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JP3869631B2 - 低挿入力コネクタ - Google Patents

低挿入力コネクタ Download PDF

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JP3869631B2
JP3869631B2 JP2000196388A JP2000196388A JP3869631B2 JP 3869631 B2 JP3869631 B2 JP 3869631B2 JP 2000196388 A JP2000196388 A JP 2000196388A JP 2000196388 A JP2000196388 A JP 2000196388A JP 3869631 B2 JP3869631 B2 JP 3869631B2
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  • Coupling Device And Connection With Printed Circuit (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車のリアデフォッガの接続に使用される雄端子を相手側のコネクタの雌端子に確実に接続可能とした低挿入力コネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7〜図8は、自動車のリアデフォッガなどの接続に使用される雄端子81を相手側のコネクタ82内の雌端子83に接続させる状態を順に示すものである。
【0003】
図7において、符号81は、接触用タブ部81aを有する雄端子、82は、雌端子83を収容したコネクタを示す。雄端子81は例えば略クランク状に屈曲して形成され、一方の接触用タブ部81aに続く他方の接続部(図示せず)をリアデフォッガ用の熱線の端末などにハンダで接続される。接触用タブ部81aの中央には係止用の孔部84が形成されている。雄端子81は外部に露出したままであり、雌端子83のようにコネクタハウジング85には収容されていない。
【0004】
コネクタ82は合成樹脂製のコネクタハウジング85と金属製の雌端子83とで構成されている。コネクタハウジング85は前壁と上下左右の壁部とで構成され、前壁には、雄端子81に対する挿入孔86が形成され、下壁には、雌端子83に対する係止突起87aを有する可撓性の係止アーム87が形成されている。
【0005】
雌端子83は一方に箱形の電気接触部88、他方に電線接続部(圧着部)89を有している。電気接触部88の内部には弾性接触片90が設けられ、弾性接触片90には、雄端子81の孔部84に対する係止突起91が形成されている。図8の如く、雄端子81の接触用タブ部81aは雌端子83の弾性接触片90と挟持壁92との間に挿入接続され、孔部84に係止突起91が係合して、所謂ポジティブロックが行われる。また、解除桿(図示せず)などを用いた機構により弾性接触片90を下方に変位させるなどして、雄端子81または雌端子83を有するコネクタ82を引っ張り、端子81,83相互の係止が解除される。
【0006】
図7で電線接続部89は前側の一対の導体圧着片と後側の一対の被覆圧着片とで構成されている。電線93は例えば自動車用の電源線であり、雄端子81側に電気を供給して例えばリヤデフォッガ用の熱線を加熱させる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構造にあっては、雄端子81側にコネクタハウジングが存在しないために、雄・雌両コネクタハウジング同士で嵌合及びロックさせることができず、そのために雄端子81を雌端子83に挿入するのに強い力で雄端子81を押す必要があり、特に雄・雌両端子81,83が大型で両端子81,83の接触圧力が強い場合には一層強い力で雄端子81を挿入方向に押す、あるいは雌端子83を収容したコネクタハウジング85を固定側の雄端子81に向けて強く押圧する(雄端子81が固定の場合)必要があり、接続作業性が悪いという問題があった。
【0008】
また、雄端子81の挿入に大きな力を必要とするが故に、雌端子83に対して雄端子81が半挿入(不完全挿入)の状態になりやすく、その場合には車輌の振動などで雄端子81が雌端子83から容易に抜け出してしまうという懸念があった。また、端子81,83が大型である場合や端子81,83の極数が多い場合には、端子接続持に端子相互の摺動抵抗が大きくなり、雄端子81に一層大きな挿入力が必要となり、それによっても接続作業性の悪化や雄端子81の半挿入が起こり易いという問題があった。
【0009】
従来、雄端子を収容した雌型のコネクタ(図示せず)に、雌端子を収容した雄型のコネクタを嵌合させる際に、雄・雌両端子の挿入を小さな力で行わせる手段として、例えば一方のコネクタハウジングに、カム溝を有するレバーを設け、他方のコネクタハウジングに、カム溝に係合する従動突起を設ける構造が公知である。しかしながら、コネクタハウジングを有さない雄端子81を相手側のコネクタ82内の雌端子83に低い挿入力でしかも半挿入を起こすことなく確実に接続させるための良好な手段がなく、その手段が切望されていた。
【0010】
本発明は、上記した点に鑑み、雄端子をコネクタハウジング内の雌端子に低い挿入力で半挿入を起こすことなく確実に且つ作業性良く簡単に接続させ得る構造を備える低挿入力コネクタを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記問題を解決するために、請求項1に係わる発明では、コネクタハウジング内に、弾性接触片を有する雌端子と、弾性接触片を撓ませて雌端子後退方向の付勢力を発生させる弾性接触片規制部と、スペーサを設け、スペーサは雌端子と当接し、雄端子をコネクタハウジングに挿入する際に、雄端子がスペーサを雌端子後退方向に押圧してスペーサとコネクタハウジングとの係止を解除することにより、弾性接触片が復元して雄端子に接触する低挿入力コネクタとしたのである。
