JP3730790B2 - 塩化ビニル系樹脂の製造方法及びその樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は塩化ビニル系樹脂の製造方法及びその樹脂組成物に関するものであり、詳細には加工性及び熱的安定性に優れ且つ物性低下のない塩化ビニル系樹脂の製造方法及びその樹脂を用いた樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
塩化ビニル系樹脂は安価で且つ品質バランスに優れているため、硬質分野、軟質分野等種々の広範な分野で利用されている熱可塑性樹脂であり、その用途として例えば硬質分野ではパイプや継手、窓枠、工業用透明板、フィルム等が、軟質分野では電線被覆、ラップフィルム、シート等がそれぞれ挙げられる。
【0003】
材料としての塩化ビニル系樹脂は安価なことが必須である汎用樹脂であるが、性能面でも種々の特性が要求され、例えば前述の軟質用途分野における製品では高い体積固有抵抗値、良好な可塑剤吸収性、フィッシュアイの低減、等が挙げられる。
【0004】
一方硬質用途分野においては、種々成形体に加工する際の加工性・熱的安定性、成形後の引張強度や衝撃強度等の基本物性、等が良好であることが求められる。これらの要求特性を改良するために様々な工夫がなされてきており、これまでに開示された技術にも数多く見ることができる。例えば特開平9−278964号公報には、耐衝撃性及び成形加工性向上の為に塩化ビニル系樹脂にメタクリル酸メチル・ブタジエン・スチレン共重合体または塩素化ポリエチレンを添加する方法、特開平10−1584号公報には熱安定性や加工性等の向上の為に塩化ビニル系樹脂にカルシウム化合物、亜鉛化合物、エポキシ化植物油、β―ジケトン化合物及びエステル系化合物を添加する方法、特開平10−17744号公報には成形加工性改善の為に塩化ビニル系樹脂に塩素化ポリオレフィン及び/またはビニルエステル―エチレン共重合体を配合する方法、等が開示されている。
【0005】
しかしながらこれらの方法ではいずれも各種強化剤や添加剤を配合しており、概して多種多量の強化剤・添加剤が必要となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記従来技術に鑑みてなされたものであり、多種多量の強化剤・添加剤を配合することなく、加工性及び熱的安定性に優れ且つ物性低下のない塩化ビニル系樹脂の製造方法及びその樹脂を含有する組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前述の品質上の要求特性すなわち加工性及び熱的安定性に優れ且つ物性低下のない塩化ビニル系樹脂の製造方法及びその組成物について鋭意検討した結果、特定の分散剤を組み合わせて懸濁重合で製造される塩化ビニル系重合体を硬質用途に用いることによって、強化剤や添加剤の問題点を生じることなく前記要求特性に優れた塩化ビニル系樹脂組成物を得ることができることを見出し、本発明に到った。すなわち本発明は、塩化ビニル単量体または塩化ビニルと共重合可能な単量体と塩化ビニル単量体との混合物を水性媒体中で懸濁重合させるに際し、塩化ビニル単量体または塩化ビニルと共重合可能な単量体と塩化ビニル単量体との混合物(以下、単に塩化ビニル系単量体と略記する)100重量部に対し、懸濁分散安定剤として(a)鹸化度が70〜85%、平均重合度が1500〜2500である部分鹸化ポリ塩化ビニル0.03〜0.08重量部、(b)鹸化度が33〜70%、平均重合度が200〜1000である部分鹸化ポリ酢酸ビニル0.01〜0.05重量部、(c)5重量%水溶液の粘度が50〜5500mPa・sであり、プロピレンオキサイド含量が5〜95モル%である、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体0.003〜0.02重量部、(d)平均分子量が400〜500万であるポリエチレンオキサイド0.001〜0.02重量部、を用いることを特徴とする塩化ビニル系樹脂の製造方法(請求項1)をその内容とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】
