JP3850211B2 - 止め輪 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械要素である止め輪の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
図15に示す従来のトルクセンサ101は、センサハウジング102に内蔵される筒状の一対のコイルホルダー103、104と、そのコイルホルダー103、104により保持されるコイル105、106と、そのコイル105、106により囲まれるトルク伝達シャフト107とを備え、そのコイル105、106の出力に基づき伝達トルクを検出する。そのシャフト107は軸受108、109を介してセンサハウジング102により支持され、一方の軸受108の外輪108aと一方のコイルホルダー103との間と、両コイルホルダー103、104の間とにスペーサ110、111が介在する。そのセンサセンサハウジング102の内部に設けられた周溝102bに従来周知の止め輪110が嵌入され、その止め輪110に伝達シャフト107が挿入される。その止め輪110とコイルホルダー103、104との間に板バネ112が介在する。その止め輪110とセンサハウジング102の内部に設けられた受け部102aとの間に、コイルホルダー103、104、軸受108の外輪108a、スペーサ110、111、板バネ112が挟み込まれる。この挟み込み状態において板バネ112が自然状態から弾性的に圧縮変形した状態とされることで、コイルホルダー103、104をスペーサ110、111と軸受108の外輪108aを介して受け部102aに向かい押し付ける弾力が付与される。これによりコイルホルダー103、104をセンサハウジング102に対してがたをなくして固定できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の構成では、コイルホルダー103、104を弾力によって受け部102aに押し付けるため、止め輪110と板バネ112とが必要である。そのため、部品点数が多くなり、トルクセンサ101の寸法が伝達シャフト107の軸方向において大きくなり、組み立てにも手間を要するという問題がある。
【0004】
本発明は上記従来技術の問題を解決することができる止め輪を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、割り部を有する環状部を備え、径が拡縮するように弾性変形可能とされている止め輪に適用される。
【0006】
本発明の第1の特徴は、その環状部の内周により片持ち状に支持されると共に、周方向に沿って並列する複数の突出部が、その環状部と一体的に成形され、各突出部は、その環状部の内周から中心に向かうに従い軸方向一方に向かうように、その環状部から径方向内方および軸方向外方に突出され、各突出部は環状部に対して軸方向において弾性的に揺動可能とされ、前記割り部に近接して配置される突出部の周方向における寸法は、前記割り部から離れて配置される突出部の周方向における寸法よりも大きくされている点にある。
本発明の第1の特徴によれば、止め輪の環状部を例えばセンサハウジング等の収容部材の内周に形成された溝に嵌入し、その収容部材に収容される被収容部材を、その止め輪の突出部と収容部材に対する軸方向変位が規制されている受け部とで挟み込み、この挟み込み状態において突出部が自然状態から弾性的に揺動した状態とされることで、その被収容部材を受け部に向かい押し付ける弾力を付与できる。すなわち、弾性部材を用いることなく止め輪だけで被収容部材をがたつきなく固定できる。また、各突出部を環状部に対して弾性的に揺動させ、被収容部材あるいは被嵌め合わせ部材を受け部に押し付ける弾力を作用させる際に、その押し付け力が割り部の近傍において割り部から離れた位置よりも小さくなるのを防止でき、その押し付け力の均一化を図ることができる。
【0007】
