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JP3841785B2 - 高周波回路素子 - Google Patents

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Description

本発明は、無線通信システムを初めとした、高周波信号を扱う装置に用いられる共振用の高周波回路素子に関する。
従来より、高周波フィルタをはじめとして、基本要素として共振体を備えた高周波回路素子は通信システムに不可欠の要素である。また、共振体の中でも、誘電体例えば高誘電率かつ低損失のセラミックス材料を用いることにより、小型で、低損失(高Q)な共振器として機能する高周波回路素子を実現することができる。
ところで、このような共振器と、共振器以外の回路要素、例えば、増幅回路、発振回路、ミキサー回路などとを同一の基板上に設け、高周波回路をモジュール構成にすることも可能である。その場合には、共振器に対して、基板上のストリップ線路等の伝送線路から高周波信号を入出力する必要がある。このような高周波回路で、かつ誘電体を用いたものとして、例えば特開平10−284946号公報に開示されているように、回路基板上に誘電部材を配置し、その近傍にストリップ線路を配置することによって、共振器への高周波信号の入出力を行なうものが知られている。
この場合、誘電部材は、円形断面を有していてTE01δ モードの共振を行なっている。そして、ストリップ線路からの高周波信号のうち所望の周波数成分のみを透過させたり、あるいは、不要な周波数成分を取り除いたりする目的で、誘電部材が用いられている。
しかしながら、上記従来のような誘電部材を基板上に配置した高周波回路においては、以下のような不具合があった。
まず、誘電部材を遮蔽することなく用いているので、誘電部材からの高周波信号(電磁波)が放射する。そのために、共振器の損失が増加する、つまり、共振Q値が低下するおそれがあった。また、放射した電磁波が基板上の他の回路と結合して、回路動作の不安定を招くおそれがあった。さらに、放射した電磁波と他の回路との結合を抑えるために、誘電部材と他の回路とをある程度の距離を隔てて配置する必要があるので、モジュール全体の小型化を阻む要因になっている。
以上のような不具合は、高周波回路において扱う高周波信号の周波数が高くなるほど顕著に現れるため、ミリ波帯などにおいては、致命的な問題となるおそれがある。
また、TE01δ モード共振器では、共振電界の分布が円筒形の誘電部材内部で同心円を描くように回転していることがあり、基板上に配置されたストリップ線路などとの所望の結合を得るのが困難になることもある。
本発明の目的は、誘電部材を組み込んだ,損失の小さい高周波回路素子を提供することにある。
本発明の第1および第2の高周波回路素子は、それぞれ、電磁波の共振状態を生じさせることが可能な少なくとも1つの誘電部材と、上記誘電部材の周囲を取り囲む誘電率が該誘電部材よりも小さな支持部材と、上記誘電部材の周囲を取り囲む遮蔽導体と、上記誘電部材の一部に対向して配置されるストリップ導体,該ストリップ導体に対向する接地導体層,及びストリップ導体−接地導体層間に介在する誘電体層を有する少なくとも1つの伝送線路と、上記伝送線路に接続され、上記誘電部材との間で電磁波の入力結合機能又は出力結合機能を有する結合プローブとを備えており、上記誘電部材は、矩形断面におけるTM 11 δ モード、あるいは円形断面におけるTM 01 δ モードで励振されるものであり、前記結合プローブは、前記誘電部材の外面であって、前記矩形断面または円形断面に略平行な面の近傍に配置されている。
これにより、本発明の第1および第2の高周波回路素子では、誘電部材が遮蔽導体によって囲まれているので、誘電部材から外部への電磁波の放射が遮断されるとともに、伝送線路の構造上、高周波回路内で他の半導体デバイス等への接続が円滑になされる。すなわち、従来導波管などで実現されていた機能が、回路基板上で実現される。従って、損失が小さく,つまりQ値が大きく、かつ、高周波回路素子が配置される高周波回路全体のサイズの小型化を図ることができる。
また、本発明の第1および第2の高周波回路素子では、上記誘電部材は、TMモードで励振されるものであることにより、TMモード共振器では電界が誘電部材の長手方向に向いているので、伝送線路のストリップ導体と結合が容易に実現する。その結果、入出力にストリップ導体を有する伝送線路を用いることができ、伝送線路を高周波回路と共通の基板上に配置することにより、モジュール構成の高周波回路に適用することが容易となる。
そして、本発明の第1の高周波回路素子では、誘電体基板と、上記誘電体基板の上記誘電部材に対向する面上に形成され、上記遮蔽導体の一部となる第1の導体膜とをさらに備えている。これにより、製造工程の簡素化を図ることができる。
一方、本発明の第2の高周波回路素子では、上記誘電部材の長手方向に垂直な方向における誘電部材の断面形状が、その面積が中央部で最大になるように変化している。これにより、高周波回路素子の小型化を図ることができる。
以上説明したように、本発明の高周波回路素子の構成を用いることによって、簡単な構成で小型でQ値の高い共振動作を可能となる。特に、ミリ波帯での共振器やフィルタなどの回路素子に適用することによって、よりその効果が発揮される。
(第1の参考形態)
図1(a),(b),(c)は、それぞれ順に、本発明の第1の参考形態に係る高周波回路素子の斜視図、縦断面図及び横断面図である。図1(a)〜(c)に示すように、本参考形態の高周波回路素子は、例えばZrO2・TiO2・MgNb26を主成分とする材料等のセラミックス材料などからなる四角柱形状の誘電部材1と、誘電部材1を取り囲む,内壁が金メッキされた亜鉛−銅合金等からなる遮蔽導体2と、誘電部材1を固定・支持するための,ポリテトラフルオロエチレン樹脂などからなる支持部材3と、マイクロストリップ線路からなる1対の伝送線路4とを備えている。伝送線路4は、高周波信号が流れる方向に応じて、入力線路又は出力線路として機能する。
また、伝送線路4は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂等からなる伝送線路基板6と、伝送線路基板6の上面上に形成された,銀製リボン等からなるストリップ導体5と、伝送線路基板6をその裏面から支持する接地導体層9とによって構成されている。接地導体層9は、遮蔽導体2の一部によって構成されている。そして、各伝送線路4は、遮蔽導体2の一部を貫通して遮蔽導体によって囲まれる領域内に挿入されている。つまり、遮蔽導体2の長手方向に直交する側壁の一部分に窓を開け、伝送線路4を挿入するとともに、窓部において絶縁体7によって伝送線路4の上面を覆っている。この絶縁体7は伝送線路基板6上のストリップ導体5が遮蔽導体2に短絡しないようにするためのものである。そして、遮蔽導体2の内部では、ストリップ導体5の先端部が絶縁体基板6の外側に突出し、その先端部が誘電部材1の長手方向に直交する側面に対向していて結合プローブ部8となっている。この結合プローブ部8は、高周波信号の流れる方向に応じて誘電部材1と入力結合機能又は出力結合機能を有するものである。
なお、図示しないが、本参考形態後述する他の参考形態、第1の実施形態および第2の実施形態において、この伝送線路4は、回路基板に搭載された各種回路(増幅回路や音声変換回路,画像変換回路)などに接続されている。
参考形態の場合、遮蔽導体2の一部分でもある接地導体層9が、伝送線路4のグランドプレーンとなる。したがって、伝送線路4と外部回路とを接続するためには、ストリップ導体5と接地導体層9との間に信号電圧が印加されるようにすれば済むので、信号の損失を小さく抑制することができる。
