JP3870118B2 - 結像光学系、該光学系を有する露光装置、収差低減方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウェハ用の単結晶基板、液晶ディスプレイ(LCD)用のガラス基板などの被処理体を露光する露光装置に関する。本発明は、特に、露光光源として紫外線や極紫外線(EUV:extreme ultraviolet)光を利用して露光を行う露光装置に好適である。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の小型化及び薄型化の要請から、電子機器に搭載される半導体素子の微細化への要求はますます高くなっている。例えば、マスクパターンに対するデザインルールはライン・アンド・スペース(L&S)0.1μm以下の寸法像を広範囲に形成することが要求され、今後は更に80nm以下の回路パターン形成に移行することが予想される。L&Sは、露光においてラインとスペースの幅が等しい状態でウェハ上に投影された像であり、露光の解像度を示す尺度である。
【0003】
半導体製造用の代表的な露光装置である投影露光装置は、マスク又はレチクル(なお、本出願ではこれらの用語を交換可能に使用する)上に描画されたパターンをウェハに投影露光する投影光学系を備えている。投影露光装置の解像度(正確に転写できる最少寸法)Rは、光源の波長λと投影光学系の開口数(NA)を用いて次式で与えられる。
【0004】
【数1】
【0005】
従って、波長を短くすればするほど、及び、NAを上げれば上げるほど、解像度はよくなる。近年では、解像度はより小さい値を要求されNAを上げるだけではこの要求を満足するには限界となっており、短波長化により解像度の向上を見込んでいる。現在では、露光光源は、KrFエキシマレーザー(波長約248nm)及びArFエキシマレーザー(波長約193nm)からF2レーザー(波長約157nm)に移行しており、更には、EUV(extreme ultraviolet)光の実用化も進んでいる。
【0006】
しかし、光の短波長化が進むと光が透過する硝材が限られてしまうために屈折素子、即ち、レンズを多用することは難しく、投影光学系に反射素子、即ち、ミラーを含めることが有利になる。更に、露光光がEUV光になると使用できる硝材は存在しなくなり、投影光学系にレンズを含めることは不可能になる。そこで、投影光学系をミラーのみで構成する反射型投影光学系が提案されている。
【0007】
反射型投影光学系においては、ミラーにおける反射率を高めるために(即ち、反射した光が強め合うように)反射面には多層膜が形成されているが、その反射率は小さく光吸収が大きい。吸収された光は、ミラーを構成する部材の熱膨張係数に従ってミラーを膨張させて収差を発生させ光学性能を劣化させる。そして、光学性能の劣化の結果、所望の解像度が得られないという問題を生じる。このため、通常、EUV光を露光光とするミラーの部材には低膨張ガラスを用いて光学性能への影響を小さくしているが、熱膨張がゼロではないためにその影響が無視できない場合がある。そこで、ミラーの熱膨張による変形を小さくする反射型投影光学系が、例えば、公開特許平成11年243052号公報、米国特許第5,986,795号及び公開特許平成11年345760号公報に開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
また、米国特許第5,986,795号において提案されている反射型投影光学系によれば、ミラーの背面に変形部材が設置されたディフォーマブルミラーで構成されており、このミラーの変形により収差の調節をしている。
【0009】
一方、公開特許平成11年345760号公報において提案されている反射型投影光学系によれば、ミラーとミラーを保持する保持部材を同一の熱膨張係数を有する材料で構成し、ミラーの変形を小さくし、収差の発生を小さくしている。
【0010】
そこで、本発明は、上記従来技術と異なる方法により所望の解像度を得ることができる結像光学系、該光学系を有する露光装置、収差低減方法を提供することを例示的目的とする。本発明による新規な方法は、単独、或いは上記の従来技術のいずれか一つと組み合わせて結像光学系の収差を従来技術よりも低減する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての結像光学系は、複数の反射素子を有する結像光学系であって、前記複数の反射素子は、第1の熱膨張係数を有する第1の反射素子と、前記第1の熱膨張係数とは異なる第2の熱膨張係数を有する第2の反射素子とを有する。かかる結像光学系によれば、第1の熱膨張係数を有する第1の反射素子と、第2の熱膨張係数を有する第2の反射素子を最適に組み合わせることにより反射素子の熱変形に起因する結像光学系の収差を低減させることができる。波長20nm以下のEUV光を結像に用いる。前記第1及び第2の反射素子は、非球面ミラーであることが好ましい。前記結像光学系は、前記物体面を所望のパターンが形成されたマスクとし、前記像面を被処理体とする投影光学系である。前記第1及び第2の反射素子は、異なる材料から製造されてもよい。
