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JP3856197B2 - Opマスクの製作方法 - Google Patents

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JP3856197B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光近接効果に基づくパターンの変形を見込んでマスクパターンの形状を予め補正するOPCマスクの製作方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体の高集積化が進み、ゲート長の微細化に拍車がかかっている。このため、マスクからウェハに対するマスクパターンの転写の際には、露光装置で用いられる光の波長以下の寸法のパターンを解像することが求められている。
光の波長よりも短い線幅のパターンを忠実に解像するために、光近接効果によるウェハ上のパターンの変形を考慮して、予めマスクパターンの形状を補正するOPC(Optical Proximity Correction:光近接効果補正)技術が用いられている。
このようなOPC技術の1つとしてルールベースOPCがある。
ルールベースOPCは次のように行なわれる。すなわち、設計上許可している全てのパターンを表すテストパターンでテスト用のマスクパターンを製作し、このマスクパターンでウェハ上にパターンを転写してエッチングを行ない、テスト用のウェハを製作する。
このテスト用ウェハ上のパターンの形状の測長データ(測定データ)と、前記テスト用のマスクパターンの設計データとに基づいて設計ルール、つまりマスクパターンの設計データに加えるバイアスデータを決定するための設計ルールを生成する。そして、設計ルールに基づいてマスクパターンの補正を行なう。この補正は、マスクパターンのレイアウトCADの段階で行なわれる。また、このような光近接効果補正が行なわれて製作されたマスクをOPCマスクという。
前記ルールベースOPCでは、設計上許可している全てのパターンを表すテストパターンの測長を行なうための膨大な作業量となり、また、プロセス(製造工程)が変わる毎にこのような作業を繰り返さなくてはならず、時間とコストがかかるという問題がある。
【0003】
前記ルールベースOPCの問題を解消するためにシミュレーションベースOPCという技術が開発されている。
シミュレーションベースOPCでは、予め用意された少ない数のテストパターンの測長結果に基づいて光近接効果を考慮した転写のプロセスを表現するカーネル(プロセスモデル)を生成し、マスクパターンの形状と、該マスクパターンによりウェハに転写されたパターンの形状との差異を前記カーネルによってシミュレーション計算して求め、このシミュレーション結果に基づいてマスクパターンの補正を行なっている。
このシミュレーションベースOPCでは、ルールベースOPCに比較して大量のテストパターンを測長する必要が無いため、時間とコストを削減する上で有利である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述したシミュレーションベースOPCでは、所定の線幅を有するパターンをウェハ上に形成する際に、パターンとそのパターンに隣接するパターンとの間の間隔(スペース)の寸法の増減、換言すればパターン間の間隔の疎密に応じてパターンの線幅が影響を受ける現象であるスペース依存性をシミュレーション結果に忠実に反映することが難しく、実際にウェハ上に形成されたパターンの線幅のばらつきが大きくなってしまうという問題がある。
そこで本発明の目的は、スペース依存性の影響を忠実に反映したシミュレーションを行なうことにより、実際にウェハ上に形成されるパターンの線幅のばらつきを抑制することができるOPCマスクの製作方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するため、所定の最小寸法値で定義されるデザインルールで設計されマスクに形成されるマスクパターンの形状と、該マスクパターンによりウェハに転写されるパターンの形状との差異を光近接効果を考慮したシミュレーション計算によって求めるシミュレーションステップと、前記シミュレーションステップの結果に基づいて前記ウェハに転写されるパターンの形状が所望の設計データに基づいた形状となるように前記マスクパターンの形状の設計データを補正する補正ステップとを含み、前記シミュレーションステップは、前記マスクパターンの転写のプロセスを表現するシミュレーションモデル、すなわちカーネルによって実行されるシミュレーションOPCを用いたOPCマスクの製作方法において、前記カーネルは、テスト用のマスクパターンの形状の設計データと、前記テスト用のマスクパターンが転写されエッチングされることで実際に形成されたテスト用のウェハのパターンの形状の実測データとに基づいて生成され、前記テストパターンは、ほぼ前記所定の最小寸法の線幅を有し直線状に延在する帯状の複数個のゲートパターンが線幅方向に同じ間隔をおいて互いに平行をなして並べられることで構成された第1パターングループを複数含み、前記複数の第1パターングループのそれぞれの間では、前記ゲートパターンの間隔が互いに異なる寸法となるように構成されていることを特徴とする。
そのため、前記シミュレーションを行なうカーネルは、前記第1パターングループを含むテストパターンに基づいて生成される。
また、本発明は、所定の最小寸法値で定義されるデザインルールで設計されマスクに形成されるマスクパターンの形状と、該マスクパターンによりウェハに転写されるパターンの形状との差異を光近接効果を考慮したシミュレーション計算によって求めるシミュレーションステップと、前記シミュレーションステップの結果に基づいて前記ウェハに転写されるパターンの形状が所望の設計データに基づいた形状となるように前記マスクパターンの形状の設計データを補正する補正ステップとを含み、前記シミュレーションステップは、前記マスクパターンの転写のプロセスを表現するシミュレーションモデル、すなわちカーネルによって実行されるシミュレーションOPCを用いたOPCマスクの製作方法において、前記カーネルは、テスト用のマスクパターンの形状の設計データと、前記テスト用のマスクパターンが転写されエッチングされることで実際に形成されたテスト用のウェハのパターンの形状の実測データとに基づいて生成され、前記テストパターンは、前記所定の最小寸法よりも小さな線幅を有し直線状に延在する帯状の複数個のゲートパターンが互いに平行をなし、線幅方向に同じ間隔をおいて並べられることで構成された第2パターングループを複数含み、前記複数の第2パターングループのそれぞれは、前記ゲートパターンの間隔が互いに異なる寸法となるように構成されていることを特徴とする。
そのため、前記シミュレーションを行なうカーネルは、前記第2パターングループを含むテストパターンに基づいて生成される。
また、本発明は、所定の最小寸法値で定義されるデザインルールで設計されマスクに形成されるマスクパターンの形状と、該マスクパターンによりウェハに転写されるパターンの形状との差異を光近接効果を考慮したシミュレーション計算によって求めるシミュレーションステップと、前記シミュレーションステップの結果に基づいて前記ウェハに転写されるパターンの形状が所望の設計データに基づいた形状となるように前記マスクパターンの形状の設計データを補正する補正ステップとを含み、前記シミュレーションステップは、前記マスクパターンの転写のプロセスを表現するシミュレーションモデル、すなわちカーネルによって実行されるシミュレーションOPCを用いたOPCマスクの製作方法において、前記カーネルは、テスト用のマスクパターンの形状の設計データと、前記テスト用のマスクパターンが転写されエッチングされることで実際に形成されたテスト用のウェハのパターンの形状の実測データとに基づいて生成され、前記テストパターンは、前記所定の最小寸法よりも大きな線幅を有し直線状に延在する帯状の複数個のゲートパターンが互いに平行をなし、線幅方向に同じ間隔をおいて並べられることで構成された第3パターングループを複数含み、前記複数の第3パターングループのそれぞれは、前記ゲートパターンの間隔が互いに異なる寸法となるように構成されていることを特徴とする。
そのため、前記シミュレーションを行なうカーネルは、前記第3パターングループを含むテストパターンに基づいて生成される。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明のOPCマスクの製作方法の実施の形態について説明する。
図3に示すように、本実施の形態では、OPCマスクのマスクパターンを得るためにシミュレーションツール10を用いる。
前記シミュレーションツール10は、コンピューター上で動作するソフトウェアによって実現されるものであって、マスクパターンの転写のプロセスを表すシミュレーションモデル、すなわちカーネル12を含んで構成されている。前記カーネル12は、後述する手順によって生成される。
