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JP3728578B2 - マルチキャリア伝送における不均一誤り保護方法並びにその符号器及び復号器 - Google Patents

マルチキャリア伝送における不均一誤り保護方法並びにその符号器及び復号器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マルチキャリア伝送における不均一誤り保護方法並びにその符号器及び復号器に関し、複数の搬送波周波数を用いた伝送において、伝送データ毎に異なる伝送品質を与える符号化を行い、高効率伝送を実現する不均一誤り保護方法並びにその符号器及び復号器に関する。
【0002】
広帯域無線通信において、マルチパスによる周波数選択性フェージングが伝送品質を劣化させる大きな要因となっており、耐マルチパス周波数選択性フェージングに優れた伝送技術として、マルチキャリア変調による伝送が知られている。
【0003】
マルチキャリア変調による伝送は、図19の(a)に示すように、伝送帯域を複数の搬送波周波数f1〜fN(以下、サブキャリアという。)に分割し、それぞれを変調して伝送する技術であり、周波数ダイバーシチ効果がえられることで周波数選択性フェージングによる伝送劣化を補償し、高品質無線伝送を可能とするものである。
【0004】
また、サブキャリアf1〜fNが互いに直交する場合には、図19(b)に示すように、各被変調波のスペクトルを重ね合わせても、受信側で各被変調信号を特性劣化なく分離して取り出すことができるため、狭帯域化を図ることも可能である。この直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplex )技術もマルチキャリア変調による伝送技術の一形態である。
【0005】
【従来の技術】
マルチキャリア変調による伝送の問題点の一つに、送信信号のピーク包絡線電力(PEP:Peak Envelope Power )又はピーク対平均電力比の増大化がある。ピーク電力の大きい伝送システムは、その線形性を補償するために、広範囲なレベルの線形増幅器を必要とするが、このような線形増幅器は高価で且つ電力効率が低く、また、廉価な増幅器を用いた場合は、その飽和領域によって非線形歪みが発生し、特性が劣化するという問題があり、このことがマルチキャリア変調による伝送システムの実用化へ向けてのボトルネックとなっていた。
【0006】
このピーク電力の増大に対する解決策としては、(1)マルチキャリア変調における入力信号パターンの制限、又は(2)マルチキャリアの被変調出力信号のレベル制限によるものに大別される。
【0007】
前者は、符号化処理において、ピーク電力が大となる信号パターンの発生を禁止するものであり、送信信号のピーク電力は常に一定レベル以下となり、伝送特性の劣化は一切生じない。更に、伝送に使用する信号パターンとして、その最小符号距離の大きい符号を用いることにより、受信特性(BER:ビット誤り率)を向上させることが可能となる。
【0008】
後者は、非線形歪みが生じるような大きなピーク電力を生ずる信号パターンの発生確率が小さいことを利用し、例えば、或るスレッショルド値を超えるピーク電力が発生した場合に、それをスレッショルド値で強制的にカットするもの、即ちクリッピング等を行うものである。この手法は、当然、非線形歪みによるサイドローブレベルの増大、つまりはキャリア間干渉をもたらし、伝送特性の劣化を引き起こす。
【0009】
また、スレッショルド値を超えるピーク電力が発生する場合に、送信信号の包絡線レベル全体を下げ、スレッショルド値に正規化する手法もあるが、これは結局、送信信号全体のS/N比を劣化させてしまうため、同様に伝送特性の劣化を生ずる。
【0010】
従って、広帯域かつ高品質の無線伝送の実現のためには、前者の手法がより望まれる。また、高速・広帯域無線通信には、画像や音声等の複数のメディアを取り扱うマルチメディア移動アクセスの実現が望まれている。
【0011】
これらのマルチメディアは、それぞれ、伝送システムに対する伝送品質の要求が異なる。一般に、伝送品質は、符号化手法にも依存するが、例えば、音声等の伝送はビット誤り率(BER)が10-2程度でよいのに対し、画像伝送はビット誤り率(BER)が10-5以下が望まれる。
【0012】
また、パケット通信において、パケットに関する制御情報部と各マルチメディア情報が格納されるデータ情報部とでは、要求されるビット誤り率が異なる。これは制御情報部の誤りにより、パケットの誤配送等が発生し、ネットワーク全体に対する予期せぬトラフィック負荷の増大を招くことがあり、それを防ぐため、制御情報部に要求されるビット誤り率(BER)は十分低い値が要求される。
【0013】
これらの要求に応えるため、ビット誤りに対する保護強度の異なる複数種類の符号化手段を用いることにより、異なる伝送品質を提供し、効率の良い伝送を行う技術として、不均一誤り保護(UEP:Unequal Error Protection)の技術が知られている。
【0014】
しかし、従来の不均一誤り保護(UEP)は、マルチキャリア変調による伝送を対象としたものではなく、マルチキャリア伝送における不均一誤り保護、つまり、一まとまりのマルチキャリアシンボルを一符号語と見なした符号化を対象とした不均一誤り保護は、従来技術として存在しない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述した無線伝送における問題や要求に鑑み、周波数選択性フェージングに対して高品質な無線伝送を可能とするマルチキャリア伝送において、伝送データ毎に異なる伝送品質を与えて伝送効率を向上させ、更にはマルチキャリア伝送におけるピーク電力の抑圧をも同時に可能とする不均一誤り保護方法並びにその符号器及び復号器を提供するこを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明のマルチキャリア伝送における不均一誤り保護方法は、(1)複数の搬送波により符号語を伝送するマルチキャリア伝送システムにおいて、1マルチキャリアシンボル時間毎に、複数の搬送波の変調信号点で構成される符号語の最小符号距離の異なる符号化を行い、最小符号距離を順次変化させ、複数の符号語の系列から成るデータフレーム内における誤り保護強度を可変にしたものである。
【0017】
また、(2)前記最小符号距離の異なる符号化において、マルチキャリア変調信号の送信ピーク電力が所定値以下となる符号を用いて符号化を行うものである。
【0018】
