JP3844996B2 - 反復性pcr産物の融解曲線解析方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、核酸ハイブリダイゼーション技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
分子生物学分野において、ハイブリダイゼーション技術がよく知られている。かかるハイブリダイゼーション技術によれば、特異的なハイブリダイゼーションプローブが使用できる場合、特異的な配列の検出が可能になる。通常、前記ハイブリダイゼーションプローブは、検出可能な部分、例えば、放射活性標識、蛍光標識などにより標識される。
【0003】
また、ポリメラーゼ チェーン リアクション(PCR)は、核酸の解析のための強力で、かつ広く行きわたった技術となっている。PCRの原理は、米国特許第4,683,195号明細書及び米国特許第4,683,102号明細書〔ムリス(Mullis)ら〕に開示されている。PCRにおける主要な改良点は、オンライン検出によりPCR時の反応のカイネティックスを測定する可能性から得られる。これは、蛍光モニターを介してアンプリコンを検出することにより、可能になっている。
【0004】
一方、増幅反応の間にすでに存在する好適な蛍光標識ハイブリダイゼーションプローブは、ついで、温度依存融解曲線解析を行なうために、反応容器を考えない均一系アッセイ(homogenous assay)に用いられうる。かかる解析のために、試料の温度を連続的に上昇させ、(増幅された)標的核酸とハイブリダイゼーションプローブとの間の先に生じたハイブリッド複合体が、解離する正確な融解温度を測定する。かかるアプローチは、1塩基多型により他と異なるにすぎない標的分子間の融解温度の差異を検出するために用いられうる。すなわち、融解曲線解析は、点変異の検出又は同定にも用いられうる。
【0005】
かかる技術の例示は、国際公開第97/46707号パンフレット、国際公開第97/46712号パンフレット及び国際公開第97/46714号パンフレット〔ウィットワー(Wittwer)ら〕に詳細に開示されており、その教示は、参照により本明細書に取り込まれる。
【0006】
つづく融解曲線解析に際する、PCR増幅産物の生成又は変異の同定を連続的にモニターしうる、標的依存蛍光シグナルの発生に基づくいくつかの検出様式が開示されている〔ウィットワー(Wittwer)ら、Biotechniques、第22巻、第1号、130−138、(1997)に概説されている〕。これらの検出様式としては、特に限定されないが、a)ハイブリダイゼーションにおける蛍光共鳴エネルギー転移の増加に基づく検出様式、及びb)分子ビーコンに基づく検出様式などが挙げられる。
【0007】
前記a)の検出様式において、増幅産物の一方の鎖の隣接するがオーバーラップしていない領域にハイブリダイズしうる、蛍光部分で標識された2種のオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブが用いられる。好ましくは、一方のオリゴヌクレオチドの5’末端を標識し、もう一方のオリゴヌクレオチドの3’末端を標識する。標的DNAにハイブリダイズする場合、2つの蛍光標識を、2つの蛍光部分の間の蛍光共鳴エネルギー転移が起こりうるように、近接に接触させる。結果として、ハイブリダイゼーションは、ドナー部分の励起、ついで別のアクセプター部分の蛍光発光の測定を介してモニターされうる(国際公開第97/46714号パンフレット)。
【0008】
同様の態様として、特異的FRETペアとしても働くであろう1つの適切に標識されたプライマーとともに、1つの蛍光標識プローブのみが用いられる〔バーナード(Bernard)ら、Anal.Biochem.,235,101−107(1998)〕。
【0009】
前記b)の検出様式において、分子ビーコンオリゴヌクレオチドを、分子の2次構造により互いに近接している蛍光化合物と消光化合物とで標識する。標的DNAへの結合に際して、分子内水素結合が破壊され、プローブの一方の末端に結合した蛍光化合物が、該プローブの反対側の末端に結合した消光化合物から分離される〔リザーディ(Lizardi)ら、米国特許第5,118,801号明細書〕。
【0010】
しかしながら、本発明がなされる前、反復配列における配列反復の数の定量を可能にする使用可能な均一系(homogenous)の検出様式はなかった。それでもなお、かかる反復数の解析は、例えば、マイクロサテライト解析の分野において、重要である。
【0011】
マイクロサテライト(MIS)は、全ヒトゲノムに散在する短い縦列配列である。マイクロサテライトは、統計的に、100,000塩基対毎に約1回見出される。現在までに、モノヌクレオチドリピート、ジヌクレオチドリピート、トリヌクレオチドリピート、テトラヌクレオチドリピート、又はペンタヌクレオチドリピートとしてその最も短い反復単位の長さで他と異なる5クラスのMISが、述べられている。通常、これらの反復単位は、縦列配列において、10〜40回繰り返して起こる。同じ個体の正常DNAと腫瘍材料由来のDNAとを比較した場合、多くの腫瘍患者において、小さい欠失又は挿入の形でのマイクロサテライト不安定性(MIN)が検出されうる〔チボドー(Thibodeau)ら、Science,260,816−819(1993);国際公開第94/19492号パンフレット〕。これは、PCRによりDNAを増幅し、ついで、ゲル電気泳動により、増幅産物を分離することにより、達成される。腫瘍細胞の永続的な複製の欠損は、MINの原因であると見なされる〔パーソンズ(Parsons)ら、Cell、75、1227−1236(1993);シバタ(Shibata)ら、Nat.Genet.,6,273−281(1994)〕。かかる腫瘍は、『複製エラー陽性』(RER+)として分類される。RER+表現形質は、HNPCC(遺伝性非ポリープ性結腸癌;hereditary non−polyposis colon cancer)のファミリーの結腸直腸癌に特有である〔アールトネン(Aaltonen)ら、Science,260,812−816(1993)〕。
