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JP3876913B2 - ブラシ保持装置 - Google Patents

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Description

本発明は、直流モータのブラシ保持装置に関する。
従来技術として、特許文献1に記載された電動機用のブラシ保持装置がある。
このブラシ保持装置は、図7に示す様に、ブラシ(図示せず)を収納する樹脂製のブラシホルダ100と、このブラシホルダ100が固定される薄板金属製のホルダプレート110とで構成される。
ホルダプレート110には、自身のプレート表面より切り起こされた一対の係止片111が設けられ、この一対の係止片111が互いに対向する方向へ折り曲げられている。
ブラシホルダ100は、両側面の下部に側方へ突き出る板状凸部101が設けられ、この板状凸部101が、ホルダプレート110の係止片111とプレート表面との間に挟み込まれて、ホルダプレート110に固定されている。
特許第3486094号公報
ところが、上記のブラシ保持装置は、ホルダプレート110の係止片111がプレート表面から切り起こして形成されるため、係止片111の高さを大きく取ることが困難である。その結果、プレート表面と係止片111との間隔を大きく取れないため、そのプレート表面と係止片111との間に挟み込まれるブラシホルダ100の板状凸部101の厚みを厚く設定することができず、高い強度を確保することが困難であった。
また、ホルダプレート110のプレート表面と係止片111との間にブラシホルダ100の板状凸部101を挟み込んで固定しているので、係止片111の曲げ強度が低くなると、ブラシホルダ100を強固に固定できない。つまり、係止片111の板厚を厚くすれば、係止片111の曲げ強度を大きくできるが、ホルダプレート110の表面から切り起こして形成される係止片111では、ホルダプレート110の板厚=係止片111の板厚であり、ホルダプレート110の板厚以上に係止片111の板厚を厚くすることはできない。このため、ホルダプレート110の板厚が薄くなる程、係止片111の曲げ強度も低下して、ブラシホルダ100を強固に固定できないという問題がある。なお、ホルダプレート110の板厚を厚くすることは、僅かではあるが、重量の増加及び軸方向の寸法増大に繋がるため、小型、軽量化が望まれる電動機、特にスタータモータでは困難である。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、ホルダプレートにブラシホルダを強固に固定できるブラシ保持装置を提供することにある。
(請求項1の発明)
本発明は、整流子の外周に配置されるブラシを保持するブラシ保持装置であって、ブラシを収納するブラシ収納室が形成された樹脂製のブラシホルダと、このブラシホルダが固定される薄板金属製のホルダプレートとを有し、ホルダプレートは、径方向の中央部に整流子を通すために開けられた穴部と、この穴部の内径から外径に向かって所定の幅で開口する開口部と、この開口部の両側辺に近接して開口部の両外側に形成された一対の長孔とを有し、ブラシホルダは、ブラシ収納室に隣接して厚肉部が設けられると共に、この厚肉部の幅方向両側面にそれぞれ固定用溝が形成され、この固定用溝にホルダプレートの開口部の両側辺が挿入されて、厚肉部が両側から挟持された状態でホルダプレートに固定されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、ブラシホルダの厚肉部の両側面に形成された固定用溝にホルダプレートの開口部の両側辺が挿入されることにより、厚肉部が幅方向の両側から挟持される。この場合、厚肉部を両側から圧縮する方向に挟持する力、つまり固定力が作用するため、その固定力に対抗する大きな強度をブラシホルダに確保することができる。