また、本発明のマルチキャリア伝送における不均一誤り保護を行う符号器は、(3)複数の搬送波により符号語を伝送するマルチキャリア伝送システムの符号器において、入力される情報ビット信号に対して、1マルチキャリアシンボル時間毎に、複数の搬送波の変調信号点で構成される符号語の最小符号距離の異なる符号化を行う複数種類の符号部と、該複数種類の符号部のうちの一つを選択し、該符号部から出力される符号ビット信号を出力するセレクタ部と、該各符号部から出力される各符号ビット信号を、それぞれ、複素信号へマッピングするマッピング部とを備え、最小符号距離を順次変化させ、複数の符号語の系列から成るデータフレーム内における誤り保護強度を可変とする符号化を行う構成を有するものである。
【0019】
また、(4)前記符号器は、符号化のタイミング信号を生成するタイミング生成部と、入力される情報ビット信号をシリアル・パラレル変換し、前記複数種類の符号部へ出力するシリアル・パラレル変換部とを備えたものである。
【0020】
また、(5)前記符号器は、前記タイミング信号を基に前記複数種類の符号部のうちの一つをアクティブ状態にする信号を発生するデコード部とを備えたものである。
【0021】
また、本発明のマルチキャリア伝送における不均一誤り保護された符号の復号化を行う復号器は、(6)複数の搬送波により伝送された符号語を復号するマルチキャリア伝送システムの復号器において、1マルチキャリアシンボル時間毎に、複数の搬送波の変調信号点で構成される符号語の最小符号距離の異なる符号の復号化を行う複数種類の復号部を有し、該複数種類の復号部は、複数の搬送波の受信データ信号に対して、伝送された符号語を最尤推定する構成を有するものである。
【0022】
また、(7)前記複数種類の復号部を有し、符号語を最尤推定する復号器は、復号化のタイミング信号を生成するタイミング生成部と、1マルチキャリアシンボル時間毎に、複数の搬送波の変調信号点で構成される符号語の最小符号距離の異なる符号化を行う複数種類の符号部と、前記複数種類の符号部に最尤推定のデータ制御信号を出力するとともにタイミング制御信号を発生するタイミング制御部と、前記複数種類の符号部のうちの一つを選択し、該符号部から出力される符号ビット信号を出力するセレクタ部と、該各符号部から出力される各符号ビット信号を、それぞれ、複素信号へマッピングするマッピング部と、複数の搬送波の変調信号の受信データと前記マッピング部の出力との符号距離を計算する符号距離計算部と、該符号距離計算部により計算した符号距離の最小符号距離を求めて保持する符号距離比較部及び最小距離メモリ部と、前記最小符号距離となった最尤推定のデータ制御信号を記憶し、該記憶した最尤推定のデータ制御信号を、前記タイミング生成部からのタイミング信号によって出力するタイミングメモリ部とを備えたものである。
【0023】
また、(8)前記復号器は、前記タイミング信号を基に前記複数種類の符号部のうちの一つをアクティブ状態にする信号を発生するデコード部を備えたものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の符号器の基本構成の説明図である。符号器は、#1〜#mの種類の異なるm個の符号部1−1とマッピング部1−2とから構成され、伝送する情報ビット信号を入力し、該情報ビット信号を各符号部#1〜符号部#mにより符号化し、各符号部#1〜符号部#mからの符号ビット信号を、マッピング部1−2により各サブキャリア毎の変調用のマッピング信号として出力する。
【0025】
ここで、伝送品質としてm種類の異なる伝送品質により情報ビット信号を伝送するものとする。図2の(a)に符号器に入力される情報ビット信号のデータフレームフォーマットを示す。m種類の伝送品質により情報ビット信号を伝送する場合、情報ビット信号のデータフレームは、m個のデータサブフレームFD1 〜FDm により構成される。図2の(a)においてv1 〜vm は、各データサブフレームFD1 〜FDm のビット数を表し、その総ビット数Vは、(式1)に示すようにその総計値となる。
【0026】
V=Σi=1 m {vi }・・・(式1)
ここで、「Σi=1 m { }」の記号は、指標iの{ }内の式又は値について、指標iが1からmまでのものを合計したものを意味するものとし、以下の式においても同様である。
【0027】
図1に示す符号器には、図2の(a)に示す情報ビット信号のデータフレームが入力され、符号器の#1〜#mのm種の符号部1−1の入出力信号は、各データサブフレームFD1 〜FDm の区間毎に、対応する符号部#1〜#mに切替えられ、各符号部#1〜#mは要求される伝送品質に応じた符号化を行い、各データサブフレームFD1 〜FDm 毎にビット誤りに対する保護強度の異なる不均一誤り保護を与える符号化を行う。
【0028】
また、各符号部1−1は、マルチキャリアシンボル単位での符号化を行い、n個のサブキャリア分の符号ビット信号を出力する。マッピング部1−2は、各データサブフレームFD1 〜FDm の区間毎に決められた変調方式により変調するためのn個のサブキャリア分のマッピング信号を生成する。ここでマッピング信号は、複素信号(Ich/Qch)である。
【0029】
図1に示す符号器から出力される符号ビット信号の符号フレームフォーマットを、図2の(b)に示す。符号フレームフォーマットは、m個の符号サブフレームFC1 〜FCm により構成される。
【0030】
図2の(b)においてw1 〜wm は、各符号サブフレームFC1 〜FCm のビット数であり、Wはその総ビット数である。符号サブフレームFCi のビット数wi は(式2)により、また、その総ビット数Wは(式3)により表される。
【0031】
i =n×Bi ×δi (1≦i≦m) ・・・(式2)
W=Σi=1 m {wi } ・・・(式3)
ここで、Bi はi番目の符号サブフレームFCi におけるサブキャリア変調指数(ビット/シンボル)、δi はその符号サブフレームFCi を構成するシンボル数を表している。
【0032】
また、#1〜#mの各符号部の符号化率をRi とした場合、符号サブフレームFCi のビット数wi とデータサブフレームFDi のビット数vi は、以下の式(4)に示す関係を有する。
i =vi /wi (1≦i≦m) ・・・(式4)
【0033】
n個のサブキャリアによるマルチキャリア伝送システムは、シングルキャリアによる伝送の速度を1/nとしたチャネルをn個有し、そのn個のチャネルにより並列に伝送することを意味し、この1シンボル時間(OFDMの場合は、1FFTシンボル時間と呼ぶ。)で生成されるn次元の信号空間を1つの符号語として扱う。
【0034】
ここで、符号c(i) が表すn次元の符号空間Cn は、1マルチキャリアシンボルが生成する信号空間ベクトルSにおいて、出力符号系列ベクトルS(c(i) )={S1 (c(i) ),S2 (c(i) ),・・・,Sn (c(i) )}∈S ・・・(式5)にマッピングされる。ここで、Sk (c(i) )は符号c(i) におけるk(1≦k≦n)番目のキャリアの複素信号点、iは入力情報である。
【0035】