【0012】
マイクロサテライトの解析は、診断用途のため及びRER+腫瘍の腫瘍発生の判定のための非常に興味深い方法である。シークエンスする前に、MINの決定を行なうことは簡単であるため、HNPCCファミリーのミスマッチ修復遺伝子は、潜在的なRER+患者を同定するに適した助けである。また、MINの発生は、よりよい予後に関連するため、MIN解析は、散発性結腸癌の予後診断に重要である〔ローテ(Lothe)ら、Cancer Res.,53,5849−5852(1993);チボドー(Thibodeau)ら、Science,260,816−819(1993);バッブ(Bubb)ら、Oncogene,12,2641−2649(1996)〕。
【0013】
MINは、散発性結腸癌においては、10〜20%の頻度で生じるに過ぎない〔チボドー(Thibodeau)ら、Science,260,816−819(1993);イオノフ(Ionov)ら,Nature,363,558−561(1993);アールトネン(Aaltonen)ら、Science,260,812−816(1993);ローテ(Lothe)ら、CancerRes.,53,5849−5852(1993)〕が、全HNPCC腫瘍の90%を超える症例において、検出されうる〔リウ(Liu)ら、NatureMed.,2,169−174(1996)〕。しかしながら、MINは、結腸癌に限定されず、他の癌においても検出されており、特に、膵臓癌〔ハン(Han)ら,Cancer Res.,53,5087−5089(1993)〕、胃癌〔ハン(Han)ら,Cancer Res.,53,5087−5089(1993);ペルトマキ(Peltomaki)ら,Cancer Res.,53,5853−5855(1993);ミロノフ(Mironov)ら,Cancer Res.,54,41−44(1994);リュウ(Rhyu)ら,Oncogene,9,29−32(1994);チョン(Chong)ら,Cancer Res.,54,4595−4597(1994)〕、精巣癌〔ガオ(Gao)ら,Oncogene,9,2999−3003(1994)〕、子宮内膜腫〔ライジンジャー(Risinger)ら,Cancer Res.,53,5100−5103(1993);ペルトマキ(Peltomaki)ら,Cancer Res.,53,5853−5855(1993)〕、乳癌〔ペーテル(Patel)ら,Oncogene,9,3695−3700(1994)〕などが挙げられる。
【0014】
従来、マイクロサテライトの解析は、増幅産物の大きさを検出し、それにより反復構造の長さについての情報を得るために、いかなる場合のゲル電気泳動による断片分離にも時間がかかっていた。
【0015】
したがって、当該技術分野において、断片分離することなく、反復構造の長さを解析する方法を提供することが望まれている。かかる方法は、迅速かつ簡便に行ないうることが要求されている。また、かかる方法が、原理的に自動化されうる場合、有利である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、断片分離することなく、反復構造の長さを解析する方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、断片分離することなく、迅速かつ簡便に、反復構造の長さを解析する方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、試料中に存在する反復配列の数を、融解温度解析により決定する方法に関する。即ち、本発明は、
〔1〕 a)(1)非反復領域に相補的な第1のセグメントと、隣接反復領域に相補的であり、かつ定められた数の反復(n反復)からなる第2のセグメントとからなる1種の、100ヌクレオチド以下のポリヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブと、(2)試料中の標的核酸とのハイブリダイゼーションを行なうステップ;及び
b)該標的核酸と前記ハイブリダイゼーションプローブとの間で形成されたハイブリッドの融解点温度を決定するステップ
を含む、0〜n間の数の反復をもつ反復配列と非反復配列とからなる標的核酸の解析方法、
〔2〕 a)(1)非反復領域に相補的な第1のセグメントと、隣接反復領域に相補的であり、かつ定められた数の反復(n反復)からなる第2のセグメントとからなる1種の、100ヌクレオチド以下のポリヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブと、(2)試料中の標的核酸とのハイブリダイゼーションを行なうステップ、