前記シミュレーションツール10は、図3に示すように、ウェハ上に形成すべき所望のパターンの設計データ(マスクパターンの補正前の設計データ)が入力されると、前記マスクパターンの形状と、該マスクパターンによりウェハに転写されたパターンの形状との差異を光近接効果を考慮したシミュレーション計算によって求める。そして、前記シミュレーション計算の結果に基づいて前記ウェハに転写されるパターンの形状が所望の設計データに基づいた形状となるように前記マスクパターンの形状の設計データを補正して出力するように構成されている。
【0009】
次に、図4を参照してOPCマスクの製作手順について具体的に説明する。
まず、マスクのマスクパターンとなる回路設計が行なわれる(S10)。この回路設計は、パターンの線幅の最小寸法値で定義されるデザインルールが設定されてから行なわれる。本実施の形態では、前記最小寸法値を150nmとする。
前記最小寸法値は、この最小寸法値で定義されるデザインルールで製造されるウェハの製造保証限界値に相当する。
次いで、後述する前記カーネル12の生成が行なわれる(S12)。
前記カーネル12が生成されると、カーネル12に前記補正前の設計データが入力されることにより、所定の最小寸法値で定義されるデザインルールで設計されマスクに形成されるマスクパターンの形状と、該マスクパターンによりウェハに転写されるパターンの形状との差異を光近接効果を考慮したシミュレーション計算が行なわれる(S14)。
次いで、前記シミュレーションステップの結果に基づいて前記ウェハに転写されるパターンの形状が所望の設計データに基づいた形状となるように前記マスクパターンの形状の設計データが補正される(S16)。
次いで、補正後の設計データについてルールチェックが行なわれ、設計データが完成する(S18)。なお、前記ルールチェックの結果、カーネルの修正が必要であれば、カーネルの修正を行なってステップS14に移行し同様の処理を行なう。
次に、この補正後の設計データがマスクレイアウト用のCADに提供され、補正されたマスク、すなわちOPCマスクが製作される(S18)。
そして、リソグラフィ工程によって前記OPCマスクを用いてウェハが製作され、このウェハを切断することによってチップが製作される。
本実施の形態では、前記ステップS14が本発明のシミュレーションステップに、ステップS16が本発明の補正ステップにそれぞれ相当している。
【0010】
図1は本実施の形態のOPCマスク製作方法におけるカーネルを生成する際の処理手順を示すフローチャートであり、図2はシミュレーションツールにおけるデータの入出力を説明するブロック図である。
また、図1において、ステップS20、S22、S24、S26、S28、S36は、従来技術に相当する処理であり、ステップS30、S32、S34、S36は、本発明に相当する処理である。
前記カーネル12の生成は次のようになされる。
まず、テスト用マスクが製作される(S20)。このテスト用マスクは、前記シミュレーションツール10に付属している既存のテストパターン(以下既存テストパターンという)と、後述する新規のテストパターン(以下新規テストパターンという)とから構成されている。
前記既存テストパターンは、直線状に延在する複数個のゲートパターン、互いに十字形をなすように交差する2つのゲートパターンの組み合わせを、それぞれ各ゲートパターンの線幅を所定値ずつ変えたもので構成されている。
前記既存テストパターンには、互いに間隔をおいて平行をなす直線状に延在する帯状のゲートパターンは含まれていない。
前記新規テストパターンは、図5(B)に示すように、前記所定の最小寸法の線幅L1(150nm)を有し直線状に延在する帯状の複数個のゲートパターン30が線幅方向に間隔をおいて互いに平行をなして並べられることで構成された複数の第1パターングループ3002、3004、3006、3008を含んでいる。
前記各第1パターングループ3002、3004、3006、3008のそれぞれの前記ゲートパターン30の間隔をSP10、SP11、SP12、SP13としたときに、これら間隔は、SP10<SP11<SP12<SP13という関係をなし、互いに異なる寸法となるように構成されている。
【0011】
また、前記新規テストパターンは、図5(A)に示すように、前記所定の最小寸法の線幅L1(150nm)よりも小さな線幅L2(140nm)を有し直線状に延在する帯状の複数個のゲートパターン40が線幅方向に間隔をおいて互いに平行をなして並べられることで構成された複数の第2パターングループ4002、4004、4006、4008を含んでいる。
