JP3876799B2 - タイヤ空気圧監視システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の各タイヤの空気圧の状態を監視するタイヤ空気圧監視システムに関し、特にタイヤ空気圧監視システムによる消費電力の低減に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、車両に設けられた各タイヤの空気圧を監視するシステムが種々、提案されている。その1つとして、タイヤ空気圧を検出するセンサ及びその空気圧の検出値を送信する送信機からなるセンサユニットを各タイヤに取り付けるとともに、そのセンサユニットから送信された信号を受信して、各タイヤの空気圧検出値が所定値以下の場合、警告を行なう監視ユニットを車体側に設けたタイヤ空気圧監視システムがある。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のタイヤ空気圧監視システムでは、車両のエンジンが停止された場合における、各タイヤの空気圧検出の際の消費電力を低減するため、車体側に設けた監視ユニットを寝起きモードにすることが記載されている。この寝起きモードとは、監視ユニットにおいてセンサユニットからの送信信号を受信可能な状態と、受信不可能な状態とに交互に設定するものである。監視ユニットが受信不可能な状態になっている場合には、受信器等の監視ユニットを構成する主要な機器への電源の供給を停止することにより、監視ユニットにおける消費電力を低減することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−105811号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来のタイヤ空気圧監視システムにおいては、監視ユニットを一定間隔でセンサユニットからの送信信号を受信可能な状態としていた。そして、その受信可能な状態の時に、センサユニットからの送信信号が受信されれば、その送信信号を取り込むが、一定時間継続される受信可能状態において、センサユニットからの送信信号が無ければ、そのまま受信不可能な状態(スリープモード)に変更していた。このように、従来のタイヤ空気圧監視システムでは、送信信号が受信できなくとも、一定間隔で監視ユニットを送信信号が受信可能な状態としていたため、無駄に電力を消費しており、消費電力の低減が十分ではなかった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、監視ユニットにおける消費電力を十分に低減することが可能なタイヤ空気圧監視システムを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のタイヤ空気圧監視システムは、車両のタイヤに設けられて、当該タイヤの空気圧を測定するとともに、その空気圧測定値を含む送信信号を間欠的に送信するセンサユニットと、
車体に設けられて、前記センサユニットからの送信信号を受信し、その送信信号に含まれる空気圧測定値に基づいて、前記タイヤの空気圧の状態を監視する監視ユニットとを備えたタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記監視ユニットは、前記センサユニットから送信信号が送信されるタイミングを取得するタイミング取得手段と、
前記タイミング取得手段によって取得された、前記送信信号の送信タイミングに同期して前記監視ユニットを前記送信信号の受信及び前記タイヤ空気圧の状態の監視を行なう監視処理モードとし、その監視処理モードにおいて監視処理が終了した後は、次回の送信信号の送信タイミングまで前記監視ユニットをその監視処理機能を休止したスリープモードとするモード切換手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載のタイヤ空気圧監視システムによれば、監視ユニットのタイミング取得手段が、センサユニットから送信信号が送信されるタイミングを取得し、その送信タイミングに同期して、送信信号の受信等を行なう監視処理モードに設定される。このため、従来のタイヤ空気圧監視システムのように、監視ユニットを受信可能な状態としながら、センサユニットからの送信信号を受信できない事態を回避することができる。従って、監視ユニットにおいて、無駄に電力を消費することが防止でき、結果として、消費電力を低減することができる。
【0009】
