JP3864084B2 - オレフィンメタセシス触媒 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なオレフィンメタセシス触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
オレフィンメタセシス反応とは、2種類のオレフィンのアルキリデン基が形式的に相互交換する反応であり、多種多様な反応様式が知られている[アンゲバンテ・ケミー・インターナショナル・エディッション・イングリッシュ(Angew.Chem.Int.Ed.Engl.)、36巻、2036〜2056頁(1997年)参照]。オレフィンメタセシス反応の触媒活性をオレフィンメタセシス活性といい、該触媒活性を有するものをオレフィンメタセシス触媒という。
【0003】
オレフィンメタセシス触媒として、タングステン、モリブデン、レニウムを含む化合物や錯体が知られているが、最近では、ルテニウムを含む化合物や錯体が注目を集めている[アカウンツ・オブ・ケミカル・リサーチ(Acc.Chem.Res.)、34巻、18〜29頁(2001年)および有機合成化学協会誌、59巻、40〜51頁(2001年)参照]。その理由として、ルテニウム以外の触媒では困難であった官能基を有するオレフィンのメタセシス反応に活性を示すことが挙げられる。しかしながら、ルテニウムを含むオレフィンメタセシス触媒には、触媒の使用量が多いという問題点がある。例えば、ルテニウムを含むオレフィンメタセシス触媒の中で最も高活性であることが知られているイミダゾリジン錯体に関して、ジアリルマロン酸ジエチルの閉環メタセシス反応における触媒使用量の下限を調べた報告がある(WO00/71554号公報参照)。該報告によれば、触媒量が反応基質のジアリルマロン酸ジエチル基準で0.01モル%ではほとんど閉環メタセシス反応は起こらないとされている。ルテニウム自体が貴金属で高価なうえ、錯体触媒とする場合には、その調製コストが上乗せされることから、上記の触媒使用量は経済的に適合できるものではない。
【0004】
一方、ルテニウムを含むオレフィンメタセシス触媒の触媒活性を向上させる添加物が検討されており、該当する添加物として塩化第一銅および塩化第二銅が報告されている[ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)、119巻、3887〜3897頁(1997年)参照]。しかしながら、該報告では反応基質に対して5モル%の触媒を用いており、触媒活性が向上したとは言え、経済的に満足できる触媒使用量ではない。さらに、本発明者らの知見によれば、3−ヒドロキシ−1,7−オクタジエンの閉環メタセシス反応において塩化第一銅の触媒活性の向上効果は認められなかった。
【0005】
また、単独ではオレフィンメタセシス活性の無いルテニウム錯体を活性化する添加物が検討されており、塩化第一銅、塩酸および塩化アルミニウムが有効であることが報告されている[オルガノメタリックス(Organometallics)、17巻、5384〜5389頁(1998年)参照]。該報告では触媒濃度が20モル%と極めて高く、経済的に適合できる触媒にはなり得ない。さらに、本発明者らの知見によれば、3−ヒドロキシ−1,7−オクタジエンの閉環メタセシス反応において塩酸および塩化アルミニウムの触媒活性の向上効果は認められなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来知られているルテニウムを含むオレフィンメタセシス触媒は、その使用量が多く、触媒費用が高くつくことである。
【0007】
本発明の目的は、少ない触媒量で優れたオレフィンメタセシス活性を発現し得るルテニウムを含むオレフィンメタセシス触媒を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ルテニウムを含むオレフィンメタセシス触媒の触媒活性を向上させるために鋭意検討を重ねた結果、意外にも、ルテニウムを含むオレフィンメタセシス触媒と、特定の陽イオンと陰イオンから形成される塩を併用することにより、ルテニウムを含むオレフィンメタセシス触媒の触媒活性を向上させることができ、その使用量を低減させることができることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0009】
本発明は、オレフィンメタセシス活性を有するルテニウム触媒(A)ならびにスカンジウム、イットリウムおよびランタノイドからなる群より選ばれる陽イオン(a)と硝酸イオン、硫酸イオンおよびフルオロ有機スルホン酸イオンからなる群より選ばれる陰イオン(b)とから形成される塩(B)からなるオレフィンメタセシス触媒である。
【0010】
【発明の実施の形態】
オレフィンメタセシス活性を有するルテニウム触媒(A)としては、例えば、(1)ルテニウム原子を含む金属カルベン錯体、(2)金属カルベン錯体を形成し得るルテニウム化合物と触媒配位子、活性化剤などからなる混合物が挙げられる。
