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JP3729117B2 - 電力変換装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モジュール形の電力変換素子を用いて構成された電力変換器に係わり、特に、3レベルインバータ(コンバータ)の水冷式ヒートシンク構造及びモジュール形の電力変換素子の配置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、交流を直流に変換するコンバータや直流を交流に変換するインバータなどの電力変換装置は交流電動機を駆動するのに採用されている。特に、近年は交流電動機を駆動するのに中性点クランプ型電力変換装置が多く用いられている。中性点クランプ(3レベル)型電力変換装置は、3レベルの電圧を出力するので高調波を低減できる等の利点があり、大型の交流電動機の駆動に多く用いられている。
【0003】
一方、電力変換装置の大容量化のために、大容量電力変換素子による3レベルインバータ方式の採用が主流となっている。大容量電力変換素子で発生した熱を冷却するために、ヒートシンクが用いられているが、発生熱量が多い場合は水冷式のヒートシンクが採用されてきた。
【0004】
例えば、大容量電力変換素子を冷却するためのヒートシンクが特開平9−
321198号に説明してある。大容量のサイリスタ素子及びGTO素子のような平形構造の電力変換素子を、ヒートシンクとヒートシンク(電力変換素子より少し大きめ)の間に挿入し、それらを複数個積層しスタック構造にしている。水冷式のヒートシンクを採用した場合、ヒートシンク内部に水路を設け、冷却水を通すことにより平形構造の電力変換素子を冷却している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電力変換装置にモジュール形の電力変換素子を採用した場合、電力半導体素子の形状より従来のような圧接形スタック構造を採用することはできない。
【0006】
図5(a)は、モジュール形電力変換素子の採用において、3レベルインバータの水冷式ヒートシンク構成図と電力変換素子配置の一例を示す(概念図)。図5(b)は、ヒートシンク内部水路の一例を示す(概念図)。この様に、1つの水冷式ヒートシンク上で、複数のモジュール形電力変換素子を配置して冷却する方法がある。
【0007】
図5(a)は、中性点クランプ方式(3レベル)インバータにおけるモジュール形の電力変換素子QP・QPC・QN・QNCとモジュール形のクランプダイオードDCP・DCNと水冷式ヒートシンクHS1と、水冷式ヒートシンクに冷却水を供給する主配水管の実装の概念図を示す。水冷式ヒートシンクHS1には、電力半導体素子QP・QPC・QN・QNCとクランプダイオードDCP・
DCNが密着して実装されている。ヒートシンクHS1は、内部に冷却水が流れる水路と主配水管とを接続する冷却水の出入口を備えている。
【0008】
ヒートシンクHS1の構造上、冷却水の入口側に配置されている電力変換素子(例えばQP・DPC・QPC)は期待通りに冷却されるが、冷却水の出口側に配置されている電力変換素子(例えばQN・DCN・QNC)は、冷却水の入口側に配置されている電力変換素子に暖められた冷却水で冷却されるため、冷却が悪くなるという問題が発生する。
【0009】
また、各電力半導体素子毎に水冷式ヒートシンクを備えた場合、水冷式ヒートシンクの実装効率の悪さ、及び主配水管から水冷式ヒートシンクに接続する経路の多さにより、電力変換装置が大きくなり小型化・低価格化の向上が困難という問題も発生する。
【0010】
そこで、本発明の目的は、電力変換装置を大きくすること無く、冷却水の入口側ヒートシンクの温度と冷却水の出口側ヒートシンクの温度差を低減させ、かつヒートシンクの構造を簡単化及び低価格化を実現できるモジュール形電力変換素子用の水冷式ヒートシンクを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、3レベルインバータ(コンバータ)においては、中性点を対象にP側実装の電力変換素子とN側実装の電力変換素子が同じ電力損失を発生することに着目し、電力変換素子を冷却する水冷式ヒートシンクをP側実装の電力変換素子用とN側実装の電力変換素子用の2つに分割し、分割したヒートシンクを個別の冷却系統により冷却することを特徴とするものである。
【0012】
これにより、3レベルインバータ(コンバータ)で採用するモジュール形電力変換素子用水冷式ヒートシンクの冷却面の温度勾配の大きさを低減できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図1,図2,図3,図4を参照しながら説明する。
【0014】