参考形態の高周波回路素子の構成において、誘電部材1,遮蔽導体2及び支持部材3の形状及び材質を適宜選択することにより、誘電部材1が、矩形断面共振体におけるTM11δ モードと呼ばれる共振モードで共振することが可能となり、本参考形態の高周波回路素子によって、TM11δ モード共振器を実現することができる。そして、本参考形態の高周波回路素子を、1段の帯域フィルタとして用いることが可能である。
ここで、矩形断面を有する誘電部材を用いた矩形断面共振体におけるTM11δ モードは、円筒状誘電部材を用いた円形断面共振体でのTM01δ モードと同等である。これは、モードの呼称における、はじめの2つの添え字(ここでは“11”または“01”)の決め方が、矩形断面共振体では断面の矩形の各辺方向での電磁界の周期性に基づいているのに対して、円形断面共振体では断面の円の円周方向と半径方向とにおける電磁界の周期性に基づいているからである。
(第2の参考形態)
図2(a),(b)は、それぞれ順に、本発明の第2の参考形態に係る高周波回路素子の斜視図及び横断面図である。図2(a),(b)に示すように、本参考形態の高周波回路素子においては、第1の参考形態とは異なり、遮蔽導体2の長い方の側壁の一部分に窓を開け、伝送線路4を挿入した構造となっている。そして、ストリップ導体5の結合プローブ部8の側面が、誘電部材1の長手方向に直交する側面に対向している。その他の構造及び得られる効果は、基本的に第1の参考形態と同じである。
なお、図2(b)に示すように、1対の伝送線路4が遮蔽導体2の互いに対向する長い方の側壁から挿入されていなくてもよく、両者が同じ側壁から挿入されている構造でも、本参考形態と同じ効果を発揮することができる。
−第2の参考形態の具体例−
図2(a),(b)に示す構造を有する高周波回路素子を、以下のような手順で形成した。誘電部材1として、サイズ1×1×4mmの四角柱の誘電体セラミックス(ZrO2・TiO2・MgNb26を主成分とする材料,比誘電率:42.2,fQ値:43000GHz)を準備し、この誘電部材1を、内壁が金メッキされた亜鉛−銅合金製の遮蔽導体2の中に固定する。遮蔽導体2の内壁の寸法は2×2×10mmである。その際、支持部材3としてポリテトラフルオロエチレン樹脂を用いて、遮蔽導体2と誘電部材1との隙間を満たした。伝送線路4は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる伝送線路基板6の上に、銀製のリボン(厚さ:0.1mm,幅:約1mm)からなるストリップ導体5を乗せたものを形成し、このストリップ導体5を伝送線路基板6上からはずれた遮蔽導体2の内部まで延ばして、この延長部を結合プローブ部8とする。
図3は、電磁界解析によってシミュレーションされた本具体例の高周波回路素子の挿入損失の周波数特性(透過特性)である。同図から、約26GHzに基本共振モードが存在することがわかる。電界分布の解析により、このモードはTM11δ モードであることが確認され、これにより、この高周波回路素子が共振回路(共振器)として動作することが確認された。
図4は、試作された本具体例の高周波回路素子の挿入損失の周波数特性の実測データである。同図に示すデータは、高次共振モードを含めて、図3に示す電磁界解析によるシミュレーション結果とよく一致している。実測した無負荷Q値は870であった。この測定は、以下の手順で行なった。図4のTM11δ モードのピーク付近を拡大して、ピークの周波数f0,挿入損失L0(dB),及びピークの両側で損失がL0+3(dB)になる周波数f1,f2 を計測する。そして、これらの値を下記式
Qu={f0/|f1−f2|}[1/{1−10-L0/20}]
に代入することにより、無負荷Q値(Qu)を算出した。
また、この具体例のセラミックス材料を用いたときの無負荷Q値(Qu)の実測値は、高周波回路素子の構造を微調整することにより、約1000まで向上することが確認されている。
後に述べるように、他の低損失セラミックス材料を用いると、さらに無負荷Q値が向上することもわかっている。
通常のマイクロストリップ線路による1/2波長共振器のQ値が100程度であることを考慮すると、これらの無負荷Q値の実測値は非常に高いことから、本参考形態の高周波回路素子により、非常に低損失な共振回路を構成できることが実証された。特に、ミリ波帯での共振器やフィルタなどの回路素子に適用することによって、よりその効果が発揮される。
なお、本具体例は第2の参考形態の構造についての具体例であるが、第1の参考形態の構造についても、ほぼ同じ結果が得られる。
(第3の参考形態)
図5は、本発明の第3の参考形態に係る高周波回路素子の縦断面図である。図5に示すように、本参考形態の高周波回路素子は、遮蔽導体2の内部に、2つの誘電部材1a,1bをほぼ同じ高さ位置で長手方向に直列に並べて配置することによって構成されている。その他の基本的な構造は、図1に示す第1の参考形態における高周波回路素子の構造と基本的には同じである。
参考形態の高周波回路素子は、以下の具体例によって確認されたように、低損失の2段の帯域通過フィルタとして機能することができる。
−第3の参考形態の具体例−
図5に示す構造を有する高周波回路素子を、以下のような手順で形成した。誘電部材1a,1bとして、サイズ1×1×4mmの四角柱の誘電体セラミックス(ZrO2・TiO2・MgNb26を主成分とする材料,比誘電率:42.2,fQ値:43000GHz)を2つ準備し、これらの誘電部材1a,1bを、内壁が金メッキされた亜鉛−銅合金製の遮蔽導体2の中に固定する。遮蔽導体2の内壁の寸法は2×2×12mmである。その際、支持部材3としてポリテトラフルオロエチレン樹脂を用いて、遮蔽導体2と誘電部材1a,1bとの隙間を満たした。伝送線路4は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる伝送線路基板6の上に、銀製のリボン(厚さ:0.1mm,幅:約1mm)からなるストリップ導体5を乗せたものを形成し、このストリップ導体5を伝送線路基板6上からはずれた遮蔽導体2の内部まで延ばして、この延長部を結合プローブ部8とする。
図6は、電磁界解析によってシミュレーションされた第3の参考形態の具体例に係る高周波回路素子の挿入損失の周波数特性(透過特性)である。同図から、本具体例(つまり第3の参考形態)の高周波回路素子は、2段の帯域通過フィルタとして動作することが確認された。
なお、本参考形態の高周波回路素子の構造において、第2の参考形態の高周波回路素子(図2参照)のように、遮蔽導体2の長い方の側壁の一部分に窓を開け、伝送線路4を挿入し、ストリップ導体5の結合プローブ部8の側面が、各誘電部材1a,1bの長手方向に直交する側面に対向している構造としても、本参考形態とほぼ同じ効果を発揮することができる。
なお、本参考形態の2つの誘電部材に代えて、3つ以上の誘電部材を配置することも可能である。つまり、多段の帯域フィルタとして利用することも可能である。
(第4の参考形態)
図7(a),(b)は、それぞれ順に、本発明の第4の参考形態に係る高周波回路素子の縦断面図及び横断面図である。図7(a)において、誘電部材1の位置は破線で示されている。図7(a),(b)に示すように、本参考形態の高周波回路素子においては、伝送線路4(マイクロストリップ線路)を構成するストリップ導体5及び伝送線路基板6が、遮蔽導体2の接地導体層9の短い方の辺に平行に形成された溝内に埋め込まれている。すなわち、ストリップ導体5及び伝送線路基板6は、接地導体層9の溝内で誘電部材1の両端部の直下方に挿入され、ストリップ導体5の先端部が誘電部材1の下面に対向している。本参考形態の高周波回路素子の他の部分の構造は、基本的に第1の参考形態と同様である。
参考形態においては、ストリップ導体5の伝送線路基板6上に位置している先端部をそのまま結合プローブ部8とすることができるので、第1の参考形態と同じ効果に加えて、入出力結合を行なう部分の構造が簡素化されると言う利点がある。
