JP3737242B2 - 電線被覆用塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電線被覆用塩化ビニル系樹脂組成物、詳しくは、塩化ビニル系樹脂に、ベンゾトリアゾール化合物およびβ−ジケトン化合物を併用添加することにより、着色性、耐銅汚染性などが良好な電線被覆用塩化ビニル系樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
塩化ビニル系樹脂は、優れた電気絶縁性、耐アーク性、耐トラッキング性、耐電圧性を有していることから、ゴム、ポリオレフィン等に比較して絶縁材料として非常に重要なものである。しかしながら、塩化ビニル系樹脂は、熱的および酸化的劣化によりその優れた諸特性の低下をきたし、実際上、使用に耐えなくなる。
【0003】
また、電線被覆用途に用いた場合には、銅線に接触し、銅イオンの触媒作用によって塩化ビニル系樹脂の酸化劣化が促進されるという問題を有していた。
【0004】
このような銅イオンによる悪影響を防止するため、ベンゾトリアゾール化合物などの重金属不活性化剤を使用することが知られていた。例えば、特公昭47−41735号公報には、ニトロ基、ハロゲン基またはアルコキシル基を有するベンゾトリアゾール化合物を用いて塩化ビニル系樹脂の熱による色相安定化法が提案されており、特開昭56−147839号公報には、ジアルキルフタレート、塩素化パラフィン、クレー及びベンゾトリアゾール系化合物を配合してなる軟質ポリ塩化ビニル系樹脂組成物が提案されている。しかし、これらのベンゾトリアゾール化合物を単独で塩化ビニル系樹脂に使用した場合には、その効果が小さく、また比較的多量に配合する必要があり、着色性を低下したり、あるいは被覆材と銅線とが粘着するなどの問題があった。
【0005】
また、β−ジケトン化合物は、塩化ビニル系樹脂用の安定剤として用いられており、特に製品の初期の着色を改善する効果を有しているは知られていた。しかし、これまでに、これをベンゾトリアゾール化合物と組み合わせて使用することについては試みられてなかった。
【0006】
従って、本発明の目的は、優れた着色性、耐銅汚染性を有し、且つ優れた電気絶縁性を有する電線被覆材料として好適な塩化ビニル系樹脂絶縁材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、特定のベンゾトリアゾール化合物およびβ−ジケトン化合物を塩化ビニル系樹脂に併用添加することにより、上記目的を達成し得ることを知見した。
【0008】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、塩化ビニル系樹脂100重量部に、(a)下記〔化2〕(前記〔化1〕と同じ)の一般式(I)で表されるベンゾトリアゾール化合物の少なくとも一種0.001〜10重量部および(b)β−ジケトン化合物の少なくとも一種0.001〜10重量部を配合してなる電線被覆用塩化ビニル系樹脂組成物を提供するものである。
【0009】
【化2】
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電線被覆用塩化ビニル系樹脂組成物について詳細に説明する。
【0011】
本発明に使用される(a)成分である上記一般式(I)で表されるベンゾトリアゾール化合物において、該一般式(I)中、R1 、R2 、R3 およびR4 で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などがあげられ、アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチルなどの低級アルキル基があげられ、アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニルなどの基があげられ、アルカノイルアミノ基としては、オクチロイルアミノ、デカノイルアミノなどの基があげられる。
【0012】
上記ベンゾトリアゾール化合物としては、例えば、1,2,3−ベンゾトリアゾール、4−クロロ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、4−ニトロ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、4−メチル−1,2,3−ベンゾトリアゾール、6−メチルベンゾトリアゾール、6−ブチル−1,2,3−ベンゾトリアゾール、6−ドデシル−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−メトキシカルボニル−1,2,3−ベンゾトリアゾール、6−オクチロイルアミノ−1,2,3−ベンゾトリアゾールなどがあげられるが、特に、1,2,3−ベンゾトリアゾールあるいは4−メチル−1,2,3−ベンゾトリアゾール、6−メチルベンゾトリアゾール等の低級アルキル置換−1,2,3−ベンゾトリアゾールが好ましい。これらのベンゾトリアゾール化合物は、一種単独でまたは二種以上混合して使用することができる。
【0013】
上記ベンゾトリアゾール化合物の使用量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部である。該使用量が0.001重量部未満ではその効果が十分に発揮されず、10重量部よりも多い場合には、絶縁性を低下したり、ブルームするなどの欠点が生じる。
