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JP3848168B2 - カーテン塗布装置 - Google Patents

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JP3848168B2
JP3848168B2 JP2002011780A JP2002011780A JP3848168B2 JP 3848168 B2 JP3848168 B2 JP 3848168B2 JP 2002011780 A JP2002011780 A JP 2002011780A JP 2002011780 A JP2002011780 A JP 2002011780A JP 3848168 B2 JP3848168 B2 JP 3848168B2
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  • Coating Apparatus (AREA)
  • Color Printing (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷用紙、感圧記録紙、感熱記録紙、印画紙、印刷製版材料などの製造に際し、連続走行する紙、塗被紙、フィルムなどの高速塗布時におけるウェブに同伴する空気を除去し、カーテン膜の安定化させることにより、良好な品質の塗布製品を製造することのできるカーテン塗布装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カーテン塗布方法は、一種以上の塗布液を用いて自由落下カーテン膜を形成し、これを塗布される材料(ウェブ)に衝突させ、塗布されるウェブ上に塗膜を形成する方法であり、鉄板の表面塗布方法としては古くから用いられてきた。
【0003】
従来より、カーテン塗布方法においては、ウェブ上に塗膜を形成するときに、未塗布部が生じたり、塗布ムラが生ずることがあった。
【0004】
この原因の一つとして、ウェブ表面と塗布液との親和性が悪い場合がある。この場合は、物理的な手段や化学的な手段を用いてウェブと塗布液との親和性を上げることによって解決されるものである。
【0005】
もう一つの原因として、ウェブ表面の同伴空気の問題がある。同伴空気は高速走行するウェブ表面に発生するもので、ウェブ表面に滞留する同伴空気が除去されずに塗布液が塗布されることにより、ウェブの塗布面に未塗布部を生じさせたり、同伴空気がカーテン膜近傍で乱流となってカーテン膜を揺らすことにより、ウェブの塗布面に塗布ムラを生じさせるなど、問題を引き起こし、特に塗布速度が上がるほど顕著になるために、カーテン塗布方法では塗布速度が上げられない主要な原因の一つになっている。
【0006】
写真感光材料を塗布するための代表的なカーテン塗布装置であるスライドホッパー型カーテン塗布装置では、塗布地点(ウェブと塗布液が接する地点)で減圧にして塗布線のヒール部をウェブ上流側へ引き込み、塗布を安定させている。それだけでは足りずに、減圧の発生と同時に溶媒蒸気を発生させたり、同伴空気を塗布液に溶解しやすい気体(炭酸ガス)に置換するという手段が開示されている。
【0007】
一方、エクストルージョン型カーテン塗布装置では、カーテン膜の落下運動量が同伴空気の層を破壊するために、スライドホッパー型カーテン塗布装置よりも高い速度領域での塗布が可能である。しかしながら、塗布速度が上がるにつれ、また、製品品質の欠点の発生を皆無にするために、同伴空気そのものを取り去る工夫が数々なされてきた。
【0008】
基本的には、同伴空気を遮蔽するための遮風板をカーテン膜の上流に設けることである。その後、数々の工夫がなされたが、代表的なものはカーテン膜上流部で同伴空気を吸引する方法である。しかしながら、同伴空気を吸引する方法では、さらに高速度の領域で発生する同伴空気を十分に遮蔽することはできなかった。
【0009】