請求項2に記載のタイヤ空気圧監視システムは、前記センサユニットが、前記空気圧測定値に加えて、次回の送信信号を送信するタイミングに関する情報を含む送信信号を送信するものであり、前記タイミング取得手段は、その次回の送信信号の送信タイミングに関する情報に基づいて、前記センサユニットから送信信号が送信されるタイミングを取得することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載のタイヤ空気圧監視システムによれば、監視ユニットのタイミング取得手段は、センサユニットからの送信信号に含まれる次回の送信信号を送信するタイミングに関する情報から、次回の送信信号の送信タイミングを取得できる。従って、監視ユニットのモード切換手段は、次回の送信信号の送信タイミングに正確に同期して、監視ユニットを監視処理モードに設定することができる。
【0011】
請求項3に記載したように、前記センサユニットは、前記車両の各タイヤにそれぞれ設けられるものであり、各センサユニットは、前記送信信号の送信間隔がランダムに変わるように、次回の送信信号の送信タイミングを決定することが好ましい。これにより、車両の各タイヤに設けられた複数のセンサユニットからの送信信号が同じタイミングで送信され、混信が生じることを防止することができる。
【0012】
請求項4に記載したように、前記各センサユニットの送信間隔は、ランダムに変化する複数の送信間隔からなるパターンを繰り返すように変化するものであり、前記タイミング取得手段は、前記センサユニット毎に前記送信間隔パターンを構成する複数の送信間隔を記憶する記憶手段を備えることが好ましい。このように、タイミング取得手段が、送信間隔パターンを記憶しておけば、例えば外部からのノイズによってセンサユニットからの送信信号を受信できなかった場合でも、記憶した送信間隔パターンから次回の送信信号の送信タイミングを取得することができ、それ以後の受信も継続して行なうことができる。
【0013】
請求項5に記載したように、前記記憶手段に記憶する複数の送信間隔は、前記監視ユニットが、各センサユニットからの送信信号を受信した受信間隔であることが好ましい。センサユニット及び監視ユニットは、それぞれに内蔵されたタイマ等の計時手段により、次回の送信信号の送信タイミングまでの間隔を計時する。このとき、両者の計時手段にずれがあると、監視ユニットが次回の送信信号の送信タイミングまでの間隔を正確に計時した場合であっても、送信信号が受信できない可能性が生じる。このため、実際に送信信号を受信した間隔を、送信間隔パターンを構成する送信間隔として記憶しておけば、計時手段にずれがあった場合でも、確実に送信信号を受信できるタイミングで監視ユニットを監視処理モードにすることができる。
【0014】
請求項6に記載のタイヤ空気圧監視システムでは、前記センサユニットが、前記車両の各タイヤにそれぞれ設けられるものであり、各センサユニットが前記送信信号を送信する間隔は、当該各センサユニットにおいてそれぞれ異なるように予め設定されており、前記タイミング取得手段は、前記各センサユニットから送信される送信信号の送信間隔を記憶しており、その記憶した送信間隔から、前記各センサユニットから送信信号が送信されるタイミングを取得することを特徴とする。このように、センサユニットごと異なる送信信号の送信間隔を予め設定し、それをタイミング取得手段が記憶しておくことにより、各センサユニットからの送信信号の送信タイミングに同期して、監視ユニットを監視処理モードに設定することができる。
【0015】
この場合、請求項4の発明と同様に、例えば外部からのノイズによってセンサユニットからの送信信号を受信できなかった場合でも、タイミング取得手段は、記憶した送信間隔から各センサユニットの次回の送信信号の送信タイミングを取得することができ、それ以後の受信も継続して行なうことができるようになる。
【0016】
請求項7に記載したように、前記各センサユニットの送信間隔は、それぞれランダムに変化する複数の送信間隔からなるパターンを繰り返すように変化することが好ましい。これにより、各センサユニットの送信信号が混信することを防止できる。
【0017】
請求項8に記載したように、前記モード切換手段は、車両のイグニッションスイッチがオフされている時にのみ、前記監視ユニットを前記スリープモードにすることが好ましい。換言すれば、車両のイグニッションスイッチがオンされて、車両のエンジンが駆動されている場合には、車両のバッテリが充電されており、消費電流が多少増加しても問題はないため、常時、監視処理モードとすることが好ましい。これにより、センサユニットの送信タイミングと監視ユニットの受信タイミングがずれて、送信信号を受信できない状態が継続したとしても、車両のイグニッションをオンすることにより、確実にセンサユニットからの送信信号を受信できるため、送信間隔と受信間隔とのずれをキャンセルすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を、図に基づいて説明する。なお、本実施形態においては、タイヤ空気圧監視システムを4輪乗用車に適用した例について説明するが、本発明によるタイヤ空気圧監視システムは、トラックやバス等にも適用することができる。