前記各第2パターングループ4002、4004、4006、4008のそれぞれの前記ゲートパターン30の間隔をSP20、SP21、SP22、SP23としたときに、これら間隔は、SP20<SP21<SP22<SP23という関係をなし、互いに異なる寸法となるように構成されている。
【0012】
また、前記新規テストパターンは、図5(C)に示すように、前記所定の最小寸法の線幅L1(150nm)よりも大きな線幅L3(例えば150nm)を有し直線状に延在する帯状の複数個のゲートパターン50が線幅方向に間隔をおいて互いに平行をなして並べられることで構成された複数の第3パターングループ5002、5004、5006、5008を含んでいる。
前記各第3パターングループ5002、5004、5006、5008のそれぞれの前記ゲートパターン30の間隔をSP30、SP31、SP32、SP33としたときに、これら間隔は、SP30<SP31<SP32<SP33という関係をなし、互いに異なる寸法となるように構成されている。
【0013】
次いで、前記テスト用マスクによって前記既存テストパターンおよび新規テストパターンが転写され、エッチングされたウェハ上のパターンの測長が行なわれテストパターンの実測データが測定される(S22)。
この測定は、先に選択された既存テストパターンの設計データに対応する実測データについてのみ行なわれる。前記既存テストパターンに対する測長は、予め設定された箇所について行なわれる。
【0014】
次に、図2に示すように、前記テスト用マスクに形成された既存テストパターンの設計データが前記シミュレーションツール10に入力され、前記設計データに基づいてシミュレーション計算がなされ、光近接効果によって形状が変形された既存テストパターンのデータ(以下シミュレーションデータという)が出力される(S24)。
このシミュレーション計算は、前記既存テストパターンの設計データの中から特にシミュレーションの精度を上げたい設計データに対して大きな重み付けがなされ、そうでない設計データに対しては小さな重み付けがなされた状態で行なわれる。
【0015】
次に、図2に示すように、前記シミュレーションツール10において、前記シミュレーションデータと前記実測データとが比較され、シミュレーション精度の合否が判定される(S26)。
具体的には、前記シミュレーションデータの線幅および前記実測データの線幅の差が所定の基準値を超えた箇所が0個ならば合格、1個以上あれば不合格と判断される。
なお、前記シミュレーションデータの線幅および前記実測データの線幅の差とは、「前記シミュレーションデータの線幅と、ウェハ上に形成しようとするゲートパターンの設計データの線幅(目標値)とのずれ量EPE(Edge Placement Error)」と、「前記実測データの線幅と、ウェハ上に形成すべきゲートパターンの設計データの線幅(目標値)とのずれ量EPE」との差に相当する。
ステップS26が合格("Y")ならば、前記シミュレーションツール10は、前記カーネル12によるシミュレーションの精度が満足できるものであるため、前記カーネル12を生成して(S36)、処理を終了する。
一方、ステップS26で不合格("N")ならば、前記既存テストパターンの設計データに対する重み付けの変更、および、既存テストパターンの追加と削除を行い(S28)、前記ステップS24、S26、S28からなる一連の処理を行なう。この一連処理を所定回数、例えば6回繰り返してもシミュレーション精度が不合格ならば、次のステップに移行する。
なお、これら重み付けの変更および既存テストパターンの追加と削除を行なう処理に関しては前記シミュレーションツール10において既に組み込まれた機能であり、本発明と直接関係しないため、詳細な説明は省略する。
【0016】
次に、前記新規テストパターンの第1パターングループ3002、3004、3006、3008の実測データが新たに測長される(S30)。この実測データは、各ゲートパターン30の線幅について測定されたデータである。
そして、第1パターングループ3002、3004、3006、3008の設計データに基づいてシミュレーション計算がなされ、光近接効果によって形状が変形された前記新規テストパターンのシミュレーションデータが出力される(S32)。
次に、図2に示すように、前記シミュレーションツール10において、前記第1パターングループのシミュレーションデータと前記第1パターングループの実測データとが比較され、シミュレーション精度の合否が判定される(S34)。
