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JP3845047B2 - 高周波信号伝送システム - Google Patents

高周波信号伝送システム Download PDF

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JP3845047B2 JP2002237464A JP2002237464A JP3845047B2 JP 3845047 B2 JP3845047 B2 JP 3845047B2 JP 2002237464 A JP2002237464 A JP 2002237464A JP 2002237464 A JP2002237464 A JP 2002237464A JP 3845047 B2 JP3845047 B2 JP 3845047B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波信号を光伝送路を介して伝送するための高周波信号伝送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ミリ波等の高周波信号を1km程度以上伝送する場合、無線伝送路、同軸ケーブル、導波管などの伝送路を用いる技術はいずれも損失が大きく、曲げられない等の大きな課題がある。そこで、低損失で広帯域な光ファイバケーブルを利用して高周波信号を長距離伝送する技術としてRadio on Fiber (ROF)に関する研究が行なわれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般的なROFでは、伝送したいミリ波信号に従って光信号を強度変調し、光ファイバケーブルを用いて長距離伝送した後、高速フォトダイオードで光電変換することにより元のミリ波信号を取り出している。このようなシステムの性能改善の1つとしてフォトダイオードからの出力ミリ波信号の強度を大きくすることを考えた場合、強度変調は振幅変調(AM)とほぼ等価なため、以下の2つの方法が考えられる。
(1)搬送波である光の強度を大きくする。
(2)入力ミリ波信号の強度を大きくして変調指数を高める。
しかしながら、(1)の方法はフォトダイオードの飽和入力光強度によって制限され、(2)の方法は変調器の非線形歪みにより制限されるという問題点があった。
【0004】
例えば、従来技術文献1「E. Ackerman et al., "Maximum Dynamic Range Operation of a Microwave External Modulation Fiber-Optic Link", IEEE Transaction on Microwave Theory Technique, Vol. 41, No. 8, pp.1299-1306, August 1993」において、マッハ・ツェンダー型光強度変調器(以下、MZ型光強度変調器という。)を用いたROFに関して詳細な解析が行われており、3次相互変調歪みで制限され、スプリアスが無い状態のダイナミックレンジ(SFDR)を最大化するためのバイアス電圧が明らかにされている。しかしながら、上述の問題点を解決するための手段を開示していない。
【0005】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、ミリ波等の高周波信号を低損失であって、しかも従来技術に比較して信号対雑音電力比を大幅に向上して伝送することができる高周波信号伝送システムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る高周波信号伝送システムは、光信号送信機と光信号受信機とが光伝送路を介して接続されてなる高周波信号伝送システムであって、
上記光信号送信機は、
入力される光搬送波を伝送する1つの光導波路から分岐した第1と第2の光導波路を有し、入力される高周波信号に従って第2の光導波路を伝送する光搬送波を所定のバイアス電圧を用いて変調し、第1と第2の光導波路からの光信号を合成することにより上記高周波信号に従って強度変調された光信号を出力するマッハ・ツェンダ型光強度変調器と、
上記マッハ・ツェンダ型光強度変調器から出力される強度変調された光信号のうち光搬送波と一方の第1側波帯を帯域ろ波して上記光伝送路に出力する光ろ波手段とを備え、
上記光信号受信機は、
上記光伝送路を介して受信される光信号を所定の正の増幅度で増幅して出力する光増幅手段と、
上記光増幅手段から出力される光信号を高周波信号に光電変換して出力する光電変換手段とを備え、
上記マッハ・ツェンダ型光強度変調器のバイアス電圧を、上記光増幅手段から出力される光搬送波と第1側波帯の電力比が実質的に1となるように調整したことを特徴とする。
【0007】