b)ステップa)と同じポリヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブと、参照試料における標的核酸とをハイブリダイズさせるステップ、
c)試料と参照試料とにおいて、標的核酸と前記ハイブリダイゼーションプローブとの間で形成されたハイブリッドの融解点温度を決定するステップ、並びに
d)試料における標的核酸と参照試料における標的核酸との間の反復数の差異の基準として、前記の2つの融解点温度の差異を決定するステップ
を含む、試料中における、0〜n間の数の反復をもつ反復配列と非反復配列とからなる標的核酸の解析方法、
〔3〕 マイクロサテライトの解析のための、前記〔1〕又は〔2〕記載の方法の使用
に関する。
【0018】
したがって、第1の概念において、本発明は、a)▲1▼非反復領域に相補的な第1セグメントと、隣接反復領域に相補的であり、かつ定められた数の反復からなる第2セグメントとを含有した少なくとも1種のポリヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブと、
▲2▼試料中の標的核酸と
のハイブリダイゼーションを行なうステップ、及び
b)標的核酸と該少なくとも1種のハイブリダイゼーションプローブとの間に形成されたハイブリッドの融解点温度を決定するステップ
を含む、反復配列と非反復配列とからなる標的核酸の解析方法に関する。
【0019】
本発明によれば、融解点温度は、標的核酸に存在する反復の数に相関しうる。
【0020】
通常、決定された融解温度値と、参照核酸について得られた融解温度値とを比較することが有利である。したがって、本発明は、
a)▲1▼非反復領域に相補的な第1セグメントと、隣接反復領域に相補的であり、かつ定められた数の反復からなる第2セグメントとを含有した少なくとも1種のポリヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブと、
▲2▼試料中の標的核酸と
のハイブリダイゼーションを行なうステップ、
b)ステップa)と同じポリヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブと、参照試料における標的核酸とをハイブリダイズさせるステップ、
c)試料と参照試料とにおいて、標的核酸と少なくとも1種のハイブリダイゼーションプローブとの間で形成されたハイブリッドの融解点温度を決定するステップ、並びに
d)試料における標的核酸と参照試料における標的核酸との間の反復数の差異の基準として、前記試料及び参照試料のそれぞれにおける融解点温度の差異を決定するステップ
を含む、試料中における反復配列と非反復配列とからなる標的核酸の解析方法に関する。
【0021】
感度を増加させるために、ハイブリダイゼーション前に、標的核酸を増幅する場合、有利であることがわかっている。増幅は、例えば、ポリメラーゼチェーンリアクションにより、容易に達成されうる。
【0022】
通常、少なくとも1種のハイブリダイゼーションプローブが標識される。ここで、標識は、好ましくはフルオロフォア(fluorophore)である。よりさらに好ましい態様において、FRET/Hybprobeによる検出原理が行なわれる。この場合において、両方のプローブが標的核酸にハイブリダイズされる場合、蛍光共鳴エネルギー転移(Flourescence Resonance Energy Transfer)が起こりうるような異なるフルオロフォアで標識された隣接的にハイブリダイズする2つのプローブを用いて、ハイブリダイゼーションを行なう。
【0023】
新規な方法が、反復配列における反復構造の数が決定される必要がある多くの異なる実験計画に応用できる。
【0024】
結果として、本発明の特定の概念は、マイクロサテライト、特にマイクロサテライト不安定性(Microsatellite Instability;MIN)の新規な解析方法の応用に関する。かかる解析は、遺伝性の腫瘍、特に、HNPCCミスマッチ修復遺伝子の欠損により引き起こされる結腸癌を検出するために、よく応用されうる。
【0025】
同様に、本発明の他の概念は、例えば、法医学問題の解決のために、本発明の新規な方法の、集団における個体の同定のための使用に焦点があてられる。
【0026】
さらなる概念において、さらに、本発明は、非反復領域に相補的な第1セグメントと、隣接反復領域に相補的であり、かつ定められた数の反復からなる第2セグメントとを含有した各ポリヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブに関する。本発明の特定の態様において、プローブに存在する反復の数は、野生型の標的配列における反復の数と同一である。特定の野生型がない場合、プローブ内の反復の数は、調査対象の反復遺伝子座に見出される反復の最大数と好ましくは同一である。
【0027】
さらに、本発明は、かかるハイブリダイゼーションプローブの非反復セグメントが、3−10ヌクレオチド長、よりさらに好ましくは、3、4、5又は6ヌクレオチド長である場合、おおいに有利であることがわかっている。
【0028】
他の概念において、本発明は、第1のプローブが、非反復性配列からなり、第2のプローブが、非反復性領域と、隣接反復領域に相補的であり、かつ定められた数の反復からなる第2のセグメントとを含有する、FRETハイブリダイゼーションプローブのペアに関する。
【0029】