【0011】
ルテニウム原子を含む金属カルベン錯体としては、例えば単核中性錯体、単核カチオン性錯体、複核錯体などが知られている。
【0012】
単核中性錯体は、一般式(I)
【0013】
【化1】
【0014】
(式中、X1 およびX2 は陰イオン性配位子を表し、L1 およびL2 は電子供与性配位子を表し、R1 およびR2 は水素原子または有機ラジカルを表す。)
で示される。単核中性錯体としては、例えば、(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3−ジメシチルイミダゾール−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロライド、(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3−ジメシチル−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロライド、(トリシクロペンチルホスフィン)(1,3−ジメシチル−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン)3−メチル−2−ブテニリデンルテニウムジクロライド、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロライド、ビス(トリシクロペンチルホスフィン)3−メチル−2−ブテニリデンルテニウムジクロライドなどを挙げることができる。
【0015】
単核カチオン性錯体は、一般式(II)
【0016】
【化2】
【0017】
(式中、X3 とY― は陰イオン性配位子を表し、L3 は電子供与性配位子を表し、Zはアレーン配位子を表し、R3 とR4 は水素原子または有機ラジカルを表す。)で示される。単核カチオン性錯体としては、例えば、[(トリシクロヘキシルホスフィン)(パラシメン)(tert−ブチルビニリデン)ルテニウムクロリド][テトラフルオロボレート]などを挙げることができる。
【0018】
複核錯体は、一般式(III)
【0019】
【化3】
【0020】
(式中、X4 は陰イオン性配位子を表し、Y1 は金属を含有し、かつルテニウム中心に非イオン的に結合する単座ないし三座の配位子を表し、L4 は電子供与性配位子を表し、R5 およびR6 は水素原子または有機ラジカルを表す。)で示される。複核錯体としては、例えば、(1,3−ジtert−ブチルシクロペンタジエニルロジウムクロリド)(μ−クロリド)2{(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムクロリド}、(1,3−ジtert−ブチルシクロペンタジエニルオスミウムクロリド)(μ−クロリド)2{(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムクロリド}、(1,3−ジtert−ブチルシクロペンタジエニルルテニウムクロリド)(μ−クロリド)2{(1,3−ジメシチル−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムクロリド}などを挙げることができる。
【0021】
金属カルベン錯体を形成し得るルテニウム化合物と触媒配位子、活性化剤などから成る混合物は、これらの成分を反応させることによりルテニウム原子を含む金属カルベン錯体が形成され、オレフィンメタセシス活性を発現するものである。具体的には、ルテニウム化合物とホスフィンおよびアセチレン性結合を持つ化合物の混合物が挙げられ、該混合物を水素の存在下で処理することにより、オレフィンメタセシス活性を有する触媒活性種を調製することができる(特表2000−500700号公報参照)。また、ルテニウム化合物とイミダゾリウム塩、塩基およびアセチレン性結合を持つ化合物の混合物が挙げられ、該混合物を反応させることにより、オレフィンメタセシス活性を有する触媒活性種を調製することができる[アンゲバンテ・ケミー・インターナショナル・エディッション・イングリッシュ(Angew.Chem.Int.Ed.Engl.)、40巻、247〜249頁(2001年)参照]。
【0022】
上記のスカンジウム、イットリウムおよびランタノイドからなる群より選ばれる陽イオン(a)と硝酸イオン、硫酸イオンおよびフルオロ有機スルホン酸イオンからなる群より選ばれる陰イオン(b)とから形成される塩(B)としては、例えば硝酸スカンジウム、硝酸ランタン、硫酸ランタン、トリフロオロメタンスルホン酸スカンジウム、トリフルオロメタンスルホン酸イットリウム、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム、トリフルオロメタンスルホン酸ランタン、ペンタフルオロエタンスルホン酸スカンジウム、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸ランタンなどを挙げることができる。これらの塩は無水物であっても水和物であってもよい。また、陰イオン(b)としては、無機物などに吸着された硝酸イオンや硫酸イオン、官能基として樹脂中に存在するフルオロ有機スルホン酸イオンであってもよい。