特に、センサハウジングに内蔵される筒状のコイルホルダーと、そのコイルホルダーにより保持されるコイルと、そのコイルにより囲まれるトルク伝達シャフトとを備え、そのコイルの出力に基づき伝達トルクを検出するトルクセンサにおいて、そのセンサハウジングの内部に設けられた溝に本発明の第1の特徴を備えた止め輪の環状部が嵌入され、その止め輪に前記伝達シャフトが挿入され、その止め輪の突出部とセンサセンサハウジングの内部に設けられた受け部との間に前記コイルホルダーが挟み込まれ、このコイルホルダーの挟み込み状態において突出部が自然状態から弾性的に揺動した状態とされることで、そのコイルホルダーを前記受け部に向かい押し付ける弾力が付与されるのが好ましい。
【0008】
本発明の第2の特徴は、その環状部の外周により片持ち状に支持されると共に、周方向に沿って並列する複数の突出部が、その環状部と一体的に成形され、各突出部は、その環状部の外周から放射方向に向かうに従い軸方向一方に向かうように、その環状部から径方向外方および軸方向外方に突出され、各突出部は環状部に対して軸方向において弾性的に揺動可能とされ、前記割り部に近接して配置される突出部の周方向における寸法は、前記割り部から離れて配置される突出部の周方向における寸法よりも大きくされている点にある。
本発明の第2の特徴によれば、止め輪の環状部を例えばシャフト等の軸部材の外周に形成された溝に嵌入し、その軸部材の外周に嵌め合わされる被嵌め合わせ部材を、その止め輪の突出部と軸部材に対して軸方向変位が規制されている受け部とで挟み込み、この挟み込み状態において突出部が自然状態から弾性的に揺動した状態とされることで、その被嵌め合わせ部材を受け部に向かい押し付ける弾力を付与できる。すなわち、弾性部材を用いることなく止め輪だけで被嵌め合わせ部材をがたつきなく固定できる。また、各突出部を環状部に対して弾性的に揺動させ、被収容部材あるいは被嵌め合わせ部材を受け部に押し付ける弾力を作用させる際に、その押し付け力が割り部の近傍において割り部から離れた位置よりも小さくなるのを防止でき、その押し付け力の均一化を図ることができる。
【0009】
本発明の止め輪において、前記環状部の内外周は円周に沿うものとされ、その環状部の内周が沿う円周の中心と外周が沿う円周の中心とは互いに対して偏心し、その環状部の内周と外周との間の径方向における距離は、前記割り部に近接する程に小さくされているのが好ましい。
この構成によれば、止め輪を収容部材や軸部材に形成された溝に嵌入するため、割り部の間隔を狭めて径を縮小する際に、環状部の内周と外周との間の径方向における距離が割り部に近接する程に小さくされていることで、止め輪を容易に弾性変形させることができる。これにより、その止め輪の溝への嵌入作業を容易に行える。
【0011】
本発明の止め輪において、各突出部は、突出方向前端部位が凸曲面となるように湾曲されているのが好ましい。
これにより、各突出部に接する部材が傷付くのを防止できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1〜図4を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
図1に示すトルクセンサ1は、車両の電動パワーステアリング装置における操舵トルクを検出する。そのトルクセンサ1は、センサハウジング2と、入力シャフト3と、出力シャフト4とを備えている。その入力シャフト3は、そのセンサハウジング2の内周により転がり軸受12を介して支持される。その出力シャフト4は、センサハウジング2の内周により転がり軸受13、14を介して支持される。その入出力シャフト3、4がトルク伝達シャフトになる。
【0013】
その入力シャフト3の一端にステアリングシャフト6の一端がピン8により連結されている。そのステアリングシャフト6の他端はステアリングホイール(図示省略)に接続される。その入力シャフト3と出力シャフト4にトーションバー7が挿入される。そのトーションバー7は、一端が入力シャフト3の一端に上記ピン8により連結され、他端が出力シャフト4に図外ピンにより連結されている。これにより、その入力シャフト3と出力シャフト4は操舵抵抗に応じたトーションバー7の捩じれにより、弾性的に相対回転可能とされている。
【0014】
その出力シャフト4の回転が、例えばラックピニオン式ステアリングギア等を介して車輪に伝達されることで車両の舵角が変化する。その出力シャフト4の外周にウォームホイール15が同行回転するように取り付けられる。そのウォームホイール15は、操舵補助力発生用モータにより回転駆動されるウォーム16に噛み合う。
