JP3864506B2 - 半還元鉄塊成鉱およびその製造方法ならびに銑鉄の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外側は強度の高い金属鉄(Fe)の殻で覆われ、内部は金属Fe、Feの酸化物および遊離C(炭化物としてではなく、単体として存在する炭素であり、本明細書においては、「フリーC」ともいう)を含有する粉体からなる半還元鉄塊成鉱およびその製造方法、ならびにこの半還元鉄塊成鉱を竪型炉の原料として使用して銑鉄を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
銑鉄の製造方法としては、炉内に固体還元剤の充填層を有する堅型炉を用い、炉頂から鉄原料と固体還元剤(燃料)を装入し、炉下部から空気を送って固体還元剤を燃焼させ、熱と還元ガスを発生させて、炉内で高温の還元ガスと鉄原料を反応させる方法が用いられている。還元ガスは炉上部に向かって上昇し、鉄原料と燃料は炉下部に向かって徐々に移行(荷下がり)し、その間に高温の還元ガスと鉄原料との間で熱交換が行われる。
【0003】
この方法の代表的なものとして、高炉法があげられる。すなわち、高炉法では、塊状の鉄鉱石、焼成ペレット、焼結鉱などの鉄原料とコークスなどの還元剤を高炉炉頂部から交互に炉内に装入するとともに、高炉下部の炉体周囲から炉内へ向けて高温の空気を送風し、コークスを燃焼させることによってさらに高温の還元ガスを発生させ、鉄原料の主成分である酸化鉄を還元し、かつ溶融することによって銑鉄を製造している。
【0004】
このような堅型炉を用いる方法は、エネルギー効率がきわめて高く、銑鉄を製造するに要する燃料比が他の方法に比べて低いのが特徴である。なお、この方法においては、高温の還元ガスとの熱交換により鉄原料を加熱すること、すなわち炉内高さ方向での熱バランスをとることと、炉内の通気性を確保することが重要である。
【0005】
堅型炉で銑鉄を製造するに際し、鉄原料としては、塊状の鉄鉱石、焼成ペレット、焼結鉱、コールドボンド鉱などのほかに、塊状のスクラップや還元鉄が使用されている。
【0006】
鉄原料としての塊状の鉄鉱石はふるい分級することによって得られる。焼結鉱は粉鉄鉱石と粉コークスを混合した原料をグレートトラベル式空気吸引焼成設備により焼成することにより、また、焼成ペレットは粉鉄鉱石を転動造粒して球状に成形した原料を同じくグレートトラベル式空気吸引焼成設備によりまたはロータリーキルン焼成設備により焼成することによって製造される。コールドボンド鉱は粉鉄鉱石にセメントを添加し、混合成形した後、養生処理を行うことによって、また、塊状のスクラップは、搬入されたスクラップを適当なサイズに加工成形することによって製造されている。
【0007】
還元鉄は、鉄鉱石や焼成ペレットをシャフト炉に入れ天然ガスを導入して還元することによって製造されており、さらに、粉状鉄原料(例えば、粉鉄鉱石)と粉状固体還元剤(例えば、粉石炭)の混合粉を造粒して、ロータリーキルン焼成設備や炉床が水平に回転移動する回転床炉設備により還元する方法によっても製造されている。
【0008】
この、炉床が水平に回転移動する回転床炉設備(以下、水平回転移動する回転床炉を単に「回転床炉」といい、この炉の炉床を「回転炉床」という)により還元鉄を製造する方法は近年注目されている方法で、以下に詳述する。
【0009】
この回転床炉は古くからあるロータリーキルン炉(ロータリーキルン焼成設備で用いる炉)とは異なり、設備コストが安価であるのが特徴であるが、一方、炉床が水平に回転するために原料の装入および製品の排出に配慮が必要である。その技術の代表的なものとしては、粉状の鉄鉱石と固体還元剤とを混合して塊成化物(ペレット)となし、これを高温に加熱することにより鉄鉱石中の酸化鉄を還元して固体状金属鉄とする技術がある(例えば、米国特許第3,443,931号明細書、特開平7−238307号公報)。
【0010】
図1は、加熱を回転床炉を用いて行う従来の還元鉄の製造プロセスの一例の概略図である。図示するように、粉鉄鉱石と粉石炭にバインダーとしてのベントナイトを添加し、混練機で、さらに水分とタールを添加して混合する。この混合原料をペレタイザーまたはダブルロール圧縮機で塊成化し、回転床炉の原料装入部へ移送して炉内へ装入し、炉床の移動に伴って1回転させる間に鉄鉱石中の酸化鉄を高温還元して固体状金属鉄とする。得られた金属鉄は排出部から取り出される。
【0011】
上記の還元鉄の製造方法において、粉状鉄原料としては、粉状の鉄鉱石の他に、製鉄所で発生する鉄分を含んだ各種のダストやスラッジ、スケールなどが使用でき、また、粉状固体還元剤としては、石炭、コークス、チャー、オイルコークスなどが使用可能である。これら鉄原料や固体還元剤は、場合によっては乾燥処理、破砕処理が施される。
【0012】
粉状鉄原料と粉状固体還元剤は、次いで混練処理されるが、その際、必要に応じてバインダーとしての水分、タール、糖蜜、有機系樹脂、セメント、スラグ、ベントナイト、生石灰、軽焼ドロマイト、消石灰が添加される。
【0013】
混練された原料は、デスクペレタイザイーにより球状のペレットに、またはダブルロール圧縮機によりブリケットに塊成化される。この場合、ペレットにするためには粒径が0.1mm以下の粒度の原料が適し、ブリッケトには粒径が1mm以下の粒度のものが適するので、あらかじめ所定の粒度に微粉砕する必要がある。また、塊成化物(上記のペレット、ブリケットを指す)の強度を高めるため、塊成化後に乾燥処理または養生処理が施される場合もある。
【0014】
得られた塊成化物は、ベルトコンベヤーで回転床炉の上部に送られ、そこから回転炉床上に幅広く分散するように装入シュートを用いて装入され、レベラーでならされる。続いて、炉内を移動する間に加熱還元され、金属鉄となる。
【0015】
回転床炉内は、炉内に燃料ガスと空気を送り込み燃焼させることによって1100〜1400℃の炉内温度が確保されている。この回転床炉の炉床上に上記の塊成化物を1個づつ薄い厚みで敷き、主に炉内壁からの輻射熱で900℃以上に昇温し、炉床が1回転する間に所定の金属化率に達するように炉床の回転速度を調整しつつ還元焼結させ、排出部からスクリューフィーダで排出する。
【0016】
さて、前述した竪型炉による銑鉄の製造方法においては、上述したように、炉内の通気性を確保することが重要なので、炉頂から装入する鉄原料は、粉状ではなく塊状であるとともに、粉化しない強度を有することが必須である。
【0017】
また、鉄原料の主成分である酸化鉄から酸素が除去されて金属鉄が生成する還元反応時には大きな吸熱が起り、逆に、金属鉄が酸化鉄になる酸化反応時には大きな発熱が起るので、鉄鉱石、焼結鉱、焼成ペレットなどの鉄原料(酸化鉄原料)を用いた場合、還元吸熱が起り、炉上部から装入された原料が昇温しにくいという問題がある。これに対処するため、炉下部から高温送風や酸素富化送風を行って炉内温度の上昇をはかるとともに、炉高を高くして(つまり、高炉にして)装入原料と高温の還元ガスとの間の熱交換時間を確保できるようにしている。
【0018】
一方、スクラップや還元鉄(DRI(直接還元鉄)、HBI(熱間ブリケット還元鉄))などの原料(金属鉄原料)では、マクロ的にみるとこのような還元吸熱の問題はないが、部分的には次のような問題がある。すなわち、堅型炉内で発生したガス中には、炉下部からの送風による燃焼反応、または他の鉄酸化物の還元により生じたCO2 やH2 Oなどの酸化性ガスが含まれているが、特に炉上部では原料装入設備や排ガス処理設備を保護するためガス温度を極力低める操業を行っており、炉上部でのCO2 やH2 Oの比率が高い。このような条件下では、スクラップや還元鉄(DRI、HBI)などの金属鉄原料が炉上部で再酸化され、発熱するため、ガス温度が高温になるという問題が生じる。この高温で排出されるガス温度を低下させるため炉下部の温度を低下気味にする操業を行ったりするが、再酸化された金属鉄が炉下部まで荷下がりし、そこで還元されるため、炉下部で吸熱が起って炉内温度が低下するという問題が生じる場合がある。
