JP3872817B2 - 集積化された光学的ルミネセンスセンサ - Google Patents
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Description
本発明は、特に、第1の光軸をもつ励起光束と、プレーナ型導波路と、この導波路のエバネッセント場と相互作用する試料と、第2の光軸をもって上記導波路から出る検出光路および/または請求項1の上位概念による上記導波路内を導かれるルミネセンス光の部分を出力結合するための出力格子結合器を有し、ルミネセンス検出器により検出されるべきルミネセンス光が、励起光から空間的に分離されることを特徴とする集積化された光学的ルミネセンスセンサに関する。
この種のセンサは、従来、表面で物質を検出するセンサを駆動するために用いられている。親和力を用いたセンサ技術では、検出されるべき分子は、センサの表面に選択的に結合し、導かれる光波との相互作用によって検出される。この現象は、直接的な親和力センサの場合、屈折率の変化を測定することによって行なわれ、その際、導かれた光波によって励起されたルミネセンス光が代替的に検出される。
ルミネセンスを発する物質を検出するためにプレーナ型導波路を用いる例は、ディー・クリステンセン他による文献Proc.SPIE 1886(1993)2〜8頁に記載されている。光路は、1つの平面内に存在するため、反射光および(例えばセンサ縁からの)散乱光を抑えるためにダイクロイック ビームスプリッタおよび縁フィルタを用いなければならず、ダイナミックレンジおよび検出感度が低下するという欠点がある。
平行な導波路と,導かれる光を入力結合および/または出力結合する1つ以上の格子結合器とを有するセンサは、例えば国際出願WO 93/01487号で公知であるが、屈折率変化による直接的な検出方法である。
このような装置をルミネセンスの検出に用いることは、導光が一般に導波路の表面と直交する光学面内で行なわれ(つまり、入力結合および出力結合した光のkベクトルが1つの光学面内に存在し)て、欠点となりうる。従って、励起光とルミネセンス光とを分離し、かつ反射光と散乱光を抑えるために、ダイクロイック ビームスプリッタや絞りや干渉,ノッチ,縁などのフィルタを設けるという措置がこの場合も必要になる。
また、格子結合器を用いたUS−A−5,081,012号に記載された装置でも、励起光とルミネセンス光の結合は、コリニアに行なわれ、あるいは励起光路とルミネセンス光路は、1つの光学面内に存在する。このような光部分を空間的に分離するには、曲がった格子線を用いなければならず、そうするとセンサ要素の製造に非常な費用がかかることになる。
この種の方法および装置は、本発明の開示の一部とみなされるべきであるが、国際出願WO 95/33198号にも記載されている。
本発明は、格子結合器をもつ光学的プラットフォームを用いた雑音の少ない高感度なルミネセンス検出を可能にすると言う課題を前提とし、このルミネセンスの検出では、励起光およびルミネセンス光を導くこと,または励起光およびルミネセンス光の偏光特性を用いることによって、反射光,ルミネセンス光および励起光の空間的分離が達成される。
上記課題は、請求項1によって次のように解決される。即ち、請求項1の上位概念によるルミネセンスセンサにおいて、光軸(kein,61)を幾何学的に配置することおよび/または、
偏光により選択可能な光学的構成要素を出力側の光路(60)に用いることおよび/または、
出力格子結合(7)から出るルミネセンス光の部分を偏光により選択可能に検出することおよび/または、
励起光の出力格子結合として役立つとともに、その助けで励起光の入力結合をも付加的に行なう格子(4)を偏光により選択可能に検出することによって、
適切な検出器に入射したルミネセンス光が、励起光から空間的に分離される。
検出器に入射するルミネセンス光と励起光との空間的分離は、両光軸(kein,61)を互いに曲がらせることによって特に達成することができる。
公知のセンサでは、この高度に対称的な配置は、常にコプラナであり、このことは、屈折率変化を判定する「直接的」センサにおいては、慣用的かつ有意義である。
