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JP3863625B2 - モルタル複合型炭素繊維シートによるトンネル覆工補強工法 - Google Patents

モルタル複合型炭素繊維シートによるトンネル覆工補強工法 Download PDF

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JP3863625B2
JP3863625B2 JP07205297A JP7205297A JP3863625B2 JP 3863625 B2 JP3863625 B2 JP 3863625B2 JP 07205297 A JP07205297 A JP 07205297A JP 7205297 A JP7205297 A JP 7205297A JP 3863625 B2 JP3863625 B2 JP 3863625B2
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中 克 典 野
田 信 一 山
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、山岳トンネル、地下鉄シールドトンネル、地下駅、地下通路等のトンネルの補強工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のようなトンネルにおいては、経年により覆工コンクリートが劣化し、覆工剥離やひび割れ等の損傷を起こすなどにより耐力が減少し、思わぬ災害を招くおそれが生じる。
【0003】
そこで従来から覆工コンクリートが劣化した場合、これを補強する手段が採られている。従来の補強手段としては、
▲1▼ 覆工コンクリートの表面にコンクリートを打ち足して増厚させる方法。
▲2▼ 覆工コンクリートの表面に二次製品コンクリート(プレキャストRC)を設置する方法。
が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに上記いずれの方法によるものであっても、トンネルの内側に20〜30cm厚のコンクリートの打設、あるいは二次製品コンクリートの設置がなされるため、トンネルの内空断面積が大幅に減少し、トンネルとしての有効断面が狭くなってしまうという問題点があるとともに、施工時に全面交通止めあるいは片側交通止めが必要となり、活線施工が著しく困難であるという問題点がある。
【0005】
さらに施工のための支保工などの設備が大掛りとなり、施工に要する工期も長くかかるという問題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の点に鑑み、トンネルの内空断面の減少が極めて小さくてすみ、かつ活線施工が可能であるとともに短い工期での施工を可能とすることを課題としてなされたもので、その解決手段としては、トンネルの覆工表面に早強性セメントモルタルを塗布し、その上に炭素繊維シートを貼付け、炭素繊維シート上からボルトを覆工コンクリート層に打設して該炭素繊維シートを覆工に固定し、ボルトにより固定された炭素繊維シートの上にエポキシ系樹脂を含浸させて炭素繊維シートを固化させ、さらにその上から早強性セメントモルタルを塗布することにより早強性セメントモルタルと炭素繊維シートとを複合一体化させるようにしたものである。
【0007】
このほかトンネルの覆工表面に、エポキシ系樹脂を塗布し、その上に炭素繊維シートを貼り付け、該炭素繊維シートにエポキシ系樹脂を含浸させることにより1層目の炭素繊維強化プラスチックシートを形成し、離型処理を施した板の上に早強性セメントモルタルを均一に流し、早強性セメントモルタルが固まる前に炭素繊維シートを当接させて貼付け、この炭素繊維シートにエポキシ系樹脂を含浸させて2層目の炭素繊維強化プラスチックシートを形成し、前記1層目の炭素繊維強化プラスチックシートの上に塗布されたエポキシ系樹脂を介して前記2層目の炭素繊維強化プラスチックシートを重ね、2層目の炭素繊維シートのエポキシ系樹脂が固まる前に前記複合板の上からボルトを覆工コンクリート層に打設して該炭素繊維強化プラスチックシートを覆工に固定し、前記2層目の炭素繊維シートの表面を早強性セメントモルタルで仕上げる工程を含むことを特徴とする、モルタル複合型炭素繊維シートによるトンネル覆工補強工法、さらには、上記各工法に加え、前記炭素繊維シートの施工後、トンネルの断面形状を有する所要幅の鋼材をそわせて固定するようにすることができる。この場合、前記シート固定用のボルトを上記鋼材を貫通させ、鋼材と共にボルトで覆工コンクリートに固定するようにしてもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施の形態を参照して説明する。
図1は地山1に構築されたトンネルの覆工コンクリート2の表面に本発明による覆工補強3を施す対象例を示し、図2は請求項1に記載の発明の一実施形態を示すもので、図1の覆工補強を施した状態を図1のA−A断面として一部を拡大して示している。
【0009】
上記覆工補強のための施工手順としては、まず覆工コンクリート2の表面の汚れを落とす下地処理を行ったのちプライマ(接着剤)4を塗布し、その上に早強性のセメントモルタル5の塗布を行い、このセメントモルタル5が固まる前にその上に炭素繊維シート6を貼布する。
【0010】
この炭素繊維シート6の貼布後、ボルト7,7を建込み、その頭部7aにより当該シート6を固定する。このボルト7は直径6mm,長さ40mm程度のものを使用することが望ましく、また発錆を防ぐ意味でステンレススチール製とするのがよい。さらにこのボルト7の設置数は、1m2 当り1本程度とされる。
【0011】
上記のようにしてボルト7により固定された炭素繊維シート6の上にエポキシ樹脂等の樹脂8を含浸させて炭素繊維シート6を固化させ、さらにその上からモルタル9を塗着させて仕上げられる。
【0012】
上記施工による最終厚は8mm未満で施工することができる。
【0013】
このほか請求項2においては、離型処理を施した図示しない板の上に早強性セメントモルタルを均一に流し、早強性セメントモルタルが固まる前に炭素繊維シートを当接させて貼付け、この炭素繊維シートにエポキシ系樹脂を含浸させて得られた炭素繊維強化プラスチックシート10と早強性セメントモルタルとを一体化することにより複合板を形成し、この複合板を図3のように覆工コンクリート2の表面にボルト7で固定するようにし、覆工コンクリート2の表面と複合板10との間にグラウトセメントモルタル注入材11を注入し、表面をモルタル9で仕上げることで補強施工する。
【0015】
図5、図6は本発明の他の実施形態を示すもので、幅Lが100〜150mm程度、板厚2〜3mm程度の鋼材によりトンネルの覆工コンクリート2の内周形状に整合するようアーチ状に形成された鋼材12が用いられ、図2の例の場合を示すと、前述のように貼布された炭素繊維シート6の表面にこの鋼材12を当接してこの鋼材12の幅Lの範囲内にボルト7を建込み、次いで前記の実施形態と同様にエポキシ樹脂8,モルタル9を施工する。上記鋼材12の設置間隔は2mを標準とする。しかしこの鋼材12の寸法や設置間隔はトンネルの覆工コンクリート2の劣化状況等に応じて適宜選択される。なお上記鋼材12は、ボルト7を打設したあとその上にそわせるようにしてもよい。
【0016】
上記施工は、移動可能な簡易なリフトに乗っての作業ができ、支保工や型枠組み等の大掛りな設備は全く不要である。
【0017】
上記の覆工補強工法による強度試験を図7に示すテストピース13によって行ったところ、図8に示すような結果が得られた。すなわちコンクリート14の下面に炭素繊維シート片15を各態様により固定したテストピース13の両端を支点16,16により支持し、上面中央に荷重Pを載荷した結果、図8に示すように無補強無筋コンクリートでは5t未満の荷重によりスパン中央部の変位量が4mm程度で破壊に至り、無補強鉄筋コンクリートでは約5t、炭素繊維シート片15を接着したのみのものでは8t未満、炭素繊維シート片15をボルトで止めたものでは8tを超え、炭素繊維シート片15とボルトと鋼材とを合わせたものでは10tに至った。その結果、本発明による覆工補強工法を実施することにより、コンクリートの曲げ強度,せん断強度,じん性が著しく増大することが判明した。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば下記の効果を得ることができる。
(1)炭素繊維シートによる補強により、既設コンクリートと一体となり、曲げおよびせん断を同時に補強することができる。
(2)表面がセメントモルタル層で覆われるので、耐火性,耐酸性、および耐火性に優れた構造となる。
(3)ボルトあるいはボルトと鋼材とにより高い安全性が確保される。
(4)施工後の厚さが8mm程度の増加ですむので、トンネルの内空断面の減少をきわめて小さくすることができる。
(5)活線中での施工が可能であり、交通の妨げを少なくすることができる。
(6)施工のための設備が簡単であり、工期も著しく短くてすむ。
(7)施工後の仕上り面は既設コンクリートと同じ色調にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の施工例としてのトンネルを示す正面図。
【図2】本発明の請求項1にかかる補強方法の実施形態を示す図1のA−A拡大断面による説明図。
【図3】本発明の請求項2にかかる補強方法の実施形態を示す図2相当図。
【図4】本発明の請求項3にかかる補強方法の実施形態を示す図2相当図。
【図5】鋼材を併用する場合(請求項4、5)の鋼材の斜視図。
【図6】鋼材を併用して補強した状態を示す図2相当図。
【図7】本発明による補強強度を試験するテストピースの説明図。
【図8】同、試験結果を示すグラフ。
【符号の説明】
1 地山
2 覆工コンクリート
3 覆工補強
4 プライマ
5,9 セメントモルタル
6 炭素繊維シート
7 ボルト
8 エポキシ樹脂
10 複合板
12 鋼材
13 テストピース
14 コンクリート片
15 炭素繊維シート片
16 支点