また、ホルダプレートの開口部の両外側に長孔を形成しているので、ブラシホルダの厚肉部に形成された固定用溝にホルダプレートの開口部の両側辺を挿入する際に、開口部の両側辺が長孔側へ撓むことができる。その結果、固定用溝に開口部の両側辺を挿入する時の荷重が大きくなり過ぎることはなく、挿入荷重を適度に維持することができるため、ホルダプレートに対するブラシホルダの組み付け作業が容易であり、且つ組み付け時のブラシホルダの破損を防止できる。
(請求項2の発明)
請求項1に記載したブラシ保持装置において、長孔は、開口部の側辺と略平行に、且つ開口部の径方向長さと略同じ長さに形成されていることを特徴とする。
開口部の径方向長さと長孔の長さが略同じであるため、ブラシホルダの厚肉部に形成された固定用溝にホルダプレートの開口部の両側辺を挿入する際に、開口部の両側辺の略全体が適度に長孔側へ撓むことができる。その結果、ホルダプレートに対するブラシホルダの組み付け作業をより容易にできる。
(請求項3の発明)
請求項1または2に記載したブラシ保持装置において、ホルダプレートは、開口部の両側辺の中間部に、それぞれ互いの側辺に向けて突き出る少なくとも1対の突起部が形成され、この突起部の突出高さがホルダプレートの板厚より小さく設定されていることを特徴とする。
ブラシホルダの固定用溝に開口部の両側辺を挿入する際に、開口部の両側辺全体が均一に撓むことはなく、両側辺の両端より中央部の方がより大きく撓むことになる。このため、両側辺の中間部に突起部を設けることで、両側辺の両端と突起部とでブラシホルダを確実に保持できる。但し、突起部の突出高さが必要以上に大きくなると、ブラシホルダの厚肉部を開口部に挿入する時の挿入荷重(圧入荷重)が増大するだけでなく、両側辺の両端と突起部とでブラシホルダを均等に保持できなくなり、ブラシホルダが傾く恐れがある。これに対し、突起部の突出高さをホルダプレートの板厚より小さく設定することで、開口部の両側辺の両端と突起部とでブラシホルダを均等に保持することが可能となり、ブラシホルダの傾きを防ぐことができ、且つ挿入荷重が極端に大きくなることもない。
(請求項4の発明)
請求項1〜3に記載した何れかのブラシ保持装置において、ホルダプレートは、開口部の両側辺と一対の長孔との間にそれぞれブリッジ部が形成され、このブリッジ部の幅が、ホルダプレートの板厚の略2倍以内であることを特徴とする。
ブリッジ部の幅が大きくなる(開口部と長孔との間が大きくなる)と、長孔を形成した効果が小さくなる。つまり、ブラシホルダの固定用溝にホルダプレートの開口部の両側辺を挿入する際に、開口部の両側辺が長孔側へ撓む度合いが小さくなり、ブラシホルダの挿入荷重が上昇する。これに対し、ブリッジ部の幅をホルダプレートの板厚の略2倍以内に設定すれば、ブラシホルダの挿入荷重が大きく上昇することはなく、且つ開口部の両側辺が長孔側へ適度に撓むことができるので、ブラシホルダの組み付け作業性が向上する。
本発明を実施するための最良の形態を以下の実施例により詳細に説明する。
図1はブラシ保持装置1の平面図である。
実施例1に示すブラシ保持装置1は、例えば、エンジン始動用のスタータモータに用いられ、図1に示す様に、鋼板等の薄板金属より形成されたホルダプレート2と、このホルダプレート2に固定される樹脂製のブラシホルダ3とで構成され、このブラシホルダ3に保持されたブラシ4が整流子(図示せず)の外周に配置される。
ブラシ4は、整流子を有する電機子(図示せず)の正極側に配置される2個の正極ブラシ4aと、電機子の負極側に配置される2個の負極ブラシ4bとを有し、それぞれブラシスプリング5によって整流子に付勢されている。なお、正極ブラシ4aは、リード線6を介して界磁コイル(図示せず)に接続され、負極ブラシ4bは、リード線6を介してホルダプレート2に接続されている。
ホルダプレート2は、図2に示す様に、外周形状が円形に設けられ、径方向の中央部に開けられた穴部7と、この穴部7の周囲に形成された開口部8と、この開口部8の両側辺に近接して開口部8の両外側に形成された一対の長孔9とを有している。
