JP3737012B2 - 反射防止膜形成用組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラスまたは透明な基材の表面に塗布し、被膜を形成することにより当該基材の表面での光線反射を減少させる効果を有する組成物に関する。
【0002】
【従来技術】
基材表面での光線反射を低下させる方法として、MgF2膜あるいはTiO2膜とSiO2膜とからなる多層膜を基材表面に形成する方法が知られているが、膜形成方法での制約により大きな物品への適用に制限があり、さらにMgF2膜等では焼き付け工程が必要であるためプラスチック物品では実用性のある膜を形成できなかった。
【0003】
また別の方法としてポリテトラフルオロエチレンあるいはテトラフルオロエチレンの共重合体等の含フッ素重合体からなる膜を基材表面に形成することにより光線反射を低下させる方法が考えられているが、これらの含フッ素重合体は透明性が低く溶剤溶解性に問題があった。
【0004】
さらに最近、「テフロンAF」(商品名:アメリカ、デュポン社製)、「サイトップ」(商品名:旭硝子(株)製)等のアモロファス樹脂を使用する方法が考えられているが、これらの樹脂は透明性は高いものの溶解する溶剤に制約がある上に、耐摩耗性の要求される用途では使用できない場合があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、硬度が高い反射防止膜を形成するための反射防止膜用組成物とそれを用いて反射防止膜を形成した物品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば下記化学式(1)で表される繰り返し単位を含有する含フッ素重合体(A)を造膜成分とする反射防止膜形成用組成物が提供される。
【0007】
【化2】
【0008】
以下本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明の反射防止膜形成用組成物は前記化学式(1)で表される環状構造を有する含フッ素重合体を造膜成分として含有し、均一な溶液を形成できる溶剤を含むことができ、さらに含フッ素重合体(A)を硬化させ強固な膜を形成するのに十分な量の硬化剤を含むことができる。
【0010】
化学式(1)で表される繰り返し単位を本発明にかかる含フッ素重合体に導入する方法としてはオクタフルオロシクロペンテンの単独重合あるいはその共重合による方法が挙げられ、含フッ素重合体は、オクタフルオロシクロペンテンとその他の重合性単量体からなる単量体混合物を共重合させることで得られる。
【0011】
本発明にかかる含フッ素重合体に含まれる化学式(1)で表される繰り返し単位は1モル%以上であり、5モル%以上であるのが好ましく、10モル%以上であるのがより好ましい。
【0012】
本発明にかかる含フッ素重合体は、76.1重量%未満のフッ素含有量であって、フッ素を5重量%以上含んでおり、10重量%以上含むのが好ましく、15重量%以上含むのがより好ましい。フッ素含有量が5重量%未満では屈折率が大きく、それから調製される反射防止膜形成用組成物では充分な反射防止膜を形成することができない。
【0013】
重合反応において、オクタフルオロシクロペンテンとその他の単量体の組成比は任意であるが、全単量体混合物を100モル%としてオクタフルオロシクロペンテン1〜100モル%であり、5〜100モル%が好ましく、10〜100モル%がより好ましい。
【0014】
本発明に用いる含フッ素(共)重合体の分子量はとくに制限されず、分子量(GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)。以下、同じ。)は1,000〜1,000,000程度のものが好適に使用できる。
【0015】
本発明に用いられる含フッ素重合体を合成する際の共重合成分としての重合性単量体は、重合性二重結合を有する化合物であり特に限定されないが、オレフィン類、ビニルエーテル類、アリルエーテル類、カルボン酸ビニル類またはカルボン酸アリル類などが好適である。本明細書においては単に「ビニル」(CH2=CH−)をいう場合「アリル」(CH2=CHCH2−)を包含することがある。
【0016】
オレフィン類としては一般式CX2=CXR1(式中、Xは水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子を表し、Rは水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、置換基を有することもあるC1〜C30のアルキル基、シクロアルキル基、フルオロアルキル基、シクロフルオロアルキル基であって、置換基は低級アルキル基、シクロアルキル基、低級フルオロアルキル基を表す。)で表される末端に二重結合を有するオレフィンが好ましい。この様なオレフィン類を共重合単量体とした場合一般式−CX2−CXR1−(式中の記号は前記と同じ意味を表す)で表されるオレフィンに由来する二価の有機基が含フッ素共重合体に導入される。
【0017】
フルオロオレフィンは、重合性二重結合に直接フッ素原子またはパーフルオロアルキル基が結合した単量体をいい、例えば、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、ヘキサフルオロプロペン、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1,1,2−トリフルオロプロペン、3,3,3−トリフルオロプロペン、ヘキサフルオロイソブテン、クロロトリフルオロエチレン、1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレン、1,1−ジクロロ−2,2−ジフルオロエチレンなどが挙げられる。
【0018】
その他のオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィンが好適に使用される。また、アリルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニルなどの様なオレフィンであってもよい。
【0019】
