JP3860712B2 - Oil composition for cutting / grinding with ultra-trace oil supply - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、切削・研削箇所に微量の油剤を圧縮流体と共に供給する極微量油剤供給方式の切削・研削加工に適した極微量油剤供給式切削・研削加工用油剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に切削・研削加工においては切削・研削油剤が使用されている。この目的は加工に用いられるドリル、エンドミル、バイト、砥石等の工具の寿命延長や被加工物の表面粗さの向上、それによる加工能率の増大といった機械加工における生産性の向上にある。
切削・研削油剤は、界面活性剤及び潤滑成分を水に希釈して使用する水溶性切削・研削油剤と、鉱物油を主成分として原液のままで使用する不水溶性切削・研削油剤との2種類に大別される。そして従来の切削・研削加工においては比較的大量の切削・研削油剤が加工箇所に供給されている。
切削・研削油剤の最も基本的でかつ重要な機能としては潤滑作用と冷却作用が挙げられる。一般に、不水溶性切削・研削油剤は潤滑性能に、水溶性切削・研削油剤は冷却性能にそれぞれ優れている。不水溶性油剤の冷却効果は水溶性油剤に比べると劣るため、一般に1分間に数リットルから場合によっては数10リットルもの大量の不水溶性切削・研削油剤が必要になる。
【0003】
加工能率の向上に有効な切削・研削油剤も別の側面からみると好ましくない点があり、その代表的な問題点として環境への影響が挙げられる。不水溶性、水溶性にかかわらず油剤は使用中に徐々に劣化してついには使用不能な状態になる。例えば、水溶性油剤の場合には微生物の発生によって液の安定性が低下して成分の分離が生じたり、衛生環境を著しく低下させてその使用が不可能となる。また、不水溶性油剤の場合には酸化の進行によって生じる酸性成分が金属材料を腐食させたり、粘度の著しい変化が生じてその使用が不可能となる。また、油剤が切りくず等に付着して消費されたりして廃棄物となる。
このような場合には劣化した油剤を廃棄して新しい油剤が使用される。この時に廃棄物として排出される油剤は環境に影響を及ぼさないように様々な処理が必要になる。例えば、作業能率の向上を優先させて開発されてきた切削・研削油剤には、焼却処理時に有毒なダイオキシンを発生させる可能性のある塩素系化合物が多く用いられているが、これらの化合物の除去処理などが必要になる。このため、塩素系化合物を含まない切削・研削油剤も開発されているが、たとえかかる有害な成分を含まない切削・研削油剤であっても廃棄物の大量排出にともなう環境への影響という問題がある。また水溶性油剤の場合には環境水域を汚染する可能性があるため、高いコストをかけて高度な処理を施す必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような問題点に対処するために最近では切削・研削箇所に冷風を吹きかけて冷却することにより切削・研削油剤の代用とする検討がなされつつあるが、この場合には、切削・研削油剤に求められている潤滑性という一方の性能は得られない。
この点を補うために通常の1/100000〜1/1000000程度の極微量の油剤を圧縮流体(例えば圧縮空気)と共に切削・研削箇所に供給するシステムが開発されている。このシステムでは、圧縮空気による冷却効果が得られ、また極微量の油剤を用いるために廃棄物量を低減することができ、従って廃棄物の大量排出に伴う環境への影響も改善することができる。しかし、この極微量油剤供給方式を利用する切削・研削加工に求められる性能、即ち、極微量であっても良好な表面の加工物を得ることができ、また工具等の摩耗も少なく、切削・研削を効率よく行える高い性能を持つ切削・研削油剤はまだ提案されておらず、その開発が望まれている。また極微量油剤供給方式では、油剤はオイルミストして供給されるので、工作機械内部、ワーク、工具、ミストコレクター内等に付着しやすいとの問題が伴う。この場合、付着した油剤がべたつき易いものであると、取り扱い性において支障を来し、作業能率を低下させる原因となる。このため、油剤はべたつきにくいことが望ましい。
【0005】
そこで、本発明は、このような実状に鑑みなされたものであり、その目的は、切削・研削加工箇所に油剤を圧縮流体と共に供給し油剤の使用量を極微量にして、廃棄物として排出される油剤の量を大幅に削減しようとする切削・研削油剤供給方式、すなわち極微量油剤供給方式に適した極微量油剤供給式切削・研削加工用油剤組成物を提供することにある。特に本発明の目的は、切削・研削加工を効率よく行えるように優れた潤滑性を備えた油剤組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者の研究の結果、極微量油剤供給式切削・研削加工用油剤組成物として特定の水酸基価を有する脂肪酸エステルを含む油剤を用いることで、切削・研削加工時の作業性、被加工物の仕上がり具合などにおいて非常に有効であることを見出した。特に優れた潤滑性能を発揮し、効率の高い切削・研削加工を行うためには、水酸基価の異なる特定の二種類の脂肪酸エステルを含み、該混合エステルの水酸基価が0.01〜300mgKOH/gのエステルを用いることが有効であることを見出した。更にこのようなエステルが特定の沃素価及び/又は臭素価を有している場合にはべたつきにくい油剤を得られることをも見出した。
【0007】
本発明は、水酸基価が0〜20mgKOH/gの脂肪酸エステルと水酸基価が150mgKOH/gを越え500mgKOH/g以下の脂肪酸エステルとを含み、かつ混合エステルの水酸基価が0.01〜300mgKOH/gである極微量油剤供給式切削・研削加工用油剤組成物にある。ここで、エステルの水酸基価は、JIS K 0070「化学製品の酸価、ケン化価、エステル価、沃素価、水酸基価及び不ケン化価物の測定方法」の指示薬滴定法により測定した値を意味する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明はエステルを含有してなる極微量油剤供給式切削・研削加工用油剤組成物であるが、ここで極微量油剤供給式切削・研削加工とは、通常の切削・研削加工に比して1/100000〜1/1000000程度の極微量の油剤を圧縮流体と共に切削・研削箇所に供給しながら行う切削・研削加工を言う。つまり、極微量油剤供給方式は、通常最大でも1ミリリットル/分以下の微量の油剤を圧縮流体(例えば圧縮空気)と共に切削・研削箇所に向けて供給する方式である。なお、圧縮空気以外に窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、水などの圧縮流体を単独で用いたり、あるいはこれらの流体を混合して用いることも可能である。
本発明の極微量油剤供給式切削・研削加工における圧縮流体の圧力は、油剤が飛散して雰囲気を汚染させないような圧力、及び油剤と気体、あるいは液体との混合流体が切削・研削加工点に十分到達できるような圧力に調節される。また、圧縮流体の温度は冷却性の観点から、通常室温(25℃程度)又は室温から−50℃に調節される。
【0009】
本発明の極微量油剤供給式切削・研削加工用油剤組成物(以下、単に油剤組成物あるいは油剤)は、水酸基価が0〜20mgKOH/gの脂肪酸エステルと水酸基価が150mgKOH/gを越え500mgKOH/g以下の脂肪酸エステルとを含み、かつ混合エステルの水酸基価が0.01〜300mgKOH/gのエステルを含有してなるものであるが、エステルは天然物(通常は動植物などの天然油脂に含まれるもの)であっても合成物であってもよい。本発明では得られる油剤組成物の安定性やエステル成分の均一性などの点から合成エステルであることが好ましい。