具体的には、前記シミュレーションデータの線幅および前記実測データの線幅の差が所定の基準値を超えた箇所が0個ならば合格、1個以上あれば不合格と判断される。前記所定の基準値は任意に設定すればよく、本例では5nmに設定した。
ステップS34が合格("Y")ならば、前記シミュレーションツール10は、前記カーネル12によるシミュレーションの精度が満足できるものであるため、前記カーネル12を生成して(S36)、処理を終了する。
一方、ステップS34で不合格("N")ならば、ステップS30に移行する。
【0017】
次に、前記新規テストパターンの第2パターングループ4002、4004、4006、4008の実測データが新たに測長される(S30)。この実測データは、各ゲートパターン40の線幅について測定されたデータである。
以下、第1パターングループのときと同様にステップS32、S34の処理が繰り返される。
ステップS34が合格("Y")ならば、前記シミュレーションツール10は、前記カーネル12によるシミュレーションの精度が満足できるものであるため、前記カーネル12を生成して(S36)、処理を終了する。
一方、ステップS34で不合格("N")ならば、次のステップに移行する。
【0018】
次に、前記新規テストパターンの第3パターングループ5002、5004、5006、5008の実測データが新たに測長される(S30)。この実測データは、各ゲートパターン50の線幅について測定されたデータである。
以下、第1パターングループのときと同様にステップS32、S34の処理が繰り返される。
ステップS34が合格("Y")ならば、前記シミュレーションツール10は、前記カーネル12によるシミュレーションの精度が満足できるものであるため、前記カーネル12を生成して(S36)、処理を終了する。
前記第3パターングループに対して、ステップS34が不合格("N")となった場合は処理を停止する。
【0019】
次に、図1の処理によって行なわれたシミュレーション精度の比較結果について具体的に説明する。
図6、図7は実測データとシミュレーションデータとの比較を示す説明図であり、いずれも横軸は測定箇所、縦軸はゲートパターンの線幅の設計値からのずれ量EPEを示している。図中、実線はシミュレーションデータ、破線は実測データを示している。
図6(A1)、(B1)、図7(C1)、(D1)は、ゲートパターンの線幅の設計データ(目標値)が150nmの場合であり、図6(A2)、(B2)、図7(C2)、(D2)は、ゲートパターンの線幅の設計データ(目標値)が190nmの場合である。
図6(A1)、(A2)は、図1のフローチャートのステップS20乃至S26を実行した状態であり、既存テストパターンのみによるシミュレーション結果を示している。
図6(B1)、(B2)は、既存テストパターンのみによるシミュレーション後に、さらに新規テストパターンの第1パターングループのシミュレーションを行なったときのシミュレーション結果を示している。
図7(C1)、(C2)は、既存テストパターンおよび第1パターングループのシミュレーション後に、さらに第2パターングループのシミュレーションをさらに行なったときのシミュレーション結果を示している。
図7(D1)、(D2)は、既存テストパターンおよび第1、第2パターングループのシミュレーション後に、さらに第3パターングループのシミュレーションを行なったときのシミュレーション結果を示している。
これらの結果からみて、ゲートパターンの設計データが150nm、190nmのいずれの場合にも、新規テストパターンのシミュレーションを行なった方が、シミュレーションデータと実測データとの差が少なくなっていることがわかる。
すなわち、前記第1、第2、第3パターングループのシミュレーションを行なうことによって生成されたカーネル12によってゲートパターンのスペース依存性の影響を忠実に反映したシュミレーションを行なうことができ、シミュレーション精度が向上することが確認された。
【0020】
次に、図1のフローチャートに沿って生成されたカーネル12を用いて実際の製品のマスクを製作するとともに、そのマスクによって転写、エッチングして製作されたウェハを製作し、そのウェハに形成されたゲートパターンの線幅を測長した実測データと、シミュレーションデータとの比較を行なった。
図8は、実際の製品におけるゲートパターンの線幅の実測データと各シミュレーションデータとを比較する説明図である。ゲートパターンの線幅の設計データ(目標値)は150nmである。
図中、横軸は、ゲートパターン間の線幅方向の間隔(スペース)をnm単位で示し、縦軸はゲートパターンの線幅CDをnm単位で示している。