情報データiは、各キャリアの変調指数をMとすると、キャリア毎に2M 個のビットパターンが存在し、n個のキャリアを用いた場合に合計で2nM個のビットパターン、つまり符号語が存在することとなる。
【0036】
このとき、異なる2つの符号の符号距離Δdijは、以下の(式6)のように表される。
Δd2 ij=|c(i) −c(j) |2 =Σk=1 n {|Sk (c(i) )−Sk (c(j) )|2 }・・・・(式6)
【0037】
よって、出力符号の最小符号距離(電力値)d2 min は、以下の(式7)によって表される。
2 min =min{Δd2 ij} ・・・(式7)
各キャリアにおける変調信号の最小信号点間距離(電力値)をd2 とすると、全符号{Cn }を伝送符号として用いる場合は、d2 min =d2 となる。
【0038】
本発明は、1シンボル時間に生成される出力符号として、符号空間Cn におけるm種の異なる部分集合を用いることにより、それぞれ最小符号距離の異なるシンボルを生成するものである。
【0039】
つまり、全符号空間Cn の最小符号距離をd2 min (Cn )とし、その部分集合Cp (⊆Cn )の最小符号距離をd2 min (Cp )とした場合、d2 min (Cn )≦d2 min (Cp )を満たす任意の部分符号空間Cp (⊆Cn )を、各入力情報毎に選択することにより、異なる伝送品質を提供するものである。
【0040】
全符号空間Cn を用いたときの符号化率をR(Cn )とし、部分集合Cp を用いたときの符号化率をR(Cp )とすると、各々の符号化率は、当然、R(Cn )≧R(Cp )となる。
【0041】
また、各サブフレームの符号化率Ri は、1マルチキャリアシンボル時間における入力ビット数Di と出力ビット数Ci との比により表される。即ち、
i =Di /Ci (1≦i≦m) ・・・(式8)
として表すことができる。
【0042】
図1に示す#1〜#mの符号部による出力符号のそれぞれの最小符号距離をd2 min (i) 、符号化率をRi (1≦i≦m)とすると、前記各符号サブフレームFC1 〜FCm における平均符号化率R* は、以下の(式9)のように表される。
* =V/W=(1/W)・Σi=1 m {wi i } ・・・(式9)
【0043】
なお、#1〜#mの各符号部1−1において、誤り訂正を行わない符号部の個数やその装置の位置(サブデータフレームの位置)には制約はなく、任意に設定することができる。
【0044】
また、誤り訂正を行わないため、その符号器の符号化率は、Ri =1で、d2 min =d2 となる。このような符号部は、実際には入力情報をそのままスルーで出力する。
【0045】
また、本発明において、変調指数も異なる最小符号距離を与える変数として扱うことができる。これは、異なる符号サブフレームFCi ,FCj の要求品質、例えばビット誤り率(BER)をqi ,qj (1≦i,j≦m)とし、qi ≦qj と仮定すると、不均一誤り保護は、異なる最小符号距離を与えること、つまりd2 min (i) ≧d2 min (j) となる符号化を行うことと等価であり、送信電力が一定である場合、変調指数によって最小符号距離が異なることを利用できるためである。
【0046】
例えば、多相位相変調(M-ary PSK,MPSK)を用いる場合、変調指数Mが2となるQPSKから、変調指数Mが3となる8PSKに変更すると、伝送速度は3/2倍になる一方で、QPSKの最小信号点間距離d2 に対し、8PSKの場合はその最小信号点間距離は図3に示すように0.736d2 となる。
【0047】
図3は多相位相変調(MPSK)における信号点間距離を示し、QPSKの信号点は図の○印の点で、その信号点間距離はd2 、8PSKの信号点は図の○と×印の点で、その信号点間距離は0.736d2 となる。
【0048】
よって、同一の符号化率の誤り訂正を行った場合、伝送品質としてはQPSKより8PSKによる変調方式を用いた方が、最小信号点間距離が小さくなるため伝送品質が劣化する。
【0049】
すなわち、符号化率Ri は、
i =Rc ・Rm ・・・(式10)
で決定される。
【0050】
ここで、Rc は誤り訂正における符号化率であり、Rm は変調指数より算出される符号化率である。伝送品質qi を満足する最小符号距離d2 min (i) さえ与えられれば、前記誤り訂正及び変調方式の組合せには制約がない。つまり、変調指数による符号化率Rm を一定とし、誤り訂正の符号化率Rc を変化させてもよいし、その逆でもよいし、その双方を変化させてもよい。
【0051】
更に、同一サブフレームにおける1マルチキャリアシンボル内で、サブキャリア毎に異なる変調方式を用いても、前記の最小符号距離d2 min (i) が所定値以上あり、要求される伝送品質を満たす限り、サブキャリア毎の変調方式については何ら制約がない。
【0052】
本発明は、n個のサブキャリアによる1マルチキャリアシンボルを、n次元信号空間として捉え、この信号空間で符号化を行う一種の符号化変調方式と見なすことができる。
【0053】
そして、n次元信号空間で符号化を行う際に、前述したマルチキャリア伝送における問題点の一つとなるピーク包絡線電力が所定値以下の符号を採用することにより、ピーク電力抑圧と不均一誤り保護(UEP)とを同時に図ることが可能となる。
【0054】
つまり、ピーク電力抑圧符号は、全符号空間Cn のうち、各サブキャリアの信号点の電力の総和が所定値を超えない符号の部分集合であり、その部分集合をCr (⊂Cn )とすると、図1に示す符号器において符号化に用い得る符号として、全符号空間Cn を部分集合Cr に置き換える(Cr ←Cn )ことにより、実現することができる。
【0055】
ピーク電力抑圧符号としては、相補系列符号(Complementary 符号)がよく知られており、マルチキャリア変調への適用が研究されている。この符号は、自己相関が高いコードで多相位相変調への適用が可能である。
【0056】
また、この符号は、N個のサブキャリアによる符号に対して、符号化率R=(log2N+1)/N、最小符号距離d2 min =(N/2)・d2 及びピーク電力低減量Pgain=(2/N)・Pを提供する。
【0057】
ここで、PはN個のサブキャリアにおけるピーク電力である。例えば、4個のサブキャリア(N=4)では、符号化率Rは3/4、最小符号距離d2 min は2d2 、ピーク電力低減量Pgainは(1/2)・Pであり、8個のサブキャリア(N=4)では、符号化率Rは1/2、最小符号距離d2 min は4d2 、ピーク電力低減量Pgainは(1/4)・Pとなる。
【0058】
図4は本発明の第1の実施の形態の符号器の構成を示す図である。符号器40は、m種類の誤り保護が可能な符号化を行う機能を有し、タイミング生成部4−1、シリアル・パラレル変換(S/P)部4−2、デコード部4−3、m個の符号部4−4、セレクタ部4−5及びマッピング部4−6とから構成される。