穴部7は、整流子を通すことができる大きさに開けられている。
開口部8は、穴部7の周囲に等間隔に4箇所形成され、それぞれ穴部7の内径から外径に向かって所定の幅で開口している。開口部8の開口幅は、ブラシホルダ3の全幅より少し狭く形成されている。
一対の長孔9は、図3に示す様に、開口部8の両側辺と略平行に、且つ開口部8の径方向長さaと略同じ長さbに形成されている。開口部8と長孔9との間に形成されるブリッジ部10は、その幅cがホルダプレート2の板厚d(図5参照)の略2倍以内に設定されている。
また、ホルダプレート2には、径方向に対向する2箇所に一対のアーム部11が設けられ、このアーム部11に負極ブラシ4bのリード線6が接続される(図1参照)。更に、アーム部11の内径側には、ホルダプレート2をスタータモータのエンドフレーム(図示せず)に螺子止めするための螺子孔12が2箇所形成されている。
ブラシホルダ3は、図4に示す様に、箱形に設けられて、その内部にブラシ4とブラシスプリング5を収納するブラシ収納室13が形成され、そのブラシ収納室13の一端側(図4(b)の右側)がブラシ4の出入り口として開口している。また、ブラシホルダ3には、図4(a)に示す様に、ブラシ収納室13を形成する一壁面に隣接して厚肉部14が設けられ、この厚肉部14の幅方向両側面にそれぞれ固定用溝15が形成されている。固定用溝15は、その溝幅eが、ホルダプレート2の板厚d(図5参照)と略同じであり、且つホルダプレート2に形成された開口部8の径方向長さa(図3参照)と略同じ長さfを有している。また、ブラシホルダ3の一方の側面には、図4(b)に示す様に、ブラシ4のリード線6を引き出す引き出し孔16が形成され、ブラシ収納室13と同じく一端側が開口している。
次に、ホルダプレート2に対するブラシホルダ3の組み付け方法を説明する。
ホルダプレート2の開口部8に穴部7の内径側からブラシホルダ3の厚肉部14を挿入する。この時、ブラシホルダ3は、ブラシ収納室13の底面側(他端側)をホルダプレート2の開口部8に向けて、厚肉部14の両側面に形成された固定用溝15にホルダプレート2の開口部8の両側辺(つまりブリッジ部10)を挿入しながら開口部8の内部へスライドさせる。
これにより、ブラシホルダ3は、図5に示す様に、ホルダプレート2の開口部8の両側に形成されたブリッジ部10によって厚肉部14が幅方向(図示左右方向)の両側から挟持された状態でホルダプレート2に固定される。
(実施例1の効果)
実施例1に示すブラシ保持装置1は、ブラシホルダ3の厚肉部14の両側面に形成された固定用溝15にホルダプレート2の開口部8の両側辺が挿入され、開口部8の両側に形成されたブリッジ部10によって厚肉部14が幅方向の両側から挟持されるため、ホルダプレート2による固定力を厚肉部14で受けることができる。その結果、固定力に対抗する大きな強度をブラシホルダ3に確保することができる。
また、ホルダプレート2の開口部8の両外側に長孔9を形成しているので、ブラシホルダ3の厚肉部14に形成された固定用溝15にホルダプレート2の開口部8の両側辺を挿入する際に、開口部8と長孔9との間に形成されたブリッジ部10が長孔9側へ適度に撓むことができる。その結果、固定用溝15に開口部8の両側辺を挿入する時の荷重が大きくなり過ぎることはなく、挿入荷重を適度に維持することができるため、ホルダプレート2に対するブラシホルダ3の組み付け作業が容易であり、且つ組み付け時のブラシホルダ3の破損を防止できる。
なお、ブリッジ部10の幅が大きくなると、開口部8の両外側に長孔9を形成した効果が小さくなる。つまり、ブラシホルダ3の固定用溝15にホルダプレート2の開口部8の両側辺を挿入する際に、ブリッジ部10が長孔9側へ撓む度合いが小さくなり、ブラシホルダ3の挿入荷重が上昇する。これに対し、ブリッジ部10の幅をホルダプレート2の板厚の略2倍以内に設定すれば、ブラシホルダ3の挿入荷重が大きく上昇することはなく、且つブリッジ部10が長孔9側へ適度に撓むことができるので、ブラシホルダ3の組み付け作業性が向上する。
