JP3871519B2 - 荷受台昇降装置のアーム構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、貨物自動車の後部又は側部に装着され、荷物の積載や荷降ろしに用いられる荷受台昇降装置に関し、特にそのアーム構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
貨物自動車に装着される荷受台昇降装置は、油圧等の動力を付与されるアームにより昇降可能な荷受台によって、荷箱の荷物の積み降ろしを行うものである。例えば特開2000−16147号公報に掲載された従来の荷受台昇降装置は、水平地で荷物を降ろす場合、荷箱の床面と同一水平面に荷受台を構えて荷物を載せ、そのまま水平を保ちながら下降させるように構成されている。そして、荷受台の一端が接地すると、荷受台をチルト(傾斜)させ、荷物を地面に降ろしやすくする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の荷受台昇降装置では、チルト動作をさせるための構造が、昇降動作をさせるための構造とは別に必要である。従って、構造全体が複雑になるという問題点があった。また、チルト動作開始時又は終了時の衝撃等により、荷受台上の荷物が転倒又は落下することがあるという問題点もあった。
上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、構造が簡素で、荷物の転倒や落下を防止する荷受台昇降装置のアーム構造を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、荷受台を格納、展開及び昇降させる荷受台昇降装置のアーム構造として車体に左右一対設けられ、各アーム構造が、
車体に設けられた上下一対の支点A及びBをそれぞれ中心として所定範囲で回動可能な一対のアームと、これらのアームの各回動端側における作用点C及びDの間に接続された基部連結部材とによって構成され、A,B,C及びDを4頂点とする四角形は、四辺の長さがそれぞれ不変であって、前記アームの回動に伴って辺CDを辺ABに対して傾動させる不等辺四角形である基部リンク機構と、
前記作用点C及びDをそれぞれ中心として所定範囲で回動可能な一対のアームと、これらのアームの各回動端側における作用点E及びFの間に接続された先端部連結部材とによって構成され、C,D,E及びFを4頂点とする四角形が平行四辺形であり、前記作用点E又はF側で荷受台を支持するとともに前記基部リンク機構が回動下降端に達するまでの前記辺CDの傾動に基づいて前記荷受台をチルト動作させる先端部リンク機構とを備え、
前記先端部リンク機構は前記基部リンク機構に対して折り畳み可能であることを特徴とするものである(請求項1)。
【0005】
上記のように構成された荷受台昇降装置のアーム構造では、基部リンク機構におけるアームの回動に従って、その回動端側に接続された先端部リンク機構のアームが回動し、荷受台が昇降動作する。基部リンク機構におけるアームの回動に伴って辺CDが辺ABに対して傾動することにより、先端部リンク機構における作用点の辺EFも辺CDと平行に傾動し、荷受台は、基部リンク機構が回動下降端に達するまでの辺CDの傾動に基づいてチルト動作する。この場合、チルト動作は昇降動作と別に行われるのではなく、昇降動作と一体的に行われる。また、このチルト動作は極めて滑らかに行われ、衝撃を伴わない。
【0006】
また、上記アーム構造(請求項1)において、基部リンク機構の回動上昇端における先端部リンク機構のアームの傾斜は、前記基部リンク機構のアームの傾斜より急な角度であってもよい(請求項2)。
この場合、基部リンク機構の回動上昇端においては、先端部リンク機構のアームの傾斜が基部リンク機構のアームの傾斜より急な角度となって、辺CDに対して辺EF及び荷受台をより一層押し上げる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態によるアーム構造を採用した荷受台昇降装置について図面を参照して説明する。図1及び図2はそれぞれ、貨物自動車の車体101の後部における荷箱102の下方に取り付けた荷受台昇降装置1を示す背面図及び側面図である。図2において、後輪103より後方の、シャーシ104の両側面の各々には、取付部材2が取り付けられ、左右の取付部材2は相互にパイプ3等で頑丈に固定されている。荷受台昇降装置1は、この取付部材2に取り付けられている。図2に示す荷受台昇降装置1は、車体101の下部に格納された走行時の状態である。そして、使用時には、図2の状態から、図3、図4、図5の順に示すように車体101の後方に引き出されて展開される。