【0019】
図1は、本実施形態によるタイヤ空気圧監視システムの概略の構成を示す構成図である。また、図2は、タイヤ空気圧監視システムの機能ブロック図を示す。図1及び図2に示すように、タイヤ空気圧監視システム1においては、タイヤの空気圧を測定する空気圧センサ11,21,31,41と測定した空気圧及び固有のIDコードを含む送信信号を電波にて送信する送信機12,22,32,42とを有するセンサユニット10,20,30,40が、前後左右輪の各タイヤ15,25,35,45に設けられている。このセンサユニット10,20,30,40は、例えば、タイヤバルブと一体的に構成され、タイヤのディスクホイールに取り付けられる。なお、センサユニット10,20,30,40として、空気圧センサに加えて、温度を測定する温度センサを設けても良い。これにより、タイヤ空気圧の状態を判定する際に、温度変化によるタイヤ空気圧の変動を考慮することが可能になる。
【0020】
受信アンテナ13,23,33,43は、車両の各ホイールハウスに設けられ、送信機12,22,32,42からの送信信号を受信する。受信アンテナ13,23,33,43によって受信された受信信号は、それぞれの受信機52,53に送られ、受信信号の増幅、復調等の処理が行なわれる。その後、各受信信号は、空気圧モニターECU50に送られ、受信信号に含まれる空気圧測定値に基づいて各タイヤ15,25,35,45の空気圧の状態が判定される。なお、図1においては、簡略化のため、受信機52,53の表示が省略されている。
【0021】
また、受信アンテナ13,23,33,43及び受信機52,53は、各センサユニット10,20,30,40に対して個別に設けずに、共通の受信アンテナ及び受信機を設け、その共通の受信アンテナ及び受信機によって各センサユニット10,20,30,40からの送信信号を受信するようにしても良い。
【0022】
空気圧モニターECU50における、各タイヤ15,25,35,45の空気圧の状態の判定結果は、車室内のインストルメンタルパネルに設けられた表示器(ディスプレイ)70に表示される。この表示器70は、図2に示すように、各タイヤ15,25,35,45の取付け位置に応じた、LED等からなる表示部71を備えている。そして、空気圧モニターECU50によってタイヤ空気圧が所定圧以下に低下していると判定した場合には、その空気圧が低下したタイヤに対応する表示部71を点灯させ、ドライバーにタイヤの空気圧が低下したことを報知する。
【0023】
なお、表示器70における表示部71は、各タイヤ15,25,35,45の取付け位置に対応した数だけ設けずに、例えば1個のみのウォ―ニングランプを設け、1つ以上のタイヤの空気圧が低下した場合、そのウォーニングランプを点灯することによってタイヤ空気圧の低下を報知しても良い。また、表示器70として各タイヤ15,25,35,45の測定した空気圧を直接表示可能なディスプレイを用いても良い。
【0024】
さらに、車両には、車両の駆動装置であるエンジン60、そのエンジン60によって回転子が回転駆動され、それによって発電を行なうオルタネ―タ62、及びオルタネ―タ62によって充電されるバッテリ64が搭載されている。本実施形態におけるタイヤ空気圧監視システム1は、そのバッテリ64を電源として動作する。
【0025】
次に、上記の構成を備えるタイヤ空気圧監視システム1において実行される演算処理の流れについて、図3及び図4のフローチャート、さらに図5のタイムチャート、図6のテーブルに基づいて説明する。なお、図3は、センサユニット10,20,30,40において実行される処理を示すフローチャートであり、図4は、監視ユニット5の主要部をなす空気圧モニターECU50にて実行される処理を示すフローチャートである。各センサユニット10,20,30,40において実行される処理は、各センサユニット10,20,30,40で共通であるため、以下、センサユニット10を例にとって説明する。
【0026】
まず、図3のステップS10に示すように、センサユニット10の空気圧センサ11が空気圧の計測を行なう。センサユニット10が温度センサを備えている場合には、その温度センサもタイヤ内温度を計測する。これらの空気圧等の計測値は送信機12に入力される