【0023】
本発明の触媒を用いることにより、例えば、閉環メタセシス反応、非環状オレフィンのメタセシス反応、環状オレフィンと非環状オレフィンの交差メタセシス反応、環状オレフィンの開環メタセシス重合反応、非環状ジエンのメタセシス重合反応、オレフィン結合を有するポリマーのメタセシス変性反応などの多様なオレフィンメタセシス反応を行うことができる。本発明の触媒は、原料となるオレフィンまたはオレフィン結合を有するポリマーが官能基を有する場合にも有効である。
【0024】
閉環メタセシス反応は、例えば、分子内の二つのオレフィンがメタセシス反応を起こして新たな環構造を形成する反応である。原料オレフィンとして、例えば1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、3−ヒドロキシ−1,7−オクタジエン、3−アセトキシ−1,7−オクタジエン、3−メトキシ−1,7−オクタジエン、3−メトキシカルボニルアミノ−1,7−オクタジエンなどが挙げられる。
【0025】
メタセシス反応に付される非環状オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−3−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ドデセン、オクテン混合物などの鎖状または分岐状のオレフィン;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、3−ペンテン酸メチル、4−ペンテン酸メチル、アクリロニトリル、3−ペンテノニトリル、4−ペンテノニトリル、アリルアルコール、クロチルアルコール、メタリルアルコール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、プレノール、3−メチル−1−ブテン−3−オール、ゲラニオール、リナノール、7−オクテン−1−オール、2,7−オクタジエノール、1−アセトキシ−2,7−オクタジエン、1−メトキシカルボニルアミノ−2,7−オクタジエン、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、1,4−ジアセトキシ−2−ブテンなどの官能基を有するオレフィンを挙げることができる。これらのオレフィンは、目的に応じて、単独または2種以上の混合物で使用される。
【0026】
交差メタセシス反応において、前記の非環状オレフィンが使用され、各種の環状オレフィンが使用される。環状オレフィンとしては、例えばシクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロデセン、シクロドデセン、ノルボルネン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,5−シクロオクタジエン、1,4,8−シクロオクタトリエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエンなどのオレフィン;4−ヒドロキシメチルシクロヘキセン、5−ヒドロキシメチルシクロオクテン、ヒドロキシメチルトリシクロデセン、3−シクロヘキセンカルボン酸メチル、4−シクロオクテンカルボン酸メチルなど官能基を有する環状オレフィンなどが挙げられる。これらの環状オレフィンおよび非環状オレフィンは、目的に応じて、単独または2種以上の混合物で使用される。
【0027】
環状オレフィンの開環メタセシス重合反応は、環状オレフィンが開環しながらメタセシス反応を起こして重合する反応であり、オレフィン結合を有するポリマーが得られる。開環メタセシス重合反応を起こす環状オレフィンとして、例えばノルボルネン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、1−ヒドロキシメチル−5−ノルボルネン、1−アセトキシメチル−5−ノルボルネン、1−メトキシカルボニル−5−ノルボルネン、1−シアノ−5−ノルボルネン、1−メチル−1−メトキシカルボニル−5−ノルボルネン、5−ヒドロキシメチルシクロオクテン、5−ヒドロキシシクロオクテン、ヒドロキシトリシクロデセン、アセトキシトリシクロデセン、ヒドロキシメチルトリシクロデセンなどを挙げることができる。これらの環状オレフィンは、目的に応じて、単独または2種以上の混合物で使用される。
【0028】
非環状ジエンのメタセシス重合反応は、分子内の2つのオレフィン結合部位でメタセシス反応を起こして重合する反応であり、オレフィン結合を有するポリマーが得られる。メタセシス重合反応に付される非環状ジエンとしては、例えばパラ−ジアリルベンゼン、ヒドロキノンジアリルエーテルなどを挙げることができる。
【0029】