上記高周波信号伝送システムにおいて、好ましくは、上記マッハ・ツェンダ型光強度変調器に入力される高周波信号は入力されるデータ信号に従って変調されたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。
【0009】
図1は、本発明に係る一実施形態である高周波信号伝送システムの構成を示すブロック図である。本実施形態に係る高周波信号伝送システムは、光信号送信機100と光信号受信機200とが光伝送路である光ファイバケーブル300を介して接続されてなり、特に、従来技術に比較して、光信号送信機10において光バンドパスフィルタ5を備え、光信号受信機200において光アンプ31を備え、MZ型光強度変調器10のバイアス電圧を、光アンプ31から出力される光搬送波と第1側波帯の電力比が実質的に1となるように調整したことを特徴としている。すなわち、従来技術文献1においては、光バンドパスフィルタ5や光アンプ31を用いて2つの光信号のみとする変調方式や、フォトダイオード32への入力光電力が制限されている条件下で高周波信号出力を最大化する方法については検討されていないが、本実施形態では、図1の構成を用いることにより、フォトダイオード32から出力される高周波信号の信号電力を最大化することができ、ミリ波等の高周波信号を低損失で、従来技術に比較して信号対雑音電力比を大幅に向上して伝送することができる。
【0010】
ところで、従来のROFの場合、フォトダイオードは光強度に比例する高周波電流を出力する包絡線検波器として用いられているが、原理的には(光強度)=(光電界の2乗)に比例した高周波電流を出力する2乗検波器である。そこで、一旦強度変調方式から離れて、フォトダイオードへの入力光強度が制限されている場合に出力の高周波電流が最大となる変調方式を考えると、強度が等しく差周波数が伝送したい入力ミリ波信号となっている2つの光信号のみを伝送する、ということになる。またこの変調方式では、3つの光信号以上を伝送する場合に比べて、光ファイバケーブルの分散によるフェージングの影響を受けない、占有帯域幅が狭いため波長多重伝送時の多重数を多くできる、という利点もある。
【0011】
本実施形態は、発明者らが着目した上記の変調方式を用いることにより、従来の強度変調方式に比べて、フォトダイオードの入力光強度及び変調器への入力信号強度が制限されている条件下であっても、より大きな出力高周波電流を得ることができるROFを用いた高周波信号伝送システムの構成を提供するものである。
【0012】
次いで、図1を参照して、本実施形態に係る高周波信号伝送システムの構成について説明する。
【0013】
図1において、レーザ光源1は、光搬送波を供給するために安定な単一モードで発振しており、温度制御された、例えばDFB型レーザ光源などを用いる。レーザ光源1により発生された光搬送波は、MZ型光強度変調器10の光導波路14に入射される。
【0014】
MZ型光強度変調器10においては、LiNbO基板20上に光導波路11,12,14,15、光分配器16及び光合成器17が形成されるとともに、光導波路11に対して電界を印加することができるように1対の電極ライン13aが光導波路11に近接して形成されるとともに、光導波路12に対して電界を印加することができるように1対の電極ライン13bが光導波路12に近接して形成される。レーザ光源1からの光搬送波は光導波路14を介して光分配器16に入射し、光分配器16により2分配され、一方の光搬送波は光導波路11を介して光合成器17に出力される一方、他方の光搬送波は光導波路12を介して光合成器17に出力される。光合成器17は入力される2つの光搬送波を合成して光導波路15を介して光バンドパスフィルタ5に出力する。
【0015】
ここで、電極ライン13aには可変バイアス電圧源4が接続される。また、電極ライン13bの一端には同軸ケーブル6を介して変調器3が接続され、その他端には終端用抵抗7が接続される。なお、各電極ライン13a,13bの一方のラインは接地されている。高周波信号発生器2からの高周波信号は、変調器3により入力されるデータ信号に従って、例えばQPSKなどの所定のデジタル変調され、変調された高周波信号は上記電極ライン13bに出力される。
【0016】
従って、当該MZ型光強度変調器10の電気光学効果により、光導波路11を伝搬する光搬送波は可変バイアス電圧源4によるバイアス電圧に比例した一定の位相変化を受けた後、光合成器17に出力される一方、光導波路12を伝搬する光搬送波は変調器3から出力される高周波信号の電圧に比例した位相変化で位相変調された後、光合成器17に出力され、光合成器17では位相が変化した2つの光搬送波が合成されることで、光強度変調されることになる。
【0017】