本発明に用いられる塩化ビニル系重合体の製造にはこれら4種の分散剤を併用することが必須である。
(a)は塩化ビニル系重合体を製造する際、最も一般的に用いられる部分鹸化ポリ酢酸ビニル(以下PVAと略記)と言って良い。(a)の鹸化度は70〜85%である。鹸化度が70%未満では界面活性が強くなりすぎると共に水に溶け難くなるため扱いが困難とり、また鹸化度が85%を超えると界面活性不足により重合反応が安定に進行しにくい。(a)の量は、塩化ビニル系単量体100重量部に対して0.03〜0.08重量部、好ましくは0.04〜0.06重量部である。この量が0.03重量部未満では重合反応を安定的に進行させることができず、また0.08重量部を超えると生成する樹脂表面の分散剤膜が厚くなりすぎて加工性に悪影響を及ぼす。さらにこの(a)の平均重合度は1500〜2500、好ましくは1800〜2200である。平均重合度が1500未満では重合反応を安定的に進行させる為に使用量を増やすことが必要で、結果として樹脂表面分散剤膜の厚みが厚くなりすぎるし、平均重合度が2500を超えると用いる量が少なくても樹脂表面分散剤膜の厚みが厚くなりすぎるので、いずれの場合も好ましくない。
(b)は加工性改良の為に樹脂内部を高多孔質とするのに適したPVAと言えるが、単独では重合反応を安定的に進行させることが非常に困難であり、(a)のようなPVA等を併用することが必要である。(b)の鹸化度は33〜70%である。鹸化度が33%未満では水に対する溶解性、あるいは膨潤性があまりにも低下しすぎて樹脂内部の多孔性を高める効果が発現し難くなる。また鹸化度が70%を超えると単量体への溶解性が実質的になくなり、樹脂内部を多孔性にする効果が期待できない。(b)の量は、塩化ビニル系単量体100重量部に対して0.01〜0.05重量部、好ましくは0.02〜0.04重量部である。この量が0.01重量部未満では樹脂内部の多孔性が十分にはならず、また0.05重量部を超えると重合反応を安定的に進行させることが困難となる。さらにこの(b)の平均重合度は200〜1000、好ましくは300〜700である。平均重合度が200未満では単量体への溶解度があまりにも大きすぎて初期に生成する単量体油滴が不安定となり、重合反応が正常に進行できない。平均重合度が1000を超えると逆に単量体への溶解度が低すぎて生成する樹脂内部の多孔度を高くできない。
【0010】
(c)のエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体(以下、EO−PO共重合体と略記)は、PVA並の高い界面活性と、PVA等で覆われた単量体油滴どうしが衝突によって融着するのを抑制する効果(油滴保護力)の2種の特性を示す。(C)の5重量%水溶液粘度は50〜5500mPa・sであり、好ましくは2500〜5500mPa・sである。5重量%水溶液粘度が50mPa・s未満の場合及び5500mPa・sを越える場合は、いずれも重合反応が安定的に進行せず、異常重合を起こす。(c)の量は塩化ビニル系単量体100重量部に対して0.003〜0.02重量部である。この量が0.003重量部未満では重合反応が安定的に進行せず異常重合をおこし、0.02重量部を越えると得られる樹脂の粒径が非常に小さくなる。さらに、この(c)におけるプロピレンオキサイド(以下POと略記)含量は5〜95モル%である。5モル%未満であると、PVA並の高い界面活性を示すというEO−PO共重合体の特性が発現しない。また95モル%を越えると粘度が低下し、油滴保護力が発現しなくなって、異常重合を起こす。
【0011】
