JP3861178B2 - 熱フィラメントcvd法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイヤモンドの気相合成をおこなうために、高メタン雰囲気でタンタル線を炭化処理して作製した炭化タンタルフィラメントを用い、フィラメントの張替えや交換なしに複数回の使用が可能な熱フィラメントCVD法に関する。ここで、CVD法は気相合成法の一つである化学気相成長法[Chemical Vapor Deposition] の通称である。
【0002】
【従来の技術】
ダイヤモンドを気相合成法(熱励起)により基板上に成膜するために、熱フィラメントCVD装置が広く使用されている。
【0003】
この種の装置では、フィラメントとしてタングステン線やタンタル線が用いられるが、通電加熱すると材料が炭化し、脆く、壊れやすくなるという欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
通常、1回の成膜でフィラメントに通電、昇温(加熱)、成膜終了後の降温を経ると、フィラメントが両電極端から破壊する。このため、従来的には成膜を行うたびにフィラメントを張り替える必要があり、生産性や成膜品質の安定性に劣るという問題があった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、ダイヤモンドの気相合成をおこなう際に、従来の熱フィラメントCVD装置が抱えてきた問題を解消し、フィラメントの交換なしに複数回の成膜が実行可能な熱フィラメントCVD法を提供するものである。なお、本発明に関する熱フィラメントCVD法は、フィラメントの改善に係る前処理を特徴抽出したものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
課題を解決するために本発明は、ダイヤモンドの気相合成をおこなうために、熱フィラメントCVD装置及びそのフィラメント構造並びに熱フィラメントCVD法におけるフィラメントとして、高メタン雰囲気で充分な時間をかけて炭化処理した炭化タンタルフィラメントを用いるものである。
【0007】
高メタン雰囲気でタンタルフィラメントを通電加熱すると、そ両電極端にカーボンが析出する。析出したカーボン(主体はグラファイト、以下のカーボンについて同じ。)は、通電時間に比例して鞘状に成長する。この鞘状の部分は単に炭化したタンタル線よりも強度が高く、熱による収縮も小さいため、衝撃等で破壊されない限り破損することがない。このような炭化タンタルフィラメントは、成膜において反復使用することが可能である。したがって、生産性や成膜品質の安定性に寄与する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態は、ダイヤモンドの気相合成に用いるフィラメントを改善した熱フィラメントCVD装置は、フィラメントの両電極端にカーボンを被覆形成した炭化タンタルフィラメントを用いたものである。
【0009】
また、ダイヤモンドの気相合成に用いるフィラメント構造は、フィラメントが炭化タンタルフィラメントであって、その両電極端にカーボンを鞘状に被覆形成してなるものである。
【0010】
また、ダイヤモンドの気相合成をおこなう熱フィラメントCVD法は、前処理として、高濃度の炭素源を導入して通電加熱し、タンタルフィラメントを炭化させるとともに、その両電極端にカーボンを析出させて被覆形成するための炭化処理を施すものである。
【0011】
ここで、炭素源が水素とメタンの混合ガスであって、該混合ガス中のメタン濃度を数体積%以上とするものであり(好ましくは5〜10体積%となるように流量調整する)、通電加熱がフィラメント温度を2000℃以上で少なくとも12時間保持するようにしている。
【0012】
上記前処理は原料ガスのメタン濃度と通電加熱時間を調整するだけで達成され、カーボン被覆形成後には常法どおりの成膜に移行すればよい。
【0013】
【実施例】
本発明の一実施例について添付図面を参照して以下説明する。
【0014】
図1に本発明の一実施例である熱フィラメントCVD装置〔以下、実施例装置。〕の構成説明図を示す。なお、実施例装置は、本発明の一実施例であるフィラメント構造〔以下、実施例フィラメント構造。〕を包含する。
【0015】
図2に実施例フィラメント構造の設置説明図を示す。
【0016】
図示するように、実施例装置Xは、公知の装置構成におけるタンタルフィラメントの両電極端にカーボンを被覆形成した炭化タンタルフィラメント1を用いたものである。他の装置構成は公知装置と同様である。以下、炭化処理前のタンタルフィラメントを(1)、本発明の炭化タンタルフィラメントを1と符号表記する。
【0017】
実施例フィラメント構造は、一定条件下でタンタルフィラメント(1)を炭化処理して得られる炭化タンタルフィラメント1の構造であって、その両電極端にカーボンが鞘状に形成(より詳しくは析出生成)してなるものである。
【0018】
炭化タンタルフィラメント1の作製方法は、熱フィラメントCVD法によりダイヤモンド又はポリシリコンの気相合成をおこなう前処理としておこなわれ、高濃度の炭素源を導入して通電加熱し、タンタルフィラメント(1)を炭化させるとともに、その両電極端にカーボンを析出させて被覆形成するための炭化処理を施すものである。
【0019】
具体的な操作を以下に述べる。図1に示すように、1は電極間の張設した炭化タンタルフィラメントであり、ガス導入口6から導入された原料ガスを分解する。銅製水冷基板ホルダ5の上に基板4を設置し、該基板4上に膜を析出させるのであるが、水冷銅電極3に交流又は直流の電圧を印加し、タンタルフィラメント(1)を通電加熱する。加熱によりタンタルフィラメント(1)は伸張し、降温時には収縮する。この変化に対応するために可動銅電極2を設置し、タンタルフィラメント(1)の伸縮に応動して可動銅電極2が左右に移動し、タンタルフィラメント(1)に生じる伸縮変動を吸収する。
【0020】
成膜をおこなう前に、メタン濃度を5体積%以上に流量設定したメタンと水素の混合ガス(原料ガス)を導入し、タンタルフィラメント(1)を通電加熱し、その温度(フィラメント温度)を2000℃以上で12時間以上保持する。
【0021】
その結果、カーボンがタンタルフィタメント(1)の両電極端の低温部に析出し、強度の高い鞘7を形成した炭化タンタルフィラメント1が得られる。被覆長は5〜10mmであり、被覆厚は 0.2〜2mmである。鞘が形成された後は、常法どおり成膜をおこなう。
【0022】
【発明の効果】
本発明は以上の構成よりなるものであり、これによれば複数回使用可能なフィラメントを実現できるので、成膜における生産性や成膜品質の安定性に寄与する。しかも、熱フィラメントCVD法の前処理としてフィランメントの改善が可能であり、産業上の利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例装置の構成説明図である。
【図2】 実施例フィラメント構造の設置説明図である。
【符号の説明】
1 炭化タンタルフィラメント
2 可動銅電極
3 水冷銅電極
4 基板
5 銅製水冷基板ホルダ
6 ガス導入口
7 鞘(カーボン被覆)
X 熱フィラメントCVD装置
Claims (1)
- ダイヤモンドの気相合成をおこなう熱フィラメントCVD法において、
前処理として、高濃度の炭素源を導入して通電加熱し、タンタルフィラメントの両電極端にグラファイトを主体とするカーボンを鞘状に析出させて被覆形成するための炭化処理を施すようにした熱フィラメントCVD法であって、
5体積%以上のメタン濃度を有するメタンと水素との混合ガスを炭素源として導入し、通電加熱によりフィラメント温度を2000℃以上で少なくとも12時間保持することを特徴とする熱フィラメントCVD法。
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