図2は、中性点クランプ方式(3レベル)電力変換装置の回路構成である。交流電源(U,V,W)に接続されたコンバータ1には、電源フィルタコンデンサ4a,4bが接続され、電源フィルタコンデンサ4aと4bの直列接続点(以下中性点と呼ぶ)とコンデンサ4a,4bのそれ以外の端子をインバータ2に接続しインバータ2の出力が交流電動機3に供給される。コンデンサ4aに接続される端子は、それぞれP電位端子と中性点電位端子、コンデンサ4bに接続される端子は、それぞれ中性点電位端子とN電位端子である。
【0015】
コンバータ1の制御関係を説明する。加減算器15cは、直流電圧検出器5a,5bで検出された、コンデンサ4a,4bの両端電圧を加算し、コンバータの出力電圧(電圧FB)を求める。加減算器15aは、コンバータ1の出力電圧を決定する電圧指令設定器11の出力と、加減算器15cの出力の偏差を求める。電圧制御演算器(AVR)12は、加減算器15aの出力に基づき、電流制御演算器13の入力の1つを出力する。加減算器15bは、電圧制御演算器(AVR)12の出力と、電流検出器16の出力の偏差を求める。電流制御演算器(ACR_C)13は、加減算器15bの出力に基づき、コンバータパルス幅変調器(PWM_C)14の入力を出力する。コンバータパルス幅変調器(PWM_C)14は、電流制御演算器(ACR)13の出力に基づきコンバータ1を制御する。
【0016】
インバータ2の制御関係を説明する。加減算器25aは、速度指令設定器21の出力と、速度検出器27により検出される速度(速度FB)との偏差を求める。速度制御演算器(ASR)22は、加減算器25aの出力に基づき、電流制御演算器(ACR_I)23の入力の1つを出力する。加減算器25bは、速度制御演算器(ASR)22の出力と、電流検出器26の出力の偏差を求める。電流制御演算器(ACR_I)23は、加減算器25bの出力に基づき、インバータパルス幅変調器(PWM_I)24の入力を出力する。インバータパルス幅変調器(PWM_I)24は、電流制御演算器(ACR_I)23の出力に基づきインバータ2を制御する。
【0017】
図3は、3レベルインバータの主回路構成を示す。コンバータ1とインバータ2の主回路は同一構成で、U,V,W相も同じ構成である。このためインバータU相のみの主回路構成を説明する。インバータU相の主回路は、電力変換素子QP・QPC・QNC・QNと、クランプダイオードDCP・DCNから構成されている。
【0018】
図4に、3レベルインバータのパルスパターンと出力電圧の関係を示す。QPとQPCがオンすると出力端子の電位は、中性点電位を基準とすると+Eとなる。QPCとQNCがオンすると出力端子の電位は、クランプダイオードDCP・DCN、を介し中性点COMされるため0電位となる。QNCとQNがオンすると出力端子の電位は、中性点電位を基準とすると−Eとなる。インバータ2は、直流電圧を+E,0,−Eの3レベルの交流に変換し、交流電動機3に3相の交流電源を供給する。この様に、3レベルインバータで電力半導体素子がON/OFFする波形(時間)は、一連の動作のなかで中性点COMを中心に対称波形である。このことから、電力半導体素子の発生損失も中性点COMを中心にP側実装の電力変換素子(QP,DCP,QPC)とN側実装の電力変換素子(QN,DCN,QNC)が、同じ発生損失になる。QP,DCP,QPCの組合わせをP側実装の電力変換素子と定義する。QN,DCN,QNCの組合わせをN側実装の電力変換素子と定義する。
【0019】
本実施形態を図1を用いて説明する。
【0020】
図1に、変換器(1相分)のヒートシンクを示す。
【0021】
インバータU相のヒートシンク構成は、P側実装の電力変換素子を冷却するヒートシンクHS11とN側実装の電力変換素子を冷却するヒートシンクHS12と、それぞれを主配水管と接続する1組の入出力部より構成されている。ヒートシンクHS11には、モジュール形の電力変換素子QP・QPCとモジュール形のクランプダイオードDCPが実装されている。ヒートシンクHS12には、モジュール形の電力変換素子QN・QNCとモジュール形のクランプダイオードDCNが実装されている。P側実装の電力変換素子(QP,DCP,QPC)をひとつのグループを考えヒートシンクHS11で冷却する。N側実装の電力変換素子(QN,DCN,QNC)をひとつのグループを考えヒートシンクHS12で冷却する。
【0022】
このため、一体の水冷式ヒートシンクと比べ、電力変換素子(QN,DCN,QNC)は、電力変換素子(QP,DCP,QPC)の影響を受けないため、水冷の冷却効果が改善されている。また、電力半導体に個別のヒートシンクを採用したときに比べ、主配水管とヒートシンクの接続が増加すること、及び電力変換装置への実装効率を考慮すると、本発明を採用すると電力変換装置の小型化・低価格化が向上している。
【0023】
他の実施形態を図6を用いて説明する。
【0024】
図6に、変換器(1相分)のヒートシンクを示す。
【0025】