さらなる概念において、本発明は、上記に開示されたプローブ特性に従ったBAT26の解析のための配列番号:4の配列を有する特異的ポリヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブ及びBAT25の解析のための配列番号:7の配列を有する特異的ポリヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブに関する。
【0030】
すなわち、本発明は、
〔1〕 a)▲1▼非反復領域に相補的な第1のセグメントと、隣接反復領域に相補的であり、かつ定められた数の反復からなる第2のセグメントとを含有した少なくとも1種のポリヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブと、▲2▼試料中の標的核酸と
のハイブリダイゼーションを行なうステップ;及び
b)該標的核酸と該少なくとも1種のハイブリダイゼーションプローブとの間で形成されたハイブリッドの融解点温度を決定するステップ
を含む、反復配列と非反復配列とからなる標的核酸の解析方法、
〔2〕 融解点温度が、標的核酸に存在する反復の数と相関する、前記〔1〕記載の方法、
〔3〕 a)▲1▼非反復領域に相補的な第1のセグメントと、隣接反復領域に相補的であり、かつ定められた数の反復からなる第2のセグメントとを含有した少なくとも1種のポリヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブと、▲2▼試料中の標的核酸と
のハイブリダイゼーションを行なうステップ、
b)ステップa)と同じポリヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブと、参照試料における標的核酸とをハイブリダイズさせるステップ、
c)試料と参照試料とにおいて、標的核酸と少なくとも1種のハイブリダイゼーションプローブとの間で形成されたハイブリッドの融解点温度を決定するステップ、並びに
d)試料における標的核酸と参照試料における標的核酸との間の反復数の差異の基準として、前記の2つの融解点温度の差異を決定するステップ
を含む、試料中における反復配列と非反復配列とからなる標的核酸の解析方法、〔4〕 ハイブリダイゼーション前に、標的核酸を増幅する、前記〔1〕〜〔3〕いずれか1項に記載の方法、
〔5〕 少なくとも1種のハイブリダイゼーションプローブが、標識されたプローブであり、標識が、好ましくは、フルオロフォアである、前記〔1〕〜〔4〕いずれか1項に記載の方法、
〔6〕 異なるフルオロフォアでそれぞれ標識された2種の隣接してハイブリダイズするプローブを用いて、ハイブリダイゼーションを行ない、ここで、両方のプローブが標的核酸にハイブリダイズされる場合、蛍光共鳴エネルギー転移が起こりうる、前記〔5〕記載の方法、
〔7〕 非反復領域と、隣接反復領域に相補的な第2のセグメントとを含有したプローブのフルオロフォアが、プローブの非反復領域に結合されたものである、前記〔6〕記載の方法、
〔8〕 マイクロサテライト、特にマイクロサテライト不安定性の解析のための、前記〔1〕〜〔7〕いずれか1項に記載の方法の使用、
〔9〕 遺伝性腫瘍の検出の手段としての、前記〔8〕記載の使用、
〔10〕 集団における個体の同定のための、前記〔1〕〜〔7〕いずれか1項に記載の方法の使用、
〔11〕 非反復領域に相補的な第1のセグメントと、隣接反復領域に相補的であり、かつ定められた数の反復からなる第2のセグメントとを含有してなるポリヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブ、
〔12〕 反復の数が、野生型の標的配列の反復の数と同一又は特定の反復遺伝子座に存在する反復の最大数と同一である、前記〔11〕記載のハイブリダイゼーションプローブ、
〔13〕 非反復セグメントの長さが、3〜10ヌクレオチド長、好ましくは、4〜6ヌクレオチド長である、前記〔11〕又は〔12〕記載のハイブリダイゼーションプローブ、
〔14〕 第1のプローブが、非反復領域にハイブリダイズするプローブであり、第2のプローブが、前記〔11〕〜〔13〕いずれか1項に記載のプローブである、FRETハイブリダイゼーションプローブのペア、
〔15〕 第2のプローブの標識が、該プローブの非反復領域に結合されたものである、前記〔14〕記載のFRETハイブリダイゼーションプローブのペア、並びに、
〔16〕 配列番号:4又は配列番号:7の配列を有してなる、ポリヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブ、
に関する。
【0031】
【発明の実施の形態】
本明細書において、下記用語が、さらに定義される必要がある。
【0032】
本明細書における『反復』は、DNAのより長い断片若しくは時々RNA分子においても何回も見出される短い核酸配列である。1つの反復において、ヌクレオチド塩基は、常に同じ順番で存在する。これらの反復は、ゲノムの利己的、非コード領域にしばしば見出される。多くの場合、これらの反復構造は、マイクロサテライトと称される。
【0033】
1つの反復を生じるヌクレオチドの数は、変化してもよい。モノヌクレオチド反復は、1種類のヌクレオチド塩基、すなわち、A、G、C又はTからなり、モノヌクレオチドのストレッチをもたらす。ジヌクレオチド反復は、2つのタイプのヌクレオチド塩基、例えば、CAなどからなり、交互の配列、すなわち、(CA)nのストレッチをもたらす。3ヌクレオチド反復、4ヌクレオチド反復及び5ヌクレオチド反復も、しばしば観察されている。本明細書において、n−ヌクレオチド反復は、長さn(nは、1〜10、好ましくは、1〜5、最も好ましくは、1又は2ヌクレオチドである)を有する反復を含有する反復構造であると理解される。
