[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP3856245B2 - 高透磁率ナノ結晶合金の製造方法 - Google Patents

高透磁率ナノ結晶合金の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3856245B2
JP3856245B2 JP18280695A JP18280695A JP3856245B2 JP 3856245 B2 JP3856245 B2 JP 3856245B2 JP 18280695 A JP18280695 A JP 18280695A JP 18280695 A JP18280695 A JP 18280695A JP 3856245 B2 JP3856245 B2 JP 3856245B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat treatment
alloy
temperature
element selected
permeability
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP18280695A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0885821A (ja
Inventor
克仁 吉沢
嘉雄 備前
晋 中島
俊介 荒川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Metals Ltd filed Critical Hitachi Metals Ltd
Priority to JP18280695A priority Critical patent/JP3856245B2/ja
Publication of JPH0885821A publication Critical patent/JPH0885821A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3856245B2 publication Critical patent/JP3856245B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/12Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials
    • H01F1/14Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials metals or alloys
    • H01F1/147Alloys characterised by their composition
    • H01F1/153Amorphous metallic alloys, e.g. glassy metals
    • H01F1/15341Preparation processes therefor
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/12Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials
    • H01F1/14Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials metals or alloys
    • H01F1/147Alloys characterised by their composition
    • H01F1/153Amorphous metallic alloys, e.g. glassy metals
    • H01F1/15308Amorphous metallic alloys, e.g. glassy metals based on Fe/Ni
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/12Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials
    • H01F1/14Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials metals or alloys
    • H01F1/147Alloys characterised by their composition
    • H01F1/153Amorphous metallic alloys, e.g. glassy metals
    • H01F1/15333Amorphous metallic alloys, e.g. glassy metals containing nanocrystallites, e.g. obtained by annealing