図2は図1のMZ型光強度変調器10の入出力特性の一例を示すグラフである。MZ型光強度変調器10は、図2に示すように、入力されるバイアス電圧に対して出力光強度が正弦波状に変化するという入出力特性を有する。なお、MZ型光強度変調器10は伝送したい高周波信号で変調可能な周波数特性を備えている必要があり、例えば、電極ライン13bのインピーダンスが外部回路と整合するとともに、そこを伝搬する変調信号の速度と光導波路12中を伝搬する光波の速度も整合した進行波型のものなどを用いる。このMZ型光強度変調器10への入力信号として、伝送したい高周波信号とバイアス電圧を与えるが、バイアス電圧は、一般的に用いられる入力信号電圧に比例した出力光強度変化が最大となる点(図2のV0)ではなく、以下に説明するような値に設定する。
【0018】
図3に示すように、光導波路12では、入力される高周波信号による位相変調のために、光搬送波周波数fcの光搬送波50の上下に多数の変調側波帯(51a−53a及び51b−53bなど)が生じる。なお、図3乃至図7の光スペクトラム図では、光周波数領域の周波数fを横軸にとり、それと互いに直交するI軸とQ軸のIQ平面内での長さにより、各スペクトラムの振幅を、I軸からの角度により各スペクトル間の相対位相を表している。
【0019】
一方、図4に示すように、光導波路11では、光搬送波60はバイアス電圧により所定の遅延位相φで遅延され、遅延後の光搬送波60aが変調されることなく出力される。これらの2つの光信号を合成すると、同じ波長である光搬送波は、バイアス電圧で決まる位相差で干渉して強度が変化するが、変調側波帯は変化しない。
【0020】
そこで、光合成器17の出力端において、本実施形態では、図5に示すように、光搬送波70の強度が第1側波帯71aの強度と同一になるようにバイアス電圧を調節する。MZ型光強度変調器10では、多数の変調側波帯(71a−73a及び71b−73bなど)が生じるが、図6に示すように、光バンドパスフィルタ5により光搬送波70と第1上側波帯71aのみ(あるいは、第1下側波帯71bのみであってもよい。)を通過させ、他の変調側波帯を除去する。
【0021】
次いで、光バンドパスフィルタ5からの光信号を光ファイバケーブル300で長距離伝送した後、図7に示すように、光信号受信機200内の光アンプ31により、フォトダイオード32の飽和光入力近傍まで所定の正の増幅度で増幅する。さらに、増幅後の光信号は、フォトダイオード32に入射されて光電変換され、光電変換された後の高周波信号は復調器23に入力され、データ信号が復調されて出力される。なお、フォトダイオード32は入力光電界の2乗に比例した電流として、直流電流及び光バンドパスフィルタ31で選択した光搬送波と第1上側波帯の積、すなわち入力した高周波信号に比例した電流を出力する。
【0022】
【実施例】
図8は、図1の高周波信号伝送システムの実験結果であって、MZ型光強度変調器10のバイアス電圧に対する、光アンプ31の出力端子における光搬送波に対する第1上側波帯の電力比、及びフォトダイオード32の出力端子における高周波出力電力を示すグラフである。
【0023】
図8の実験では、フォトダイオード32への入力光強度を−6dBmの一定値に保ち、MZ型光強度変調器10のバイアス電圧を変化させながら、第1上側波帯と光搬送波の強度比と、フォトダイオード32からの出力高周波信号強度を測定した。入力した高周波信号は35GHzである。図8から明かなように、強度比が0dB、すなわち1のとき出力高周波強度が最大となっていること、MZ型光強度変調器10の出力端で基本波成分が最大となる通常のバイアス点を用いた場合に比べて17dBもの改善量が得られていること、がわかる。これは通常のバイアス点(V0)では光搬送波強度が強く、フォトダイオード32の飽和のために光アンプの利得を高く設定できないためである。
【0024】
以上説明したように、本実施形態に係る高周波信号伝送システムでは、MZ型光強度変調器10のバイアス電圧を、光アンプ31から出力される光搬送波と第1側波帯の電力比が実質的に1となるように調整したことにより、フォトダイオード32から出力される高周波信号の信号レベルを実質的に最大にすることができる。これにより、ミリ波等の高周波信号を低損失で、従来技術に比較して信号対雑音電力比を大幅に向上して伝送することができる。
【0025】
以上の実施形態においては、可変バイアス電圧源4を電極ライン13aに接続しているが、本発明はこれに限らず、電極ライン13bに接続してもよい。この場合、電極ライン13aを省略でき、装置構成が簡単になる。