【0008】
次に、上記荷受台昇降装置1の各部の構造について、展開された状態の図5を参照して説明する。当該荷受台昇降装置1は、基本的に基部アーム(基部下アーム4,基部上アーム8)と先端部アーム(先端部下アーム13,先端部上アーム16)とを備えた2段アーム構造を有している。
まず、図5において、基部下アーム4は、左端部に設けられたピン5を支点としてこれを中心に所定範囲で回動可能であり、このピン5は、取付部材2に固定されている。基部下アーム4の右端部は、作用点としてのピン6を介して基部連結部材7と接続されている。一方、基部上アーム8は、左端部に設けられたピン9を支点としてこれを中心に所定範囲で回動可能であり、このピン9は、取付部材2に固定されている。基部上アーム8の右端部は、作用点としてのピン10を介して基部連結部材7と接続されている。ここで、上記ピン9及び5を上下一対の支点A及びBとし、ピン10及び6を支点A及びBにそれぞれ対応する作用点C及びDとすると、上記基部下アーム4、基部連結部材7及び基部上アーム8は、A,B,C及びDを4頂点とし、辺CDは辺ABより長く、かつ、辺ACは辺BDより長い不等辺四角形からなる基部リンク機構を構成している。基部上アーム8には油圧シリンダ(図示略)が接続されており、油圧の供給により基部上アーム8が回動すると、基部下アーム4もこれに従って回動する。基部上アーム8は、車体幅方向に並べた同じ形の2枚の鋼材を、チャンネル材11により相互に固定してなるものである。また、左右一対の基部下アーム4は、車体幅方向に水平配置されたアングル材12によって相互に固定されている。
【0009】
次に、先端部下アーム13は、ピン6によって基部下アーム4に軸着され、図示の位置から反時計回り方向に所定範囲で回動可能に取り付けられている。先端部下アーム13の右端部は、作用点としてのピン14を介して先端部連結部材15と接続されている。また、L字状の先端部上アーム16は、ピン10によって基部上アーム8に軸着され、所定範囲で反時計回り方向に回動可能であり、逆に、図示の位置から時計回り方向には回り止めを施されている。先端部上アーム16の右端部は、作用点としてのピン17を介して先端部連結部材15と接続されている。ここで、ピン17及び14をそれぞれ作用点E及びFとすると、上記先端部下アーム13、先端部連結部材15及び先端部上アーム16は、C,D,E及びFを4頂点とする平行四辺形からなる先端部リンク機構を構成している。
【0010】
上記基部リンク機構(ABCD)、先端部リンク機構(CDEF)及び、先端部リンク機構によって支持される荷受台18は、図示の実線の位置が下降端であり、二点鎖線に示す位置が上昇端である。
また、先端部リンク機構(CDEF)は、基部リンク機構(ABCD)に対して反時計回り方向に回動することにより、図3及び図2に示すように折り畳み可能である。
【0011】
一方、荷受台18も折り畳み可能な構造であり、メインプレート19と、サブプレート20とによって構成されている。サブプレート20は、メインプレート19に対して図示の位置から反時計回り方向に回動可能である(図4参照)。メインプレート19は、ピン17を支持点として図示の位置から反時計回り方向に回動可能に取り付けられている。また、メインプレート19に取り付けられたストッパ21は、先端部下アーム13の右端部に当接している。メインプレート19の左端から突設されたガイド板22は、荷物を積み降ろしする際に荷箱102の床面と荷受台18との隙間を埋めるとともに、荷受台昇降装置1の展開又は格納中にガイドローラ23と係合する(図3参照)。ガイドローラ23は、取付部材2に固定されたガイドローラ支持部材24によって回転自在に支持されている。
【0012】
次に、荷受台18の昇降メカニズムについて説明する。図6は、荷受台18と、これを昇降させる基部リンク機構及び先端部リンク機構からなるアーム構造とを原理的に示した側面図であり、各部の符号は図2〜図5と共通である。基部リンク機構は、不等辺四角形ABCDによって表され、A及びBは固定点、C及びDは可動点である。また、先端部リンク機構は平行四辺形CDEFによって表され、各頂点C,D,E,Fがすべて可動点である。基部下アーム4及び基部上アーム8が図示の範囲で回動すると、その回動端側に接続され、かつ、基部上アーム8に対して時計回り方向への回り止めを施されている先端部上アーム16が一体的に回動し、これに追随して先端部下アーム13も回動する。辺CDと辺EFとは常に互いに平行であり、辺EFに対して荷受台18は常に一定の姿勢を維持している。従って、辺CDの傾きにより荷受台18の傾きが決まる。逆に、辺CDの傾きが一定である限り、荷受台18の姿勢は一定であり、常に横向きである。例えば、図3に示す状態の荷受台18は、サブプレート20が折り畳まれている点では図5に示す状態とは異なるが、辺CDの傾きに関しては不変である。従って、荷受台18の姿勢(メインプレート19の傾斜)は、図3に示す状態と図5に示す状態との範囲で、全く同一である。