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Electromagnetism (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、トランス、チョ−クコイル等の各種磁性部品に用いられる特に高い透磁率を示すナノ結晶合金の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ノイズフィルタやパルストランス等に用いられる磁心材料としては、フェライトやアモルファス合金等の高周波特性に優れた高透磁率材料が使用される。
ノイズフィルタ(ラインフィルタ)に用いられるコモンモ−ドチョ−ク用磁心材料としては高透磁率特性を示すだけでなく雷や大型のインバ−タ装置等から発生する高電圧パルス状ノイズによる機器の誤動作を防止するために、パルス減衰特性に優れるものが要求されている。このような要求に対して、従来のフェライト材料では飽和磁束密度が低く磁気的に飽和しやすいため小型磁心では十分な性能が得られない問題がある。したがって、従来のフェライト材料を用い十分な性能を得るためには磁心を大型にする必要があった。
【0003】
また、Fe基アモルファス合金は飽和磁束密度が高く、高電圧パルス性ノイズに対してはフェライトよりも優れた減衰特性を示すが、透磁率がCo基アモルファス合金より低く、低電圧レベルのノイズに対する減衰量が十分でない欠点がある。また、磁歪が著しく大きいために周波数によっては磁歪振動による共振が生じ特性が変化する問題や、可聴周波数成分がある電流がコイルに流れる場合には磁心にうなりが生ずる問題がある。
【0004】
一方、Co基アモルファス合金は高透磁率であるため、低電圧レベルのノイズに対する減衰量が大きく優れているが、飽和磁束密度が1T以下と低くFe基アモルファス合金に比べて高電圧パルスに対する減衰特性が劣っている。また、高透磁率のCo基アモルファス合金は経時変化が特に大きく、周囲温度が高い環境では特性劣化が大きく信頼性の点でも問題がある。
【0005】
また、ISDN(統合サービス・ディジタル網〈Integrated Services Digital Network〉)インタ−フェイス用パルストランスに使用される磁心材料としては高透磁率で温度特性に優れていることが要求される。ISDN用の用途では特に20kHz付近の透磁率が高いことが重要である。また、使用目的によっては、角形比が低くフラットなB-Hル−プを示すものが必要とされる。比初透磁率は100000未満のものしか得られず、比初透磁率が100000以上のものは実現が困難であった。
【0006】
しかし、ISDNインタ−フェイスに用いられるパルストランスは近年カード型インタ−フェイスへの使用が検討され小型化薄型化が要求されるようになってきており、20kHzで20mH以上のインダクタンスの規格をこのような小型薄型の形状で満足するためには更に透磁率の高い材料が必要になってきている。また、波形を忠実に伝送するためには、角形比が低くB-Hル−プがフラットな恒透磁率性に優れた材料も望まれている。
【0007】
しかし、フェライトやFe基アモルファス合金では透磁率が低くこのような要求に答えるのは困難である。また、フェライトは温度特性が劣っており、特に室温以下で透磁率が急激に低下するという問題もある。Co基のアモルファス合金は透磁率が高いものが得易いが、周囲温度が高い場合には経時変化が大きく、しかも価格が高い問題があり、汎用として用いるのには限界がある。
【0008】
また、漏電警報器をはじめとする電流センサ、磁気センサ等においても小型高感度の観点から透磁率の更に高い材料が要求されている。また、線形な出力を実現する観点からは低角形比でB−Hル−プがフラットな形で恒透磁率性に優れかつ透磁率が高い材料も要求されている。
【0009】
ナノ結晶合金は優れた軟磁気特性を示すため、コモンモ−ドチョ−クコイル、高周波トランス、漏電警報器、パルストランス等の磁心に使用されている。代表的組成系は特公平4-4393や特開平1ー242755に記載の合金系等が知られている。これらのナノ結晶合金は、通常液相や気相から急冷し非晶質合金とした後、これを熱処理により微結晶化することにより作製されている。液相から急冷する方法としては単ロ−ル法、双ロ−ル法、遠心急冷法、回転液中紡糸法、アトマイズ法やキャビテーション法等が知られている。また、気相から急冷する方法としては、スパッタ法、蒸着法、イオンプレ−ティング法等が知られている。ナノ結晶合金はこれらの方法により作製した非晶質合金を微結晶化したもので、非晶質合金にみられるような熱的不安定性がほとんどなく、高飽和磁束密度、低磁歪で優れた軟磁気特性を示すことが知られている。更にナノ結晶合金は経時変化が小さく、温度特性にも優れていることが知られている。
【0010】