次にステップS20では、送信機12において、少なくとも空気圧等の計測値及びセンサユニットに付与された固有のIDコードを含む送信信号を送信するタイミングであるか否かを判定する。この送信タイミングの判定は以下のようにして行なう。
【0027】
第1に、送信機12は入力された空気圧計測値が、正常とみなせる範囲から外れた、もしくは外れることが予想される場合に、送信タイミングであると判定する。すなわち、送信機12は、入力された空気圧計測値と所定の正常範囲とを比較したり、空気圧の変化割合を所定値と比較することにより、空気圧計測値が正常か異常かを判別する。そして、空気圧計測値が異常と判別した場合には、即座にその空気圧測定値を監視ユニット5に送信すべく、ステップS30にて、異常時送信処理により、空気圧計測値及びIDコードを含む送信信号を送信する。
【0028】
第2に、送信機12は、決められた送信間隔で定期的に送信信号を送信するものであり、この決められた送信間隔が経過した場合、送信タイミングであると判定する。そして、定期送信を行なう送信タイミングと判定した場合には、ステップS40にて、定期送信処理により、空気圧計測値、次回の送信タイミングまでの間隔及びIDコードを含む送信信号を送信する。この定期送信処理について、図5(a)のタイムチャートに基づいて詳しく説明する。
【0029】
図5(a)に示すように、センサユニット10の送信機12は、定期的に送信信号を送信する。この送信信号は、先頭情報としてのヘッダー(HD)、センサユニット10に付与された固有のIDコード(ID)、次回の送信信号までの送信間隔(Ta、Tb,Tc・・・)、及び空気圧等の測定値(DATA)からなる。なお、次回の送信信号までの送信間隔Ta,Tb,Tcは、毎回変化するように設定されている。さらに、この送信間隔は、図6のテーブルに示すように、各センサユニット10,20,30,40において、それぞれ異なるn個の送信間隔からなる送信間隔パターンが繰り返されるように設定されている。このように送信間隔を設定することにより、各センサユニット10,20,30,40からの送信信号が同じタイミングで送信され、それらの送信信号が混信してしまうことを防止することができる。なお、図6のテーブルでは、仮想的に、各センサユニット10,20,30,40に付与されるIDコードの末尾がそれぞれ、1,2,3,4と表示している。
【0030】
このように、センサユニット10からの送信信号に、次回の送信信号の送信タイミングまでの間隔に関する情報である送信間隔Ta,Tb,Tcを含ませることにより、監視ユニット5の主要部を構成する空気圧モニターECU50は、受信した送信信号から送信間隔Ta,Tb,Tcを抽出することにより、次回の送信信号の送信タイミングを取得することができる。
【0031】
なお、送信間隔パターンに従って毎回変化する送信間隔Ta,Tb,Tcを送信信号に含ませるために、図3のステップS40にて定期送信処理が行なわれた後に、ステップS50にて、次回の送信信号に含ませるべき送信間隔Ta,Tb,Tcを、送信間隔パターンに従って設定しておく。このステップS50にて設定された送信間隔Ta,Tb,Tcは、次回、ステップS40にて定期送信処理が行なわれるときに、IDコードや空気圧測定値とともに送信される。
【0032】
次に、図4のフローチャートに基づいて、空気圧モニターECU50にて実行される処理について説明する。まず、ステップS100では、車両のイグニッションスイッチ(IGSW)がオンされているか否かを判定する。IGSWがオンされている場合には、車両のエンジン60によってオルタネ―タ62が駆動され、オルタネ―タ62は発電を行なっている。従って、この場合、車両のバッテリ64はオルタネ―タ62によって充電されている。そのため、車体側に設けられた、受信機52,53、空気圧モニターECU50、表示器70等から構成される監視ユニット5は、その消費電力の低減よりも、確実に各センサユニット10,20,30,40からの送信信号を受信できるようにすべきである。このため、ステップS100にてIGSWがオンされていると判定された場合には、ステップS120に進んで、常時、各センサユニット10,20,30,40からの送信信号を受信する。すなわち、受信器52,53に常時、電源を供給し、各センサユニット10,20,30,40からの送信信号があれば、確実にそれを受信できるようにする。
【0033】