(d)の分散剤は他の分散剤とは異なり界面活性能力をほとんど有しない。また分子量、従って粘度が非常に高く著しい増粘効果を示すことが特徴であり、水/単量体油滴界面の水側に局在し、PVA等で覆われた単量体油滴どうしが衝突によって融着するのを抑制する効果が非常に高い。また著しい高粘度の故に極く少量でこの融着抑制効果を示す。この作用によって他の分散剤の使用量を大幅に減らすことが可能となり、特にここで用いる(a)のような分散剤量を減らすことは表面の分散剤膜を薄くすることにつながり有益である。(d)の量は、塩化ビニル系単量体100重量部に対して0.001〜0.02重量部、好ましくは0.003〜0.008重量部である。この量が0.001重量部未満ではこの分散剤特有の増粘効果が乏しく他の分散剤、特に(a)タイプの分散剤量を多く必要とする。また0.01重量部を超えると重合安定性向上効果が飽和する上に、生成する樹脂の粒度分布が非常に広くなる。さらにこの(d)の平均分子量は400〜500万である。平均分子量が400万未満では前述のような十分な融着抑制効果を得るためにその使用量を増やしたり(a)のような分散剤を増やす必要が生じるため、結果として樹脂表面分散剤膜の厚みが厚くなる。平均分子量が500万を超えると樹脂表面分散剤膜の厚みが厚くなりすぎるとともに水溶液粘度が著しく高くなるために扱い難くなるといった問題が生じる。
【0012】
本発明に用いられる塩化ビニル系重合体を製造する際に使用する単量体は塩化ビニルを主成分とする単量体であり、具体的には、塩化ビニル単量体単独、又は塩化ビニルを70重量%以上含有する、塩化ビニルと共重合可能な単量体と塩化ビニル単量体との混合物である。
【0013】
塩化ビニルと共重合可能な単量体としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、エチレン、プロピレン、イソブチルビニルエーテル等のα−オレフィン類、1−クロロプロピレン、2−クロロブチレン等のクロル化オレフィン類、(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、無水マレイン酸、アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデン等が挙げられ、これらは単独で用いることも、2種以上組み合わせて用いることも可能である。
【0014】
本発明に用いられる塩化ビニル系重合体を製造する際における原料の仕込みは公知の技術を任意に用いることができる。例えば最も一般的な方法として、先に水を仕込んだ後単量体を仕込む方法、重合温度まで昇温する時間を短縮する目的で先に単量体を仕込んだ後温水を仕込む方法、さらに仕込み及び昇温時間を短縮する目的で単量体と温水を同時に仕込む方法等を用いることができる。
【0015】
また重合反応熱の除去は、従来の方式、例えば外部あるいは内部ジャケットによる除熱、還流凝縮器による方法等を利用すれば良い。
【0016】
さらに従来塩化ビニル系単量体の重合又は共重合に使用される重合開始剤、重合度調節剤、連鎖移動剤、pH調節剤、ゲル化性改良剤、帯電防止剤、乳化剤、安定剤、スケール防止剤等やこれらの仕込方法も公知の技術をなんら支障なく任意に用いることができ、その使用量も従来公知の方法に従うことができる。
【0017】
本発明においては、このようにして製造された塩化ビニル系樹脂に任意の安定剤及び滑剤等を配合することによって、加工性や熱安定性に優れ、かつ物性低下のない塩化ビニル系樹脂組成物を得ることができる。安定剤は錫系安定剤や鉛系安定剤等従来公知のものをなんら支障なく任意に用いることができ、その使用量も従来公知の方法に従うことができる。また滑剤についても脂肪酸エステル系滑剤やオレフィン系滑剤等、従来公知のものをなんら支障なく任意に用いることができその使用量も従来公知の方法に従うことができる。この樹脂組成物の用途については特に限定されないが、その樹脂品質から、特に硬質用途において好適に使用できる。
【0018】
【実施例】
本発明をさらに具体的に説明するために、以下に実施例および比較例を示すが、これら実施例は本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の実施例では特にことわりのない限り「部」は重量部、「%」は重量%を表す。また本実施例の水は全てイオン交換水を用いた。得られた塩化ビニル系樹脂の特性値の測定及び組成物の加工性・熱的安定性・物性の評価は次の方法により実施した。