また、特公平4ー4393に記載されているようなFe基の微結晶合金(ナノ結晶合金)が高透磁率低磁心損失特性を示し、これらの用途に適していることが開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ノイズフィルタに用いられるコモンモ−ドチョ−ク用磁心やISDN用パルストランス等では、高い比透磁率が要求される。特公平4-4393にはナノ結晶合金の熱処理として5分以上24時間以下保持することが記載されている。しかし、従来の方法で熱処理し製造したナノ結晶合金では100000を越えるような著しく高い透磁率の実現は困難であった。
本発明の目的は比初透磁率の著しく高いナノ結晶合金の製造方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために本発明者らは、
一般式:(Fe1-aMa100-x-y-z-b-c-dAxM'yM''zXbSicBd(原子%)
式中MはCo,Niから選ばれた少なくとも1種の元素を、AはCu,Auから選ばれた少なくとも1種の元素、M'はTi,V,Zr,Nb,Mo,Hf,TaおよびWから選ばれた少なくとも1種の元素、M''はCr,Mn,Sn,Zn,Ag,In,白金属元素,Mg,Ca,Sr,Y,希土類元素,N,OおよびSから選ばれた少なくとも1種の元素、XはC,Ge,Ga,AlおよびPから選ばれた少なくとも1種の元素を示し、a,x,y,z,b,cおよびdはそれぞれ0≦a≦0.1、0.1≦x≦3、1≦y≦10、0≦z≦10、0≦b≦10、11≦c≦17、3≦d≦10を満足する数で表される組成であり、平均結晶粒径が30nm以下である結晶粒が組織の少なくとも一部を占めるナノ結晶合金を得るのに結晶化温度より低い温度から、結晶化温度以上に昇温または昇温後一定温度に保持する時間を5分未満とし400゜Cまでの冷却速度を20゜C/min以上とすることにより、磁場処理等を行わなくとも比初透磁率が100000以上である特性を得ることが可能であることを見い出し本発明に想到した。
【0013】
前述の結晶は主にSiを含むbccFe相であり、規則格子を含む場合もある。また、Si以外の元素たとえばB,Al,Ge,Zr等を固溶している場合もある。前記結晶相以外の残部は主にアモルファス相であるが、実質的に結晶相だけからなる合金も本発明に含まれる。
【0014】
比初透磁率は直流B-Hル−プの初磁化曲線から求められるものであるが、周波数が高くなるに伴い比初透磁率(実効比透磁率)は一定もしくは低下して行く。このため、たとえば、50Hzから1kHz程度の周波数での比初透磁率μir(実効比透磁率μe)が100000を越えていれば本発明には当然のことながら含まれる。このときの測定励磁レベルは通常0.05A・m-1以下である。
【0015】
本発明合金は、前記組成のアモルファス合金を単ロ−ル法等の超急冷法により作製後、これを磁心の形状に加工し、ある条件範囲内で熱処理を行い平均粒径30nm以下の微結晶を形成することにより作製する。
【0016】
具体的には、結晶化温度より低い温度から結晶化温度以上に昇温または一定温度に5分未満保持後、少なくとも400゜Cまでは20゜C/min以上の冷却速度になるようにしながら室温まで冷却する熱処理により前記高透磁率ナノ結晶合金を製造することが可能となる。従来、特性のばらつき等を考慮すると保持時間は5分以上と考えられていたが、100000を越えるような高透磁率を実現するためには5分未満の熱処理時間が望ましいことが判明した。更に、鋭意検討を進めた結果ばらつきについても昇温速度をコントロ−ルすることにより5分以上保持した場合と同等にすることが可能であることが分かった。好ましい昇温速度は0.2〜30℃/minで、より好ましい昇温速度は1〜10℃/minである。
【0017】
結晶化は昇温中にかなり進行するため保持時間をのばすことは結晶化を進め特性を向上する点ではあまり重要でないことが判明した。むしろ、結晶化後長時間保持することは保持中に本来不要な誘導磁気異方性が生じ初透磁率を低下する方向に働いていることが分った。
【0018】
本熱処理において、少なくとも400゜Cまでは20゜C/min以上の冷却速度になるようにしながら室温まで冷却することが重要である。20゜C/min未満の冷却速度では、不要な誘導磁気異方性が生じ高い比初透磁率が得られない。より好ましい冷却速度の範囲は30〜400℃/minである。
【0019】
また、結晶化のための熱処理において昇温または一定温度に保持する時間が5分未満である第1の熱処理工程の後、500℃以下の前記温度よりも低い温度まで冷却し磁場を印加しながら一定時間保持する第2の熱処理工程後、室温まで冷却するあるいは、結晶化温度以上まで昇温後0から5分未満保持し室温付近まで冷却する第1の結晶化のための熱処理後に500℃以下の前記第1の熱処理よりも低い温度で少なくとも一部の期間磁場を印加し第2の熱処理を行なうことによっても前記高透磁率ナノ結晶合金を製造することが可能となる。第2の熱処理は250℃以上で行なうと好ましい。
【0020】
