JP3863584B2 - トナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真法により画像形成を行う複写機,プリンタ等の画像形成装置(以下、電子写真装置とも呼ぶ。)に使用されるトナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的な電子写真法を用いた画像形成プロセスを説明する。先ず、ドラム状あるいはベルト状の支持体上に光導電性材料層が形成されてなる静電潜像担持体(以下、単に像担持体または感光体と呼ぶ。)を帯電する。この帯電方法としては、従来から使用されているコロナ放電器を用いる方法や、近年、オゾン発生量の低減を目的として使用されている導電性ローラを感光体表面に直接押圧する接触型の帯電方法がある。感光体を帯電した後、複写機の場合は、複写原稿に光を照射して得られた反射光をレンズ系を通じて感光体表面に照射することにより感光体表面に静電潜像を形成し、プリンタの場合は、露光用光源としての発光ダイオードやレーザーダイオードに画像信号を送り発光ダイオードやレーザーダイオードの光をON−OFFさせることにより感光体表面に静電潜像を形成する。感光体表面に静電潜像が形成されると、この静電潜像が予め帯電された一般に直径が5μm〜15μm程度の着色粉体であるトナーによって可視像化される。ここでトナーは静電線像の電位すなわち感光体の表面電位の高低に応じて感光体表面への付着量が決まる。このようにして得られたトナー画像は、転写紙に電気的に転写され、転写紙に転写されたトナー画像は定着器により加圧定着また加熱圧定着される。転写紙へのトナー画像の転写は、予め正または負に帯電されたトナーを転写紙の背面にトナーの帯電極性と反対極性の電荷を付与してトナーを電気的に吸引することにより行われる。これまで、転写方法としては、前記帯電方法と同じくコロナ放電器が広く用いられてきたが、オゾン発生量の低減のために近年では導電性ローラを用いた転写方法が実用化されている。トナー画像の転写において感光体表面上の全てのトナーが転写紙に転写されるのではなく、一部は感光体表面に残留する。このため、次の画像プロセスに備えて感光体表面に残留したトナーはクリーニングブレード等のクリーニング手段により感光体表面から除去され、廃トナーとして回収される。
【0003】
前記画像形成に供され、クリーニング手段によって回収されるトナー、所謂、廃トナーは再利用されず廃棄されるのが一般的である。昨今、地球環境保護の点から、産業廃棄物の無制限な廃棄を規制することの重要性が叫ばれている。トナーは微粉体であることから不用意な廃棄は環境汚染につながる。このため、トナーを廃棄することなく再利用できるようにすることは極めて重要な課題になってきいる。
【0004】
前記静電潜像をトナーによって可視像化する現像方法としては、カスケード現像法,タッチダウン現像法,ジャンピング現像法等がある。カスケード現像法は、米国特許3105770に開示された感光体表面に直接現像剤(トナー)を振りかける方法で、電子写真方法を用いた初の実用複写機に用いられた現像法である。米国特許3866574には現像ローラに交流バイアスを印加し、一成分トナーを飛翔させて現像する方法が開示されている。この現像方法では現像ローラに印加する交流バイアスがトナーの現像ローラ上での動きを活性化する目的に用いられ、トナーは感光体表面の画像部(静電潜像の画像部となる部分)には飛翔し、非画像部(静電潜像の非画像部となる部分)では途中でローラ上に舞い戻ると説明されている。ジャンピング現像は米国特許3866574に記載された現像ローラに交流バイアスを印加する技術を改良したもので、特公昭63ー42256号公報に開示されている。このジャンピング現像法はトナーを現像ローラ等のトナー担持体に担持させ、トナー担持体に対して微小な間隙を空けて剛性体または弾性体からなる規制ブレードを設置し、この規制ブレードによりトナーをトナー担持体上で薄層に規制し、この薄層を現像部まで運び、そこでトナー担持体に印加された交流バイアスによりトナーを飛翔させ、感光体表面の画像部(潜像の画像部となる部分)にトナーを付着させる方法である。この特公昭63ー42256号公報に開示されたジャンピング現像法は、感光体表面の画像部(静電潜像の画像部となる部分)及び非画像部(静電潜像の非画像部となる部分)の両方においてトナーが往復運動するという点で前述の米国特許3866574に開示された現像方法と技術思想を異にするものである。
【0005】
図4は特開昭48−69524号公報、USP2,807,233号公報、特開平3−155584号公報などに記載された転写装置の構成を概略的に示した断面図であり、図において、100は発泡性または固体状態のゴムからなり、107 Ω程度の中抵抗に調整された転写ローラ、101は転写ローラ101に電圧を印可するための電源、102は感光体、103は転写紙、104はトナーである。この転写装置による転写動作は以下のようにしいて行われる。転写ローラ100は感光体102に所定の押圧力で当接しており、転写ローラ100と感光体102間に挿入された転写紙103は、感光体102に転写ローラ100によって押し当てられ,トナー104と接触する。転写ローラ100にはトナー104と反対極性の電圧が電源装置101から印加されているためトナー104は転写紙103に転写される。かかる転写ローラによる転写方式は、接触転写であるため、電源装置101から印可する電圧は数百〜3000V程度と低く、従来のコロナ転写装置と比べて有害なオゾン発生量を極めて低く抑えることができる。
【0006】
複写用紙に転写されたトナーを用紙上に永久定着させるために用いられる定着方法としては、熱ロール法、加圧ロール法、フラッシュ定着法、薬剤を用いた方法等が知られている。そのなかで、接触状態でトナーを溶融し用紙上に定着させる熱ロール法がエネルギー効率、安全性、印字品質の面から一般的である。
【0007】
周知のように、前記トナーは、通常、結着樹脂,顔料もしくは染料からなる着色剤,可塑剤,及び電荷制御剤を含んで構成され、必要に応じて前記材料の他に、磁性体,離型剤(以下、ワックスと称する。)等の添加剤が添加されて構成されている。結着樹脂としては、天然または合成樹脂の単一種の樹脂または複数種の樹脂が混合されて使用される。製法としては、前記材料を適当な割合で予備混合し、この予備混合物を溶融混練した後、混練物を冷却し、この冷却により固化した混練物を例えば気流式衝突板方式等によって微粉砕し、得られた粉砕物を微粉分級してトナー母体を得た後、このトナー母体に外添剤を外添処理してトナーを得る方法が一般的である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、電子写真装置において画像形成を繰り返し行っていくと、トナーが感光体表面やキャリア表面、または現像時にトナーを担持するトナー担持体表面に固着する、いわゆるトナーフィルミング現象が生じる場合がある。これは、トナーを構成する結着樹脂やワックスが凝集性を示し、これらが軟化して感光体表面,キャリア表面,トナー担持体表面に付着すると、除去されず、固着してしまうために起こるものと考えられる。このような感光体表面へのトナー成分(以下、単にトナーと称する。)の固着が起こると、露光時に画像パターンに対応した光の一部が遮断されることとなり、画像パターンに対応した静電潜像が形成されず、正転現像では黒点等の画像欠陥を発生し、反転現像では白抜け等の画像欠陥を発生することとなる。また、キャリア表面にトナーが固着すると、キャリアとトナーの摩擦帯電において帯電不良を起こし、キャリアからトナーに必要な電荷量が与えられず、トナー帯電量が低下して、画像品質が著しく劣化することとなる。また、トナー担持体表面にトナーが固着すると、トナー固着部にトナーが搬送されなくなり、画像欠陥を発生することとなる。
【0009】