十分に同伴空気を遮蔽するための有効手段として、カーテン膜の上流部数十ミリのところでウェブと遮蔽物を接触させる方法(以下、接触式という。)がある。接触式は、体の遮蔽物によリ同伴空気を遮蔽するため、同伴空気の遮蔽の方法としては究極の方法であり、他手法では接触式より効率よく同伴空気を遮蔽することは困難であった。
【0010】
ここで、接触式のカーテン塗布装置について、図5を用いて説明する。図5は、従来におけるカーテン塗布装置を示す概略図である。図5において、コーターヘッド1近傍の上流側には、遮蔽部材21が設けられている。そして、遮蔽部材21の下部にウェブ接触部材22が設置され、ウェブ10の走行時には該ウェブ10と接触する。ウェブ10の高速走行によって同伴する空気は、ウェブ接触部材22により遮断され、下流側のカーテン膜6に対して影響を及ぼさない。
【0011】
しかしながら、接触式ではウェブに遮蔽物が接触するため、紙などのウェブでは紙粉や毛羽立ち、塗被紙などでは塗布構成物が剥がれ落ちる粉落ち、フィルムなどのウェブではウェブ表面に傷、というような種々の問題を発生させることがある。また、単に遮蔽部材を接触させた場合、塗布速度が上がるにつれて遮蔽部材の磨耗による問題も発生し、長時間の製造レベルでの運転には適さないものであった。高機能紙では多層塗布する場合が多々あるが、ウェットオンウェット塗布方法では接触式にした場合、同伴空気とともに上流で塗布した液を掻き取ってしまうことになり採用することができない。
【0012】
このように、連続走行するウェブに塗布液を塗布するカーテン塗布装置において、ウェブの走行により発生する同伴空気をカーテン膜から遮蔽する方法として接触式の方法による効果は大きいが、反面において、紙粉、毛羽立ち、粉落ち、ウェブ表面の傷、遮蔽部材の磨耗、などの種々の問題を発生させず、安定した製品を製造することは困難であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高速塗布時におけるウェブに同伴する空気を除去し、カーテン膜の安定化させることにより、良好な品質の塗布製品を製造することのできるカーテン塗布装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記に鑑み鋭意検討した結果、本発明のカーテン塗布装置を発明するに至った。
【0015】
すなわち、発明のカーテン塗布装置は、連続走行するウェブに塗布液を塗布するカーテン塗布装置において、カーテン膜の該ウェブへの衝突地点より上流側に位置し、上流側方向にエアを噴射するエアジェット噴射装置を設け、該衝突地点と該エアジェット噴射装置との間に該ウェブの移動によリ発生する同伴空気を該カーテン膜から遮断する遮蔽部材を設け、さらに該遮蔽部材は抑制部材と隔壁部材とで一体化された閉空間とし、かつ該閉空間内には該エアジェット噴射装置に加えてエア吸引装置を設けて負圧領域とすることを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面によりさらに詳しく説明するが、本発明は、以下の実施形態に限定されることなく、様々な形態が可能であ
【0017】
図1は、カーテン膜のウェブへの衝突地点より上流側に位置し、上流側方向にエアを噴 射するエアジェット噴射装置と、該衝突地点と該エアジェット噴射装置との間に該ウェブの移動によリ発生する同伴空気を該カーテン膜から遮断する遮蔽部材とを有するカーテン塗布装置における実施態様を示す概略図である。図1において、予め調整され、貯蔵タンク8に貯蔵された塗布液は、貯蔵タンク8より給液ポンプ9によってコーターヘッド1へ送られる。コーターヘッド1の内部は、マニホールド2、スリット3からなり、それぞれ高精度の仕上げが施されている。供給された塗布液は、マニホールド2に満たされ、さらにスリット3に送られるときに通過する狭い間隙により、給液ポンプ9の送液による動圧の影響が軽減され、幅方向における圧力分布が均一化され、リップ4よリ落下し、垂直なカーテン膜6を形成する。