【0014】
本発明に使用される(b)成分であるβ−ジケトン化合物としては、例えば、デヒドロ酢酸、アセチルテトラロン、ベンゾイルテトラロン、2−ベンゾイルシクロヘキサノン、ジベンゾイルメタン、ベンゾイル−4−クロロベンゾイルメタン、ビス(4−メチルベンゾイル)メタン、4−第三ブチルベンゾイル−4−メトキシベンゾイルメタン、ベンゾイル−4−イソプロピルベンゾイルメタン、ビス(4−メトキシベンゾイル)メタン、アセチルベンゾイルメタン、アセチルベンゾイルアリルメタン、プロピオニル−3−メトキシカルボニルベンゾイルメタン、イソバレロイルベンゾイルイメタン、オクタノイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、ジピバロイルメタン、ジステアロイルメタン、トリベンゾイルメタン、1,3−ビス(ベンゾイルアセチル)ベンゼンあるいはこれらの金属塩(リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、銅、鉄、チタン等の塩)などがあげられるが、特に、ジベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、アセチルベンゾイルメタン等のジアロイルメタンあるいはアルカノイルアロイルメタンが優れた性能を示すため好ましい。これらのβ−ジケトン化合物は、一種単独でまたは二種以上混合して使用することができる。
【0015】
上記β−ジケトン化合物の使用量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部である。該使用量が0.001重量部未満ではその効果が十分に発揮されず、10重量部よりも多くてもその増量効果がみられないばかりか、耐熱性が低下する。
【0016】
本発明に使用される塩化ビニル系樹脂としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などその重合方法には特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリテン、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニリトル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソプレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−各種ビニルエーテル共重合体などの塩素含有樹脂、およびそれら相互のブレンド品、あるいは該塩素含有樹脂と、他の塩素を含まない合成樹脂、例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリリレート共重合体、ポリエステルなどとのブレンド品、ブロック共重合体、グラフト共重合体などをあげることができる。
【0017】
本発明の組成物には、通常用いられる金属系安定剤を添加することができ、該金属系安定剤としては、例えば、鉛系安定剤、有機酸金属塩、有機錫系安定剤およびこれらの複合安定剤などがあげられる。
【0018】
上記鉛系安定剤としては、例えば、鉛白、塩基性珪酸鉛、塩基性硫酸鉛、二塩基性硫酸鉛、三塩基性硫酸鉛、塩基性亜硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、シリカゲル共沈珪酸鉛、二塩基性フタル酸鉛、三塩基性マレイン酸鉛、サリチル酸鉛、ステアリン酸鉛、塩基性ステアリン酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛、ラウリン酸鉛、オクチル酸鉛、12−ヒドロキシステアリン酸鉛、ベヘニン酸鉛、ナフテン酸鉛などがあげられる。
【0019】
また、上記有機酸金属塩としては、カルボン酸、有機リン酸類またはフェノール類の金属(Li,Na,K,Ca,Ba,Mg,Sr,Zn,Cd,Sn, Cs,Al,有機Sn)塩などが用いられ、該カルボン酸としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、2−エチルヘキシル酸、カプリン酸、ネオデカン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、クロロステアリン酸、12−ケトステアリン酸、フェニルステアリン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレイン酸、オレイン酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸、ブラシジン酸および類似酸ならびに獣脂脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、桐油脂肪酸、大豆油脂肪酸及び綿実油脂肪酸などの天然に産出する上記の酸の混合物、安息香酸、p-t-ブチル安息香酸、エチル安息香酸、イソプロピル安息香酸、トルイル酸、キシリル酸、サリチル酸、5-t-オクチルサリチル酸、ナフテン酸、シクロヘキサンカルボン酸等があげられ、また、該有機リン酸類としては、例えば、モノまたはジオクチルリン酸、モノまたはジドデシルリン酸、モノまたはジオクタデシルリン酸、モノまたはジ−(ノニルフェニル)リン酸、ホスホン酸ノニルフェニルエステル、ホスホン酸ステアリルエステルなどがあげられ、また、該フェノール類としては、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、シクロヘキシルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフエノールなどがあげられ、これらは正塩、酸性塩、塩基性塩あるいは過塩基性錯体であってもよい。