近年、トナーの生産コストを低減させる面から、一種類のトナーを低速機から高速機の複数の電子写真装置に対応させる試みが行われている。しかしながら、前記のトナーフィルミング現象は画像形成速度(以下、印字スピードと称する。)の増加とともに顕著に現れることとなる。つまり、印字スピードの増加に伴って、定着スピードが増加すると、単位時間当たりにトナーに与えられる熱量が減少するため、少ない熱量でもトナーが定着可能となるように、トナーの結着樹脂を低粘度化することが行われる。しかしながら、結着樹脂を低粘度化すると、結着樹脂自体の強度が低下することとなり、前記凝集性をより増大させてしまうためである。かかる欠点を解消するため、定着時に同一熱量を与えることができるように、印字スピードの増大に伴って定着温度を上昇させることが考えられるが、消費電力の増大、機内温度の上昇、ウオームアップ時間の増加といった面から好ましくない。また、この結着樹脂を低粘度化したトナーを定着スピードの遅い低速機に適用した場合は、結着樹脂の粘弾性が不足するため、定着時に複写用紙上のトナーが定着ローラに付着して,ローラの回転とともに複写用紙に再転写する、いわゆるホットオフセット現象を発生することになる。
【0010】
そこで、結着樹脂として、その分子量分布における高分子量領域と低分子量領域のぞれぞれにピークを有するものを用いることが行われている。つまり、高分子量領域には、これが有する樹脂強度を活かして耐ホットオフセット性を持たせ、低分子量領域には、これが有する低粘性を活かして複写用紙に対する定着性を担わせるのである。しかし、この方法では、定着スピードの幅が狭い範囲で異なる装置には対応できるものの、低速機から高速機といった定着スピードの幅が広い範囲で異なる装置にたいしては、定着性,耐ホットオフセット性,及び耐フィルミング性のいずれの特性をも満足できるものにすることはできない。
【0011】
前記ワックスとしては、低分子量ポリプロピレンワックス,ポリエチレンワックス等が一般的である。ポリプロピレンワックスは離型作用を持つためホットオフセット現象の改善には効果的であるものの、高速定着における定着性改善には効果がない。一方、ポリエチレンワックスは、それ自身が摩擦低減効果を持つため、複写用紙中に浸入することで定着性に寄与する低分子量成分が同量であっても、定着性向上効果を奏する。つまり、ポリエチレンワックスを添加することによる定着性向上効果、複写用紙とトナーとの結合を強化するのではなく、外部からの力を逃がす効果によるものである。
【0012】
しかし、両ワックスともに単に添加しただけでは、それ自身の結着樹脂中での分散性が悪いために、逆極性トナーを発生したり、また、前記凝集性によりトナーフィルミング現象を生じさせることとなる。これらの現象はワックスを多量に添加した場合に特に顕著に発生する。ワックスの分散性は結着樹脂特性に左右され、定着性向上のために低粘度の樹脂を用いた場合、トナー製造時の混練工程において練り力が有効に加わらなくなるため、ワックス等の内添剤の分散性が劣悪なものとなる。ワックスの分散性を改善するためには、混練時に強い練り力を溶融状態のトナーに作用させることが必要である。しかしながら、強い練り力を与えるために樹脂粘性が大きい低温域にて混練を行うと、混練機と溶融トナーとの間で発生する摩擦熱が大きくなって、低温度が安定に維持されず温度上昇することとなり、その結果、樹脂粘性が低下して、結局、練り力が低下してしまう。
【0013】
また、ワックスを均一に分散できた場合でも、ワックス粒径が小さすぎると定着性改善効果はほとんど見られず、添加した意味がない。
前記したカスケード現像法は、従来から言われているようにベタ画像再現性が劣悪である。また、装置を大型複雑化するという欠点を有している。特に、前記米国特許3866574に記載されたカスケード現像を行う現像器は、複雑で高コストであるという欠点を有している。一方、ジャンピング現像法は良好なトナー画像を得るためにはトナー層を担持したトナー担持体上に極めて均一な厚みのトナー薄層を形成しなければならず、ジャンピング現像を行う現像器には高い機械的精度が要求され、現像器の製造が容易でないという欠点がある。また、ジャンピング現像法では、しばしばトナー担持体上のトナー薄層に前画像の履歴が残り,得られるトナー画像にしばしば不要な残像が現れる、いわゆるスリーブゴースト現像を発生するという欠点がある。また、現像器の構成が複雑でコストが高くなるという欠点もある。本出願人は、以上の欠点に鑑み、現像器の小型化、高性能化を実現できる現像法を特開平5−72890号公報に提案した。この現像法は固定磁石を内包する像担持体を用い、静電潜像を形成した像担持体に現像剤を振りかけて現像剤を像担持体に磁気的に付着させ、像担持体により現像剤を像担持体と所定の間隙を空けて対向するよう配設された磁石を有する現像剤回収電極ローラ(以下、単に電極ローラとも称す。)部まで担持搬送し、電極ローラに交流バイアスを印加して、像担持体上の非画像部のトナーを静電力及び磁力によって除去する,或いは現像剤が二成分現像剤であればトナー及びキャリアを静電力及び磁力によって除去するものである。この現像法によれば、ベタ画像を忠実に再現でき、スリーブゴーストの発生も抑制できるとともに、画像形成装置そのものの小型化,簡素化及び低コスト化を図ることができる。
【0014】
しかしながら、この現像法では高画質化及び画質の長期安定化を行うためには、より高性能なトナーが要求される。これは以下の理由による。この現像法では、トナーを薄層に規制する規制ブレードを用いないので、トナーは層規制されることなく感光体と電極ローラとの狭ギャップの空間である現像場に搬送される。つまり、トナーが摩擦帯電して所望の電荷量を得るための場所と空間が、他の従来の現像法により現像を行う場合に比して僅かしかなく、従って、かかる現像法により高画質画像を安定形成するためには、より均一で,かつ,高帯電な帯電特性が得られるトナーが必要になる。かかる現像法においてトナーの摩擦帯電性にばらつきが生じた場合、ベタ黒画像部や中間調画像部にムラが生じたり、また、非画像部に地カブリが増加することになる。また、かかる現像法に使用されるトナーは、磁性体を含有させてなるものであり、定着に寄与する結着樹脂成分が必然的に少ない構成のものである。従って、かかる現像法ではその定着性能がより改善されたトナーが要求される。また、かかる現像法では、現像工程で最初にトナーが感光体全体にふりかけられるため、他の従来の現像法に比べてトナーと感光体が時間的により長く接触することとなり、トナーフィルミングが発生し易い。従って、かかる現像法ではトナーフィルミングがより発生しにくいトナーが要求される。
【0015】
また、前記したように、地球環境保護の観点からは、現像後に感光体上に残留し、クリーニング手段によって回収されたトナーをリサイクルするのが好ましい。しかしながら、クリーニング工程で除去され再度現像工程に戻される廃トナーは、初期のトナーと特性が大きく変化しており、画像に悪影響を与える。これは、廃トナーをリサイクルするとき、廃トナーはクリーニング手段から輸送管を通して現像器内に運ばれるため、この間に機械的なストレスを受け、流動性が低下してしまうことに起因している。特に、ワックスが存在するトナーの軟質部分にダメージが加わりやすいため、廃トナーリサイクルに供されるトナーとしてはワックスがより良好に分散しているトナーが要求される。
【0016】
また、前記の導電性弾性ローラを用いた転写方法では、転写ローラがトナーによって汚染され、その結果、転写紙の裏面が汚れることがある。これは、感光体上のトナーを転写ローラを用いて転写紙に転写する場合、用紙がない状態では転写ローラは感光体に所定の圧力で当接し、この間に現像時のカブリによるトナーによって転写ローラが汚染されるためである。さらに、転写ローラによる転写は接触転写で、感光体の表面状態に敏感であるため、コロナ転写では問題にならないような感光体表面への若干のトナーフィルミングによっても、画像ムラを生じてしまう。従って、転写ローラを用いた転写に供されるトナーとしてはワックスがより良好に分散しているトナーが要求される。
【0017】
本発明は前記のような課題に鑑みてなされたものであり、ワックスを添加してなるトナーにおいて、感光体表面等へのトナーフィルミングを防止できるとともに、高濃度で低地カブリの高画質画像が得られ、しかも、良好な定着特性が得られるトナーを提供することを目的とするものである。
【0018】
また本発明の他の目的は、特開平5−72890号公報に提案した現像装置の小型化,簡素化,及び低コスト化を可能にした電子写真装置に供されるトナーであって、感光体表面等へのトナーフィルミングを防止できるとともに、長期間の高画質画像の安定形成を可能にし、しかも、良好な定着特性が得られるトナーを提供することを目的とするものである。
【0019】