Claims (4)

  1. トンネルの覆工表面に早強性セメントモルタルを塗布し、その上に炭素繊維シートを貼付け、
    炭素繊維シート上からボルトを覆工コンクリート層に打設して該炭素繊維シートを覆工に固定し、
    ボルトにより固定された炭素繊維シートの上にエポキシ系樹脂を含浸させて炭素繊維シートを固化させ、
    さらにその上から早強性セメントモルタルを塗布することにより早強性セメントモルタルと炭素繊維シートとを複合一体化させる工程を含むことを特徴とする、
    モルタル複合型炭素繊維シートによるトンネル覆工補強工法。
  2. 離型処理を施した板の上に早強性セメントモルタルを均一に流し、早強性セメントモルタルが固まる前に炭素繊維シートを当接させて貼付け、この炭素繊維シートにエポキシ系樹脂を含浸させて得られた炭素繊維強化プラスチックシートと早強性セメントモルタルとを一体化することにより複合板を形成し、
    前記複合板の上からボルトを覆工コンクリート層に打設して該複合板を覆工に固定し、該複合板と前記覆工表面との隙間にグラウトセメントモルタルを注入し、
    前記複合板の表面を早強性セメントモルタルで仕上げる工程を含むことを特徴とする、
    モルタル複合型炭素繊維シートによるトンネル覆工補強工法。
  3. 前記炭素繊維シートの施工後、トンネルの断面形状を有する所要幅の鋼材をそわせて固定する工程を含む請求項1又は2に記載のモルタル複合型炭素繊維シートによるトンネル覆工補強工法。
  4. 前記ボルトを前記鋼材を貫通して覆工コンクリート層に打設する請求項記載のモルタル複合型炭素繊維シートによるトンネル覆工補強工法。
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