なお、本参考形態の高周波回路素子の構造においては、伝送線路基板6と誘電部材1との高さ位置や横方向位置の位置関係によって、入出力の結含度を調節することができる。たとえば、伝送線路基板6と誘電部材1との間隔が小さくなって両者が互いに接近するほど入出力の結合度が大きくなり、伝送線路基板6が誘電部材1の中央部に近づくほど入出力の結合度が小さくなる傾向がある。そして、本参考形態の高周波回路素子は、第1の参考形態と同様に、共振器として機能し、低損失の1段の帯域フィルタとして用いることが可能である。
なお、本参考形態においては、1つの誘電部材を配置した例について説明したが、第3の参考形態のごとく2つの誘電部材1a,1bを配置してもよいし、あるいは、3つ以上の誘電部材を配置することも可能である。つまり、2段あるいは多段の帯域フィルタとして利用することも可能である。
(第5の参考形態)
図8は、本発明の第5の参考形態に係る高周波回路素子の横断面図である。図8において、誘電部材1の位置は破線で示されている。図8に示すように、本参考形態の高周波回路素子においては、伝送線路4(マイクロストリップ線路)を構成するストリップ導体5及び伝送線路基板6が、遮蔽導体2の接地導体層9の短い方の辺に平行に形成された溝内に埋め込まれている。すなわち、ストリップ導体5及び伝送線路基板6は、接地導体層9の溝内で誘電部材1の両端部の直下方に挿入され、ストリップ導体5の先端部が誘電部材1の下面に対向している。そして、本参考形態においては、ストリップ導体5の先端部10が平面的に直角に曲げられて、ストリップ導体5がL字状の形状を有しており、主として曲げられた先端部10が入出力結合プローブ8として機能する。本参考形態の高周波回路素子の他の部分の構造は、基本的に第1の参考形態と同様である。
参考形態においても、ストリップ導体5の伝送線路基板6上に位置している先端部をそのまま結合プローブ部8とすることができるので、第4の参考形態と同様に、入出力結合を行なう部分の構造が簡素化されると言う利点がある。
特に、本参考形態では、結合プローブとして機能する先端部を入力結合または出力結合が大きくなる方向に曲げることによって、高い効率を有する共振器を実現することができる。たとえば、曲げられた先端部10の長さを長くすれば、誘電部材1の短辺の長さよりも長くすることができるので、誘電部材に対向する入出力プローブ8の長さを第4の参考形態よりも長くすることが可能になる。よって、本参考形態の高周波回路素子によって、共振モードの電界成分と効率よく縮合させることにより、第4の参考形態よりも大きな入出力結合を得ることが可能である。また、伝送線路基板6と誘電部材1との位置関係は固定したまま、先端部10の長さLによって縮合度を調整することができるという利点がある。そして、本参考形態の高周波回路素子は、第1の参考形態と同様に、共振回路として機能し、低損失の1段の帯域フィルタとして用いることが可能である。
−第5の参考形態の具体例−
図8に示す構造を有する高周波回路素子を、以下のような手順で形成した。誘電部材1として、サイズ1×1×4mmの四角柱の誘電体セラミックス(ZrO2・TiO2・MgNb26を主成分とする材料,比誘電率:42.2,fQ値:43000GHz)を準備し、この誘電部材1を、内壁が金メッキされた亜鉛−銅合金製の遮蔽導体2の中に固定する。遮蔽導体2の内壁の寸法は2×2×12mmである。その際、支持部材3としてポリテトラフルオロエチレン樹脂を用いて、遮蔽導体2と誘電部材1との隙間を満たした。伝送線路4は、アルミナ焼結体からなる伝送線路基板6の上に、金薄膜(厚さ:10μm,幅:約0.3mm)からなるストリップ導体5(特性インピーダンス:50Ω)を乗せたものを形成し、先端部10の長さをLmmとする。
実際に、ネットワークアナライザによる測定の結果、26GHz付近で共振現象を起こすことが確認されており、共振回路として動作するとともに、1段帯域通過フィルタとして利用できることが確認できた。共振の無負荷Q値は約1000であった。
図9は、本具体例の高周波回路素子における先端部10の長さと入出力結合度を表す外部Q値(Qe)との関係を、3次元電磁界解析によりシミュレーションした結果を示す図である。外部Q値Qeは、入出力結合が強いほど小さい値を取るので、同図からわかるように、長さLによって、外部Q値Qeを広範囲にわたって制御しうることがわかる。
(第6の参考形態)
図10は、本発明の第6の参考形態に係る高周波回路素子の横断面図である。図10に示すように、本参考形態の高周波回路素子は、第3の参考形態と同様に遮蔽導体2の内部に2つの誘電部材1a,1bをほぼ同じ高さ位置で長手方向に直列に並べて配置し、かつ、第6の参考形態と同様に、ストリップ導体5を伝送線路基板6の上で直角方向に曲げてなるL字状にした構造を有している。その他の基本的な構造は、図8に示す第5の参考形態における高周波回路素子の構造と基本的には同じである。
参考形態の高周波回路素子は、以下の具体例によって確認されたように、低損失の2段の帯域通過フィルタとして機能することができる。
そして、本参考形態の回路素子によると、第5の参考形態の結合構造を多段の帯域通過フィルタに適用することによって、さらに、大きな効果を発揮することができる。なぜならば、帯域通過フィルタにおいては、通常、入出力結合度は比較的大きく、かつ、所望の特性を得るためには結合度が精度よく制御されることが好ましいからである。
なお、本参考形態では2段の帯域フィルタとして機能する高周波回路素子の例を示したが、誘電部材を3個以上用いることにより、3段以上の多段の帯域フィルタとして利用することも、非常に有効である。
−第6の参考形態の具体例−
図10に示す構造を有する高周波回路素子を、以下のような手順で形成した。誘電部材1a,1bとして、サイズ1×1×4mmの四角柱の誘電体セラミックス(ZrO2・TiO2・MgNb26を主成分とする材料,比誘電率:42.2,fQ値:43000GHz)を2つ準備し、これらの誘電部材1a,1bを、内壁が金メッキされた亜鉛−銅合金製の遮蔽導体2の中に固定する。遮蔽導体2の内壁の寸法は2×2×12mmである。その際、支持部材3としてポリテトラフルオロエチレン樹脂を用いて、遮蔽導体2と誘電部材1a,1bとの隙間を満たした。伝送線路4は、アルミナ焼結体からなる伝送線路基板6の上に、金薄膜(厚さ:10μm,幅:約0.3mm)からなるストリップ導体5(特性インピーダンス:50Ω)を乗せたものを形成し、先端部10の長さをLmmとする。
図11は、本具体例における、誘電部材1a,1b間の結合度kと誘電部材1a,1b間の間隔dとの関係をシミュレーションした結果を示す図である。同図からわかるように、誘電部材同士の間隔によって、誘電部材間の結合度(段間結合度)を設定することが可能であることがわかる。実際に、本具体例の高周波回路素子の構造を用いて、中心周波数26GHz前後で、比帯域0.3%、帯域内リップル0.005dBのチェビシェフ型フィルタを設計・試作した。このフィルタ仕様から、必要な入出力結合度は、Qe(外部Q値)=120、段間結合度k=0.0083と算出された。この算出結果に基づいて、図9,図11から、適正な先端部の長さL=0.7mm,間隔d=1.2mmであることがわかるので、この値の高周波回路素子を実際に試作した。
図12は、このようにして試作された高周波回路素子の損失量の周波数特性を示す図である。2段帯域通過フィルタとして良好に動作していることが確認できる。挿入損失は約1.2dBであった。同様の特性のフィルタを、従来のマイクロストリップ線路共振器で作製すれば、挿入損失は本具体例の高周波回路素子の数倍である数dB程度になることが推定されるので、本参考形態の高周波回路素子の有効性が十分確認される。
(第7の参考形態)