また本発明の他の目的は、廃トナーのリサイクルが行われるよう構成された電子写真装置に供されるトナーであって、感光体表面等へのトナーフィルミング及び感光体表面の傷の発生を防止できるとともに、現像器内での帯電量変動が少なく,長期間の高画質画像の安定形成を可能にし、しかも、良好な定着特性が得られるトナーを提供することを目的とするものである。
【0020】
また本発明の他の目的は、導電性弾性ローラにより転写プロセスが行われるよう構成された電子写真装置において、転写用紙の裏汚れ及び転写ムラによる画像ムラの発生を防止できるトナーを提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるトナーは、結着樹脂中に少なくとも着色剤及びワックスを分散してなるトナーであって、前記結着樹脂が、その分子量分布が、ゲルパーミエーション・クロマトグラフィーによる分子量測定において、分子量2万〜150万の高分子量領域と,2000〜2万の低分子量領域とにそれぞれ少なくとも一つのピークを有するとともに、前記高分子量領域と前記低分子量領域の重量比(HP/LP)が25/75〜50/50の範囲にあるもので、かつ、その150℃でのメルトインデックス値が4〜40g/10minの範囲にあり、前記トナーが、前記式(化1)で示されるワックス分散助剤を予め添加された前記結着樹脂、着色剤及びワックスを溶融混練分散してなり、前記ワックスがポリエチレンを少なくとも50重量%以上含むポリアルキレンワックスであり、前記ワックスの添加量が前記結着樹脂100重量部あたり0.5〜10重量部であり、記ワックス分散助剤の添加量が、前記結着樹脂100重量部あたり0.2〜5重量部であり、かつ前記ワックス分散助剤の添加量が、前記ワックスの添加量の2分の 1 の量以下であり、前記ワックスが前記結着樹脂中に粒子径が0.1μm以下の粒子が30個数%以下、粒子径が0.1〜3.0μmの範囲にある粒子が70個数%以上、粒子径が3.0μm以上の粒子が0.1個数%以下の粒度分布をもって分散されていることを特徴とする。
【0022】
前記構成においては、前記ワックスの軟化点が80〜140℃の範囲にあるのが好ましい。
また前記構成においては、前記ワックスの25℃での針入度が8以下であるもが好ましい。
【0023】
また前記構成においては、前記ワックスがポリエチレンを少なくとも50重量%以上含むポリアルキレンワックスであるのが好ましい。
また前記構成においては、前記ワックス分散助剤が前記結着樹脂100重量部あたり0.2〜5重量部配合されているのが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明のトナーにおいては、結着樹脂中に少なくとも着色剤及びワックスを分散してなるトナーであって、前記結着樹脂の分子量分布が、GPCによる分子量測定において分子量2万〜150万の高分子量領域と,2000〜2万の低分子量領域とにそれぞれ少なくとも一つのピークを持ち、前記高分子量領域と前記低分子量領域との重量比(HP/LP)が25/75〜50/50の範囲にあるものであり、前記結着樹脂の150℃でのメルトインデックス値が4〜40g/10minの範囲にあり、前記結着樹脂中に前記式(化1)で示されるワックス分散助剤が前記結着樹脂100重量部あたり0.2〜5重量部含有されて、前記ワックスが前記結着樹脂中に粒子径が0.1μm以下の粒子が30個数%以下、粒子径が0.1〜3.0μmの範囲にある粒子が70個数%以上、粒子径が3.0μm以上の粒子が0.1個数%以下の粒度分布を有するように分散されてなるものとしているので、結着樹脂がGPCによる分子量測定において分子量が2万〜150万の高分子量領域と,2000〜2万の低分子量領域とにそれぞれ少なくとも一つのピークを持ち、前記高分子量領域と前記低分子量領域との重量比(HP/LP)が25/75〜50/50の範囲にある分子量分布を有し、150℃でのメルトインデックス値が4〜40g/10minの範囲にあるものであることから、高分子量領域が担う樹脂強度と低分子量領域が担う低粘性とにより、定着スピードに関係なく、常に、ホットオフセットを発生することなく,高い定着性でもってトナー定着画像を得ることができ、しかも、キャリアとの混合においてもトナーの被破が生じず、現像器内での良好な流動性を長期間維持することができる。また、結着樹脂中にワックスが粒子径が0.1μm以下の粒子が30個数%以下、粒子径が0.1〜3.0μmの範囲にある粒子が70個数%以上、粒子径が3.0μm以上の粒子が0.1個数%以下の粒度分布を有する状態、すなわち、極大粒子径の粒子や極小粒子径の粒子が極めて少ない粒度分布を有する状態に分散されていることから、逆帯電トナーや低帯電量トナーの発生を防止でき、しかも、トナーの凝集性を小さくして、感光体表面,キャリア表面,及びトナー担持体表面へのトナー付着(フィルミング)を防止することができる。
【0025】
前記ワックス分散助剤は前記式(化1)に示すようにスチレンポリマーにオレフィンをブロック重合してなるものであるが、式(化1)中のオレフィン部分の分子量nを500〜10000の範囲に特定しているのは、500より小さいとワックスの分散性を向上させる効果がなく、10000より大きいと分散助剤自体を結着樹脂中に偏在することなく分散させることが困難になるためである。また、ワックス分散助剤全体の分子量(n+m)は5000〜500000の範囲に特定しているのは、5000より小さいと熱安定性が乏しくトナーが凝集し、保存性が著しく劣悪なものになり、500000より大きいと分散助剤自体を結着樹脂中に偏在することなく分散させることが困難になるためである。
【0026】
前記ワックス分散助剤はスチレンポリマーにオレフィンをブロック重合したものであるから、トナー製造時の混練工程において、溶融した結着樹脂中のワックス表面に相溶し、ワックス同士が会合して粗大ワックス粒子を形成するのを阻害し、そして、この混練時に、結着樹脂のメルトインデックス値が4〜40g/10minの範囲にあるため、適度な練り力が混練中のトナーに働き、ワックス粒度が制御されて、ワックスが前記粒度分布でもって結着樹脂中に分散し、得られるトナーは定着性と現像性の両者において優れた特性を有するものとなる。また、結着樹脂のメルトインデックス値が4〜40g/10minの範囲にあることから、連続した混練においても、強い練り力を作用させる必要がないため、溶融トナーの摩擦熱による温度上昇も抑制され、しかも、仮に温度上昇が発生した場合でも、練り力低下による粗大ワックス粒子の発生は、ワックス分散助剤によって阻害される。
【0027】
前記構成の好ましい例として、前記ワックスの軟化点が80〜140℃の範囲にあると、キャリア表面等へのトナー付着防止効果が一層高まるとともに、ホットオフセット防止効果が一層高くなる。
【0028】
また前記構成の好ましい例として、前記ワックスの25℃での針入度が8以下であると、トナーの良好な流動性が長期間維持されることとなり、トナー帯電量が長期間安定に推移することになる。
【0029】
また前記構成の好ましい例として、前記ワックスがポリエチレンを少なくとも50重量%以上含むポリアルキレンワックスであると、トナー定着画像表面の摩擦抵抗を有効に低下させ、外部から加えられた力が逃がされるため、トナーの定着性をより向上させることができる。
【0030】
また前記構成の好ましい例として、前記ワックス分散助剤が前記結着樹脂100重量部あたり0.2〜5重量部配合されていると、保存性が良好なトナーになる。
【0031】
本発明のトナーは、転写プロセス後に像担持体上に残留したトナーを現像装置内に回収して再度現像プロセスに利用する廃トナーリサイクルシステムを具備する画像形成装置に好適に使用される。これは本発明のトナーが結着樹脂の高分子量領域成分によって強度が付与され、しかも、ワックスの粗大粒子を含まないものであることにより、廃トナーリサイクルを行っても、トナーの被破による不良粒子やワックスの脱落粒子が発生せず、トナーの流動性及び帯電量を安定に推移させることができるためである。
【0032】