【0018】
幅方向でプロファイルが均一となったカーテン膜6は、連続走行しているウェブ10と接触し、ウェブ10上に塗膜を形成する。ここで、エッジガイド5は、コーターヘッド1の幅を超えず、さらにウェブ10の幅を超えて設けられ、カ一テン膜6はウェブ10の幅を超えて形成される。カーテン膜6がウェブ10の幅を超えて形成されているのは、カーテン膜6の両端部における塗層の厚塗りを防止するためである。ウェブ10の幅を超えて流出された塗布液は、受液槽7に回収され、貯蔵タンク8に戻された後、再びコーターヘッド1に送られ、ウェブ10の塗布に供される。また、ウェブ10が何らかの原因によって切断し、塗布が中断されるような場合も、塗布液は受液槽7に回収されることになる。
【0019】
形成させたカーテン膜6を安定した状態で塗布するためには、ウェブ10からコーターヘッド1下部の流出部までの高さがある程度必要とされるが、本実施形態においてはその高さを制御することも可能であり、カーテン膜6の安定に適した高さは60〜300mm、好ましくは100〜250mm、さらに好ましくは120〜180mmである。
【0020】
本発明における同伴空気の除去に当たっては、カーテン膜6がウェブ10に衝突する地点よりも上流側に、コーターヘッド1に隣接して遮蔽部材14、さらに上流側にエアジェット噴射装置12が設けられている。エアジェット噴射装置12のエアは、エア供給ポンプ13から供給される。ここで、エアジェット噴射装置12は、上流側方向にエアを噴射できるように設定される。走行するウェブ10に同伴される空気は、エアジェット噴射装置12の噴射されるエアにより除去され、さらに遮蔽部材14により遮断されることで、コーターヘッド1から供給されるカーテン膜6の落下状態を安定化できる。
【0021】
遮蔽部材14の設定位置は、カーテン膜6がウェブ10に衝突する地点から200mm以下の上流側に設定することが好ましい。ここで、200mmより離れた位置にある場合、遮蔽部材14よりも下流側で発生する同伴空気によってカーテン膜6が乱れ、塗布障害を発生させることになる。但し、200mm以内であっても、塗布速度などの条件によっては塗布傷害を発生させるまでには至らないものの、カーテン膜を乱す場合もあるので、遮蔽部材14の設定位置は、カーテン塗布装置の構造面から許容できる範囲内でカーテン膜6がウェブ10に衝突する地点に近付けることが塗布状態を良好にできる。
【0022】
次に、カーテン膜のウェブへの衝突地点より上流側に位置し、上流側方向にエアを噴射するエアジェット噴射装置と、該衝突地点と該エアジェット噴射装置との間に該ウェブの移動によリ発生する同伴空気を該カーテン膜から遮断する遮蔽部材と、該ウェブに近接してこれと平行に設置され、かつ該遮蔽部材の下部と接合一体化された抑制部材とを有するカーテン塗布装置を図2で説明する。図2は、のカーテン塗布装置における実施態様を示す概略図である。図2においては、上記図1により説明したコーターヘッド1部分を簡略化しているが、コーターヘッド1から落下するカーテン膜6の上流側近傍に遮蔽部材14が設けられ、その遮蔽部材14の下部と一体化して抑制部材15が取り付けられている。また、抑制部材15近傍には、エアジェット噴射装置12が設けられ、これと接続されたエア供給ポンプ13よりエアが供給され、上流側方向にエアが噴射され、ウェブ10に同伴する空気を除去する。抑制部材15は、ウェブ10に平行して遮蔽部材14の下部に取り付けられるもので、ウェブ10に接触しない程度に近接させることが望ましい。抑制部材15は、エアジェット噴射装置12によりウェブ10に同伴する空気を除去し、遮蔽部材14により遮断した後でも、カーテン膜6までの間に同伴空気が成長することは避けられず、この成長を抑制する効果を有するものである。
【0023】
抑制部材15は、ウェブ10よりも幅広の平板状のもので、材質が金属のものが好ましく用いられる。
【0024】