請求項2の解決策は、センサの対称性を可能な第1順位にまで引き上げ、請求項4の特徴的部分によれば、入射面は結合面に対して傾いている。この傾斜角度は、略1°〜30°,より好ましくは2°〜15°であり、励起光の発散角および検出光路の発散角の方向に向いている。有利な更なる構成例は、対応する下位請求項に記載の装置である。
請求項3は、上記空間で検出されるルミネセンス光を、導波路の影響を受けずに捕捉する変形例を述べており、請求項5は、導波路内で入力結合したルミネセンス光を、出力格子結合を用いて捕捉することを企図している。この両方の検出方法を同時に行なうことも可能かつ有意義である。
この構成は、小さい調整不良および角度変化に対して特に感受性が無い。このことは、特にセンサの交換およびセンサの製造許容誤差に関して大きな意味がある。
本発明による装置の更なる利点は、導光システムを集積化されたモジュールでコンパクトに実施できることであり、このモジュールでは、センサを用いるために必要な総べての光が入力結合および出力結合され、かつ検出されうる。この小型化が可能になることは、例えば外部光や振動などの環境に依存する妨害作用を低減するためにも有利に働く。
請求項5も、導波路内で入力結合したルミネセンス光の捕捉に関係するが、ここでは励起光を入力結合するために入力格子結合を用いている。この実施の形態は、入力結合して導波路内を導かれるルミネセンス光の伝播方向には、驚くべきことに優先方向がないということによって可能になった。この検出方法を既述の検出方法の一方または両方と一緒に実施することも同じく可能である。さらに、この実施の形態は、励起光の入力結合のみならず、導波路内を導かれ,続いて検出されるルミネセンス光の出力結合にも、同一の格子を用いることができるという利点を有する。
請求項6は、ルミネセンス光のための検出器において励起光による妨害を可能な限り少なくするという目的をもった顕著な斜めの幾何学的配置に関係する。また、励起光束および検出光路が、断面で末広がりになっており、導波路における方向付けと入射点が、励起光束からの光が単一の反射によって検出光路内の任意面に到達し得ないようになっている(実施の)形態も可能である。
互いに相違する励起光とルミネセンス光の偏光特性は、請求項7によれば、完全に偏光した励起光,つまり磁界が導波路境界と完全に平行になるように偏光された光(TM波)が、導波路内を導かれるTMモードの励起に、または電界が導波路境界と完全に平行になるように偏光された光(TE波)が、TEモードの励起に夫々用いられる場合に、基本的に有利に利用することができる。その際、請求項8によれば、ルミネセンス光を検出するために、励起光の種々の偏光のうちの1つを選択することが有利である。
種々の偏光が出力結合により種々の角度で出るので、導波路内で入力結合して出力格子結合から出るルミネセンス光の部分を、偏光により選択可能に検出することが特に有利である。これによって、スペクトルのずれによって生じ,その結果互いに異なるの角度で出力される出力結合された励起光と出力結合されたルミネセンス光とを空間的に分離することができる。入力結合したルミネセンス光の導波路内の伝播には、驚くべきことに優先方向がないので、出力格子結合(7)からのみならず、励起光の入力結合に用いられる格子(4)からも入力結合したルミネセンス光が出て、検出器で検出されることが可能になる。TE偏光された励起光を用いる際に、導波路内で入力結合し,TM偏光されて格子結合から出るルミネセンス光の部分を検出すること、およびTM偏光された励起光を用いる際に、導波路内で入力結合し,TE偏光されて格子結合から出るルミネセンス光の部分を検出することは、好都合である。
導波路内で入力結合し,導波路のごく近傍から出る双極子の部分を、例えばノボトゥニ,米国光学会会報のA14(1994),91頁に述べられたいわゆるヘルムホルツの式の助けによって算出すると、導波路のエバネッセント場との相互作用によって、双極子のルミネセンス寿命は減少して、単位時間当たり3倍までものフォトンが放射されることが判明した。この計算の最終結果は、この付加的なフォトンが、導波路内に入力結合されるということである。導波路内で入力結合したルミネセンス光の部分は、かくて妨害されない双極子から全立体角に放射される光強度の3倍にもなりうるのである。
第1の実施の形態は、この知見を裏付ける。