また本発明のトナーは、固定磁石を内包しその表面が所定方向に移動する像担持体と、トナーを収容するホッパー,磁石を内包しその表面の所定領域が前記像担持体の表面に所定間隔を空けて対向するトナー回収電極ローラ,及びこのトナー回収電極ローラの表面の前記所定領域とは異なる領域に圧接したスクレーパを有する現像装置とを備え、前記所定方向に移動する像担持体の表面に静電潜像を形成し、この静電潜像が形成された像担持体の表面に前記固定磁石の磁気力により前記ホッパーに収容されているトナーを磁気的に吸引させた後、前記トナー回収電極ローラにより前記像担持体の表面に付着したトナーのうちの前記静電潜像の画像部以外に存在しているトナーを回収して前記像担持体の表面にトナー画像を形成し、前記トナー回収電極ローラの表面に回収された前記トナーを前記スクレーパにより前記ホッパーの内部に掻き落とす現像システムを具備する画像形成装置に好適に使用される。これは、かかる現像システムは、現像器の構成がシンプルになっている分、トナーが帯電され得る機会が少なく、トナーの高帯電特性が得られにくく,また現像時にトナーと感光体とが長く接触することから感光体にトナーフィルミングが発生し易いものであるが、本発明のトナーが結着樹脂の高分子量領域成分によって強度が付与され、しかも、ワックスが結着樹脂中に粗大粒子を含まず、均一に分散されたものであることから、本発明のトナーを当該現像システムに適用した場合には、感光体表面へのトナーや遊離したワックス粒子のフィルミングが生じず、また、トナーの流動性が良好に維持されて逆極性トナーを発生することなく高帯電量特性が得られることとなり、欠陥のない高濃度画像を得ることができるためである。また、かかる現像システムに使用されるトナーは内部に磁性粉を含有させた,全体に占める結着樹脂の割合が相対的に小さい磁性トナーであるが、本発明のトナーはワックスが均一に分散し、トナー定着画像表面の摩擦抵抗が低減されるものであることから、本発明のトナーを当該現像システム適用した場合には、良好な定着性のトナー定着画像を得ることができる。
【0033】
また本発明のトナーは、感光体と導電性弾性ローラとの間に転写紙を挿通させ、前記導電性弾性ローラに転写バイアス電圧を付与するにより前記感光体表面上にあるトナーを静電気力で転写紙に転写するトナー転写システムを具備する画像形成装置に好適に使用される。これは、かかるトナー転写システムは、接触転写であることから、電気力以外の機械力が転写に作用して、本来転写されるべきでない感光体表面に付着した逆極性トナーが転写されたり、通紙していない状態で感光体表面に付着したトナーが転写ローラ表面を汚染し、転写紙裏面を汚染させてしまうことがあるものであるが、本発明のトナーが結着樹脂の高分子量領域成分によって強度が付与され、しかも、ワックスが結着樹脂中に粗大粒子を含まず、均一に分散されたものであることから、本発明のトナーを当該トナー転写システムを具備した画像形成装置に適用した場合には、トナーの流動性が良好に維持されて逆極性トナーを発生せず、また、感光体表面へのトナーや遊離したワックス粒子のフィルミングが生じず、転写紙の不要トナー粒子による汚染を防止することができる。また、転写ローラ表面へのトナーや遊離したワックス粒子のフィルミングも防止できるので、転写ローラ表面から感光体表面へトナーや遊離したワックス粒子が再転写することにより生ずる画像欠陥も防止することができる。
【0034】
本発明のトナーを構成する結着樹脂として、GPCによる分子量測定において、分子量2万〜150万の高分子量領域と,2000〜2万の低分子量領域とにそれぞれ少なくとも一つのピークを持ち、高分子量領域と前記低分子量領域との重量比(HP/LP)を25/75〜50/50の範囲にある分子量特性を有し、150℃でのメルトインデックス値が4〜40g/10minの範囲にあるものを使用するのは以下の理由による。
【0035】
高分子量領域と前記低分子量領域との重量比(HP/LP)において高分子量領域の割合が小さくなり、低分子量領域の割合が75より大きくなると、150℃でのメルトインデックス値が4〜40g/10minの範囲にあっても樹脂の強靱さが不足してホットオフセットを発生し、また、トナー製造時に過粉砕による微粉が発生して、製造収率を低下させ、また、キャリアとの混合時に結着樹脂が破砕され、この破砕による微粉トナーの発生によりトナー帯電量が低下して、地カブリが発生してしまい、一方、低分子量領域の割合が小さくなり、高分子量領域の割合が50より大きくなると、メルトインデックス値が4〜40g/10minであっても良好な定着性が得られなくなってしまうためである。
【0036】
また、結着樹脂の150℃でのメルトインデックス値が4g/10minより小さいと、トナー製造時の粉砕性が悪く、生産性が悪化し、40g/10minより大きいと、ワックス成分を均一に分散させることができなくなり、キャリア表面、トナー担持体表面へのトナー(樹脂成分)の固着が生じ、トナー帯電量を低下させてしまうためである。
【0037】
結着樹脂としては、従来からこの分野でトナー用結着樹脂として使用されている樹脂種の樹脂が使用されるが、一般にスチレン系単量体,アクリル酸またはメタクリル酸系単量体等のビニル系単量体を重合させたビニル系重合体を使用するのが好ましい。スチレン系単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、P −クロルスチレン等のスチレン及びその置換体を挙げることができ、アクリル酸またはメタクリル酸系単量体としては、例えばアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ヘキシル等の二重結合を有するモノカルボン酸及びその置換体を挙げることができる。特に、このビニル系重合体を用いる場合は、スチレン系単量体を50〜95重量%含むものを用いるのが好ましい、これは、スチレン系単量体の割合が50重量%未満であると、トナーの溶融特性,定着性が劣悪になるとともに、粉砕性が悪化して製造効率が低下する傾向を示し、95重量%より大きくなると、樹脂が硬く,脆くなるために、トナー製造時の粉砕処理時に過砕粉が発生し、不必要な微粉が多量に発生する傾向を示すためである。かかるビニル系重合体の製造には、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などの公知の重合法が用いられる。
【0038】
また、結着樹脂に前記ビニル系重合体を用いる場合、必要に応じて、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂等、ビニル系重合体以外の他の公知の重合体を配合することもできる。
【0039】
本発明のトナーを構成するワックスの粒度分布を粒子径が0.1μm以下の粒子が30個数%以下、粒子径が0.1〜3.0μmの範囲にある粒子が70個数%以上、粒子径が3.0μm以上の粒子が0.1個数%以下にしているのは、粒子径が0.1μm以下の粒子が30個数%以上、または粒子径が3.0μm以上に粒子が0.1個数%以上では、トナー中に微細粒径ワックスや粗大粒径ワックスが存在するために定着性改善効果が得られず、また、トナーから遊離したワックス粒子を生成して、これが感光体表面,現像器を構成する部品の表面,転写ローラ表面,廃トナーを現像器内へ輸送する輸送手段を構成する部品の表面にフィルミングし、安定した高画質画像の得られる画像形成プロセスを長期間安定に遂行させることができなくなるためである。
【0040】
ワックスとしては、一般にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、及びポリヘキセンから選ばれる少なくとも1つを含むポリアルキレンワックスが使用される。特に、ポリエチレンワックス単体,あるいはポリエチレンワックスを50重量%以上含有するポリエチレンワックスと、他のポリアルキレンワックスの混合ワックスを使用するのが好ましい。これはポリエチレンワックスは摩擦係数が小さく、トナー定着画像表面の摩擦抵抗を低下させることができ、定着過程で外部からトナーに加えられる力を逃がして定着性を向上させることができるためである。
【0041】
また、ワックスの軟化点は80℃〜140℃の範囲にあるのが好ましい。これは、80℃より小さくなると、現像器内においてキャリア表面、トナー担持体表面にワックス成分が固着したり、保存性,流動性が低下して、現像性が劣悪になったり、また、廃トナーのリサイクルを行った場合に、リサイクルのためのトナー輸送が十分に行えず、また、流動性の低下により十分な摩擦帯電量が得られず、画像濃度が低下したりする傾向を示し、140℃より大きくなるとトナー定着時に定着画像表面にワックスがしみ出さず定着性改善効果が小さくなる傾向を示すためである。