ビニルエーテル類は、一般式CH2=CH(OR2)(式中、R2は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、置換基を有することもあるC1〜C30のアルキル基、シクロアルキル基、フルオロアルキル基、シクロフルオロアルキル基であって、置換基は低級アルキル基、シクロアルキル基、低級フルオロアルキル基、ヒドロキシ基、加水分解可能な基を有する有機珪素基、エポキシ基またはβケトエステル基を表す。)で表される化合物であり、この様なビニルエーテル類を共重合単量体とした場合一般式−CH2−CH(OR2)−(式中の記号は前記と同じ意味を表す)で表されるビニルエーテルに由来する二価の有機基が含フッ素共重合体に導入される。
【0020】
本発明に使用するビニルエーテル類のうち官能基を有しないビニルエーテル類としては、例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、β−クロロエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、sec−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、イソアミルシクロヘキシルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メチルシクロヘキシルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、フェネチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、トルイルビニルエーテル等を挙げることができる。また、1,1,1−トリフルオロエチルビニルエーテル、2,2−ジフルオロエチルビニルエーテル、テトラフルオロエチルビニルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルビニルエーテル、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルビニルエーテル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロノニルビニルエーテルなどのフルオロアルキルビニルエーテル類を挙げることができる。
【0021】
アリルエーテル類もビニルエーテル類と同様に使用でき、一般式CH2=CHCH2−(OR2)(式中の記号は前記と同じ意味を表す)で表される化合物であり、この様なアリルエーテル類を共重合単量体とした場合一般式−CH2−CH(CH2−OR2)−(式中の記号は前記と同じ意味を表す)で表されるアリルエーテルに由来する二価の有機基が含フッ素共重合体に導入される。
【0022】
アリルエーテル類のうち官能基を有しないアリルエーテルとしては、例えばメチルアリルエーテル、エチルアリルエーテル、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ベンジルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテルなどが挙げられる。
【0023】
ビニルエーテル類と同様に重合性のあるエーテル類として、一般式CF2=CF(ORf)(式中、Rfはパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロアルキルビニルエーテルも使用でき、例えば、パーフルオロメチルビニルエーテル、パーフルオロエチルビニルエーテル、パーフルオロプロピルビニルエーテル、パーフルオロブチルビニルエーテル、パーフルオロペンチルビニルエーテル、パーフルオロヘキシルビニルエーテル、パーフルオロオクチルビニルエーテル、パーフルオロドデシルビニルエーテルなどを挙げることができる。この場合、−CF2−CF(ORf)−で表される二価の基が共重合体に導入される。
【0024】
また、ヒドロキシ基を有するビニルエーテル類としては、ヒドロキシメチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールビニルエーテルなどが挙げられる。
【0025】
ヒドロキシ基を有するアリルエーテル類としては、例えばエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ヒドロキシブチルアリルエーテルなどのアルキレングリコールモノアリルエーテル類、またはアリルアルコール、グリセリンモノアリルエーテルなどの多価アルコールのアリルエーテル類が挙げられる。
【0026】
エポキシ基を有するビニルエーテル類としては、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0027】
さらに、β−ケトエステル基を含有するビニルエーテルまたはアリルエーテルとしては、アセト酢酸アリルなどが好ましく使用される。また、トリメトキシシリルビニルエーテルなどの加水分解性基を有する有機珪素基を含むビニルエーテルも使用できる。
【0028】
カルボン酸ビニルエステル類は、一般式CH2=CHOCOR3(式中、R3は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、置換基を有することもあるC1〜C30のアルキル基、シクロアルキル基、フルオロアルキル基、シクロフルオロアルキル基であって、置換基は低級アルキル基、シクロアルキル基、低級フルオロアルキル基、ヒドロキシ基、加水分解可能な基を有する有機珪素基、エポキシ基またはβケトエステル基を表す。)で表される化合物であり、この様なカルボン酸ビニルエステル類を共重合単量体とした場合一般式−CH2−CH(OCOR3)−(式中の記号は前記と同じ意味を表す)で表されるカルボン酸ビニルエステルに由来する二価の有機基が含フッ素共重合体に導入される。
【0029】