図6は開口部8とその周辺を示すホルダプレート2の一部拡大図である。
この実施例2では、図6に示す様に、ホルダプレート2の開口部8の両側辺に、それぞれ互いの側辺に向けて突き出る1対の突起部17が形成されている。
突起部17は、両側辺のそれぞれ略中間部に設けられ、その突出高さgがホルダプレート2の板厚d(図5参照)より小さく設けられている。
ブラシホルダ3の固定用溝15に開口部8の両側辺を挿入する際に、開口部8の両側辺全体が均一に撓むことはなく、両側辺の両端より中央部の方がより大きく撓むことになる。このため、両側辺の中間部にそれぞれ突起部17を設けることで、両側辺の両端と突起部17とでブラシホルダ3を確実に保持できる。
但し、突起部17の突出高さgが必要以上に大きくなると、ブラシホルダ3の厚肉部14を開口部8に挿入する時の挿入荷重(圧入荷重)が増大するだけでなく、両側辺の両端と突起部17とでブラシホルダ3を均等に保持できなくなり、ブラシホルダ3が傾く恐れがある。これに対し、突起部17の突出高さgをホルダプレート2の板厚dより小さく設定することで、開口部8の両側辺の両端と突起部17とでブラシホルダ3を均等に保持することが可能となり、ブラシホルダ3の傾きを防ぐことができ、且つ挿入荷重が極端に大きくなることもない。
ブラシ保持装置の平面図である。 ホルダプレートの平面図である。 開口部とその周辺を示すホルダプレートの一部拡大図である。 (a)ブラシホルダの正面図、(b)ブラシホルダの側面図である。 ホルダプレートに固定されたブラシホルダを内径側から見た正面図である。 実施例2に係るホルダプレートの開口部とその周辺を示す平面図である。 従来技術に係るブラシ保持装置の正面図である。
符号の説明
1 ブラシ保持装置
2 ホルダプレート
3 ブラシホルダ
4 ブラシ
7 穴部
8 開口部
9 長孔
10 ブリッジ部
13 ブラシ収納室
14 厚肉部
15 固定用溝
17 突起部

Claims (4)

  1. 整流子の外周に配置されるブラシを保持するブラシ保持装置であって、
    前記ブラシを収納するブラシ収納室が形成された樹脂製のブラシホルダと、
    このブラシホルダが固定される薄板金属製のホルダプレートとを有し、
    前記ホルダプレートは、径方向の中央部に整流子を通すために開けられた穴部と、この穴部の内径から外径に向かって所定の幅で開口する開口部と、この開口部の両側辺に近接して前記開口部の両外側に形成された一対の長孔とを有し、
    前記ブラシホルダは、前記ブラシ収納室に隣接して厚肉部が設けられると共に、この厚肉部の幅方向両側面にそれぞれ固定用溝が形成され、この固定用溝に前記ホルダプレートの開口部の両側辺が挿入されて、前記厚肉部が両側から挟持された状態で前記ホルダプレートに固定されていることを特徴とするブラシ保持装置。
  2. 請求項1に記載したブラシ保持装置において、
    前記長孔は、前記開口部の側辺と略平行に、且つ前記開口部の径方向長さと略同じ長さに形成されていることを特徴とするブラシ保持装置。
  3. 請求項1または2に記載したブラシ保持装置において、
    前記ホルダプレートは、前記開口部の両側辺の中間部に、それぞれ互いの側辺に向けて突き出る少なくとも1対の突起部が形成され、この突起部の突出高さが前記ホルダプレートの板厚より小さく設定されていることを特徴とするブラシ保持装置。
  4. 請求項1〜3に記載した何れかのブラシ保持装置において、
    前記ホルダプレートは、前記開口部の両側辺と前記一対の長孔との間にそれぞれブリッジ部が形成され、このブリッジ部の幅が、前記ホルダプレートの板厚の略2倍以内であることを特徴とするブラシ保持装置。
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