【0042】
また、ワックスの25℃での針入度が8以下であるのが好ましい。これは、針入度が8より大きいと、トナーの流動性が低下して、キャリアとの混合が十分に行えず、トナーを均一帯電させることができなくなったり、また、廃トナーのリサイクルを行った場合に、リサイクルのためのトナー輸送が十分に行えなくなるとともに流動性の低下により十分な摩擦帯電量が得られず、画像濃度が低下したり、また、前記出願人が本特開平5−72890号公報に提案した現像法に適用した場合に、現像器内でトナーを循環させる際に感光体と電極ローラの双方にフィルミングして、地カブリの少ない高画質画像を形成することが困難になったりする傾向を示すためである。
【0043】
また、ワックスの添加量はトナー100重量部当たり0.5〜10重量部の範囲にあることが好ましい。これは、0.5重量部より少ない場合は、定着性改善効果が十分に得られなくなり、10重量部より多い場合は、分散不良による遊離ワックスを生じて、トナー帯電量が不均一になったり、また、廃トナーのリサイクルを行った場合に、遊離ワックスが感光体表面にフィルミングして画像欠陥を発生させたり、遊離ワックスがトナーの粒度分布を変動させて画像ムラを発生させたり、また、前記出願人が本特開平5−72890号公報に提案した現像法に適用した場合に、遊離ワックスが感光体表面にフィルミングして画像欠陥を発生させたりする傾向を示すためである。
前記式(化1)からなるワックス分散助剤は結着樹脂100重量部あたり0.2〜5重量部含有することが好ましい。これは、0.2重量部より少ない場合は、ワックスの分散性を向上させる効果が得られず、5重量部より多い場合はワックスを微細に分散させすぎてトナーの定着性改善効果が見られにくくなるとともに、ワックス分散助剤がトナー表面に偏析することからトナーの保存性を悪化させる傾向を示すためである。ワックス分散助剤のトナー中への添加方法は、例えば、結着樹脂の重合時にこの重合系内にワックス分散助剤を添加する方法、結着樹脂の重合後の脱溶剤工程中にて結着樹脂中に添加する方法、結着樹脂の重合,脱溶剤後、再度結着樹脂を溶媒に溶かす工程にて結着樹脂中に添加する方法があるが特に限定されるものではない。また、溶融混練前の材料混合処理工程にて、ワックス分散助剤を結着樹脂、着色剤、ワックス等の他の材料とともに混合する方法でもよい。
【0044】
着色剤としての顔料または染料としては、カーボンブラック、鉄黒、グラファイト、ニグロシン、アゾ染料の金属錯体、フタロシアニンブルー、デュポンオイルレッド、アニリンブルー、ベンジンイエロー、ローズベンガル等のこの分野でトナー用着色剤として使用されているそれ自体公知の顔料または染料を使用することができ、1種または2種以上が混合されて使用される。
【0045】
磁性粉としては、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト等の金属粉末や、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト、亜鉛等のフェライト粉末等を用いることができる。磁性粉平均粒径は1μm以下、特に0.6μm以下であることが好ましい。
【0046】
外添剤には、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、フェライト、マグネタイト等の金属酸化物微粉末、タングステンカーバイドなどの炭化物、その他窒化物、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム等のチタン酸塩、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウム等のジルコン酸塩あるいはこれらの混合物が用いられる。外添剤は必要に応じて疎水化処理等の表面処理を施しても良い。
【0047】
本発明のトナーには、さらに、必要に応じて、離型剤や、有機材料の微粉末等の流動性補助剤、帯電補助剤、クリーニング補助剤を含めることができる。
本発明のトナーは以下の方法で製造される。
【0048】
トナーは混合、混練、粉砕、分級、外添処理の各処理工程を経て製造される。また結着樹脂を構成する単量体に着色剤等の他のトナー材料を混合して得られた重合性組成物を、懸濁重合,乳化重合等の粒子状の重合物を生成する重合方法により重合して、トナー粒子を一括的に所得する、所謂、重合法トナー製法を用いることもできる。この場合、重合性組成物中にワックスとともに分散助剤を配合する。
【0049】
混合処理は、結着樹脂と、着色剤と、ワックスとその他必要に応じて添加された電荷制御剤、離型剤等の内添剤とを撹拌羽根を具備したミキサー等により均一分散する処理であり、公知の処理方法が用いられる。後述する実施例では、ヘンシュルミキサーFM−20B(三井三池化工機社製)を用いている。
【0050】
混練処理は、混合処理された材料を加熱して、せん断力により結着樹脂に内添剤を分散させるもので、この混練には、三本ロール型、一軸スクリュウー型、二軸スクリュウー型、バンバリーミキサー型等の混練物を加熱してせん断力をかけて練る公知の加熱混練機を用いることが出来る。後述する実施例では二軸混練機PCM−30(池貝鉄工社製)を用いている。
【0051】
粉砕処理では、混練処理によって得られた塊をカッターミル等で粗粉砕した後、微粉砕する。微粉砕処理には、ジェットミル粉砕機に代表される気流式粉砕機やロータ式に代表される機械式粉砕機を使用できる。
【0052】
分級処理は、分級機を用いて分級処理し、微粉粒子をカットして、所望の粒度分布を得る処理である。分級には、回転するロータの遠心力を利用して分級する機械式分級方法も使用することができる。後述の実施例では、混練物をジェットミル粉砕機IDS−2型(日本ニューマチック工業社製)で微粉砕し、次いで微粉砕物を気流分級機DS−2型(日本ニューマチック工業社製)を用いて分級し、微粉をカットして、平均粒径8μmのトナー粒子を得ている。この段階で得られたトナー粒子は完成品トナーと区別するためにトナー母体と呼ぶ。
【0053】
外添処理は、前記トナー母体に外添剤を加え、公知のミキサー等により混合する処理であり、後述する実施例では、ヘンシュルミキサーFM−20B(三井三池化工機社製)を用いている。
【0054】
【実施例】
表1に示す各種結着樹脂,表2に示す各種ワックス,及び他のトナー材料を用いて、表3に示す処方にてトナーサンプルA1〜A3,B1〜B3を作製した。なお、トナーサンプルA2は参考例である。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
表1において分子量分布は重量平均分子量であり、ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定された値であり、この測定は、測定装置としてHLC−802A(東ソー製,商品名)を用い、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、流速1.0ml/min、カラム温度40℃の条件下に行った。分子量分布は単分散ポリスチレンで検量線を作成し算出した。また、高分子量領域と低分子量領域の重量比(HP/LP)は、結着樹脂の分子量分布曲線において、高分子量側のピークを有する山と、低分子量側のピークを有する山との間の谷を境にして、高分子量領域側(HP側),低分子量領域側(LP側)に区別した。
【0059】
メルトインデックスは、一定荷重、一定温度下で一定時間にオリフィスから流出した結着樹脂重量を示している。実験ではメルトインデクサーを用い、150℃、2160gの荷重下で10分間に流出したものをメルトインデックス値として、JIS K 6760に準拠して測定した。メルトインデックスが大きいということは、当該温度において樹脂が流れやすいことを示しており、メルトインデックスは定着性の一指標である。ガラス転移温度(Tg)は示差走査熱量計DSC−50(島津製作所製,商品名)を用い、一旦150℃まで昇温した後、7.5℃/minの冷却速度で冷却する際のDSC曲線から接線法によって測定した。また、表中の分散助剤の添加量(部)は重量部であり、結着樹脂100重量部当たりの添加量を示している。
【0060】