【0019】
このように、堅型炉にあっては、炉上部では吸熱反応が好まれ、炉下部では嫌われるので、鉄鉱石、焼結鉱、焼成ペレットなどの酸化鉄原料を用いた場合は炉下部での大きな還元吸熱が問題となる。一方、スクラップや還元鉄などの金属鉄原料を用いた場合は、酸化鉄原料における問題に比べれば小さいが、炉上部での酸化発熱現象と炉下部での再酸化鉄の還元吸熱が問題となる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、竪型炉を用いて銑鉄を製造する際の上記従来の問題を解決することを課題としてなされたものである。その具体的な目的は、竪型炉の原料として用いた場合に、炉下部での吸熱や炉上部での発熱を生じることなく炉内の熱バランスを良好に保つことができ、燃料比を低減し得る半還元鉄塊成鉱およびその製造方法、ならびにその半還元鉄塊成鉱を用いて行う銑鉄の製造方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々検討を重ねた結果、外側は強度の高い金属Feの殻で覆われ、内部は金属Fe、Feの酸化物およびフリーCを含有する粉体からなる二重構造をなし、全Fe、金属FeおよびフリーCの含有量が所定の条件を満たす半還元鉄塊成鉱を竪型炉の原料として用いれば、上記の目的を達成することができることを確認し、本発明をなすに至った。
【0022】
本発明の要旨は、下記(1)の半還元鉄塊成鉱、(2)のその製造方法、および、(3)の銑鉄の製造方法にある。なお、半還元鉄塊成鉱の成分の含有量を表す「%」は、「質量%(mass%)」を意味する。
【0023】
(1)外殻は金属Feが主体で、内核は金属Fe、Fe酸化物、遊離Cおよび不純物の二重構造を有する半還元鉄塊成鉱であって、質量%で、全Fe含有量が70%以上、金属Fe含有量が20〜50%、遊離C含有量が5%以上で、かつ体積が20cm3以上であることを特徴とする半還元鉄塊成鉱。
【0024】
(2)粉状鉄原料と粉状固体還元剤との混合原料を塊成化し、還元焼成炉で焼成することを特徴とする上記(1)に記載の半還元鉄塊成鉱の製造方法。
【0025】
(3)少なくとも上記(1)に記載の半還元鉄塊成鉱を含む塊状の鉄原料と、塊状の固体還元剤とフラックスを、炉内に塊状の固体還元剤の充填層を有する竪型炉へその炉上部から装入し、炉下部に設置された羽口から酸素含有ガスを吹き込んで羽口前の固体還元剤を燃焼させ、発生する高温の還元ガスで半還元鉄塊成鉱およびフラックスを溶解し、半還元鉄塊成鉱中に含まれる未還元の酸化鉄を還元するとともに浸炭することを特徴とする銑鉄の製造方法。
【0026】
ここで、「粉状鉄原料」とは、酸化鉄が主成分の粉状の鉄原料であり、具体的には、粉状の鉄鉱石や製鉄所で発生する鉄分を含んだダスト、スラッジ(例えば、焼結機発生ダスト、高炉発生ダスト、転炉発生ダスト、圧延工場発生スラッジ)、スケール等をいう。本発明においては、これらを単独で、または2種以上の混合物状態で使用することができる。
【0027】
「粉状固体還元剤」とは、石炭、コークス、チャー、オイルコークス等の、主に炭素を含む固体物質の粉末である。これらも、単独で、または2種以上組み合わせて使用することができる。
【0028】