本発明のTE偏光された励起光を用いる際に、導波路内で入力結合し,TM偏光されて格子結合から出るルミネセンス光の部分を検出することの更なる好ましい実施の形態は、入力格子結合器(4)または出力格子結合器(7)またはこれら両格子結合器と接続する単一の導波領域からなるものである。さらに、本発明によるセンサプラットフォームは、分離した複数の導波領域からなるのが好ましい。
本発明の装置では、ルミネセンス光は、検出器において励起光から空間的に分離される。
本発明による装置は、図面により詳細に説明されるが、図面は、単に具体的な実施の形態を示すにすぎない。図面は、本発明を限定するために引き合いに出されるべきではない。例えば、先に説明された偏光により選択可能にルミネセンス光を検出する可能性、および本発明による集積化された光学的ルミネセンスセンサを、分離された複数の導波領域をもつセンサプラットフォームに転用することは、図面でも、図面に描かれた実施の形態との組合せでも説明されなかったが、本発明の部分である。
図1は、体積ルミネセンスの検出器をもつ本発明の装置の図である。
図2は、コプレナ光路をもち、体積ルミネセンスの検出器をもつ従来のルミネセンス導波路センサをxz平面で切断した断面図である。
図3は、「後方結合」をもつ図2の変形例の図である。
図4aは、図1による装置をxz平面で切断した断面図である。
図4bは、図1および図4aによる装置をyz平面で切断した断面図である。
図5は、入力結合面に絞りをもつ図1に対応する装置の断面図である。
図6は、導波路内で入力結合したルミネセンスの検出器をもつ本発明による装置の図である。
図7は、図6に対応する装置を入力結合面で切断した断面図である。
図8は、導波路検出器をもち、入射面,入力結合面および検出方向がコプラナである(国際出願WO 95/33189号の図1に対応する)公知の装置をxz平面で切断した断面図である。
図9aは、図6による装置をxz平面で切断した断面図である。
図9bは、図9aをyz平面で切断した断面図である。
図1と図6の例は、ルミネセンス光の勘定を検出するための異なった方法を示している。
図1は、体積ルミネセンスの検出を示している。即ち、入射光によって励起されたルミネセンス光の部分は、全空間に放射され、集光光学系によって(この光学系で捕捉される立体角に応じて)捕捉されうる。
図6は、導波路内で入力結合されたルミネセンスの検出を示している。ルミネセンス光は、空間に放射されたこのルミネセンス光に対して相補的に、導波路内を導かれる波として部分的に入力結合して、この導波路内を伝播する。ここでは、検出のために出力格子結合器を用いることができ、この結合器は、入力結合器から空間的に分離するとともに、同一または異なる格子周期をもつことができる。出力結合格子は、好ましい更なる幾何学形状においては、入力結合格子と同一とすることもできる。
図1と図6では、試料を供給するための液体セルは、示されていない。
上記両者の方法および装置から1つを選択するには、次のことを考慮して特に(望ましい)適用を選ばなくてはならない。即ち、導波路表面に固定された分子の結合長と距離、導波路内を導かれる光の(屈折率および層厚に依存する)モード屈折値、励起光およびルミネセンス光の波長における導波路の減衰、センサの表面および幾何学的形状、センサ上の試料体積、および試料セル内の流れ状態を考慮しなければならない。上記両方法を組み合わせることもできる。
図1によって体積蛍光を検出する際、入射光の波長をもつ導かれる光(5)は、センサ面(1)内の入力格子結合器(4)によって励起される。導かれる光(5)のエバネッセント場によって導波路(1)との境界領域で励起される試料のルミネセンスは、全立体角に放射されるが、大部分がセンサ面の下方の集光光学系(6)によって捕捉される。入射面(2)は、入射光(kein)および導かれる光(5)のkベクトルによって張られ、入力結合面(3)は、センサ面(1)の法線と導かれる光(5)によって張られる。
θは、入射面(2)と入力結合面(3)との交角である。励起光の入力結合面(3)外への入射は、入射光のkベクトル(kein)が、入力結合面(3)と異なる入射面(2)内に存在するという結果を伴う。さらに、入射光のkベクトル(kein)のx成分の方向と導波路(1)内を導かれる光の方向とが異なる「後方結合」を用いることによって、異なった伝播方向による更なる空間的分離を達成することができる。これによって、例えば試料セルおよびセンサ近傍の機械的ユニットの汚れやくすみ、入射光の透過部分(ktrans)と反射部分(kref)に対して光を入射させることなどに起因して、励起光の直接光部分がルミネセンス検出器に達することを、簡単な措置によって確実に防止することができる。これらの措置は、入力結合の幾何学的形状が目標値から僅かに逸脱した際にも、全く有効である。