【0020】
また、上記有機錫系安定剤としては、例えば、メチルスタノイック酸、ブチルスタノイック酸、オクチルスタノイック酸、ジメチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、ジメチル錫サルファイド、ジブチル錫サルファイド、ジオクチル錫サルファイド、モノブチル錫オキサイド・サルファイド、メチルチオスタノイック酸、ブチルチオスタノイック酸、オクチルチオスタノイック酸、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジオレート、ジブチル錫塩基性ラウレート、ジブチル錫ジクロトネート、ジブチル錫ビス(ブトキシジエチレングリコールマレート)、ジブチル錫メチル・オクチル・ネオペンチルグリコールマレート、ジブチル錫イソオクチル・1,4−ブタンジオールマレート、ジブチル錫ジメタクリレート、ジブチル錫ジシンナメート、ジオクチル錫ビス(オレイルマレート)、ジブチル錫ビス(ステアリルマレート)、ジブチル錫イタコネート、ジオクチル錫マレート、ジメチル錫ジクロトネート、ジオクチル錫ビス(ブチルマレート)、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫ジラウロキシド、ジオクチル錫エチレングリコキシド、ペンタエリスリトール・ジブチル錫オキシド縮合物、ジブチル錫ビス(ラウリルメルカプタイド)、ジメチル錫ビス(ステアリルメルカプタイド)、モノブチル錫トリス(ラウリルメルカプタイド)、ジブチル錫−β−メルカプトプロピオネート、ジオクチル錫−β−メルカプトプロピオネート、ジブチル錫メルカプトアセテート、モノブチル錫トリス(イソオクチルメルカプトアセテート)、モノオクチル錫トリス(2−エチルヘキシルメルカプトアセテート)、ジブチル錫ビス(イソオクチルメルカプトアセテート)、ジオクチル錫ビス(イソオクチルメルカプトアセテート)、ジオクチル錫ビス(2−エチルヘキシルメルカプトアセテート)、ジメチル錫ビス(イソオクチルメルカプトアセテート)、ジメチル錫ビス(イソオクチルメルカプトプロピオネート)、モノブチル錫トリス(イソオクチルメルカプトプロピオネート)、ビス〔モノブチルジ(イソオクトキシカルボニルメチレンチオ)錫〕サルファイド、ビス〔ジブチルモノ(イソオクトキシカルボニルメチレンチオ)錫〕サルファイド、モノブチルモノクロル錫ビス(イソオクチルメルカプトプロピオネート)、モノブチルモノクロロ錫ビス(イソオクチルメルカプトアセテート)、モノブチルモノクロロ錫ビス(ラウリルメルカプタイド) 、ブチル錫ビス(エチルセルソロブマレート)、ビス(ジオクチル錫ブチルマレート)マレート、ビス(メチル錫ジイソオクチルチルグリコレート)ジサルファイド、ビス(メチル/ジメチル錫モノ/ジイソオクチルチオグリコレート)ジサルファイド、ビス(メチル錫ジイソオクチルチオグリコレート)トリサルファイド、ビス(ブチル錫ジイソオクチルチオグリコレート)トリサルファイド、2−ブトキシカルボニルエチル錫トリス(ブチルチオグリコレート)などがあげられる。
【0021】
上記金属系安定剤の添加量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.05〜10重量部である。
【0022】
また、本発明の組成物には、さらに通常塩化ビニル系樹脂用添加剤として用いられている各種の添加剤、例えば、可塑剤、ポリオール類、エポキシ化合物、リン系、フェノール系または硫黄系抗酸化剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、ハイドロタルサイト化合物、その他の無機系安定剤、充填剤等を配合することもできる。
【0023】
上記可塑剤としては、例えば、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレートなどのフタレート系可塑剤、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジ(ブチルジグリコール)アジペートなどのアジペート系可塑剤、トリメリテート系可塑剤、ピロメリテート系可塑剤、ビフェニルテトラカルボキシレート系可塑剤、ホスフェート系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、塩素化パラフィン系可塑剤などがあげられる。
【0024】
上記ポリオール類としては、例えば、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールまたはジペンタリスリトールのステアリン酸ハーフエステル、ビス(ジペンタエリスリトール)アジペート、グリセリン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどあげられる。
【0025】