上記の(2)の半還元鉄塊成鉱の製造方法において、塊成化をダブルロール圧縮機で成形することにより行い、焼成を回転床炉で行えば、良質の半還元鉄塊成鉱を低コストで製造することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明(上記(1)〜(3)の発明)を詳細に説明する。
【0030】
(1)の発明は、外殻は金属Feが主体で、内核は金属Fe、Fe酸化物、遊離Cおよび不純物の二重構造を有する半還元鉄塊成鉱であって、外殻、内核を含めた半還元鉄塊成鉱全体に含まれる全Fe含有量が70%以上、金属Fe含有量が20〜50%、フリーCが5%以上で、かつ体積が20cm3以上の半還元鉄塊成鉱(以下、「半還元鉄」ともいう)である。すなわち、この半還元鉄は、外側は強度の高い金属鉄の殻で覆われ、内部は金属Fe、Fe酸化物およびフリーCを含有する粉体からなるもので、後述する竪型炉の原料として用いた場合に炉内の通気性を維持する上から、粒状ないしは塊(かたまり)状をなしている。
【0031】
本発明の半還元鉄塊成鉱において、外殻を金属鉄とする理由は、堅型炉へ装入するまでの輸送や炉内でのハンドリングの際に、半還元鉄に強い衝撃力が加わるので、この衝撃力に耐える高い強度を得るためである。
【0032】
本発明の半還元鉄において、フリーCの含有量を5%以上とするのは、5%未満では半還元鉄の内部での還元作用が弱く、焼成後においても酸化鉄が残存し、半還元鉄を竪型炉の原料として使用した場合、炉下部で吸熱反応(還元)が起こるからである。フリーCの含有量の上限は特に定めないが、鉄品位(Fe含有量70%以上)を維持するためには、10%とするのが望ましい。
【0033】
金属Fe含有量を20〜50%とするのは、20%に満たないと外殻の金属鉄の厚みが薄いので半還元鉄の強度が弱く、竪型炉に用いた場合に、炉内で粉化し、一方、50%を超えると内部の酸化鉄が少なくなりすぎ、フリーCとの反応が十分に起こらず、後述するが、炉の上部で再酸化した外殻を還元するためのCOガスの生成量が少なくなるからである。
【0034】
全Fe含有量を70%以上とする理由は、全Fe含有量が70%以上であれば、他の、不純物として含まれる元素の量が少なく、その元素の酸化物の還元に費やされるエネルギーがわずかですむとともに、フリーCが相対的に少なく(ただし、5%以上)、その分金属Feが多くなっており(ただし、50%以下)、より高いエネルギー効率が得られ、竪型炉の燃料比を一層低下させることができるからである。上限は特に限定しない。酸化鉄は主としてFeOからなり、金属Feの含有量は20〜50%、フリーCの含有量は5%以上(好ましくは、10%以下)という制約があるので、上限は自ずから定まるからである。
【0035】
本発明の半還元鉄においては、さらに、その体積が20cm3 以上であることが必要である。これは、堅型炉内の通気性を確保する上から粒ないしは塊としてある程度の大きさ(粒径)を有していることが必要であり、その下限を体積で表すとすれば、20cm3 となるからである。上限は特に定めないが、150cm3 以下が望ましい。あまり大きすぎると炉下部で半還元鉄中心部への熱伝導が悪くなり、溶解速度が低下する。
【0036】
本発明の半還元鉄は、セメントで強度を確保した炭材内装のコールドボンド鉱とは異なり、高温で保持しても、コールドボンド鉱に見られるセメントのぜい化による粉化が生じることがない。
【0037】
上記本発明の半還元鉄塊成鉱を竪型炉の原料として使用すれば、後述するように、炉内の熱バランスを良好に保ち、燃料比を低減することが可能となる。
【0038】
(2)の発明は、上記(1)の発明の半還元鉄塊成鉱の製造方法で、粉状鉄原料と粉状固体還元剤との混合原料を塊成化し、還元焼成炉で焼成する方法である。
【0039】
粉状鉄原料および粉状固体還元剤としては、前記のように、粉状の鉄鉱石や石炭等を使用することができる。
【0040】
