JP3871744B2 - 自動車用合成樹脂製パネル - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車用合成樹脂製パネル、特に、ブロー成形品であって、アウタスキンと、そのアウタスキンと一体のスチフナとを有し、ボンネットやトランクリッドとして用いられるパネルに関する。
【０００２】
【従来の技術】
本出願人は、先に、この種のパネルとしてボンネットを提案している（実開平４−１２００１５号、特開平６−８３０９号公報参照）。これらボンネットは閉断面構造を有するので、実用上十分な剛性を備えている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、自動車が他物に衝突した場合、その衝撃力でボンネットをそれの剛性に打勝って折曲げるようにすれば、衝撃力吸収を図る上で有利である。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明は、実用上十分な剛性を備え、且つ衝突時等には容易に折曲がるようにした前記自動車用合成樹脂製パネルを提供することを目的とする。
【０００５】
前記目的を達成するために、請求項１の発明は、ブロー成形品であって、アウタスキンと、そのアウタスキンの裏面に空間を挟んで重なり合うスチフナとが一体化された閉断面構造を備え、ボンネットやトランクリッドとして用いられる自動車用合成樹脂製パネルにおいて、前記スチフナが、車体幅方向略全長に亘って延び且つ前記アウタスキンに向って突出する樋状成形部を一体に備えると共に、その樋状成形部が、頂部に稜線部分を有する横断面逆Ｖ字状の山形断面に形成されていて、車体前方または車体後方からの衝撃力で前記パネルを前記樋状成形部の頂部を起点として折曲げるべく、その樋状成形部の前記稜線部分が前記アウタスキンから離隔しており、また前記スチフナが、前記樋状成形部と交差するよう斜めに延び且つ前記アウタスキンに向って突出する横断面半円形の補強リブを有し、その補強リブの稜線部分が前記アウタスキンに溶着されており、前記樋状成形部と前記補強リブとの交差部においては、該樋状成形部が途切れて該補強リブが連続していることを特徴とする。
【０００６】
また請求項２の発明は、請求項１の発明の上記特徴に加えて、前記樋状成形部の頂角θは、θ≦９０°であることを特徴とする。
【０００７】
また請求項３の発明は、請求項１又は２の発明の上記特徴に加えて、前記スチフナは、前記樋状成形部及び前記補強リブと相互に交わることなく該スチフナの略全体に亘って点在し且つ前記アウタスキンに向って突出する複数の半球殻状の補強ラグを有し、それら補強ラグの頂部は前記アウタスキンに溶着されていることを特徴とする。
【０００８】
各請求項の特徴によれば、自動車用合成樹脂製パネルにおけるスチフナの樋状成形部が、頂部に稜線部分を有する横断面逆Ｖ字状の山形断面に形成されると共に、その樋状成形部の稜線部分がアウタスキンから離隔していて脆弱になっていることから、該パネルが他物に衝突すると、その衝撃力に伴う応力が樋状成形部に集中し、これによりボンネットは樋状成形部の頂部を起点として山形に容易に折曲がる。しかもパネルが閉断面構造を備え、またパネルのスチフナが、前記樋状成形部と交差するよう斜めに延びる横断面半円形の補強リブを有していて、その補強リブの稜線部分がアウタスキンに溶着されており、樋状成形部と補強リブとの交差部においては、該樋状成形部が途切れて該補強リブが連続しているので、スチフナの樋状成形部がアウタスキンから離隔していて脆弱になっていても、パネルは、補強リブにより実用上十分な剛性を備える。
【０００９】
また特に請求項２の特徴によれば、パネルのスチフナが、樋状成形部及び補強リブと相互に交わることなく該スチフナの略全体に亘って点在する複数の半球殻状の補強ラグを有するので、スチフナの樋状成形部がアウタスキンから離隔していて脆弱になっていても、パネルは、補強リブ及び半球殻状の補強ラグにより実用上十分な剛性を備える。
【００１０】
【発明の実施の形態】
図１〜３において、自動車用合成樹脂製パネルとしてのボンネット１は、ブロー成形品であって、アウタスキン２と、そのアウタスキン２と一体のスチフナ３とを有し、閉断面構造を備えている。アウタスキン２およびスチフナ３は、例えばナイロン系ポリマアロイ、ＡＢＳ、ポリエチレン、ポリプロピレン等から選択された合成樹脂より構成されている。
【００１１】
スチフナ３は、その車体長方向ａ中央部において、車体幅方向ｂ略全長に亘って延び、且つアウタスキン２に向って突出する１つの樋状成形部４を備えると共に、その樋状成形部４が、頂部に稜線部分５を有する横断面逆Ｖ字状の山形断面に形成されている。そして、その樋状成形部４の稜線部分５はアウタスキン２から間隙ｃだけ離隔している。
【００１２】
スチフナ３は、その略全体に亘って点在し、且つアウタスキン２に向って突出する多数の半球殻状補強ラグ６を有し、各補強ラグ６の頂部７はアウタスキン２に溶着されている。この場合、各補強ラグ６と、樋状成形部４及び後述する補強リブ８とは相互に交わることはなく、これにより各補強ラグ６による剛性向上作用が確保される。
【００１３】
またスチフナ３は、アウタスキン２に向って突出する４つの横断面半円形をなす補強リブ８を有し、各補強リブ８の稜線部分９はアウタスキン２に溶着されている。２つの補強リブ８は、スチフナ３の後縁部において車体幅方向ｂに延び、また他の２つの補強リブ８は、前記両補強リブ８の車体幅方向ｂ端部近傍から、図１，３，４に明示するように樋状成形部４と交差するように斜めに延びている。その樋状成形部４と補強リブ８との交差部においては、図３，図４に示されるように該樋状成形部４が途切れて該補強リブ８が連続している
また各補強ラグ６および各補強リブ８とアウタスキン２との溶着はボンネット成形時に行われる。
【００１４】
前記ボンネット１は閉断面構造を備え、また複数の補強ラグ６および補強リブ８を有するので実用上十分な剛性を持つ。
【００１５】
一方、図５、実線示の状態において、自動車１０が他物に衝突すると、スチフナ３の樋状成形部４がアウタスキン２から離隔していて、その樋状成形部４が脆弱になっていることから、衝撃力に伴う応力が樋状成形部４に集中し、これにより、図５に鎖線で示すようにボンネット１は樋状成形部４を起点として山形に容易に折曲がる。これにより前記衝突に伴う衝撃力を吸収することができる。このようにボンネット１を確実に折曲げるためには、樋状成形部４の頂角θは、θ≦９０°であることが望ましい。
【００１６】
なお、本発明は自動車のトランクリッドにも適用される。
【００１７】
【発明の効果】
本発明によれば、前記のように構成することによって、ボンネットやトランクリッドに用いられて、実用上十分な剛性を備え、一方、衝突したときおよび追突されたときにその衝撃力を吸収することが可能な自動車用合成樹脂製パネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 ボンネットの平面図である。
【図２】 図１の２−２線拡大断面図である。
【図３】 ボンネットの背面図である。
【図４】 図３の４矢示部の拡大斜視図である。
【図５】 ボンネットの折曲り説明図である。
【符号の説明】
１ ボンネット（パネル）
２ アウタスキン
３ スチフナ
４ 樋状成形部
５ 稜線部分
ｂ 車幅方向

