JP3871071B2 - 繊維強化金属製品製作方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は繊維で強化した金属製品の製作方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属に人工的に繊維を付与した繊維強化型金属基複合材料(Fiber Reinforced Metals ; FRM)が現在注目されている。繊維としては炭素繊維、炭化ケイ素繊維SiCなどが用いられ、これらは1000℃を越えても強度が低下しない。マトリックス金属としては軽量化を目的とするFRMの場合は、アルミニウムAl,マグネシウムMgが中心となる。より耐熱性を要求されるものはチタンTiを用いる。Ti基のFRMの場合、母材Ti基合金の耐熱温度にもよるが、耐熱温度は400℃程度となる。このようにFRMは強度、耐熱性などに優れているので、ジェットエンジンやガスタービンの動翼などに使用する研究が行われている。
【0003】
図2はFRMによりジェットエンジンの動翼を製作するフロー図である。素材としてチタンTi箔と炭化ケイ素SiC繊維を用いる。Ti箔とSiC繊維を翼の形に成形しやすいような形に切断する。次にこれらを交互に積層した後、真空ホットプレス法によりプレスする。ホットプレス法(Hot Pressing) とはこの場合、黒鉛およびセラミックス型の中へ金属箔、繊維などの混合物を挿入し上下から加圧して金属箔どうしを拡散融合させる方法である。この後、クリープ変形させて動翼の形にし、動翼の台座を付けた後、機械加工、ケミカルミーリング(化学的仕上げ)を行い、動翼として完成させる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記製作方法では、翼の形状をクリープ変形により形成しているが、繊維が弾性体であるためねじれが戻ってしまい正確な翼形状を得ることが困難である。また、最も強度と信頼性が必要な翼と台座の取合部分を接合しているので離れる恐れがある。また繊維は強度は大きいが衝撃荷重に対しては脆い。ジェットエンジンやガスタービンなどの動翼には異物が衝突する場合があり、耐衝撃性が要求される。
【0005】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、精度よく機械加工することが可能で、翼と台座は一体で構成され、かつ耐衝撃性に優れたFRM製品を製造する方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明では、製作対象物より小さな空間を有する金属ブロックと、その空間を覆う金属製の蓋を作成し、前記空間に金属箔と繊維を交互に積層し、前記蓋で覆った後、HIP法で融合し、機械加工により前記金属ブロックおよびその蓋の金属を周囲に残した状態で製作対象物の形状に切削する。
【0007】
請求項1の発明では、金属ブロックの中に金属箔と繊維が交互に積層されてFRMを形成している。機械加工は金属ブロックおよび蓋の範囲までしか行わないので繊維の端部は露出しない。このため機械加工は金属のみに対して行われるので切削が容易であり、精度よく加工できる。また衝撃に脆い繊維は露出しておらず、衝撃は繊維と金属箔を包む金属で吸収するため耐衝撃性は向上する。
【0008】
請求項2の発明では、前記機械加工後に更に製作対象物の金型を用いてホットプレスする。
【0009】
請求項2の発明では、請求項1の発明で機械加工後、歪みが解放されてわずかに変形が生じた場合、製作対象物を金型に入れてホットプレスすることにより金型に合った正確な形状に製作することができる。この場合変形が小さいのでクリープによる形状修正は可能である。
【0010】
請求項3の発明では、前記製作対象物を動翼とし、前記金属ブロック、前記蓋、および前記金属箔をチタンで構成し、前記繊維を炭化ケイ素とする。
【0011】
請求項3の発明では、製作対象物を動翼とし、Ti箔、SiC繊維を交互に積層し、金属ブロック、蓋をTiで構成することにより、耐熱性、耐衝撃性に優れ、正確な形状に機械加工された動翼を得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本実施の形態の動翼製作フロー図である。製作対象物としては耐熱性、耐衝撃性および大きな比強度を要求されるジェットエンジンまたはガスタービンの動翼とする。動翼は耐熱性、空気中の異物などが衝突するため耐衝撃性を要求される上、軽量にするため比強度(単位面積当たりの強度をその単位重量で割った値)を大きくする必要がある。このためTi箔、SiC繊維を用い、金属ブロックおよびその蓋はTiで構成する。
【0013】