オレフィン結合を有するポリマーのメタセシス変性反応は、オレフィン結合部位でメタセシス反応させることにより、ポリマーを変性する反応であり、生成物もオレフィン結合を有するポリマーである。オレフィン結合を有するポリマー同士を反応させてもよく、またオレフィン結合を有するポリマーとオレフィンとを反応させてもよい。オレフィン結合を有するポリマーとしては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレンとブタジエンの共重合体、スチレンとイソプレンの共重合体、スチレンとブタジエンおよびイソプレンとの共重合体、スチレンとシクロヘキサジエンとの共重合体、ブタジエンとアクリロニトリルの共重合体、ブタジエンとメタクリル酸メチルとの共重合体、ブタジエンと酢酸ビニルとの共重合体などのブタジエン、イソプレン、シクロヘキサンジエンなどの共役ジエン化合物を少なくとも一成分とするポリマー;ポリノルボルネン、ポリシクロペンテン、ポリシクロオクテンなどの環状オレフィンの開環メタセシス重合により製造されるポリマーを挙げることができる。オレフィンとしては、前記の各種オレフィンが使用される。これらのオレフィン結合を有するポリマーおよびオレフィンは、目的に応じて、単独または2種以上の混合物で使用される。
【0030】
本発明の触媒の使用量は、原料オレフィンに対して0.0001〜10モル%の範囲であるのが好ましく、0.001〜1モル%の範囲であるのがより好ましい。また、オレフィンメタセシス活性を有するルテニウム触媒(A)に対する塩(B)のモル比は0.1〜10の範囲であるのが好ましく、0.5〜2の範囲であるのがより好ましい。
【0031】
本発明の触媒を用いるオレフィンメタセシス反応は、予めルテニウム触媒(A)および塩(B)を溶媒や生成物オレフィン中で混合し、得られる混合物に原料オレフィンを加えて行うか、また原料オレフィンの存在下にルテニウム触媒(A)および塩(B)を混合して行う。反応はバッチ式または連続式のいずれでも行うことができる。また、生成物オレフィンが揮発性の場合にはその一部または全部を蒸留などにより反応系外へ除去しながら反応を行うこともできる。
【0032】
本発明の触媒を用いるオレフィンメタセシス反応は、溶媒の存在下または不存在下に行われる。溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類;ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソールなどのエーテル類;メチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどのエステル類;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの含窒素溶媒類;ジメチルスルホキシド、スルホランなどの含硫黄溶媒類が挙げられる。これらの溶媒は単独で、または2種以上を混合して用いてもよい。溶媒の使用量は特に制限はないが、使用量が多い場合には経済的に不利になる。
【0033】
反応温度は0〜100℃の範囲であるのが好ましく、10〜50℃の範囲であるのがより好ましい。反応温度が低い場合には反応時間が長くなり、高い場合には副生物が増え、また触媒活性が低下する傾向にある。反応圧力は特に制限はなく、通常、反応温度に応じて生じる圧力下で反応は行われる。
【0034】
反応終了後、得られた反応混合物からの生成物オレフィンまたはオレフィン結合を有するポリマーの分離は通常の方法で行うことができる。例えば、溶媒を蒸留分離した後、必要に応じて、その残査を蒸留、再結晶、再沈殿またはカラムクロマトグラフィーで精製することにより目的生成物を得る。これらの分離方法は単独で行っても組み合わせて行ってもよい。上記の精製操作に加えて、必要に応じて、触媒の分離操作を行う。触媒の分離方法としては、薄膜蒸発法、水溶性の配位性化合物で水層へ抽出分離する方法、配位性化合物または各種吸着剤で吸着分離する方法などが採用される。これらの方法は単独で行っても組み合わせて行ってもよい。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
【0036】
実施例1
(閉環メタセシス反応の例)
アルゴン雰囲気下、25℃で、(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3−ジメシチルイミダゾール−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロライド0.9mg(1.05マイクロモル)およびトリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム塩n水和物0.7mg(約1マイクロモル、東京化成株式会社製)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解した。得られた溶液に、内標準としてデカンを0.35g加え、次いで3−ヒドロキシ−1,7−オクタジエン1.26g(10ミリモル)をシリンジで5分かけて滴下した。溶液を20時間攪拌し、反応溶液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3−ヒドロキシ−1,7−オクタジエンの転化率は90%であり、閉環メタセシス反応による2−シクロヘキセン−1−オールの選択率は77%であった。