【0012】
本発明の別の側面としての収差低減方法は、複数の光学素子を有する結像光学系の収差を低減する方法であって、前記光学素子の各々の熱膨張係数を同一の第1の熱膨張係数にした場合に、前記光束の受光による熱変形に起因する収差を求めるステップと、前記求められた収差が低減するように、前記複数の光学素子のうち少なくとも一の熱膨張係数を前記第1の熱膨張係数とは異なる第2の熱膨張係数にするステップとを有する。かかる収差低減方法によれば、結像光学系を構成する複数の光学素子の少なくとも一を他の光学素子の熱膨張係数と異ならせることにより、結像光学系全体に発生する光学素子の熱膨張に起因する収差を低減させることを可能とする。
【0013】
本発明の更に別の側面としての収差低減方法は、複数の光学素子を有する結像光学系の収差を低減する方法であって、前記光学素子の各々の熱膨張係数を同一の第1の熱膨張係数にした場合に、前記光束の受光による熱変形に起因する収差を求めるステップと、前記求められた収差が低減するように、前記第1の熱膨張係数とは異なる熱膨張係数を選択するステップとを有する。かかる収差低減方法によれば、第1の熱膨張係数と異なる第2の熱膨張係数を最適に選択することで、光学系全体に発生する光学素子の熱膨張に起因する収差を低減させることができる。
【0014】
本発明の更に別の側面としての露光装置は、上述の結像光学系を有する。かかる露光装置によれば、上述した結像光学系を構成要素の一部に有し、優れた解像度などの露光性能を実現することができる。
【0015】
本発明の更に別の側面としてのデバイス製造方法は、上述の露光装置を用いて被処理体を露光するステップと、露光された前記被処理体に所定のプロセスを行うステップとを有する。上述の露光装置の作用と同様の作用を奏するデバイス製造方法の請求項は、中間及びその最終結果物であるデバイス自体にもその効力が及ぶ。また、かかるデバイスは、LSIやVLSIなどの半導体チップ、CCD、LCD、磁気センサー、薄膜磁気ヘッドなどを含む。
【0016】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施例によって明らかにされるであろう。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の例示的一態様である露光装置について説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定するものではなく、本発明の目的が達成される範囲において、各構成要素が代替的に置換されてもよい。ここで、図1は、本発明の一側面としての露光装置1の例示的一形態を示す概略構成図である。
【0018】
露光装置1は、図1によく示されるように、照明装置100と、マスク200と、投影光学系300と、プレート400と、制御部500とを有する。
【0019】
露光装置1は、露光用の照明光としてEUV光(例えば、波長13.4nm)を用いて、例えば、ステップ・アンド・スキャン方式やステップ・アンド・リピート方式でマスク200に形成された回路パターンをプレート400に露光する投影露光装置である。かかる露光装置は、サブミクロンやクオーターミクロン以下のリソグラフィー工程に好適であり、以下、本実施形態では、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置(「スキャナー」とも呼ばれる)を例に説明する。ここで、「ステップ・アンド・スキャン方式」は、マスクに対してウェハを連続的にスキャン(走査)して回路パターンをウェハに露光すると共に、1ショットの露光終了後ウェハをステップ移動して、次のショットの露光領域に移動する露光方法である。「ステップ・アンド・リピート方式」は、ウェハのショットの一括露光ごとにウェハをステップ移動して、次のショットの露光領域に移動する露光方法である。また、図1には図示しないが、EUV光は大気に対する透過率が低いため、少なくともEUV光が通る光路は真空雰囲気であることが好ましい。
【0020】