【0010】
エステルを構成するアルコールは、1価アルコールでも多価アルコールでも良いが、酸は脂肪酸である。1価アルコールとしては、通常炭素数1〜24、好ましくは1〜12、更に好ましくは1〜8のものが用いられ、このようなアルコールとしては直鎖のものでも分岐のものでも良く、また飽和のものであっても不飽和のものであっても良い。炭素数1〜24のアルコールとしては、具体的には例えば、メタノール、エタノール、直鎖状又は分岐状のプロパノール、直鎖状又は分岐状のブタノール、直鎖状又は分岐状のペンタノール、直鎖状又は分岐状のヘキサノール、直鎖状又は分岐状のヘプタノール、直鎖状又は分岐状のオクタノール、直鎖状又は分岐状のノナノール、直鎖状又は分岐状のデカノール、直鎖状又は分岐状のウンデカノール、直鎖状又は分岐状のドデカノール、直鎖状又は分岐状のトリデカノール、直鎖状又は分岐状のテトラデカノール、直鎖状又は分岐状のペンタデカノール、直鎖状又は分岐状のヘキサデカノール、直鎖状又は分岐状のヘプタデカノール、直鎖状又は分岐状のオクタデカノール、直鎖状又は分岐状のノナデカノール、直鎖状又は分岐状のイコサノール、直鎖状又は分岐状のヘンイコサノール、直鎖状又は分岐状のトリコサノール、直鎖状又は分岐状のテトラコサノール及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0011】
多価アルコールとしては、通常2〜10価、好ましくは2〜6価のものが用いられる。2〜10の多価アルコールとしては、具体的には例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの3〜15量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの3〜15量体)、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール;グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜8量体、例えばジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等)、トリメチロールアルカン(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン等)及びこれらの2〜8量体、ペンタエリスリトール及びこれらの2〜4量体、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の多価アルコール;キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、スクロース等の糖類、及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0012】
これらの中でも特に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの3〜10量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの3〜10量体)、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トリメチロールアルカン(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン等)及びこれらの2〜4量体、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の2〜6価の多価アルコール及びこれらの混合物等が好ましい。さらにより好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、及びこれらの混合物等である。
【0013】
本発明のエステルを構成するアルコールは、上述したように1価アルコールであっても多価アルコールであっても良いが、切削及び研削加工においてより優れた潤滑性が得られ、加工物の仕上げ面精度の向上と工具刃先の摩耗防止効果がより大きくなる、流動点の低いものがより得やすく、冬季及び寒冷地での取り扱い性がより向上する、更にべたつき性の低下に寄与するエステルが得られやすくなる等の点から多価アルコールであることが好ましい。
【0014】
酸としての脂肪酸は、通常炭素数2〜24の脂肪酸が用いられ、その脂肪酸は直鎖のものでも分岐のものでも良く、また飽和のものでも不飽和のものでも良い。具体的には、例えば、酢酸、プロピオン酸、直鎖状又は分岐状のブタン酸、直鎖状又は分岐状のペンタン酸、直鎖状又は分岐状のヘキサン酸、直鎖状又は分岐状のヘプタン酸、直鎖状又は分岐状のオクタン酸、直鎖状又は分岐状のノナン酸、直鎖状又は分岐状のデカン酸、直鎖状又は分岐状のウンデカン酸、直鎖状又は分岐状のドデカン酸、直鎖状又は分岐状のトリデカン酸、直鎖状又は分岐状のテトラデカン酸、直鎖状又は分岐状のペンタデカン酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデカン酸、直鎖状又は分岐状のヘプタデカン酸、直鎖状又は分岐状のオクタデカン酸、直鎖状又は分岐状のヒドロキシオクタデカン酸、直鎖状又は分岐状のノナデカン酸、直鎖状又は分岐状のイコサン酸、直鎖状又は分岐状のヘンイコサン酸、直鎖状又は分岐状のドコサン酸、直鎖状又は分岐状のトリコサン酸、直鎖状又は分岐状のテトラコサン酸等の飽和脂肪酸、アクリル酸、直鎖状又は分岐状のブテン酸、直鎖状又は分岐状のペンテン酸、直鎖状又は分岐状のヘキセン酸、直鎖状又は分岐状のヘプテン酸、直鎖状又は分岐状のオクテン酸、直鎖状又は分岐状のノネン酸、直鎖状又は分岐状のデセン酸、直鎖状又は分岐状のウンデセン酸、直鎖状又は分岐状のドデセン酸、直鎖状又は分岐状のトリデセン酸、直鎖状又は分岐状のテトラデセン酸、直鎖状又は分岐状のペンタデセン酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデセン酸、直鎖状又は分岐状のヘプタデセン酸、直鎖状又は分岐状のオクタデセン酸、直鎖状又は分岐状のヒドロキシオクタデセン酸、直鎖状又は分岐状のノナデセン酸、直鎖状又は分岐状のイコセン酸、直鎖状又は分岐状のヘンイコセン酸、直鎖状又は分岐状のドコセン酸、直鎖状又は分岐状のトリコセン酸、直鎖状又は分岐状のテトラコセン酸等の不飽和脂肪酸、及びこれらの混合物等が挙げられる。これらの中でも、切削及び研削加工においてより優れた潤滑性が得られ、加工物の仕上げ面精度の向上と工具刃先の摩耗防止効果をより大きくすることができる等の点から特に炭素数3〜20の飽和脂肪酸、炭素数3〜22の不飽和脂肪酸及びこれらの混合物が好ましく、炭素数4〜18の飽和脂肪酸、炭素数4〜18の不飽和脂肪酸及びこれらの混合物が更に好ましい。
【0015】
本発明のエステルを構成する脂肪酸は、粘度指数の高いものがより得やすくミスト性がより良くなる、また優れた潤滑性能を発揮し、更にべたつき性の低下に寄与するエステルが得られやすくなる等の点から好ましい。
【0016】
本発明で使用可能なエステルとしては、例えば下記のエステルを挙げることができる。
(1)一価アルコールと脂肪酸とのエステル
(2)多価アルコールと脂肪酸とのエステル
(3)一価アルコール、多価アルコールとの混合物と脂肪酸との混合エステル
【0017】