この場合、低角形比でかつ高い透磁率を示すナノ結晶合金が実現できる。この理由は結晶化温度以上に昇温後保持する時間が従来の熱処理よりも短く、磁区構造に関連する場所によりいろいろな方向が容易軸となるような誘導磁気異方性が生じにくいため、低い温度で磁場中熱処理を行った場合に異方性の分散が小さくなり、低角形比で高透磁率が実現されていると考えられる。
【0021】
更に、この場合は透磁率の周波数特性も改善され、高い周波数においては磁場中熱処理しない場合よりも透磁率が向上する。磁場を印加する時間は透磁率との関係で決定されるが高透磁率を得る観点からは2時間以内、より好ましくは1時間以内、特に望ましくは30分以内が好ましい。
【0022】
前記組成をはずれた合金ではこれらの熱処理方法を適用しても比初透磁率が100000以上であるナノ結晶合金を製造することは困難である。
磁場を印加する方向は合金薄帯の幅方向あるいは厚さ方向から多少ずれていても良いが特に合金薄帯の幅方向あるいは厚さ方向である場合に低角形比で高い透磁率が得易い。磁心の場合は磁心の高さ方向あるいは径方向に相当する。
印加する磁場の強さは実用的な形状では通常80kA・m-1以上である。磁場は合金が飽和する程度印加する必要がある。印加磁場が大きい程合金の飽和が確実となり好ましいが、合金が完全に飽和する磁界であればそれ以上強い磁界を印加する必要はない。
【0023】
合金の板厚は通常2μmから50μm程度であるが15μm以下の薄帯である場合は特に透磁率や磁心損失の周波数特性に優れた特性が実現できる。この場合、特にコモンモ−ドチョ−ク等ノイズフィルタ用のコアや高周波トランス用コア等に好適である。
【0024】
前記熱処理は窒素、アルゴン、ヘリウムから選ばれた少なくとも1種のガス雰囲気中で行うと特に軟磁気特性の劣化が小さく望ましい。雰囲気ガス中には一般的に酸素が含まれているが、酸素量は透磁率に悪影響を及ぼすため少ない方が望ましく、酸素量は1%以下、より好ましくは0.1%以下、特に望ましくは0.01%以下である。
雰囲気ガスは炉内で移動するようにすることが大型の磁心や多数の磁心を処理する場合に有効である
【0025】
本発明合金および磁心は必要に応じてSiO2、MgO、Al2O3等を主体とする粉末あるいは膜で合金薄帯表面の少なくとも片面を被覆し、化成処理やアノ−ド分極処理により表面を処理し、表面に絶縁層を形成し層間絶縁を行う場合がある。これは特に高周波における渦電流の影響を低減し、透磁率や磁心損失を改善する効果がある。層間絶縁は表面状態が良好でかつ広幅の薄帯から構成された磁心の場合に特に効果が著しい。
【0026】
【作用】
本発明では、結晶化温度以上に昇温後の保持時間を短くすることにより本来透磁率向上の目的には必要としない無磁場熱処理中に生ずる場所により大きさや方向が異なる誘導磁気異方性を小さくでき高透磁率を実現できるという効果がある。更に、低い温度で磁場中熱処理を適用し、誘導磁気異方性を一方向に付与することにより、無磁場熱処理中に生ずる誘導磁気異方性が原因となる異方性の分散が小さくできるため、低角形比でフラットな形状のB-Hル−プを示しかつ高透磁率を示す特性を実現できるという効果がある。
【0027】
【実施例】
以下本発明を実施例にしたがって説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
原子%でCu 1%, Nb 3.2%, Si 15.4%, B 6.6%残部実質的にFeからなる合金溶湯を単ロ−ル法により急冷し、幅6.5mm厚さ18μmのアモルファス合金を得た。このアモルファス合金を外径20mm、内径10mmに巻回し、トロイダル磁心を作製した。この合金の結晶化温度Txを測定したところ506゜Cであった。
作製した磁心をアルゴン雰囲気、450゜Cに保った熱処理炉に挿入し、図1に示す熱処理パタ−ンで熱処理を行い合金A、B、Cを作製した。合金Aはta=0分、合金Bはta=2分、合金Cはta=4分とした。
【0028】
比較のために550゜Cで5分、15分、30分、60分保持し熱処理を行った合金D、E、F、Gの磁気特性も検討した。得られた磁気特性を表1に示す。ここで、800A・m-1の磁界を印加した場合の磁束密度はB800、残留磁束密度はBrである。
【0029】
【表1】
Figure 0003856245
【0030】
表から分るように本発明に係わる熱処理を行った合金A、B、Cでは比初透磁率μirが100000以上の特性が得られる。一方、550゜Cで5分以上保持した従来の熱処理を行った合金DからGは比初透磁率μirは100000未満の値しか示さなかった。図2に従来例の合金Dの直流B-Hル−プの例を示す。 本発明合金Aは、従来の合金Dに比べて保磁力が小さい。本来不要な誘導磁気異方性が本発明合金の方が小さく、磁区の固着の程度が小さいために本発明熱処理を適用した本発明合金の方が高い透磁率が得られているものと考えられる。 一方、本発明に係わる組成外の合金(Febal.Cu1Nb3Si10B9)を比較例として、本発明と同じ熱処理を行った場合の磁気特性も表1に示す。この場合同じ熱処理を行っても発明合金のような100000を越える高い比初透磁率は得られなかった。