【0034】
反復配列は、連続した配列又は逆方向配列で存在する複数の反復を有する配列である。ある場合、反復配列は、特有の(unique)非反復配列により中断されていてもよい。また、複数のタイプの反復、とくに複数のタイプのモノヌクレオチド反復を含む反復配列が同定されている。
【0035】
ハイブリダイゼーションプローブは、標的核酸の配列と完全に同一又は厳密に相補的な配列を有するポリヌクレオチドである。なお、前記プローブが1若しくは複数のミスマッチを含む場合、該プローブが、適切なハイブリダイゼーション条件下において、分析対象物にハイブリダイズしうるものであれば、本発明の範囲に含まれる。いかなる場合においても、配列同一性又は相補性が少なくとも10個の隣接する残基の範囲にわたって100%である場合、特に有利であることがわかる。また、プローブの長さが、100ヌクレオチド以下、好ましくは40ヌクレオチド以下である場合、有利であることがわかる。
【0036】
しかしながら、特に本明細書においては、ハイブリダイゼーションプローブは、標的核酸にハイブリダイズしない5’突出部分又は3突出部分を有してもよい。すなわち、本発明は、標的核酸に存在する反復の数を検出する方法に関するので、プローブにおける反復の数が、標的核酸に予期されうる反復の最大数と同一であることを必要とする。
【0037】
ハイブリダイゼーションプローブは、ハイブリダイゼーションの結果を当該技術分野に公知の方法で検出できるように、検出可能な部分(entity)、例えば、蛍光化合物などを結合させてもよい。
【0038】
「FRETハイブリダイゼーションプローブ」は、両方のプローブが、標的分子に隣接してハイブリダイズする場合、ともにFRETペアとして働き、それにより、核酸の検出を可能する、蛍光化合物をそれぞれ保持するハイブリダイゼーションプローブのペアとして定義される。
【0039】
「ポリヌクレオチド」は、(デオキシ)−オリゴ−リボヌクレオチドだけでなく、当該技術分野に公知の全てのDNA誘導体又はRNA誘導体、例えば、メチルホスホネート;ホスホチオエート;2’−O−アルキル誘導体並びにペプチド核酸;7−デアザ−プリンなどの修飾塩基を含有したアナログなどに要約される。
【0040】
ハイブリダイゼーションプローブと標的核酸とのハイブリダイゼーション後、本発明によれば、融解点温度の決定が行なわれる。融解点温度は、標的/プローブハイブリッドの2本鎖領域のサイズに優先的に依存する。反復配列を含有するハイブリダイゼーションプローブを用いる場合、ハイブリダイゼーション温度は、標的DNAに存在する反復の数に依存し、相関しうる。
【0041】
また、融解温度は、▲1▼二本鎖領域のGC含量、▲2▼二本鎖領域内のミスマッチの有無、及び▲3▼例えば、試料の塩濃度などの比較的重要性の低い他の因子、に依存することが当該技術分野に公知であり、無視すべきではない。
【0042】
融解点温度は、通常、試料を、温度の構成的な上昇に供し、続いて、ハイブリダイゼーション複合体の一本鎖への解離を測定することにより、実験的に決定される。解離は、例えば、UV吸収のシフト、表面プラズモン共鳴、又は好ましくは蛍光などの種々の方法により、検出されうる。蛍光により検出される場合、ハイブリダイゼーションプローブは、通常、蛍光部分で標識され、蛍光シグナルの生成は、ハイブリダイゼーション複合体の形成になんらかの形で依存する。なお、本明細書において、温度の構成的な上昇とは、直線的で中断されない温度の上昇をいう。
【0043】
好ましい態様において、アッセイは、均一系の検出様式で行なわれる。例えば、標的核酸は、融解温度決定に先立ち、適切な増幅プライマーによる典型的なPCRの反応で増幅してもよい。適切なハイブリダイゼーションプローブは、既に増幅反応の際に存在する。ハイブリダイゼーションプローブは、好ましくは、適当な励起後に検出できる蛍光標識を担持する。例えば、ハイブリダイゼーションプローブは、好ましくは、分子ビーコン〔リザーディ(Lizardi)ら、米国特許第5,118,801号明細書〕又はFRET−Hybprobe様式〔国際公開第97/46714号明細書〕に従いともに働きうる蛍光標識されたオリゴヌクレオチドの対のいずれであってもよい。PCRの反応終了後、試料の温度を、構成的に上昇させる。ハイブリダイゼーションプローブが標的DNAに結合されるものであれば、蛍光が検出されうる。しかしながら、融解温度において、ハイブリダイゼーションプローブは、その標的から解離し、蛍光シグナルがバックグラウンドレベルにまで、直ちに減少する。この減少は、温度低下が観察される正確な温度値を決定しうるように、適切な温度−時間プロットでモニターされる。
【0044】
本発明のハイブリダイゼーションプローブの設計には、いくつかの前提条件が要求される。
【0045】
第1に、プローブは、該プローブの5’末端又は3’末端のいずれかに局在する非反復ハイブリダイズセグメントを含有しなければならない。非反復セグメントの長さは、特定のアッセイ条件に依存して変化してもよい。通常、標的配列にハイブリダイズする少なくとも3ヌクレオチドのセグメントが、十分であることがわかっている。かかる非反復ハイブリダイズ配列の存在は、標的配列における同一の反復の数と無関係である長所を有し、プローブは、いつも非反復領域と反復配列からなる領域との間のトランジションである標的核酸の決められた位置に正確にハイブリダイズするであろう。