【0013】
また、図6に示すように、上記先端部リンク機構(CDEF)は、基部上アーム8の上昇端においては基部上アーム8の傾斜角度より急な傾斜角度となって、辺CDに対して辺EF及び荷受台18をより一層押し上げる役目を果たしている。従って、基部リンク機構(ABCD)の回動範囲を抑制しつつ、荷受台18を所定の高さに押し上げることができる。また、荷受台上昇端において、基部アーム等と荷箱102との干渉を避けることができる。逆に、基部上アーム8の下降端においては、先端部リンク機構は、基部上アーム8の傾斜角度より緩い傾斜角度となって、辺CDに対して辺EF及び荷受台18の下降を抑制する役目を果たしている。
【0014】
本実施形態における上記基部リンク機構(ABCD)の辺AB,CD,AC及びBDの長さの関係は、AB<CDかつAC>BDとなるように構成されている。このような対向する2辺の大小関係は、それぞれリンク動作に影響を及ぼす。
図7は、図6に示した実際の配置とは別に、一般に不等辺四角形のリンク機構における辺AB,CDの大小関係がリンク動作にどのように影響するかを示す図である。(a)は、AC=BDとしてAB<CDとした場合のリンク動作を示し、(b)は、逆にAB>CDとした場合のリンク動作を示している。
【0015】
(a)において、実線で示す状態では、辺AB及びCDが共に垂直であるが、リンク機構の回動側が上昇することにより、辺CDは二点鎖線に示すように左方に傾斜する。また、リンク機構の回動側が下降することにより、辺CDは右方に傾斜する。一方、(b)において、実線で示す状態では、辺AB及びCDが共に垂直であるが、リンク機構の回動側が上昇することにより、辺CDは二点鎖線に示すように右方に傾斜する。また、リンク機構の回動側が下降することにより、辺CDは左方に傾斜する。すなわち、(a)と(b)とでは、リンク機構の回動に伴う辺CDの傾斜方向が逆の関係になる。
また、(a)においてさらに、AC>BDとすると、上昇時及び下降時における辺CDの垂直に対する傾斜角度が減少する。逆に、AC<BDとすると、上昇時及び下降時における辺CDの垂直に対する傾斜角度が増大する。(b)においてさらに、AC>BDとすると、上昇時及び下降時における辺CDの垂直に対する傾斜角度が増大する。逆にAC<BDとすると、上昇時及び下降時における辺CDの垂直に対する傾斜角度が減少する。
【0016】
以上のことから、ABとCDとの大小関係(等しい場合も含む。)を基にして、これに必要によりさらにACとBDとの大小関係(等しい場合も含む。)を加味した不等辺四角形のリンク機構を構成することにより、リンクの回動に伴って生じる辺ABに対する辺CDの傾きを所望の程度に調節することができる。本実施形態では、前述のようにAB<CDかつAC>BDの関係を採用している。
【0017】
図6に戻り、基部リンク機構(ABCD)の上昇端では、辺CD及び辺EFは僅かに左方に傾斜している。この状態において、荷受台18はほぼ水平に支持されている。そして、この状態から基部リンク機構が下降動作すると、辺CD及び辺EFは緩やかに傾動する。そして、下降端では辺CD及び辺EFが所定角度右方に傾斜しており、荷受台18はチルトした状態にある。すなわち、荷受台18のチルト動作は昇降動作と別に行われるのではなく、昇降動作と一体的に行われる。従って、チルト動作のための専用の構造が不要であり、構造が簡素である。また、このチルト動作は極めて滑らかに行われ、衝撃を伴わない。従って、荷物の転倒や落下を防止することができる。逆に、下降端から上昇端へ移動する場合にも同様に、荷受台18はチルト状態から極めて滑らかにその姿勢を水平に変える。
【0018】
なお、本実施形態では、AB<CDかつAC>BDの関係を採用したが、他にも、AB>CDかつAC<BD、AB<CDかつAC<BD、AB=CDかつAC<BD、及び、AB<CDかつAC=BDのいずれか一つの関係を有することによって同様の滑らかなチルト動作を含む昇降動作を行わせることができる。
【0019】