【0012】
このような手段を採用することにより、弾性接触片が撓んだ状態において雄端子が挿入されるから、雄端子を雌端子に低い挿入力で入れることが可能となり、コネクタの挿入フィーリングが向上し、端子の半挿入、いわゆる端子が不完全な挿入状態となってしまうことを防止することができる。
【0013】
そしてまた、このような手段を用いることにより、雄端子を雌端子に挿入する前の状態には弾性接触片に潜在的に大きな反発力を蓄えておくことができ、弾性接触片がコネクタハウジングの突出部から外れると、弾性接触片の反発力が一部解放されて例えば湾曲状の弾性接触片は膨らむような形状となり、これにより雌端子と雄端子との接触が可能となる。
【0014】
また、請求項2に係わる発明では、スペーサは、コネクタハウジング内に摺動可能に設けられ、スペーサの一端は雌端子を前進方向に押圧し、スペーサは、雄端子の先端当接部に当接される第1の当接部を有し、弾性接触片の復元力によって雌端子が雌端子後退方向に付勢されている上記低挿入力コネクタとしたのである。
【0015】
上記手段を採用することで、スペーサが摺動可能なため、雄端子でスペーサを押圧してこれをスライドさせ移動させることができる。また、スペーサには雄端子の先端当接部に当接される第1の当接部を有しているので、雄端子でスペーサをいつでも容易に押圧できる準備もなされている。
【0016】
そして、弾性接触片の復元力によって雌端子が雌端子後退方向すなわち雄端子のコネクタハウジングへの挿入方向に付勢されているので、スペーサを雄端子で押圧してスライド移動させると、雌端子の弾性接触片の復元力が一部解放され、雌端子と雄端子とが互いに接触可能となる。このような一連の動作により、低い挿入力にて雄端子と雌端子とを接続することができるようになり、雄端子と雌端子との接続の際に、確実に且つ作業性良くしかも簡単に行うことができるようになる。
【0017】
請求項3に係わる発明では、弾性接触片規制部は、コネクタハウジングの前壁から雌端子後退方向に突出した突出部であり、弾性接触片規制部とコネクタハウジングの底壁との間に湾曲状の弾性接触片を押し入れた上記低挿入力コネクタとしたのである。
【0018】
前記手段によれば、弾性接触片規制部を突出部として、この突出部とコネクタハウジングの底壁内面との間に湾曲状の弾性接触片を押し入れることで、大きな反発力が弾性接触片に発生し、弾性接触片を有する雌端子をスペーサで押え込むことにより、弾性接触片には潜在的に大きな内部応力が発生する。またそのような内部応力を弾性接触片に維持させることが可能となり、雄端子の雌端子への低い挿入作業後に雌端子と押す端子とは強固に接続される。
【0019】
また、このようにすることで、電線を固定した雌端子をコネクタハウジング内に挿入する時に、雌端子をコネクタハウジングの突出部まで挿入することで、弾性接触片の復元力を容易に得ることができ、雌端子後退方向への付勢力すなわち雌端子をコネクタハウジング内へ挿入する方向の反対側の方向への付勢力を発生させることができる。
【0020】
請求項4に係わる発明では、スペーサの第2の当接部が雌端子の電気接触部の後端に当接し、スペーサの第1の当接部が、雌端子の天板部と、雌端子の弾性接触片上にある係止突起との間に進入した状態となるように、スペーサがコネクタハウジングに仮係合されてなる上記低挿入力コネクタとしたのである。
【0021】
このような構造を採用することで、雄端子を雌端子に挿入する時に、主にスペーサのロックを解除する力だけでもって、良好に雄端子と雌端子とを確実に電気的接続ができるようになる。
【0022】
請求項5に係わる発明では、前記スペーサは前記第1の当接部と前記第2の当接部を有する摺動方向に延びる突出部を備え、該突出部は天板部と係止突起のうちのいずれか1つもしくは上記2つのいずれとも非接触の状態である上記低挿入力コネクタとしたのである。
また、請求項6に係わる発明では、雄端子挿入前の状態における雌端子の係止突起の頂上部と天板部との隙間は、雄端子の厚みよりも大きく設定した上記低挿入力コネクタとしたのである。
【0023】
このような形態を採ることで、雌端子と雄端子とを接続する際に、従来のように雄端子が雌端子の天板部と弾性接触片とで比較的強く挟まれながら雌端子の奥まで挿入されることがないので、雄端子を雌端子に挿入する時に大きな摩擦抵抗力が発生せず、雄端子を雌端子に低い力でもって挿入することが可能となる。
【0024】
請求項7に係わる発明では、スペーサに、コネクタハウジングに対する係止手段を設け、コネクタハウジングに、スペーサと仮係合するための係合手段を有する上記低挿入力コネクタとしたのである。
【0025】
このような手段を採用することで、コネクタハウジングとスペーサとを互いに仮係合してロックすることが可能となり、上述の弾性接触片の復元力すなわちばねの作用による反発力を保持できるようにすることができる。スペーサは主に弾性接触片の復元力を解放せずに受け止める役割を果たしている。上記のようにコネクタハウジングとスペーサとが係止手段を用いて仮係合されているので、スペーサに当接している雌端子の弾性接触片に大きな復元力を継続して発生させることが可能となる。
【0026】
そしてこのような手段を採用することにより、雄端子でもってスペーサを押圧して雌端子と雄端子とを接続する時にそなえて、スペーサをコネクタハウジングに確実に仮係合しておくことができ、これによりスペーサがコネクタハウジング内で所定の位置から動いてしまったり、またスペーサがコネクタハウジングから不用意に抜け落ちてしまうようなことがない。
【0027】