【0015】
その出力シャフト4の外周に、磁性材製の第1筒状部材21が同行回転するように取り付けられている。その入力シャフト3の外周に、その第1筒状部材21の一端面に対向する一端面を有する磁性材製の第2筒状部材22と、この第2筒状部材21の他端面に対向する一端面を有する磁性材製の第3筒状部材23とが、同行回転するように取り付けられている。その第1、第2筒状部材21、22の相対向する端面それぞれに、複数の歯21a、22aが周方向の間隔をおいて設けられている。その第3筒状部材23の一端面に、複数の歯23aが周方向の間隔をおいて設けられている。その第2筒状部材21の他端面は歯が形成されず平坦とされている。
【0016】
そのセンサハウジング2に、上記軸受12、13の間において磁性材製の筒状第1コイルホルダー31と磁性材製の筒状第2コイルホルダー32とが、入出力シャフト3、4の軸方向に沿って並列するように内蔵されている。その第1コイルホルダー31により第1コイル33が保持され、その第2コイルホルダー32により第2コイル34が保持されている。各コイルホルダー31、32は、入出力シャフト3、4と同心に配置される周壁31a、32aと、この周壁31a、32aの一端から径方向内方に向かい延びる円環状側壁31b、32bと、その周壁31a、32aの他端から径方向内方に向かい延びる円環状蓋部材31c、32cとを有する。各コイル33、34は入出力シャフト3、4を囲む。
【0017】
各コイル33、34は、センサハウジング2に取り付けられたプリント基板41に配線を介して接続される。そのプリント基板41上の図4に示す信号処理回路により、検出トルク値に対応する信号が出力される。すなわち、その第1筒状部材21の一端部と第2筒状部材22の一端部とは第1コイル33により覆われ、その第2筒状部材22の他端部と第3筒状部材23の一端部とは第2コイル34により覆われる。その第1筒状部材21と第2筒状部材22の歯21a、22aの対向部分の面積は、入出力シャフト5により伝達されるトルクに応じてトーションバー7が捩れて両筒状部材21、22が相対回転することで変化する。この変化により、その歯21a、22aの対向間において、第1コイル33の発生磁束に対する磁気抵抗が変化する。その変化に応じて第1コイル33の出力が変化することから、そのコイル33の出力に基づき伝達トルクを検出できる。その第2筒状部材22の他端と第3筒状部材23の歯23aとの対向部分の面積は一定とされ、第2コイル34の発生磁束に対する磁気抵抗の変化は操舵抵抗の影響を受けることがなく、温度変動による第1コイル33の出力変動と第2コイル34の出力変動とは互いに等しくされる。第1コイル33は抵抗45を介して発振器46に接続され、第2コイル34は抵抗47を介して発振器46に接続されている。各コイル33、34は差動増幅回路48に接続され、その差動増幅回路48の出力値がトルクセンサ1による検出トルクに対応するものとされる。これにより、温度変動によるトルクセンサ1の出力変動が補償されている。その差動増幅回路48から出力される伝達トルクに対応した信号に応じて上記モータが駆動され、そのモータの回転がウォーム16、ウォームホイール15を介して出力シャフト4に伝達されることで操舵補助力が付与される。
【0018】
その入出力シャフト3、4の軸方向において、第1コイルホルダー31の一端はセンサハウジング2の内周に嵌め合わされた止め輪60に当接し、第2コイルホルダー32の一端はスペーサ56に当接し、第1コイルホルダー31の他端と第2コイルホルダー32の他端とは互いに当接し、スペーサ56は軸受12の外輪12aに当接し、その外輪12aはセンサハウジング2の内面の段差により構成される受け部2′に当接するように配置される。その第1、第2コイルホルダー31、32をスペーサ56と軸受12の外輪12aとを介して受け部2′に押し付ける弾力が、その止め輪60により付与される。
【0019】