照明装置100は、例えば、20nm以下のEUV光(例えば、波長13.4nm)により転写用の回路パターンが形成されたマスク200を照明し、光源部110と、照明光学系120とを有する。
【0021】
光源部110は、例えば、レーザープラズマ光源を使用する。レーザープラズマ光源は、真空中に置かれたターゲット材に高強度のパルスレーザー光を照射し、高温のプラズマを発生させる。そして、これから放射される波長13.4nm程度のEUV光を利用するものである。ターゲット材は、金属薄膜、不活性ガス、液滴などが用いられる。放射されるEUV光の平均強度を高くするためには、パルスレーザーの繰り返し周波数は高い方がよく、通常数kHzの繰り返し周波数で運転される。あるいは、光源部110は、放電プラズマ光源を用いる。放電プラズマ光源は、真空中に置かれた電極周辺にガスを放出し、電極にパルス電圧を印加して放電を起こし高温のプラズマを発生させる。そして、これから放射させる波長13.4nm程度のEUV光を利用するものである。但し、光源部110は、これらに限定するものではなく、当業界で周知のいかなる技術も適用可能である。
【0022】
照明光学系120は、EUV光を伝播してマスク200を照明する光学系であり、集光光学系、オプティカルインテグレーター、開口絞り、ブレード等を含む。例えば、集光光学系は、ミラーから構成され、光源部110からほぼ等方向に放射されるEUV光を集め、オプティカルインテグレーターは、マスク200を均一に所定の開口数で照明する。
【0023】
なお、光源部110と照明光学系120の間には、図示しないデブリ除去装置を配置してもよく、EUV光が発生する際に同時に生じるデブリは、デブリ除去装置によって除去される。
【0024】
マスク200は、EUV光を反射させる多層膜が施された反射型マスク又は透過型マスク(例えば、型抜きマスク)で、その上には転写されるべき回路パターン(又は像)が形成され、マスクステージ210に支持及び駆動される。マスク200から発せられた回折光は、投影光学系300で反射されてプレート400上に投影される。マスク200とプレート400とは、光学的に共役の関係に配置される。露光装置1は、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置であるため、マスク200とプレート400を走査することによりマスク200に形成された回路パターンをプレート400上に縮小投影する。
【0025】
マスクステージ210は、マスク200を支持して図示しない移動機構に接続されている。マスクステージ210は、当業界で周知のいかなる構成をも適用することができる。図示しない移動機構はリニアモーターなどで構成され、制御部500に制御されながら少なくともY方向にマスクステージを駆動することでマスク200を移動することができる。露光装置1は、マスク200とプレート400を制御部500によって同期した状態で走査する。
【0026】
投影光学系300は、物体面(例えば、マスク200面)からの光束を反射を利用して像面(例えば、プレート400などの被処理体面)に結像する反射型投影光学系である。本実施形態において、投影光学系300は、図2に示すように、例示的に、マスク200側から光束を反射する順番に光学素子M1乃至M6を有する。ここで、図2は、図1に示す投影光学系300の例示的一形態を示す概略断面図である。
【0027】
光学素子M1乃至M6は、反射を利用して光束を結像させる。光学素子M1乃至M6は、例えば、EUV光を反射させる多層膜が施されたミラーで構成され、かかる多層膜により光を強め合う作用を奏する。光学素子M1乃至M6に適用可能な多層膜は、例えば、モリブデン(Mo)層とシリコン(Si)層を反射面に交互に積層したMo/Si多層膜、又は、Mo層とベリリウム(Be)層を反射面に交互に積層したMo/Be多層膜などが考えられる。波長13.4nm付近の波長域を用いた場合、Mo/Si多層膜からなる光学素子M1乃至M6は67.5%の反射率を得ることができ、また、波長11.3nm付近の波長域を用いた場合、Mo/Be多層膜からなる光学素子M1乃至M6では70.2%の反射率を得ることができる。但し、光学素子M1乃至M6に適用可能な多層膜は、上記した材料に限定されず、これと同様の作用及び効果を有する多層膜の使用を妨げるものではない。
【0028】