請求項8に係わる発明では、係止手段は、係止突起を有する可撓部を設けるとともに可撓部に隣接する撓み空間とからなり、スペーサと仮係合するためのコネクタハウジングの係合手段は、スペーサロック用孔と係合突部とからなる低挿入力コネクタとしたのである。
【0028】
このような係止手段および係合手段を用いることで、雄端子でもってスペーサのロック状態を解除する時に、ある一定の大きさの力でもって雄端子でスペーサを押すだけで、スペーサのロックを解除することができ、さらに良好な挿入フィーリングを得ることもできる。
【0029】
詳しく説明すると、係止突起を有する可撓部を備えるとともに可撓部に隣接する撓み空間を設けることで、例えば合成樹脂のようなに比較的弾性力に富んだ材料の性質を存分に生かしながら、軽微な力で簡単にしかも確実にスペーサとコネクタハウジングとを仮係合させたり、また、仮係合を解除するといったロック解除の作業を容易に行うことができるようになる。
【0030】
そしてまた、撓み空間を有するスペーサの係止突起が、簡便にスペーサロック用孔を乗り越えてスペーサのロック状態を解除することが可能となり、しかも不用意に係止突起がスペーサロック用孔に再び戻ることもない。
【0031】
請求項9に係わる発明では、コネクタハウジングに、スペーサを案内ししかもスペーサのコネクタハウジングからの抜け落ちを防止するスペーサガイドが設けられている上記低挿入力コネクタとしたのである。
【0032】
このような構造を採用することで、雄端子を雌端子に挿入してスペーサのロックを解除する時に、スペーサはコネクタハウジング内を他の部材に突き当ったり他の部材と干渉したりすることなく、良好にコネクタハウジング内で摺動しながらスライド移動することができ、しかもスペーサガイドの一端とスペーサの一部分とで互いに突き当たらせるなどして、スペーサのロック解除後の自由な動作状態をスペーサガイドでもって規制することもでき、その結果、スペーサがコネクタハウジング内から抜け落ちてしまうなどの不具合発生を防止することもできる。
【0033】
上記で詳述したように、このような一連の機構をコネクタに採用することで、雄端子を雌端子に挿入すると同時に、もしくは挿入してから僅かな時間をおいたのちに、弾性接触片が突出部から外れて、雄端子と雌端子とが強く確実に接続されることが可能となる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る低挿入力コネクタの一例として、例えば自動車のリアデフォッガの接続に使用される雄端子3を相手側のコネクタの雌端子2に確実に接続可能としたコネクタ構造の実施形態を、図1〜図6にもとづいて説明する。
【0035】
上記従来の各物品と同じ呼び名の部分には、それらに付されたのと同一符号を付し、その構造についての詳細な説明を省略した。また図1の矢印Aで示されるように、ここでは、雄端子3を雌端子2へ挿入する側から見て、コネクタハウジング1の雄端子挿入口1e寄りを前側、前記雄端子挿入口1eと反対側、すなわち、電線5のコネクタハウジング1内の出口寄りを後側とする。そしてまた図1の雌端子2の天板部2a寄りを上側、その反対側、すなわちコネクタハウジング1の底壁1a寄りを下側とする。
【0036】
また、雌端子2をコネクタハウジング1の後側から挿入する方向を雌端子前進方向、その逆の方向、すなわち雌端子2がコネクタハウジング1の後側から出ようとする方向を雌端子後退方向Aとする。また、雌端子後退方向Aは、雄端子3をコネクタハウジング1に向かって挿入する方向、すなわち、雄端子3の雌端子2への挿入方向Aと同じである。
【0037】
図1は本発明の低挿入力コネクタの分解斜視図であり、雌端子2に雄端子3を嵌め込もうとしている時の状態を示しているものである。本分解斜視図は、図4に示されるコネクタハウジング1の雄端子挿入口1e側から見て全幅の約4分の1の部分のQ−Q断面図であって、さらに図4に示される天壁1dの一部を取り除いたと仮定した状態の分解斜視図である。合成樹脂製のコネクタハウジング1内には、雌端子2、合成樹脂製のスペーサ4および電線5が収容されている。合成樹脂製のスペーサ4は摺動部材としての機能をも要求され、実質的にスライダとしての役割をも担っている。
【0038】
合成樹脂製のコネクタハウジング1には、突出部8や、スペーサ4と仮係合するための係合手段10であるスペーサロック用孔10aと係合突部10b、そしてまた、後に図3で詳述するスペーサガイド11とを有している。突出部8の上側は雄端子3をコネクタハウジング1へ挿入する時に案内する役目も果たすものと期待される。すなわち雄端子3のためのガイドを兼ねた突出部8と称してもよく、さらに弾性接触片6に強い復元力を加える役目も果たすことから弾性接触片規制部8としての役割を兼ねている。
【0039】
ここで、弾性接触片規制部8は、主に雌端子2の弾性接触片6を押さえ付けて雌端子2に復元力を発生させるために設けてあるが、より具体的な形状を例示すれば、図1、図5、図6の符号8で示される形状ように、例えば具体的に突出部8と称してもよい。また、前記スペーサロック用孔10aは、スペーサ4がスライダとしての役割をも果たすことから、前記スペーサロック用孔10aをスライダロック用孔と称してもよい。
【0040】
そしてまた、スペーサガイド11は、スペーサ4を良好に摺動させ、スペーサ4を案内して摺動する時にスペーサ4を良好に押さて導きながらスライドさせる役割に加え、コネクタハウジング1内からスペーサ4が抜け落ちることをも防止する役割も担っており、スペーサ4などのようなスライドする部材をこじらせたりすることなくコネクタハウジングの天壁1dの内側とで良好に押さえながらガイドする役割をもつ点などから、スペーサガイド11を別にスライダ押さえ部材と称してもよい。
【0041】