図8は、車体に格納された状態の荷受台昇降装置1の主要部を、図2から抜き出して示す図である。このように、基部リンク機構と先端部リンク機構との2段アーム構造においては、格納時に、先端部リンク機構が基部リンク機構に対して折り畳まれることにより、装置全体をコンパクトに車体に格納することができる。また、コンパクトな格納によって荷受台昇降装置1の充分な地上高を確保することが容易である。従って、デパーチャーアングルを比較的大きくとることができ、平地から急な上り坂を登坂する際に荷受台昇降装置1を地面に擦る恐れがない。
一方、時計回り方向の回動端まで回動した先端部リンク機構(CDEF)は図5に示すように基部リンク機構(ABCD)に対して直線的に伸びた関係にあり、アーム全体として、ピン9から荷受台18を支持するピン17までの間に充分なアームの長さを確保することができる。
このようにして、当該荷受台昇降装置1は、アームの長さを充分に確保しつつ、装置全体をコンパクトに車体に格納することができる。
【0020】
また、図8において、基部上アーム8におけるピン9とピン10との間の水平距離(基部下アーム4のピン5とピン6との間の水平距離もほぼ同じ。)L1、先端部上アーム16におけるピン10とピン17との間の水平距離(先端部下アーム13のピン6とピン14との間の水平距離と同じ。)をL2、ピン17から水平左方への荷受台18の突出長さをL3とすると、L1>L2+L3の関係にある。このような関係とすることにより、格納することによって先端部リンク機構(CDEF)及び荷受台18が車体前方側に入り込む長さ(L2+L3)は、水平距離L1の範囲内に必ず収められる。従って、水平方向にコンパクトな格納が可能である。
【0021】
図9は、展開又は格納途中の荷受台昇降装置1の主要部を示す図である。この状態では、荷受台18は図3に示す状態よりやや後方にあり、先端部リンク機構(CDEF)が垂直方向に最も長くなっている。図において、地面から車体のシャーシ104までの高さをH、先端部上アーム16におけるピン10とピン17との間の垂直距離をL2、基部連結部材7におけるピン6とピン10との間の垂直距離をL4、ピン6から先端部リンク機構(CDEF)の最下点までの垂直距離をL5、ピン17から荷受台18の最上点までの垂直距離をL6とすると、H>L2+L4+L5+L6の関係にあり、かつ、上記最上点はシャーシ104より低い位置にある。このような関係とすることにより、回動中の先端部リンク機構(CDEF)が垂直方向に最も長くなったとき、当該先端部リンク機構及び荷受台18が占める垂直方向への長さ(L2+L4+L5+L6)は、常に高さHの範囲内に収められる。従って、荷受台18や先端部リンク機構がシャーシ104に触れることはない。
【0022】
ここで、上記垂直距離(L2+L4)は、先端部リンク機構のみに関わる寸法であり、腕の長い基部リンク機構は関与していない。このため、垂直距離(L2+L4)はコンパクトな寸法となる。また、荷受台18は横向きの一定の姿勢であるため、上記垂直距離L6は小さい値となる。従って、展開又は格納中における先端部リンク機構及び荷受台18が占める寸法(L2+L4+L6)がコンパクトになる。さらに、上記垂直距離L5は当然に小さい値であるので、先端部リンク機構及び荷受台18が占める垂直方向への全長(L2+L4+L5+L6)は、コンパクトな寸法となる。従って、地上からシャーシ104までの必要最低地上高が低減され、当該荷受台昇降装置1は、シャーシ104までの高さHが低い貨物自動車にも適用可能である。
【0023】
以上のように構成された荷受台昇降装置1における一連の動作(引出しから昇降及び格納)について、図2〜図5を参照して説明する。
まず、車両を停止してパーキングブレーキを引いた後、図2に示す状態から油圧シリンダを駆動して基部上アーム8及び基部下アーム4を時計回り方向に下降端まで回動させる。これにより、図3に示すように先端部下アーム13及び先端部上アーム16はそれぞれピン6及びピン10を中心に時計回り方向へ回動し、ガイド板22がガイドローラ23に当接する。
【0024】
次に、折り畳まれた状態の荷受台18を操作者が手で後方に引き出す。これにより、先端部下アーム13及び先端部上アーム16がそれぞれピン6及びピン10を中心に時計回り方向に回動する。この回動中、各ピン10,6,17,14によって構成される平行四辺形CDEFは形を変えながらも、辺CDと辺EFとは互いに平行の関係を維持する。従って、荷受台18は一定の姿勢を維持しながら降下し、図4に示すように着地する。着地後、操作者が手で荷受台18のサブプレート20を起こして回動させ、図5に示すように展開する。