図2、図3に示すように、その止め輪60は、割り部61を有する環状部62と複数の突出部63とを備える。その割り部61の間隔Wが変化することで、止め輪60は径が拡縮するように弾性変形可能とされている。また、割り部61に隣接する両突出部63に工具挿入孔65が形成されている。その環状部62の内外周は円周に沿うものとされ、本実施形態では環状部62の内周62aが沿う円周と外周62bが沿う円周とは同一の中心Oを有する。各突出部63は、環状部62の内周により片持ち状に支持されると共に、周方向に沿って並列し、例えばバネ鋼板等から環状部62と一体的に成形される。各突出部63それぞれの径方向寸法は互いに等しくされ、また、各突出部63それぞれの周方向寸法も互いに等しくされている。
【0020】
各突出部63は、環状部62の内周から中心Oに向かうに従い軸方向一方に向かうように、その環状部62から径方向内方および軸方向外方に突出され、環状部62に対して軸方向において弾性的に揺動可能とされている。
【0021】
その止め輪60の環状部62は上記センサハウジング2の内部に形成された周溝71に嵌入される。すなわち、工具挿入孔65に挿入される工具により止め輪60は径が縮小するように弾性変形され、その状態でセンサハウジング2に挿入され、しかる後に復元変形されることで溝71に嵌入される。本実施形態では、その溝71は上記軸受13の外輪13aの一端面と、センサハウジング2に形成された凹部の内面とにより構成されているが、環状部を嵌入できる溝であれば構成は限定されず、例えばセンサハウジング2内面に形成される凹部だけで溝を構成してもよい。その止め輪60に上記入出力シャフト3、4が挿入される。その止め輪60の突出部63とセンサハウジング2の内部に設けられた受け部2′との間に上記コイルホルダー31、32がスペーサ56と軸受12の外輪12aと共に挟み込まれる。このコイルホルダー31、32の挟み込み状態において、環状部62に対して各突出部63が自然状態から弾性的に揺動した状態とされる。本実施形態では、軸受13の外輪13aの一端面と受け部2′との間の距離が、止め輪60、両コイルホルダー31、32、スペーサ56、軸受12の外輪12aの軸方向寸法の総和よりも小さくされている。これにより、両コイルホルダー31、32をスペーサ56と軸受12の外輪12aを介して受け部2′に向かい押し付ける弾力が付与される。
【0022】
上記構成によれば、従来のような板バネを用いることなく止め輪60だけで、コイルホルダー31、32をスペーサ56と軸受12の外輪12aと共にセンサハウジング2に対してがたつきをなくして固定することができる。
【0023】
図5は、第1実施形態の第1変形例の止め輪160を示す。上記実施形態の止め輪60との相違は、環状部62の内周62aが沿う円周の中心O1と外周62bが沿う円周の中心O2とが、図においてEだけ互いに対して偏心する。これにより、その環状部62の内周62aと外周62bとの間の径方向における距離は、周方向において漸次変化するものとされ、その距離は割り部61に近接する程に小さくされる。また、各突出部63の径方向寸法が互いに異なるものとされることで、各突出部63の先端は環状部62の外周62bが沿う円周と同心の円周上に位置される。これにより、突出部63を溝71に嵌入するために割り部61の間隔Wを狭めて止め輪160の径を縮小する際に、環状部62の内周と外周との間の径方向における距離が割り部61に近接する程に小さくされていることで、止め輪160への曲げ応力を均等にでき、大きく変位させることができる。よって、その止め輪160の溝71への嵌入作業を容易に行える。他は上記実施形態と同様で同様部分は同一符号で示す。
【0024】
図6は、第1実施形態の第2変形例の止め輪260を示し、上記第1変形例の止め輪160との相違は、各突出部63の径方向寸法が互いに等しくされることで、各突出部63の先端は環状部62の内周62aが沿う円周と同心の円周上に位置される。他は第1変形例と同様で同様部分は同一符号で示す。
【0025】
図7は、第1実施形態の第3変形例の止め輪360を示す。上記実施形態の止め輪60との相違は、各突出部63の周方向における寸法が互いに異なるものとされ、割り部61に近接して配置される突出部63の周方向における寸法が、その割り部61から離れて配置される突出部63の周方向における寸法よりも大きくされている点にある。これにより、各突出部63を環状部62に対して弾性的に揺動させ、両コイルホルダー31、32をスペーサ56と軸受12の外輪12aと共に受け部2′に向かい押し付ける弾力を作用させる際に、その押し付け力が割り部61の近傍においては割り部61から離れた位置よりも小さくなるのを防止でき、その押し付け力の均一化を図ることができる。他は上記実施形態と同様で同様部分は同一符号で示す。