さらに、発明を図3で説明する。図3は、発明のカーテン塗布装置における実施態様を示す概略図である。図3においては、上記図1により説明したコーターヘッド1部分を簡略化しているが、コーターヘッド1から落下するカーテン膜6の上流側近傍に遮蔽部材14が設けられ、その遮蔽部材14は、その下部に抑制部材15、また上部に隔壁部材18を取り付けて一体化され、負圧領域19とする閉空間からなる。そして、閉空間内には、エアジェット噴射装置12とその上流側にエア吸引装置16が設けられており、エアジェット噴射装置12によりウェブ10に同伴される空気を除去するとともに、エア吸引装置16により除去されるエアを吸引する構造となっている。エアジェット噴射装置12およびエア吸引装置16には、それぞれ、エアを供給するエア供給ポンプ13、エアを吸引するエア吸引ポンプ17と繋がっている。なお、負圧領域19の維持管理のためには、閉空間内に圧力計20を設置することが望ましい。
【0025】
閉空間内に負圧領域19を設けた場合、負圧によってウェブ10が上昇して抑制部材15に接近し、カーテン膜6近傍までの同伴される空気を吸引することができ、この間の同伴空気の成長を防ぐことが可能である。
【0026】
上記隔壁部材14については、図3におけるような形状で説明したが、この形状に限定するものではなく、閉空間が維持できるものであれば適宜変えることができる。
【0027】
上記発明において、さらに好ましい態様として、図4を示す。図4は、発明におけるカーテン塗布装置の他の実施態様を示す概略図である。図4において、エア供給ポンプ13とエア吸引ポンプ17は互いに接続され、閉空間内から吸引されたエアをエア供給ポンプ13に対するエア供給源とした循環系からなる。このように、ウェブ10に同伴する空気をエアジェット噴射装置12により除去するとともに、噴射されたエアをエア吸引装置16により吸引し、エア吸引ポンプ17からエア供給ポンプ13にエアを送り、エアジェット噴射装置12からエアを噴射させるエア供給源とすることで効率化を図ることができる。
【0028】
上述したとおり、本発明のカーテン塗布装置において、用いられるコーターヘッドとしては、スライドホッパー型、またはエクストルージョン型、または両者の混合したスライドエクストルージョン型などが挙げられる。
【0029】
さらに、カーテン膜の該ウェブへの衝突地点より上流側に位置し、上流側方向にエアを噴射するエアジェット噴射装置を設けてなり、該エアジェット噴射装置には、該ウェブの移動によリ発生する同伴空気を該カーテン膜から遮断してエアの乱流の影響を除去するとともに、カーテン膜が該噴射装置側に引き込まれるのを防止するエア噴射管が付設され、該エア噴射管に設けられたエアを噴射する吹き出し孔上部の該エア噴射管から、コーターヘッドの上流側に位置し、垂直から水平にウェブを方向転換させるロール近傍の垂直側まで続く隔壁部材により閉空間とし、かつ該閉空間内には該エアジェット噴射装置に加えてエア吸引装置を設けて負圧領域としたカーテン塗布装置を図6で説明する。図6は、カーテン塗布装置における実施態様を示す概略図である。図6においては、上記図1により説明したコーターヘッド1部分を簡略化している。上記図3により説明したエアジェット噴射装置12と、遮蔽部材、隔壁部材とを一体化した遮蔽部材14を第3の発明にて記されている閉空間より上流側のロール11まで覆うこととし、さらにエアジェット噴射装置12自体を抑制部材として用い、それらが成す閉空間を負圧領域19とする。そして、閉空間内には、エアジェット噴射装置12とその下流側にエア吸引装置16が設けられており、エアジェット噴射装置12によりウェブ10に同伴される空気を除去するとともに、エア吸引装置16により除去される空気を吸引する構造となっている。エアジェット噴射装置12およびエア吸引装置16には、それぞれ、エアを供給するエア供給ポンプ13、エアを吸引するエア吸引ポンプ17とが繋がっている。なお、負圧領域19の維持管理のためには、閉空間内に圧力計20を設置することが望ましい。