【0046】
第2に、標的核酸の配列に存在する反復が伸びるプローブに存在する反復の数は、非常に重要である。より具体的には、本発明の方法に用いられたn反復を含むハイブリダイゼーションプローブは、0〜n間の数の反復を含むいくつかの標的核酸間を識別することができるであろう。対照的に、決定された融解点温度は、n反復又はnを超える数の反復を含む全ての標的核酸と等しいであろう。
【0047】
第3に、ハイブリダイゼーションプローブに存在する反復の数は、融解点温度解析に用いられうるハイブリダイゼーションプローブの長さが限定されるという事実により限定される。本明細書において、ハイブリダイゼーションプローブの全体の長さが、100ヌクレオチド以下、好ましくは、80ヌクレオチド以下、最も好ましくは、60ヌクレオチド以下である場合、有利であることがわかっている。
【0048】
図1は、一方のハイブリダイゼーションプローブを適用する場合に用いてもよい2つの異なるプローブデザインを示す。これは、いかなる不均一なアッセイ様式であってもよく、蛍光部分が、プローブの5’末端若しくは3’末端のいずれかに結合又は近接し、消光部分が、プローブの逆の末端に結合若しくは近接する、別に均一系の分子ビーコン様式を用いる場合であってもよい。
【0049】
ある場合、本発明のプローブは、内部の反復セグメントにより連結された5’末端及び3’末端の2つの非反復セグメントからなっていてさえもよい。
【0050】
プローブは、その5’末端又は3’末端における反復領域に直接に隣接して局在する、標的配列における一方の非反復(unique)領域に相補的な非反復部分を含有する。ハイブリダイゼーションプローブよりも少ない反復を含む標的分子とのハイブリダイゼーションの結果の場合、ハイブリダイゼーションプローブにおける反復の数と標的配列における反復の数とが等しい状態と比較して、プローブの一本鎖突出部分が生じ、融解温度が減少する。より一般的には、融解温度は、標的に存在する反復の数に直接依存する、すなわち、試料により多くの反復が存在すればするほど、融解温度が一層高くなる。
【0051】
図2は、3つの異なるFRET Hybprobeデザインを示すが、本発明の範囲を限定するものではない。かかるプローブデザインについて、FRETプロセスは、あるプローブが、標的分子から解離するやいなや、中断されるので、反復領域を含有する第2のプローブは、反復配列を含まないプローブの融解温度と比較して、より高い融解温度を有することが必要である。
【0052】
図2Aは、第1のハイブリダイゼーションプローブが、独占的に、解析対象の反復領域の近接に接触した上流の領域に相補的な非反復配列からなる、ハイブリダイゼーションプローブのペアを開示する。蛍光標識は、プローブの3’末端に付加される。第2のプローブは、本発明によりデザインされ、非反復配列に相補的な第1の配列と標的核酸の反復配列に相補的な第2の配列とを有する。このプローブは、その5’末端において蛍光標識を保持し、両方のプローブを標的分子にハイブリダイズする場合、第1のプローブの標識に近接して接触する。
【0053】
一方、独占的に非反復配列からなるプローブが、その5’末端に標識を保持し、反復領域の下流にハイブリダイズするが、本発明によりデザインされた第2プローブがその3’末端において標識されている態様も本発明の範囲内である。
【0054】
図2Bは、本発明のプローブデザインの別のアプローチを示す。ここで、反復配列と非反復配列との両方を含むプローブの蛍光標識は、プローブの反復セグメントに付加される。相補的なハイブリダイゼーションプローブよりも反復がより少ない標的分子とのハイブリダイゼーションの場合、融解温度が減少するように、該プローブ内にループを生じるであろう。
【0055】
また、本発明によりデザインされた2ペアのハイブリダイゼーションプローブを用いることもできる。ハイブリダイゼーションの結果に続く融解温度解析の際、2つの顕著な融解温度が観察され、ついで、標的に存在する反復の数が、両方の決定された融解温度を考慮して算出されうる。
【0056】
図2Cは、本発明の範囲内のさらなる別法を開示する。両方のプローブは、非反復領域に相補的な第1セグメントと、隣接反復領域に相補的であり、かつ定められた数の反復からなる第2セグメントとを含有する。ついで、2つの蛍光標識を2つのプローブの反復領域内に付加する。この特定の場合、両方のプローブに存在する反復の数は、共に解析対象の標的核酸に期待されるであろう反復の最大数に対応する。さらに、標的核酸に存在する反復が、より少ない場合、ハイブリダイゼーションプローブ内にループ構造が、形成され、融解温度が低下する。
【0057】
反復配列にハイブリダイズする2つのプローブが用いられるので、さらには、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブの最大長が、慣用のオリゴヌクレオチド合成化学法の能力により限定されるため、本発明の本態様は、非常に長い反復構造の解析に特に有益である。しかしながら、目的の反復遺伝子座と、それとは異なるゲノムの遺伝子座とが同じタイプの反復からなる場合、これらのプローブは、目的の反復遺伝子座とは異なるゲノムの遺伝子座に共に結合するであろうため、かかるプローブデザインは、特異性の減少をもたらすであろう。