【0026】
図8は、第1実施形態の第4変形例の止め輪460を示し、上記第3変形例の止め輪360との相違は、環状部62の内周62aが沿う円周の中心O1と外周62bが沿う円周の中心O2とが、図においてEだけ互いに対して偏心する。これにより、その環状部62の内周62aと外周62bとの間の径方向における距離は、周方向において漸次変化するものとされ、その距離は割り部61に近接する程に小さくされる。また、各突出部63の径方向寸法が互いに異なるものとされることで、各突出部63の先端は環状部62の外周62bが沿う円周と同心の円周上に位置される。これにより、第1、第2変形例と同様に止め輪460の径を容易に縮小することができる。他は第3変形例と同様で同様部分は同一符号で示す。
【0027】
図9は、第1実施形態の第5変形例の止め輪560を示し、上記第4変形例の止め輪460との相違は、各突出部63の径方向寸法が互いに等しくされることで、各突出部63の先端は環状部62の内周62aが沿う円周と同心の円周上に位置される。他は第4変形例と同様で同様部分は同一符号で示す。
【0028】
上記第1実施形態と、その第1〜第5変形例においては、図10の(1)に示すように各突出部63は突出方向前端部位がエッジ63aとされているが、図10の(2)に示すように各突出部63は突出方向前端部位が凸曲面63bとなるように湾曲されていてもよい。これにより、各突出部63に接する第1コイルホルダー31が傷付くのを防止できる。
【0029】
図11〜図13を参照して本発明の第2実施形態を説明する。
図11に示すように、上記第1実施形態の電動パワーステアリング装置におけるステアリングシャフト6は、車体に取り付けられるステアリングコラム80により、転がり軸受81を介して支持され、ステアリングホイールHの操舵により回転する。
【0030】
そのステアリングシャフト6の軸方向において、転がり軸受81の内輪81aの一端はスペーサ82の他端に当接し、そのスペーサ82の一端はステアリングシャフト6の外周に嵌め合わされた止め輪90に当接する。その転がり軸受81の外輪81bの他端は、ステアリングコラム80の内周に形成された段差により構成される受け部80aに当接する。その転がり軸受81をスペーサ82を介して受け部80aに押し付ける弾力が、その止め輪90により付与される。
【0031】
図12、図13に示すように、その止め輪90は、割り部91を有する環状部92と複数の突出部93とを備える。その割り部91の間隔Wが変化することで、止め輪90は径が拡縮するように弾性変形可能とされている。また、割り部91に隣接する両突出部93に工具挿入孔95が形成されている。その環状部92の内外周は円周に沿うものとされ、本実施形態では環状部92の内周92aが沿う円周と外周92bが沿う円周とは同一の中心Oを有する。各突出部93は、環状部92の外周により片持ち状に支持されると共に、周方向に沿って並列し、例えばバネ鋼板等から環状部92と一体的に成形される。各突出部93それぞれの径方向寸法は互いに等しくされ、また、各突出部93それぞれの周方向寸法も互いに等しくされている。
【0032】
各突出部93は、環状部92の外周から放射方向に向かうに従い軸方向一方に向かうように、その環状部92から径方向外方および軸方向外方に突出され、環状部92に対して軸方向において弾性的に揺動可能とされている。
【0033】
その止め輪90の環状部92は上記ステアリングシャフト6の外周に形成された周溝96に嵌入される。すなわち、工具挿入孔95に挿入される工具により止め輪90は径が拡大するように弾性変形され、その状態でステアリングシャフト6に嵌め合わされ、しかる後に復元変形されることで溝96に嵌入される。その止め輪90の突出部93と上記ステアリングコラム80に形成された受け部80aとの間に上記転がり軸受81とスペーサ82とが挟み込まれる。この挟み込み状態において、環状部92に対して各突出部93が自然状態から弾性的に揺動した状態とされる。これにより、転がり軸受81をスペーサ82を介して受け部80aに向かい押し付ける弾力が付与される。そのスペーサ82により突出部93が転がり軸受81の外輪81bに接するのが阻止されている。