インバータU相のヒートシンク構成は、P側実装の電力変換素子とN側実装の電力変換素子を冷却するヒートシンクHS13と、主配水管とヒートシンクHS13を接続する2組の入出力部より構成されている。ヒートシンクHS13には、モジュール形の電力変換素子QP・QPCとモジュール形のクランプダイオードDCPが第1の冷却系統上に実装されている。また、モジュール形の電力変換素子QN・QNCとモジュール形のクランプダイオードDCNは、第2の冷却系統上に実装されている。P側実装の電力変換素子(QP,DCP,QPC)をひとつのグループを考えヒートシンクHS13の第1の冷却系統で冷却する。N側実装の電力変換素子(QN,DCN,QNC)をひとつのグループを考えヒートシンクHS13の第2の冷却系統で冷却する。
【0026】
以上より、本発明を採用すると3レベルインバータ(コンバータ)で採用するヒートシンクの冷却面の温度偏差を低減できる。
【0027】
なお、電力変換素子の配置は、上述した実施例に限定されるものではない。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、3レベルインバータ(コンバータ)で採用するヒートシンクの冷却面の温度偏差を低減できるため、電力変換装置の小形化、および低価格化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態(水冷式ヒートシンク)。
【図2】中性点クランプ方式電力変換装置の回路構成。
【図3】3レベルインバータの主回路構成。
【図4】パルスパターンと出力電圧の関係。
【図5】従来の水冷式シートシンク。
【図6】本発明の別の実施形態(水冷式ヒートシンク)。
【符号の説明】
1…中性点クランプ方式コンバータ、2…中性点クランプ方式インバータ、3…交流電動機、4a,4b…電源フィルタコンデンサ、5a,5b…電圧検出器、12,22…電圧及び速度制御演算器、13,23…電流制御演算器、14,24…パルス幅変調器、15a〜15c,25a〜25b…加減算器、16,26…電流検出器、27…速度検出器。

Claims (1)

  1. 交流電圧を直流電圧に変換する中性点クランプ方式(3レベル)電力変換装置において、正極電位端子と出力点とを、正極電位端子側に配置された正極電位側スイッチング素子と、出力点側に配置された正極出力点側スイッチング素子とで直列に接続し、
    前記正極電位側スイッチング素子と前記正極出力点側スイッチング素子との接続点と、中性点電位端子とを正極クランプダイオードを介して接続し、
    負極電位端子と前記出力点とを、負極電位端子側に配置された負極電位側スイッチング素子と、出力点側に配置された負極出力点側スイッチング素子とで直列に接続し、
    前記負極電位側スイッチング素子と前記負極出力点側スイッチング素子との接続点と、前記中性点電位端子とを負極クランプダイオードを介して接続し、
    前記電力変換装置に使用されている電力変換素子を冷却する各相の水冷式ヒートシンクを第1の水冷式ヒートシンクと第2の水冷式ヒートシンクの2つに分割し、前記第1,2の水冷式ヒートシンクに冷却水を供給する配水管より、それぞれ個別の冷却系統で冷却するものであって、
    前記第1の水冷式ヒートシンクにて、前記正極電位側スイッチング素子と、前記正極出力点側スイッチング素子と、前記正極クランプダイオードを冷却するように配置し、
    前記第2の水冷式ヒートシンクにて、前記負極電位側スイッチング素子と、前記負極出力点側スイッチング素子と、前記負極クランプダイオードを冷却するように配置し、
    冷却水入口からの距離が近く配置された方を冷却順番が小さいと規定して、
    前記正極電位側スイッチング素子と、前記正極出力点側スイッチング素子と、前記正極クランプダイオードのうちの前記正極電位側スイッチング素子の冷却順番は、前記負極電位側スイッチング素子と、前記負極出力点側スイッチング素子と、前記負極クランプダイオードのうちの前記負極電位側スイッチング素子の冷却順番と同じであり、
    前記正極電位側スイッチング素子と、前記正極出力点側スイッチング素子と、前記正極クランプダイオードのうちの前記正極クランプダイオードの冷却順番は、前記負極電位側スイッチング素子と、前記負極出力点側スイッチング素子と、前記負極クランプダイオードのうちの前記負極クランプダイオードの冷却順番と同じであり、
    前記正極電位側スイッチング素子と、前記正極出力点側スイッチング素子と、前記正極クランプダイオードのうちの前記正極出力点側スイッチング素子の冷却順番は、前記負極電位側スイッチング素子と、前記負極出力点側スイッチング素子と、前記負極クランプダイオードのうちの前記負極出力点側スイッチング素子の冷却順番と同じであることを特徴とする電力変換装置。
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