【0059】
符号器40には情報ビット信号とデータフレームタイミング信号とが入力され、符号器40から情報ビット信号を符号化したn個のサブキャリア分のマッピング信号を出力する。
【0060】
タイミング生成部4−1は、入力されたデータフレームタイミング信号から、符号タイミング信号を生成し、該符号タイミング信号を、シリアル・パラレル変換(S/P)部4−2、デコード部4−3、セレクタ部4−5及びマッピング部4−6へ出力する。
【0061】
また、タイミング生成部4−1は、データフレーム単位にて動作し、1データフレーム間のデータフレームフォーマットに従い、m種類の符号タイミング信号を周期的に出力する。ここで、符号タイミング信号のビット数(S)は、m種類のタイミング信号値を出力するために必要なビット数である。
【0062】
シリアル・パラレル変換(S/P)部4−2は、符号タイミング信号により、前述の(式8)に示す符号化率Ri に対応するように、出力ビット数を変化させながらシリアル・パラレル変換を行い、情報ビット信号を各符号部4−4へ出力する。
【0063】
デコード部4−3は、符号タイミング信号により、m種の符号化信号を生成し、各符号部4−4へ出力する。各符号化信号は、各符号部4−4の符号化動作を有効とする場合にのみアクティブ状態となる信号として生成される。
【0064】
各符号部4−4は、マルチキャリアシンボル単位でDi (i=1〜m)ビットの入力信号を前述の(式8)に示す符号化率に従う符号化を行い、1マルチキャリアシンボル分の符号データをCi (i=1〜m)ビットの符号化データ信号として出力する。
【0065】
また、各符号部4−4は、それぞれ符号化信号によりアクティブ状態とされた場合にのみ動作する。セレクタ部4−5は、各符号部4−4から入力されるm種の符号化データ信号を、符号タイミング信号により順次選択し、マッピング部4−6へ出力する。ここで、セレクタ部4−5から順次出力されるビット数Ci は、選択された符号部から出力される符号化データ信号のビット数となる。
【0066】
マッピング部4−6は、セレクタ部4−5から出力されるCi ビットの符号化データ信号を、符号タイミング信号に従い、n個のサブキャリアの変調信号へマッピングする。これにより、n個のサブキャリア分のマッピング信号が生成され、n個の各サブキャリアは、それぞれのマッピング信号により変調され、マルチキャリア変調信号が出力される。
【0067】
図5は本発明の第2の実施の形態の符号器の構成を示す図である。この符号器50もまた第1の実施の形態の符号器と同様にm種類の誤り保護が可能な符号化を行う機能を有する。
【0068】
符号器50は、タイミング生成部5−1、S/P変換部5−2、m個の符号部5−4、セレクタ部5−5及びマッピング部5−6とから構成される。この第2の実施の形態の符号器50の構成は、第1の実施の形態の符号器40におけるデコード部4−3を具備しない構成ものである。
【0069】
符号器50には、前述の第1の実施の形態の符号器40と同様に情報ビット信号とデータフレームタイミング信号が入力され、符号器50は、情報ビット信号を符号化してn個のサブキャリア分のマッピング信号を出力する。
【0070】
タイミング生成部5−1は、入力されたデータフレームタイミング信号から、符号タイミング信号を生成し、該符号タイミング信号をシリアル・パラレル変換(S/P)部5−2、セレクタ部5−5及びマッピング部5−6へ出力し、その動作は、前述した第1の実施の形態の符号器40におけるものと同一であるので重複した説明は省略する。
【0071】
シリアル・パラレル変換(S/P)部5−2も前述の第1の実施の形態の符号器40と同様に、符号タイミング信号により、所定の符号化率Ri に対応するように出力ビット数を変化させながらシリアル・パラレル変換を行い、各符号部5−4へ情報ビット信号を出力する。
【0072】
各符号部5−4は、前述の第1の実施の形態の符号器40と同様に、マルチキャリアシンボル単位でDi (i=1〜m)ビットの入力信号を前述の(式8)に示す符号化率に従う符号化を行い、1マルチキャリアシンボル分の符号データをCi (i=1〜m)ビットの符号化データ信号として出力する。
【0073】
但し、前述の第1の実施の形態の符号器40においては、デコード部4−3からの符号化信号によりアクティブ状態となった符号部のみが符号化を行うのに対し、第2の実施の形態の符号器50の各符号部5−4は、常時アクティブ状態にあり、全ての符号部5−4において常時、符号化の動作が実行される。
【0074】
セレクタ部5−5及びマッピング部5−6は、前述の第1の実施の形態の符号器4におけるものと同様に動作し、各符号部5−4から入力されるm種の符号化データ信号を符号タイミング信号により順次選択し、1マルチキャリアシンボル分のデータであるCi ビットの符号化データ信号を、n個のサブキャリアの変調信号へマッピングする。
【0075】
第2の実施の形態の符号器50は、第1の実施の形態の符号器40におけるデコード部4−3が不要となり、回路規模の縮小化及び簡略化を図ることができる。一方、第1の実施の形態の符号器40は、デコード部4−3の符号化信号により、一つの符号部のみをアクティブ状態とし、他の符号部の符号化動作を停止させるため、符号部4−4全体の消費電力を削減することができる。
【0076】
次に、本発明の復号器について説明する。前述の符号化アルゴリズムにより生成された1シンボル区間の信号であるDi ビット数の情報信号を、Ci ビット数のn個のサブキャリアの受信信号系列から最尤復号する。
【0077】
ここで、マルチキャリア伝送の受信信号系列ベクトルrを、
r={r1 ,r2 ,・・・,rn } ・・・(式11)とすると、
符号c(i) に対する尤度関数λ(c(i) )は、以下の(式12)により表される。
λ(c(i) )=Σm=1 n {Sm (c(i) )−rm } ・・・(式12)
【0078】
そして、尤度関数λ(c(i) )の最小値i^を与える符号c(i) を、(式13)により算出し、最小値i^を復号データとする。
i^=min{λ(c(i) )} ・・・(式13)
【0079】
図6は本発明の符号器の基本構成を示し、マルチキャリア変調された図2の(b)に示す符号フレームを受信し、その#1〜#nのn個の受信データ信号から、m種類の復号部6−1によりその復号を行う。
【0080】
復号器の入出力信号(即ち、受信データ信号及び復号データ信号)は、各符号サブフレーム区間毎に順次対応する#1〜#mのm種の復号部6−1に割り振られる。なお、受信データ信号は複素信号(Ich/Qch)である。
【0081】