コネクタハウジング1の後側には、スペーサ4と良好に仮係合するための係合手段10が設けてあり、前記係合手段10を詳述すると、スペーサロック用孔10aと係合突部10bとでなり、さらに係合突部10bは図1に示されるようにコネクタハウジング1の側壁1cの主たる平面部に対する垂直面10cと、前記垂直面10cに対して直角よりも鋭利な角度となるように設定された傾斜面10dとからなっている。前記傾斜面10dは、コネクタハウジング1の側壁1cの主たる内側平面部から一定の角度をもって傾斜されている。
【0042】
金属製の雌端子2には、係止用の弾性接触片6a、湾曲状の弾性接触片6b、係止突起6d、突部6f及び電線接続部13を備えており、電線接続部13にて電線5と強固に接続されている。具体的には、電線接続部13は導体圧着片13aと被覆圧着片13bよりなっている。そして導体圧着片13aは導体18と強固に接続され、被覆圧着片13bは被覆材19と強く固定されている。
【0043】
弾性接触片6は、雄端子3を主として天板部2aと挟み込む役割を果たす一対の湾曲状の弾性接触片6bと、主に雄端子3に設けられた係止用の孔部3aと係合して、雄端子3の雌端子2からの抜けを防止するための係止突起6dを有し雌端子の略中央部に位置する係止用の弾性接触片6aとからなっている。一対の湾曲状の弾性接触片6bには、雄端子3と電気的な接触を確実にするために、小さな突部6fを設けている。
【0044】
一方、金属製の雄端子3には、雌端子2に容易に挿入して結合化が可能なように雄端子の主たる本体の厚みTよりも連続して徐々に肉薄形状となるような接触用タブ部7を有し、また、雌端子2の係止突起6dに相対する係止用の穴部3aを有している。また接触用タブ部7には、雄端子3がコネクタハウジング1内へ挿入しやすいように、さらに面取り加工部7bが設けられている。
【0045】
このような面取り加工部7bは、図1で示されるような主に直線的に角部を取り除いたC面取り形状や、また主に曲面を有するように角部を取り除いたR面取り形状であってもよい。しかし、雄端子3は成形性、生産性の点から主にプレスによる打ち抜き加工により形成するので、打ち抜き金型の加工性や打ち抜き加工時の容易性から、前記角部の面取り形状はC面取り形状であることがよい。
【0046】
そしてまた、雄端子3の両側には、雄端子3が雌端子2や合成樹脂製のコネクタハウジング1の奥深くに入り込みすぎて、雌端子2や合成樹脂製コネクタハウジング1の破損を防止するためのストッパ14a、14bが設けられている。
【0047】
なお、雄端子3は適度な機械的強度を有することも必要であり、雄端子3を雌端子2に挿入する時のスペーサ4を押圧する際にも、雄端子3自体が変形することなく前記スペーサ4を押圧することが可能で、その結果前記スペーサ4のロック状態を解除させることができ、これにより雄端子3と雌端子2とを接続することが可能となる。
【0048】
スペーサ4には、合成樹脂製の係止突起9aが設けられており、前記突起9aに対応した可撓部9cがあり、前記可撓部9cの周辺部分はアームとも呼ばれている。図1では、前記可撓部9cは、具体的には係止突起9aと撓み空間9bからなっており、前記のように係止突起9aと撓み空間9bとの組み合わせで、前記可撓部9cを形成することが望ましいが、本発明では前記可撓部9cはいかなる形態のものであってもよい。
【0049】
ちなみに前記撓み空間9bは、前記係止突起9aが例えばコネクタハウジング1に設けられた係合突部10bのような所定の乗り越え部分を乗り越えてゆく時に、合成樹脂の特性を生かして押された係止突起9aを収容するためのものである。前記スペーサ4の係止突起9aが、コネクタハウジング1のスペーサロック用孔10aに嵌まり込むことにより、スペーサ4が仮係合される。
【0050】
また、スペーサ4には、雄端子3の接触用タブ部7がスペーサ4を押圧する時に、これに相対して主として力を受ける突出部4aを有し、具体的には前記突出部4aの先端部分である第1の当接部4bが雄端子3の接触用タブ部7の先端部分と突き当たり押されることによって、スペーサ4はコネクタハウジング1とのロック状態から解放される。
【0051】
ここで、コネクタハウジング1とスペーサ4とがそれぞれが互いに係合している各突起部の引っ掛かりしろの量は、比較的小さい値を設定してあるが、突起部分が存在する主たる平面部分を基準とした場合、例えばそれぞれの突起の高さの約4分の1から約4分の3程度となるように設定してあれば良好に係合されてなるが、本発明では上記引っ掛かりしろ量はいかなる値であってもよい。
【0052】
それぞれが互いに係合している各突起部の引っ掛かり部分は、図1〜図3で示される1実施形態では略三角形状となっているが、本発明では、上記突起部の形状はいかなる形状であってもよい。図1〜図3に示される突起部の三角形状では、突起部分が存在する主たる平面部分を基準面とした場合、三角形の角度を比較的緩くして、コネクタハウジング1とスペーサ4とが良好に仮係合されながらも、また、上記両者は適度な力で仮係合状態、いわゆるロック状態から解放されやすいようになっている。
【0053】
例えば、略三角形の形状でなる突起部の傾斜している面部分の角度は、コネクタハウジング1もしくはスペーサ4の突部や突起または突起部などを有する主たる平面部分を基準面とした場合、前記基準面より約15〜45°程度の傾斜した面であれば、良好に引っ掛かり状態を維持しながらも適度な力でロック状態を解除することができる。
【0054】
なお、上記各突起部の引っ掛かりしろの量や、各突起部の設定角度は、コネクタハウジング1もしくはスペーサ4の材質の機械的強度特性などにより任意に設定できるが、本実施形態のように射出成形が可能な合成樹脂でしかも熱可塑性的な性質を有する合成樹脂であれば、適度な弾性特性を有するので好ましい。そのような合成樹脂としては、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBTと略称する)などを例示することができる。
【0055】