【0031】
(実施例2)
原子%でCu 1%, Nb 3%, Si 13.8%, B 8.5%残部実質的にFeからなる合金溶湯を減圧雰囲気のヘリウムガス中で単ロ−ル法により急冷し、幅5mmで厚さ6μmのアモルファス合金を作製した。次にこのアモルファス合金薄帯表面をSiO2により被覆した。このアモルファス合金薄帯を外径19mm、内径15mmに巻回し、トロイダル磁心を作製した。この合金の結晶化温度Txを測定したところ523゜Cであった。
次にこの合金を図3に示す熱処理パタ−ンで熱処理した。昇温速度は1.5゜C/minとし、550゜Cまで昇温し、保持時間は零とし、400゜Cまでの平均冷却速度S2を変えた。得られた結果を表2に示す。
【0032】
【表2】
Figure 0003856245
【0033】
S2が20゜C/min以上の場合に100000を越える高い比初透磁率が得られた。一方20゜C/min未満では100000未満の値しか得られなかった。
【0034】
(実施例3)
表3に示す組成の合金溶湯を単ロ−ル法により急冷し、幅12.5mm厚さ18μmのアモルファス合金薄帯を得た。次にこの合金薄帯を外径20mm内径14mmに巻回し、トロイダル巻磁心を作製した。次に図4に示す熱処理パタ−ンで熱処理を行った。熱処理後の合金の角形比Br・B800 -1および比初透磁率μirを測定した。測定した結果を表3に示す。
【0035】
【表3】
Figure 0003856245
【0036】
本発明に係わる組成範囲の合金において、比初透磁率100000以上が得られる。また、角形比も30%以下となった。しかし、本発明に関わる組成範囲以外の合金は高い磁気特性は得られなかった。この理由は本発明範囲外では磁場中熱処理により大きな異方性がつくことや磁歪が大きくなることが関連していると思われる。
【0037】
(実施例4)
原子%でCu 1%, Nb 2.5%, Cr 0.2%, Si 14.8%, B 7.5%, Sn 0.05%残部実質的にFeからなる合金溶湯を単ロ−ル法により急冷し、幅10mm厚さ18μmのアモルファス合金薄帯を得た。この合金の結晶化温度は490゜Cであった。このアモルファス合金を外径30mm、内径20mmに巻回し、トロイダル磁心を作製した。
次に図5(a)(b)(c)に示す熱処理パタ−ンで熱処理を行った。それぞれの熱処理パタ−ンで行った場合のこの合金Cの角形比、比初透磁率を表4に示す。比較のため本発明合金の範囲外の組成の合金(原子%でCu 1%, Nb 2.5%, Si 10%, B 11%)(合金D)の磁気特性も示す。
【0038】
本発明合金の組成では本熱処理が有効であり、100000を越える高い比初透磁率が実現されるが、本発明合金の組成範囲外では100000を越える比初透磁率は得られない。
【0039】
【表4】
Figure 0003856245
【0040】
(実施例5)
表5に示す組成の合金溶湯単ロ−ル法により急冷し、幅12.5mm厚さ18μmのアモルファス合金薄帯を得た。次にこの合金薄帯を外径20mm内径14mmに巻回し、トロイダル巻磁心を作製した。次に図6に示す熱処理パタ−ンで熱処理を行った。熱処理後の合金の角形比Br・B800 -1、比初透磁率μirおよび100kHz, 0.2Tにおける磁心損失Pcを測定した。測定した結果を表5に示す。
【0041】
【表5】
Figure 0003856245
【0042】
本発明合金の組成範囲において、比初透磁率100000以上が得られる。この理由は本発明範囲外では磁場中熱処理により大きな異方性がつくことや磁歪が大きくなることが関連していると思われる。本発明の熱処理からはずれる500゜Cを越える保持温度Taで磁場中熱処理した場合は100000を越える比初透磁率は得られず、本発明の熱処理と組み合わせることにより初めてこのような低角形比で高い比初透磁率が実現された。また、磁心損失Pcも300kW・m-3以下と低く、磁心損失が低いことが重要である各種トランスやチョ−クコイル等の用途にも適する。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、著しく高い比初透磁率を示すナノ結晶合金の製造方法を提供することができるためその効果は著しいものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる熱処理パタ−ンを示した図である。
【図2】本発明に係わる合金の直流B-Hル−プの一例を示した図である。
【図3】本発明に係わる熱処理パタ−ンを示した図である。
【図4】本発明に係わる熱処理パタ−ンを示した図である。
【図5】本発明に係わる熱処理パタ−ンを示した図である。
【図6】本発明に係わる熱処理パタ−ンを示した図である。