図7は本発明の第1の実施の形態の復号器の構成を示す図である。復号器70は、m種類の誤り保護が行われたデータ信号の復号化を行う機能を有し、タイミング生成部7−1、デコード部7−2、タイミング制御部7−3、m個の符号部7−4、セレクタ部7−5、マッピング部7−6、符号距離計算部7−7、符号距離比較部7−8、最小距離メモリ部7−9、タイミングメモリ部7−10及びパラレル・シリアル変換(P/S)部7−11により構成される。
【0082】
復号器70にはn個のサブキャリア分の受信データ信号#1〜#n及び符号フレームタイミング信号が入力され、復号器70はそれらの信号から、受信データの復号化を行い、復号データ信号を出力する。
【0083】
タイミング生成部7−1は、入力された符号フレームタイミング信号から、復号タイミング信号を生成し、該復号タイミング信号をデコード部7−2、タイミング制御部7−3、セレクタ部7−5、マッピング部7−6、タイミングメモリ部7−10及びパラレル・シリアル変換(P/S)部7−11へ出力する。
【0084】
また、タイミング生成部7−1は、符号フレーム単位にて動作し、1符号フレーム間の符号フレームフォーマットに従い、m種類の復号タイミング信号を周期的に出力する。ここで、復号タイミング信号のビット数(S)は、m種類の信号値を出力するために必要なビット数である。
【0085】
デコード部7−2は、復号タイミング信号により、m種の符号化信号を生成し、各符号部7−4へ出力する。各符号化信号は、各符号部7−4の符号化動作を有効とする場合にのみアクティブ状態となる信号として生成される。
【0086】
タイミング制御部7−3は、前述の符号器における符号部の入力ビット数と同じビット数であるDi (i=1〜m)ビットのデータ制御信号を、復号タイミング信号に従って順次変化させながら、各符号部7−4及びタイミングメモリ部7−10に出力する。
【0087】
また、タイミング制御部7−3は、マルチキャリアシンボル単位にて動作し、1マルチキャリアシンボル時間にDi (i=1〜m)ビットの信号が取り得る値全てのデータ制御信号を周期的に出力する。
【0088】
更に、タイミング制御部7−3は、データ制御信号の変化時にアクティブとなるタイミング制御信号を生成し、該タイミング制御信号を符号距離計算部7−7、符号距離比較部7−8及び最小距離メモリ部7−9へ送出し、データ制御信号の変化タイミングを通知する。
【0089】
符号部7−4は、タイミング制御部7−3から入力されるデータ制御信号に対して前述の(式8)に示す符号化率により、前述の符号器における符号部と同様の符号化を行う。なお、C1 〜Cm は各符号部から出力される符号化データ信号のビット数である。
【0090】
セレクタ部7−5では、各符号部7−4から入力されるm種類の符号化データ信号を復号タイミング信号に従って選択し、符号ビット信号として出力する。ここで、セレクタ部7−5から出力されるビット数Ci は、選択された符号化データ信号のビット数である。
【0091】
マッピング部7−6は、セレクタ部7−5から出力される1マルチキャリアシンボル分のデータであるCi ビットの符号ビット信号を、復号タイミング信号に従い、n個サブキャリアの変調信号へマッピングする。これにより、n個のサブキャリア分のマッピング信号が生成され、符号器における場合と同様に、n個の各サブキャリアによるマルチキャリア変調信号が出力される。
【0092】
符号距離計算部7−7は、受信データ信号とマッピング信号との符号距離の計算を、タイミング制御信号に同期して行う。該計算による符号距離を示す符号距離信号は、符号距離比較部7−8及び最小距離メモリ部7−9に入力される。
【0093】
符号距離比較部7−8は、符号距離計算部7−7から出力される符号距離信号と、最小距離メモリ部7−9に保持された前回までの比較により判定した最小距離信号との比較を、タイミング制御信号に同期して行う。
【0094】
符号距離比較部7−8の出力であるメモリタイミング信号は、現在入力されている符号距離信号が過去の最小距離信号よりも小さい場合にアクティブとなる信号である。
【0095】
最小距離メモリ部7−9は、メモリタイミング信号がアクティブになったときに、符号距離計算部7−7から入力される符号距離信号を、最小距離データとして格納する。
【0096】
この最小距離データは、タイミング制御信号に同期して最小距離信号として符号距離比較部7−8に出力される。また、1マルチキャリアシンボル間隔毎に最小距離データのクリアを行うことにより、1マルチキャリアシンボル区間での最小距離を格納する。
【0097】
タイミングメモリ部7−10には、タイミング制御部7−3から出力されるデータ制御信号が、符号部7−4への入力と共に入力され、該データ制御信号を、前述のメモリタイミング信号がアクティブとなったときに、タイミングメモリ部7−10に取り込んで格納する。
【0098】
このタイミングメモリ部7−10に格納されたデータは、復号タイミング信号に同期して、1マルチキャリアシンボル間隔でパラレル・シリアル変換(P/S)部7−11へ出力された後クリアされる。この動作により、受信データ信号との符号距離が最も小さい最尤復号データが、復号データ信号として出力される。
【0099】
パラレル・シリアル変換(P/S)部7−11は、復号タイミング信号に同期して、タイミングメモリ部7−10から出力される最尤復号データのビット数を変化させながらパラレル・シリアル変換を行い、復号データ信号として出力する。
【0100】
図8は本発明の第2の実施の形態の復号器の構成を示す図である。この第2の実施の形態の復号器も同様に、m種類の誤り保護が行われたデータ信号の復号化を行う機能を有し、タイミング生成部8−1、タイミング制御部8−3、m個の符号部8−4、セレクタ部8−5、マッピング部8−6、符号距離計算部8−7、符号距離比較部8−8、最小距離メモリ部8−9、タイミングメモリ部8−10及びパラレル・シリアル変換(P/S)部8−11により構成される。
【0101】
第2の実施の形態の復号器80は、前述の第1の実施の形態の復号器70と同様に、n個のサブキャリア分の受信データ信号#1〜#n及び符号フレームタイミング信号が入力され、受信データ信号を復号して復号データ信号を出力する。
【0102】
この第2の実施の形態の復号器80の構成は、前述の図7に示す第1の実施の形態の復号器70に設けたデコード部7−2を省いたもので、前述の第1の実施の形態の復号器70においては、デコード部7−2からの符号化信号によりアクティブ状態になった符号部7−4のみが符号化を行うのに対し、第2の実施の形態の復号器80の各符号部8−4は、常時アクティブ状態となり、全ての符号部8−4において常時、符号化の動作が実行される。
【0103】
そのため、第2の実施の形態の復号器80は、第1の実施の形態の復号器70におけるデコード部7−2が不要となり、回路規模の縮小化及び簡略化を図ることができる。一方、第1の実施の形態の復号器70は、デコード部7−2の符号化信号により、一つの符号部のみをアクティブ状態とし、他の符号部の符号化動作を停止させるため、符号部7−4全体の消費電力を削減することができる。