これらの中でも、切削及び研削加工においてより優れた潤滑性が得られ、加工物の仕上げ面精度の向上と工具刃先の摩耗防止効果がより大きくなる、流動点の低いものがより得やすく、冬季及び寒冷地での取り扱い性がより向上する、粘度指数の高いものがより得やすくミスト性がより良くなる、更にべたつき性の低下に寄与するエステルが得られやすくなる等の点から(2)多価アルコールと脂肪酸とのエステルであることが好ましい。
【0018】
使用可能な天然油脂としては、特に限定されないが、好ましくは例えば、パーム油、パーム核油、菜種油、大豆油、ハイオレイック菜種油、及びハイオレイックサンフラワー油などの植物油、ラードなどの動物油を挙げることができる。
【0019】
本発明において、アルコール成分として多価アルコールを用いた場合に得られるエステルは、多価アルコール中の水酸基全てがエステル化された完全エステルでも良く、あるいは水酸基の一部がエステル化されず水酸基のままで残っている部分エステルでも良い。また、酸成分として多塩基酸を用いた場合に得られる有機酸エステルは、多塩基酸中のカルボキシル基全てがエステル化された完全エステルでも良く、あるいはカルボキシル基の一部がエステル化されずカルボキシル基のままで残っている部分エステルであっても良い。
【0020】
本発明の油剤組成物としてエステルを用いることにより潤滑性が改良された油剤が得られるが、水酸基価0.01〜300mgKOH/gのエステルを用いることにより更に良好な潤滑性能を示す油剤を得ることができる。本発明の油剤が更に高い潤滑性を有するためには、エステルの水酸基価の上限値は、好ましくは200mgKOH/gであり、更に好ましくは150mgKOH/gであり、一方その下限値は、好ましくは0.1mgKOH/gであり、更に好ましくは0.5mgKOH/gであり、更に好ましくは1mgKOH/gであり、更に好ましくは3mgKOH/gであり、最も好ましくは5mgKOH/gである。
【0021】
水酸基価が0.01〜300mgKOH/gの範囲にあるエステルの調製方法としては特に制限はないが、例えば、エステル調製工程においてその原料の選択や反応条件を調整する方法、あるいは水酸基価の異なる二種以上のエステルを混合する方法を挙げることができる。水酸基価の異なる二種以上のエステルを混合して目的の水酸基価のエステルを調製する場合には、比較的水酸基価の低いエステルと比較的水酸基価の高いエステルとを組み合わせて用いる。具体的には、水酸基価0〜20mgKOH/gのエステルと、水酸基価150を超え500mgKOH/g以下、更に好ましくは200〜400mgKOH/g、最も好ましくは250〜350mgKOH/gのエステルとを組み合わせて用いることが好ましい。又これらの配合量については、前者のエステルをエステル全量基準で50〜99.9質量%、更に好ましくは70〜99.5質量%、最も好ましくは80〜99質量%、及び後者のエステルをエステル全量基準で0.1〜50質量%、更に好ましくは0.5〜30質量%、最も好ましくは1〜20質量%となるようにそれぞれ使用することが好ましい。このように油剤組成物を二種以上のエステル混合物として構成した場合には、通常比較的低い水酸基価のエステルが油剤組成物の基油として、比較的高い水酸基価のエステルがその添加剤として寄与するが、本発明ではこれらを合わせて基油として扱う。
【0022】
また油剤の潤滑性をより高める観点からエステルのケン化価は、100〜500mgKOH/gの範囲にあることが好ましい。エステルのケン化価の上限値は更に好ましくは400mgKOH/gであり、一方その下限値は更に好ましくは200mgKOH/gである。ここで、エステルのケン化価は、JIS K 2503「航空潤滑油試験方法」の指示薬滴定法により測定した値を意味する。
【0023】
良好な潤滑性を有する油剤組成物は更にべたつきにくいことが好ましく、そのためには、沃素価が0〜80の範囲にあるエステル及び/又は臭素価が0〜50gBr2/100gの範囲にあるエステルを用いることが好ましい。
エステルの沃素価は、更に好ましくは0〜60の範囲、更に好ましくは0〜40の範囲、更に好ましくは0〜20の範囲、最も好ましくは0〜10の範囲にある。
エステルの臭素価は、更に好ましくは0〜30gBr2/100gの範囲、更に好ましくは0〜20gBr2/100gの範囲、最も好ましくは0〜10gBr2/100gの範囲にある。ここで、エステルの沃素価は、JIS K 0070「化学製品の酸価、ケン化価、エステル価、沃素価、水酸基価及び不ケン化価物の測定方法」の指示薬滴定法により測定した値を意味する。またエステルの臭素価は、JIS K 2605「化学製品―臭素価試験方法−電気滴定法」により測定した値を意味する。
【0024】
本発明のエステルの動粘度については特に制限はないが、加工箇所への供給のしやすさの点から40℃における動粘度の上限値は200mm2/sであることが好ましく、更に好ましくは100mm2/sであり、更に好ましくは75mm2/sであり、最も好ましくは50mm2/sである。一方、その下限値は、1mm2/sであることが好ましく、更に好ましくは3mm2/sであり、最も好ましくは5mm2/sである。
本発明のエステルの流動点および粘度指数には特に制限はないが流動点は−20℃以下であることが好ましく、更に好ましくは−45℃以下である。粘度指数は100以上200以下であることが望ましい。
【0025】
本発明の油剤組成物に用いられるエステルの含有量には特に制限はない。しかしながら、バクテリア等の微生物による油剤成分の分解がより容易に行われ、周辺の環境が維持される生分解性の点から、組成物全量基準で10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが更に好ましく、最も好ましくは50質量%以上である。
【0026】
本発明の油剤組成物に、上記エステル以外の成分を配合する場合には、切削・研削油として従来公知の基油、添加剤を用いることができる。
基油は、鉱油でも合成油(但し、エステルは除く)でも良い。鉱油としては、例えば、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理を適宜組み合わせて精製したパラフィン系、ナフテン系等の油を挙げることができる。また合成油としては、例えば、ポリ−α−オレフィン(ポリブテン、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等)、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ポリオキシアルキレングリコール、ポリフェニルエーテル等が使用できる。これらの基油を用いる場合の配合量は特に制限はないが、組成物全量基準で90質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることが特に好ましい。本発明では、生分解性の点から基油を上記の特性を有するエステル成分のみ(100質量%)で構成することが好ましい。
【0027】