【0058】
本発明は、反復配列の解析、特に、マイクロサテライト反復の解析のための多様な用途に適する。例えば、本発明のマイクロサテライト反復解析は、癌抑制遺伝子のゲノム不安定性の指標として、異型接合性の欠損を評価して、そうして、いくつかのタイプの腫瘍の指標とするのに適用されうる〔クヌッドソン(Knudson),Proc.Natl.Acad.Sci.,USA、90、10914−10921頁(1993)〕。
【0059】
特に、新規な発明は、ミスマッチ修復遺伝子における変異の指標であり、そのため、遺伝性非ポリープ性結腸癌(HNPCC)の指標となることが知られているマイクロサテライト不安定性〔ペルトマキ(Peltomaki)ら、Science 260,810−812頁(1993)〕の解析に応用されうる。また、例えば、小細胞肺癌などの他のタイプの癌も事前診断することができる。
【0060】
最後に、本発明は、個人認識、組織タイピング及び集団遺伝子解析を含むあらゆるタイプの集団研究及び法医学用途〔ケス(Koeth)ら、J.Path.,178,239−248頁(1996)〕に一般的に応用可能である。
【0061】
【実施例】
以下の実施例、参考文献、配列表及び図面は、本発明の理解を助けるために提供され、その本来の範囲は、添付の請求項に示される。本発明の意図を逸脱することなく、示された手順において改変が成されうることが理解される。
【0062】
実施例1 試料材料及び調製
70症例のマイクロサテライト安定性(MSS)腫瘍及び8症例のマイクロサテライト不安定MSI−H腫瘍(>=20%不安定性マーカー,高MSI)を、モノヌクレオチド反復遺伝子座BAT25及びBAT26によるLightCyclerマイクロサテライト融解点解析に用いた。これらのマーカーは、MSI検出の最も高感度なマーカーとして述べられている〔ホアン(Hoang)ら、Cancer Res.,(1997);デットマイヤー(Dietmaier)ら、Cancer Res.,(1997);クラボ(Cravo)ら,J.Pathol(1999)〕。LightCycler解析のために、ホルマリン固定パラフィン包埋組織の5μm切片から、レーザー支援ミクロディセクション〔PALM社製,バーンリエト,ドイツ〕又はマニュアルミクロディセクションにより、腫瘍組織領域及び正常組織領域をミクロディセクトした。ミクロディセクトした組織由来のDNAをHigh Pure PCR Preparation Kit(ロッシュ社製)により調製した。
【0063】
実施例2 BAT26のリアルタイムPCR
2μl DNA(50〜200ng)を、最終濃度3mM MgCl2 、各0.5μMのBAT26−Upstream増幅プライマー(配列番号:1;tga cta ctt ttg act tca gcc )及びBAT26−Downstream増幅プライマー(配列番号:2;aac cat tca aca ttt tta acc)、3’末端をフルオレセインで標識した0.15μM BAT26−ドナー−ハイブリダイゼーションプローブ(配列番号:3;gca gca gtc aga gcc ctt aac ct)、5’末端をLightCycler fluorescent dye LC−Red−640(ロシュモレキュラーバイオケミカルズ社製)で0.15μM BAT26−アクセプター−ハイブリダイゼーションプローブ(配列番号:4;tca ggt aaa aaa aaa aaa aaa aaa aaa aaa aa)及び1×LightCyclerTMDNA Master Hybridization Probes−Mix(ロシュモレキュラーバイオケミカルズ社製)をもたらす13μlの増幅混合物と混合した。
【0064】
LightCycler(ロシュモレキュラーバイオケミカルズ社製)を、続くリアルタイムPCR増幅のモニターに用いた。BAT26 PCR増幅プログラムを、95℃90秒で1回の変性ステップで開始し、シグナル検出のために、95℃/0秒−60℃/10秒−50℃/3秒の50サイクルを行ない、ついで、72℃/10秒を行なった。その後、95℃/0秒、35℃/30秒でアンプリコンをインキュベートし、連続的な管F2検出をしながら、0.2℃/秒ずつ95℃まで温度を上昇させることにより融解プロファイルを行なった。
【0065】
リアルタイムPCRによるBAT26の増幅及び検出並びに融解点解析は、125/153(82%)及び26/31(83%)ホルマリン固定パラフィン包埋組織試料のそれぞれにおいて実行可能である。BAT26融解点解析は、正常組織、血液、又はMSS腫瘍について、51−51.8℃の融解温度(Tm)を表わした(図3A)。対照的に、hMSH2タンパク質発現又はhMLH1タンパク質発現を欠損する7種のMSI−H腫瘍のそれぞれ並びに100%のMSI割合は、43〜46℃の範囲でTm値が変化することを示した(図3B)。
【0066】
実施例3 BAT25のリアルタイムPCR
示されたものを除いて、実施例2のように、増幅及び融解曲線解析を行なった。
【0067】