【0104】
デコード部7−2を省いたほかは、第2の実施の形態の復号器80の構成は、第1の実施の形態の復号器70と同様であるので、その動作についての重複した説明は省略する。
【0105】
図9は本発明の第1の実施の形態の符号器の第1の実施例の説明図である。同図は、4個のサブキャリアによるマルチキャリア伝送システムにおいて、2種類の誤り保護を行う実施例を示し、タイミング生成部9−1、シリアル・パラレル変換(S/P)部9−2、デコード部9−3、2個の符号部9−4、セレクタ部9−5及びマッピング部9−6により構成される。
【0106】
符号器90には、情報ビット信号とデータフレームタイミング信号とが入力され、該符号器90から4個のサブキャリア分のマッピング信号#1〜#4が出力される。この構成により、各サブキャリアがQPSK変調され、サブキャリア数が4であるマルチキャリア変調用の符号器を実現することができる。
【0107】
この第1の実施例における第1(#1)及び第2(#2)の符号部9−4は、マルチキャリアシンボル単位の入力信号に対して、それぞれ第1の符号化率R1 =1/2及び第2の符号化率R2 =1(誤り訂正なし)の異なる二つの符号化率により符号化を行い、1マルチキャリアシンボル分のデータである8ビットの符号化データ信号を出力する。
【0108】
第1(#1)の符号部は、図10の表1の表に示す入力と出力の関係に従って符号化を行う。また、第2の(#2)符号部は、入力データをそのまま出力する。第1(#1)の符号部により生成される符号の符号距離(電力値、以後すべて電力値で表す。)は4d2 となり、符号部#2の出力信号の符号距離はd2 となる。
【0109】
これにより、2種類の符号距離を有する信号、即ち、誤り保護に関して種類の異なる2種類の信号を生成することができる。これらの伝送品質は、S/N改善比で漸近値6dB(4倍)となる。
【0110】
図9に示す符号器90の各機能部は、図4に示した構成のものと同様に動作する。但し、符号部9−4に入出力されるビット数及びセレクタ9−5から出力されるビット数は図9に記したビット数となる。
【0111】
図11は本発明の第2の実施の形態の符号器の第1の実施例の説明図である。同図は、図9に示した実施例と同様に、4個のサブキャリアによるマルチキャリア伝送システムにおいて、2種類の誤り保護を行う実施例を示し、タイミング生成部11−1、シリアル・パラレル変換(S/P)部11−2、2個の符号部11−4、セレクタ部11−5及びマッピング部11−6により構成される。
【0112】
図11に示す第2の実施の形態の符号器の実施例は、図9に示す第1の実施の形態の実施例におけるデコード部9−3を省いたもので、その動作は、第1(#1)及び第2(#2)の各符号部11−4が常時動作するほかは、図9に示す第1の実施の形態の実施例における動作と同様である。
【0113】
図12は本発明の第1の実施の形態の符号器の第2の実施例の説明図である。同図は、第1の実施例と同様に4個のサブキャリア伝送システムにおける2種類の誤り保護を行う実施例を示し、タイミング生成部12−1、シリアル・パラレル(S/P)変換部12−2、デコード部12−3、2個の符号部12−4、セレクタ部12−5及びマッピング部12−6により構成される。
【0114】
符号器120には、情報ビット信号とデータフレームタイミング信号が入力され、該符号器120は4個のサブキャリア分のマッピング信号#1〜#4を出力する。この構成により、各サブキャリアがQPSK変調され、サブキャリア数が4であるマルチキャリア変調用の符号器を実現することができる。
【0115】
この第2の実施例における第1(#1)及び第2(#2)の符号部12−4は、ともに相補符号(Complementary Code)により符号化を行う。第1(#1)及び第2(#2)の符号部の符号化率R1 ,R2 は、それぞれR1 =1/2及びR2 =3/4である。
【0116】
この場合、第1(#1)の符号部により生成される符号の符号距離は4d2 となり、第2(#2)の符号部により生成される符号の符号距離は2d2 となる。これらの伝送品質は、S/N改善比で漸近値3dB(2倍)となる。
【0117】
ここで、第1(#1)符号部から出力される信号及び第2(#2)の符号部から出力される信号は、ピーク電力を抑圧する信号となっているため、2種類の異なる誤り保護強度を有する信号を生成するとともに、ピーク電力を抑圧した信号を生成することができる。
【0118】
なお、ピーク電力低減量は最大値、つまり最も低減量の小さい電力値となる符号により決定されるため、この実施例におけるピーク電力低減量Pgaimは、Pgaim=1/2Pとなる。
【0119】
符号部12−4を除く他の機能部は、前述の図9に示した実施例と同様に動作する。但し、第1(#1)の符号部には4ビット、第2の(#2)符号部には6ビットの情報ビットが入力され、それぞれ8ビットの符号化データ信号を出力する。
【0120】
図13は本発明の第2の実施の形態の符号器の第2の実施例の説明図である。同図は、前述の実施例と同様に4個のサブキャリア伝送システムにおける2種類の誤り保護を行う場合を示し、タイミング生成部13−1、シリアル・パラレル(S/P)変換部13−2、2個の符号部13−4、セレクタ部13−5及びマッピング部13−6により構成される。
【0121】
符号器130には、情報ビット信号とデータフレームタイミング信号が入力され、該符号器130は、4個のサブキャリア分のマッピング信号を出する。この構成により、各サブキャリアがQPSK変調され、サブキャリア数が4であるマルチキャリア変調用の符号器を実現することができる。
【0122】
図13に示す実施例は、図12に示す実施例のデコード部12−3を省き、回路の簡略化を図ったものである。各機能部は、前述の図12の実施例と同様に動作し、2種類の誤り保護及びピーク電力抑圧を可能にする信号を得ることができる。但し、符号部13−4は符号化信号が入力されないため常に動作状態となる。
【0123】
図14は、本発明の第1の実施の形態の復号器の第1の実施例の説明図である。この復号器の実施例は、前述の第1及び第2の実施の形態の符号器の第1の実施例により符号化が行われた信号の最尤復号を行う復号器の例である。
【0124】
図14に示すように復号器140は、タイミング生成部14−1、デコード部14−2、タイミング制御部14−3、2個の符号部14−4、セレクタ部14−5、マッピング部14−6、符号距離計算部14−7、符号距離比較部14−8、最小距離メモリ部14−9、タイミングメモリ部14−10及びパラレル・シリアル(P/S)変換部14−11により構成される。
【0125】