従来公知の添加剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−o−クレゾール)等に代表される酸化防止剤;脂肪酸、アルコール等の油性剤;塩素系、硫黄系、りん系、有機金属系の極圧添加剤;ジエチレングリコールモノアルキルエーテル等の湿潤剤;アクリルポリマー、パラフィンワックス、マイクロワックス、スラックワックス、ポリオレフィンワックス等の造膜剤;脂肪酸アミン塩等の水置換剤;グラファイト、フッ化黒鉛、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、ポリエチレン粉末等の固体潤滑剤;アミン、アルカノールアミン、アミド、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸、リン酸塩等の腐食防止剤;ベンゾトリアゾール、チアジアゾール等の金属不活性化剤;メチルシリコーン、フルオロシリコーン、ポリアクリレート等の消泡剤;アルケニルコハク酸イミド、ベンジルアミン、ポリアルケニルアミンアミノアミド等の無灰分散剤;等が挙げられる。これらの公知の添加剤を併用する場合の含有量は特に制限はないが、これらの公知の添加剤の合計含有量が組成物全量基準で0.1〜10質量%となるような量で添加するのが一般的である。
【0028】
本発明の油剤組成物の動粘度については特に制限はないが、加工箇所への供給のしやすさの点から、40℃における動粘度の上限値は200mm2/sであることが好ましく、更に好ましくは100mm2/sであり、更に好ましくは75mm2/sであり、最も好ましくは50mm2/sである。一方その下限値は、1mm2/sであることが好ましく、更に好ましくは3mm2/sであり、最も好ましくは5mm2/sである。
【0029】
以下、実施例と比較例により、本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0030】
[実施例、参考例及び比較例]
下記の合成エステル及び/又は天然油脂を用いて下記の表1に示す各種の油剤組成物を調製し、タッピング試験による潤滑性の評価及びべたつき性の評価を行った。その評価結果を表1に示す。なお、タッピング試験では、油剤組成物を用いることなく空気のみを吹き付けた場合の例を比較例1として評価し、その評価結果を表1に併記した。
(合成エステル)
a:トリメチロールプロパンと、n−C6の酸、n−C8の酸、及びn−C10の酸の混合物(混合モル比7:59:34)とのトリエステル
b:ペンタエリスリトールとn−C8の酸とのテトラエステル
c:トリメチロールプロパンとn−C8の酸及びn−C18の酸の混合物(混合モル比40:60)とのトリエステル
d:ネオペンチルグリコールとオレイン酸とのジエステル
e:トリメチロールプロパンとn−C10の酸とのジエステル
f:ペンタエリスリトールとオレイン酸とのテトラエステル
g:グリセリンとオレイン酸とのモノエステル(水酸基価315mgKOH/g、ケン化価157mgKOH/g、沃素価72、臭素価45gBr2/100g)
【0031】
(天然油脂)
α:市販のパーム核油
β:市販のラード油
γ:市販のハイオレイックサンフラワー油
δ:市販の菜種油
【0032】
[潤滑性の評価(タッピング試験)]
各油剤組成物及び比較標準油(DIDA:アジピン酸ジイソデシル)を交互に用いて、下記の条件によりタッピング試験を行った。それぞれの場合のタッピングエネルギーを測定し、下記の式により、タッピングエネルギー効率(%)を算出した。タッピングエネルギー効率%の値が高い程、潤滑性が高いことを示す。タッピングエネルギー効率(%)=(DIDAを用いた場合のタッピングエネルギー)/(油剤組成物を用いた場合のタッピングエネルギー)
タッピング条件
工具:ナットタップM8(P=1.25mm)
下穴径:φ6.8mm
ワーク:S25C(t=10mm)
切削速度:9.0m/分
油剤供給方式
各油剤組成物:圧縮空気0.2MPa、油剤組成物25ml/hの条件 で吹き付け
DIDA:圧縮空気を用いることなく、直接加工部位に4.3mL/分の条件で吹き付け
【0033】
[べたつき性の評価]
アルミ皿(100mm×70mm)上に油剤組成物を5ml入れ、70℃の恒温槽に168時間静置後、油剤組成物付着部分のべたつきの程度を5段階にて指触判断した。またGPCにて試験前後の質量平均分子量を測定し、変化率を求めた。
べたつき性の5段階評価は下記の通りである。
A:べたつきは全くない。
B:べたつきが全くないか、あっても極わずかである。
C:べたつきがわずかにある。
D:べたつきがある。
E:べたつきが非常にある。
【0034】
【表1】
【0035】
表1の結果から、水酸基価が0〜20mgKOH/gの脂肪酸エステルと水酸基価が150mgKOH/gを越え500mgKOH/g以下の脂肪酸エステルとを含み、かつ混合エステルの水酸基価が0.01〜300mgKOH/gのエステルを含有する油剤組成物は高い潤滑性能を示していることがわかる。また沃素価0〜80及び臭素価0〜50gBr2/100gのエステルを含む油剤組成物は低いべたつき性をも兼ね備えていることがわかる。
【0036】
【発明の効果】
基油としてエステルを用いることで、切削・研削箇所に微量の油剤組成物を空気とともに供給する極微量油剤供給方式の切削・研削加工に適した油剤組成物を提供することができる。特に水酸基価0.01〜300mgKOH/gの範囲のエステルを用いることで潤滑性能の向上した油剤組成物を得ることができる。またエステルが特定の沃素価及び/又は臭素価を有する場合には、潤滑性能と共にべたつき性の低い油剤組成物を得ることができる。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
TECHNICAL FIELD The present invention relates to an oil composition for cutting / grinding that is suitable for cutting / grinding using a very small amount of oil supply system that supplies a small amount of oil together with a compressed fluid to a cutting / grinding location.
[0002]
[Prior art]
Generally, cutting and grinding fluids are used in cutting and grinding. The purpose is to improve productivity in machining such as extending the life of tools such as drills, end mills, tools, and grindstones used for machining, improving the surface roughness of workpieces, and thereby increasing machining efficiency.
Cutting / grinding fluids are water-soluble cutting / grinding fluids that use diluted surfactants and lubricating components in water, and non-water-soluble cutting / grinding fluids that use mineral oil as the main ingredient and remain as undiluted solutions. Broadly divided into types. In a conventional cutting / grinding process, a relatively large amount of cutting / grinding fluid is supplied to the processing location.