【0030】
上記図6において、閉空間を垂直から水平にウェブ10を方向転換するロール11近傍の垂直側の部分まで延長することにより、ウェブ10上の同伴空気を除去する長さが長く確保できるため、コーターヘッド1近傍に大きな閉空間をつくる必要がなくなり、負圧領域19の体積が減少することから効率のよい同伴空気の除去ができ、再び同伴空気が成長するのを防ぐ効果も望める。
【0031】
また、コーターヘッド1近傍に大きな閉空間をつくる必要がないと、コーターヘッドやエッジガイドなどのメンテナンスについても作業がし易くなるといった効果も得られる。
【0032】
さらに、図6においては図示されていないが、上記図4で示されるとおり、エア供給ポンプ13とエア吸引ポンプ17とを互いに接続し、閉空間内から吸引されたエアをエア供給ポンプ13に対するエア供給源とした循環系とすることにより効率化を図れる。
【0033】
上記における各発明において、エアジェット噴射装置は、ウェブの幅と同等またはそれ以上の長さを有するエア噴射管を備え、該エア噴射管の一方または両方の端部がエア供給ポンプの供給管を接続した構造であることが好ましい。そして、エア噴射管には、エアを噴射する吹き出し孔が該エア噴射管の幅方向に一定間隔で設けられていることが好ましい。
【0034】
エア噴射管の吹き出し孔は、その幅方向に対して5〜20mm間隔で設けられていることが好ましく、この範囲をはずれ、20mmを超えた場合にはエアの未噴射領域が、また5mm以内ではエア噴射の重複領域ができて好ましくない。好ましくは10mmの等間隔で穿孔したものは未噴射領域、重複領域の問題が発生しない。
【0035】
吹き出し孔の孔径としては、孔径1〜3mmφであることが好ましく、1mmより小さい孔径は穿孔が困難であることと、噴射する空気の量が少なく充分な同伴空気の除去が行えない。また、3mmを超えた孔径では圧力が低下してしまい同伴空気の除去に必要な空気が得られない。好ましい穿孔方法として、吹き出し孔奥を直径1mmとして円錐状に広がる形で穿孔すると良好な空気の噴射が行える。
【0036】
また、吹き出し孔の形状としては、円形または楕円形の形状であることが好ましい。スリット型にすると噴射管内の圧力が均一に保てず、ウェブの幅方向での吹き出し圧力が変わってしまう。
【0037】
上記発明において、エアジェット噴射装置からの噴射には、エアを以て説明したが、エアに代えて蒸気またはミストとすることも好ましい。これは、コーターヘッドの上流側におけるウェブに対して蒸気またはミストを噴射することによって、予めウエット状態にあるウェブとコーターヘッドから流下するカーテン膜とが馴染みやすく良好な塗布状態を得やすくなるという効果がある。また、噴射を蒸気とすることによりウェブに予め熱を与えることができ、乾燥効率の向上に寄与することができる。
【0038】
次に、上記発明におけるカーテン塗布方法につき、以下のとおり説明する。
本発明のカーテン塗布方法において、エアジェット噴射装置のエア噴射管を設置する際に、走行するウェブとの間隔を考慮することが同伴空気を除去する上で大きな要因となる。上記図6により説明したとおり、エア噴射管を抑制部材として捉える場合、該エア噴射管の最下部である底部と走行中のウェブとの間隔を6mm以下に抑えることによって、高速塗布にあっても同伴空気を効率的に除去することができる。好ましくは、3mm以下であり、下限はウェブと接することのない間隔であり、走行中のウェブの上下振動を考慮し、1mmがより好ましい。一方、6mmを超えてその間隔が大きい場合には、同伴空気を伴ってコーターヘッドからのカーテン膜を乱すことになり好ましくない。
【0039】
さらに、本発明におけるカーテン塗布方法において、エアジェット噴射装置におけるエア噴射管に穿孔された吹き出し孔からエア、蒸気、ミストのいずれかを吹き出す際には、ウェブに対する吹き出し角度を30〜60°とすることである。このような角度でエア、蒸気、ミストのいずれかを吹き出すことにより、同伴空気を伴わず良好なカーテン膜を流下させることができる。