図中、塗りつぶしの矩形は実測データを示し、矩形は既存テストパターンのみによるシミュレーションデータを示し、×は既存テストパターンのシミュレーションに加えて第1パターングループのシミュレーションを行なったシミュレーションデータを示し、三角は既存テストパターンと第1テストパターンのシミュレーションに加えて第2パターングループのシミュレーションを行なったシミュレーションデータを示し、丸は既存テストパターンと第1、第2テストパターンのシミュレーションに加えて第3パターングループのシミュレーションを行なったシミュレーションデータを示している。
図8においても、新規テストパターンのシミュレーションを行なった方が、シミュレーションデータと実測データとの差が少なくなっていることがわかる。
すなわち、図6、図7の場合と同様に、前記第1、第2、第3パターングループのシミュレーションを行なうことによって生成されたカーネル12によってゲートパターンのスペース依存性の影響を忠実に反映したシュミレーションを行なうことができ、シミュレーション精度が向上することが確認された。
【0021】
次に、図1のフローチャートに沿って生成されたカーネル12を用いて実際の製品のマスクについて、図8の場合と同様にシミュレーションを行なった場合におけるシミュレーションデータの線幅のばらつきを比較した。
図9(A)乃至(D)は、実際の製品のマスクにおけるゲートパターンの各シミュレーションデータのばらつきを比較する説明図である。ゲートパターンの線幅の設計データ(目標値)は150nmである。
図中、横軸は、ゲートパターン間の線幅方向の間隔(スペース)をμm単位で示し、縦軸はゲートパターンの線幅CDをμm単位で示している。
図中、丸、三角、菱形は、それぞれゲートパターンの異なる箇所でのシミュレーションデータであることを表している。
図9(A)は既存テストパターンのみによるシミュレーションデータを示し、図9(B)は既存テストパターンのシミュレーションに加えて第1パターングループのシミュレーションを行なったシミュレーションデータを示し、図9(C)は既存テストパターンと第1テストパターンのシミュレーションに加えて第2パターングループのシミュレーションを行なったシミュレーションデータを示し、図9(D)は既存テストパターンと第1、第2テストパターンのシミュレーションに加えて第3パターングループのシミュレーションを行なったシミュレーションデータを示している。
図中σは各シミュレーションデータの標準偏差値を示し、RANGEは各シミュレーションデータの最大値と最小値の差の値を示している。
図9からわかるように、(A)に示した既存テストパターンのみによるシミュレーションデータに比較して、(B)、(D)のシミュレーションデータは、σとRANGEの双方が小さな値となっていること、換言すればばらつきが少なくなっていることがわかる。
(B)と(D)を比較してみると、RANGEでは、(B)が1nm、(D)が2nmと、(B)の方がばらつきが少ないものの、スペースが1.8μmのシミュレーションデータについてみると、(D)では複数のシミュレーションデータがすべて一致している。したがって、(D)におけるシミュレーションデータの精度は(B)に比較して上であると評価することができる。
【0022】
以上説明したように、本実施の形態のOPCマスクの製作方法によれば、前記シミュレーションを行なうカーネルを前記第1、第2、第3パターングループの少なくとも1つを含むテストパターンに基づいて生成したので、ゲートパターンのスペース依存性の影響を忠実に反映したシミュレーションを行なうことができる。したがって、シミュレーション計算の結果に基づいて前記ウェハに転写されるパターンの形状が所望の設計データに基づいた形状となるように前記マスクパターンの形状の設計データを補正することによって、実際にウェハ上およびチップ上に形成されるパターンの線幅のばらつきを抑制することができる。
【0023】
なお、本実施の形態では、前記第1乃至第3パターングループの数を4個として説明したが、第1乃至第3パターングループの数は複数であればよく、任意である。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、前記第1、第2、第3パターングループのシミュレーションを行なうことによって生成されたカーネルによってゲートパターンのスペース依存性の影響を忠実に反映したシュミレーションを行なうことができ、これにより実際にウェハ上およびチップ上に形成されるパターンの線幅のばらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態のOPCマスク製作方法におけるカーネルを生成する際の処理手順を示すフローチャートである。