The most basic and important functions of cutting and grinding fluids are lubrication and cooling. In general, water-insoluble cutting and grinding fluids are excellent in lubrication performance, and water-soluble cutting and grinding fluids are excellent in cooling performance. Since the cooling effect of a water-insoluble oil agent is inferior to that of a water-soluble oil agent, a large amount of water-insoluble cutting / grinding oil agent is generally required from several liters per minute to tens of liters in some cases.
[0003]
Cutting and grinding fluids effective for improving the processing efficiency are not preferable from another aspect, and a typical problem is the influence on the environment. Regardless of water-insolubility and water-solubility, oils gradually deteriorate during use and eventually become unusable. For example, in the case of a water-soluble oil agent, the stability of the liquid is reduced due to the generation of microorganisms, resulting in separation of components, or the sanitary environment is significantly reduced, making its use impossible. Further, in the case of a water-insoluble oil agent, an acidic component generated by the progress of oxidation corrodes the metal material or causes a significant change in viscosity, making it impossible to use. Further, the oil agent adheres to chips and is consumed and becomes waste.
In such a case, the deteriorated oil is discarded and a new oil is used. At this time, the oil discharged as waste requires various treatments so as not to affect the environment. For example, in cutting and grinding fluids that have been developed with priority on improving work efficiency, many chlorine-based compounds that may generate toxic dioxins during incineration are used. Removal of these compounds Processing is required. For this reason, cutting and grinding fluids that do not contain chlorinated compounds have also been developed, but even with such cutting and grinding fluids that do not contain such harmful components, there is a problem of the environmental impact associated with the massive discharge of waste. is there. In the case of a water-soluble oil, there is a possibility of polluting the environmental water area, so it is necessary to perform advanced treatment at high cost.
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
Recently, in order to deal with the above-mentioned problems, a study is being made to replace the cutting / grinding fluid by blowing cold air on the cutting / grinding portion and cooling it. On the other hand, it is impossible to obtain one of the properties required for lubrication.
In order to make up for this problem, a system has been developed that supplies a very small amount of a normal amount of 1 / 100,000 to 1 / 1000,000, together with a compressed fluid (for example, compressed air) to a cutting / grinding location. In this system, a cooling effect by compressed air can be obtained, and the amount of waste can be reduced because a very small amount of oil is used. Therefore, the influence on the environment due to a large amount of waste can be improved. However, the performance required for cutting / grinding using this trace amount oil supply method, that is, it is possible to obtain a workpiece with a good surface even with a trace amount, and there is little wear of tools, etc. Cutting / grinding fluids with high performance capable of efficient grinding have not been proposed yet, and their development is desired. In addition, in the trace amount oil supply method, the oil is supplied as an oil mist, which causes a problem that it easily adheres to the inside of the machine tool, the workpiece, the tool, the mist collector, and the like. In this case, if the adhering oil agent is easily sticky, the handling property is hindered and the work efficiency is lowered. For this reason, it is desirable that the oil agent is not sticky.
[0005]
Therefore, the present invention has been made in view of such a situation, and the purpose thereof is to supply the oil agent together with the compressed fluid to the cutting / grinding portion to minimize the amount of the oil agent to be discharged as waste. It is an object of the present invention to provide an oil composition for cutting / grinding processing that is suitable for a cutting / grinding oil supply system, that is, an ultra-trace oil supply system that is intended to greatly reduce the amount of oil. In particular, an object of the present invention is to provide an oil composition having excellent lubricity so that cutting and grinding can be performed efficiently.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
As a result of the research of the inventors of the present invention, by using an oil containing a fatty acid ester having a specific hydroxyl value as an oil composition for cutting / grinding with an extremely small amount of oil supply, workability during cutting / grinding, It was found that it was very effective in the finished condition of the work. In order to exhibit particularly excellent lubrication performance and perform high-efficiency cutting / grinding , it contains two specific fatty acid esters having different hydroxyl values, and the mixed ester has a hydroxyl value of 0.01 to 300 mgKOH / g. It was found that it is effective to use an ester of Furthermore, it has also been found that when such an ester has a specific iodine value and / or bromine value, an oil agent which is not sticky can be obtained.
[0007]
The present invention includes a fatty acid ester having a hydroxyl value of 0 to 20 mgKOH / g and a fatty acid ester having a hydroxyl value of more than 150 mgKOH / g and not more than 500 mgKOH / g, and the mixed ester has a hydroxyl value of 0.01 to 300 mgKOH / g . There is an oil composition for cutting / grinding with a very small amount of oil supply. Here, the hydroxyl value of the ester is a value measured by an indicator titration method according to JIS K 0070 “Method for measuring acid value, saponification value, ester value, iodine value, hydroxyl value and unsaponified value of a chemical product”. means.
[0008]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The present invention is an oil composition for cutting / grinding with a very small amount of oil containing ester, and here, the cutting / grinding with a very small amount of oil is compared with normal cutting / grinding. This refers to cutting / grinding that is performed while supplying an extremely small amount of oil of about 1/100000 to 1/1000000 to the cutting / grinding location together with the compressed fluid. That is, the extremely small amount of oil supply method is a method of supplying a small amount of oil of 1 ml / min or less to a cutting / grinding location together with a compressed fluid (for example, compressed air). In addition to compressed air, a compressed fluid such as nitrogen, argon, helium, carbon dioxide, and water can be used alone, or these fluids can be mixed and used.
The pressure of the compressed fluid in the cutting / grinding process of the ultra-trace oil supply type of the present invention is such that the oil does not scatter and pollutes the atmosphere, and the mixed fluid of the oil and gas or liquid is the cutting / grinding point. The pressure is adjusted so that it can be reached sufficiently. Further, the temperature of the compressed fluid is usually adjusted to room temperature (about 25 ° C.) or from room temperature to −50 ° C. from the viewpoint of cooling properties.
[0009]
The oil composition for cutting / grinding of the present invention (hereinafter simply referred to as oil composition or oil) is a fatty acid ester having a hydroxyl value of 0 to 20 mgKOH / g and a hydroxyl value of more than 150 mgKOH / g and 500 mgKOH / g. g or less fatty acid ester, and a mixed ester containing an ester having a hydroxyl value of 0.01 to 300 mgKOH / g. The ester is a natural product (usually contained in natural fats and oils such as animals and plants). Or a synthetic product. In the present invention, a synthetic ester is preferable from the viewpoint of the stability of the obtained oil composition and the uniformity of the ester component.
