JP3856154B1 - マグネトロン発振装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基準信号供給部6内にサーキュレータ71とダミーロード72とからなるアイソレータ7を設ける。具体的には、サーキュレータ62の第1端子をインピーダンス発生器5の他端に接続し、第2端子を負荷に接続し、第3端子をサーキュレータ71の第1端子に接続する。サーキュレータ71の第2端子をダミーロード72に接続し、第3端子を基準信号発振器61に接続する。これにより、マグネトロン2からのマイクロ波Mは、インピーダンス発生器5を経由して、サーキュレータ62を通過して負荷へ送られる。この場合、マイクロ波Mは1つのサーキュレータ62しか通過しないので、マグネトロン2の出力電力を効率よく負荷に供給することができる。
【選択図】 図1
Description
BW=2F0 /(Qe・G1/2) ・・・(1)
G=Po/Pi ・・・(2)
ここで、
BW:インジェクションロッキング動作時と非動作時との発振周波数の差
F0 :基準信号の周波数(基準周波数)
Qe :マグネトロンの負荷Q
Po :マグネトロンの出力電力
Pi :マグネトロンに注入される基準信号の電力(注入電力)
また、上述した従来のマグネトロン発振装置1’では、マグネトロン2の出力電力(アノード電流)を大きくすると、式(2)よりGの値が大きく、式(1)よりBWの値が小さくなるため、インジェクションロッキングが外れやすくなり、マグネトロン2の発振周波数が不安定になるという問題があった。
また、マグネトロンの出力電力を効率よく負荷に供給することができ、かつ、周波数安定度がよく、出力電力を変化させても周波数が変動しないマグネトロン発振装置を提供することにある。
本発明のマグネトロン発振装置において、基準信号の電力のみをマグネトロンの出力電力に連動して可変するようにしてもよい。また、マグネトロンの負荷インピーダンスのみをマグネトロンの出力電力に連動して可変するようにしてもよい。マグネトロンの出力電力に連動して基準信号の電力やマグネトロンの負荷インピーダンスを調整することにより、マグネトロンの発振周波数の変化幅を縮小させ、周波数安定度を高め、出力電力を変化させても周波数が変動しないようにすることが可能となる。
また、本発明によれば、マグネトロンの出力電力に連動して基準信号の電力やマグネトロンの負荷インピーダンスを調整することにより、マグネトロンの発振周波数の変化幅を縮小させ、周波数安定度を高め、出力電力を変化させても周波数が変動しないようにすることが可能となる。
図1は、本発明の一実施の形態に係るマグネトロン発振装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係るマグネトロン発振装置1は、マグネトロン2と、マグネトロン電源3と、ランチャ4と、インピーダンス発生器5と、基準信号供給部6と同期制御部11とから構成される。
(ロ)注入電力Pi が一定ならば、マグネトロン2の出力電力Po を大きくすることができる。すなわち、インジェクションロッキングが外れないマグネトロン2の出力電力Po の範囲を広くすることができる。
[マグネトロン2およびマグネトロン電源3]
図3は、マグネトロン2およびマグネトロン電源3の構成を示すブロック図である。
マグネトロン2は、カソードとヒータとが一体となったヒータ/カソードH/Kと、アノードAとを有している。図示しないが、アノードAは複数に分割され、これらが振動回路(共振回路)により接続されている。また、アノードAと同心的にヒータ/カソードH/Kが設けられている。
この状態で、ヒータ/カソードH/Kと平行(電界と直角方向)に磁界を印加すると、マイクロ波Mが発振する。
導波管系のインピーダンス発生器5の構成例について説明する。
図5(a)は、リアクタンススタブ方式のインピーダンス発生器の一構成例を示す断面図である。このインピーダンス発生器5aは、矩形導波管50の管壁から管内へ3本のスタブ51a,51b,51cが突出する構造を有する。これらのスタブ51a〜51cは、矩形導波管50の軸線Z方向にλg/8,λg/4等の間隔で配設される。「λg 」は矩形導波管50の管内波長である。スタブ51a〜51cは断面が円形の金属棒からなり、矩形導波管50の管内に突出する長さによりスタブ51a〜51cのリアクタンスが変化し、それに応じて矩形導波管50内のインピーダンスが変化する。なお、スタブの数は、1本以上であればよいが、3本の場合が主である。また、スタブは通常、矩形導波管50のH面に配設されるが、E面に配設されるEスタブ方式であってもよい。
また、同軸系のインピーダンス発生器5は、上述した導波管系の矩形導波管を同軸管に置き換えたものである。
図6は、同期制御部11の構成を示すブロック図である。同期制御部11は、検出部111と、データ記憶部112と、制御部113とを有している。検出部111は、マグネトロン電源3からマグネトロン2に供給されるアノード電流と、マグネトロン電源3の出力電力を検出する回路部である。検出部111がアノード電流および出力電力を同時に検出するようにしてもよいし、それぞれ異なるタイミングで検出するようにしてもよい。なお、図1には、マグネトロン2の出力電力をランチャ4において検出する例が示されているが、基準信号供給部6またはアイソレータ7の負荷側に方向性結合器、プローブ等を配置し、マグネトロン2の出力電力を検出することもできる。