官能基を有しないビニルエステル類としては、例えばギ酸ビニル、酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、ジクロロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、クロトン酸ビニル、トリメチル酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、イソカプロン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、、カプリル酸ビニル、ペラルゴン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、バーサチック9酸ビニル(ベオバ9(シェル化学(株)製)、バーサチック10酸ビニル(ベオバ10(シェル化学(株)製)、シクロヘキサン酸ビニル、安息香酸ビニル、p-トルイル酸ビニル、p-tert-ブチル安息香酸ビニル等が挙げられる。
【0030】
また、官能基を有するビニルエステルとしては、クロトン酸ヒドロキシエチル、クロトン酸ヒドロキシブチルなどのカルボン酸エステル、コハク酸モノビニル、アジピン酸モノビニル、セバシン酸モノビニルシクロヘキサンジカルボン酸モノビニルなどのジカルボン酸モノビニルなどが挙げられる。
【0031】
本発明に用いられる含フッ素重合体は、重合媒体の存在下で所定割合の単量体組成物に重合開始剤を加えて共重合反応を行うことにより製造する。重合形態としては溶液重合、懸濁重合、乳化重合が可能である。重合開始剤は重合形式、重合温度および媒体等に応じて適宜選択可能である。具体的には、例えばジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネートなどのジカーボネート類、n−ヘプタフルオロブチリックパーオキシド、ラウロイルパーオキシピバレート、t−ブチルオキシネオデカノエートなどのジアシルパーオキシド類、ジ−tブチルパオキシド、t−ブチルクミルパーオキシドなどのアルキルパーオキシド類、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエートなどのパーオキシエステル類などの通常のラジカル開始剤が使用できる。また水溶性過酸化物、過硫酸塩、水溶性アゾ化合物なども使用できる。かかる重合工程の温度は、用いるラジカル重合開始剤によるが、通常0〜130℃である。
【0032】
重合媒体としては重合を著しく阻害するものでなければとくに限定はしないが例えば水、t−ブタノール、イソプロパノール、エタノール、メタノールなどのアルコール系、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの飽和炭化水素系、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系、トリクロロトリフルオルエタンなどのフッ素系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、などが単一あるいは混合して使用できる。
【0033】
また、本発明の反射防止膜形成用組成物に使用する溶媒としては、本発明にかかる含フッ素重合体を溶解する溶媒であれば限定されない。好適な有機溶媒を例示すると、ヘキサン、、ヘプタン、オクタン等の炭化水素化合物、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、ギ酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸第二ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸アミル、酪酸ブチル、炭酸ジエチル、シュウ酸ジエチル、乳酸メチル、乳酸エチル、エチレングリコールジアセテート、γ−ブチロラクトンなどのエステル化合物、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジメチルオキシド、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ヘチルシクロヘキサノン、イソホロン等のケトン化合物、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、アニソールなどのエーテル類、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物などが挙げられる。
【0034】
また、ペルフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等の含フッ素芳香族化合物、ペルフルオロシクロヘキサン、ペルフルオロシクロペンタン等の含フッ素シクロアルカン化合物、ペルフルオロシクロヘキセン、ペルフルオロシクロペンテン等の含フッ素シクロアルケン化合物、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロオクタン等の含フッ素アルカン化合物などのフッ素系溶媒も使用できる。
【0035】
本発明の反射防止膜形成用組成物においては、非ハロゲン系溶剤が好ましく、上記ケトン類などは特に好ましい。
【0036】
本発明の反射防止膜形成用組成物において硬化性組成物として適用する場合の架橋構造としては特に限定されず、例えば含フッ素共重合体がヒドロキシ基、カルボキシル基またはエポキシ基を有する場合には架橋剤としてメラミン硬化剤、尿素樹脂硬化剤、多塩基酸硬化剤、イソシアネート硬化剤、エポキシ硬化剤などを含フッ素共重合体が有する官能基量に応じて適当量使用できる。
【0037】
具体的には、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネート類やそのイソシアヌレート、ブロックイソシアネート、ビュレト体など、またはアルキル化メラミン、メチロールメラミン、イミノメラミンなどのメラミン樹脂、尿素樹脂などのアミノ化合物、ビスフェノールAなどの多価フェノールとエピクロルヒドリンとの反応で得られる2個以上のエポキシ基を有するエポキシ硬化剤などが適宜選択使用できる。
【0038】
本発明に用いる含フッ素共重合体がヒドロキシ基またはカルボキシル基を有する場合は、相溶性の点から、イソホロンジイソシアネートを原料として誘導されたポリイソシアネート、ブロックイソシアネートまたはイソシアヌレートが硬化剤として特に好ましく採用される。本発明に用いる含フッ素共重合体と硬化剤は良好に相溶し、透明で強靱な膜ができる。イソホロン系ポリイソシアネートまたはそのブロック化したものとして、具体的には、住友バイエルウレタン製のデスモジュールZ4370、デスモジュールBL4165やTPLS2094、ヒュルス製のベスタナットV1890E、B1358などが好ましく採用されるが、必ずしもこれらの製品に限定されるものではない。