投影光学系300は、異なる熱膨張係数を有する光学素子M1乃至M6を組み合わせて構成されている。従って、光学素子M1乃至M6は、露光光の受光による熱変形に起因する収差への敏感度が符号及び大きさともにそれぞれ異なる。即ち、投影光学系300は、熱膨張係数の異なる光学素子M1乃至M6を最適に組み合わせることで、投影光学系300全系としての収差を低減させることができる。例えば、光学素子M1乃至M6の熱変形による投影光学系300のフォーカス変化は、各光学素子M1乃至M6に発生するフォーカス変化の和になるので、投影光学系300のフォーカス変化が低減するように、光学素子M1乃至M6の変形量、即ち、熱膨張係数を決定する。
【0029】
ここで、投影光学系300において、露光エネルギー(像面)を0.1W、光学素子M1乃至M6各面でのエネルギー吸収率を34%、光学素子M1乃至M6部材の熱膨張係数を0.02E−6/Kとした時の熱解析結果を、露光光のコヒーレンシーσ(照明光学系120のマスク側の開口数/投影光学系300のマスク側の開口数)を0.8として、光学像シミュレーションして得た結果を示す。
【0030】
ここでは、特に、投影光学系300の輪帯スリットのスリット端におけるスリット長手方向(即ち、スキャン直交方向)の像ずれ量をミラー毎に表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
これら各光学素子での像ずれ量の和が投影光学系300での像ずれ量となる。従って、この場合の投影光学系300の像ずれ量は−1.79nmとなり、EUV光を用いた露光においては許容できない大きさである。
【0033】
ここで、例えば、光学素子M3の部材として2倍の熱膨張係数(即ち、0.04E−6/K)を有するものを用いたとすると、発生する収差量は熱変形に比例することから表2に示すような像ずれ量が予想できる。
【0034】
【表2】
【0035】
従って、この場合の投影光学系300の像ずれ量は0.06nmとなり、光学素子M1乃至M6まで同じ熱膨張係数を有する部材で構成した場合に比較して、十分無視できるレベルの像ずれ量を達成することができる。
【0036】
なお、光学素子M3で仮定した2倍の熱膨張係数(即ち、0.04E−6/K)を有する部材は、同じ材料から測定値をもって選別して適用してもよいし、全く別の材料であっても構わない。
【0037】
ここでは、単に、一つの収差に注目して、一つの光学素子の熱膨張係数を異ならせることで、かかる収差が低減することを説明したが、実際には、他の発生収差と勘案しながら、投影光学系300全体としての収差が低減するように、熱膨張係数の異なる光学素子を組み合わせて投影光学系を構成すればよい。但し、投影光学系300を構成する光学素子M1乃至M6の全てを各々異なる熱膨張係数にする必要は必ずしもなく、収差の発生を低減させる範囲において、一でも熱膨張係数の異なる光学素子を組み込めばよい。
【0038】
また、異なる熱膨張係数は2種類に限定されず、投影光学系300全体としての収差が低減するならば、3種類の熱膨張係数、4種類の熱膨張係数など何種類の熱膨張係数を組み合わせてもよい。例えば、光学素子M1の熱膨張係数がK1、光学素子M2の熱膨張係数がK2、光学素子M3の熱膨張係数がK3、光学素子M4の熱膨張係数がK4、光学素子M5の熱膨張係数がK2、光学素子M6の熱膨張係数がK5を有するように構成する等である。
【0039】
以上のように、投影光学系300は、熱膨張係数の異なる光学素子M1乃至M6を最適に組み合わせて構成しているので、装置の大型化、コストの増加、光学素子を配置する空間的位置の制御を招くことなく、熱変形による収差の発生を低減して所望の解像度を得ることができる。
【0040】
再び、図1に戻って、プレート400は、ウェハや液晶基板などの被処理体でありフォトレジストが塗布されている。フォトレジスト塗布工程は、前処理と、密着性向上剤塗布処理と、フォトレジスト塗布処理と、プリベーク処理とを含む。前処理は、洗浄、乾燥などを含む。密着性向上剤塗布処理は、フォトレジストと下地との密着性を高めるための表面改質(即ち、界面活性剤塗布による疎水性化)処理であり、HMDS(Hexamethyl−disilazane)などの有機膜をコート又は蒸気処理する。プリベークは、ベーキング(焼成)工程であるが現像後のそれよりもソフトであり、溶剤を除去する。
【0041】
プレートステージ410は、プレート400を支持する。プレートステージ410は、例えば、リニアモーターを利用してXYZ方向にプレート400を移動する。マスク200とプレート400は、制御部500により制御され同期して走査される。また、マスクステージ210とプレートステージ410の位置は、例えば、レーザー干渉計などにより監視され、両者は一定の速度比率で駆動される。
【0042】