【図2】シミュレーションツールにおけるデータの入出力を説明するブロック図である。
【図3】シミュレーションツールにおける設計データの入出力を説明するブロック図である。
【図4】OPCマスクの製作手順を示すフローチャートである。
【図5】(A)は第2パターングループの構成を示す説明図、(B)は第1パターングループの構成を示す説明図、(C)は第3パターングループの構成を示す説明図である。
【図6】(A1)はゲートパターンの線幅の設計データ(目標値)が150nmで既存テストパターンのみによるシミュレーション結果を示す説明図、(A2)はゲートパターンの線幅の設計データ(目標値)が190nmで既存テストパターンのみによるシミュレーション結果を示す説明図、(B1)はゲートパターンの線幅の設計データ(目標値)が150nmで第1パターングループのシミュレーションを行なったときのシミュレーション結果を示す説明図、(B2)はゲートパターンの線幅の設計データ(目標値)が190nmで第1パターングループのシミュレーションを行なったときのシミュレーション結果を示す説明図である。
【図7】(C1)はゲートパターンの線幅の設計データ(目標値)が150nmで第2パターングループのシミュレーションを行なったときのシミュレーション結果を示す説明図、(C2)はゲートパターンの線幅の設計データ(目標値)が190nmで第2パターングループのシミュレーションを行なったときのシミュレーション結果を示す説明図、(D1)はゲートパターンの線幅の設計データ(目標値)が150nmで第3パターングループのシミュレーションを行なったときのシミュレーション結果を示す説明図、(D2)はゲートパターンの線幅の設計データ(目標値)が190nmで第Dパターングループのシミュレーションを行なったときのシミュレーション結果を示す説明図である。
【図8】実際の製品におけるゲートパターンの線幅の実測データと各シミュレーションデータとを比較する説明図である。
【図9】実際の製品のマスクにおけるゲートパターンの各シミュレーションデータのばらつきを比較する説明図であり、(A)は既存テストパターンのみによるシミュレーションをおこなったシミュレーションデータを示す説明図、(B)は既存テストパターンのシミュレーションに加えて第1パターングループのシミュレーションを行なったシミュレーションデータを示す説明図、(C)は既存テストパターンと第1テストパターンのシミュレーションに加えて第2パターングループのシミュレーションを行なったシミュレーションデータを示す説明図、(D)は既存テストパターンと第1、第2テストパターンのシミュレーションに加えて第3パターングループのシミュレーションを行なったシミュレーションデータを示す説明図である。
【符号の説明】
10……シュミレーションツール、12……カーネル、30、40、50……ゲートパターン、3002、3004、3006、3008……第1パターングループ、4002、4004、4006、4008……第2パターングループ、5002、5004、5006、5008……第3パターングループ。

Claims (6)

  1. 所定の最小寸法値で定義されるデザインルールで設計されマスクに形成されるマスクパターンの形状と、該マスクパターンによりウェハに転写されるパターンの形状との差異を光近接効果を考慮したシミュレーション計算によって求めるシミュレーションステップと、
    前記シミュレーションステップの結果に基づいて前記ウェハに転写されるパターンの形状が所望の設計データに基づいた形状となるように前記マスクパターンの形状の設計データを補正する補正ステップとを含み、
    前記シミュレーションステップは、前記マスクパターンの転写のプロセスを表現するシミュレーションモデル、すなわちカーネルによって実行されるシミュレーションOPCを用いたOPCマスクの製作方法において、
    前記カーネルは、テスト用のマスクパターンの形状の設計データと、前記テスト用のマスクパターンが転写されエッチングされることで実際に形成されたテスト用のウェハのパターンの形状の実測データとに基づいて生成され、
    前記テストパターンは、ほぼ前記所定の最小寸法の線幅を有し直線状に延在する帯状の複数個のゲートパターンが線幅方向に同じ間隔をおいて互いに平行をなして並べられることで構成された第1パターングループを複数含み、