【0039】
本発明の反射防止膜形成用組成物を適用するのに好適な物としては、透明な基材が挙げられ、ガラス板などの透明板状体である物品は特に好ましく、その他光学レンズや各種形状のガラス製品が挙げられる。本発明の反射防止膜形成用組成物は通常ガラス板等の基材にスピンコート、ディッピング、スプレー等の方法で塗布し、次いで乾燥または焼成することで被膜は形成される。乾燥または焼成温度は、溶剤の種類、または硬化剤の種類により異なるが20〜200℃程度で行うことができる。
【0040】
【実施例】
次に実施例をもって本発明をより詳細に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限られない。
【0041】
〔実施例1〕
電磁撹拌機を備えたステンレス製オートクレーブにイソプロピルビニルエーテル(iPVE)35g、t−ブチルパーオキシピバレート(パーブチルPV)1g、酢酸ブチル(BuAc)120gを仕込み、窒素ガスでオートクレーブ内を置換した後脱気した。その後オクタフルオロシクロペンテン(OFCPE)85gをオートクレーブ内に導入した後徐々に昇温した。55℃で13時間重合反応を行ない、反応液をメタノールへ投入し析出した含フッ素共重合体78gを得た。得られた含フッ素共重合体の分子量(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィで測定したスチレン換算数平均分子量)は15,000であり、フッ素含有量は48wt%であった。得られた共重合体をメチルイソブチルケトンに溶解し、含フッ素共重合体の10wt%溶液を得た。得られた溶液をガラス板上にスピンコートによって塗布した後、140℃で1時間乾燥し、透明で平滑な含フッ素共重合体被膜を形成したガラス板を得た。
【0042】
得られたガラス板の550nmの反射率を自記分光光度計(U−4000型、日立製作所)を用いて測定した。また、塗膜の鉛筆硬度をJIS K5400に準拠し、鉛筆硬度計(ヨシミツ製C221型)を用いて測定した。別途ホットプレス(100℃、0.5MPa、5分間)により作成した150μmのフィルムについて屈折率をアッベ屈折率計を用いて測定した。それぞれの測定結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
〔実施例2〜5〕
オクタフルオロシクロペンテンと表1に示す共単量体から実施例1と同様に含フッ素共重合体を製造し、それを用いて実施例1と同様の測定を行った。結果を表1に示す。
【0045】
〔実施例6〕
電磁撹拌機を備えたステンレス製オートクレーブにヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)11g、t−ブチルパーオキシピバレート1g、酢酸ブチル110gを仕込み、窒素ガスでオートクレーブ内を置換した後脱気した。その後オクタフルオロシクロペンテン84gとメチルビニルエーテル(MVE)16gをオートクレーブ内に導入した後徐々に昇温した。55℃で13時間重合反応を行ない含フッ素共重合体を得た。得られた含フッ素共重合体のフッ素含有量は52wt%であった。得られた含フッ素共重合体をメチルイソブチルケトンに溶解し「ディスモヂュールZ4370」(商品名:住友バイエルウレタン製)を5wt%加え、含フッ素共重合体の10wt%溶液を得た。得られた溶液をガラス板上にスピンコートによって塗布した後、140℃で1時間乾燥し、透明で平滑な含フッ素共重合体被膜を形成したガラス板を得た。実施例1と同様にこのガラス板の反射率、鉛筆硬度、および含フッ素共重合体の屈折率を測定した。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
各実施例、比較例2で使用した未処理のガラス板の反射率を測定した。結果を表1に示す。
【0046】
〔比較例2〕
「サイトップ」(商品名:旭硝子(株)製)をペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)に溶解し、得られた10%溶液をガラス板上にスピンコートによって塗布し含フッ素共重合体被膜を形成したガラス板を得た。このガラス板の反射率と鉛筆硬度を実施例1と同様に測定した。測定結果を表1に示す。
【0047】
【発明の効果】
本発明の反射防止膜形成用組成物は、ガラス板などの透明板状体の表面に塗布することで硬度の高い低反射膜を形成できるという効果を奏する。
Claims (7)
- 含フッ素重合体が化学式(1)で表される繰り返し単位を1〜100モル%含有することを特徴とする請求項1記載の反射防止膜形成用組成物。
- オクタフルオロシクロペンテン1〜99モル%と他の共単量体99〜1%とを共重合せしめた含フッ素重合体を造膜成分とする請求項1または請求項2の何れかに記載の反射防止膜形成用組成物。
- 含フッ素重合体が分子量1,000〜1,000,000(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィで測定したスチレン換算数平均分子量)であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の反射防止膜形成用組成物。
- 均一な溶液を形成するのに十分な量の溶媒を含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の反射防止膜形成用組成物。
- さらに、含フッ素重合体を硬化させるのに十分な量の硬化剤を含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の反射防止膜形成用組成物。
- 請求項1乃至6の何れかに記載された反射防止膜形成用組成物を塗布して形成された反射防止膜を有する物品。
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