いずれかのセンサユニット10,20,30,40からの送信信号が受信された場合には、ステップS130にて、タイヤ15,25,35,45の空気圧の判定処理と、その空気圧が異常である場合には警報処理を行なう。この空気圧判定・警報処理においては、空気圧モニターECU50はまず、受信した送信信号に含まれるIDコードと自身に登録されているIDコードとを照合して、両者が一致する等所定の関係を満足しているか否か判定する。この判定により、送信信号が自車両に取り付けられたタイヤ15,25,35,45のセンサユニット10,20,30,40から送信されたものであることが確認された場合、その送信信号に含まれる空気圧等の測定値が適正な値であるか否かを判定する。このように、各センサユニット10,20,30,40にIDコードを付与することにより、他車両からの信号等に基づいて誤ったタイヤ空気圧の判定を行なうことが防止でき、タイヤ空気圧の監視の信頼性を向上できる。
【0034】
さらに、各センサユニット10,20,30,40に付与されたIDコードは、それらセンサユニット10,20,30,40が配置されたタイヤの取付け位置と関連付けて空気圧モニターECU50に登録されている。このため、空気圧モニターECU50の受信信号に含まれる空気圧の測定値が所定圧よりも低い等の異常と判定した場合には、IDコードからその空気圧が異常となったタイヤの取付け位置を特定し、そのタイヤ取付け位置に対応する表示部71を点灯させる。これにより、ドライバーは、車両のどのタイヤの空気圧が低下しているのか即座に把握することができる。
【0035】
ステップS130に続いて行なわれるステップS140〜ステップS160の処理は、各センサユニット10,20,30,40からの次回の送信信号の送信タイミングを求め、その送信タイミングに基づいてスリープモードからのウエイクアップタイミングを設定するためのものである。本実施形態の監視ユニット5は、IGSWがオフされた場合には、消費電力を低減するために、各センサユニット10,20,30,40からの送信信号の送信タイミングに同期してウエイクアップする。換言すれば、そのウエイクアップする期間を除き、監視ユニット5は、受信機52,53等への電源の供給を停止するとともに、空気圧モニターECU50の機能を制限するスリープモードに設定される。そして、いつIGSWがオフされて監視ユニット5がスリープモードに設定されたとしても、送信タイミングに合わせてウエイクアップできるようにするために、IGSWがオンされている間にウエイクアップタイミングを設定しておくのである。
【0036】
ステップS140では、同じセンサユニット10,20,30,40から前回送信された送信信号を受信した受信タイミングと今回送信された送信信号の受信タイミングとの受信間隔を、図6に示すテーブルに記憶する。ここで、受信間隔を記憶する理由について以下に説明する。
【0037】
本実施形態においては、各センサユニット10,20,30,40の送信信号に次回の送信信号の送信タイミングまでの送信間隔Ta,Tb,Tcが含まれている。従って、その送信信号に含まれる送信間隔Ta,Tb,Tcさえ記憶しておけば、次回の送信信号の送信タイミングを取得することができる。
【0038】
しかしながら、各センサユニット10,20,30,40が内蔵するタイマ等の計時手段による計時時間と空気圧モニターECU50が内臓するタイマ等の計時手段による計時時間とにずれがあった場合、空気圧モニターECU50が送信間隔Ta,Tb,Tcに基づいて正確に計時を行なった場合でも、送信信号を受信できない場合が生じる。このため、本実施形態では、各センサユニット10,20,30,40からの送信信号を実際に受信した間隔を図6に示すようなテーブルに記憶する。そして、このテーブルに記憶された受信間隔に基づいて、ウエイクアップタイミングを設定するのである。これにより、各センサユニット10,20,30,40の計時時間と空気圧モニターECU50との計時時間にずれがあった場合でも、送信タイミングに正確に同期したウエイクアップタイミングを設定できる。
【0039】
また、空気圧モニターECU50が、各センサユニット10,20,30,40の送信間隔パターンに対応する受信間隔を記憶しておけば、IGSWがオフされたときのウエイクアップ時に、例えば外部からのノイズによってセンサユニット10,20,30,40からの送信信号を受信できなかった場合でも、記憶した受信間隔から次回の送信信号の送信タイミングを取得することができ、それ以後の受信も継続して行なうことができるとのメリットもある。
【0040】