【0025】
荷物を降ろす場合は、ここで、油圧シリンダを駆動して基部上アーム8及び基部下アーム4を反時計回り方向に回動させる。これに従って、先端部上アーム16及び先端部下アーム13も回動し、荷受台18が上昇する。この上昇中において、基部リンク機構(ABCD)の辺CDが、辺ABに対して徐々に傾動することにより、先端部リンク機構(CDEF)の辺EFも同様に傾動し、荷受台18は、チルト状態から緩やかに水平になる。こうして、荷受台18と荷箱102の床面とが一致する図5の二点鎖線に示す上昇端まで、荷受台18が上昇する。ここで、操作者が荷物を荷箱102から荷受台18に移載する。移載後、油圧シリンダを駆動して基部上アーム8および基部下アーム4を時計回り方向に回動させる。これに従って、先端部上アーム16及び先端部下アーム13も回動し、荷受台18が下降する。この下降中において、基部リンク機構の辺CDが、辺ABに対して徐々に傾動することにより、辺EFも同様に傾動し、荷受台18は、略水平状態から緩やかにチルト状態に移行して下降端に達する。従って、荷物には衝撃が加わらず、荷物の転倒や落下を防止することができる。
荷物を荷箱102に積み込む場合は、上述の動作が逆の順序で行われる。
【0026】
次に、荷受台昇降装置1を格納する場合は、図5の実線に示す状態から、操作者がサブプレート20を折り畳み、図4に示す状態とした後、折り畳まれた荷受台18を持ち上げ、図3に示すようにガイド板22をガイドローラ23に乗せる。ここで、油圧シリンダを駆動し、基部上アーム8及び基部下アーム4を反時計回り方向に回動させる。これにより、荷受台18は、図1に示す状態となり、車体101の下部に格納される。
【0027】
なお、上記の場合より荷箱102の地上からの高さが低い場合(低床型)には、各アームの動作が若干異なる。これについて、図10〜図12を参照して説明する。
まず、上記の場合と同様に、荷受台18を格納した状態から油圧シリンダを駆動して基部上アーム8及び基部下アーム4を時計回り方向に下降端まで回動させる。この結果、地上高が低いことにより、図10に示すように基部下アーム4及び基部連結部材7が着地する。
【0028】
次に、折り畳まれた状態の荷受台18を操作者が手で後方に引き出す。これにより、図11に示すように、先端部下アーム13及び先端部上アーム16がそれぞれピン6及び10を中心に時計回り方向に回動して、荷受台18と先端部下アーム13とがほぼ同時に着地する。この回動中において、先端部リンク機構(CDEF)が図の二点鎖線に示すように垂直方向に最も長くなったとき、荷受台18がシャーシ104に接近するが、前述の垂直方向へのコンパクトな構成により、シャーシ104との干渉を防止することができる。着地後、操作者が手で荷受台18のサブプレート20を起こして回動させ、展開する。展開後、基部上アーム8及び基部下アーム4を上昇させると、図12に示すように先端部上アーム16及び先端部下アーム13が持ち上げられ、図5と同様の状態となる。以後の昇降動作は前述の場合と同様である。
【0029】
なお、上記実施形態において、荷受台昇降装置1は、車体101の後方に引き出されるものとして説明したが、側方に引き出される構成であっても、同様に適用することができる。
また、荷受台18は折り畳み可能な構成としたが、荷受台18の荷受面積が小さくてもよい場合には、1枚のプレートからなる構成のものであってもよい。
また、荷受台18のメインプレート19は、ピン17を支持点として回動可能に取り付けられているが、ピン17とは別に設けたピンを支持点として回動可能に取り付けてもよい。図13は、このような取り付け方を採用した他の実施形態の概略を示す図であり、荷受台18と、これを昇降させる基部リンク機構(ABCD)及び先端部リンク機構(CDEF)からなるアーム構造との間に、リンク体25を設けたものである。この場合、リンク体25は辺EFに対して固定された状態にあり、荷受台18は、ピン17とは別にリンク体25に設けられたピン26を支持点として回動可能に取り付けられている。
また、本実施形態のアーム構造は、基部リンク機構が水平方向にスライド可能な荷受台昇降装置にも適用することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上のように構成された本発明は以下の効果を奏する。