[0010]
Alcohol constituting the ester is good even in the polyhydric alcohol at monohydric alcohol Iga, acid is a fatty acid. As the monohydric alcohol, those having 1 to 24 carbon atoms, preferably 1 to 12 carbon atoms, more preferably 1 to 8 carbon atoms are usually used. Such alcohols may be linear or branched, and saturated. Or unsaturated. Specific examples of the alcohol having 1 to 24 carbon atoms include methanol, ethanol, linear or branched propanol, linear or branched butanol, linear or branched pentanol, and linear Linear or branched hexanol, linear or branched heptanol, linear or branched octanol, linear or branched nonanol, linear or branched decanol, linear or branched Undecanol, linear or branched dodecanol, linear or branched tridecanol, linear or branched tetradecanol, linear or branched pentadecanol, linear or branched hexadecane Decanol, linear or branched heptadecanol, linear or branched octadecanol, linear or branched nonadecanol, linear or branched icosa Lumpur, linear or branched Hen'ikosanoru, linear or branched Torikosanoru, such as linear or branched tetracosanol, and mixtures thereof.
[0011]
As the polyhydric alcohol, those having 2 to 10 valences, preferably 2 to 6 valences are usually used. Specific examples of the 2 to 10 polyhydric alcohol include, for example, ethylene glycol, diethylene glycol, polyethylene glycol (3 to 15 mer of ethylene glycol), propylene glycol, dipropylene glycol, and polypropylene glycol (3 to 15 of propylene glycol). Monomer), 1,3-propanediol, 1,2-propanediol, 1,3-butanediol, 1,4-butanediol, 2-methyl-1,2-propanediol, 2-methyl-1,3 -Dihydric alcohols such as propanediol, 1,2-pentanediol, 1,3-pentanediol, 1,4-pentanediol, 1,5-pentanediol, neopentylglycol; glycerin, polyglycerin (glycerin 2- Octamers such as diglycerin, triglyceride Phosphorus, tetraglycerin, etc.), trimethylolalkanes (trimethylolethane, trimethylolpropane, trimethylolbutane, etc.) and their 2- to 8-mer, pentaerythritol and their 2- to 4-mer, 1,2,4- Butanetriol, 1,3,5-pentanetriol, 1,2,6-hexanetriol, 1,2,3,4-butanetetrol, sorbitol, sorbitan, sorbitol glycerin condensate, adonitol, arabitol, xylitol, mannitol, etc. Polysaccharides of xylose, arabinose, ribose, rhamnose, glucose, fructose, galactose, mannose, sorbose, cellobiose, maltose, isomaltose, trehalose, sucrose, sugars, and mixtures thereof That.
[0012]
Among these, ethylene glycol, diethylene glycol, polyethylene glycol (ethylene glycol 3-10 mer), propylene glycol, dipropylene glycol, polypropylene glycol (propylene glycol 3-10 mer), 1,3-propanediol, 2-methyl-1,2-propanediol, 2-methyl-1,3-propanediol, neopentyl glycol, glycerin, diglycerin, triglycerin, trimethylolalkane (trimethylolethane, trimethylolpropane, trimethylolbutane, etc. ) And their 2-4 tetramers, pentaerythritol, dipentaerythritol, 1,2,4-butanetriol, 1,3,5-pentanetriol, 1,2,6-hexanetriol, 1,2, , 4-butane tetrol, sorbitol, sorbitan, sorbitol glycerin condensate, adonitol, arabitol, xylitol, divalent to hexavalent polyhydric alcohols and mixtures thereof, such as mannitol and the like are preferable. Even more preferred are ethylene glycol, propylene glycol, neopentyl glycol, glycerin, trimethylol ethane, trimethylol propane, pentaerythritol, sorbitan, and mixtures thereof.
[0013]
As described above, the alcohol constituting the ester of the present invention may be a monohydric alcohol or a polyhydric alcohol. However, better lubricity can be obtained in cutting and grinding, and the finished surface of the workpiece Ester that contributes to lowering of stickiness is obtained with improved accuracy and greater wear prevention effect on the tool edge, easier to obtain low pour point, better handling in winter and cold regions, and more A polyhydric alcohol is preferred from the standpoint of ease.
[0014]
As the fatty acid as the acid , a fatty acid having 2 to 24 carbon atoms is usually used. The fatty acid may be linear or branched, and may be saturated or unsaturated. Specifically, for example, acetic acid, propionic acid, linear or branched butanoic acid, linear or branched pentanoic acid, linear or branched hexanoic acid, linear or branched heptane Acid, linear or branched octanoic acid, linear or branched nonanoic acid, linear or branched decanoic acid, linear or branched undecanoic acid, linear or branched dodecane Acid, linear or branched tridecanoic acid, linear or branched tetradecanoic acid, linear or branched pentadecanoic acid, linear or branched hexadecanoic acid, linear or branched heptadecane Acid, linear or branched octadecanoic acid, linear or branched hydroxyoctadecanoic acid, linear or branched nonadecanoic acid, linear or branched icosanoic acid, linear or branched Henicosanoic acid, linear or branched Saturated fatty acids such as cosanoic acid, linear or branched tricosanoic acid, linear or branched tetracosanoic acid, acrylic acid, linear or branched butenoic acid, linear or branched pentenoic acid, Linear or branched hexenoic acid, linear or branched heptenoic acid, linear or branched octenoic acid, linear or branched nonenoic acid, linear or branched decenoic acid, Linear or branched undecenoic acid, linear or branched dodecenoic acid, linear or branched tridecenoic acid, linear or branched tetradecenoic acid, linear or branched pentadecenoic acid, Linear or branched hexadecenoic acid, linear or branched heptadecenoic acid, linear or branched octadecenoic acid, linear or branched hydroxyoctadecenoic acid, linear or branched nonadecene Acid, linear or branched Unsaturated fatty acids such as cocenoic acid, linear or branched heicosenoic acid, linear or branched docosenoic acid, linear or branched tricosenoic acid, linear or branched tetracosenoic acid, and the like And the like. Among these, in particular, the number of carbon atoms is 3 to 20 from the standpoint that excellent lubricity can be obtained in cutting and grinding, the finished surface accuracy of the workpiece can be improved, and the wear prevention effect of the tool edge can be further increased. Saturated fatty acids, unsaturated fatty acids having 3 to 22 carbon atoms, and mixtures thereof are preferable, and saturated fatty acids having 4 to 18 carbon atoms, unsaturated fatty acids having 4 to 18 carbon atoms, and mixtures thereof are more preferable.