入力結合面と出力結合面が異なることによる利点を説明すべく、上記措置を断念した場合,つまり従来の体積蛍光の検出方法において生じる問題を、次に詳しく述べることにする。
図2にこのような場合の光路が示されており、励起光Aは、結合面であるxz面内でkein方向に入射する。図1を補完して、センサ面(1)上方の試料(80)をもつ液体セル(8)と、検出器(11)と、光軸(61)をもつ検出光路(60)を有する集光光学系(6)の開口とが示されている。入力結合として「前方結合」が示されている。入射光のkベクトル(kein)とセンサの法線の間の入力結合角(α)は、センサで反射した光部分が集光光学系(6)の開口を経て検出器(11)に直接達し得ないような大きさに選ばれる。具体的に説明するため、入力結合角(α)が小さすぎる場合(実線で示すkein1,kref1)と十分大きい場合(破線で示すkein2,kref2)を図2に示した。必要な最小入力結合角(α)は、集光光学系(6)の開口によって決まるので、光度の強い集光光学系は、センサ面に立てた垂線から遥かに外れる大きい開口入力結合角を必要とする。
この大きい入力結合角によって、導波路センサを駆動するための光学的モジュールを構造的に実施することは、センサの垂線に近い入力結合角をもつモジュールバージョンの構造的実施に比べて費用がかかる。
さらに、十分に大きい入力結合角(α)においては、反射された励起光(kref)は、内壁(13)での1回の反射によって検出器(11)に入射する。例えば内壁の表面(13)のくすみや汚れによる散乱光を抑制するために公知の措置をとる場合にも、これによって検出器(11)に悪影響を及ぼす妨害光が発生する虞れがあった。従来のルミネセンス検出では、ルミネセンス光と励起光を分離するために縁フィルタまたはバンドパスフィルタが用いられてきた。これらのフィルタが所定の遮断率の場合、所定波長の励起光では、妨害光のレベルが測定法の解像度を制限する。
図2に代えて図3は、導かれる励起光を「後方結合」することによって上記問題を回避するようにした光路を示している。この場合も、30°を超える入力結合角αは回避されるが、図3では、例として集光光学系(6)を貫く入力結合が更に示されている。この構成は、高感度のルミネセンス検出にとって特に欠点となる。即ち、用いられる光学的構成要素,特に鏡(14)と集光光学系(6)の表面での光の散乱により、妨害光が検出器(11)の近傍で生じうる。
そのうえ、内壁(13)での1回の反射によって、同様に妨害光が(11)に入射しうるのである。図4aはxz平面で切った断面で、図4bはyz平面で切った断面で、入力結合面(3)に対して傾いた入射面(2)をもつ図1の構成が、妨害信号にどのような影響を及ぼすかを夫々示している。重要なのは、破線で示したベクトルから判るように、xz断面図およびyz断面図において、kベクトルが各断面への投影で示されていることである。入力結合には「バックワード カップリング」(後方結合)が選ばれ、入射面を図示のxz平面に対して傾けることによって、励起光はレンズ(3)の側方を通り過ぎうる。重要なのは、図2,3の構成に比して、レンズ(6)の開口が同じである場合、レンズ(6)の側方を通り過ぎるに必要な角度は、xz平面およびyz平面においてより小さいということである。即ち、例えばα=θの場合、tanαは、「総べてのkベクトルがxz平面内にある」場合に比して係数
だけ小さくなる。
しかし、反射された光部分の挙動への傾いた入射面(3)の影響が決定的である。即ち、入射面を傾けることによって、図中の波動ベクトル(kein)上に光軸をもつ励起光(A)からの光を、検出光路(60)に入射させ、この光路内で検出器(11)の領域に導くためには、少なくとも2つの反射過程が必要になる。これとは逆に、図2,3によるコプレナな構成では、内壁での1回の反射により既にこの効果が生じる。