【0040】
上述したとおり、本発明のカーテン塗布装置において、用いられるコーターヘッドとしては、スライドホッパー型、エクストルージョン型、または両者の混合したスライドエクストルージョン型などが挙げられる。
【0041】
次に、本発明に用いられる塗布液、ウェブについて説明する。また、塗布時における塗布速度、塗布液供給量についても説明を加える。
【0042】
本発明において、「塗布液」とは、写真乳剤液としてゼラチン水溶液中にハロゲン化銀を分散せしめたもの、磁気記録紙用塗布液として水あるいは有機溶剤中に磁性体粒子を分散せしめたもの、感熱記録紙用塗布液として発色剤と顕色剤を分散せしめたもの、感圧記録紙用塗布液として発色剤あるいは顕色剤を含むマイクロカプセルを分散せしめたもの、インクジェット記録紙用塗布液、顔料塗被紙用塗布液として無機あるいは有機顔料を分散せしめたものなどであり、これらに挙げられる塗布液の固形分濃度などとは関係なく、カーテン塗布を行うことが可能な塗布液であれば、制限なく用いることができるが、塗布液の粘度についてはB型粘度が10〜300cpsの範囲の塗布液が好ましい。
【0043】
本発明に用いられるウェブとしては、一般に使用される上質紙、中質紙、更級、マシンコート紙、アート紙、キャストコート紙、合成紙、レジンコーテッド紙、プラスティックフィルム、金居板、ゴム板、天然あるいは合成繊維で織られた布などを挙げることができる。
【0044】
【実施例】
以下、本発明をより一層明瞭とするために実施例を挙げて説明する。なお、実施例中の部数は、全て重量部を示し、特に断りのない限り、濃度は固形分の重量%、塗布量は、乾燥後の塗布量を示す。
【0045】
実施例、参考例および比較例に用いられる感圧記録紙用塗布液については、以下のとおり作製した。
<マイクロカプセル分散液>
クリスタルバイオレットラクトン(CVL)5部を溶解した200部の高沸点油(具羽化学社製、KMC−113)を5%スチレン無水マレイン酸共重合体水溶液(pH5.O)250部に添加し、平均粒子径を6μmとなるように乳化した。
【0046】
次に、40%メラミン−ホルマリン初期縮合物水溶液(住友化学社製、スミレッツレジン)20部を上記乳化剤に加えて温度を75℃とし、2時間反応させた後、20%水酸化ナトリウム水溶液でpH9.Oとして室温まで冷却し、40%のマイクロカプセル分散液を得た。
【0047】
<塗布液>
上記のようにして得られたマイクロカプセル分散液を下記の配合に、さらに水を加え、固形分濃度33%に調整して感圧記録紙用塗布液を作製した。
40%マイクロカプセル分散液 100部
小麦澱粉(平均粒子径20μm) 50部
48%カルボキシ変性スチレンブタジエン共重合体ラテックス 20部
【0048】
参考例1
上記図1で示したカーテン塗布装置を用いて感圧記録紙を製造した。コーターヘッドから落下するカーテン膜がウェブと衝突する地点を基準として、これよりも上流側20mmの位置に遮蔽部材を設置、さらに上流側の30mmの位置にエアジェット噴射装置を設置して上流側方向にエアを噴射できるようにした。ウェブとして坪量40g/m2の上質紙を用い、予めその上流側に設けたブレードコーターにより水塗りし、オンラインでエクストルージョン型カーテン塗布装置を用いて塗布速度1000m/分および1500m/分の2つの条件で感圧記録紙用塗布液を塗布量3.5g/m2となるように塗布し、塗布長さ100000mの感圧記録紙を製造した。
【0049】
参考例2
上記図2で示したカーテン塗布装置を用いて感圧記録紙を製造した。図2で説明したように、遮蔽部材の下部よりエアジェット噴射装置の位置近傍までの長さを有する抑制部材を接合した。このようにした以外は参考例1と同様にして参考例2の感圧記録紙を製造した。
【0050】
実施例