図13は、本発明の第7の参考形態に係る高周波回路素子の横断面図である。第1〜第6の参考形態においては、高周波回路素子が2つの伝送線路(マイクロストリップ線路)を備えているのに対し、図13に示すように、本参考形態の高周波回路素子は、両端部が入出力端子(入出力結合プローブ)となる通過型のマイクロストリップ線路からなる1つの伝送線路4に対して誘電部材1が結合する構造を有する。ここでは、伝送線路4の近傍に、破線で示される誘電部材1を配置し、伝送線路4の電磁界と、誘電部材1の共振モードの電磁界との重なりによって入出力結合が行なわれ、伝送線路4を伝搬する高周波信号のエネルギーの一部が誘電部材1に吸収される。したがって、図12に示す高周波回路素子の構造において、伝送線路4の両端部を入出力端子として、その間の透過特性を見ると、誘電部材1の共振周波数の近傍で透過率が減少する、いわゆる帯域阻止フィルタ(ノッチフィルタ)として動作することがわかる。
なお、本参考形態では誘電部材1が1つの場合を示したが、誘電部材1を複数個用いることで、多段の帯域阻止フィルタとして利用する場合も同様に有効である。
(第8の参考形態)
図14は、本発明の第8の参考形態に係る高周波回路素子の横断面図である。図14に示すように、本参考形態の高周波回路素子は、第7の参考形態と同様に、両端部が入出力端子(入出力結合プローブ)となる通過型のマイクロストリップ線路からなる1つの伝送線路4に対して誘電部材1が結合する構造を有する。ただし、第7の参考形態においては、ストリップ導体5が直線状であるのに対し、本参考形態においては、ストリップ導体7が誘電部材1の下方において屈曲部11を有している。本参考形態においても、伝送線路4の近傍に、破線で示される誘電部材1を配置し、伝送線路4の電磁界と、誘電部材1の共振モードの電磁界との重なりによって入出力結合が行なわれ、伝送線路4を伝搬する高周波信号のエネルギーの一部が誘電部材1に吸収される。したがって、図12に示す高周波回路素子の構造において、伝送線路4の両端部を入出力端子として、その間の透過特性を見ると、誘電部材1の共振周波数の近傍で透過率が減少する、いわゆる帯域阻止フィルタ(ノッチフィルタ)として動作する。
加えて、本参考形態の高周波回路素子によると、ストリップ導体5が屈曲部11において誘電部材1の長手方向に延びている。これによって、屈曲部11で、共振モードの電磁界と伝送線路4の電磁界との方向が一致するので、伝送線路4を伝搬する電磁波と共振モードの電磁界との間に非常に大きな結合が得られることになり、より急峻な帯域阻止特性を得ることができる。
なお、本参考形態では誘電部材1が1つの場合を示したが、誘電部材1を複数個用いることで、多段の帯域阻止フィルタとして利用する場合も同様に有効である。
−第8の参考形態の具体例−
図14に示す構造を有する高周波回路素子を、以下のような手順で形成した。誘電部材1として、サイズ1×1×4mmの四角柱の誘電体セラミックス(ZrO2・TiO2・MgNb26を主成分とする材料,比誘電率:42.2,fQ値:43000GHz)を準備し、この誘電部材1を、内壁が金メッキされた亜鉛−銅合金製の遮蔽導体2の中に固定する。遮蔽導体2の内壁の寸法は2×2×10mmである。その際、支持部材3としてポリテトラフルオロエチレン樹脂を用いて、遮蔽導体2と誘電部材1との隙間を満たした。伝送線路4は、アルミナ焼結体からなる伝送線路基板6の上に、金薄膜(厚さ:10μm,幅:約0.3mm)からなるストリップ導体5(特性インピーダンス:50Ω)を乗せたものを形成し、先端部10の長さをLmmとする。
図15は、本具体例の高周波回路素子における挿入損失の周波数特性を電磁界解析によりシミュレーションした結果を示す図である。同図からわかるように、本具体例の高周波回路素子は、共振器の共振周波数の前後で減衰量が大きく増える帯域阻止フィルタとして動作していることがわかり、本参考形態の有効性が確認された。
(第9の参考形態)
図16(a),(b),(c)は、それぞれ順に、本発明の第9の参考形態に係る高周波回路素子の横断面図、長手方向の縦断面図及び長手方向に直交する縦断面図である。図16(a)〜(c)に示すように、本参考形態の高周波回路素子は、例えばZrO2・TiO2・MgNb26を主成分とする材料等のセラミックス材料などからなる四角柱形状の誘電部材1と、誘電部材1を取り囲む,内壁が金メッキされた亜鉛−銅合金等からなる遮蔽導体2と、アルミナ等からなり誘電部材1を支持する誘電体基板12と、マイクロストリップ線路からなる1対の伝送線路4とを備えている。
ここで、本参考形態においては、接地導体層9に長手方向に延びる溝13が形成されており、溝13の内部は空間となっている。また、遮蔽導体2の内部も空間となっている。そして、誘電部材1は、溝13の上方において誘電体基板12上に載置されている。つまり、本参考形態においては、誘電体基板12が誘電部材1を支持する支持部材として機能する。
また、伝送線路4は、伝送線路基板6と、伝送線路基板6の上面上に形成された,銀製リボン等からなるストリップ導体5と、遮蔽導体2の一部である接地導体層9とによって構成されている。そして、各伝送線路4は、遮蔽導体2の一部を貫通して遮蔽導体によって囲まれる領域内に挿入されている。つまり、遮蔽導体2の長手方向に直交する側壁の一部分に窓を開け、伝送線路4を挿入するとともに、窓部において絶縁体7によって伝送線路4の上面を覆っている。この絶縁体7は伝送線路基板6上のストリップ導体5が遮蔽導体2に短絡しないようにするためのものである。そして、遮蔽導体2の内部では、ストリップ導体5は誘電体基板12の上に延びており、その先端部10がほぼ直角に曲げられてなるL字状となっており、誘電体基板12の上で、ストリップ導体5の先端部10が誘電部材1の長手方向に延びる側面に対向していて、この先端部10が結合プローブ部8として機能する。
参考形態においても、遮蔽導体2の一部分でもある接地導体層9が、伝送線路4のグランドプレーンとなる。したがって、伝送線路4と外部回路とを接続するためには、ストリップ導体5と接地導体層9との間に信号電圧が印加されるようにすれば済むので、信号の損失を小さく抑制することができる。
参考形態の高周波回路素子の構成において、誘電部材1,遮蔽導体2,誘電体基板12及び溝13の形状(及び材質)を適宜選択することにより、誘電部材1が、矩形断面共振体におけるTM11δ モードと呼ばれる共振モードで共振することが可能となり、本参考形態の高周波回路素子によって、TM11δ モード共振器を実現することができる。そして、本参考形態の高周波回路素子は、1段の帯域フィルタとして用いることが可能である。
特に、本参考形態の高周波回路素子により、図16からわかるように、伝送線路基板6と誘電体基板12とを一体化することが可能であることや、誘電体基板12によって誘電部材1が固定されるので、第1〜第8の参考形態における支持部材3が不要であること、などの特徴がある。
なお、本参考形態においても、伝送線路4は、第1の参考形態のように、誘電部材1の前後方向から挿入してもよい。
さらに、溝12は、必ずしも必要ではない。溝12を無くして、誘電体基板12の裏面が直接遮蔽筐体2の内壁と接していても、本参考形態と同様の動作を示す共振器が得られる。ただし、誘電体基板12の裏面のうち誘電部材1の直下方に位置する裏面に遮蔽導体2が接触していると、そこに、大きな高周波電流が流れることにより損失の増大を招くおそれがある。それに対し、図16に示すように、溝13を設けることにより、損失の低減が図られる。
また、図16(a)〜(c)に示す本参考形態の高周波回路素子において、結合プローブ部8の形状は、必ずしもL字状に曲げられたストリップ導体5の先端部10である必要はなく、図1(c)や図2(b)に示すように、直線状のストリップ導体5の先端部が結合プローブ部8として機能することも可能である。また、2つのストリップ導体5の各先端部10を互いに同じ方向に曲げてもよいし、互いに遠ざかる方向に曲げてもよい。