【0026】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明に係る高周波信号伝送システムによれば、光信号送信機と光信号受信機とが光伝送路を介して接続されてなる高周波信号伝送システムであって、上記光信号送信機は、入力される光搬送波を伝送する1つの光導波路から分岐した第1と第2の光導波路を有し、入力される高周波信号に従って第2の光導波路を伝送する光搬送波を所定のバイアス電圧を用いて変調し、第1と第2の光導波路からの光信号を合成することにより上記高周波信号に従って強度変調された光信号を出力するマッハ・ツェンダ型光強度変調器と、上記マッハ・ツェンダ型光強度変調器から出力される強度変調された光信号のうち光搬送波と一方の第1側波帯を帯域ろ波して上記光伝送路に出力する光ろ波手段とを備え、上記光信号受信機は、上記光伝送路を介して受信される光信号を所定の正の増幅度で増幅して出力する光増幅手段と、上記光増幅手段から出力される光信号を高周波信号に光電変換して出力する光電変換手段とを備え、上記マッハ・ツェンダ型光強度変調器のバイアス電圧を、上記光増幅手段から出力される光搬送波と第1側波帯の電力比が実質的に1となるように調整する。従って、ミリ波等の高周波信号を低損失で、従来技術に比較して信号対雑音電力比を大幅に向上して伝送することができる。
【0027】
上記高周波信号伝送システムにおいて、好ましくは、上記マッハ・ツェンダ型光強度変調器に入力される高周波信号は入力されるデータ信号に従って変調される。従って、データ信号に従って変調された、ミリ波等の高周波信号を低損失で、従来技術に比較して信号対雑音電力比を大幅に向上して伝送することができる。また、データ信号をエラーフリーで伝送できる距離を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る一実施形態である高周波信号伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図2】 図1のマッハ・ツェンダー型光強度変調器(MZ型光強度変調器)の入出力特性の一例を示すグラフである。
【図3】 図1の光導波路12から出力される光信号のスペクトルをIQ平面で示すスペクトル図である。
【図4】 図1の光導波路11から出力される光信号のスペクトルをIQ平面で示すスペクトル図である。
【図5】 図1の光合成器17から出力される光信号のスペクトルをIQ平面で示すスペクトル図である。
【図6】 図1の光バンドパスフィルタ5から出力される光信号のスペクトルをIQ平面で示すスペクトル図である。
【図7】 図1の光アンプ31から出力される光信号のスペクトルをIQ平面で示すスペクトル図である。
【図8】 図1の高周波信号伝送システムの実験結果であって、MZ型光強度変調器10のバイアス電圧に対する、光アンプ31の出力端子における光搬送波に対する第1上側波帯の電力比、及びフォトダイオード32の出力端子における高周波出力電力を示すグラフである。
【符号の説明】
1…レーザ光源、
2…高周波信号発生器、
3…変調器、
4…可変バイアス電圧源、
5…光バンドパスフィルタ、
6…同軸ケーブル、
7…終端用抵抗、
10…マッハ・ツェンダー型光強度変調器(MZ型光強度変調器)、
11、12,14,15…光導波路、
13a,13b…1対の電極ライン、
16…光分配器、
17…光合成器、
20…LiNbO基板
31…光アンプ、
32…フォトダイオード、
33…復調器、
100…光信号送信機、
200…光信号受信機、
300…光ファイバケーブル。

Claims (2)

  1. 光信号送信機と光信号受信機とが光伝送路を介して接続されてなる高周波信号伝送システムであって、
    上記光信号送信機は、
    入力される光搬送波を伝送する1つの光導波路から分岐した第1と第2の光導波路を有し、入力される高周波信号に従って第2の光導波路を伝送する光搬送波を所定のバイアス電圧を用いて変調し、第1と第2の光導波路からの光信号を合成することにより上記高周波信号に従って強度変調された光信号を出力するマッハ・ツェンダ型光強度変調器と、
    上記マッハ・ツェンダ型光強度変調器から出力される強度変調された光信号のうち光搬送波と一方の第1側波帯を帯域ろ波して上記光伝送路に出力する光ろ波手段とを備え、
    上記光信号受信機は、
    上記光伝送路を介して受信される光信号を所定の正の増幅度で増幅して出力する光増幅手段と、
    上記光増幅手段から出力される光信号を高周波信号に光電変換して出力する光電変換手段とを備え、
    上記マッハ・ツェンダ型光強度変調器のバイアス電圧を、上記光増幅手段から出力される光搬送波と第1側波帯の電力比が実質的に1となるように調整することにより、上記光信号受信機の光電変換手段への入力信号強度が制限されている条件下であっても、上記電力比が実質的に1となる以外のときに比較して上記高周波信号の損失を低減しかつ信号対雑音電力比を増大させることを特徴とする高周波信号伝送システム。
  2. 上記マッハ・ツェンダ型光強度変調器に入力される高周波信号は入力されるデータ信号に従って変調されたことを特徴とする請求項1記載の高周波信号伝送システム。
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