Claims (4)

  1. 一般式:(Fe1-aMa100-x-y-z-b-c-dAxM'yM''zXbSicBd(原子%)式中MはCo,Niから選ばれた少なくとも1種の元素を、AはCu,Auから選ばれた少なくとも1種の元素、M'はTi,V,Zr,Nb,Mo,Hf,TaおよびWから選ばれた少なくとも1種の元素、M''はCr,Mn,Sn,Zn,Ag,In,白金属元素,Mg,Ca,Sr,Y,希土類元素,N,OおよびSから選ばれた少なくとも1種の元素、XはC,Ge,Ga,AlおよびPから選ばれた少なくとも1種の元素を示し、a,x,y,z,b,cおよびdはそれぞれ0≦a≦0.1、0.1≦x≦3、1≦y≦10、0≦z≦10、0≦b≦10、11≦c≦17、3≦d≦10を満足する数で表される組成であるアモルファス合金を熱処理により微結晶化するナノ結晶合金の製造方法において、結晶化温度より低い温度から結晶化温度以上に昇温後、一定温度に 5 分未満保持し、その後少なくとも400℃までは20℃/min以上の冷却速度になるようにして室温まで冷却し、比初透磁率Uirが100000以上のナノ結晶合金とすることを特徴とする高透磁率ナノ結晶合金の製造方法。
  2. 結晶化温度以上に昇温後または一定温度に一定期間保持後に室温付近まで冷却する第1の結晶化のための熱処理後に前記第1の熱処理の保持温度よりも低い500 ℃以下 250 ℃以上の温度磁場を印加しながら一定期間保持し第2の熱処理を行なうことを特徴とする請求項1に記載の高透磁率ナノ結晶合金の製造方法。
  3. 一般式:(Fe1-aMa100-x-y-z-b-c-dAxM'yM''zXbSicBd(原子%)式中MはCo,Niから選ばれた少なくとも1種の元素を、AはCu,Auから選ばれた少なくとも1種の元素、M'はTi,V,Zr,Nb,Mo,Hf,TaおよびWから選ばれた少なくとも1種の元素、M''はCr,Mn,Sn,Zn,Ag,In,白金属元素,Mg,Ca,Sr,Y,希土類元素,N,OおよびSから選ばれた少なくとも1種の元素、XはC,Ge,Ga,AlおよびPから選ばれた少なくとも1種の元素を示し、a,x,y,z,b,cおよびdはそれぞれ0≦a≦0.1、0.1≦x≦3、1≦y≦10、0≦z≦10、0≦b≦10、11≦c≦17、3≦d≦10を満足する数で表される組成であるアモルファス合金を熱処理により微結晶化するナノ結晶合金の製造方法において、結晶化温度以上に昇温する第1の熱処理工程の後、一定温度に 5 分未満保持し、その後500℃以下250 ℃以上の温度まで冷却した後磁場を印加しながら一定時間保持する第2の熱処理工程後、室温まで冷却し、比初透磁率Uirが100000以上のナノ結晶合金とすることを特徴とする高透磁率ナノ結晶合金の製造方法。
  4. 磁場を印加する方向が合金薄帯の幅方向あるいは厚さ方向であることを特徴とする請求項2または3に記載のナノ結晶合金の製造方法。
JP18280695A 1994-07-20 1995-07-19 高透磁率ナノ結晶合金の製造方法 Expired - Lifetime JP3856245B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18280695A JP3856245B2 (ja) 1994-07-20 1995-07-19 高透磁率ナノ結晶合金の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6-168170 1994-07-20
JP16817094 1994-07-20
JP18280695A JP3856245B2 (ja) 1994-07-20 1995-07-19 高透磁率ナノ結晶合金の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0885821A JPH0885821A (ja) 1996-04-02
JP3856245B2 true JP3856245B2 (ja) 2006-12-13