従って、図4a,図4bでは、内壁の2つの部分(13a,13b)が示され、切断された上記内壁は実線で、図面のxz平面内,yz平面内にあるものは破線で夫々示されている。妨害光を(11)に導くために必要な反射過程の数がこのように増えることによって、面のくすみや汚れまたは光を入射させることに起因する妨害光を抑制する総べての措置の効率が著しく改善される。
光学系の壁(13)またはセンサ(1)および液体セル(8)における反射の影響は、部材の形状決定と位置決めの際に90°に等しくない傾斜角度を用いることによって、理論的には回避することができる。しかし、妨害信号の抑制は、詳しくは励起および出力結合の幾何学形状に依存する。センサの設計の僅かな変更は、ハードウェアの総べての変更をもたらす。液体セル(8)および選択システムの可能な限り普遍的な設計には、傾いた構造要素と境界面をもつ本実施の形態の傾いた光学面(2,3)を用いることが、明らかに優先されるべきである。
ルミネセンス信号および直接的な光部分を空間的に確実に弁別することは、雑音の少ないルミネセンス検出を可能にし、それによって、検出システムにおいて例えば単フォトン計数などの高感度の検出技術を利用できるための前提を作る。
励起光の妨害部分によって生じる外部光を抑制するための更なる措置は、図5に示される。図5は、(図4aに対応する)図1の入力結合面における断面を示している。入射面(2)と入力結合面(3)の交角θを選択することによって、励起光(kein)が、ルミネセンス光を集める集光光学系(9)を貫くことなく、空間的に分離されて図示の(9)にある平面の側方を通り過ぎて入力格子結合器(4)に入ることが確保されうる。導かれる光(5)の領域で励起されたルミネセンス光は、集光光学系(9)によってまず中間像平面に結像し、この中間像平面では、絞り(10)がセンサ表面の領域からの光を遮断する。これにより、例えば構成された領域内の導波層(1)の大きい表面粗さや(図5には示されていない)導波層(1)の下方の基板の固有ルミネセンスによって引き起こされる入力格子結合器(4)の領域からの散乱光は、検出器(11)の手前で遮断されうる。検出光路(60)の光軸(61)および検出光路全体の幾何学的形状は、非常に正確に確定される。
図6には、検出に導波路を用いる際のルミネセンス検出器の構成が示されている。対称軸と波動ベクトル(kein)と導かれる光波(5)の伝播とを有する励起光(A)の入力結合は、図1に示された体積ルミネセンス検出器と類似している。この導波路検出では、導波層(1)内で再び入力結合したルミネセンス光が、入力格子結合器(4)から空間的に分離された出力格子結合器(7)によって出力結合される点が異なる。この出力格子結合器(7)は、格子定数を入力格子結合器(4)と異ならせることによって実現できる。導波路を経て伝播する入力結合光と導波路内で入力結合したルミネセンス光の出力(kaus,k'aus)結合角は、夫々βとβ'で示される。この角度β,β'は、励起光とルミネセンス光の間のストークス・シフトおよび出力格子結合(7)の分散によって相違する。従って、両者は幾何学的に分離される。導波路検出によるルミネセンス検出について、入力結合面(3)で切断された断面図として図7の装置が再度示されている。図7では、既述の措置に加えて、雑音のない検出のために、センサの下面近傍に絞り(12)を用いた更なる措置が示されている。これによって、例えば導波層(1)の下方にある(図7には示されない)基板材料の固有ルミネセンスや,導かれる光(5)によって励起される試料領域の上方の液体体積内の分子のルミネセンスによって、入力格子結合器(4)と出力格子結合器(7)の間の励起光を導く領域(5)に生じうる妨害光が低減される。
この導波路によってルミネセンスを検出する場合について、入力結合面(3)と出力結合面(2)が異なることによる利点は、本発明による図9a,図9bの実施の形態を図8の従来例と比較することによって述べられる。図8では、「後方結合」による入力結合を入力結合面(xz平面)で切断した断面図が示されている。入射した光束(kein)は、鏡(14)を介して導波路(1)に供給される。この鏡(14)の幾何学的寸法は、鏡(14)と検出器(11a,11b)の間隔が、両者が導波路(1)の長さよりも遥かに大きいことにより大きくならざるを得ないので、センサ(1)および光学装置の小型化を妨げるという点に留意すべきである。鏡(14)を削除するとすれば、検出器(11a,11b)の遥か下方から励起光を供給しなければならず、そうすると、光学装置の小型化とコンパクトな実施が再び妨げられる。