ただし、必ずしも図6に示すようなテーブルに受信間隔を記憶する必要はなく、各センサユニット10,20,30,40の送信信号に含まれる送信間隔Ta,Tb、Tbに基づいて、ウエイクアップタイミングを設定しても良い。特に、各センサユニット10,20,30,40が、複数の送信間隔からなる送信間隔パターンを繰り返すものではなく、例えば、乱数等を利用して、毎回の送信間隔を不規則に変化させる場合には、送信信号に含まれる送信間隔に基づいてウエイクアップタイミングを決定するしかない。なお、この場合、センサユニット10,20,30,40の送信信号に含まれる送信間隔と、監視ユニット5における受信間隔との時間差を算出し、この時間差によって送信間隔を補正して受信間隔、すなわちウエイクアップタイミングを設定すれば、センサユニット10,20,30,40と監視ユニット5における計時時間のずれを吸収できる。
【0041】
次に、ステップS150では、送信信号を受信したセンサユニット10,20,30,40に対する次回のウエイクアップタイミングまでの時間を記憶する。図6に示すテーブルにおいて、該当する受信間隔が記憶されていれば、その受信間隔に基づいてウエイクアップタイミングまでの時間を設定し、記憶する。未だ、該当する受信間隔が記憶されていない場合には、センサユニット10,20,30,40の送信信号に含まれる送信間隔Ta,Tb,Tcに基づいてウエイクアップタイミングまでの時間を設定し、記憶する。
【0042】
ここで、ウエイクアップタイミングは、図5(a)、(b)に示すように、送信信号の送信タイミングよりも僅かに早く設定されることが好ましい。これにより、センサユニット10,20,30,40と監視ユニット5との計時時間に差があったり、監視ユニット5のウエイクアップに多少の時間を要した場合でも、送信信号が送信されるまでには、確実にそれを受信できる状態にすることができる。従って、ウエイクアップタイミングは、受信間隔もしくは送信間隔から所定時間を減算した値を設定し、記憶する。
【0043】
ステップS160では、全てのセンサユニット10,20,30,40に対するウエイクアップタイミングまでの時間の中から、最も早く終了する時間を特定し、その時間が経過した時点を、次回ウエイクアップすべきタイミングとして設定する。
【0044】
ステップS100にてIGSWがオフされていると判別された場合には、ステップS110に進み、監視ユニット5がウエイクアップすべきタイミングとなったか、またはウエイクアップしてから、送信信号の受信及び空気圧の判定処理に必要な期間(例えば20ms)中で、ウエイクアップを維持する状態か否かを判定する。
【0045】
このステップS110にて、Noと判定された場合、すなわち、ウエイクアップすべき期間ではないと判定された場合、監視ユニット5は、ステップS170においてスリープモードに設定される。このスリープモードでは、監視ユニット5の受信機52,53や表示器70への電源の供給を停止するとともに、空気圧モニターECU50の機能を制限することにより、消費電力の低減を図る。
【0046】
一方、ステップS110にて、Yesと判定された場合、ステップS180に進み、センサユニット10,20,30,40から定期的に送信される送信信号を受信する。送信信号が受信された場合には、ステップS190にて空気圧の判定処理を行なう。この判定処理において、空気圧が異常との判定がなされた場合には、メモリ等にその判定結果を記憶しておき、次回、IGSWがオンされて車両の使用が開始される時に、タイヤの空気圧が異常である旨報知できるようにしておく。
【0047】
そして、ステップS200〜S220にて、各センサユニット10,20,30,40からの次回の送信信号の送信タイミングを求め、その送信タイミングに基づいてスリープモードからのウエイクアップタイミングを設定する。これらの処理は、すでに説明したステップS140〜S160の処理と同様のものであるため、その説明を省略する。
【0048】
以上、説明したように、本実施形態によるタイヤ空気圧監視システム1によれば、センサユニットの送信信号に含まれる送信間隔Ta,Tb,Tcに基づいて、次回の送信信号の送信タイミングを取得し、その送信タイミングに同期して、送信信号の受信を行なうために、監視ユニット5をウエイクアップさせることができる。従って、監視ユニット5のウエイクアップ、すなわち受信可能な状態への設定を効率的に行なうことができるので、監視ユニット5において、無駄に電力を消費することが防止でき、結果として、消費電力を低減することができる。
【0049】