制御部113は、検出部111の検出結果に基づき、データ記憶部112の記憶内容を参照して、インピーダンス発生器5および基準信号供給部6を制御する回路部である。
このような場合に、同期制御部11は、マグネトロン2のアノード電流および出力電力の検出値に対し、マグネトロン2の発振周波数を基準信号Sの周波数に固定可能にする負荷インピーダンスおよび注入電力Pi の値を算出し、負荷インピーダンスおよび注入電力Pi がその値となるようにインピーダンス発生器5および基準信号発振器61のそれぞれに制御信号を出力する。負荷インピーダンスおよび注入電力Pi の算出を行わず、予め用意されているマグネトロン2のアノード電流および出力電力と制御信号との対応表にしたがって制御信号を出力するようにしてもよい。
また、同期制御部11がマグネトロン2のアノード電流および出力電力を検出し、これらの検出結果に基づき制御を行なう例を説明したが、同期制御部11がマグネトロン2のアノード電流および出力電力のいずれか一方のみを検出し、その検出結果に基づき制御を行なうようにしてもよい。この場合には、同期制御部11の検出部111は、マグネトロン2のアノード電流および出力電力のいずれかを検出する機能さえ備えていればよい。また、制御信号を出力する際に用いられる上記対応表は、アノード電流と制御信号、または、出力電力と制御信号、のいずれかの対応表でよい。
[プラズマ処理装置]
マグネトロン発振装置1は、プラズマ処理装置のマイクロ波電源として用いることができる。図7は、マグネトロン発振装置1が用いられたプラズマ処理装置の一構成例を示す図である。
処理容器81の底面周縁部には、真空排気用の排気口85が設けられている。処理容器81の側壁には、処理容器81内にガスを導入するガス導入用ノズル86が設けられている。例えばプラズマ処理装置がエッチング装置として用いられる場合には、ノズル86からAr等のプラズマガスと、CF4等のエッチングガスとが導入される。
誘電体板87の上には、処理容器81内にマイクロ波Mを供給するマイクロ波供給装置90のアンテナであるラジアルラインスロットアンテナ(RLSA)99が配設されている。RLSA99および誘電体板87の外周は、処理容器81の側壁上に環状に配置されたシールド材89によって覆われ、RLSA99から処理容器81内に供給されるマイクロ波が外部に漏れない構造になっている。
今まで、本実施の形態で用いられるマグネトロン2と同じ連続発振のマグネトロンを用いたマグネトロン発振装置は、マグネトロンの特性により通信等には不向きとされてきた。しかし、本実施の形態により周波数安定度を向上できたことから、マグネトロン発振装置を通信、医用加速器等にも利用できる可能性が生じた。
これら通信、医用加速器等では現在、発振管としてクライストロンが用いられている。このクライストロンは非常に高価である。このため、通信、医用加速器等にマグネトロンが利用できると、その波及効果は非常に大きい。
Claims (3)
- マグネトロンのアノード電流を変化させ、出力電力を可変とするマグネトロン発振装置であって、
前記マグネトロンの出力電力を取り出すランチャと、
このランチャの出力端に一端が接続され、前記マグネトロンの負荷インピーダンスを調整するインピーダンス発生器と、
このインピーダンス発生器の他端に接続され、前記マグネトロンの出力よりも低電力かつ周波数が安定した基準信号を前記マグネトロンに供給する基準信号供給部と、
前記マグネトロンのアノード電流および出力電力の少なくとも一方に基づき前記インピーダンス発生器および前記基準信号供給部の少なくとも一方を制御する同期制御部とを備え、
前記同期制御部は、
前記マグネトロンのアノード電流および出力電力の少なくとも一方を検出する検出部と、
前記マグネトロンの特性データを記憶するデータ記憶部と、
前記検出部の検出結果に基づき前記データ記憶部に記憶されている特性データを参照して前記インピーダンス発生器および前記基準信号供給部の少なくとも一方を制御する制御部とを備え、
前記基準信号供給部は、
基準信号を発振する基準信号発振器と、
前記基準信号発振器に一端が接続されたアイソレータと、
前記アイソレータの他の一端と前記ランチャの出力端と負荷とに接続された非可逆部材とを備え、
前記非可逆部材は、前記ランチャからの前記マグネトロンの出力電力を前記負荷の方向へ導くとともに、前記負荷からの反射電力を前記アイソレータへ導き、
前記アイソレータは、前記非可逆部材からの反射電力を吸収するとともに、前記基準信号発振器からの基準信号を前記非可逆部材へ導き、
前記非可逆部材は更に、前記アイソレータからの基準信号を前記ランチャへ導く
ことを特徴とするマグネトロン発振装置。 - 請求項1に記載のマグネトロン発振装置において、
前記基準信号の電力は、前記マグネトロンの出力電力に連動して可変されることを特徴とするマグネトロン発振装置。 - 請求項1に記載のマグネトロン発振装置において、
前記マグネトロンの負荷インピーダンスは、前記マグネトロンの出力電力に連動して可変されることを特徴とするマグネトロン発振装置。
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