上記導波路検出では、反射された励起光は、体積ルミネセンスを検出する場合と異なり、センサの通常の構成要素における1回の反射によって、検出器(11)の領域に達する。しかし、反射された励起光を検出器(11)に導くには、入射面(2)が入力結合面(3)に対して傾いていると、体積ルミネセンス検出の場合と同様、入射面が傾いていない場合よりも少なくとも1つ多い反射が必要になる。
本発明による導波路ルミネセンス検出のための傾いた入射面(2)と入力結合面(3)の例は、図9aと図9bに示されているが、波動ベクトルkein,kref,kaus,k'ausについては、(ベクトルを示す破線から判るように)図9aのxz平面,図9bのyz平面への各投影が示されている。励起光keinのための鏡(14)または方向転換システムは、光が傾くことに伴って光学要素によって如何なる影も生じさせないように、入力結合面(3)の外に位置させることができる。さらに、yz平面で切断した断面図である図9bは、傾けることによって総べての光部分(励起光(kein),反射光(kref),出力結合した励起光(kaus),出力結合したルミネセンス光(k'aus))が、空間的に分離されることを示している。励起光の入射する入力結合角(α)と再び出力結合する出力結合角(β)は、入力結合格子(4)と出力結合格子(7)の格子周期が異なれば、常に異なる。このことは、(「後方結合」による励起,「前方結合」による出力結合など)種々の結合の幾何学形状を通じて、総べての実際的に関連する場合について言える。
傾いた入力結合面(3)と入射面(2)をもつ上記総べての幾何学形状は、これら両平面(2,3)が傾いていることにより、関与する信号光の空間的分離を実現し、この空間的分離が、これらの光部分を弁別する措置に要する費用を著しく削減するという点において共通する。
センサを駆動するための総べての光学的要素の配置は、センサの下方において行なうことができ、このことは、自動分析装置においてかかるセンサを駆動する際に有利である。即ち、センサと試料と液体の供給は、上方から行なわれる一方、測定は、下方から行なわれる。
さらに、センサを駆動する総べての光学的要素は、外寸法の小さいコンパクトなモジュールとして実現できる。即ち、光源として、光を形成するための光学的要素と、例えばこの光学的要素を回転または移動させることにより入力結合角を位置調整するための機械的要素と、出射する出力結合光のための導光および形成システムと、付属の検出システムとを有するレーザ,ルミネセンス,超ルミネセンスなどのダイオードを用いることができる。上記検出システムは、入力結合した光の強度を測る測定器として参照路の周りに一体化することができる。
励起光源を選ぶ際に、集積化されたモジュールの寸法を明らかに超える寸法をもつレーザ光源を採用しなければならない場合、レーザ光は、偏光を受けるのが好ましい実施の形態の導波路を介して集積化されたモジュールに供給される。
本発明の実施例で述べられる実施の形態は、好都合である。
実施例1 入力結合され導波路内を導かれる蛍光
緑色のHeNeレーザ(波長543nm;Melles Griot社製)光は、ルチル(TiO2)のプリズムを介して導波路(導波層:150nm TiO2;基板:ガラス)に入力結合され、エバネッセント場を介して、導波路上に滴の形で存在する色素溶液(Rhodamin 6G,10-6M)を励起する。50nmの集光レンズ(Spindler & Hoyer社製)と、2つの550nmの縁レンズと、トランスデューサの下方に5cm隔てて配置されたSi−PINホトダイオード(UDT社製)とからなる検出システムが、蛍光を捕捉する。まず、所定の立体角で放射された信号が、次いで導波路に入力結合して出力格子結合器(格子周期:400nm)から出る蛍光が夫々検出される。励起光によって異なる角度で格子結合の分散特性に応じて出力格子結合から放射される信号光は、上記立体角で放射されて同じ検出器で測定される光部分よりも50%だけ強い。
実施例2 直交偏光子を用いるS/N比の改善:入力結合され導光路内を導かれるTE波の蛍光