また、本実施形態における空気圧監視システム1では、車両のIGSWがオンされて、車両のエンジン60が駆動されている場合には、車両のバッテリ64が充電されており、消費電流が多少増加しても問題はないため、常時、各センサユニット10,20,30,40の送信信号を受信可能な状態に設定する。これにより、IGSWのオフ時において、センサユニット10,20,30,40の送信タイミングと監視ユニット5の受信タイミングがずれて、送信信号を受信できない状態が継続したとしても、IGSWをオンすることにより、確実にセンサユニット10,20,30,40からの送信信号を受信できるため、送信間隔と受信間隔とのずれをキャンセルすることができる。
【0050】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態によるタイヤ空気圧監視システムについて図7に基づいて説明する。なお、本実施形態におけるタイヤ空気圧監視システムは、前述した第1の実施形態におけるタイヤ空気圧監視システム1と同様の構成を有しており、構成に関する説明は省略する。
【0051】
本実施形態における特徴は、各センサユニット10,20,30,40の送信信号に次回の送信信号が送信されるまでの送信間隔Ta,Tb,Tcに関する情報が含まれておらず、各センサユニット10,20,30,40は予め定めた規則に従った送信間隔にて、送信信号を送信するとともに、監視ユニット5もその送信間隔に関する規則を記憶しており、その記憶した送信間隔に関する規則に基づいて、ウエイクアップタイミングを設定する点にある。以下、具体的に説明する。
【0052】
本実施形態においては、各センサユニット10,20,30,40に付与されたIDコードの末尾番号を利用して、各センサユニット10,20,30,40の送信信号の送信間隔に関する規則を定めた。すなわち、図7に示すように、各センサユニット10,20,30,40の送信信号の送信間隔の平均を15分と設定し、各送信間隔は、IDコードの末尾番号の整数倍の1の位の数字に10を加えた時間を送信間隔とした。例えば、IDコードの末尾番号が8の場合、1回目の送信間隔は、10+8=18(分)、2回目の送信間隔は、10+(8×2−10)=16(分)、3回目の送信間隔は、10+(8×3−20)=14(分)、以下同様に設定した。
【0053】
なお、IDコードの末尾が0と5の場合については、平均送信間隔を15分とするために、末尾番号が0の場合には、1回目の送信間隔を20分とし、末尾番号が5の場合には、3回目の送信間隔を10分とした。
【0054】
上述したような規則に従って各センサユニット10,20,30,40の送信間隔を設定することにより、個々のセンサユニット10,20,30,40からの送信間隔も不規則に変化し、かつ各センサユニット10,20,30,40間でも、それぞれ異なった送信間隔を設定することができる。これにより、同じタイミングで複数のセンサユニット10,20,30,40から送信信号が送信される事態を極力回避することができる。
【0055】
ただし、仮に複数の送信信号が混信したり、外部からのノイズ信号等によって、各センサユニット10,20,30,40からの送信信号が監視ユニット5に受信されなかった場合でも、本実施形態の監視ユニット5は、図7に示す各センサユニット10,20,30,40の送信間隔に関する規則を記憶しているため、次回の送信信号の送信タイミングを取得することができる。このため、IGSWのオフ時に、監視ユニット5を間欠的にウエイクアップ状態としながら、各センサユニット10,20,30,40からの送信信号の受信の確率を高めることができる。
【0056】
なお、IDコードの末尾番号を利用して、各センサユニット10,20,30,40の送信信号の送信間隔についての規則を定める場合には、IDコードの末尾番号がそれぞれ異なるセンサユニット10,20,30,40を1台の車両のタイヤに装備するようにする必要がある。
【0057】
また、上述したIDコードの末尾番号を利用する方式は、単なる一例であって、その送信間隔に関する規則は、センサユニット側と監視ユニット側とで同一の規則を記憶する限り、どのようなものであっても良い。
【0058】
さらに、上記した各実施形態では、監視ユニット5は、車両に装着された4本のタイヤのセンサユニット10,20,30,40から送信信号を受信するものとして説明したが、スペアタイヤに装着されたセンサユニットからの送信信号を受信するようにしても良い。
【0059】
また、タイヤ内に空気以外の例えば窒素等を充填する場合もあるが、その場合でも、そのタイヤ内の気圧を測定する際に、本発明によるタイヤ空気圧監視システムを適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態によるタイヤ空気圧監視システムの概略の構成を示す構成図である。
【図2】タイヤ空気圧監視システムの機能ブロック図である。
【図3】センサユニットが実行する制御内容を示すフローチャートである。