    前記複数の第1パターングループのそれぞれの間では、前記ゲートパターンの間隔が互いに異なる寸法となるように構成されている、
    ことを特徴とするOPCマスクの製作方法。
  2. 前記テストパターンは、前記所定の最小寸法よりも小さな線幅を有し直線状に延在する帯状の複数個のゲートパターンが互いに平行をなし、線幅方向に同じ間隔をおいて並べられることで構成された第2パターングループを複数含み、前記複数の第2パターングループのそれぞれは、前記ゲートパターンの間隔が互いに異なる寸法となるように構成されていることを特徴とする請求項1記載のOPCマスクの製作方法。
  3. 前記テストパターンは、前記所定の最小寸法よりも大きな線幅を有し直線状に延在する帯状の複数個のゲートパターンが互いに平行をなし、線幅方向に同じ間隔をおいて並べられることで構成された第3パターングループを複数含み、前記複数の第3パターングループのそれぞれは、前記ゲートパターンの間隔が互いに異なる寸法となるように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のOPCマスクの製作方法。
  4. 所定の最小寸法値で定義されるデザインルールで設計されマスクに形成されるマスクパターンの形状と、該マスクパターンによりウェハに転写されるパターンの形状との差異を光近接効果を考慮したシミュレーション計算によって求めるシミュレーションステップと、
    前記シミュレーションステップの結果に基づいて前記ウェハに転写されるパターンの形状が所望の設計データに基づいた形状となるように前記マスクパターンの形状の設計データを補正する補正ステップとを含み、
    前記シミュレーションステップは、前記マスクパターンの転写のプロセスを表現するシミュレーションモデル、すなわちカーネルによって実行されるシミュレーションOPCを用いたOPCマスクの製作方法において、
    前記カーネルは、テスト用のマスクパターンの形状の設計データと、前記テスト用のマスクパターンが転写されエッチングされることで実際に形成されたテスト用のウェハのパターンの形状の実測データとに基づいて生成され、
    前記テストパターンは、前記所定の最小寸法よりも小さな線幅を有し直線状に延在する帯状の複数個のゲートパターンが互いに平行をなし、線幅方向に同じ間隔をおいて並べられることで構成された第2パターングループを複数含み、
    前記複数の第2パターングループのそれぞれは、前記ゲートパターンの間隔が互いに異なる寸法となるように構成されている、
    ことを特徴とするOPCマスクの製作方法。
  5. 前記テストパターンは、前記所定の最小寸法よりも大きな線幅を有し直線状に延在する帯状の複数個のゲートパターンが互いに平行をなし、線幅方向に同じ間隔をおいて並べられることで構成された第3パターングループを複数含み、前記複数の第3パターングループのそれぞれは、前記ゲートパターンの間隔が互いに異なる寸法となるように構成されていることを特徴とする請求項4記載のOPCマスクの製作方法。
  6. 所定の最小寸法値で定義されるデザインルールで設計されマスクに形成されるマスクパターンの形状と、該マスクパターンによりウェハに転写されるパターンの形状との差異を光近接効果を考慮したシミュレーション計算によって求めるシミュレーションステップと、
    前記シミュレーションステップの結果に基づいて前記ウェハに転写されるパターンの形状が所望の設計データに基づいた形状となるように前記マスクパターンの形状の設計データを補正する補正ステップとを含み、
    前記シミュレーションステップは、前記マスクパターンの転写のプロセスを表現するシミュレーションモデル、すなわちカーネルによって実行されるシミュレーションOPCを用いたOPCマスクの製作方法において、
    前記カーネルは、テスト用のマスクパターンの形状の設計データと、前記テスト用のマスクパターンが転写されエッチングされることで実際に形成されたテスト用のウェハのパターンの形状の実測データとに基づいて生成され、
    前記テストパターンは、前記所定の最小寸法よりも大きな線幅を有し直線状に延在する帯状の複数個のゲートパターンが互いに平行をなし、線幅方向に同じ間隔をおいて並べられることで構成された第3パターングループを複数含み、
    前記複数の第3パターングループのそれぞれは、前記ゲートパターンの間隔が互いに異なる寸法となるように構成されている、
    ことを特徴とするOPCマスクの製作方法。
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