復号器140には、4個のサブキャリア分の受信データ信号#1〜#4及び符号フレームタイミング信号が入力され、該復号器140は、それらの信号から受信データの復号化を行い、復号データ信号を出力する。
【0126】
符号部14−4を除く各機能部は、前述の図7に示したものと同様に動作する。但し、符号部14−4の入出力ビット数は図14に示すように、第1(#1)の符号部には4ビット、第2(#2)の符号部には8ビットのデータ制御信号が入力され、第1(#1)及び第2(#2)の符号部から共に8ビットの符号化データ信号が出力される。また、符号部14−4は、図9の符号部と同様の動作を行う。
【0127】
図15は本発明の第2の実施の形態の復号器の第1の実施例の説明図である。この復号器の実施例も、前述の第1及び第2の実施の形態の符号器の第1の実施例により符号化が行われた信号の最尤復号を行う復号器の例である。
【0128】
図15に示すように復号器150は、タイミング生成部15−1、タイミング制御部15−3、2個の符号部15−4、セレクタ部15−5、マッピング部15−6、符号距離計算部15−7、符号距離比較部15−8、最小距離メモリ部15−9、タイミングメモリ部15−10及びパラレル・シリアル(P/S)変換部15−11により構成される。
【0129】
復号器150には、4個のサブキャリア分の受信データ信号#1〜#4及び符号フレームタイミング信号が入力され、該復号器150は、それらの信号から受信データの復号化を行い、復号データ信号を出力する。各機能部は、図14に示す実施例の復号器140と同様に動作する。但し、符号部15−4は符号化信号が入力されないため常に動作する。
【0130】
図16は本発明の第1の実施の形態の復号器の第2の実施例の説明図である。この復号器の実施例は、前述の第1及び第2の実施の形態の符号器の第2の実施例により符号化が行われた信号の最尤復号を行う復号器の例である。
【0131】
図16に示すように復号器160は、タイミング生成部16−1、デコード部16−2、タイミング制御部16−3、2個の符号部16−4、セレクタ部16−5、マッピング部16−6、符号距離計算部16−7、符号距離比較部16−8、最小距離メモリ部16−9、タイミングメモリ部16−10及びパラレル・シリアル(P/S)変換部16−11により構成される。
【0132】
復号器160には、4個のサブキャリア分の受信データ信号及び符号フレームタイミング信号が入力され、該復号器160は、それらの信号から受信データの復号化を行い、復号データ信号を出力する。
【0133】
符号部16−4を除く各機能部は、前述の実施例の復号器と同様に動作する。但し、符号部16−4の入出力ビット数は図16に示すように、第1(#1)の符号部には4ビット、第2(#2)の符号部には6ビットのデータ制御信号が入力され、第1(#1)及び第2(#2)の符号部から共に8ビットの符号化データ信号が出力される。また、符号部16−4は、前述の図12の符号部と同様の動作を行う。
【0134】
図17は本発明の第2の実施の形態の復号器の第2の実施例の説明図である。この復号器の実施例も、前述の第1及び第2の実施の形態の符号器の第2の実施例により符号化が行われた信号の最尤復号を行う復号器の例である。
【0135】
図17に示すように復号器170は、タイミング生成部17−1、タイミング制御部17−3、2個の符号部17−4、セレクタ部17−5、マッピング部17−6、符号距離計算部17−7、符号距離比較部17−8、最小距離メモリ部17−9、タイミングメモリ部17−10及びP/S部17−11により構成される。
【0136】
復号器170には、4個のサブキャリア分の受信データ信号#1〜#4及び符号フレームタイミング信号が入力され、該復号器170は、それらの信号から受信データの復号化を行い、復号データ信号を出力する。各機能部は、図16に示す実施例の復号器160と同様に動作する。但し、符号部17−4は符号化信号が入力されないため常に動作する。
【0137】
図18は本発明の符号化によるS/N比対ビット誤り率(BER)特性を示す図である。同図は、第1又は第2の実施の形態の第2の実施例の符号化を行った場合のS/N比対ビット誤り率(BER)特性を示し、図の(a)はAWGNチャネル下のS/N比対ビット誤り率(BER)特性、図の(b)はフェージング環境下におけるS/N比対ビット誤り率(BER)特性を示している。
【0138】
図中のCODE1及びCODE2は、それぞれ第1(#1)の符号部(符号化率R1 =1/2)及び第2(#2)の符号部(R2 符号化率=3/4)による符号化を行った場合のS/N比対ビット誤り率(BER)特性を示している。
【0139】
同図に示すように、種類の異なる2つの符号部CODE1及びCODE2により、2種類の誤り率特性を得ることができることが分かる。図の(a)に示すAWGNチャネル下で、受信特性が約2桁(@ S/N=7dB)異なる伝送品質が提供され、図の(b)に示すフェージング環境下で、受信特性が約1桁(@
S/N=15dB)5dB以上異なる伝送品質が提供される。
【0140】
また、本発明における各符号部による符号化は、1マルチキャリアシンボル毎に独立したものであるため、メモリの増大及び処理遅延を伴うインターリーブ処理を必要としない。
【0141】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数(n個)のサブキャリアによるマルチキャリア伝送システムにおいて、1マルチキャリアシンボル時間毎に、n個の信号点で構成される符号語の識別能力、即ち、最小符号距離の異なる符号化を行い、最小符号距離を順次変化させることにより、1データフレーム内において異なる伝送品質を与え、効率の良い伝送を行うことができる。
【0142】
また、前述の符号化において、伝送に使用する符号にピーク電力抑圧符号を採用することにより、異なる伝送品質を与えながら、同時にピーク電力を抑圧することができる。
【0143】
また、前述の符号化を行う符号器を、タイミング生成部、シリアル・パラレル変換部(S/P部)、デコード部、任意の個数の符号部、セレクタ部及びマッピング部により構成することにより、符号部の個数を増減するだけで、要求される伝送品質の種類の数に応じた符号化を行うことができる。また、前述の符号器において、デコード部を除くことでより簡易な回路構成とすることができる。
【0144】
また、受信側において、前述の最小符号距離の拡大された符号データを、最尤復号することにより、フェージング環境下において、インターリーブ機能を要せずに、受信特性が1桁以上異なる伝送品質を提供することが可能となる。
【0145】