また、誘電体基板12の裏面側に結合プローブ部8を形成することも同様に有効である。この場合、結合プローブ部8を誘電部材1の直下に形成することによって、結合量を大きく取ることが可能である。ただし、この場合、ストリップ導体5と接続するためには、容量を介して誘電体基板12の表面のストリップ導体5と裏面の結合プローブ部8とを容量結合させるか、あるいは、伝送線路基板6の下側の面にストリップ導体5を形成する必要がある。
また、本参考形態の構造においても、第7又は第8の参考形態(図13あるいは図14参照)のように、両端部が入出力端子となる通過型の伝送線路4に対して誘電部材1が結合する構造を用いることができる。その場合、伝送線路4の両端を入出力端子として、いわゆる帯域阻止フィルタとして動作させることが可能である。
また、本参考形態において、誘電体基板12としては、誘電部材1よりも誘電率が低い材料を用いるのがより望ましい。例えば、誘電部材1として比誘電率20以上の材料を用いた場合には、誘電体基板12としてアルミナなどの比較的誘電率の低い板状誘電体を用いるのが、特性上や構造上有効である。
(第10の参考形態)
図17(a),(b)は、それぞれ順に、本発明の第10の参考形態に係る高周波回路素子の斜め上からみた斜視図及び斜め下からみた斜視図である。図18(a),(b)は、それぞれ順に、第10の参考形態に係る高周波回路素子の縦断面図及び横断面図である。
図17(a),(b)及び図18(a),(b)に示すように、本参考形態の高周波回路素子には、セラミックス材料などからなる四角柱形状の誘電部材1が設けられており、ポリテトラフルオロエチレン樹脂などからなる支持部材3により誘電部材1が固定・支持されている。そして、支持部材3の外表面に銅メッキ加工などによる導体被膜17が形成されている。また、導体被膜17の一部を分離して形成されたストリップ導体5と、残部の導体被膜17により伝送線路4が形成されている。そして、導体被膜17の内部で誘電部材1の底面とストリップ導体5とが相対向しており、ストリップ導体5によって、誘電部材1との入出力結合が行なわれている。
参考形態の場合、領域Rcoにおいて、ストリップ導体5と導体被膜17とによってコプレーナ線路が構成されている。したがって、外部回路と接続する際には、ストリップ導体5と導体被膜17との間に信号電圧が印加されるようにすればよい。
参考形態の高周波回路素子の構成において、誘電部材1,導体被膜17及び支持部材3の形状及び材質を適宜選択することにより、誘電部材1が、矩形断面共振体におけるTM11δ モードと呼ばれる共振モードで共振することが可能となり、本参考形態の高周波回路素子によって、TM11δ モード共振器を実現することができる。そして、本参考形態の高周波回路素子は、1段の帯域フィルタとして用いることが可能である。
加えて、本参考形態の高周波回路素子により、伝送線路4を構成するストリップ導体5とグランドプレーンである導体被膜17とを同一面に形成することができ、表面実装を行うことが容易となる。
なお、本参考形態の高周波回路素子においても、第2の参考形態(図2参照)のように、伝送線路4を誘電部材に対して、横方向に形成する,つまり図17(a)に示す四角柱の上面又は下面にストリップ導体5を設けることも可能である。
(第の実施形態)
図19(a),(b),(c)は、それぞれ順に、本発明の第の実施形態に係る高周波回路素子の斜視図、縦断面図及び横断面図である。図20(a),(b),は、それぞれ順に、第の実施形態に係る高周波回路素子の誘電体基板の上面図及び裏面図である。図19(a)〜(c)及び図20(a),(b)に示すように、セラミックス材料などからなる四角柱形状の誘電部材1が遮蔽導体2の中に配置され、支持部材3によって固定されている。誘電部材1と遮蔽導体2の間は支持部材3によって満たされている。また、セラミックス材料などからなる誘電体基板20の上面には、遮蔽導体2の一部を構成する金属膜からなる導体被膜17が形成され、誘電体基板20の裏面には、グランドプレーンである接地導体層9が形成されている。
また、伝送線路4は、誘電体基板20と、導体被膜17から切り離された金属膜からなるストリップ導体5と、誘電体基板20をその裏面から支持する接地導体層9とによって構成されている。導体被膜17と接地導体層9とは、誘電体基板20を貫通するビアホール21によって、互いに電気的に接続されている。そして、各伝送線路4は、遮蔽導体2の一部を貫通して遮蔽導体2によって囲まれる領域内に挿入されている。つまり、遮蔽導体2の長手方向に直交する側壁の一部分に窓を開け、伝送線路4を挿入するとともに、窓部において絶縁体7によって伝送線路4の上面を覆っている。この絶縁体7は誘電体基板20上のストリップ導体5が遮蔽導体2に短絡しないようにするためのものである。そして、遮蔽導体2の内部では、ストリップ導体5の先端部が誘電体基板20上で誘電部材1の下面(及び長手方向に直交する側面)に対向して、結合プローブ部8として機能している。
本実施形態の場合、遮蔽導体2の一部分でもある接地導体層9が、伝送線路4のグランドプレーンとなる。したがって、伝送線路4と外部回路とを接続するためには、ストリップ導体5と接地導体層9との間に信号電圧が印加されるようにすれば済むので、信号の損失を小さく抑制することができる。
本実施形態の高周波回路素子の構成において、誘電部材1,遮蔽導体2,誘電体基板20及び支持部材3の形状及び材質を適宜選択することにより、誘電部材1が、矩形断面共振体におけるTM11δ モードと呼ばれる共振モードで共振することが可能となり、本実施形態の高周波回路素子によって、TM11δ モード共振器を実現することができる。そして、本実施形態の高周波回路素子は、低損失の1段の帯域フィルタとして機能する。
また、本実施形態の高周波回路素子によると、ストリップ導体5と導体被膜17とを共通の金属膜から形成することができるので、組み立て部品点数を減らすことができ、よって、各部品のばらつきによる性能のばらつきを抑制することができるという利点がある。
なお、本構成においても、参考形態1の図2のように、伝送線路4を誘電部材1に対して、横方向に形成することも可能である。
(第1参考形態)
図21(a),(b)は、それぞれ順に、本発明の第1参考形態に係る高周波回路素子の横断面図及び縦断面図である。図21(a),(b)に示すように、本参考形態の高周波回路素子は、遮蔽導体2の内部に、2つの誘電部材1a,1bをほぼ同じ高さ位置で長手方向に直列に並べて配置することによって構成されている。そして、遮蔽導体2の長手方向に直交する側壁を貫通して誘電部材1a,1bの各一方の端面に対向するように配置された2つの周波数調整ねじ14と、遮蔽導体2の上壁を貫通して各誘電部材1a,1bの上面のほぼ中央部に対向するように配置された2つの周波数調整ねじ15と、遮蔽導体2の上壁を貫通して各誘電部材1a,1b間の間隙部に対向するように配置された1つの段間結合度調整ねじ16とを有している。また、必要に応じて、各ねじ14,15,16が遮蔽導体2内に挿入できるように、各ネジ14,15,16の周囲においては支持部材3が取り除かれている。その他の基本的な構造は、図7(a),(b)に示す第4の参考形態における高周波回路素子の構造と基本的には同じである。
参考形態の高周波回路素子の構造より、誘電部材1a,1bの周囲における電磁界分布が調整可能になる。すなわち、周波数調整ねじ14,15の挿入量により共振器の共振周波数が、段間結合調整ねじ16の挿入量により共振器間の結合度が、調整可能になる。よって、製造工程で生じる加工・組み立てでの寸法誤差による特性の劣化を、高周波回路素子の作製後の調整により回復させることが可能となり、製造の効率を飛躍的に向上することができる。
なお、本参考形態では、2段の帯域フィルタの構造を例にとっているが、この構造に限ることはなく、1段フィルタあるいは3段以上のフィルタなどに適用することができる。