(1)平均粒子径、粒度分布
JIS K−6721に準拠し、42、60、80、100、120、145、200メッシュの篩を使用し、篩振とう器にて篩分けを行い、50%通過径をもって平均粒子径(μm)とした。
(2)多孔度
AMINCO社製の水銀圧入式ポロシメーター(5−7118型)を用いて、絶対圧31〜1011psi(ポア口径0.175〜5.65μm)の間で塩化ビニル系樹脂に圧入される水銀の容量を測定し、塩化ビニル系樹脂100gあたりの圧入水銀量(cc)を算出した。
(3)加工性
塩化ビニル系樹脂100部に有機錫系安定剤0.5部、脂肪酸エステル系滑剤0.1部、ポリエチレン系滑剤0.2部を添加し十分撹拌混合した後、表面温度を170℃・180℃・190℃に調節した8インチロールに投入した。それぞれの温度で5分間混練して厚み約0.5mmのロールシートを取り出し、シートの仕上がり状態を目視で確認して、加工性を以下の評価基準に従って○・△・×の三段階で評価した。
【0019】
○…十分混練され均一なシートが得られる
△…やや混練不十分でシートにも不均一な部分が見られる
×…まったく混練不十分で、シートも至る所に穴が開いている
(4)熱的安定性
塩化ビニル系樹脂100部に有機錫系安定剤0.5部、脂肪酸エステル系滑剤0.1部、ポリエチレン系滑剤0.2部を添加し十分撹拌混合した後、この混合物60g(平均重合度1300タイプの塩化ビニル系樹脂を用いた組成物)または62g(平均重合度1000タイプの塩化ビニル系樹脂を用いた組成物)を東洋精機社製のラボプラストミル試験機に投入し、ローターの回転数50rpm、チャンバー温度180℃の条件下で、塩化ビニル系樹脂組成物を投入してからトルクが立ち上がりを示すまでの時間を測定した。この時間が長いほど熱的安定性は高いと判断した。
(5)物性評価
塩化ビニル系樹脂100部に有機錫系安定剤0.5部、脂肪酸エステル系滑剤0.1部、ポリエチレン系滑剤0.2部を添加し十分撹拌混合した後、表面温度を190℃に調節した8インチロールに投入した。それぞれの温度で5分間混練して厚み約0.5mmのロールシートを取り出した。このシートを重ねて200℃で6分間予熱をし、2分間4.9MPaの面圧で熱プレスにより1mm厚の板を作製した。得られた板からJIS−2号形引張試験片を作製し、JIS−K7113に準じて試験速度10mm/minで試験を行い降伏点強度・1%モジュラス・破断強度・破断時伸びを測定した。なお1%モジュラスの「%」は基準長さに対する伸びの割合を表わす。
(実施例1及び3)
撹拌機を付設した内容積2000Lのステンレス製重合器内に、鹸化度が74%、平均重合度が2000であるPVA(これをPVA1という)の3%水溶液7.33kg、鹸化度が56%、平均重合度が300であるPVA(これをPVA2という)0.165kg、PO含量が50モル%、5%水溶液の粘度が3000mPa・sであるEO−PO共重合体の2%水溶液2.75kg、平均分子量が450万であるポリエチレンオキサイド(これをPEO1という)の0.5%水溶液4.4kg、及びジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネートを濃度70%で溶解したイソパラフィン溶液0.393kgを仕込んだ。PVA1、PVA2、EO−PO共重合体、PEO1、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネートの仕込み量は、塩化ビニル単量体100部に対してそれぞれ、0.04、0.03、0.01、0.004、0.05部とした。
【0020】