また、前述の最尤復号を行う復号器を、タイミング生成部、デコード部、タイミング制御部、任意の個数の符号部、セレクタ部、マッピング部、符号距離計算部、符号距離比較部、最小距離メモリ部、タイミングメモリ部及びパラレル・シリアル変換部(P/S部)により構成することにより、符号部の個数を増減するだけで、要求される伝送品質の種類の数に応じた復号化を行うことができる。また、前述の復号器において、デコード部を除くことでより簡易な回路構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の符号器の基本構成の説明図である。
【図2】本発明の符号器に入力される情報ビット信号のデータフレームフォーマット及び符号器から出力される符号フレームフォーマットの図である。
【図3】多相位相変調(MPSK)における信号点間距離の説明図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態の符号器の構成図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態の符号器の構成図である。
【図6】本発明の復号器の基本構成の説明図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態の復号器の構成図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態の復号器の構成図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態の符号器の第1の実施例の説明図である。
【図10】本発明の符号器の第1の実施例の第1の符号部の入出力信号マッピング表である。
【図11】本発明の第2の実施の形態の符号器の第1の実施例の説明図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態の符号器の第2の実施例の説明図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態の符号器の第2の実施例の説明図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態の復号器の第1の実施例の説明図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態の復号器の第1の実施例の説明図である。
【図16】本発明の第1の実施の形態の復号器の第2の実施例の説明図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態の復号器の第2の実施例の説明図である。
【図18】本発明の符号化によるS/N比対ビット誤り率(BER)特性を示す図である。
【図19】マルチキャリア変調の説明図である。
【符号の説明】
1−1 #1〜#mの種類の異なるm個の符号部
1−2 #1〜#nのサブキャリアの複素信号へのマッピング部

Claims (8)

  1. 複数の搬送波により符号語を伝送するマルチキャリア伝送システムにおいて、1マルチキャリアシンボル時間毎に、複数の搬送波の変調信号点で構成される符号語の最小符号距離の異なる符号化を行い、最小符号距離を順次変化させ、複数の符号語の系列から成るデータフレーム内における誤り保護強度を可変にしたことを特徴とするマルチキャリア伝送における不均一誤り保護方法。
  2. 前記最小符号距離の異なる符号化において、マルチキャリア変調信号の送信ピーク電力が所定値以下となる符号を用いて符号化を行うことを特徴とする請求項1に記載のマルチキャリア伝送における不均一誤り保護方法。
  3. 複数の搬送波により符号語を伝送するマルチキャリア伝送システムの符号器において、
    入力される情報ビット信号に対して、1マルチキャリアシンボル時間毎に、複数の搬送波の変調信号点で構成される符号語の最小符号距離の異なる符号化を行う複数種類の符号部と、
    該複数種類の符号部のうちの一つを選択し、該符号部から出力される符号ビット信号を出力するセレクタ部と、
    該各符号部から出力される各符号ビット信号を、それぞれ、複素信号へマッピングするマッピング部とを備え、
    最小符号距離を順次変化させ、複数の符号語の系列から成るデータフレーム内における誤り保護強度を可変とする符号化を行う構成を有することを特徴とする、マルチキャリア伝送における不均一誤り保護を行う符号器。
  4. 前記符号器は、符号化のタイミング信号を生成するタイミング生成部と、入力される情報ビット信号をシリアル・パラレル変換し、前記複数種類の符号部へ出力するシリアル・パラレル変換部とを備えたことを特徴とする請求項3記載のマルチキャリア伝送における不均一誤り保護を行う符号器。
  5. 前記符号器は、前記タイミング信号を基に前記複数種類の符号部のうちの一つをアクティブ状態にする信号を発生するデコード部とを備えたことを特徴とする請求項4記載のマルチキャリア伝送における不均一誤り保護を行う符号器。
  6. 複数の搬送波により伝送された符号語を復号するマルチキャリア伝送システムの復号器において、1マルチキャリアシンボル時間毎に、複数の搬送波の変調信号点で構成される符号語の最小符号距離の異なる符号の復号化を行う複数種類の復号部を有し、
    該複数種類の復号部は、複数の搬送波の受信データ信号に対して、伝送された符号語を最尤推定する構成を有することを特徴とするマルチキャリア伝送における不均一誤り保護された符号の復号化を行う復号器。
  7. 前記複数種類の復号部を有し、符号語を最尤推定する復号器は、復号化のタイミング信号を生成するタイミング生成部と、1マルチキャリアシンボル時間毎に、複数の搬送波の変調信号点で構成される符号語の最小符号距離の異なる符号化を行う複数種類の符号部と、前記複数種類の符号部に最尤推定のデータ制御信号を出力するとともにタイミング制御信号を発生するタイミング制御部と、前記複数種類の符号部のうちの一つを選択し、該符号部から出力される符号ビット信号を出力するセレクタ部と、該各符号部から出力される各符号ビット信号を、それぞれ、複素信号へマッピングするマッピング部と、複数の搬送波の変調信号の受信データと前記マッピング部の出力との符号距離を計算する符号距離計算部と、該符号距離計算部により計算した符号距離の最小符号距離を求めて保持する符号距離比較部及び最小距離メモリ部と、前記最小符号距離となった最尤推定のデータ制御信号を記憶し、該記憶した最尤推定のデータ制御信号を、前記タイミング生成部からのタイミング信号によって出力するタイミングメモリ部とを備えたことを特徴とする請求項6記載のマルチキャリア伝送における不均一誤り保護符号の復号化を行う復号器。
  8. 前記復号器は、前記タイミング信号を基に前記複数種類の符号部のうちの一つをアクティブ状態にする信号を発生するデコード部を備えたことを特徴とする請求項7記載のマルチキャリア伝送における不均一誤り保護された符号の復号化を行う復号器。
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