ただし、周波数の調整や段間結合の調整は、必ずしもねじでなくても、ねじと同じ機能を有する棒状の部材や、平板状の部材などを設けることによって行なうことができる。
また、第1〜第1参考形態および第1の実施形態においても、ねじなどの部材によって、共振周波数の調整や、段間結合度の調整を行なうことができ、その場合にも、本参考形態と同じ効果を発揮することができる。
なお、周波数調整ねじの配置位置とねじの軸方向については、周波数調整ねじ14のように、誘電部材1a,1bの各端部にねじを対向させた場合には、本参考形態で説明したように効果的に周波数を調整できるが、反面、誘電部材を3段以上設けた場合に、両端の誘電部材の周波数調整にしか適用できない。そこで、周波数調整ねじ15のように、各誘電部材に対して垂直方向、正確に言うと、TMモードの電界の向く方向と垂直な方向に調整ねじを設けるのが効果的である。また、周波数調整用ねじの挿入位置は、誘電部材の電界が最も強くなる部分、つまり、本参考形態では誘電部材1a,1bの中央付近に調整ねじを対向させるのが最も効果的である。この場合は、3段以上の多段の誘電部材を配置した高周波回路素子に対しても適用可能であるという利点がある。
−第1参考形態の具体例−
図21(a),(b)に示す構造を有する高周波回路素子を、以下のような手順で形成した。誘電部材1a,1bとして、サイズ1×1×4mmの四角柱の誘電体セラミックス(ZrO2・TiO2・MgNb26を主成分とする材料,比誘電率:42.2,fQ値:43000GHz)を2つ準備し、これらの誘電部材1a,1bを、内壁が金メッキされた亜鉛−銅合金製の遮蔽導体2の中に固定する。遮蔽導体2の内壁の寸法は2×2×12mmである。その際、支持部材3としてポリテトラフルオロエチレン樹脂を用いて、遮蔽導体2と誘電部材1a,1bとの隙間を満たした。伝送線路4は、アルミナ焼結体からなる伝送線路基板6の上に、金薄膜(厚さ:10μm,幅:約0.3mm)からなるストリップ導体5(特性インピーダンス:50Ωを乗せたものを形成し、このストリップ導体5を伝送線路基板6上で遮蔽導体2の内部まで延ばして、先端部を誘電部材の長手方向に曲げてこの先端部を結合プローブ部8とする。また、周波数調整ねじ14,15および段間結合調整ねじ16としては、ねじ規格M1.6のビスを用いた。ビスの端面は平坦に加工し、表面全体を金メッキした。
図22〜図24は、本具体例の高周波回路素子について、ネットワークアナライザによって行なった共振周波数の調整機能を示す図である。図22は、本具体例の高周波回路素子の共振周波数と周波数調整ねじ14の挿入量との関係を示す図である。図23は、本具体例の高周波回路素子の共振周波数と周波数調整ねじ15の挿入量との関係を示す図である。図24は、本具体例の高周波回路素子の共振周波数と段間結合度調整ねじ16の挿入量との関係を示す図である。
図22〜図24からわかるように、各ねじの挿入量により、共振周波数、および、段間結合度を微細に調整することが可能である。
(第1参考形態)
図25(a),(b)は、それぞれ順に、本発明の第1参考形態に係る高周波回路モジュールの斜視図及び横断面図である。本参考形態では、上記第1の参考形態の高周波回路素子を位相回路を挟んで2つ組み合わせた構造を有している。すなわち、互いに中心周波数が異なる2つの高周波回路素子A,Bを、適当な移相変化量を有する移相回路18の2つの分岐部と入出力結合させることにより、周波数の異なる信号を分離する共用器を構成した例である。位相回路18は、接地導体層9と、接地導体層9の凹部に埋め込まれた位相回路基板19と、位相回路基板19上に設けられた金属膜からなるストリップ導体5bとによって構成されたマイクロストリップ線路であり、導体ストリップ5bの基幹部はアンテナに接続されている。その他の基本的な構造は、図1(a)〜(c)に示す第1の参考形態における高周波回路素子の構造と基本的には同じである。そして、例えば高周波回路素子B(又はA)からアンテナを経て高周波信号を外部に送信し、高周波回路素子A(又はB)にアンテナを経て高周波信号を外部から受信することが可能な構成になっている。
なお、各高周波回路素子は、スイッチにより処理用回路に接続されていて、処理用回路で信号の増幅,音声・画像等への変換等の処理を受けることになる。
参考形態の高周波回路モジュールによると、位相回路を介在させて複数の高周波回路素子を設けたので、すなわち、小型で低損失な共用器(周波数帯域の異なる送受信信号を合波・分離する)を実現することができ、従来導波管などで実現されていた機能が、回路基板上で実現されることになる。
例えば位相回路をアンテナに接続した場合には、送受信を行なうことが可能になる。特に、互いに中心周波数が異なる2つの高周波回路素子を位相回路を挟んで組み合わせた場合にも、上記第1の参考形態の効果を維持しつつ、同時に送受信を行なうことが可能になる。
なお、本参考形態では、1段×1段の誘電部材を有する共用器の例を示したが、少なくとも一方の帯域フィルタ(高周波回路素子A又はB)の誘電部材を複数個用いることで、多段の帯域フィルタを有する共用器として利用することも有効である。
−第1参考形態の変形例−
図26(a),(b)は、それぞれ順に、第1参考形態の変形例に係る高周波回路モジュールの斜視図及び横断面図である。この変形例では、高周波回路素子Aに3つの誘電部材1a〜1cを同じ高さ位置で長手方向に直列に並べ、高周波回路素子Bに3つの誘電部材1d〜1fを同じ高さ位置で長手方向に直列に並べている。
そして、図26(a),(b)に示す構造を有する高周波回路モジュールを、以下のような手順で形成した。高周波回路素子A(帯域通過フィルタ)においては、誘電部材1a,1cとして、サイズ1×1×5.6mmの四角柱の誘電体セラミックス(比誘電率:21,fQ値:70000GHz)を、誘電部材1bとして、サイズ1×1×5.4mmの四角柱の誘電体セラミックス(比誘電率:21,fQ値:70000GHz)をそれぞれ準備し、これらの誘電部材1a〜1cを、内壁が金メッキされた亜鉛−銅合金製の遮蔽導体2aの中に固定する。遮蔽導体2aの内壁の寸法は3×3×24.1mmである。
また、高周波回路素子B(帯域通過フィルタ)においては、誘電部材1d,1fとして、サイズ1×1×5.8mmの四角柱の誘電体セラミックス(比誘電率:21,fQ値:70000GHz)を、誘電部材1bとして、サイズ1×1×5.6mmの四角柱の誘電体セラミックス(比誘電率:21,fQ値:70000GHz)をそれぞれ準備し、これらの誘電部材1d〜1fを、内壁が金メッキされた亜鉛−銅合金製の遮蔽導体2bの中に固定する。遮蔽導体2bの内壁の寸法は3×3×25.7mmである。
そして、支持部材3a,3bとしてポリテトラフルオロエチレン樹脂を用いて、遮蔽導体2aと誘電部材1a〜1cとの隙間、及び遮蔽導体2bと誘電部材1d〜1fとの間隙を満たした。伝送線路4は、アルミナ焼結体からなる伝送線路基板6の上に、金薄膜(厚さ:10μm,幅:約0.3mm(特性インピーダンス:50Ω)からなるストリップ導体5a,5cを乗せたものを形成し、このストリップ導体5a,5cを伝送線路基板6上で遮蔽導体2a,2bの内部まで延ばして、先端部を結合プローブ部8とする。
また、移相回路18は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂基板からなる移相回路基板19の上にパターン化された金薄膜によるストリップ導体5bを形成し、基幹部と2つの分岐部とからなるT字形のパターンを形成している。ストリップ導体5bの幅は、特性インピーダンスが50Ω付近となるように、0.5mmにした。
なお、移相回路18とは、ストリップ導体の長さを適度に設定することによりそれぞれ分岐の他方のクロスバンド帯域を電気的にほぼオープンとし分岐・合成する働きを持つものである。