【図4】空気圧モニターECUが実行する制御内容を示すフローチャートである。
【図5】(a)はセンサユニットから送信される送信信号を示し、(b)はイグニッションスイッチのオフ時に監視ユニットがウエイクアップする期間を示す。
【図6】空気圧モニターECUがセンサユニット毎に記憶する、送信間隔パターンに対応する受信間隔を示すテーブルである。
【図7】第2の実施形態における、各センサユニットの送信信号の送信間隔に関する規則を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 タイヤ空気圧監視システム
5 監視ユニット
10,20,30,40 センサユニット
11,21,31,41 空気圧センサ
12,22,32,42 送信機
13,23,33,43 受信アンテナ
15,25,35,45 タイヤ
50 空気圧モニターECU
52,53 受信機
64 バッテリ
70 表示器
Claims (8)
- 車両のタイヤに設けられて、当該タイヤの空気圧を測定するとともに、その空気圧測定値を含む送信信号を間欠的に送信するセンサユニットと、
車体に設けられて、前記センサユニットからの送信信号を受信し、その送信信号に含まれる空気圧測定値に基づいて、前記タイヤの空気圧の状態を監視する監視ユニットとを備えたタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記監視ユニットは、前記センサユニットから送信信号が送信されるタイミングを取得するタイミング取得手段と、
前記タイミング取得手段によって取得された、前記送信信号の送信タイミングに同期して前記監視ユニットを前記送信信号の受信及び前記タイヤ空気圧の状態の監視を行なう監視処理モードとし、その監視処理モードにおいて監視処理が終了した後は、次回の送信信号の送信タイミングまで前記監視ユニットをその監視処理機能を休止したスリープモードとするモード切換手段とを備えることを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。 - 前記センサユニットは、前記空気圧測定値に加えて、次回の送信信号を送信するタイミングに関する情報を含む送信信号を送信するものであり、前記タイミング取得手段は、その次回の送信信号の送信タイミングに関する情報に基づいて、前記センサユニットから送信信号が送信されるタイミングを取得することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ空気圧監視システム。
- 前記センサユニットは、前記車両の各タイヤにそれぞれ設けられるものであり、各センサユニットは、前記送信信号の送信間隔がランダムに変わるように、次回の送信信号の送信タイミングを決定することを特徴とする請求項2に記載のタイヤ空気圧監視システム。
- 前記各センサユニットの送信間隔は、ランダムに変化する複数の送信間隔からなるパターンを繰り返すように変化するものであり、前記タイミング取得手段は、前記センサユニット毎に前記送信間隔パターンを構成する複数の送信間隔を記憶する記憶手段を備えることを特徴とする請求項3に記載のタイヤ空気圧監視システム。
- 前記記憶手段に記憶する複数の送信間隔は、前記監視ユニットが、各センサユニットからの送信信号を受信した受信間隔であることを特徴とする請求項4に記載のタイヤ空気圧監視システム。
- 前記センサユニットは、前記車両の各タイヤにそれぞれ設けられるものであり、各センサユニットが前記送信信号を送信する間隔は、当該各センサユニットにおいてそれぞれ異なるように予め設定されており、前記タイミング取得手段は、前記各センサユニットから送信される送信信号の送信間隔を記憶しており、その記憶した送信間隔から、前記各センサユニットから送信信号が送信されるタイミングを取得することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ空気圧監視システム。
- 前記各センサユニットの送信間隔は、それぞれランダムに変化する複数の送信間隔からなるパターンを繰り返すように変化するものであることを特徴とする請求項6に記載のタイヤ空気圧監視システム。
- 前記モード切換手段は、車両のイグニッションスイッチがオフされている時にのみ、前記監視ユニットを前記スリープモードにすることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のタイヤ空気圧監視システム。
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