制御部500は、図示しないCPU、メモリを有し、露光装置1の動作を制御する。制御部500は、照明装置100、マスクステージ210(即ち、マスクステージ210の図示しない移動機構)、プレートステージ410(即ち、プレートステージ410の図示しない移動機構)と電気的に接続されている。CPUは、MPUなど名前の如何を問わずいかなるプロセッサも含み、各部の動作を制御する。メモリは、ROM及びRAMより構成され、露光装置1を動作するファームウェアを格納する。
【0043】
露光において、照明装置100から射出されたEUV光はマスク200を照明する。マスク200の回路パターンを反映するEUV光は、投影光学系300によりプレート400上に結像される。本実施形態では、マスク200とプレート400を縮小倍率比の速度比で走査することにより、マスク200の全面を露光する。
【0044】
本実施例の投影光学系130は、マスク120側からプレート(ウェハ)140側にかけて、凸非球面反射素子、凹非球面反射素子、凸非球面反射素子、凹非球面反射素子、凸非球面反射素子、凹非球面反射素子を有する光学系であるが、本発明が適用できる投影光学系は、このような構成に限定されない。
【0045】
例えば、反射素子の数は6枚以上でもよく、又、反射素子のパワー配置は凸凹凸凹凸凹に限定されない。このような様々な投影光学系は公知であるので、当業者であれば、本願の開示に基づいて、公知の投影光学系において、収差が低減するように、前記複数の反射素子のうち少なくとも一の反射素子の熱膨張係数を他の少なくとも一つの反射素子とは異なる熱膨張係数にすることはできる。
【0046】
更に、本発明は、上記実施例のように投影光学系が反射素子のみで構成される場合に限定されず、良く知られたカタヂィオプトリック型の投影光学系に対しても本発明は適用でき、同光学系の複数の屈折素子(レンズ)と複数の反射素子(ミラー)のうち、収差が低減するように、前記複数の反射素子のうち少なくとも一の反射素子の熱膨張係数を他の少なくとも一つの反射素子とは異なる熱膨張係数にすることはできる。
【0047】
次に、図3及び図4を参照して、上述の露光装置1を利用したデバイス製造方法の実施例を説明する。図3は、デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。ここでは、半導体チップの製造を例に説明する。ステップ1(回路設計)では、デバイスの回路設計を行う。ステップ2(マスク製作)では、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。ステップ3(ウェハ製造)では、シリコンなどの材料を用いてウェハを製造する。ステップ4(ウェハプロセス)は、前工程と呼ばれ、マスクとウェハを用いてリソグラフィー技術によってウェハ上に実際の回路を形成する。ステップ5(組み立て)は、後工程と呼ばれ、ステップ4によって作成されたウェハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)では、ステップ5で作成された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テストなどの検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、それが出荷される。
【0048】
図4は、ステップ4のウェハプロセスの詳細なフローチャートである。ステップ11(酸化)では、ウェハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)では、ウェハの表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)では、ウェハ上に電極を蒸着などによって形成する。ステップ14(イオン打ち込み)では、ウェハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)では、ウェハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では、露光装置1によってマスクの回路パターンをウェハに露光する。ステップ17(現像)では、露光したウェハを現像する。ステップ18(エッチング)では、現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行うことによってウェハ上に多重に回路パターンが形成される。本実施形態のデバイス製造方法によれば、投影光学系300に発生する収差を低減することができるので従来よりも高品位のデバイスを製造することができる。