上記図3で示したカーテン塗布装置を用いて感圧記録紙を製造した。図3で説明したように、遮蔽部材、抑制部材、隔壁部材とを一体化した閉空間の構造からなるものであり、この閉空間には、遮蔽部材から30mmの位置にエアジェット噴射装置、さらに上流側40mmの位置にエア吸引装置を設置した。閉空間内はエア吸引装置により−150mmAqの負圧条件で吸引を行った。このようにした以外は参考例1と同様にして実施例の感圧記録紙を製造した。
【0051】
実施例
上記図4で示したカーテン塗布装置を用いて感圧記録紙を製造した。図4で説明したように、図3のカーテン塗布装置に加えてエアジェット噴射装置とエア吸引装置のエア配管部を接続した循環系構造とし、エア吸引装置により吸引されたエアをエアジェット噴射装置のエア供給源とした。なお、負圧条件については、実施例と同様とした。このようにした以外は参考例1と同様にして実施例の感圧記録紙を製造した。
【0052】
比較例1
上記図5で示したカーテン塗布装置を用いて感圧記録紙を製造した。図5で説明したように、コーターヘッドから落下するカーテン膜がウェブと衝突する地点を基準として、これよりも上流側20mmの位置に遮蔽部材を設置し、該遮蔽部材の下部にはウェブ接触部材を設置した。このようにした以外は参考例1と同様にして比較例1の感圧記録紙を製造した。
【0053】
比較例2
比較例2では、参考例1の図1におけるエアジェット噴射装置を使用しないこと以外は、参考例1と同様にして比較例2の感圧記録紙を製造した。
【0054】
上記参考例1〜2、実施例1〜および比較例1〜2による感圧記録紙の製造に対して、下記の評価方法により評価し、その結果を下記表1に掲げた。なお、評価に当たって、感圧記録紙の製造における塗布長さ99000〜100000mまで、1000m分の塗布時点での状態を観察することとした。
【0055】
<カーテン膜>
カーテン膜の安定状態を目視観察し、次の基準で評価した。なお、許容レベルとしては○以上である。
◎:カーテン膜揺れが発生せず、非常に安定している。
○:カーテン膜揺れがほとんど確認できない程度に発生している。
△:カーテン膜揺れが僅かに発生している。
×:カーテン膜揺れが全幅にわたって間欠的に発生している。
【0056】
<塗布面>
製造した感圧記録紙の塗布面における塗布ムラや未塗布部の発生状態を目視観察し、次の基準で評価した。なお、許容レベルとしては○以上である。
◎:塗布ムラ、未塗布部ともに全く観察されない。
○:塗布ムラのみがごく僅かに観察されるが、製品として問題ない。
△:塗布ムラが僅かに観察され、製品として問題ある。
×:塗布ムラ、未塗布部ともに観察され、製品として使用不可。
【0057】
【表1】
Figure 0003848168
【0058】
評価;
上記表1から明らかなように、塗布速度が1000m/分のとき、参考例1の遮蔽部材とエアジェット噴射装置からなる参考例1以外、参考例2及び実施例1〜2では良好な結果であった。一方、比較例1では遮蔽部材にウェブ接触部材を設けているが、カーテン膜揺れを僅かに発生させ、それとともに製造された塗布面も悪かった。また、比較例2では、遮蔽部材のみ設け、エアジェット噴射装置を設置していない場合であるが、カーテン膜揺れが全幅にわたって間欠的ではあるが発生していることが観察され、それに伴って塗布面も悪影響を及ぼしていた。続いて、塗布速度1500m/分のときは、遮蔽部材、エアジェット噴射装置を設けた参考例1、遮蔽部材と抑制部材、エアジェット噴射装置を設けた参考例2ではカーテン膜揺れがほとんど観察されない程度に発生し、塗布面も塗布ムラがごく僅かに観察された。実施例およびのように閉空間を設けた場合は、いずれも良好な結果であった。一方、比較例1および2では塗布速度がさらに高速化されていることから、カーテン膜揺れ、塗布面ともに問題であった。
【0059】
参考例3〜9および比較例3〜4