各0.5μMのBAT25−Upstreamプライマー(配列番号:5;tcg cct cca aga atg taa gt)及びBAT25−Downstreamプライマー(配列番号:6;tct gca ttt taa cta tgg ctc )、3’末端をフルオレセインで標識した0.15μM BAT25−ドナー−ハイブリダイゼーションプローブ(配列番号:7;caa aaa aaa aaa aaa aaa aaa aaa aat ca)、5’末端をLightCycler fluorescent dye LC−Red−705(ロシュモレキュラーバイオケミカルズ社製)で標識した0.15μM BAT25−アクセプター−ハイブリダイゼーションプローブ(配列番号:8;aac aaa aca caa aac tct tta gag aat c )を、BAT25 LightCycler増幅に用いた。
【0068】
BAT25増幅プログラムは、95℃90秒の1回の変性ステップ及びシグナル検出のための95℃/0秒−60℃/10秒の50サイクル、及び72℃/10秒を含んだ。95℃/0秒、35℃/30秒でアンプリコンをインキュベートし、連続的なF3検出をしながら0.2℃/秒ずつ95℃まで温度を上昇させることにより融解プロファイルを行なった。結果を図4に示す。BAT25の融解点解析は、正常組織及びMSS腫瘍DNAにおいて、44.5℃のTm値を示した(図4A)が、2つのMSI−H腫瘍のBAT25−Tm値は、有意に低く42℃であった(図4B)。
【0069】
実施例4 BAT26及びBAT25のリアルタイムデュプレックスPCR
1つのチューブ内でBAT25とBAT26とを解析するためのデュプレックス−PCRに関して、プライマーと、配列番号:1〜8のBAT25及びBAT26の両方のFRET−ハイブリダイゼーションプローブとを実施例2及び3に示された濃度で合わせた。
【0070】
LightCycler増幅プログラムは以下のとおりである:95℃90秒の1回の変性ステップ及びシグナル検出のための95℃/0秒−60℃/10秒−45℃/2秒の50サイクル、及び72℃/10秒。デュプレックス融解曲線プログラムは、:95℃/0秒、30℃/30秒及びF2とF3における連続的な蛍光検出を用いて、0.2℃/秒ずつ95℃までの温度上昇であった。
【0071】
BAT25及びBAT26のデュプレックスLightCycler増幅を行なった場合、BAT25及びBAT26の別のLightCycler解析に比べてより高いTm値が得られた(図5)。BAT25に関して、Tmの差異は、4℃であった(図5A)。BAT26のTm値は、1℃高かった(図5B)。
【0072】
【表1】
【0073】
【発明の効果】
本発明の反復配列と非反復配列とからなる標的核酸の解析方法によれば、ゲル電気泳動による断片分離を行なうことなく、迅速かつ簡便に標的核酸を解析することができるという優れた効果を奏する。また、本発明のポリヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブによれば、非常に長い反復構造の解析が可能になるという優れた効果を奏する。
【0074】
【配列表】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のハイブリダイゼーションプローブの概略図を示す。反復は、矢印で示される。
【図2】図2は、本発明のFRETハイブリダイゼーションプローブの概略図を示す。反復は、矢印で示される。
【図3】図3は、本発明のモノヌクレオチド反復遺伝子座BAT26のマイクロサテライト解析の結果を示す。
【図4】図4は、本発明のモノヌクレオチド反復遺伝子座BAT25のマイクロサテライト解析の結果を示す。
【図5】図5は、本発明のモノヌクレオチド反復遺伝子座BAT25及びBAT26のマルチプレックスマイクロサテライト解析の結果を示す。
Claims (3)
- a)(1)非反復領域に相補的な第1のセグメントと、隣接反復領域に相補的であり、かつ定められた数の反復(n反復)からなる第2のセグメントとからなる1種の、100ヌクレオチド以下のポリヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブと、(2)試料中の標的核酸とのハイブリダイゼーションを行なうステップ;及び
b)該標的核酸と前記ハイブリダイゼーションプローブとの間で形成されたハイブリッドの融解点温度を決定するステップ
を含む、0〜n間の数の反復をもつ反復配列と非反復配列とからなる標的核酸の解析方法。 - a)(1)非反復領域に相補的な第1のセグメントと、隣接反復領域に相補的であり、かつ定められた数の反復(n反復)からなる第2のセグメントとからなる1種の、100ヌクレオチド以下のポリヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブと、(2)試料中の標的核酸とのハイブリダイゼーションを行なうステップ、
b)ステップa)と同じポリヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブと、参照試料における標的核酸とをハイブリダイズさせるステップ、
c)試料と参照試料とにおいて、標的核酸と前記ハイブリダイゼーションプローブとの間で形成されたハイブリッドの融解点温度を決定するステップ、並びに
d)試料における標的核酸と参照試料における標的核酸との間の反復数の差異の基準として、前記の2つの融解点温度の差異を決定するステップ
を含む、試料中における、0〜n間の数の反復をもつ反復配列と非反復配列とからなる標的核酸の解析方法。 - マイクロサテライトの解析のための、請求項1又は2記載の方法の使用。
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