図27(a),(b)は、それぞれ順に、送信側の損失量の周波数特性及び受信側の損失量の周波数特性を示す図である。図27(a),(b)から、本参考形態の高周波回路モジュールは、3段×3段の共用器として良好に動作していることが確認できる。挿入損失は約2dB、クロスバンドの減衰量は約53から55dBであった。
また、本構成においても参考形態1の図1のように、伝送線路4を誘電部材1a,1bに対して、それぞれ長手方向に直列に並べることも可能である。
図28(a),(b)は、上記第1参考形態又は変形例における位相回路18の好ましい構造例をそれぞれ示す断面図である。図28(a)または図28(b)に示すように、高周波回路素子A,B(帯域フィルタ)の伝送線路4と移相回路18とを同一の位相回路基板19上に一体化することにより、通常接続部で起こる不整合による反射をなくすことができる。
また、本参考形態では、送受信信号を合波・分離する2波の共用器の例を示したが、本発明の高周波回路モジュールは、本参考形態の構造に限られるものではなく、3波以上の周波数帯の信号を合波・分離する場合にも有効である。その際には、移相回路基板19上の位相回路18のパターンは、合波・分離する周波数帯の数だけ分岐されたパターンを用いればよい。また、分岐数が多いときは、図28(a),(b)に示すような2分岐線路を複数個の組み合わせて、分岐の先にさらに同様の分岐線路を繋いで、枝分かれさせたパターンを用いることも有効である。いずれの場合においても、分岐部分から各フィルタ(高周波回路素子)までの位相変化量(電気長)を調整することによって、共用器としての動作が実現できる。
(第2の実施形態)
図29は、第1の参考形態における誘電部材1を、端部から中央部に向かって断面が拡大していくように形成した,本発明の第2の実施形態に係る高周波回路素子の縦断面図である。このように、誘電部材1の中央部付近の断面寸法を大きくすることによって、誘電部材(共振体)の長さを短くすることが可能である。これは、TMモード電界強度が誘電部材の中央付近で最も大きくなるため、この付近の断面を大きくすることで、共振モードの実効的な誘電率を大きくすることになるからである。そして、このような誘電部材の形状は、第2〜第12の参考形態および第1の実施形態(変形例を含む)についても、適用することができる。
(その他の実施形態)
上記各実施形態および上記各参考形態では、誘電部材1として、矩形断面を有する四角柱形状の誘電部材におけるTM11δ モードを用いているが、本発明はこのような構造に限る必要はなく、円形断面の円柱形状の誘電部材を用いても、上記上記各実施形態および上記各参考形態と同様の効果を発揮することができる。この場合、共振モードはTM01δ という呼称を用いるのが慣例となっている。また、誘電部材の断面形状についても、長さ方向、つまり、誘電部材内部の電界の方向に対して一定の形状の誘電部材を例に挙げて述べているが、部分的に断面形状を変化させた場合でも同様に有効である
た、上記第1参考形態を除く各参考形態と第1の実施形態との具体例において、誘電部材1をZrO2・TiO2・MgNb26を主成分とする材料(比誘電率:42.2,fQ値:43000GHz)により構成したが、必ずしもこの材料に限る必要はない。誘電部材1として、支持部材3よりも誘電率の高い材料を用いればTM11δ モードが存在し、本発明の効果を確実に発揮することができる。
また、共振器のQ値は誘電部材1を構成する材料の誘電損失によって大きな影響を受けるので、誘電部材1としては損失の少ない材料(fQ値の大きな材料)を用いることが好ましく、また、誘電率の大きな材料を用いると、同じ共振周波数を得るのに必要な誘電部材1の長さや太さが小さくて良いので、共振器の小型化が実現できる。
図30は、3種類のセラミックス材料を用いたときの26GHzでの誘電部材と遮蔽導体の寸法と、無負荷Qの実測値を表にして示す図である。
誘電部材1として、たとえばアルミナのようなより低誘電率で、損失の小さなものを用いれば、共振器のサイズは大きくなるが、さらに無負荷Q値の大きな共振器が得られる。
上記各具体例における支持部材3としては、比誘電率が2のポリテトラフルオロエチレンを例に挙げたが、これに限る必要はなく、誘電部材1を支持・固定することができる材料であればよい。ただし、支持部材3の誘電率は誘電部材1に比べて低いものが好ましい。実際には、誘電部材1として比誘電率20以上の誘電部材を用いた場合、支持部材3としては比誘電率がおおむね15以下の材料を用いれば、より好ましい特性が得られる。
また、第9の参考形態を除く各参考形態と第1および第2の実施形態とにおいては、支持部材3が遮蔽導体2内の隙間に充填されている場合の構成について述べたが、必ずしもこのような構成に限る必要はなく、他の参考形態、第1の実施形態および第2の実施形態においても、第9の参考形態のような誘電部材支持構造を採用することができる。
また、上記各実施形態および上記各参考形態において例示した帯域通過フィルタと帯域阻止フィルタ(ノッチフィルタ)とを、マイクロストリップ線路などからなる分岐線路などで接続することによって、周波数が相異なる送受信信号を分離するデュプレクサを構成することができる。この場合、たとえば、送信周波数、及び、受信周波数付近に中心周波数を有する2つの帯域通過フィルタを、適当な位相変化量を有する分岐伝送線路の分岐部に入出力結合させることで構成される。さらに、所望の仕様を満たすために、必要に応じて、帯域通過フィルタに帯域阻止フィルタを直列に接続し、クロスバンドの減衰を増やすことも可能である。
また、上記各実施形態および上記各参考形態においては、設計周波数帯として26GHz帯での場合を例に挙げて説明したが、この周波数帯に限る必要はなく、所望の周波数に合わせて、誘電部材の寸法を変えれば広い周波数範囲において適用が可能である。特に、共振器に誘電率が20〜40程度の材料を用いた場合、5GHzから100GHz程度の範囲においては共振器の幅がおおむね0.1mm〜10mmの範囲に入るので、本発明の構造を用いる場合にも、高周波回路素子の寸法が適度な大きさとなり都合がよい。とりわけ、20〜70GHzの範囲では、図30に示す低損失なセラミックス材料を用いて構成することによって、他の構造の誘電部材に比べて高い無負荷Q値を示し、また、回路基板上に実装するのに十分小型で、かつ、特別な精度の加工を必要としない程度の大きさであるので、本発明の効果が非常に大きい。
さらに、上記各実施形態および上記各参考形態においては、2つの伝送線路4が共通の接地導体層9の上に設けられている構造としたが、本発明の高周波回路素子における伝送線路は必ずしもかかる構造に限定されるものではない。
図31(a),(b),(c)は、1対の伝送線路が接地導体層の上に形成されている場合の構造例を示す平面図である。図31(a)〜(c)に示すように、結合プローブ10となる部分が誘電部材1のいずれかの一部に対向さえしていれば、入出力結合機能を有するので、本発明の基本的な効果を発揮することができる。なお、コプレーナ線路を構成する場合には、図31(a)〜(c)に示す接地導体層9は、伝送線路基板6の上でストリップ導体5と同じ側に形成されていることになる。また、結合プローブ10として機能する部分には、伝送線路基板6や接地導体層9が存在している必要はない。
また、上記各実施形態および上記各参考形態においては、伝送線路4として、マイクロストリップ線路又はコプレーナ線路を用いた例について説明したが、本発明の高周波回路素子又は高周波回路モジュールにおける伝送線路4は、かかる各実施形態および各参考形態に限定されるものではない。
