイド板8をプラスチック樹脂で構成したが、ガイド板の材質はこれに限られるものではなく、近接スイッチ7が反応することのない非金属であればよい。また、ガイド板8と近接スイッチ7との間に間隙Gを形成したが、近接スイッチ7を修理あるいは交換する必要がない場合には、この間隙G部分もプラスチック樹脂で充填した充実タイプのガイド板とし、近接スイッチ7とガイド板8を一体化してもよいものである。
【0032】
また、揺動アーム1の回動支軸3をブラケット22の頂面に形成した支軸載置部23上に掛け渡して載せるだけの吊り下げ構造としたが、軸受などを用いてブラケット22に分離不可能に取り付けてもよいものである。この場合には、揺動アーム1がブラケット22から外れて脱落する恐れがないので、前述した脱落防止用のチェーン27は不要とすることができる。
【0033】
また、レーキ57(66)の表面に金属性の検知体24を付設したが、一般的にレーキには池底レール上を滑動するための滑り受け板(シュー)が取り付けられており、このシューが金属製であれば検知体として利用することができる。通常、シューはその表面がいびつに磨耗するするため、これまでは、これを検知体として利用した場合には誤動作が頻発し、別途専用の検知体(ターゲット)を設ける必要があった。しかし、本発明の場合、シューが金属製でありさえすれば、たとえいびつに磨耗していても十分に検知できるため、専用ターゲットを設ける必要はない。また、レーキ57(66)自体が鉄などの金属から構成されている場合には、近接スイッチ7はこの金属製のレーキを直接検出することができるので、検知体24を付設する必要はない。
【0034】
また、検知体24を検出するためのセンサーとして水中型近接スイッチを用いたが、これに限定されるものではなく、防水構造とされた非接触式の金属検知センサーであれば使用可能である。
【0035】
さらに、下水処理場のチェーンフライト式汚泥掻寄せ機に適用した場合について例示したが、本発明に係るチェーン破断検出装置の適用対象は上記下水処理場のチェーンフライト式汚泥掻寄せ機に限定されるものではなく、チェーンフライトを用いた水中搬送装置であれば適用可能である。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載のチェーン破断検出装置によるときは、所望長さからなる棒状の揺動アームの一方の先端部に回動支軸を設けるとともに、他方の先端部には防水構造になる非接触式金属検知センサーを取り付け、該非接触式金属検知センサーの前面を非金属製のガイド板によって覆うことにより構成したので、次のような種々の優れた効果を奏する。
▲1▼ レーキとの衝突位置が変わっても、揺動アームの揺動によってこの衝突位置の変動を吸収することができる。このため、水位変動や負荷変動、あるいは主務チェーンの伸びなどによってチェーンフライトの位置が変動しても、チェーンの破断を常に正確かつ確実に検知することができる。
▲2▼ 揺動アームの揺動によってチェーンフライトの位置変動を吸収することができるので、最もチェーンフライトの揺動の大きなカテナリ部を初めとして、チェーンフライト式水中搬送装置のあらゆる場所に取り付けることが可能となり、従来のチェーン破断検出装置のように取り付け位置に制限を受けることがなくなる。
▲3▼ 一度据え付けた後は調整作業をほとんど必要としないので、メンテナンスフリーとすることができる。
▲4▼ 揺動アームを支持する回動支軸の側には回動支軸以外に何らの機構も必要としないので、二階層式沈殿地の下層など、上部空間に余裕のない場所にも設置することが可能となる。
▲5▼ 揺動アームは揺動可能に吊り下げるだけでよいので、容易に取外し式とすることができ、非接触式金属検知センサーの故障などの場合でも、簡単に取り外して修理することができる。
▲6▼ 構造が簡単であるので、故障の発生も少なく、巡回監視の難しい場所でも設置することができる。
▲7▼ どのような場所にでも設置することが可能となるので、個々の設置場所に合わせて専用のチェーン破断検出装置を設計・製造する必要がなくなり、チェーン破断検出装置をユニット化し、コストの低減と高品質化を図ることができる。
【0037】
また、請求項2記載のチェーン破断検出装置によるときは、前記非接触式金属検知センサーとガイド板を揺動アームに対してその取り付け角を調節自在としたので、非接触式金属検知センサーをチェーンフライトに正対させて最大感度状態で使用することができる。このため、前記請求項1記載の発明の効果に加え、検出精度をより向上することができる。
【0038】
また、請求項3記載のチェーン破断検出装置によるときは、前記揺動アームのアーム長を調節自在としたので、どのような設置条件においてもガイド板がチェーンフライトのレーキに当たるように調整することができる。このため、前記請求項1および2記載の発明の効果に加え、どのような場所、どのような条件下においても設置することが可能となる。
【0039】
また、請求項4記載のチェーン破断検出装置によるときは、前記揺動アームにカウンターウェイトを軸心方向スライド自在に取り付け、該カウンターウェイトの位置を変えることにより自重垂下時における揺動アームの静止傾斜角を調節可能としたので、前記した非接触式金属検知センサーとガイド板の角度調整機能とあいまって、チェーンフライトがどのように傾斜している場所であっても、非接触式金属検知センサーをチェーンフライトのレーキに対して正対させることが可能となる。このため、前記請求項1〜3記載の発明の効果に加え、検出感度をさらに向上することができる。
【0040】
さらに、請求項5記載のチェーン破断検出装置によるときは、前記ガイド板を最も身近で安価なプラスチック樹脂によって構成したので、前記請求項1〜4記載の発明の効果に加え、コストの低減を図り、チェーン破断検出装置をより廉価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るチェーン破断検出装置の実施形態を示す側面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】上記チェーン破断検出装置の沈殿地への取り付け状態を示す側面図である。
【図4】図3の正面図である。
【図5】チェーンフライト式汚泥掻寄せ機の第一の例の模式説明図である。
【図6】チェーンフライト式汚泥掻寄せ機の第二の例の模式説明図である。
【符号の説明】
1 揺動アーム
1a 上側アーム
1b 下側アーム
2 アーム長さ調節ねじ
3 回動支軸
4 取手
5 角度調整用ねじ
6 支持板
7 水中型近接スイッチ(非接触式金属検知センサー)
8 ガイド板
9 信号ケーブル
10 カウンターウェイト
21 コンクリート壁
22 ブラケット
23 支軸載置部
24 検知体
55 チェーンフライト
57 レーキ
64 チェーンフライト
66 レーキ
Claims (5)
- チェーンフライト式水中搬送装置のためのチェーン破断検出装置であって、所望長さからなる棒状の揺動アームの一方の先端部に回動支軸を設けるとともに、他方の先端部には防水構造になる非接触式金属検知センサーを取り付け、該非接触式金属検知センサーの前面を非金属製のガイド板によって覆ったことを特徴とするチェーン破断検出装置。
- 前記非接触式金属検知センサーとガイド板が揺動アームに対してその取り付け角を調節自在とされていることを特徴とする請求項1記載のチェーン破断検出装置。
- 前記揺動アームはアーム長を調節自在とされていることを特徴とする請求項1または2記載のチェーン破断検出装置。
- 前記揺動アームにカウンターウェイトを軸心方向スライド自在に取り付け、該カウンターウェイトの位置を変えることにより自重垂下時における揺動アームの静止傾斜角を調節可能としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のチェーン破断検出装置。
- 前記ガイド板がプラスチック樹脂からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のチェーン破断検出装置。
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