【0034】
上記構成によれば、弾性体を用いることなく止め輪90だけで転がり軸受81をスペーサ82と共にステアリングコラム80に対してがたつきをなくして固定することができる。
【0035】
上記第2実施形態の第1変形例として、上記第1実施形態の第1変形例と同様に、環状部92の内周が沿う円周の中心と外周が沿う円周の中心とが互いに対して偏心し、その環状部92の内周と外周との間の径方向における距離が周方向において漸次変化するものとされ、その距離は割り部91に近接する程に小さくされ、また、各突出部93の径方向寸法が互いに異なるものとされることで、各突出部93の先端は環状部92の外周が沿う円周と同心の円周上に位置されてもよい。これにより、突出部93を溝96に嵌入するために割り部91の間隔Wを拡大して止め輪90の径を拡大する際に、環状部92の内周と外周との間の径方向における距離が割り部91に近接する程に小さくされていることで、止め輪90への曲げ応力を均等にでき、大きく変位させることができる。よって、その止め輪90の溝96への嵌入作業を容易に行える。
【0036】
その第2実施形態の第2変形例として、上記第1実施形態の第2変形例と同様に、各突出部93の径方向寸法が互いに等しくされ、各突出部93の先端が環状部92の内周が沿う円周と同心の円周上に位置される以外は第1変形例と同様の構成としてもよい。
【0037】
上記第2実施形態の第3変形例として、上記第1実施形態の第3変形例と同様に、各突出部93の周方向における寸法が互いに異なるものとされ、割り部91に近接して配置される突出部93の周方向における寸法が、その割り部91から離れて配置される突出部93の周方向における寸法よりも大きくされてもよい。これにより、各突出部93を環状部92に対して弾性的に揺動させ、転がり軸受81をスペーサ82と共に受け部80aに向かい押し付ける弾力を作用させる際に、その押し付け力が割り部91の近傍においては割り部91から離れた位置よりも小さくなるのを防止でき、その押し付け力の均一化を図ることができる。
【0038】
その第2実施形態の第4変形例として、上記第1実施形態の第4変形例と同様に、環状部92の内周が沿う円周の中心と外周が沿う円周の中心とが互いに対して偏心し、その環状部92の内周と外周との間の径方向における距離が周方向において漸次変化するものとされ、その距離は割り部91に近接する程に小さくされ、また、各突出部93の径方向寸法が互いに異なるものとされることで、各突出部93の先端は環状部92の外周が沿う円周と同心の円周上に位置される以外は、第3変形例と同様の構成としてもよい。これにより、第1、第2変形例と同様に止め輪90の径を容易に拡大することができる。
【0039】
その第2実施形態の第5変形例として、上記第1実施形態の第5変形例と同様に、各突出部93の径方向寸法が互いに等しくされることで、各突出部93の先端は環状部92の内周が沿う円周と同心の円周上に位置される以外は第4変形例と同様の構成としてもよい。
【0040】
上記第2実施形態と、その第1〜第5変形例においては、図14の(1)に示すように各突出部93は突出方向前端部位がエッジ93aとされているが、図14の(2)に示すように各突出部93は突出方向前端部位が凸曲面93bとなるように湾曲されていてもよい。これにより、各突出部93に接するスペーサ82が傷付くのを防止できる。
【0041】
本発明は上記実施形態や変形例に限定されない。例えば止め輪により受け部に弾力によって押し付けられるものは、コイルホルダーやスペーサや軸受の外輪に限定されず、また、その数は単一でも複数でもよい。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、トルクセンサにおけるセンサハウジングのような収容部材に対してコイルホルダーのような被収容部材を固定したり、シャフト等の軸部材の外周に嵌め合わされる被嵌め合わせ部材を、その軸部材に対して軸方向変位が規制されている受け部に対して固定する場合に、板バネ等の弾性部材を別途用いることなく、省スペース化を図り、能率良く、均一な弾力の作用によりがたつきなく固定できる止め輪を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のトルクセンサの断面図