図1において、金属ブロック成形工程ではTiブロック1を成形する。Tiブロック1は動翼の粗削りの形状とし、動翼より小さな空間2を彫り込む。次に蓋成形工程では、この空間2を覆いTiブロック1の上面の形状に合わせたTi製の蓋3を成形する。蓋3の厚みは加工代を考慮し4mm程度の厚みを確保する。切断工程ではSiC繊維4およびTi箔5を空間2および動翼の形状に合わせた形状に切断する。積層工程では空間2にSiC繊維4とTi箔5を交互に積層した後、蓋3をTiブロック1にエレクトロンビームで溶接する。
【0014】
次にHIP工程で高温高圧のガス雰囲気中でTiブロック1,蓋3,SiC繊維4,Ti箔5を一体に融合する。HIP法とはHot Isostatic Pressing法のことで、この場合金属箔、繊維等の混合物を金属、石英ガラスなどのカプセルに封入するなどして、あらかじめ結合させて、高温高圧のガス雰囲気中で金属箔どうしを拡散融合させる方法である。機械加工工程で動翼の形状に削り出す。切削はTiブロック1と蓋3の範囲で行い、SiC繊維4およびTi箔5まで切削しないように設計されている。このためチタン金属部分の切削なので正確な形状に切削できる。動翼の厚みが薄い場合、機械加工により融合時の歪みが解放されて変形する場合がある。このようなときは、動翼の金型6を作成し、ホットプレスによる最終成形工程を設ける。この最終成形工程は機械加工により変形した場合なので、常に必要な工程ではない。最終仕上げ工程としてケミカルミーリングにより表面を仕上げる。検査により所定の水準の動翼を得る。
【0015】
実施例では動翼を例にとり説明したが、動翼に限らず、FRMの複合材料を用いた製品の製作には適用できる。また金属箔、ブロック、蓋にはチタンを用い、繊維には炭化ケイ素を用いた場合を説明したが、これらは製品の用途に応じ適宜変えればよい。なお、金属ブロック、蓋、金属箔は同種類の金属としたが、同一種類でなくともよい。
【0016】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明は、金属箔と繊維を交互に配置してFRMを構成するが、この金属箔と繊維の積層部を金属で包み、機械加工はこの包んだ金属部分について行われるので加工性がよく、正確な形状に切削加工することができる。また本発明により製作された製品は、衝撃荷重に弱い積層部が露出せず、衝撃荷重に強い金属で覆われているので、耐衝撃性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のFRMブレード製作フロー図である。
【図2】従来行われているクリープ変形法によるFRMブレード製作フロー図である。
【符号の説明】
1 Tiブロック
2 空間
4 SiC繊維
5 Ti箔
6 金型
Claims (3)
- 製作対象物より小さな空間を有する金属ブロックと、その空間を覆う金属製の蓋を作成し、
前記空間に金属箔と繊維を交互に積層し、前記蓋で覆った後、HIP法で融合し、
機械加工により前記金属ブロックおよびその蓋の金属を周囲に残した状態で製作対象物の形状に切削することを特徴とする繊維強化金属製品製作方法。 - 前記機械加工後に更に製作対象物の金型を用いてホットプレスすることを特徴とする請求項1記載の繊維強化金属製品製作方法。
- 前記製作対象物を動翼とし、前記金属ブロック、前記蓋、および前記金属箔をチタンで構成し、前記繊維を炭化ケイ素としたことを特徴とする請求項1または2記載の繊維強化金属製品製作方法。
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JP00044996A JP3871071B2 (ja) | 1996-01-08 | 1996-01-08 | 繊維強化金属製品製作方法 |
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JPH09184032A JPH09184032A (ja) | 1997-07-15 |
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CN108176884B (zh) * | 2018-02-09 | 2019-01-11 | 西北工业大学 | 复材叶片前缘钛合金加强边内外同步对称铣加工方法 |
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1996
- 1996-01-08 JP JP00044996A patent/JP3871071B2/ja not_active Expired - Fee Related
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