このように、かかる露光装置1を使用するデバイス製造方法、並びに結果物としてのデバイスも本発明の一側面として機能するものである。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。例えば、本実施例の投影光学系を構成する光学素子の数は6枚に限定されるものではなく、また、ArFエキシマレーザーやF2レーザーなどのEUV光以外の波長200nm以下の紫外線を光源とする露光装置に用いることもでき、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置(「ステッパー」とも呼ばれる)にも適用可能である。更に、異なる熱膨張係数を有する光学素子を組み合わせて全体として発生する収差を低減させる光学系を構成にする手法は、投影光学系だけではなく照明光学系などにも適用することができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明の光学系によれば、光学素子の熱変形による光学系全系に発生する収差を効果的に低減させることができる。よって、かかる光学系を適用した露光装置は、高品位なデバイスを解像度などの露光性能良く提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一側面としての露光装置の例示的一形態を示す概略構成図である。
【図2】 図1に示す投影光学系の例示的一形態を示す概略断面図である。
【図3】 デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。
【図4】 図3に示すステップ4のウェハプロセスの詳細なフローチャートである。
【符号の説明】
1 露光装置
100 照明装置
200 マスク
210 マスクステージ
300 投影光学系
400 プレート
410 プレートステージ
500 制御部
M1乃至M6 光学素子
Claims (9)
- 複数の反射素子を有し、光を結像に用いる結像光学系であって、
前記複数の反射素子は、第1の熱膨張係数を持つ第1の反射素子と、前記第1の熱膨張係数とは異なる第2の熱膨張係数を持つ第2の反射素子とを含み、
前記複数の反射素子のうち前記第2の反射素子以外の反射素子が前記光を受光して熱変形することで生じる収差が、前記第2の反射素子が前記光を受光して熱変形することにより、低減される結像光学系。 - 前記光は、波長20nm以下のEUV光である請求項1記載の結像光学系。
- 前記結像光学系は、前記物体面をパターンが形成されたマスクとし、前記像面を被処理体とする投影光学系である請求項1記載の結像光学系。
- 第1の熱膨張係数を持つ第1の反射素子と前記第1の熱膨張係数とは異なる第2の熱膨張係数を持つ第2の反射素子とを含む複数の光学素子を有し、光を結像に用いる結像光学系を製造する方法であって、
前記複数の反射素子のうち前記第2の反射素子以外の反射素子が前記光を受光して熱変形することで生じる収差が、前記第2の反射素子が前記光を受光して熱変形することにより低減されるように、前記第2の熱膨張係数を決定するステップを有する結像光学系製造方法。 - 複数の光学素子を有し、光を結像に用いる結像光学系の収差を低減する方法であって、
前記光学素子の各々の熱膨張係数を同一の第1の熱膨張係数にした場合に、前記光の受光による熱変形に起因する収差を求めるステップと、
前記求められた収差が低減するように、前記複数の光学素子のうち少なくとも一の熱膨張係数を前記第1の熱膨張係数とは異なる第2の熱膨張係数にするステップとを有する収差低減方法。 - 複数の光学素子を有し、光を結像に用いる結像光学系の収差を低減する方法であって、
前記光学素子の各々の熱膨張係数を同一の第1の熱膨張係数にした場合に、前記光の受光による熱変形に起因する収差を求めるステップと、
前記求められた収差が低減するように、前記第1の熱膨張係数とは異なる熱膨張係数を選択するステップとを有する収差低減方法。 - 請求項5又は6記載の収差低減方法により収差を低減するステップを有する結像光学系製造方法。
- 請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の結像光学系を有する露光装置。
- 請求項8記載の露光装置を用いて被処理体を露光するステップと、
露光された前記被処理体に所定のプロセスを行うステップとを有するデバイス製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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