塊成化は、デスクペレタイザイーによるペレット化、ダブルロール圧縮機によるブリケット化等、従来用いられている方法により行えばよい。
【0041】
塊成化処理を施した原料(成形原料という)をロータリーキルンや回転床炉に装入し、1000〜1400℃の炉内温度で、金属Fe含有量が20〜50%(すなわち、金属化率が20〜50%)、残留C(フリーC)が5%以上となるまで還元焼成し、炉外へ排出して急冷し、または再酸化しないようにN2 ガスを使用して冷却して半還元鉄とする。
【0042】
上記の(2)の半還元鉄塊成鉱の製造方法において、塊成化をダブルロール圧縮機で成形することにより行えば、ペレット化する場合に比べて成形前の原料の粒径が粗くてよく、微粉砕設備が不要であり、さらにペレットの強度を高めるために行う乾燥設備も不要で、塊成化のコストを大幅に低減することができる。
【0043】
また、還元焼成を回転床炉で行えば、強度の高い外殻金属鉄の形成が容易で、より良質の半還元鉄を製造することができる。これは、ロータリーキルン炉を用いた場合、成形原料に転動作用を加えるのに対して、回転床炉では成形原料を炉床上に静置したまま焼成できるからである。これによって、堅型炉の燃料比を一層低下させることが可能となる。
【0044】
さらに、体積が20cm3 以上の半還元鉄の製造を前提とすれば、皿形造粒機で製造した球形ペレットよりも、より大きな力を加えて成形するダブルロール圧縮機で製造したブリケットの方がより緻密に塊成化されるので、ダブルロール圧縮機でブリケットに成形する方が強度の高い半還元鉄の製造に有利である。
【0045】
(3)の発明は、原料として上記(1)の半還元鉄塊成鉱を用いる銑鉄の製造方法である。
【0046】
この方法で使用する精錬炉としては、高炉に代表されるように、炉内に塊状の固体還元剤(炭材)の充填層を有する竪型炉を使用し、炉上部から半還元鉄塊成鉱と、塊状の固体還元剤とフラックスを装入し、炉下部に設置された羽口から酸素含有ガスを吹き込んで羽口前の炭材を燃焼させ、発生する高温の還元ガスで半還元鉄およびフラックスを溶解し、半還元鉄中に含まれる未還元の酸化鉄を還元するとともに浸炭する。
【0047】
半還元鉄を堅型炉の炉上部から装入すると、炉上部において、CO2 ガス、H2 Oガスにより、まず外殻部の金属鉄が再酸化作用を受け、発熱する。この熱は半還元鉄の内部へ伝わり、内部ではこの熱によってフリーCがFe酸化物を還元するとともに、COガスが発生する。この場合のFe酸化物の還元には大きい吸熱を伴うが、外殻部の金属鉄の再酸化による発熱により補われる。さらに、荷下がりして炉下部に達した半還元鉄の再酸化した外殻は、内部で発生したCOガスによって還元されるので、堅型炉内の通気ガスによる還元はほとんど必要がなく、低い燃料比で操業することができる。
【0048】
このように、本発明の半還元鉄塊成鉱を堅型炉で原料として使用すると、還元鉄の内部にフリーCとFe酸化物が存在するがゆえに、金属化率の高い、ほぼ全量が金属鉄で構成された還元鉄を用いる場合よりも良好な炉内熱バランスを保つことができる。
【0049】
竪型炉で用いる原料の全量に本発明の半還元鉄を用いてもよいが、原料の一部を本発明の半還元鉄で置き換えてもよい。また、本発明の半還元鉄は高温状態で竪型炉に装入しても何ら差し支えなく、むしろ、半還元鉄が保有する熱を竪型炉での還元・溶解に有効に利用できるので、望ましい。
【0050】
堅型炉から発生するガスは回収されるが、その少なくとも一部を半還元鉄製造用の燃料として用いてもよい。
【0051】
【実施例】