【0037】
実施例2〜7
(閉環メタセシス反応の例)
実施例1において、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム塩n水和物の代わりに表1に示す塩を添加した以外は同様の操作を行った。ガスクロマトグラフィーによる分析結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
実施例8
(非環状オレフィンのメタセシス反応の例)
アルゴン雰囲気下、25℃で、(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3−ジメシチルイミダゾール−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロライド17.2mg(20.2マイクロモル)およびトリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム塩n水和物14.0mg(約20マイクロモル、東京化成株式会社製)をテトラヒドロフラン(5mL)に溶解した。得られた溶液に、7−オクテン−1−オール252.0mg(2.0ミリモル)をシリンジで一気に加えた。溶液を20時間攪拌した後、減圧乾固した。カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:酢酸エチル=3:1)により7−テトラデセン−1,14−ジオールを単離収率70%で得た。
【0040】
実施例9
(開環メタセシス重合反応の例)
アルゴン雰囲気下、40℃で、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム塩n水和物1.1mg(約1.6マイクロモル、東京化成株式会社製)、シクロオクテン1.68g(15.2ミリモル)および内標準としてのデカン0.45gをテトラヒドロフラン(20mL)に溶解した。得られた溶液に、(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3−ジメシチルイミダゾール−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロライド1.3mg(15.2マイクロモル)を一気に加えた後、5時間攪拌した。反応溶液にメタノール(60mL)を添加し、白色のポリシクロオクテン1.65gを得た。収率99%。
【0041】
比較例1
実施例1において、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム塩n水和物を添加しなかった以外は同様の操作を行った。3−ヒドロキシ−1,7−オクタジエンの転化率は71%であり、閉環メタセシス反応による2−シクロヘキセン−1−オールの選択率は76%であった。
【0042】
比較例2〜5
実施例1において、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム塩n水和物の代わりに表2に示す添加物を添加した以外は同様の操作を行った。ガスクロマトグラフィーによる分析結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
比較例6
実施例8において、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム塩n水和物を添加しなかった以外は同様の操作を行った。7−テトラデセン−1,14−ジオールの単離収率は54%であった。
【0045】
比較例7
実施例9において、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム塩n水和物を添加しなかった以外は同様の操作を行った。ポリシクロオクテンの単離収率は78%であった。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、少ない触媒量で優れたオレフィンメタセシス活性を発現し得るルテニウムを含むオレフィンメタセシス触媒が提供される。
Claims (1)
- オレフィンメタセシス活性を有するルテニウム触媒(A)ならびにスカンジウム、イットリウムおよびランタノイドからなる群より選ばれる陽イオン(a)と硝酸イオン、硫酸イオンおよびフルオロ有機スルホン酸イオンからなる群より選ばれる陰イオン(b)とから形成される塩(B)からなるオレフィンメタセシス触媒。
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