【図2】本発明の第1実施形態の止め輪の正面図
【図3】本発明の第1実施形態の止め輪の側面図
【図4】本発明の実施形態のトルクセンサの回路構成説明図
【図5】本発明の第1実施形態の第1変形例の止め輪の正面図
【図6】本発明の第1実施形態の第2変形例の止め輪の正面図
【図7】本発明の第1実施形態の第3変形例の止め輪の正面図
【図8】本発明の第1実施形態の第4変形例の止め輪の正面図
【図9】本発明の第1実施形態の第5変形例の止め輪の正面図
【図10】本発明の第1実施形態とその変形例の止め輪の(1)は突出部を示す部分断面図、(2)は(1)とは異なる突出部を示す部分断面図
【図11】本発明の第2実施形態のステアリング装置の部分断面図
【図12】本発明の第2実施形態の止め輪の正面図
【図13】本発明の第2実施形態の止め輪の側面図
【図14】本発明の第2実施形態とその変形例の止め輪の(1)は突出部を示す部分断面図、(2)は(1)とは異なる突出部を示す部分断面図
【図15】従来例のトルクセンサの断面図
【符号の説明】
1 トルクセンサ
3、4 入出力シャフト
31、32 コイルホルダー
33、34 コイル
60、90 止め輪
61、91 割り部
62、92 環状部
63、93 突出部
63b、93b 凸曲面
71、96 溝
Claims (5)
- 割り部を有する環状部を備え、径が拡縮するように弾性変形可能とされている止め輪において、
その環状部の内周により片持ち状に支持されると共に、周方向に沿って並列する複数の突出部が、その環状部と一体的に成形され、
各突出部は、その環状部の内周から中心に向かうに従い軸方向一方に向かうように、その環状部から径方向内方および軸方向外方に突出され、
各突出部は環状部に対して軸方向において弾性的に揺動可能とされ、
前記割り部に近接して配置される突出部の周方向における寸法は、前記割り部から離れて配置される突出部の周方向における寸法よりも大きくされていることを特徴とする止め輪。 - ハウジングに内蔵される筒状のコイルホルダーと、
そのコイルホルダーにより保持されるコイルと、
そのコイルにより囲まれるトルク伝達シャフトとを備え、
そのコイルの出力に基づき伝達トルクを検出するトルクセンサにおいて、
そのハウジングの内部に設けられた溝に請求項1に記載の止め輪の環状部が嵌入され、その止め輪に前記伝達シャフトが挿入され、
その止め輪の突出部とハウジングの内部に設けられた受け部との間に前記コイルホルダーが挟み込まれ、このコイルホルダーの挟み込み状態において突出部が自然状態から弾性的に揺動した状態とされることで、そのコイルホルダーを前記受け部に向かい押し付ける弾力が付与されることを特徴とするトルクセンサ用止め輪。 - 割り部を有する環状部を備え、径が拡縮するように弾性変形可能とされている止め輪において、
その環状部の外周により片持ち状に支持されると共に、周方向に沿って並列する複数の突出部が、その環状部と一体的に成形され、
各突出部は、その環状部の外周から放射方向に向かうに従い軸方向一方に向かうように、その環状部から径方向外方および軸方向外方に突出され、
各突出部は環状部に対して軸方向において弾性的に揺動可能とされ、
前記割り部に近接して配置される突出部の周方向における寸法は、前記割り部から離れて配置される突出部の周方向における寸法よりも大きくされていることを特徴とする止め輪。 - 前記環状部の内外周は円周に沿うものとされ、
その環状部の内周が沿う円周の中心と外周が沿う円周の中心とは互いに対して偏心し、
その環状部の内周と外周との間の径方向における距離は、前記割り部に近接する程に小さくされている請求項1〜3の中の何れかに記載の止め輪。 - 各突出部は、突出方向前端部位が凸曲面となるように湾曲されている請求項1〜4の中の何れかに記載の止め輪。
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