上記エポキシ化合物としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化桐油、エポキシ化魚油、エポキシ化牛脂油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化サフラワー油などのエポキシ化動植物油、エポキシ化ステアリン酸メチル、−ブチル、−2−エチルヘキシル、−ステアリルエステル、エポキシ化ポリプタジエン、トリス(エポキシプロピル)イソシアヌレート、エポキシ化トール油脂肪酸エステル、エポキシ化アマニ油脂肪酸エステル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジエポキサイド、ジシクロヘキセンジエポキサイド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルエポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどのエポキシ化合物などがあげられる。
【0026】
上記リン系抗酸化剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノ(ジノニルフェニル)ビス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ (ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(C12-15 混合アルキル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール) ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)( オクチル) ホスファイト等があげられる。
【0027】
上記フェノール系抗酸化剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン−ビス〔β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−ブチルフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコールビス〔β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕などがあげられる。
【0028】
上記硫黄系抗酸化剤としては、例えば、チオジプロピオン酸のジラウリル、ジミリスチル、ミリスチルステアリル、ジステアリルエステルなどのジアルキルチオジプロピオネート類およびペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)などのポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類などがあげられる。
【0029】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)などの2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステルなどの2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンなどの2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリドなどの置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレートなどのシアノアクリレート類;各種の金属塩又は金属キレート、特にニッケル又はクロムの塩又はキレート類などがあげられる。
【0030】
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラエチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ〕ウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ〕ウンデカンなどのヒンダードアミン化合物があげられる。
【0031】
上記ハイドロタルサイト化合物は、下記一般式(II)で表される様に、マグネシウム、アルカリ金属および/または亜鉛とアルミニウムとの炭酸および/または過塩素酸複塩化合物であり、結晶水を脱水したものであってもよい。
【0032】
Iax1Mgx2Znx3Aly(OH)x1+2(X2+X3)+3y-2・(CO3)1-z/2(ClO4)Z・mH2O (II)
(式中、Iaはアルカリ金属原子を表し、x1、x2、x3、yおよびzは各々下記式で表される条件を示し、mは実数を示す。
0≦x1≦10,0≦x2≦10,0≦x3≦10,1≦y≦10,0≦z≦1,但しx1およびx2は同時に0となることはない。)
【0033】
上記ハイドロタルサイト化合物は天然物であってもよく、また合成品であってもよい。該合成品の合成方法としては、特公昭46−2280号公報、特公昭50−30039号公報、特公昭51−29129号公報、特公平3−36839号公報、特開昭61−174270号公報などに記載の公知の方法を例示することができる。また、上記ハイドロタルサイト化合物は、その結晶構造、結晶粒子径などに制限されることなく使用することが可能である。
【0034】