また図3でも示されるように、係合突部10bよりも後側のコネクタハウジング1に設けられている側壁1cの肉厚を、スペーサロック用孔10aよりも前側のコネクタハウジング1に設けられている側壁1cの肉厚よりも薄くなるように設定している。このようにすることで、スペーサ4が仮係合の状態、いわゆるロック状態から解放される時に、スペーサ4は良好にコネクタハウジング1の後側にスライドされる。
【0056】
なお、図6で示されるように、スペーサ4は、スペーサ下面のくの字形折れ曲がり部4dが、スペーサガイド11の前側端部11aに当たることにより、スペーサ4のスライド量は所定のスライド量以内で収まり、コネクタハウジング1からスペーサ4が抜け落ちることはない。スペーサガイド11はスペーサ4がロック状態から解放される時に、良好にスペーサ4を摺動しながら案内してスライドするためのものばかりでなく、スペーサ4がロック解放後にコネクタハウジング1から不用意に抜け落ちることをも防止している。
【0057】
図2は、スペーサ4の拡大斜視図を示したものである。上記係止突起9aを2ヶ所設けてあり、前記係止突起9aに対応した撓み空間9bも2ヶ所設けてある。係止突起9aとこれに対応した撓み空間9bは、スペーサ4の材質である合成樹脂の特性を生かし、これらが機能的に動作するように、それぞれ互いに近傍に設けられている。
【0058】
このように、スペーサ4には、一対の係止突起9aと前記係止突起9aに対応した撓み空間9bを有することが好ましい。一対の係止突起9aと前記係止突起9aに対応した撓み空間9bを有することで、スペーサ4は、バランスよくコネクタハウジング1に仮係合することが可能であるとともに、スペーサ4がロック状態から解放される時も、こじれなどが発生することなく、良好に解放可能となる。
【0059】
雄端子3がスペーサ4を押圧する時に、スペーサ4の第1の当接部4bと雄端子3の接触用タブ部7の先端当接部7aとが片あたりなどを起こさないように、前記雄端子3の先端当接部7aの面積よりも、スペーサ4の第1の当接部4bの面積のほうを大きな面積となるようにしている。さらにまた、片あたりなどの防止のために、前記雄端子3の先端当接部7aの断面略長方形部が、スペーサ4の第1の当接部4bの断面略長方形をした形状の範囲内に収まるようにコネクタ全体を設定することがより望ましい。
【0060】
図3は、コネクタハウジング1とスペーサ4との仮係合部の分解斜視図を示したものである。具体的には、図1に示されるスペーサ4、雌端子2および電線5を取り除いたものと仮定した場合の係合手段10周辺の要部を表わした分解斜視図である。コネクタハウジング1は上記スペーサ4の係止突起9aが収まるためのスペーサロック用孔10aを一対有している。また、上記スペーサ4が雄端子3に押圧されてスライドする時に前記スペーサ4を良好に案内するためのスペーサガイド11を一対有している。上記スペーサガイド11は、上記スペーサ4を電線部分に落とさず良好に案内し、また、上記スペーサ4がロックを解放されたのちに、上記スペーサ4の電線側への抜け止めになるためにも設けてある。
【0061】
ここで、コネクタハウジング1の側壁1cに設けられている係合突部10bよりも後側の側壁1cの肉厚が、係合突部10bよりも前側の側壁1cの肉厚よりも薄く設定してある。すなわち、傾斜面10dよりも後側で側壁1cよりも薄く設定してあるが、これは、前記スペーサ4のロックが解除された時に、スペーサ4が良好に後側へ摺動しスライドするためにこのような構造としている。係合突部10bよりも後側のコネクタハウジング1に設けられ、しかもスペーサガイド11よりも下側の側壁1cの厚みは、図3に示されるように特に薄くしなくともよいが、コネクタハウジング1の材質、用途、形状によっては、上記のように薄い肉厚となるように設定してもよい。
【0062】
前記のような構造とすることで、係止突起9aが係合突部10bを乗り越えたあとに、スペーサ4はロックされずに自由な状態となって若干の遊びを残して図6のようにスペーサガイド上に残される。スペーサガイド11の長さを十分にとってあり、また、コネクタハウジング1の天壁1dの内面とスペーサガイド11の上面との距離を適度に設定することで、ロック解除後のスペーサ4は図6のように他の部材に干渉することもなく良好な位置に収まっている。さらに、上記スペーサガイド11もまた、スペーサ4の作動時にこじれなどを発生させず良好に案内するために一対有すると良い。
【0063】
なお、本発明の一実施形態として、図1、図2、図3では、コネクタハウジング1にスペーサロック用孔10aなどの係合手段10を設け、スペーサ4に係止突起9aを含めたアームなどの係止手段を設けた一実施例が示されているが、コネクタハウジング1にアームのような係止突起を設けたり、また、スペーサ4に係合孔、係合穴、係合溝といった係合手段を設けても良く、本発明では、スペーサ4を適宜、仮係合しロックできるようであれば、係止手段、係合手段はいかなる部材のいかなる部位に設けても良い。
【0064】
図4は、コネクタハウジング1の外観斜視図を示したものである。上記スペーサ4の係止突起9aが収まるためのスペーサロック用孔10aを一対有している。図4に示される1実施形態では、前記スペーサロック用孔10aは略長方形の貫通孔形状をしたものであるが、本発明では、前記スペーサロック用孔10aなどの係合手段10は、丸形状など他の形状であってもよく、また貫通孔でなく非貫通型の穴やまた溝であってもよく、スペーサ4を容易にしかも確実に係止できる形態の係合手段10であればいかなる形態のものであってもよい。
【0065】
しかしスペーサ4の係止手段9の形状の成形性、加工性などを併せて総合的に考慮すると、前記コネクタハウジング1の係合手段10は、図4に示されるように長方形もしくは正方形の貫通孔形状をしたスペーサロック用孔10aの形態であることが望ましい。
【0066】