図32(a)〜(i)は、本発明の高周波回路素子又は高周波回路モジュールに用いることができる伝送線路の例を示す断面図である。図32(a)〜(i)において、上記各上記各実施形態および上記各参考形態と同様に、5はストリップ導体、6は伝送線路基板、9は接地導体層の例を示している。図32(a)はもっとも一般的なマイクロストリップ線路の例を示し、図32(b)は多線状マイクロストリップ線路の例を示し、図32(c)はコプレーナ線路の例を示し、図32(c)はTFMS(Thin Film Microstrip)線路の例を示し、図32(d)はインバーテッドTFMS線路の例を示し、図32(e)はインバーテッドTFMS線路の例を示し、図32(f)は広面結合TFMS線路の例を示し、図32(g)はスリット付きTFMS線路の例の例を示し、図32(h)はマイクロワイヤ線路の例を示し、図32(i)はストリップ線路の例を示している。本発明の高周波回路素子又は高周波回路モジュールは、図32(a)〜(i)に示すいずれか1つの構造、又は、これらの構造が複数種類混在した伝送線路を用いることができる。
本発明は、
1.ミリ波あるいはマイクロ波を用いたFWA(Fixed Wireless Access)システムの送受信機内の高周波回路部
2.移動体通信(携帯電話)システムの端末機、及び、基地局の高周波回路部分
3.光通信システムにおける高周波の変調信号を扱う回路
4.無線LAN装置の高周波回路部分
5.車々車間通信、路車間通信システムの高周波回路部分
6.ミリ波レーダーシステムの高周波回路部分
等に利用することができる。
(a),(b),(c)は、それぞれ順に、本発明の第1の参考形態に係る高周波回路素子の斜視図、縦断面図及び横断面図である。 (a),(b)は、それぞれ順に、本発明の第2の参考形態に係る高周波回路素子の斜視図及び横断面図である。 電磁界解析によってシミュレーションされた第2の参考形態の具体例の高周波回路素子の挿入損失の周波数特性(透過特性)である。 試作された第2の参考形態の具体例の高周波回路素子の挿入損失の周波数特性の実測データである。 本発明の第3の参考形態に係る高周波回路素子の縦断面図である。 電磁界解析によってシミュレーションされた第3の参考形態の具体例に係る高周波回路素子の挿入損失の周波数特性(透過特性)である。 (a),(b)は、それぞれ順に、本発明の第4の参考形態に係る高周波回路素子の縦断面図及び横断面図である。 本発明の第5の参考形態に係る高周波回路素子の横断面図である。 第5の参考形態の具体例の高周波回路素子における先端部の長さと入出力結合度を表す外部Q値(Qe)との関係を、3次元電磁界解析によりシミュレーションした結果を示す図である。 本発明の第6の参考形態に係る高周波回路素子の横断面図である。 第6の参考形態の具体例における2つの誘電部材間の結合度kと誘電部材の間隔dとの関係をシミュレーションした結果を示す図である。 第6の参考形態の具体例で試作された高周波回路素子の損失量の周波数特性を示す図である。 本発明の第7の参考形態に係る高周波回路素子の横断面図である。 本発明の第8の参考形態に係る高周波回路素子の横断面図である。 第8の参考形態の具体例の高周波回路素子における挿入損失の周波数特性を電磁界解析によりシミュレーションした結果を示す図である。 (a),(b),(c)は、それぞれ順に、本発明の第9の参考形態に係る高周波回路素子の横断面図、長手方向の縦断面図及び長手方向に直交する縦断面図である。 (a),(b)は、それぞれ順に、本発明の第10の参考形態に係る高周波回路素子の斜め上からみた斜視図及び斜め下からみた斜視図である。 (a),(b)は、それぞれ順に、第10の参考形態に係る高周波回路素子の縦断面図及び横断面図である。 (a),(b),(c)は、それぞれ順に、本発明の第の実施形態に係る高周波回路素子の斜視図、縦断面図及び横断面図である。 (a),(b),は、それぞれ順に、第の実施形態に係る高周波回路素子の誘電体基板の上面図及び裏面図である。 (a),(b)は、それぞれ順に、本発明の第1参考形態に係る高周波回路素子の横断面図及び縦断面図である。 第1参考形態の具体例の高周波回路素子の共振周波数と周波数調整ねじの挿入量との関係を示す図である。 第1参考形態の具体例の高周波回路素子の共振周波数と周波数調整ねじの挿入量との関係を示す図である。 第1参考形態の具体例の高周波回路素子の共振周波数と段間結合度調整ねじの挿入量との関係を示す図である。 (a),(b)は、それぞれ順に、本発明の第1参考形態に係る高周波回路モジュールの斜視図及び横断面図である。 (a),(b)は、それぞれ順に、第1参考形態の変形例に係る高周波回路モジュールの斜視図及び横断面図である。 (a),(b)は、それぞれ順に、送信側の損失量の周波数特性及び受信側の損失量の周波数特性を示す図である。 (a),(b)は、第1参考形態又は変形例における位相回路の好ましい構造例をそれぞれ示す断面図である。 第1の参考形態における誘電部材1を、端部から中央部に向かって断面が拡大していくように形成した,本発明の第2の実施形態にかかる高周波回路素子の縦断面図である。 3種類のセラミックス材料を用いたときの26GHzでの誘電部材と遮蔽導体の寸法と、無負荷Qの実測値を表にして示す図である。 (a),(b),(c)は、1対の伝送線路が接地導体層の上に形成されている場合の構造例を示す平面図である。 (a)〜(i)は、本発明の高周波回路素子又は高周波回路モジュールに用いることができる伝送線路の例を示す断面図である。
符号の説明
1 誘電部材
2 遮蔽導体
3 支持部材
4 伝送線路
5 ストリップ導体
6 伝送線路基板
7 絶縁体
8 結合プローブ部
9 接地導体層
10 先端部
11 屈曲部
12 誘電体基板
13 溝
14,15 周波数調整ねじ
16 段間結合度調整ねじ
17 導体被膜
18 移相回路
19 移相回路基板
20 誘電体基板
21 ビアホール

Claims (2)

  1. 電磁波の共振状態を生じさせることが可能な少なくとも1つの誘電部材と、
    上記誘電部材の周囲を取り囲む誘電率が該誘電部材よりも小さな支持部材と、
    上記支持部材の周囲を取り囲む遮蔽導体と、
    上記誘電部材の一部に対向して配置されるストリップ導体,該ストリップ導体に対向する接地導体層,及びストリップ導体−接地導体層間に介在する誘電体層を有する少なくとも1つの伝送線路と、
    上記伝送線路に接続され、上記誘電部材との間で電磁波の入力結合機能又は出力結合機能を有する結合プローブと
    を備えており、
    上記誘電部材は、矩形断面におけるTM11δ モード、あるいは円形断面におけるTM01δ モードで励振されるものであり、
    前記結合プローブは、前記誘電部材の外面であって、前記矩形断面または円形断面に略平行な面の近傍に配置されており、
    誘電体基板と、
    上記誘電体基板の上記誘電部材に対向する面上に形成され、上記遮蔽導体の一部となる第1の導体膜とをさらに備えていることを特徴とする高周波回路素子。
  2. 電磁波の共振状態を生じさせることが可能な少なくとも1つの誘電部材と、
    上記誘電部材の周囲を取り囲む誘電率が該誘電部材よりも小さな支持部材と、
    上記支持部材の周囲を取り囲む遮蔽導体と、
    上記誘電部材の一部に対向して配置されるストリップ導体,該ストリップ導体に対向する接地導体層,及びストリップ導体−接地導体層間に介在する誘電体層を有する少なくとも1つの伝送線路と、
    上記伝送線路に接続され、上記誘電部材との間で電磁波の入力結合機能又は出力結合機能を有する結合プローブと
    を備えており、
    上記誘電部材は、矩形断面におけるTM 11 δ モード、あるいは円形断面におけるTM 01 δ モードで励振されるものであり、
    前記結合プローブは、前記誘電部材の外面であって、前記矩形断面または円形断面に略平行な面の近傍に配置されており、
    上記誘電部材の長手方向に垂直な方向における誘電部材の断面形状が、その面積が中央部で最大になるように変化していることを特徴とする高周波回路素子。
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