Claims (3)

1. ブロー成形品であって、アウタスキン（２）と、そのアウタスキン（２）の裏面に空間を挟んで重なり合うスチフナ（３）とが一体化された閉断面構造を備え、ボンネットやトランクリッドとして用いられる自動車用合成樹脂製パネル（１）において、
   前記スチフナ（３）は、車体幅方向（ｂ）略全長に亘って延び且つ前記アウタスキン（２）に向って突出する樋状成形部（４）を一体に備えると共に、その樋状成形部（４）が、頂部に稜線部分（５）を有する横断面逆Ｖ字状の山形断面に形成されていて、車体前方または車体後方からの衝撃力で前記パネル（１）を前記樋状成形部（４）の頂部を起点として折曲げるべく、その樋状成形部（４）の前記稜線部分（５）が前記アウタスキン（２）から離隔しており、
   また前記スチフナ（３）は、前記樋状成形部（４）と交差するよう斜めに延び且つ前記アウタスキン（２）に向って突出する横断面半円形の補強リブ（８）を有すると共に、その補強リブ（８）の稜線部分（９）が前記アウタスキン（２）に溶着されており、
   前記樋状成形部（４）と前記補強リブ（８）との交差部においては、該樋状成形部（４）が途切れて該補強リブ（８）が連続していることを特徴とする、自動車用合成樹脂製パネル。
2. 前記樋状成形部（４）の頂角θは、θ≦９０°であることを特徴とする、請求項１に記載の自動車用合成樹脂製パネル。
3. 前記スチフナ（３）は、前記樋状成形部（４）及び前記補強リブ（８）と相互に交わることなく該スチフナ（３）の略全体に亘って点在し且つ前記アウタスキン（２）に向って突出する複数の半球殻状の補強ラグ（６）を有し、それら補強ラグ（６）の頂部は前記アウタスキン（２）に溶着されていることを特徴とする、請求項１又は２に記載の自動車用合成樹脂製パネル。

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