表2において、軟化点は、ワックスが溶融状態になる温度の指標として、JIS K 2207−6.4−93に準拠して測定した。針入度は、ワックスの常温での硬さを示す指標としてJIS K 2235−6.3−93に準拠して25℃にて測定した。
【0061】
表3において、右端欄の数字は各材料のそれぞれの配合量を重量部で表したもので、外添剤の配合量(添加量)はトナー母体100重量部に対する値である。表4は表3に示すトナーサンプルA1〜A3,B1〜B3の物性値を示している。
【0062】
【表4】
【0063】
表4において、流動性は静かさ密度の値で示しており、この値が大きいことは流動性が高いことを意味する。静かさ密度の測定は、ホソカワミクロン社製パウダーテスタPT−E型を使用した。また、帯電量はブローオフ法で測定した。測定サンプルは、ノンコートフェライトキャリアに対してトナー濃度が3%となるようにトナーを混合し、100mlのポリエチレンボトルに入れ、回転数60rpmで10min間撹拌したものを使用した。
【0064】
保存性は、トナーを50℃、50%RH環境下に24時間放置し、その前後でのトナー凝集性を官能評価した。
ワックス粒度は、混練後のトナー片をミクロトームで100μm程度に薄片化し、TEM(透過型電子顕微鏡)により倍率10000倍にて撮影を行い、写真を画像評価することにより定量化した。ここで測定可能最小粒子径は0.05μmであった。粒子径が0.1μm以下の粒子,粒子径が0.1〜3.0μmの範囲にある粒子,及び粒子径が3.0μm以上の粒子のそれぞれの全ワックス粒子に対する個数比(%)を求めた。表では粒子径が0.1μm以下の粒子の個数比(%)と、粒子径が3.0μm以上の粒子の個数比(%)のみを示している。いずれのトナーサンプルA1〜A3,B1〜B3においても、粒子径が0.1〜3.0μmの範囲にある粒子の個数比(%)は70個数%以上であった。
【0065】
(実施例1及び比較例1)
市販の電子写真複写機FP−4080(松下電器産業社製,商品名)を改造した改造機(プロセススピード350mm/s)により、表3に示したトナーサンプルA1〜A3,B1〜B3のそれぞれついて複写テストを実施した。表5がその結果であり、画像濃度,定着性、ホットオフセット性を示している。
【0066】
【表5】
【0067】
表5において画像濃度は反射濃度計(マクベス社)で測定した値であり、トナー定着性は、市販の電子写真複写機FP−4080(松下電器産業社製,商品名)を改造した改造機(プロセススピード350mm/s)により画像濃度1.0の定着サンプル画像を連続5枚出力し、これらのこすり試験を行うことによって定量化した。こすり試験は、平滑なガラス板上に測定画像サンプルを置き、70g/cm2 の荷重を印加した不織布:ベンコット(旭化成社製,商品名)により10往復擦過し、擦過前後の画像濃度維持率を求めるものである。ホットオフセット性はプロセススピードを105mm/sとし、定着温度を徐々に高めていき、ホットオフセットが発生するのを目視にて観察して、ホットオフセットの発生開始温度を記録することにより行った。ホットオフセットの発生温度が高いほど定着性に優れている。
【0068】
かかる複写テストにおいてトナーA1〜A3を用いた場合は、定着性,画質において実用的に満足できるレベルの複写画像を得ることができた。これに対して、トナーB1〜B3を用いた場合は、トナーA1〜A3を用いた場合に比べて劣悪な複写画像しか得ることができなかった。詳しく述べると、トナーB1を用いた場合は、定着性が低いために実用的な画像を得ることができず、トナーB2を用いた場合は、トナー帯電量,流動性ともに低いため、地カブリが発生して、実用的な画像を得ることができず、トナーB3を用いた場合は、トナーがキャリア表面にフィルミングして帯電量が低下するため、実用的な画像を得ることができなかった。
【0069】
更に、トナーA1〜A3について150k枚(150000枚)の連続印字試験を行ったところ、非画像部に地カブリが発生せず、横線の乱れ,トナーの飛び散り,及びホットオフセットによる汚れ等がなく、かつベタ黒画像が画像濃度1.4以上の高濃度に再現された高画質の複写画像を初期から150k枚まで得ることができた。また、トナーA1〜A3のいずれを用いた場合も、定着性は81%を下回ることなく、安定に推移した。
【0070】
(実施例2)
本実施例では前記トナーA1〜A3のそれぞれについて、市販の電子写真複写機FP−4080(松下電器産業社製,商品名)にトナーリサイクル機構を付加した改造機(プロセススピード350mm/s)により150k枚の連続印字試験を行った。
【0071】
トナーA1〜A3のいずれを用いた場合も、前記実施例1と同様の高品質な複写画像を初期から150k枚まで得ることができ、安定したトナーリサイクルをを行えることが確認できた。
【0072】
(実施例3)
本実施例では前記トナーA1〜A3のそれぞれについて、市販の電子写真複写機FP−4080(松下電器産業社製,商品名)にトナーリサイクル機構を付加し、転写機構をローラ転写機構に変えた改造機(プロセススピード350mm/s)により、トナーリサイクルを行うことなく150k枚連続印字する連続印字試験と、トナーリサイクルを行って150k枚連続印字する連続印字試験とを行った。その結果、トナーA1〜A3のいずれを用いた場合も、ローラ汚染を生ずることなく、前記実施例1と同様の高品質な複写画像を初期から150k枚まで得ることができた。また、トナーリサイクルを行った150k枚の連続印字試験においても、ローラ汚染もなく初期画像品質を維持した。
次に、表1に示す各種結着樹脂,表2に示す各種ワックス,及び他のトナー材料を用いて、表6に示す処方にてトナーサンプルA4〜A6,B4〜B6を作製した。なお、トナーサンプルA5は参考例である。
【0073】
【表6】
【0074】
表6において、右端欄の数字は各材料のそれぞれの配合量を重量部で表したもので、外添剤の配合量(添加量)はトナー母体100重量部に対する値である。
表7は表6に示すトナーサンプルA4〜A6,B4〜B6の物性値を示す。
【0075】
【表7】
【0076】
(実施例4)
表6に示したトナーサンプルA4〜A6のそれぞれついて、以下に記す電子写真装置により複写テストを実施した。
【0077】
図1は本実施例で使用した電子写真装置の概略構成を示す断面図である。図において、1は一方向に回転する有機感光体で、アルミニウムの導電性支持体上にポリビニルブチラール樹脂:エレックBL−1(積水化学製,商品名)に電荷発生物質であるτ型無金属フタロシアニン(東洋インキ製)を分散してなる電荷発生層と、ポリカーボネート樹脂:Z−200(三菱ガス化学製,商品名)に、1,1−ビス(P−ジエチルアミノフェニル)−4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン:T−405(アナン製,商品名)を含有させてなる電荷輸送層とを順次積層して得られたものである。アルミニウムの導電性支持体の内部には有機感光体1(アルミニウムの導電性支持体)と同軸で固定された磁石2が設けられている。感光体1表面がグリッド電極4を備えたコロナ帯電器3によってマイナスに帯電され、感光体1表面に信号光5が照射されて潜像が形成される。グリッド電極4は感光体1表面の帯電電位を制御する。
【0078】
露光後の潜像を顕像化するための現像装置は一成分現像方式のものであり、感光体1表面にトナー7を供給するトナーホッパー6と、感光体1とギャップを開けて設定した非磁性電極ローラ8と、電極ローラ8の内部に設置された磁石9と、電極ローラ8に電圧を印加する交流高圧電源10と、電極ローラ上のトナーを掻きおとすポリエステルフィルム製のスクレーパ11とを具備している。また、21はトナーホッパー6内でのトナー7の流れをスムーズにし、またトナー7が自重で押しつぶされ、感光体1と電極ローラ8との間に詰まってしまうことを防止するためのダンパーである。感光体1表面に供給されたトナー7のうち非画像部に付着している余分なトナーが電極ローラ8により、トナーホッパー6を内に回収されるようになっている。
【0079】
感光体1の表面には600Gsの磁束密度の磁界が形成されている。電極ローラ8内部の磁石9の磁力を強くすることにより、トナー回収における搬送性を向上させることができる。また、図中に示す磁石2の磁極角θは15度に設定している。感光体1の直径は30mmで、周速60mm/sで図中の矢印の方向に回転させている。電極ローラ8の直径は16mmで、周速40mm/sで感光体の進行方向とは逆方向(図中の矢印方向)に回転させている。感光体1と電極ローラ8とのギャップは300μmに設定している。