[0015]
Fatty acid constituting the ester of the present invention, it is further obtained easily mist resistance better having a high viscosity index and excellent lubrication properties exhibit, further stickiness reduction contributing ester can be easily obtained, etc. point or RaYoshimi Masui.
[0016]
Examples of the ester that can be used in the present invention include the following esters.
(1) Esters of monohydric alcohol and fatty acid
(2) Esters of polyhydric alcohol and fatty acid
(3) Monohydric alcohol, polyhydric alcohol mixture and fatty acid mixed ester
Among these, better lubricity can be obtained in cutting and grinding, improving the finished surface accuracy of the work piece and increasing the wear prevention effect of the tool edge, easier to obtain a low pour point, (2) Multivalent in terms of improved handling in cold regions, higher viscosity index, easier to obtain, better mist properties, and easier formation of esters that contribute to reduced stickiness. An ester of alcohol and fatty acid is preferred.
[0018]
Examples of natural fats and oils that can be used include, but are not limited to, vegetable oils such as palm oil, palm kernel oil, rapeseed oil, soybean oil, high oleic rapeseed oil, and high oleic sunflower oil, and animal oils such as lard. Can do.
[0019]
In the present invention, the ester obtained when a polyhydric alcohol is used as the alcohol component may be a complete ester in which all the hydroxyl groups in the polyhydric alcohol are esterified, or a part of the hydroxyl groups are not esterified and remain as hydroxyl groups. The remaining partial ester may be used. The organic acid ester obtained when a polybasic acid is used as the acid component may be a complete ester in which all the carboxyl groups in the polybasic acid are esterified, or a part of the carboxyl groups is not esterified and carboxylated. It may be a partial ester remaining as a group.
[0020]
By using an ester as the oil composition of the present invention, an oil agent with improved lubricity can be obtained, but by using an ester having a hydroxyl value of 0.01 to 300 mgKOH / g, an oil agent having even better lubricating performance can be obtained. Can do. In order for the oil agent of the present invention to have higher lubricity, the upper limit of the hydroxyl value of the ester is preferably 200 mgKOH / g, more preferably 150 mgKOH / g, while the lower limit is preferably 0. 0.1 mg KOH / g, more preferably 0.5 mg KOH / g, more preferably 1 mg KOH / g, still more preferably 3 mg KOH / g, and most preferably 5 mg KOH / g.
[0021]
There is no particular limitation on the method for preparing an ester having a hydroxyl value in the range of 0.01 to 300 mgKOH / g. For example, a method for adjusting the selection of raw materials and reaction conditions in the ester preparation step, or two different hydroxyl values. A method of mixing two or more kinds of esters can be mentioned. When preparing an ester having a target hydroxyl value by mixing two or more esters having different hydroxyl values, an ester having a relatively low hydroxyl value and an ester having a relatively high hydroxyl value are used in combination. Specifically, an ester having a hydroxyl value of 0 to 20 mgKOH / g and an ester having a hydroxyl value of more than 150 and not more than 500 mgKOH / g, more preferably 200 to 400 mgKOH / g, and most preferably 250 to 350 mgKOH / g are used in combination. It is preferable. In addition, regarding these blending amounts, the former ester is 50 to 99.9% by mass, more preferably 70 to 99.5% by mass, most preferably 80 to 99% by mass, and the latter ester is ester based on the total amount of the ester. It is preferable to use 0.1 to 50% by mass, more preferably 0.5 to 30% by mass, and most preferably 1 to 20% by mass based on the total amount. Thus, when the oil composition is configured as a mixture of two or more esters, the ester having a relatively low hydroxyl value usually contributes as the base oil of the oil composition, and the ester having a relatively high hydroxyl value contributes as the additive. However, in the present invention, these are combined and treated as a base oil.
[0022]
Moreover, it is preferable that the saponification value of ester exists in the range of 100-500 mgKOH / g from a viewpoint of improving the lubricity of an oil agent more. The upper limit of the saponification value of the ester is more preferably 400 mgKOH / g, while the lower limit is more preferably 200 mgKOH / g. Here, the saponification value of an ester means a value measured by an indicator titration method of JIS K 2503 “Aeronautical Lubricating Oil Test Method”.
[0023]
Oil composition having good lubricity is preferably further difficult stickiness. For this purpose, an ester iodine value is in the range of 0-80 and / or bromine number of the ester in the range of 0~50gBr 2 / 100g It is preferable to use it.
The iodine value of the ester is more preferably in the range of 0-60, more preferably in the range of 0-40, still more preferably in the range of 0-20, and most preferably in the range of 0-10.
Bromine number of the ester is more preferably in the range of 0~30gBr 2 / 100g, more preferably in the range of 0~20gBr 2 / 100g, and most preferably from 0~10gBr 2 / 100g. Here, the iodine value of the ester is a value measured by an indicator titration method according to JIS K 0070 “Method for measuring acid value, saponification value, ester value, iodine value, hydroxyl value and non-saponification value of a chemical product”. means. The bromine number of the ester means a value measured according to JIS K 2605 “Chemical product—Bromine number test method—Electro titration method”.
[0024]
Although there is no restriction | limiting in particular about the kinematic viscosity of the ester of this invention, From the point of the ease of supply to a process location, it is preferable that the upper limit of kinematic viscosity in 40 degreeC is 200 mm < 2 > / s, More preferably, it is 100 mm. 2 / s, more preferably 75 mm 2 / s, and most preferably 50 mm 2 / s. On the other hand, the lower limit is preferably 1 mm 2 / s, more preferably 3 mm 2 / s, and most preferably 5 mm 2 / s.
The pour point and viscosity index of the ester of the present invention are not particularly limited, but the pour point is preferably −20 ° C. or lower, more preferably −45 ° C. or lower. The viscosity index is desirably 100 or more and 200 or less.
[0025]
There is no restriction | limiting in particular in content of the ester used for the oil agent composition of this invention. However, from the viewpoint of biodegradability in which the oil component is more easily decomposed by microorganisms such as bacteria and the surrounding environment is maintained, it is preferably 10% by mass or more based on the total amount of the composition, and 20% by mass. More preferably, it is more preferably 30% by mass or more, and most preferably 50% by mass or more.
[0026]
When a component other than the above ester is blended in the oil composition of the present invention, conventionally known base oils and additives can be used as the cutting / grinding oil.