表1に示す粉鉄鉱石と表2に示す粉石炭を用いて表3に示す配合率で混合した後、ペレットまたはブリケットに成形し、還元焼成炉(ロータリーキルンまたは回転床炉を使用)で焼成時間を変えて焼成し、半還元鉄塊成鉱を製造した。用いたロータリーキルンは、直径5m、長さ80mで、回転速度を8rpmとし、炉内温度を1200℃に設定した。回転床炉の設備仕様と操業条件を表4に示す。このようにして得られた半還元鉄を炭材(コークス)およびフラックス(石灰石)とともに堅型炉(能力:820t/d)に装入し、還元・溶解して銑鉄を製造し、半還元鉄の製造条件別に燃料比を求め、比較した。この場合、竪型炉の原料の全量に半還元鉄を用いた。
【0052】
表5に比較検討に使用した半還元鉄の製造条件および性状を示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
サンプルNo.1とサンプルNo.2は、粉鉄鉱石と粉石炭から直径7.5mの皿形ペレタイザーによって体積の異なるペレットを製造し、これをロータリーキルンで焼成時間を変えて焼成して得られた半還元鉄である。
【0059】
サンプルNo.3〜サンプルNo.9は、ダブルロール圧縮機でマセック形のブリケットを製造し、これを回転床炉で焼成して得られた半還元鉄である。この場合、サンプルNo.3〜サンプルNo.8では、焼成時間を変えることによって半還元鉄の外殻部の金属化率と内核部のCの残存量を調整し、半還元鉄全体の全Fe含有量、金属Fe含有量、およびフリーC含有量を変更した。また、サンプルNo.9では、体積を変えて大きいブリケットとした。
【0060】
次に、これら各サンプルを原料として用い、表6に示す条件で堅型炉を操業し、銑鉄を製造した。このときの竪型炉の燃料比を表7に示す。
【0061】
【表6】
【0062】
【表7】
【0063】
通常、焼結鉱やペレットや鉄鉱石などの鉄酸化物からなる原料を用いた場合には、燃料比は480〜550kg/p(銑鉄)−t程度であるが、前記のNo.1〜No.9のような還元鉄を用いた場合は、表7に示したように、非常に低い燃料比で銑鉄を製造することができる。
【0064】
特に、本発明で定める条件を満たす半還元鉄塊成鉱は、堅型炉の燃料比低減にきわめて有効であることがわかる。また、石炭と鉄鉱石の混合粉からダブルロール圧縮機を用いてブリケットを製造し、回転床炉により焼成して半還元鉄とした方が、皿形ペレタイザーを用いてペレットとし、ロータリーキルンで焼成して半還元鉄とした場合に比べて燃料比の低減に有効である。
【0065】
【発明の効果】
本発明の半還元鉄塊成鉱を竪型炉の原料として用い、銑鉄の製造を行えば、炉下部での吸熱や炉上部での発熱を生じることなく炉内の熱バランスを良好に保つことができ、竪型炉の燃料比を低減することができる。この半還元鉄塊成鉱は本発明の方法により容易に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】回転床炉を用いて行う従来の還元鉄の製造プロセスの一例の概略図である。
Claims (3)
- 外殻は金属Feが主体で、内核は金属Fe、Fe酸化物、遊離Cおよび不純物の二重構造を有する半還元鉄塊成鉱であって、質量%で、全Fe含有量が70%以上、金属Fe含有量が20〜50%、遊離C含有量が5%以上で、かつ体積が20cm3以上であることを特徴とする半還元鉄塊成鉱。
- 粉状鉄原料と粉状固体還元剤との混合原料を塊成化し、還元焼成炉で焼成することを特徴とする請求項1に記載の半還元鉄塊成鉱の製造方法。
- 少なくとも請求項1に記載の半還元鉄塊成鉱を含む塊状の鉄原料と、塊状の固体還元剤とフラックスを、炉内に塊状の固体還元剤の充填層を有する竪型炉へその炉上部から装入し、炉下部に設置された羽口から酸素含有ガスを吹き込んで羽口前の固体還元剤を燃焼させ、発生する高温の還元ガスで半還元鉄塊成鉱およびフラックスを溶解し、半還元鉄塊成鉱中に含まれる未還元の酸化鉄を還元するとともに浸炭することを特徴とする銑鉄の製造方法。
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