【0080】
感光体1の表面をコロナ帯電器3(印加電圧−4.5kV、グリッド電極4の電圧−500V)により、ー500Vに帯電させ、この感光体1にレーザ光5を照射し静電潜像を形成する。このとき感光体1の露光電位はー90Vである。この感光体1表面には、トナーホッパー6に接して回転する過程で、トナー7が磁石2の磁力により付着する。次に、感光体1は、電極ローラ8の前を通過する。未帯電の感光体1表面の通過時には、電極ローラ8には交流高圧電源10により、0Vの直流電圧を重畳した750V0-p (ピーク・ツー・ピーク 1.5kV)の交流電圧(周波数1kHz)が印加され、−500Vに帯電され,静電潜像が書き込まれた感光体1表面の通過時には、電極ローラ8には交流高圧電源10により、−350Vの直流電圧を重畳した750V0-p (ピーク・ツー・ピーク1.5kV)の交流電圧(周波数1kHz)が印加される。すると、感光体1表面の帯電部分の非画像部に付着したトナーは電極ローラ8に回収され、感光体1表面には画像部のみのネガポジ反転したトナー像が残る。電極ローラ8に付着したトナーは、スクレーパ11によって掻き取られ、再びトナーホッパー6内に戻され、次の像形成に用いられる。このようにして感光体1表面上に形成されたトナー像はコロナ転写器12によって転写紙に転写された後、定着器(図示せず)により熱定着され、複写画像が得られる。転写後に感光体1表面に残る廃トナー23はクリーニングブレード18によって掻き取られ、クリーニングボックス19に一時的に溜められる。ここではクリーニング手段として弾性体ウレタンブレードからなるクリーニングブレード18を用いているが、クリーニング手段としてバイアス印可したファーブラシや導電性金属ローラを用いることもできる。
【0081】
表8(表中の上3段)は本実施例の複写テストの結果である。
【0082】
【表8】
【0083】
表8において画像濃度は反射濃度計(マクベス社)で測定した値であり、トナー定着性は、画像濃度1.0の定着サンプル画像を図1に示す電子写真装置(プロセススピード65mm/s)で連続5枚出力し、これらのこすり試験を行うことによって、定量化した。こすり試験は、平滑なガラス板上に測定画像サンプルを置き、70g/cm2 の荷重を印加した不織布:ベンコット(旭化成社製,商品名)により10往復擦過し、擦過前後の画像濃度維持率を求めるものである。ホットオフセット性はプロセススピードを32mm/sとし、定着温度を徐々に高めていき、ホットオフセットが発生するのを目視にて観察して、ホットオフセットの発生開始温度を記録することにより行った。ホットオフセットの発生温度が高いほど定着性に優れている。
【0084】
表8から分かるように、かかる複写テストにおいてトナーA4〜A6のいずれを用いても、定着性,画質において実用的に満足できるレベルの複写画像を得ることができた。
【0085】
更に、トナーA4〜A6について10000枚の連続印字試験を行ったところ、非画像部に地カブリが発生せず、横線の乱れ,トナーの飛び散り等がなく、ベタ黒画像が画像濃度1.4以上の高濃度に再現され、かつ濃度1.4の16本/mmの画線が忠実に再現された高解像度高画質の複写画像を初期から10000枚まで得ることができた。また、いずれのトナーを用いた場合も、定着性は70%を下回ることなく、安定に推移した。
【0086】
(実施例5)
図2は本実施例で使用した電子写真装置の概略構成を示す断面図である。かかる電子写真装置の構成は、前記実施例4で使用した図1に示した電子写真装置の構成に、廃トナーリサイクル機構を付加したものである。廃トナーリサイクル機構は、クリーニングボックス19とトナーホッパー6とが輸送管20で繋がれ、クリーニングボックス19内に溜められた廃トナー23が輸送管20によりトナーホッパー6内へ輸送されるように構成されている。輸送管20による輸送方法はエアーを使う方法、渦巻状に送る方法、磁気式、震動式等のいずれの方法であってもよい。また、ここではクリーニング手段として弾性体ウレタンブレードからなるクリーニングブレード18を用いているが、クリーニング手段としてバイアス印可したファーブラシや、導電性金属ローラを用いることもできる。
【0087】
かかる電子写真装置により、前記トナーA4を用いて、廃トナーリサイクルを行いながら10000枚連続印字を行ったところ、横線の乱れ,トナーの飛び散り等がなく、ベタ黒画像が画像濃度1.4以上の高濃度に再現され、かつ濃度1.4の16本/mmの画線が忠実に再現された高解像度高画質の複写画像を初期から10000枚まで得ることができた。また、10000枚の連続印字を通じて非画像部における地カブリの増加もなかった。また、定着性は70%を下回ることなく、安定に推移した。
【0088】
(実施例6)
図3は本実施例で使用した電子写真装置の概略構成を示す断面図である。かかる電子写真装置の構成は、前記実施例4で使用した図1に示した電子写真装置のコロナ転写機構をローラ転写機構に置き換えたものである。ローラ転写機構は、導電性の金属からなる軸の周囲に導電性弾性部材をもうけてなる弾性ローラ13を、図示しないバネにより、感光体1表面へ、弾性ローラ13を弾性ローラ一本(約216mm)あたり、0〜2000g、望ましくは500〜1000gの押圧力で押圧させたものである。押圧力は前記弾性ローラ13を感光体1に当接させるためのバネのバネ係数と縮み量の積から測定した。弾性ローラ13表面と感光体1表面との接触幅は約0.5〜5mmである。弾性ローラ13の導電性弾性部材を構成するゴムの強度はアスカーCの測定法(ローラ形状ではなく、ブロック片を用いた測定)で80度以下、望ましくは30〜40度である。弾性ローラ13の具体例としては、直径6mmのシャフト周囲に、Li2O 等のリチウム塩を内添することによりその抵抗値を107 Ω(軸と表面に電極を設け、両者間に500V印可して測定。)した発泡性の導電性ウレタンエラストマーを周設してなるものを挙げることができる。この具体例の弾性ローラ13ではその外径を16.4mm、硬度をアスカーCで40度、押圧力を1000gにしている。
【0089】
弾性ローラ13の導電性弾性部材を構成するゴムとしては、前記ウレタン発泡体以外にもCRゴム、NBR、Siゴム、フッ素ゴム等を使用することができる。また、導電性を付与するための導電性付与剤としては、前記Li2O 等のリチウム塩以外にカ−ボンブラック等を使用することができる。
【0090】
14は転写紙を転写ローラ13に導入する導電性部材からなる突入ガイド、15は導電性部材の表面を絶縁被覆した搬送ガイドである。突入ガイド14と搬送ガイド15は直接あるいは抵抗を介して接地している。16は転写紙、17は転写ローラ13に電圧印可する電圧発生電源である。
【0091】
かかる電子写真装置により、前記トナーA4を用いて、10000枚連続印字を行ったところ、横線の乱れ,トナーの飛び散り等がなく、ベタ黒画像が画像濃度1.4以上の高濃度に再現され、かつ濃度1.4の16本/mmの画線が忠実に再現された高解像度高画質の複写画像を初期から10000枚まで得ることができた。また、転写ローラへのトナーフィルミングがなく、10000枚の連続印字を通じて非画像部における地カブリの増加もなかった。
【0092】
(比較例2)
表6に示したトナーサンプルB4〜B6のそれぞれについて、実施例3で使用した実験機(市販の電子写真複写機FP−4080(松下電器産業社製,商品名)の転写機構をローラ転写機構に変えた改造機)を用いて複写テストを行った。表8の下3段がその結果であり、トナーB4を用いた場合は、定着性が低いために実用的な画像を得ることができず、トナーB5を用いた場合は、トナー帯電量、流動性ともに低く、地カブリが発生して、実用的な画像を得ることができず、トナーB6を用いた場合は、トナーがキャリア表面にフィルミングして帯電量が低下し、実用的な画像を得ることができなかった。
【0093】
(比較例3)
分散助剤を添加しない以外はトナーサンプルA1と同様の組成及び製造条件でトナーサンプルを試作した。得られたトナーサンプルは粒子径が3.0μm以上のワックス粒子が5個数%含まれ、粗大粒子径ワックスの生成が認められるものであった。このトナーを用いて実施例1と同様の複写テストを行ったところ、ワックスが良好に分散していないため、カブリの多く発生し、実用的な画像を得ることができなかった。