The base oil may be mineral oil or synthetic oil (excluding esters). As mineral oil, for example, a lubricating oil fraction obtained by subjecting crude oil to atmospheric distillation and vacuum distillation is subjected to solvent removal, solvent extraction, hydrocracking, solvent dewaxing, catalytic dewaxing, hydrorefining, sulfuric acid washing And oils such as paraffinic and naphthenic oils purified by appropriately combining purification treatments such as clay treatment. As synthetic oils, for example, poly-α-olefin (polybutene, 1-octene oligomer, 1-decene oligomer, etc.), alkylbenzene, alkylnaphthalene, polyoxyalkylene glycol, polyphenyl ether and the like can be used. The blending amount in the case of using these base oils is not particularly limited, but is preferably 90% by mass or less, more preferably 70% by mass or less, and 50% by mass or less based on the total amount of the composition. Is particularly preferred. In the present invention, it is preferable that the base oil is composed of only the ester component (100% by mass) having the above characteristics from the viewpoint of biodegradability.
[0027]
Examples of conventionally known additives include 2,6-di-tert-butyl-p-cresol, 4,4′-methylenebis (2,6-di-tert-butylphenol), 4,4′-bis (2 , 6-di-tert-butylphenol), 4,4′-thiobis (6-tert-butyl-o-cresol) and the like; oily agents such as fatty acids and alcohols; chlorine-based, sulfur-based, Phosphorous and organometallic extreme pressure additives; wetting agents such as diethylene glycol monoalkyl ether; film-forming agents such as acrylic polymer, paraffin wax, microwax, slack wax, and polyolefin wax; water displacement agents such as fatty acid amine salts; Solid lubricants such as graphite, fluorinated graphite, molybdenum disulfide, boron nitride, polyethylene powder; amines, alkanolamines, amides, carboxylic acids, carbonates Corrosion inhibitors such as rubonic acid salts, sulfonic acid salts, phosphoric acid, and phosphates; metal deactivators such as benzotriazole and thiadiazole; antifoaming agents such as methyl silicone, fluorosilicone, and polyacrylate; alkenyl succinimides Ashless dispersants such as benzylamine, polyalkenylamine aminoamide, and the like. The content when these known additives are used in combination is not particularly limited, but is added in such an amount that the total content of these known additives is 0.1 to 10% by mass based on the total amount of the composition. It is common to do.
[0028]
Although there is no restriction | limiting in particular about the kinematic viscosity of the oil agent composition of this invention, From the point of the ease of supply to a process location, it is preferable that the upper limit of kinematic viscosity in 40 degreeC is 200 mm < 2 > / s, Furthermore, Preferably it is 100 mm < 2 > / s, More preferably, it is 75 mm < 2 > / s, Most preferably, it is 50 mm < 2 > / s. On the other hand, the lower limit is preferably 1 mm 2 / s, more preferably 3 mm 2 / s, and most preferably 5 mm 2 / s.
[0029]
Hereinafter, the contents of the present invention will be described more specifically with reference to Examples and Comparative Examples, but the present invention is not limited to these Examples.
[0030]
[Examples , Reference Examples and Comparative Examples ]
Various oil agent compositions shown in the following Table 1 were prepared using the following synthetic esters and / or natural fats and oils, and lubricity and stickiness were evaluated by a tapping test. The evaluation results are shown in Table 1. In the tapping test, an example in which only air was sprayed without using the oil composition was evaluated as Comparative Example 1, and the evaluation results are also shown in Table 1.
(Synthetic ester)
a: triesters of trimethylol propane, acid n-C 6, a mixture of acid acid and n-C 10, the n-C 8 and (mixing molar ratio 7:59:34) b: pentaerythritol and n -C 8 acid tetraester c: Trimethylol propane and nC 8 acid and nC 18 acid mixture (mixing molar ratio 40:60) triester d: neopentyl glycol and oleic acid Diester e: Diester of trimethylolpropane and n-C 10 acid f: Tetraester of pentaerythritol and oleic acid g: Monoester of glycerin and oleic acid (hydroxyl value 315 mgKOH / g, saponification value 157 mgKOH / g, an iodine value of 72, bromine number 45gBr 2 / 100g)
[0031]
(Natural oil)
α: Commercial palm kernel oil β: Commercial lard oil γ: Commercial high oleic sunflower oil δ: Commercial rapeseed oil
[Evaluation of lubricity (tapping test)]
A tapping test was performed under the following conditions using each oil agent composition and comparative standard oil (DIDA: diisodecyl adipate) alternately. The tapping energy in each case was measured, and the tapping energy efficiency (%) was calculated by the following formula. The higher the value of tapping energy efficiency%, the higher the lubricity. Tapping energy efficiency (%) = (Tapping energy when DIDA is used) / (Tapping energy when oil composition is used)
Tapping condition tool: Nut tap M8 (P = 1.25mm)
Pilot hole diameter: φ6.8mm
Workpiece: S25C (t = 10mm)
Cutting speed: 9.0 m / min Oil supply system Each oil composition: Compressed air 0.2 MPa, oil composition 25 ml / h sprayed DIDA: 4.3 mL / min directly on the processing site without using compressed air Sprayed with the conditions of [0033]
[Evaluation of stickiness]
5 ml of the oil composition was placed on an aluminum dish (100 mm × 70 mm) and allowed to stand in a constant temperature bath at 70 ° C. for 168 hours. Moreover, the mass average molecular weight before and behind the test was measured by GPC, and the rate of change was determined.
The five-level evaluation of stickiness is as follows.
A: There is no stickiness.
B: There is no stickiness at all or very little.
C: There is a slight stickiness.
D: There is stickiness.
E: There is very stickiness.
[0034]
[Table 1]
[0035]
From the results of Table 1, the fatty acid ester having a hydroxyl value of 0 to 20 mgKOH / g and a fatty acid ester having a hydroxyl value of more than 150 mgKOH / g and not more than 500 mgKOH / g, and the mixed ester has a hydroxyl value of 0.01 to 300 mgKOH / g. It can be seen that the oil composition containing the ester of g exhibits high lubricating performance. The oil agent composition comprising an ester of iodine number 0 to 80 and bromine number 0~50gBr 2 / 100g is that see that and combines low stickiness.
[0036]
【The invention's effect】
By using an ester as the base oil, it is possible to provide an oil composition that is suitable for cutting / grinding using an extremely small amount of oil supply system that supplies a small amount of oil composition together with air to a cutting / grinding site. In particular, by using an ester having a hydroxyl value in the range of 0.01 to 300 mgKOH / g, an oil composition with improved lubricating performance can be obtained. In addition, when the ester has a specific iodine value and / or bromine value, it is possible to obtain an oil composition having a low stickiness as well as a lubricating performance.
Claims (1)
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Applications Claiming Priority (3)
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