また、コネクタハウジング1の雄端子3の挿入口は、雄端子3がコネクタハウジング1に差し込み易いように、角部に面取り加工部1fが施されている。このような面取り加工部1fは、図4で示されるような、主に直線的に角部を取り除いたC面取り形状や、また、主に曲面を有するように角部を取り除いたR面取り形状でもよい。しかし、コネクタハウジング1は、成形性、生産性の点を考慮して合成樹脂を射出成形して形成するので、射出金型の加工の容易性から、前記角部の面取り形状はC面取り形状であることがよい。
【0067】
図5(a)は、分解斜視図の真横から見た縦断面図を示したもので、低挿入力コネクタの嵌合前の断面図を示したものである。ここで、図1と同様に、図5(a)、図6ともに本縦断面図は、図4に示されるコネクタハウジング1の雄端子挿入口1eから見て全幅の約4分の1の部分のQ−Q断面図である。雄端子3でもって、雄端子3の接触用タブ部7の先端部分が、スペーサ4の第1の当接部4bに突き当たろうとする直前の図である。
【0068】
雄端子3は、雌端子2の天板部2aと弾性接触片6とのいずれの部位にも接触しておらず、また前記両部材でもって挟持もされていない。また、スペーサ4の突出部4aや第1の当接部4b周辺部も、雌端子2の天板部2aと弾性接触片6のいずれの部位にも接触しておらず、また前記両部材でもって挟持もされていない状態である。
【0069】
弾性接触片6の折れ曲がり部分6cは、突出部8により、湾曲状の弾性接触片6bやまた係止用の弾性接触片6aが強く撓むように、突出部8の断面略コの字型の内部に収まっている。このように湾曲状の弾性接触片6bやまた係止用の弾性接触片6aの折れ曲がり部分6cには、比較的大きな内部応力が潜在した状態となっている。
【0070】
上記のように、弾性接触片6の折れ曲がり部分6cに比較的大きな内部応力を蓄えておくために、本発明の一実施形態では、天板部2aの後側すなわち電気接触部6gの後端にスペーサ4の第1の当接部4bが突き当たって保持された状態となっている。具体的に説明すると、図1および図5でも示されるように、本発明の一実施形態では、雌端子2の天板部2aの後側面と前記スペーサ4の第1の当接部4bとが突き当たった状態で雌端子2とスペーサ4とが保持され、これとともに上記比較的大きな内部応力は蓄えられた状態となっている。
【0071】
この場合、弾性接触部6の自由端先端部6eは、底板部2bと接触して弾性接触片6の反発力をより大きなものとしてもよく、また、弾性接触片6の自由端先端部6eは底板部2bと離れるように設定してもよい。より大きな反発力を弾性接触片6に内在させる必要性がある場合には、前記スペーサ4のロック解除前の時点で、前記自由端先端部6eと前記底板部2bとは接触した状態に設定してもよい。
【0072】
なお、上記断面略コの字型の内部形状は、図5(a)の形状に限らずに、湾曲状の弾性接触片6bや係止用の弾性接触片6aなどの弾性接触片6が突出部8の内部から容易に解除されやすい形状のものであってもよい。例えば、図5(b)は図5(a)の他の一例を示したものであるが、図5(b)のようにコネクタハウジングの底壁1aの内面に対し任意の鋭角とした上記断面コの字型であってもよい。
【0073】
上記断面略コの字型の内部形状は、湾曲状の弾性接触片6bが突出部8の内部から容易に解除されやすい形状となっており、具体的にはコネクタハウジングの底壁1aの面に対し30〜60°の角度であることが望ましい。本発明の1実施形態では、湾曲状の弾性接触片6bは例えば断面略弓形形状をした円弧形状となっているが、前記湾曲状形状部分に相対応して上記反発力を発生させるほどの規制する形状を有し、しかも、湾曲状の弾性接触片6bなどの弾性接触片6が突起8の内部から容易に解除しやすい方向に広がるように開口し、しかも前記湾曲部分の任意の接線方向に開口したものであってもよい。
【0074】
図5(a)で示される係止用の弾性接触片6a、湾曲状の弾性接触片6b、折れ曲がり部分6c、係止突起6d、導体圧着片13aや被覆圧着片13bなどの電線接続部13、その他の各部は、金属製の雌端子2のプレスによる打ち抜き加工・折り曲げ加工により金属片から成形され、前記係止用の弾性接触片6aや前記湾曲状の弾性接触片6bをはじめ、前記各部は金属製の雌端子2と一体的に形成されている。そしてまた、雌端子2は雌端子組立固定片12の折り曲げ加工によって最終的に端子形状に仕上げられている。
【0075】
金属製の湾曲形状をした弾性接触片6の反発力により、雌端子2は、図6の電線5のほうへ押し出されようとする力が働いている。すなわち、図6を真上から見て、雌端子2は右側へ押し出されようとしている。上記のような力が働いているが、このような力に抗して、前記雌端子2をスペーサ4が押さえ付けている。
【0076】
以上のような状態を、図1を用いて詳しく説明すると、前記スペーサ4の係止突起9aが、コネクタハウジング1のスペーサロック用孔10aに嵌まり込んでいるために、スペーサ4が仮係合される。
【0077】
ここで、上記湾曲形状をした弾性接触片6の反発力は、前記スペーサ4の係止突起9aをスペーサロック用孔10aから押し出させるほどの強い反発力ではない。しかし、上記湾曲形状をした弾性接触片6の復元力すなわちばねの作用による反発力は、弾性接触片6と天板部2aとで前記雄端子3を十分に挟持可能なほどの反発力を潜在した状態となっている。
【0078】
すなわち、上記湾曲形状をした弾性接触片6の反発力は、弾性接触片6と天板部2aとで前記雄端子3を十分に挟持して保持し前記雄端子3が不用意に雌端子2から抜け出さないほどの反発力を有し、しかも、上記反発力は前記スペーサ4の係止突起9aをスペーサロック用孔10aから押し出させてスペーサ4のロックを解除させるほどの強い反発力ではない程度の力を潜在的に有するものである。
【0079】