上記図6で示したカーテン塗布装置を用いて感圧記録紙を製造した。図6で説明したように、遮蔽部材、抑制部材、隔壁部材、エアジェット噴射装置とを一体化した閉空間の構造からなるものであり、この閉空間には、カーテン膜から30mmの上流側位置にエアジェット噴射装置、さらに上流側40mmの位置にエア吸引装置を設置した。エアジェット噴射装置におけるエア噴射管の吹き出し孔の間隔を10mmとし、孔径2mmφの円形形状を有するものとし、走行するウェブとエア噴射管底部の間隔、および吹き出し孔からウェブに対する吹き出し角度を下記表2に示すとおりとした。また、閉空間内は、エア吸引装置により−150mmAqの負圧条件で吸引を行った。このようにした以外は参考例1と同様にして参考例3の感圧記録紙を製造した。なお、参考例9では、エア吸引装置から吹き出すエアに代えてミストとした以外は参考例6と同一条件とした。
【0060】
【表2】
Figure 0003848168
【0061】
評価
上記表2に表されているとおり、1000m/分の速度においては参考例3〜8についてはカーテン膜、塗布面共に良好であった。中でも特に良好であったのは参考例4で行ったウェブの間隔1mm、吹き出し角度が45°の状態である。比較例3と4は塗布面の荒れが若干見受けられ、カーテン膜も部分的に揺られている状態であった。1600m/分ではやはり参考例4がカーテン膜、塗布面共に良好で、他の実施例についても塗布に問題ないカーテン膜、塗布面を有している。しかし、比較例3の様に角度を上げてしまうことにより吹き出した空気がカーテン側に運ばれてしまい、カーテン膜の揺れを助長させてしまっている。また比較例3及び4は塗布面の空気同伴によるピンホールが全面に現れている。さらに、参考例9は、参考例6と同一条件であるが、エア吸引装置から吹き出すエアの代わりにミストとした場合であるが、この場合には上流側のウェブ表面に予めミストによる湿潤状態が付与されていることからカーテン膜の塗布性が参考例6の塗布面よりも良好であった。
【0062】
【発明の効果】
本発明のカーテン塗布装置は、コーターヘッドの上流側にエアジェット噴射装置と遮蔽部材、また遮蔽部材に抑制部材を接合、さらには遮蔽部材、抑制部材、隔壁部材を一体化してエア吸引装置を組み込んだ閉空間とすることで、高速塗布時におけるウェブに同伴する空気を除去し、カーテン膜を安定化させることにより、良好な品質の塗布製品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1のカーテン塗布装置における実施態様を示す概略図である。
【図2】参考例2のカーテン塗布装置における実施態様を示す概略図である。
【図3】発明のカーテン塗布装置における実施態様を示す概略図である。
【図4】発明のカーテン塗布装置における他の実施態様を示す概略図である。
【図5】従来におけるカーテン塗布装置を示す概略図である。
【図6】参考例3〜9のカーテン塗布装置における実施態様を示す概略図である。
【符号の説明】
1 コーターヘッド
2 マニホールド
3 スリット
4 リップ
5 エッジガイド
6 カーテン膜
7 受液槽
8 貯蔵タンク
9 給液ポンプ
10 ウェブ
11 ロール
12 エアジェット噴射装置
13 エア供給ポンプ
14、21 遮蔽部材
15 抑制部材
16 エア吸引装置
17 エア吸引ポンプ
18 隔壁部材
19 負圧領域
20 圧力計
22 ウェブ接触部材

Claims (1)

  1. 連続走行するウェブに塗布液を塗布するカーテン塗布装置において、カーテン膜の該ウェブへの衝突地点より上流側に位置し、上流側方向にエアを噴射するエアジェット噴射装置を設け、該衝突地点と該エアジェット噴射装置との間に該ウェブの移動によリ発生する同伴空気を該カーテン膜から遮断する遮蔽部材を設け、さらに該遮蔽部材は抑制部材と隔壁部材とで一体化された閉空間とし、かつ該閉空間内には該エアジェット噴射装置に加えてエア吸引装置を設けて負圧領域とすることを特徴とするカーテン塗布装置。
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