【0094】
(比較例4)
分散助剤の添加量を8重量部にした以外はトナーサンプルA1と同様の組成及び製造条件でトナーサンプルを試作した。得られたトナーは粒子径が0.1μm以下のワックス粒子が45個数%含まれるものであり、微細粒子径ワックスの増加が認められるものであった。このトナーを用いて実施例1と同様の複写テストを行ったところ、微細粒子径ワックスの増加により定着性が69%に低下し、実用的な画像を得ることができなかった。
【0095】
(比較例5)
ワックスの添加量を12重量部とした以外はトナーサンプルA1と同様の組成及び製造条件でトナーサンプルを試作した。このトナーを用いて実施例1と同様の複写テストを行ったところ、分散不良による遊離ワックスを生じて、トナー帯電量が不均一になり、カブリの多い劣悪な画像しか得ることができなかった。
【0096】
(比較例6)
ワックスを添加しない以外はトナーサンプルA1と同様の組成及び製造条件でトナーサンプルを試作した。このトナーを用いて実施例1と同様の複写テストを行ったところ、定着性が60%と低く、実用的な画像を得ることができなかった。
【0097】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかるトナーによれば、結着樹脂として、その分子量分布が、ゲルパーミション・クロマトグラフィーによる分子量測定において、分子量2万〜150万の高分子量領域と,2000〜2万の低分子量領域とにそれぞれ少なくとも一つのピークを有するとともに、前記高分子量領域と前記低分子量領域の重量比(HP/LP)が25/75〜50/50の範囲にあるもので、かつ、その150℃でのメルトインデックス値が4〜40g/10minの範囲にあるものを用い、この結着樹脂中に前記式(化1)で示されるワックス分散助剤を前記結着樹脂100重量部あたり0.2〜5重量部含有させて、ワックスを結着樹脂中に粒子径が0.1μm以下の粒子が30個数%以下、粒子径が0.1〜3.0μmの範囲にある粒子が70個数%以上、粒子径が3.0μm以上の粒子が0.1個数%以下の粒度分布を有するものとなるよう分散させたことにより、良好な帯電特性を示し、かつ、定着スピードに関係なく、ホットオフセットを生ずることなく,高い定着性でもって定着され、しかも、長期間、トナー付着(フィルミング)を生ずることなく,良好な流動性を維持して画像形成に供されるトナーを得ることができ、長期間の高品質画像の形成が可能になる。また、本発明トナーを、固定磁石を内包しその表面が所定方向に移動する像担持体と、トナーを収容するホッパー,磁石を内包しその表面の所定領域が前記像担持体の表面に所定間隔を空けて対向するトナー回収電極ローラ,及びこのトナー回収電極ローラの表面の前記所定領域とは異なる領域に圧接したスクレーパを有する現像装置とを備え、前記所定方向に移動する像担持体の表面に静電潜像を形成し、この静電潜像が形成された像担持体の表面に前記固定磁石の磁気力により前記ホッパーに収容されているトナーを磁気的に吸引させた後、前記トナー回収電極ローラにより前記像担持体の表面に付着したトナーのうちの前記静電潜像の画像部以外に存在しているトナーを回収して前記像担持体の表面にトナー画像を形成し、前記トナー回収電極ローラの表面に回収された前記トナーを前記スクレーパにより前記ホッパーの内部に掻き落とすよう構成された現像システムを具備した電子写真装置に使用した場合も、長期間、高品質画像を形成することができる。また、本発明トナーを、廃トナーリサイクルシステムを具備した電子写真装置に使用した場合も、感光体表面へのトナーフィルミングやキャリア汚染を生ずることなく、長期間、高品質画像を形成することができる。また、本発明トナーをローラ転写システムを具備した電子写真装置に使用した場合も、ローラ表面へのトナーフィルミングや転写ムラを生ずることなく、長期間、高品質画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例4で使用した電子写真装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】 本発明の実施例5で使用した電子写真装置の概略構成を示す断面図である。
【図3】 本発明の実施例6で使用した電子写真装置の概略構成を示す断面図である。
【図4】 ローラ転写装置の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム
2 感光体に内包された固定磁石
3 コロナ帯電器
4 グリッド電極
6 トナーホッパー
7 トナー
8 電極ローラ
9 電極ローラ内部に設置された磁石
11 スクレーパ
12 転写用帯電器
13 転写ローラ
14 突入ガイド
15 搬送ガイド
16 転写紙
17 転写ローラ用電源
18 クリーニングブレード
19 クリーニングボックス
20 輸送管
21 ダンパー
23 廃トナー
32 現像スリーブ
33 層規制ブレード
34 電源
35 コロナ転写器
100 転写ローラ
101 電源
102 感光体
103 転写紙
104 トナー
Claims (6)
- 結着樹脂中に少なくとも着色剤及びワックスを分散してなるトナーであって、
前記結着樹脂が、その分子量分布が、ゲルパーミエーション・クロマトグラフィーによる分子量測定において、分子量2万〜150万の高分子量領域と,2000〜2万の低分子量領域とにそれぞれ少なくとも一つのピークを有するとともに、前記高分子量領域と前記低分子量領域の重量比(HP/LP)が25/75〜50/50の範囲にあるもので、かつ、その150℃でのメルトインデックス値が4〜40g/10minの範囲にあり、
前記トナーが、下記式(化1)で示されるワックス分散助剤を予め添加された前記結着樹脂、着色剤及びワックスを溶融混練分散してなり、
前記ワックスがポリエチレンを少なくとも50重量%以上含むポリアルキレンワックスであり、前記ワックスの添加量が前記結着樹脂100重量部あたり0.5〜10重量部であり、
前記ワックス分散助剤の添加量が、前記結着樹脂100重量部あたり0.2〜5重量部であり、かつ前記ワックス分散助剤の添加量が、前記ワックスの添加量の2分の 1 の量以下であり、
前記ワックスが前記結着樹脂中に粒子径が0.1μm以下の粒子が30個数%以下、粒子径が0.1〜3.0μmの範囲にある粒子が70個数%以上、粒子径が3.0μm以上の粒子が0.1個数%以下の粒度分布をもって分散されていることを特徴とするトナー。
- 前記ワックスの軟化点が80〜140℃の範囲にある請求項1記載のトナー。
- 前記ワックスの25℃での針入度が8以下である請求項1又は2に記載のトナー。
- 転写プロセス後に像担持体上に残留したトナーを現像装置内に回収して再度現像プロセスに利用する廃トナーリサイクルシステムを具備する画像形成装置に前記トナーは使用される請求項1〜3のいずれかに記載のトナー。
- 固定磁石を内包しその表面が所定方向に移動する像担持体と、トナーを収容するホッパー,磁石を内包しその表面の所定領域が前記像担持体の表面に所定間隔を空けて対向するトナー回収電極ローラ,及びこのトナー回収電極ローラの表面の前記所定領域とは異なる領域に圧接したスクレーパを有する現像装置とを備え、
前記所定方向に移動する像担持体の表面に静電潜像を形成し、この静電潜像が形成された像担持体の表面に前記固定磁石の磁気力により前記ホッパーに収容されているトナーを磁気的に吸引させた後、
前記トナー回収電極ローラにより前記像担持体の表面に付着したトナーのうちの前記静電潜像の画像部以外に存在しているトナーを回収して前記像担持体の表面にトナー画像を形成し、
前記トナー回収電極ローラの表面に回収された前記トナーを前記スクレーパにより前記ホッパーの内部に掻き落とす現像システムを具備する画像形成装置に前記トナーは使用される請求項1〜4のいずれかに記載のトナー。 - 感光体と導電性弾性ローラとの間に転写紙を挿通させ、前記導電性弾性ローラに転写バイアス電圧を付与するにより前記感光体表面上にあるトナーを静電気力で転写紙に転写するトナー転写システムを具備する画像形成装置に前記トナーは使用される請求項1〜4のいずれかに記載のトナー。
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