重合器を密閉した後内部を真空ポンプで脱気し、次いで塩化ビニル単量体550kg及び脱気後60℃に温度調節した温水725kgを順次仕込んだ。この際塩化ビニル単量体の仕込み開始と同時に攪拌機を稼働した。次いで外部ジャケットにより重合器内温を実施例1では51.5℃、実施例3では57℃に昇温後この温度に維持し、重合器内圧が定常圧より98.07kPa低下した時点で重合反応を停止し、未反応単量体を回収して重合反応を終了した。得られたスラリーを脱水、乾燥して実施例1では平均重合度1300タイプ、実施例3では平均重合度1000タイプ、の2種の塩化ビニル重合体を得、平均粒子径・粒度分布・多孔度の各種特性値の測定に供した。
【0021】
さらに得られた塩化ビニル重合体200gにメチルスズメルカブト安定剤1g、ペンタエリスリトール系滑剤0.2g及びポリエチレン系滑剤0.4gを添加し、十分攪拌混合して組成物を得、加工性・熱的安定性・物性の評価に供した。
(実施例2及び4)PVA1の代わりに鹸化度が80%、平均重合度が2000であるPVA(これをPVA3という)を、PVA2の代わりに鹸化度が38%、平均重合度が600であるPVAを、それぞれ用い、それ以外は実施例1及び3と同様にして実施例2では平均重合度1300タイプ、実施例4では平均重合度1000タイプ、の2種の塩化ビニル重合体及び組成物を得、各種特性値の測定、加工性評価・熱的安定性評価・物性評価に供した。
(比較例1)分散剤としてPVA1の代わりにPVA3の3%水溶液9.99kg(塩化ビニル単量体100部に対して0.055部)及びPEO1の0.5%水溶液2.2kg(塩化ビニル単量体100部に対して0.002部)の2種のみを用いた以外は実施例1と同様にして平均重合度1300タイプの塩化ビニル重合体及び組成物を得、各種特性値の測定、加工性評価・熱的安定性評価・物性評価に供した。
(比較例2)分散剤としてPVA1の代わりにPVA3の3%水溶液9.81kg(塩化ビニル単量体100部に対して0.054部)、PVA2の代わりに鹸化度が88%、平均重合度が2300であるPVAの3%水溶液2.2kg(塩化ビニル単量体100部に対して0.012部)、及びPEO1の0.5%水溶液5.5kg(塩化ビニル単量体100部に対して0.005部)の3種のみを用いた以外は実施例3と同様にして平均重合度1000タイプの塩化ビニル重合体及び組成物を得、各種特性値の測定、加工性評価・熱的安定性評価・物性評価に供した。
(比較例3)PVA1の代わりに鹸化度が88%、平均重合度が2000であるPVAを用いた以外は実施例1と同様にして平均重合度1300タイプの塩化ビニル重合体及び組成物を得、各種特性値の測定、加工性評価・熱的安定性評価・物性評価に供した。
【0022】
評価結果をまとめて表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【発明の効果】
表1に示した通り、本発明の実施例ではいずれも加工性及び熱的安定性に優れ、且つ物性低下もないことがわかる。
【0025】
このように本発明者の方法で得られる塩化ビニル系樹脂は、加工性及び熱的安定性に優れ且つ物性低下もないため特に硬質用途向けとしても好適に使用することができ、従って本発明の工業的価値はすこぶる大きいものである。
Claims (1)
- 塩化ビニル単量体または塩化ビニルと共重合可能な単量体と塩化ビニル単量体との混合物を水性媒体中で懸濁重合させるに際し、塩化ビニル単量体または塩化ビニルと共重合可能な単量体と塩化ビニルとの混合物100重量部に対し、懸濁分散安定剤として、(a)鹸化度が70〜85%、平均重合度が1500〜2500である部分鹸化ポリ酢酸ビニル0.03〜0.08重量部、(b)鹸化度が33〜70%、平均重合度が200〜1000である部分鹸化ポリ酢酸ビニル0.01〜0.05重量部、(c)5重量%水溶液の粘度が50〜5500mPa・sであり、プロピレンオキサイド含量が5〜95モル%である、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体0.003〜0.02重量部、(d)平均分子量が400〜500万であるポリエチレンオキサイド0.001〜0.02重量部、を用いることを特徴とする塩化ビニル系樹脂の製造方法。
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