また、上記ハイドロタルサイト化合物としては、その表面をステアリン酸のごとき高級脂肪酸、オレイン酸アルカリ金属塩のごとき高級脂肪酸金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩のごとき有機スルホン酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステルまたはワックスなどで被覆したものも使用できる。
【0035】
上記のその他の無機系安定剤としては、例えば、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、非結晶性アルミノシリケート、ゼオライト結晶構造を有するアルカリおよび/またはアルカリ土類のアルミノシリケート、粉末けい酸(シリカ)類、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸マグネシウム及び過塩素酸バリウムなどがあげられる。
【0036】
上記充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、クレー、ガラスビーズ、マイカ、セリサイト、ガラスフレーク、アスベスト、ウオラストナイト、チタン酸カリ、PMF、石膏繊維、ゾノライト、MOS、ホスフェートファイバー、ガラス繊維、炭酸繊維、アラミド繊維などがあげられる。
【0037】
その他、本発明の組成物には、必要に応じて通常塩化ビニル系樹脂に使用される添加剤、例えば、架橋剤、帯電防止剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、滑剤、難燃剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、金属不活性剤、離型剤、顔料、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤等を配合することができる。
【0038】
本発明の組成物の配合組成は、上述した通りであるが、特に、塩化ビニル系樹脂100重量部に、上記ベンゾトリアゾール化合物〔(a)成分〕0.01〜5重量部およびβ−ジケトン化合物〔(b)成分〕0.01〜5重量部を配合してなる組成が好ましい。
【0039】
本発明の組成物は、通常の方法により調製され、また、通常の方法により電線被覆材料としての用途に適用される。
【0040】
本発明の組成物は、銅線と被覆材料とが粘着することなく、初期着色性が優れ、熱履歴後の色相変化が小さく、しかも耐銅汚染性にも優れたものである。
【0041】
【実施例】
次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例によって制限を受けるものではない。
【0042】
実施例1
下記の配合物を160℃、20rpmで6分間ロール上で混練した後、180℃で5分間プレスして厚さ1mmのシートを作成し、シートの黄色度を測定した。また、同じ条件で30分間プレスしたシートの黄色度も測定した。また、このシートから試験片を作成し、210℃のギヤーオーブン中で加熱し、黒化するまでの時間を測定して熱安定性を評価した。
【0043】
また、ロールシートに銅箔をサンドして180℃で5分間プレスして厚さ1mmの積層フィルムを作成し、これを60℃、湿度80%の恒温恒湿槽に入れて、1か月後および3か月後の塩化ビニルフィルムの着色性を目視によって判定し、銅汚染性を評価した。評価基準は1〜10の10段階で、1がほとんど着色のない状態を表し、数値の増大に伴って着色が大きくなることを示す。
【0044】
また、前記の積層フィルムの一方の被覆材と銅箔との界面を一部剥離し、銅箔面を固定し、被覆材にバネ計りを取付け、ゆっくりと剥離して、その時にバネ計りが示す最高の値を読み取り、剥離強度を評価した。
【0045】
それらの結果を下記〔表1〕に示す。
【0046】
【0047】
【表1】
【0048】
実施例2
下記の配合物にて、実施例1と同様の試験(剥離強度を除く)を行なった。それらの結果を下記〔表2〕に示す。
【0049】
【0050】
【表2】
【0051】
実施例3
下記の配合物にて、実施例2と同様の試験を行なった。それらの結果を下記〔表3〕に示す。
【0052】
【0053】
【表3】
【0054】
上記〔表1〕〜〔表3〕の結果から明らかなように、塩化ビニル系樹脂に、ベンゾトリアゾール化合物を単独で使用した場合においては少量では銅汚染性の改善効果が小さく(比較例1−3、3−1)、増量するとその効果がある程度増加するものの、着色を生じたり、被覆材−銅界面の粘着を生じるなどの欠点を生じる(比較例1−4、2−3)。また、β−ジケトン化合物を単独で使用した場合においては、銅汚染性の改善効果はほとんど見られない(比較例1−1、2−1、3−2)。
【0055】
これに対し、塩化ビニル系樹脂に、前記一般式(I)で表されるベンゾトリアゾール化合物およびβ−ジケトン化合物を併用添加することで、その相乗効果により、銅汚染性は著しく改善され、かつ熱着色性などを低下することもなく、しかも被覆材−銅界面の粘着を生じることもない(実施例1−1〜1−3、2−1〜2−3、3−1〜3−3)。
【0056】
【発明の効果】
本発明の電線被覆用塩化ビニル樹脂組成物は、着色性、銅汚染性などに優れたものであり、電線被覆材料として好適に使用できる。
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