図5(a)に示されるように、雌端子2に雄端子3を挿入する以前の状態の時点、すなわち、スペーサ4がロックされた状態の時に、前記弾性接触部6の自由端先端部6eは、底板部2bと接触して弾性接触片6の反発力をより大きなものとしてもよく、また、弾性接触片6の自由端先端部6eは底板部2bと離れるように設定してもよいが、コネクタの用途や形状によってはより大きな反発力を弾性接触片6に内在させて、より強く確実に雌端子2と雄端子3とを固定するために、スペーサ4がロック状態から解除された後であっても、前記自由端先端部6eと前記底板部2bとは接触した状態に保つように弾性接触片6の形状を設定してもよい。
【0080】
図6は、雄端子3を雌端子2の奥まで挿入した状態を示したもので、低挿入力コネクタの嵌合後の断面図を示したものである。雄端子3の接触用タブ部7が、スペーサ4の第1の当接部4bに突き当たり、この第1の当接部4bを押した直後の図である。先に図1や図5(a)で説明した合成樹脂製のスペーサ4の係止突起9aが、合成樹脂製のコネクタハウジング1の係合突部10bを乗り越えた後の状態であり、前述の状態を真横から見たものが図6に示されている。すなわち、スペーサ4は、ロックが解除された状態となっている。
【0081】
前記スペーサ4のロックが解除されたことにより、上記湾曲状の弾性接触片6bは、折れ曲がり部分6cの内部に潜在する反発力及び湾曲状の弾性接触片6bの自由端の内部に一部残存する反発力とが解放されようとし、弾性接触片6は、ばねの力により図5(a)の状態から図6の状態へと膨らむように形態が変化し、弾性接触片6と天板部2aとで、雄端子3を強く挟み込む。そして、また、上記の動作とともに湾曲状の弾性接触片6bを含む雌端子2全体が、雄端子3の挿入方向に対して後退する。
【0082】
すなわち、雄端子3をコネクタハウジング1内の雌端子2に挿入した直後もしくは僅かな時間差ののちに上述した一連の動作が連動して行われ、その結果、雌端子2およびこれに強固に結合されている電線5は、図6の向かって右方向に移動する。雄端子3をコネクタハウジング1内の雌端子2に向かって挿入する方向から見ると、雌端子2および電線5はわずかに後退することになる。
【0083】
ここで、図1、図5および図6でも示されるように、係止アーム16に備えられた係止突起17と、これに対応した雌端子2に設けられた係止孔15とで、コネクタハウジング1と雌端子2とは係合されているが、係止孔15は前記雌端子2の多少の後退量を吸収できるように、余裕をとって長孔形状としてある。
【0084】
上記動作により、図6に示すように、湾曲形状をした弾性接触片6は天板部2aの方向へと押し上げられる。折れ曲がり部分6c、または、折れ曲がり部分6cに加えて自由端先端部6eと底板部2bとの接触状態による反発力により、前記弾性接触片6に十分に蓄えられていた反発力が一部解放されても、天板部2aと弾性接触片6の断面略弓形形状をした円弧部分との両方で、雄端子3を挟持して保持する反発力は、折れ曲がり部分6cに潜在的に十分に残されている。従って雄端子3は雌端子2の天板部2aと湾曲形状をした弾性接触片6との挟持しようとする保持力により、雄端子3が雌端子2から抜け出してしまうことはない。
【0085】
なお、上述した手段と併用して、弾性接触片6上の係止突起6dと雄端子3の係止用の孔部3aとの係合部位を本発明に併せて用いれば、本発明の効果と前記係止突起6dおよび前記係止用の孔部3aとでの係合の効果とが相俟って、雌端子2と雄端子3とは、より確実に係合されることになり、半嵌合の状態によって振動などにより雄端子3が雌端子2から不用意に抜け出してしまうことはなく、本発明の効果をより一層強化するための各種付加機構を本発明の目的を損なわない範囲で併用してもよい。しかし各種の使用される状況や用途によっては、上記に例示した付加機能などを併用せずに省略してもよい。
【0086】
また、図6でも示されるように、スペーサ4は、スペーサ下面のくの字形折れ曲がり部4dが、スペーサガイド11の前側端部11aに当たることにより、スペーサ4のスライド量は所定のスライド量以内で収まり、コネクタハウジング1からスペーサ4が抜け落ちることはない。スペーサガイド11はスペーサ4がロック状態から解放される時に、良好にスペーサ4を摺動しながら案内してスライドするためのものばかりでなく、スペーサ4がロック解放後にコネクタハウジング1から不用意に抜け落ちることをも防止している。
【0087】
図1および図3に示されるように、突出部8、スペーサロック用孔10a、係合突起10b、係止突起17などを備えるといった複雑な形状のコネクタハウジング1や、また、図1および図2に示されるような係止突起9a、撓み空間9bなどを備えるといった複雑な形状のスペーサ4に用いられる材料としては、例えば、成形性、生産性に優れる射出成形が可能な合成樹脂であることが好ましい。
【0088】
このような射出成形が可能な合成樹脂であって、また、熱可塑性的な性質を有する合成樹脂としては、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBTと略称する)、ポリアミド(PAと略称する)などを挙げることができる。本発明の一例で用いられるコネクタハウジング1は、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)からなり、寸法安定性、強度の安定性、電気的特性などの点で優れている。
【0089】
本発明の低挿入力コネクタは、特に限られた用途にのみに用られることはなく、あらゆる用途の低挿入力コネクタに応用することができる。しかし、好ましくは、上記で説明したように、雌端子2もしくは雄端子3のいずれか一方の端子にのみコネクタハウジング1を有し、もう一方の他の端子にはコネクタハウジング1を省略した形態のコネクタに好適に用いることができる。
【0090】
より好ましくは、雌端子2にのみコネクタハウジング1を有し、雄端子3にはコネクタハウジング1を省略した形態のコネクタに使用することができ、さらに具体的な用途例として、自動車のリヤデッフォガ用のコネクタに本発明を適用することができる。