Family

ID=26491982

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18280695A Expired - Lifetime JP3856245B2 (ja) 1994-07-20 1995-07-19 高透磁率ナノ結晶合金の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3856245B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106575567A (zh) * 2014-07-28 2017-04-19 日立金属株式会社 变流器用芯及其制造方法以及具备该芯的装置
JP2020122185A (ja) * 2019-01-30 2020-08-13 セイコーエプソン株式会社 軟磁性粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6773619B2 (en) 2001-07-17 2004-08-10 Tdk Corporation Magnetic core for transformer, Mn-Zn based ferrite composition and methods of producing the same
KR100710613B1 (ko) * 2005-08-04 2007-04-24 한국과학기술연구원 주철을 이용한 Fe계 나노 결정 합금 및 그 제조 방법
JP6227336B2 (ja) * 2013-09-10 2017-11-08 株式会社トーキン 軟磁性コアの製造方法
JP6674626B2 (ja) * 2016-03-28 2020-04-01 日立金属株式会社 巻磁心の磁場中熱処理方法
WO2018062310A1 (ja) 2016-09-29 2018-04-05 日立金属株式会社 ナノ結晶合金磁心、磁心ユニットおよびナノ結晶合金磁心の製造方法
CN106755842B (zh) * 2016-12-21 2019-06-25 广东工业大学 一种铁基纳米晶材料的热处理方法
JP6601589B2 (ja) * 2017-02-22 2019-11-06 日立金属株式会社 磁心ユニット、カレントトランスおよびそれらの製造方法
CN109440023B (zh) * 2018-12-26 2019-10-18 中国科学院宁波材料技术与工程研究所 一种高磁感氮耦合铁基非晶纳米晶合金及其制备方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106575567A (zh) * 2014-07-28 2017-04-19 日立金属株式会社 变流器用芯及其制造方法以及具备该芯的装置
JP2020122185A (ja) * 2019-01-30 2020-08-13 セイコーエプソン株式会社 軟磁性粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器
JP7318218B2 (ja) 2019-01-30 2023-08-01 セイコーエプソン株式会社 軟磁性粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0885821A (ja) 1996-04-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5611871A (en) Method of producing nanocrystalline alloy having high permeability
EP1237165B1 (en) Co-based magnetic alloy and magnetic members made of the same
JP5445889B2 (ja) 軟磁性合金、その製造方法、ならびに磁性部品
JP3233313B2 (ja) パルス減衰特性に優れたナノ結晶合金の製造方法
JP3719449B2 (ja) ナノ結晶合金およびその製造方法ならびにそれを用いた磁心
JP4210986B2 (ja) 磁性合金ならびにそれを用いた磁性部品
JP5316920B2 (ja) 軟磁性合金、アモルファス相を主相とする合金薄帯、および磁性部品
JP2573606B2 (ja) 磁心およびその製造方法
JP5445891B2 (ja) 軟磁性薄帯、磁心、および磁性部品
KR100607304B1 (ko) 다이플렉서용 저역-통과 필터
JP3856245B2 (ja) 高透磁率ナノ結晶合金の製造方法
JP4547671B2 (ja) 高飽和磁束密度低損失磁性合金ならびにそれを用いた磁性部品
JPH0375341A (ja) 軟磁性合金、その製造方法および磁心
JPH07320920A (ja) ナノ結晶合金磁心およびナノ結晶合金磁心の熱処理方法
JPH01247557A (ja) 超微結晶軟磁性合金の製造方法
JP2713373B2 (ja) 磁 心
JP5445924B2 (ja) 軟磁性薄帯、磁心、磁性部品、および軟磁性薄帯の製造方法
JPH0917623A (ja) ナノ結晶合金磁心およびその製造方法
JP2000119821A (ja) 恒透磁率性に優れた高飽和磁束密度低損失磁性合金ならびにそれを用いた磁性部品
JPH0867911A (ja) ナノ結晶磁性合金の熱処理方法
JP4310738B2 (ja) 軟磁性合金並びに磁性部品
JP4003166B2 (ja) Co基磁性合金ならびにそれを用いた磁性部品
JP3287481B2 (ja) 直流重畳特性に優れた超微結晶合金からなる磁心およびその製法並びにこれを用いたチョークコイル、トランス
JP2513645B2 (ja) 実効パルス透磁率に優れたアモルファス磁心およびその製造方法
JP3374981B2 (ja) 短パルス特性に優れたナノ結晶軟磁性合金および磁心

Legal Events

Date Code Title Description
RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20050531

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050617

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050811

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20050811

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060825

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060907

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090922

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100922

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100922

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110922

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110922

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120922

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120922

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130922

Year of fee payment: 7

EXPY Cancellation because of completion of term