直線偏光されたHeNeレーザ(波長633nm;1mW;Melles Griot社製)光は、格子結合器を介して導波路(導波層:150nm TiO2;基板:Corningglas C7059)に入力結合され、エバネッセント場を介して、内部に均一に色素(Chiba-Farbstoff WA 3010,10-9M)が分布する略50nm厚さに堆積されたポリマ・マトリックスを励起する。遅延板(λ/2=633nm;Rocky Mountains Instr.)と偏光子(Spindler & Hoyer社製)によって、TE偏光またはTM偏光された励起光が、選択的に入力結合される、分析器と、ノッチフィルタ(Kaiser社製)と、トランスデューサの下方に10cm隔てて配置されたCCDカメラ(Kappa社製)とからなる検出システムは、導波路内で入力結合して出力格子結合(格子周期:320nm)から出る蛍光を捕捉する。上記両モードで偏光された励起光の信号強度は、直交分析器でも平行分析器でも測定される。TE偏光された光が入力結合されると、出力格子結合器から出る両蛍光成分の比TE/TMは、7:1になる。
TM偏光された光が入力結合されると、出力格子結合器から出る両蛍光成分の比TE/TMは、2.5:1になる。
Claims (9)
- ルミネセンス光を測定するための集積化された光学装置であって、
(a)プレーナ型導波路(1)であって、該プレーナ型導波路のエバネッセント場と相互作用する試料(80)を備えるプレーナ型導波路と、
(b)前記プレーナ型導波路(1)に入射されかつ第1の光軸(kein)をもつ励起光(A)を発生させる光源と、
(c)第2の光軸(61)を有し、前記導波路(1)から出る検出光路(60)のルミネセンス光を測定するための検出器(11)と、を含み、
入力格子結合器(4)によって、前記励起光(A)が、前記導波路(1)内で入力結合されて、導かれる光波(5)を形成し、前記試料(80)と相互作用してルミネセンス光を発生させ、
入力結合面(3)が、前記導波路(1)に対する法線と前記導かれる光波(5)の波動ベクトルとで張られ、
入射面(2)が、前記導波路(1)に入射する励起光の波動ベクトル(k ein )と前記導かれる光波(5)の波動ベクトルとで張られ、前記入力結合面および入射面は、互いに1°よりも大きい交角(θ)をなし、
前記両光軸(kein、61)を、傾けた幾何学的な配置にすることによって、
前記ルミネセンス光が前記励起光から空間的に分離されることを特徴とする、集積化された光学装置。 - 前記検出光路(60)をもつ集光光学系(6、9)が、全空間に放射される前記ルミネセンス光の一部を捕捉して、前記検出器(11)に導くことを特徴とする、請求項1記載の集積化された光学装置。
- 入力格子結合器(4)および出力格子結合器(7)が、前記プレーナ型導波路(1)に配置されており、該導波路(1)内を導かれて前記出力結合格子(7)から出るルミネセンス光の部分が、検出光路(kaus)として検出器(11)に供給されることを特徴とする、少なくとも請求項1記載の集積化された光学装置。
- 入力格子結合器(4)が、前記プレーナ型導波路(1)に配置され、該導波路(1)内を導かれるルミネセンス光の部分が、前記入力格子結合器(4)で出力結合されて検出器に供給されることを特徴とする、請求項1記載の集積化された光学装置。
- 前記入力結合面(2)と入射面(3)との間の角度(θ)が、30°よりも小さいことを特徴とする、請求項1記載の集積化された光学装置。
- センサプラットフォームが、1つの入力格子結合器(4)と接続する単一の導波領域からなることを特徴とする、請求項1記載の集積化された光学装置。
- センサプラットフォームが、1つの出力格子結合器(7)と接続する単一の導波領域からなることを特徴とする、請求項1記載の集積化された光学装置。
- センサプラットフォームが、夫々が、入力格子結合器(4)の各々と、または、夫々が、1つの共通の入力格子結合器(4)と、接続する複数の分離した導波領域からなることを特徴とする、請求項1記載の集積化された光学装置。
- センサプラットフォームが、夫々が、出力格子結合器(7)の各々と、または、夫々が、1つの共通の出力格子結合器(7)と、接続する複数の分離した導波領域からなることを特徴とする、請求項1または8記載の集積化された光学装置。
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