【0091】
【発明の効果】
本発明のコネクタによれば、端子を小さな力で挿入でき、コネクタの挿入フィーリングを向上させ、半嵌合を防止することができる。また、本発明のコネクタを用いることにより、低い挿入力でもって雄端子と雌端子とを接続することが可能となり、雄端子と雌端子との接続の際に、確実に且つ作業性良くしかも簡単に行うことができるようになる。従ってこのような優れた性能を有する低挿入力コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる低挿入力コネクタの一実施形態を示す分解斜視図であり、図4の天壁の一部を取り除いたQ−Q断面図である。
【図2】コネクタに使用するスペーサの拡大斜視図である。
【図3】コネクタハウジングとスペーサとの仮係合部の斜視図である。
【図4】コネクタの外観斜視図である。
【図5】(a)は本発明のコネクタの雄端子挿入前の縦断面図であり、(b)は他の実施形態の一例である。
【図6】雄端子を雌端子に完全に挿入した状態のコネクタの縦断面図である。
【図7】従来技術のコネクタへの雄端子挿入前の縦断面図である。
【図8】従来技術のコネクタへの雄端子挿入後の縦断面図である。
【符号の説明】
1 コネクタハウジング
1a 底壁
1b 前壁
1c 側壁
1d 天壁
1e 雄端子挿入口
1f 面取り加工部
2 雌端子
2a 天板部
2b 底板部
3 雄端子
3a 係止用の孔部
4 スペーサ
4a 突出部
4b 第1の当接部
4c 第2の当接部
4d くの字形折れ曲がり部
5 電線
6 弾性接触片
6a 係止用の弾性接触片
6b 湾曲状の弾性接触片
6c 折れ曲がり部分
6d 係止突起
6e 自由端先端部
6f 突部
6g 電気接触部
7 接触用タブ部
7a 先端当接部
7b 面取り加工部
8 弾性接触片規制部(突出部)
9 係止手段
9a 係止突起
9b 撓み空間
9c 可撓部
10 係合手段
10a スペーサロック用孔
10b 係合突部
10c 垂直面
10d 傾斜面
11 スペーサガイド
11a 前側端部
12 雌端子組立固定片
13 電線接触部
13a 導体圧着片
13b 被覆圧着片
14a,14b ストッパ
15 係止孔
16 可撓性の係止アーム
17 係止突起
18 導体
19 被覆材
A 雌端子後退方向(雄端子の雌端子への挿入方向)
S 雌端子の係止突起の頂上部と天板部との隙間
T 雄端子の厚み

Claims (9)

  1. コネクタハウジング内に、弾性接触片を有する雌端子と、該弾性接触片を撓ませて雌端子後退方向の付勢力を発生させる弾性接触片規制部と、スペーサを設け、該スペーサは該雌端子と当接し、雄端子を該コネクタハウジングに挿入する際に、該雄端子が該スペーサを該雌端子後退方向に押圧して該スペーサと該コネクタハウジングとの係止を解除することにより、該弾性接触片が復元して該雄端子に接触することを特徴とする低挿入力コネクタ。
  2. 前記スペーサは、前記コネクタハウジング内に摺動可能に設けられ、該スペーサの一端は前記雌端子を前進方向に押圧し、該スペーサは、前記雄端子の先端当接部に当接される第1の当接部を有し、前記弾性接触片の復元力によって該雌端子が前記雌端子後退方向に付勢されていることを特徴とする請求項1に記載の低挿入力コネクタ。
  3. 前記弾性接触片規制部は、前記コネクタハウジングの前壁から前記雌端子後退方向に突出した突出部であり、該弾性接触片規制部と該コネクタハウジングの底壁との間に湾曲状の弾性接触片を押し入れたことを特徴とする請求項1または2に記載の低挿入力コネクタ。
  4. 前記スペーサの第2の当接部が前記雌端子の電気接触部の後端に当接し、該スペーサの第1の当接部が、該雌端子の天板部と、該雌端子の前記弾性接触片上にある係止突起との間に進入した状態となるように、該スペーサが前記コネクタハウジングに仮係合されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の低挿入力コネクタ。
  5. 前記スペーサは前記第1の当接部と前記第2の当接部を有する摺動方向に伸びる突出部を備え、該突出部は前記天板部と前記係止突起のうちのいずれか1つもしくは上記2つのいずれとも非接触の状態であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の低挿入力コネクタ。
  6. 雄端子挿入前の状態における前記雌端子の前記係止突起の頂上部と前記天板部との隙間は、前記雄端子の厚みよりも大きく設定したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の低挿入力コネクタ。
  7. 前記スペーサに、前記コネクタハウジングに対する係止手段を設け、該コネクタハウジングに、該スペーサと仮係合するための係合手段を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の低挿入力コネクタ。
  8. 前記係止手段は、係止突起を有する可撓部を設けるとともに該可撓部に隣接する撓み空間とからなり、前記スペーサと仮係合するための前記コネクタハウジングの前記係合手段は、スペーサロック用孔と係合突部とからなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の低挿入力コネクタ。
  9. 前記コネクタハウジングに、前記スペーサを案内ししかも該スペーサの該コネクタハウジングからの抜け落ちを防止するスペーサガイドが設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の低挿入力コネクタ。
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