請求項1の荷受台昇降装置のアーム構造によれば、荷受台は、基部リンク機構が回動下降端に達するまでの辺CDの傾動に基づいてチルト動作し、チルト動作は昇降動作と別に行われるのではなく、昇降動作と一体的に行われる。従って、チルト動作のための専用の構造が不要であり、構造が簡素である。また、このチルト動作は極めて滑らかに行われ、衝撃を伴わないので、荷物の転倒や落下を防止することができる。
【0031】
請求項2の荷受台昇降装置のアーム構造によれば、基部リンク機構の回動上昇端においては、辺CDに対して辺EF及び荷受台がより一層押し上げられるので、基部リンク機構の回動範囲を抑制しつつ、荷受台を所定の高さに押し上げることができる。さらに、荷受台上昇端において、アームと荷箱との干渉を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるアーム構造を含む荷受台昇降装置が、貨物自動車の車体後部における荷箱の下方に取り付けられた状態の背面図である。
【図2】上記荷受台昇降装置の側面図であり、車体に格納された状態を示している。
【図3】上記荷受台昇降装置の側面図であり、展開又は格納途中の状態を示している。
【図4】上記荷受台昇降装置の側面図であり、先端部リンク機構が基部リンク機構に対して展開され、荷受台が折り畳まれている状態を示している。
【図5】上記荷受台昇降装置の側面図であり、先端部リンク機構及び荷受台が展開され、昇降する状態を示している。
【図6】上記荷受台昇降装置における荷受台と、これを昇降させる基部リンク機構及び先端部リンク機構からなるアーム構造とを原理的に示した側面図である。
【図7】一般に不等辺四角形のリンク機構における辺AB,CDの大小関係がリンク動作にどのように影響するかを示す図である。
【図8】車体に格納された状態の荷受台昇降装置の主要部を、図2から抜き出して示す図である。
【図9】展開又は格納途中の荷受台昇降装置の主要部を示す図であり、先端部リンク機構が最も垂直方向に伸びた状態を示している。
【図10】車体の地上からの高さが図3に示すものより低い場合の上記荷受台昇降装置の側面図であり、展開又は格納途中の状態を示している。
【図11】図10の状態からさらに先端部リンク機構が回動した状態を示す図である。
【図12】図11の状態からさらに荷受台が展開して昇降可能な状態を示す図である。
【図13】上記荷受台昇降装置における荷受台と、これを昇降させる基部リンク機構及び先端部リンク機構からなるアーム構造との間にリンク体を設けた他の実施形態の構成を原理的に示した側面図である。
【符号の説明】
1 荷受台昇降装置
4 基部下アーム
5 ピン(B)
6 ピン(D)
7 基部連結部材
8 基部上アーム
9 ピン(A)
10 ピン(C)
13 先端部下アーム
14 ピン(F)
15 先端部連結部材
16 先端部上アーム
17 ピン(E)
18 荷受台
101 車体
104 シャーシ
ABCD 基部リンク機構
CDEF 先端部リンク機構
Claims (2)
- 荷受台を格納、展開及び昇降させる荷受台昇降装置のアーム構造として車体に左右一対設けられ、各アーム構造が、
車体に設けられた上下一対の支点A及びBをそれぞれ中心として所定範囲で回動可能な一対のアームと、これらのアームの各回動端側における作用点C及びDの間に接続された基部連結部材とによって構成され、A,B,C及びDを4頂点とする四角形は、四辺の長さがそれぞれ不変であって、前記アームの回動に伴って辺CDを辺ABに対して傾動させる不等辺四角形である基部リンク機構と、
前記作用点C及びDをそれぞれ中心として所定範囲で回動可能な一対のアームと、これらのアームの各回動端側における作用点E及びFの間に接続された先端部連結部材とによって構成され、C,D,E及びFを4頂点とする四角形が平行四辺形であり、前記作用点E又はF側で荷受台を支持するとともに前記基部リンク機構が回動下降端に達するまでの前記辺CDの傾動に基づいて前記荷受台をチルト動作させる先端部リンク機構とを備え、
前記先端部リンク機構は前記基部リンク機構に対して折り畳み可能であることを特徴とする荷受台昇降装置のアーム構造。 - 前記基部リンク機構の回動上昇端において、前記先端部リンク機構のアームの傾斜は、前記基部リンク機構のアームの傾斜より急な角度である請求項1記載の荷受台昇降装置のアーム構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001072300A JP3871519B2 (ja) | 2001-03-14 | 2001-03-14 | 荷受台昇降装置のアーム構造 |
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